説明

飲料製造装置

【課題】本体の高さ寸法を縮小することができ、コーヒー豆キャニスタへのメンテナンス作業性を向上させる。
【解決手段】コーヒー原料粉末に湯を供給してコーヒー液を抽出する飲料製造装置1において、本体6内に設けられ、湯を貯留する湯タンク11と、コーヒー豆を収容して本体上部に着脱自在に取り付けられるコーヒー豆キャニスタ70と、本体6内に設けられ、コーヒー豆キャニスタ内のコーヒー豆を挽くミル71とを備え、湯タンク11を本体6内の後部に配置すると共に、湯タンク11の上部は本体6に取り付けられた状態のコーヒー豆キャニスタ70後側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー原料粉末に湯を加圧供給してコーヒー液を抽出する飲料製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりレストラン等においては、コーヒーがソフトドリンクの必須メニューとされているが、近年では、加圧抽出式(エスプレッソ)のコーヒーも一般的に提供されている。加圧抽出式場合、所定の粒度に粉砕されたコーヒー原料粉末を耐圧構造とされた抽出室に装填し、このコーヒー原料粉末にポンプで加圧した高圧の湯を通過させることによってコーヒー液を抽出するものである。このようにコーヒー液の抽出時に高温の湯を使用することでコーヒー成分の溶出が促進され、更にこの湯を加圧して供給することで、挽き豆の組織内に湯が浸透し、濃いコーヒー液、即ちエスプレッソコーヒーが得られる。
【0003】
例えば、特許文献1に示されるコーヒーを製造する飲料製造装置では、コーヒー豆を所定の粒度に粉砕して挽き豆とし、この挽き豆を抽出機に供給するミルを備えている。コーヒー豆キャニスタに貯蔵されているコーヒー豆を回転する粉砕刃の間に送り込んで粉砕することによって挽き豆を形成して抽出機に供給している。また、抽出機に高温の湯を供給するための湯タンクを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−14922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該装置が設置されるレストランなどでは、その設置スペースに限りがある。そのため、限られた設置スペースに設置すべく、取り出し、豆投入作業を伴うコーヒー豆キャニスタを本体の最上部に設置し、当該キャニスタの下側から後方にかけて所定の容積を有する湯タンクが配設される。そして、湯タンクの上方にキャニスタが載置された状態で配設されていた。
【0006】
そのため、コーヒー豆キャニスタを含む装置全体の上下寸法が大きくなり、女性等の比較的背の低い作業者がコーヒー豆キャニスタのメンテナンス作業、例えば取り外し作業や豆投入作業等を行う場合、著しく作業性が悪いという問題があった。
【0007】
また、コーヒー豆が収納されるコーヒー豆キャニスタの下方に高温となる湯タンクが配設されると、当該湯タンクからの廃熱が上方に排出されることにより、コーヒー豆キャニスタ自体が加熱され、内部に収納されるコーヒー豆の品質劣化を招来する問題もある。
【0008】
本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、本体の高さ寸法を縮小することができ、コーヒー豆キャニスタへのメンテナンス作業性を向上させることができる飲料製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、コーヒー原料粉末に湯を供給してコーヒー液を抽出する飲料製造装置において、本体内に設けられ、湯を貯留する湯タンクと、コーヒー豆を収容して本体上部に着脱自在に取り付けられるコーヒー豆キャニスタと、本体内に設けられ、コーヒー豆キャニスタ内のコーヒー豆を挽くミルとを備え、湯タンクを本体内の後部に配置すると共に、この湯タンクの上部は本体に取り付けられた状態のコーヒー豆キャニスタ後側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コーヒー原料粉末に湯を供給してコーヒー液を抽出する飲料製造装置において、本体内に設けられ、湯を貯留する湯タンクと、コーヒー豆を収容して本体上部に着脱自在に取り付けられるコーヒー豆キャニスタと、本体内に設けられ、コーヒー豆キャニスタ内のコーヒー豆を挽くミルとを備え、湯タンクを本体内の後部に配置すると共に、この湯タンクの上部は本体に取り付けられた状態のコーヒー豆キャニスタ後側に位置するので、従来の如くコーヒー豆キャニスタの下側に湯タンクが配設された場合に比べ、装置全体の高さ寸法を縮小することができる。
【0011】
これにより、コーヒー豆キャニスタ自体の取付高さ位置を低くすることができ、キャニスタの交換作業等を容易とすることができる。
【0012】
また、コーヒー豆キャニスタの取付位置よりも低い位置の本体内に湯タンク全てが配設される場合に比べて、湯タンクからの廃熱がコーヒー豆キャニスタに伝わりにくくなり、当該キャニスタ内に収容されるコーヒー豆の品質劣化等の不都合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の飲料製造装置の斜視図である。
【図2】飲料製造装置の前面ドア及び側面パネルを取り外した状態の斜視図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】飲料製造装置の部分概略構成図である。
【図5】ミル装置の斜視図である。
【図6】ミル装置の縦断側面図である。
【図7】コーヒー豆キャニスタに設けられる蓋部材の開閉状態を説明する平面図である。(全開状態)
【図8】コーヒー豆キャニスタに設けられる蓋部材の開閉状態を説明する平面図である。(一部閉状態)
【図9】コーヒー豆キャニスタに設けられる蓋部材の開閉状態を説明する平面図である。(第2シャッタ全閉状態、第1シャッタ一部閉状態)
【図10】コーヒー豆キャニスタに設けられる蓋部材の開閉状態を説明する平面図である。(全閉状態)
【図11】コーヒー抽出機の斜視図である。
【図12】コーヒー抽出機の動作を説明図である。(コーヒー原料粉末投入位置)
【図13】コーヒー抽出機の動作を説明図である。(上昇位置)
【図14】コーヒー抽出機の動作を説明図である。(降下途中位置)
【図15】コーヒー抽出機の動作を説明図である。(コーヒー滓廃棄状態)
【図16】他の例としてのコーヒー抽出機の動作を説明図である。(待機位置)
【図17】飲料製造装置の制御装置のブロック図である。
【図18】ミルクフォーマーの概略構成図である。
【図19】ミルカー及び各部品の側面図である。
【図20】他の実施例としてのミルクフォーマーの概略構成図である。
【図21】ドアの背面図である。
【図22】リモコンの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の飲料製造装置1の斜視図、図2の飲料製造装置1の前面ドア4及び側面パネルを取り外した状態の斜視図、図3は図2の側面図、図4は飲料製造装置1の部分概略構成図をそれぞれ示している。
【0015】
本実施例の飲料製造装置1は、前面にコーヒー液を排出する抽出ノズル2と、ミルクフォームやホットミルクを排出するミルクノズル3と、飲料原料となるココアパウダー等の粉末原料と湯を混合撹拌することにより得られる飲料を排出する飲料ノズル4とを有するノズルユニット5及び湯ノズル29とを備えた本体6により構成されている。そして、これらノズルユニット5と、飲料ノズル4の下方には、抽出されたコーヒー液やその他の飲料を受容するカップを載置するカップ支持台7が設けられている。
【0016】
本体6の前面には一側に回動自在に枢支されたドア8が開閉可能に設けられている。このドア8の前面には、当該装置1において提供(排出)する飲料の種類を選択する複数の飲料選択ボタン9・・が設けられている。尚、当該ドア8の詳細については後述する。
【0017】
本実施例の飲料製造装置1は、本体6内に、湯タンク11と、湯タンク11の底部近傍に取り付けられた湯ポンプ(ギヤポンプ)12と、コーヒー抽出機30と、詳細は後述するミルクフォーマー60を備えている。
【0018】
また、本実施例では、詳細は後述する如き挽き豆からコーヒー液を抽出することにより得られるコーヒー飲料のみならず、飲料原料となる粉末原料と湯を混合撹拌することにより得られる飲料をも提供可能とする。そのため、図2に示すように本体6上部には、粉末原料を貯蔵する粉原料貯蔵容器17が詳細は後述するコーヒー豆キャニスタ70、70と並設される。そして、この粉原料貯蔵容器17から排出された所定量の粉末原料と所定量の湯とを混合撹拌して飲料を生成する粉飲料生成部18が設けられている。尚、本実施例では、当該粉末原料から生成される粉飲料の生成構造についての詳細は省略する。
【0019】
そして、上記湯タンク11は、数リットルの飲料水を貯水可能とするタンクであり、内部には、貯水された飲料水を例えば+97℃に加熱保温する図示しないヒータが設けられている。また、湯タンク11の底部近傍、本実施例では、湯タンク11下部前方に設けられた湯ポンプ12は、湯タンク11内の湯を加圧して排出するポンプであり、この湯ポンプ12の排出口には、フィルタ13と、流量計14と、給湯弁(電磁弁)15とが順次介設された給湯配管16が接続されており、この給湯配管16の他端は、コーヒー抽出機30を構成するシリンダ33の給湯口38に接続されている。本実施例では、給湯口38に対して容易に着脱可能とするため、給湯配管16の端部には、コネクタ16Aが設けられている。
【0020】
そして、この給湯配管16には、給湯弁15とコーヒー抽出機30との間に位置して当該給湯配管16から分岐する排水管19が接続されている。この排水管19には、コーヒー抽出機30や後述するコーヒー液配管39内の残液等を外部に排出を制御するための排水弁(電磁弁)20が設けられている。
【0021】
また、図2及び図3において、21はコーヒー液の抽出に使用された残滓を受容すると共に、ドア8を開放した状態で、前方に引出自在に設けられた滓受け部材であり、滓受け部材21は、本体6下部に形成される滓受け部材収容部22内に収納可能とされている。
【0022】
(1)コーヒー豆キャニスタ及びミルの構造
次に、コーヒー抽出機30にコーヒー原料粉末としての挽き豆を供給するミル装置72について図5乃至図10を参照して説明する。図5はミル装置72の斜視図、図6はミル装置72の縦断側面図、図7乃至図10はコーヒー豆キャニスタ70に設けられる蓋部材84の開閉状態を説明する平面図を示す。尚、図7及び図8はフランジ82上方にて横断した平断面図であり、図9及び図10は蓋部材84上方にて横断した平断面図を示している。
【0023】
本体6の上部には、コーヒー抽出機30の上方に位置してミル装置72が配設される。ミル装置72は、本体6内に位置し、コーヒー抽出機30の上方に配設されるミル71と、当該ミル71の上方であって、本体6の上面の前部に形成された低位部6A上に配設されるコーヒー豆キャニスタ70とから構成される。
【0024】
ミル71は、上方に開口する上面開口79を有し、当該開口79を介してコーヒー豆キャニスタ70から落下するコーヒー豆を下方に誘導するコーヒー豆通路73が内部に形成される。この開口79の上縁には、キャニスタ70の排出口80と合致するフランジ79Aが形成されている。そして、このコーヒー豆通路73の下方には、供給されるコーヒー豆を粉砕して挽き豆とする粉砕刃74が配設されている。この粉砕刃74は、固定刃74Aと、この固定刃74Aと対向するようにミル71内に固定される回転刃74Bとから構成される。
【0025】
回転刃74Aは、コーヒー豆通路73に挿通され、ミル71上方まで延在する回転軸76により回転自在に設けられる。これにより、回転刃74Aは、回転軸76を介してミルモータ76Mの回転力が伝達される構成とされる。この回転軸76は、上部にコーヒー豆送り用スプリング78が螺旋状に取り付けられている。
【0026】
ここで、この回転軸76の上部は、ミル71の上方に配設されるコーヒー豆キャニスタ70の排出口80の中央から当該キャニスタ70内に所定寸法、進入するように上方に延在して構成されている。これにより、ミル71の動作と同時にコーヒー豆送り用スプリング78が回転することで、キャニスタ70内に収容されたコーヒー豆同士が固着することにより生じるブリッジの発生を抑制しつつ、円滑なコーヒー豆の排出口80からの排出を可能とする。
【0027】
そして、この固定刃74Aと回転刃74Bとの隙間側方には、固定刃74A及び回転刃74Bによって粉砕された挽き豆を排出する挽き豆排出部77が設けられている。尚、この排出口には、挽き豆を後段のコーヒー抽出機30に案内するシュート23が設けられている。
【0028】
コーヒー豆キャニスタ70は、上方に開口する容器により構成されており、当該上面開口は、施錠機構を備えた上蓋81によって開閉自在に閉塞される。そして、キャニスタ70は、下方に行くに従って先細り形状とされており、当該キャニスタ70の下端には、内部に収容されたコーヒー豆を排出するための排出口80が形成されている。この排出口80の下端は、ミル71の上面開口79に形成されたフランジ79Aと着脱自在に合致され、当該キャニスタ70は、着脱自在に本体6に取り付けられる。
【0029】
この排出口80の上方であって、コーヒー豆キャニスタ70の下部には、外方に延在するフランジ82が形成されている。このフランジ82の下面両側部には、前後に延在する垂下壁82A、82Aが形成されており、当該垂下壁82A、82Aには、フランジ82の下方から断面略コ字状の鋼板製の蓋部材保持部83が垂下壁82Aを挟んで取り付けられている。
【0030】
この蓋部材保持部83は、底部前側が切り欠かれた棚状の保持面83A、83Aが形成されており、対向する保持面83A、83A間に渡って蓋部材84が設けられている。
【0031】
この蓋部材84は、第1のシャッタ85と、第2のシャッタ86とから構成され、キャニスタ70の排出口80下端とミル71の上端との間に位置して上記蓋部材保持部83に前後方向に摺動自在に取り付けられて、当該排出口80を開閉自在に閉塞する。
【0032】
各シャッタ85、86は、それぞれ独立して水平方向に移動自在に蓋部材保持部83に設けられている。本実施例では、第1のシャッタ85は、排出口80の中央部を閉塞するものである。
【0033】
そして、第2のシャッタ86は、排出口80の中央部を挿通する回転軸76を回避しながら第1のシャッタ85の両側における排出口80を閉塞するものであり、本実施例では、第1のシャッタ85の両側部と第2のシャッタ86の回転軸76側縁部とは、一部重複して構成される。
【0034】
本実施例では、図9等に示されるように、第1のシャッタ85が第2のシャッタ86の上側に位置して重複して構成される。そして、第2のシャッタ86の前端部に上方に突出して設けられたビス88、88が上側に設けられた第1のシャッタ85の前後方向の長孔89内を前後方向に摺動自在とされる。
【0035】
尚、第1のシャッタ85の前端は、中央部のみが下側に折曲されたフランジ85Aが形成されており、第2のシャッタ86は前端が全幅に渡って下側に折曲されたフランジ86Aが形成されている。これにより、それぞれのシャッタ85、86は独立して水平方向に移動自在とされると共に、両シャッタ85、86を前方に引き出す場合には、下側に位置するシャッタ86のフランジ86Aを操作するのみで、その外方に当接されるシャッタ85のフランジ85Aも前方に引き出され、同時に両シャッタ85、86を前方に引出可能とされる。
【0036】
以上の構成により、コーヒー豆キャニスタ70内にコーヒー豆が収容された状態で本体6から取り外す場合には、当該キャニスタ70の排出口80を蓋部材84にて閉塞する。この際、キャニスタ70内には、本体6側に設けられたミル71の回転軸76の上部が排出口80の中央を通過して進入して構成されている。
【0037】
そのため、先ず、蓋部材84を構成する第1及び第2のシャッタ85、86を後方に摺動させる(図8の状態)。このとき、排出口80の中央部を閉塞する第1のシャッタ85は、当該排出口80の中央を通過する回転軸76に突き当たる。他方、第1のシャッタ85の両側における排出口80を閉塞する第2のシャッタ86は、回転軸76に突き当たらずに、シャッタ86に設けられたビス88が第1のシャッタ85に形成された長穴86内を移動して、そのまま回転軸76を回避しながら払出口80を通過するかたちで当該排出口80を閉塞する(図9の状態)。
【0038】
この状態で、コーヒー豆キャニスタ70を本体6(ミル71の上面開口のフランジ79A)から取り外して持ち上げて、回転軸76を蓋部材84の下側とした段階で第1のシャッタ85を後方にスライドさせて排出口80を全閉状態とする(図10の状態)。コーヒー豆キャニスタ70を持ち上げた状態では、排出口80の一部は開口された状態とされるが、排出口80の殆どは、各シャッタ85、86にて閉塞された状態(図9の状態)とされるため、所定の粒寸法を有するコーヒー豆がこぼれ落ち難くなる。
【0039】
このように、コーヒー豆キャニスタ70内に回転軸76上部が進入して取り付けられる場合であっても、支障なく排出口80を蓋部材84によって閉塞することができ、取り外された状態でコーヒー豆キャニスタ70のメンテナンス作業を行うことが可能となる。
【0040】
(2)コーヒー豆キャニスタ及び湯タンクの配置
次に、上記コーヒー豆キャニスタ70と湯タンク11の配置について図1乃至図3を参照して説明する。本実施例における本体6は、図1に示すように、その上面前部は、上記各コーヒー豆キャニスタ70、70及び粉原料貯蔵容器17が並設される上面低位部6Aとされ、当該低位部6Aの後方は、当該低位部よりも高い高位部6Bとされる。
【0041】
この本体6の後部に相当する高位部6B内には、上述した如き湯タンク11が配置されており、低位部6Aの後端と高位部6Bの前端との間に形成される高位部6Bの前面は、仕切壁24にて隠蔽されている。そして、この高位部6Bの上面は、湯タンク11の上方に対応して廃熱を排出するための排気孔25が形成されている。
【0042】
そして、この高位部6Bの前側に位置する本体6前部の低位部6A上には、コーヒー豆キャニスタ70、70及び粉原料貯蔵容器17が位置する。このとき、湯タンク11の上部が、仕切壁24を挟んでコーヒー豆キャニスタ70の後側となるように配置する。
【0043】
これにより、本体6内に配設される湯タンク11は、本体6上面(上面低位部6A)に取り付けられた状態のコーヒー豆キャニスタ70と仕切壁24を挟んで後側に位置するため、キャニスタ70と湯タンクが前後位置関係となることで、従来の如くコーヒー豆キャニスタの下側に湯タンクが配設された場合に比べ、装置全体の高さ寸法を縮小することができる。
【0044】
これにより、コーヒー豆キャニスタ70自体の取付高さ位置が低くすることができ、キャニスタの豆補充作業等を容易とすることができる。
【0045】
また、コーヒー豆キャニスタ70の取付位置よりも低い位置の本体6内に湯タンク11全てが配設される場合に比べて、湯タンク11からの廃熱がコーヒー豆キャニスタ70に伝わりにくくなり、当該キャニスタ70内に収容されるコーヒー豆の品質劣化等の不都合を抑制することができる。
【0046】
特に、本実施例では、湯タンク11とコーヒー豆キャニスタ70とは仕切壁24を隔てて配設されているため、湯タンク11からの熱がキャニスタ70に伝わりにくい構成とすることができる。尚、仕切壁24を断熱性を有する仕切部材にて構成することで、より熱伝導による不都合を解消することが可能となる。
【0047】
(3)コーヒー抽出機
次に、図11乃至図15を参照してコーヒー抽出機30の構成について説明する。図11はコーヒー抽出機30の斜視図、図12乃至図15はコーヒー抽出機30の動作説明図である。コーヒー抽出機30は、ミル装置72からシュート23を介して供給される挽き豆を湯に通すことにより抽出されるコーヒー液をフィルタでろ過するものである。
【0048】
このコーヒー抽出機30は、昇降装置32により移動可能に設けられるシリンダユニット31と、このシリンダユニット31の上方に設けられるキャップ35とを備える。シリンダユニット31は、上面が開口したシリンダ33と、このシリンダ33内に上下に移動可能に設けられた通水性のピストン34から成る。
【0049】
シリンダ33の底部側面には、上述した如き給湯配管16のコネクタ16Aが挿脱可能に接続される給湯口38を有しており、当該給湯口38はシリンダ33の底部上面に形成された連通溝33Aと連通して形成される。そして、ピストン34の上端部34Aは、Oリング40を介してシリンダ33内に略きっちりと摺動自在に設けられており、このピストン34の下端部34Bは、シリンダ33の下方に向けて延在する。シリンダ33の底部とピストン34の摺動面には、Oリング87が介設されている。
【0050】
また、この上端部34Aの上面から下面に渡って連通して溝34Cが形成されていると共に、当該上端部34A上面には、メッシュフィルタ42が設けられている。これにより、シリンダ33内に形成される抽出室41内とシリンダ33の底部に形成される給湯口38との間に、ピストン34の溝34C、シリンダ33の連通溝33Aから成り、給湯口38に至る通水経路が構成される。
【0051】
そして、かかる構成のシリンダユニット31は、昇降装置32に着脱可能に取り付けられる。この昇降装置32は、シリンダユニット31を着脱可能に保持する昇降部43と、当該昇降部43を昇降させる昇降軸44と、当該昇降軸44を回転駆動させる駆動手段としてのモータ36とから構成される。本実施例では、DCモータによりモータ36が構成される。また、図中37はモータ36からの駆動力を昇降軸44に伝達するプーリーである。更に、本実施例では、昇降軸44は、下端が基台45に支持され、上端は上保持部材46に支持される。当該上保持部材46には、モータ36及びプーリー37、更には、キャップ35が取り付けられる。
【0052】
昇降部43は、シリンダユニット31のシリンダ33を保持する保持孔43Aが形成されており、当該シリンダ33の上面開口33Bに形成された外向きのフランジ33Cが当該保持孔43A縁部に載置されて保持される。また、シリンダ33は、当該昇降部43の下縁に対応する位置の外周面には、略水平に保持溝33Dが形成されている。
【0053】
これにより、当該シリンダ33の保持溝33Dに略きっちりと嵌合可能とする図示しない切欠が形成された保持板47を昇降部43の下面に沿って挿入係合させ、ビス(固定部材)48にて当該保持板47を昇降部43に取り付ける。かかる構成とすることにより、当該ビス48にて固定される保持板47を着脱することにより、シリンダユニット31が昇降部43に着脱自在に固定される。
【0054】
そして、上保持部材46に固定されるキャップ35は、シリンダユニット31の上方に位置して設けられる円柱状の部材である。このキャップ35は、少なくとも一部、本実施例では、下端部がシリンダ33の内径と略きっちりの外径を有しており、Oリング49を介してシリンダ33の上面開口33Bから挿脱自在とされる。
【0055】
これにより、シリンダ33内にキャップ35が填め込まれた状態で、キャップ35の下面、シリンダ33の内壁、及び、ピストン34の上面に囲繞された空間内にコーヒー液の抽出室41が形成される。
【0056】
そして、このキャップ35の下面には、抽出室41内にて抽出されたコーヒー液の抽出口50が形成されており、当該抽出口50は、キャップ35の下面に設けられた図示しないメッシュフィルタにて囲繞されている。また、この抽出口50は、キャップ35内を上下に貫通して形成される図示しない抽出路と連通して形成されており、当該抽出路の上端部に設けられたコーヒー液取出部51には、上述した如きコーヒー液配管39が接続されている。このコーヒー液配管39には、抽出弁(電磁弁)52が介設されていると共に、その端部には、抽出ノズル2が接続される。
【0057】
これにより、モータ36が正転すると昇降軸44が回動して昇降部43が上昇して当該昇降部43に取り付けられるシリンダユニット31も上昇する。モータ36が逆転すると昇降軸44が回動して昇降部43が降下してシリンダユニット31も降下する。
【0058】
また、本実施例における昇降装置32には、上から順に上限位置検出センサ56、湯投入位置検出センサ57、コーヒー原料粉末投入位置検出センサ58、及び下限位置検出センサ59がそれぞれ所定の位置に設けられている。各位置検出センサは、一対の発光素子および受光素子からなる図示しない光学センサによって構成されており、昇降部43に形成された遮蔽板53による遮光によって位置検出を行う。
【0059】
尚、図中54は、昇降部43に設けられ、当該昇降部43が所定の高さ位置となると動作し、コーヒー滓を掃き払うワイパーであり、ワイパー機構55により動作する。
【0060】
ここで、図17は上記コーヒー抽出機30を含む飲料製造装置1の制御装置Cのブロック図を示す。制御手段としての制御装置Cは、汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、記憶手段としてのメモリ26と、時限手段としてのタイマ27が内蔵されている。
【0061】
制御装置Cの入力側には、流量計14、上限位置検出センサ56、湯投入位置検出センサ57、コーヒー原料粉末投入位置検出センサ58、下限位置検出センサ59、ドア8に設けられた各飲料選択ボタン9・・、詳細は後述するドア8の開閉検出手段としてのドアセンサ28やリモコン90等が接続されている。そして、出力側には、湯ポンプ12、給湯弁15、排水弁20、抽出弁52、昇降装置32の駆動手段を構成するモータ36、ミル装置72のミルモータ76M、詳細は後述する空気吸引制御手段を構成する電磁弁95又はピンチバルブ96等が接続されている。
【0062】
以上の構成により、コーヒー抽出機30におけるコーヒー液の抽出動作について説明する。前回の一連の飲料抽出動作の終了後は、制御装置Cは、コーヒー原料粉末投入位置検出センサ58の位置検出に基づき、シリンダユニット31が装着された昇降部43を当該コーヒー原料粉末投入位置とする。本実施例では、当該コーヒー原料粉末投入位置は、シリンダ33の上面開口33Bがキャップ35と離間し開放された状態とされ、且つ、ミル装置72に設けられるシュート23からのコーヒー原料粉末(挽き豆)の排出位置に対応する。当該位置を待機位置(原点位置)とする。また、この状態で、シリンダユニット31のピストン34は、シリンダ33の内底部に位置し、湯ポンプ12は停止、給湯弁15、排水弁20、抽出弁52のいずれも閉じた状態とする。
【0063】
(a)コーヒー原料粉末投入動作
シリンダユニット31が上記待機位置とされた状態(図12参照)で、上記飲料選択ボタン9が操作されると、ミル装置72のミルモータ76Mが所定時間回転駆動され、コーヒー豆キャニスタ70内に収容されたコーヒー豆は、順次排出口80からミル71のコーヒー豆通路73内に排出される。そして、かかるコーヒー豆は、回転駆動される固定刃74Aと回転刃74Bとの間で粉砕されて挽き豆とされ、順次挽き豆排出部77から計量器に排出されて所定量の挽き豆がシュート23より下方に配置されるシリンダ33内に投入される。
【0064】
(b)コーヒー液抽出動作
上記コーヒー原料粉末投入動作が終了した後、制御装置Cは、コーヒー液抽出動作を実行する。このコーヒー液抽出動作では、制御装置Cは、モータ36を正転させ、昇降装置32の昇降部43を上昇させる。これにより、昇降部43に取り付けられたシリンダユニット31が上昇していき、シリンダ33の上面開口33B内にキャップ35の下端が押し込まれていく。この抽出室41内に投入された挽き豆(コーヒー原料粉末)は、内底部に位置するピストン34と、キャップ35により挟まれて閉じこめられ、圧縮される。
【0065】
本実施例では、昇降部43の上昇によって、当該昇降部43が湯投入位置まで上昇すると、遮蔽板53が湯投入位置検出センサ57を遮蔽して当該位置を検出する(図13の状態)。これにより、制御装置Cは、湯ポンプ12を運転し、且つ、給湯弁15を開いて、湯タンク11から湯を給湯口38よりシリンダ33内に加圧供給する。この湯の供給量は、流量計14で検出し、所定量に達した時点で湯ポンプ12を停止し、給湯弁15を閉じる。このとき、制御装置Cは、抽出弁15を開放する。
【0066】
これにより、湯が抽出室41内を通過する過程で加圧されて、挽き豆からのコーヒー成分の溶出が促進され、更に湯が加圧供給されることで、挽き豆の組織内に湯が浸透し、濃いコーヒー液、即ちエスプレッソコーヒーが得られる。このコーヒー液は、キャップ35の下面に形成された抽出口50から当該キャップ35内を通過し、コーヒー液取出部51に接続され、抽出弁52が開放されたコーヒー液配管39を介して抽出ノズル2から排出される。カップ支持台7上に、抽出ノズル2の下方に対応してカップ等を載置することで、コーヒー液がカップ内に抽出される。
【0067】
(c)コーヒー滓廃棄動作
上記コーヒー液抽出動作の終了後、制御装置Cは、コーヒー滓廃棄動作に移行する。このコーヒー滓廃棄動作では、制御装置Cは、給湯弁15を閉じた状態を維持し、排水弁20も閉じた状態を維持する。そして、モータ36を逆転させ、昇降装置32の昇降部43を降下させる。
【0068】
昇降部43の降下動作によって、先ず、シリンダユニット31の最下端に位置するピストン34の下端(下端部34B)が所定の壁面、本実施例では、基台45上に当接し、更に、降下動作が継続されることで、押し当てられ、シリンダ33内でピストン34が上昇していく(図14の状態)。
【0069】
これにより、シリンダ33内に残留されたコーヒー滓は、ピストン34の上面に収集されながら上昇していく。そして、昇降部43が更に降下し、当該昇降部43が下限位置まで降下すると、遮蔽板53が下限位置検出センサ59を遮蔽して当該位置を検出する。これにより、制御装置Cは、モータ36の駆動を停止する。この状態で、ピストン34の上面に収集されたコーヒー滓は、シリンダ33外にまで押し上げられ、シリンダ33の上面開口縁部よりも上方に位置する。
【0070】
このとき、上述したようにシリンダ33内の抽出室41内と給湯口38を介して連通して構成される給湯配管16の給湯弁15及びこれと連通して構成される排水管19の排水弁20は閉じられている。そのため、かかる昇降部43の動作によって、シリンダ33内にてピストン34が上昇する際に、ピストン34の上端部34Aとシリンダ33の内底部との間は負圧となり、コーヒー滓中の水分をシリンダ33内の給湯口38側に円滑に吸引し、当該コーヒー滓と分離することができる。
【0071】
これにより、水分を多く含んだコーヒー滓を廃棄する場合に比して、著しくコーヒー滓の廃棄動作が容易となり、コーヒー滓がピストン34に付着して残ってしまうなどの不都合を解消することができる。
【0072】
そして、再度、制御装置Cは、モータ36を正転させて、昇降装置32の昇降部43を上昇させる。当該昇降部43の上昇動作によって、昇降部43が所定の高さ位置となると、上述した如きワイパー機構55が作動して、ワイパー54がシリンダ33の上端部よりも少許上方に位置して水平方向に摺動し、シリンダ33外にまで押し上げられたコーヒー滓が撤去される。尚、本実施例では、シリンダ33上端部から撤去されたコーヒー滓は、上述した如き滓受け部材21内に受容される。
【0073】
(d)ピストン位置戻し動作
そして、コーヒー滓が廃棄された後、制御装置Cは、引き続き昇降装置32の昇降部43を上昇させてピストン位置戻し動作に移行する。このピストン位置戻し動作では、制御装置Cは、遮蔽板53が上限位置検出センサ56を遮蔽して当該位置を検出するまで、モータ36を正転させる。ここで、本実施例におけるキャップ35は、シリンダ33が上限位置とされた状態で、ピストン34がシリンダ33の内底部に位置するような寸法に構成されている。
【0074】
そのため、シリンダ33内において最上部にまで押し上げられたピストン34は、昇降部43の上昇過程において、先ずキャップ35の下面に当接し、更に、昇降部43が上昇することでキャップ35の下面によりシリンダ33の内底部にまで押し下げられる。
【0075】
この過程において、制御装置Cは、排水弁20を開放する。これにより、上記コーヒー滓廃棄動作においてシリンダ33の内底部とピストン34の間の空間に吸引された水分は、当該ピストン位置戻し動作において、排水弁20を介して排水管19から円滑に外部に廃棄することができる。
【0076】
そして、上述の如くピストン34の位置をシリンダ33の内底部にまで押し下げた状態とした後、制御装置Cは、遮蔽板53がコーヒー原料粉末投入位置検出センサ58を遮蔽して当該位置を検出するまで、モータ36を逆転させて、待機位置とされるコーヒー原料粉末投入位置まで昇降部43を降下させる。
【0077】
これにより、コーヒー滓廃棄動作終了後に、更にシリンダユニット31を上昇させることで、シリンダ33内において上昇位置とされたピストン34をキャップ35によってシリンダ31の内底部にまで押し込み、原点位置である待機位置に戻すピストン位置戻し動作を実行することで、従来の如きピストン34のみを昇降させる駆動手段を不要とできる。また、コーヒー滓廃棄動作後にピストン34を降下させるためのバネ等を不要とすることができる。
【0078】
また、このようにピストン34の駆動装置や降下用のバネを不要とできる構成としたことにより、シリンダ33及びピストン34により構成されるシリンダユニット31の洗浄等のメンテナンスを行う場合には、シリンダユニット31を昇降部43から取り外す。本実施例では、シリンダユニット31は、保持板47を固定するビス48を取り外し、当該保持板47を前方に引き抜き、保持板47縁部をシリンダ33の外周面に形成された保持溝33Dとの嵌合を解除する。
【0079】
そして、給湯口38に取り付けられたコネクタ16Aを取り外し、この状態でシリンダユニット31を昇降部43から上方に引き抜くことにより、取り外すことができる。このように、シリンダユニット31を容易に昇降装置32から取り外すことが可能となり、メンテナンス性の改善を図ることができる。
【0080】
また、上記実施例に加えて、シリンダ33内には、後述する如きミルクフォーマー60を構成するボイラ(蒸気発生手段)97と連通する蒸気管98を設けてもよい。この蒸気管98には、制御装置Cにより開閉制御される蒸気弁99を介設する。
【0081】
そして、上述した如きコーヒー原料粉末投入動作を実行する前、すなわち、次回の飲料選択ボタン9が操作される前において、上記原点位置とされる待機位置とは別の所定の販売待機位置としてもよい。
【0082】
この場合、上記ピストン位置戻し動作の終了時に、制御装置Cは遮蔽板53が湯投入位置検出センサ57を遮蔽して当該位置を検出するまで駆動させる。当該湯投入位置では、シリンダユニット31のシリンダ33の上面開口33Bは、キャップ35の下面によって閉塞された状態とされている(図16参照)。
【0083】
この状態で、制御装置Cは、蒸気弁99を開放してボイラ97にて生成された蒸気を蒸気管98を介してキャップ35下面とピストン34の上面とにより閉塞されるシリンダ33内に供給する。
【0084】
これにより、次回飲料販売を行うまでの待機状態において、蒸気によりシリンダ33内を温めておくことができる。そのため、抽出性能の向上を図ることができる。
【0085】
尚、この場合において、蒸気弁99を開放している際に、抽出口38と抽出ノズル2とを連通して接続するコーヒー液配管39に介設された抽出弁52を開いておいてもよい。これにより、シリンダ33内のみならず、抽出ノズル2に至るコーヒー液配管39内をも蒸気によって温めておくことが可能となる。そのため、温かいコーヒー液を抽出ノズル2から供給することができる。
【0086】
また、上記実施例では、昇降装置32を構成する駆動手段としてDCモータ36を採用しているが、ステッピングモータにて構成してもよい。この場合、上記コーヒー液抽出動作及びピストン位置戻し動作において、制御装置Cは、昇降装置32を上昇させる際、上昇に必要なステップ数以上の動作信号をステッピングモータに与える。そして、コーヒー滓廃棄動作において昇降装置32を降下させる際、降下に必要なステップ数以上の動作信号をステッピングモータに与える。
【0087】
これにより、それぞれ限界位置まで昇降装置32が上昇若しくは降下した状態でステッピングモータのロータは動けなくなるため、その後は脱調した状態で動作信号分のステップが終了することとなる。従って、例えばシリンダ33に供給された飲料原料の量が異なることで圧縮する際の停止位置が違っても、上限位置検出センサ56や下限位置検出センサ58を不要とすることができる。
【0088】
そのため、一連の動作の原点、例えばコーヒー原料粉末投入位置(待機位置)を検出するセンサや湯投入位置検出センサのみで上述した如き各動作を実行することが可能となる。そのため、検出手段の数を削減でき、コストの低廉化を実現できる。
【0089】
(4)ミルクフォーマー
次に、図18及び図19を参照してミルクフォーマー60の構成について説明する。図18はミルクフォーマー60の概略構成図、図19はミルカー及び各部品の側面図である。本実施例のミルクフォーマー60は、前記湯タンク11から湯を取り出す湯供給配管61と、図示しない電磁ポンプと、蒸気発生手段としての上記ボイラ97と、ミルカー62等を備えている。
【0090】
ボイラ97の後段側の湯供給配管61には、ミルカー62が接続されている。また、ボイラ97は、電気ヒータを内蔵しており、湯タンク11から湯供給配管61及び電磁ポンプを介して供給された湯を例えば約+170℃に加熱して蒸気を生成し、この蒸気をミルカー62へ供給するものである。
【0091】
前記ミルカー62は、図19に示すように略円筒状の本体63により構成されており、この本体63の側面には、中心よりも左右どちらか一方に変位すると共に、当該本体63の内部に突出した吐出部64が一体に形成され、本体63の底面には、本体63内にて生成されたミルクフォーム又は供給されたホットミルクを排出する前記ミルクノズル3が一体に形成される。
【0092】
吐出部64は、左右に開口した略円筒状を呈しており、本体63に接続される側とは反対側の端部には、ボイラ97の下流側に位置する湯供給配管61の端部が蒸気ノズル65を介して接続される。この蒸気ノズル65は、内部に左右に連通した蒸気通路が形成され、一端には蒸気を吐出部64に吐出する小穴が形成されると共に、側面には、吐出部64の内壁及び湯供給配管61との接続を密着するためのOリング66が設けられている。
【0093】
吐出部64の下面には、吐出部64内部に連通したミルク吸引ノズル67が形成されていると共に、吐出部64の上面には、ミルク吸引ノズル67と対向する箇所に、同じく吐出部64内部に連通した空気吸引ノズル68が形成されている。
【0094】
ミルク吸込ノズル68には、一端がミルク保冷庫69に収納されるミルクパック93内に挿入されるミルク吸引チューブ94(ミルク吸引経路)が接続される。空気吸引ノズル68には、空気吸引チューブ100(空気吸引経路)が接続されると共に、この空気吸引チューブ100の他端には、空気吸引制御手段を構成する電磁弁95が設けられている。
【0095】
この電磁弁95は、一端が大気開放にて構成されており、当該電磁弁95の弁開度によってミルカー62の空気吸引ノズル68からの空気の流入量が制御される。尚、当該電磁弁95は、上述した如き制御装置Cに接続されており、当該制御装置Cによって、弁開度が制御される。
【0096】
尚、図中101は、ミルカー62の本体63の上面開口を閉塞するミルカーキャップである。
【0097】
以上の構成により、ミルクフォーマー60は、ボイラ97で生成した蒸気をミルカー62に吐出することで旋回流を起こし、ミルク吸引チューブ94からミルク保冷庫69にて保冷されたミルクパック93よりミルクを吸引し、これに電磁弁95にて流入量が調整された空気が空気吸引ノズル68を介して供給される。これにより、ミルカー62の本体63内において、蒸気とミルク及び空気を混合して泡立てられ、ミルクノズル3からミルクフォームが吐出される。
【0098】
ここで、本実施例では、上記飲料選択ボタン9にて選択された飲料がミルクフォームの比率が多いカプチーノである場合には、制御装置Cは、電磁弁95の弁開度を所定の空気流量を確保可能とする第1の開度とする。これにより、ミルカー62内には蒸気の流入により生成された旋回流によって比較的多くの空気が本体63内に流入され、ミルクに対する空気の混合比率の高いミルクフォームをミルクノズル3から排出することができる。
【0099】
他方、選択された飲料が空気の混合比率の小さいミルクフォームが含まれるラテである場合には、制御装置Cは、電磁弁95の弁開度を第1の開度よりも小さい第2の開度とする。これにより、ミルカー62内には蒸気の流入により生成された旋回流によって空気吸引ノズル68から空気が吸引されるものの、電磁弁95の開度によってその流入量が制限される。これにより、ミルクに対する空気の混合比率が小さいミルクフォームをミルクノズル3から排出することができる。
【0100】
また、選択された飲料がミルクフォームではなくホットミルクが含まれるカフェオレである場合には、制御装置Cは、電磁弁95を閉塞する。これにより、ミルカー62内には空気吸引ノズル68から空気が吸引されないため、蒸気が混合されたのみのミルク、すなわちホットミルクがミルクノズル3から排出される。
【0101】
このように、本実施例では、提供する飲料の種類に応じて電磁弁95の弁開度を制御することにより、簡素な構成にてミルクに混合される空気の量を制御し、選択的に多種類の飲料向けのミルクを供給することができる。
【0102】
特に、本実施例では、ミルカー62の空気吸引ノズル68からの空気の流入量を制御する空気吸引制御手段は、電磁弁にて構成されていることにより、空気吸引量を容易に制御することが可能となる。
【0103】
また、当該空気吸引制御手段は、上記電磁弁95に限定されるものではなく、図20に示すように、空気吸引ノズル68に接続される空気吸引チューブ100を可撓性のチューブ、例えば、シリコン樹脂チューブ等の弾性材料によって形成されるチューブにて構成し、当該チューブに設けられたピンチバルブ96を採用してもよい。
【0104】
これにより、空気吸引チューブ100に設けられた弁装置などの内部にミルクが侵入してしまう不都合を回避できる。そのため、残留したミルクの腐敗発生を効果的に回避でき、メンテナンス作業が容易となり、安全な食品の提供を図ることができる。
【0105】
また、上記各実施例では、制御装置Cは、ボイラ97からの蒸気吐出が終了するよりも所定時間前に電磁弁95又はピンチバルブ96を全閉状態とし、空気吸引ノズル68からの空気の流入を阻止する。
【0106】
これにより、ミルカー62からのミルクフォームの排出終了間際に、ホットミルクのみを排出する構成とすることができる。そのため、空気量の多いミルクフォームが排出終了間際に排出されることで、ミルクフォームが大きな泡状となってノズルに付着し、当該泡が壊れる際に弾けることで、周囲を汚染してしまう不都合を効果的に解消することができる。
【0107】
(5)リモコン
次に、図21及び図22を参照して上記ドア8について詳述する。本体6の前面に回動自在に設けられるドア8は、図1に示すように前面上部に複数の飲料選択ボタン9・・・が設けられている。そして、この飲料選択ボタン9の上方に位置して窓部10が形成されている。この窓部10は、ドア8に貫通して形成される孔若しくは、透視可能な部材(透明板)にて構成されている。また、このドア8には、本体6側から前方に突出して構成される上記抽出ノズル2やミルクノズル3、飲料ノズル4を挿通するノズル出口部102が設けられている。
【0108】
一方、このドア8の裏面8Aには、取付部材103によりリモコン90が着脱自在に取り付けられている。このリモコン90は図22に示すように、前面に複数の操作スイッチ92と表示部91が設けられている。この操作スイッチ92は、当該装置1の各種設定を行うために用いられるスイッチである。また、表示部91は、7セグメントLED若しくは、液晶により構成されており、メンテナンス情報の表示や飲料販売に関する情報を表示可能とする。この表示内容については、リモコン90に設けられる切替スイッチ104を操作する度に交互に切り換えて表示される。本実施例におけるリモコン90は、ドア8に繋がる配線により接続されており、当該配線を介して本体6内部に設けられる制御装置Cに接続される。
【0109】
当該リモコン90は、ドア8の裏面8Aに取り付けられた状態で、表示部91がドア8の窓部10に対応している。そのため、リモコン90がドア8に取り付けられた状態では、ドア8前方より窓部10を介してリモコン90の表示部91が視認可能とされている。
【0110】
以上の構成により、リモコン90がドア8の裏面8Aに取り付けられ、ドア8が閉じられた状態では、窓部10を介して表示部91には飲料販売に関する情報、例えば、飲料の売切情報、湯温情報、その他の商品に関する情報などがドア8前方より視認可能とされる。
【0111】
そして、本体6内のメンテナンス作業を行う際には、ドア8を開放し、裏面8Aに取り付けられたリモコン90を取り外して、切替スイッチ104を操作する。これにより、このリモコン90の表示部91には、メンテナンス情報が表示される。
【0112】
これにより、メンテナンス時にはメンテナンス情報が表示されるリモコン90の表示部91を飲料販売時における表示部と兼用することができる。そのため、簡素な構成にて、飲料販売時における表示と、メンテナンス作業時における表示とを同一の表示部91にて実現でき、部品点数の削減を図ることができる。これにより、コストの低廉化を図ることができる。
【0113】
また、本実施例では、リモコン90は、操作スイッチ(切替スイッチ104)の操作により、表示部91にメンテナンス情報を表示するか、飲料販売に関する情報を表示するかを切り替えることにより、任意に表示部91における表示を変更できる。利便性の向上を図ることができる。
【0114】
尚、当該表示部91における表示内容の切換は、切替スイッチ104の操作により行っているが、これに限定されるものではなく、例えば、ドア8の開閉を検出するドアセンサ28を設けて、当該ドアセンサ28がドア8が閉じていることを検出している場合、制御装置Cは、リモコン90の表示部91に飲料販売に関する情報を表示し、ドア8が開いていることを検出している場合、表示部91にメンテナンス情報を表示することとしても良い。
【0115】
これにより、格別にスイッチの操作を行うことなく、リモコン90が取り付けられるドア8の開閉状態を検知して、ドア8が開放されているときには、メンテナンス情報を、ドア8が閉じているときには、飲料販売に関する情報を表示することができ、利便性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0116】
C 制御装置(制御手段)
1 飲料製造装置
2 抽出ノズル
3 ミルクノズル
4 飲料ノズル
5 ノズルユニット
6 本体
6A 上面低位部
8 ドア
8A 裏面
9 飲料選択ボタン
10 窓部
11 湯タンク
12 湯ポンプ(ギヤポンプ)
15 給湯弁
16 給湯配管
19 排水管
20 排水弁(電磁弁)
21 滓受け部材
23 シュート
24 仕切壁
28 ドアセンサ(ドアの開閉検出手段)
30 コーヒー抽出機
31 シリンダユニット
33 シリンダ
33B 上面開口
33C フランジ
34 ピストン
34A 上端部
34B 下端部
35 キャップ
36 モータ(駆動手段)
37 プーリー
38 給湯口
39 コーヒー液配管
41 抽出室
43 昇降部
50 抽出口
52 抽出弁(電磁弁)
54 ワイパー
56 上限位置検出センサ
57 湯投入位置検出センサ
58 コーヒー原料粉末投入位置検出センサ
59 下限位置検出センサ
60 ミルクフォーマー
61 湯供給配管
62 ミルカー
63 本体
64 吐出部
65 蒸気ノズル
67 ミルク吸引ノズル
68 空気吸引ノズル
69 ミルク保冷庫
70 コーヒー豆キャニスタ
71 ミル
72 ミル装置
73 コーヒー豆通路
74 粉砕刃
76 回転軸
76M ミルモータ
77 挽き豆排出部
78 コーヒー豆送り用スプリング
79 上面開口
80 排出口
81 上蓋
82 フランジ
83 蓋部材保持部
84 蓋部材
85 第1のシャッタ
86 第2のシャッタ
90 リモコン
91 表示部
92 操作スイッチ
95 電磁弁(空気吸引制御手段)
96 ピンチバルブ(空気吸引制御手段)
97 ボイラ(蒸気発生手段)
98 蒸気管
99 蒸気弁
100 空気吸引チューブ(空気吸引経路)
104 切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー原料粉末に湯を供給してコーヒー液を抽出する飲料製造装置において、
本体内に設けられ、前記湯を貯留する湯タンクと、
コーヒー豆を収容して本体上部に着脱自在に取り付けられるコーヒー豆キャニスタと、
前記本体内に設けられ、前記コーヒー豆キャニスタ内のコーヒー豆を挽くミルとを備え、
前記湯タンクを前記本体内の後部に配置すると共に、該湯タンクの上部は前記本体に取り付けられた状態の前記コーヒー豆キャニスタ後側に位置することを特徴とする飲料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−167397(P2011−167397A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34926(P2010−34926)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】