説明

飲食物の搬送案内具

【課題】簡単な構成でありながら、多数の座席番号を大きく表示することが出来て、座席の顧客に注文の品が届いた旨を確実に知らせることが出来る飲食物の搬送案内具を提供する。
【解決手段】店内の各座席に飲食物を搬送するための循環搬送路が備えられた飲食物の搬送案内具であって、外筒6と、外筒に対し相対回転可能に配置される中筒7と、この中筒7に対し相対回転可能に配置される内筒8とが備えられ、外筒6には、窓61が開設されるとともに、外筒6に対する中筒7の回転操作により、上下開口の一つが窓61と対向する位置に来るように選択的に切り替え可能と成す一方、内筒8には、複数の座席の番号が、前記複数個の各開口と対応する位置に上下二段で周方向に付されて、中筒7に対する内筒8の回転操作により、複数の座席の番号の一つが前記窓と対向する位置に来た開口の一つから表示されるように成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿司店などにおいて、例えば皿に盛り合わせた寿司を搬送路に載せて循環搬送させ、飲食客が各自好みの寿司を自由にとって飲食出来るようにした飲食物搬送装置に用いる飲食物の搬送案内具に関する。
【背景技術】
【0002】
寿司店等において、店内に多数配置されるテーブルやカウンターに沿って循環する循環搬送路を備えた搬送装置を設置し、従業員が寿司などの飲食物を盛った皿を、厨房室から前記循環搬送路に随時供給する一方、各座席の客が、循環搬送路により店内に順次送られてくる各種の飲食物を選んで前記循環搬送路から取り上げて自由に飲食できるようにした飲食店を見受ける。
【0003】
ところで、以上の搬送装置においては、各飲食客の好みに関係なく、従業員が飲食物を盛った皿を前記搬送路に随時供給するようにしているが、それとは別に、飲食客から特別に注文の依頼が出る場合もある。
【0004】
この場合、依頼した飲食客は、注文の品が厨房室から循環搬送路により搬送されてくるのを気にしなくてはならず、時として、注文の品が搬送されて来ても搬送されてきたことに気づかず通過してしまって、注文品が搬送路を再度循環して来るのを待たなければならないし、また、注文した飲食客のもとに到着する前に他人が誤ってその品を取り去る場合もある。
【0005】
そのため従来では、例えば各座席番号に対応する番号札を予め用意しておき、注文の飲食物を盛った皿にその都度、番号札を手作業で取り付けて、搬送路に送り込む方法が取られているが、以上の方法では、番号札の管理等が煩雑となり、作業員の負担が増大するという問題がある。
【0006】
そこで、本出願人は、以上の不具合を解消するために、食物搬送装置の循環搬送路上に搭載して用いる飲食物の搬送案内具として、外周面に複数の座席番号を周方向に表示した基体と、この基体に対して回転可能に設けられた回転筒とを備え、基体に対する回転筒の回転により、この回転筒に形成された表示窓に前記座席番号の一つが表示されるように構成したものを提案した。(特許文献1参照)
しかながら、前記搬送案内具では、基体の外周に表示する座席番号の数が多くなると、個々の座席番号の表示が必然的に小さくなるので、表示されている番号が見難くなる。
【0007】
従って、座席数が多い店舗では、前記した特許文献に記載の構造の搬送案内具を利用し難いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−166854号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の実情に鑑みて開発したものであって、目的とするところは、簡単な構成でありながら、多数の座席番号を大きく表示することが出来て、座席の顧客に注文の品が届いた旨を確実に知らせることが出来る飲食物の搬送案内具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、店内の各座席に飲食物を搬送するための循環搬送路が備えられた飲食物搬送装置の前記循環搬送路上に搭載して用いる飲食物の搬送案内具であって、外筒と、この外筒内に嵌合して、この外筒に対し相対回転可能に配置される中筒と、この中筒内に嵌合して、この中筒に対し相対回転可能に配置される内筒とが備えられ、前記外筒には、窓が開設されるとともに、前記中筒には、前記窓内に対向可能な上下複数個の開口がそれぞれ互いに周方向に変位した位置に開設されて、前記外筒に対する前記中筒の回転操作により、前記上下複数個の開口の一つが前記窓と対向する位置に来るように選択的に切り替え可能と成す一方、前記内筒には、複数の座席の番号が、前記複数個の各開口と対応する位置に上下複数段で周方向に付されて、中筒に対する内筒の回転操作により、前記複数の座席の番号の一つが前記窓と対向する位置に来た前記開口の一つから表示されるように成していることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の飲食物の搬送案内具において、前記外筒には、周方向に延びるガイド孔が開設され、前記中筒には、その先端側が前記ガイド孔を介して前記外筒の外周面よりも外方に突出する操作摘みが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、外筒に対する中筒の回転操作と中筒に対する内筒の回転操作により、内筒の外周面に複数段に付された席番の所望の一つを窓を介して表示させることが可能であるので、従来よりも多数の座席番号を大きく表示することが出来て、座席の顧客に注文の品が届いた旨を確実に知らせることが出来る。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、外筒の外周面外方に突出する前記操作摘みの操作により中筒を外筒に対して回転させることが出来るので、中筒の回転操作が行ない易い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる搬送案内具の一実施形態を示す斜視図。
【図2】同、表示を切り替えた状態の斜視図。
【図3】同、搬送案内具を分解して示す斜視図。
【図4】同、搬送案内具を構成する内筒の筒体部分を展開して示す説明図。
【図5】同、搬送案内具の要部の横断面図。
【図6】同、搬送案内具の要部の横断面図。
【図7】別の実施形態の搬送案内具を分解して示す斜視図。
【図8】飲食物搬送装置が設けられた店舗内の概略平面図。
【図9】飲食物搬送装置の要部の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
まず、図1及び図2は、本発明にかかる飲食物の搬送案内具の一実施形態を示す斜視図、
図3は、搬送案内具の分解斜視図、図4は、搬送案内具を構成する内筒の筒体部分を展開して示す説明図、図5及び図6は、搬送案内具の要部の横断面図である。
【0017】
図8は、客室1Aに設置する複数の脚付きテーブル2a及びカウンターテーブル2bと、厨房室1Bの前面乃至各テーブル2a・2bに沿って配置した仕切ハウジング3と、この仕切ハウジング3上に周回状に設けられて、前記厨房室1B内で、皿Pに盛り合わされた寿司等の飲食物を各テーブル2a・2bに循環搬送するための循環搬送路40を設けた飲食物搬送装置4を有する寿司店舗内を平面的に表したものである。
【0018】
仕切ハウジング3は、図9にも示すように、所定間隔を開けて相対向する側壁31と、これら両側壁31の上端及び下端を結ぶ上壁32及び底壁(図示せず)とから断面ボックス状に形成されている。
【0019】
また、前記仕切ハウジング3は、前記厨房室1Bの前面に沿って配設されて厨房室1Bと客室1Aとを区画する第1ハウジング部3aと、この第1ハウジング部3aの長手方向両端から屈曲して前記客室1A内に平行に延びる第2,第3ハウジング部3b,3cとから成り、前記第2,第3ハウジング部3b,3cにおける側壁31の外側方には、前記した脚付きテーブル2aとカウンターテーブル2bとを配置すると共に、各テーブル2a・2bに椅子21を配置しており、座席番号が各テーブル2a・2bに付けられている。
【0020】
循環搬送路40は、図9に示すように、前記各ハウジング部3a,3b,3cの上壁32に設けた凹所41と、この凹所41の幅方向両側に設けられた案内壁に案内されながら前記凹所41内をモータ駆動により循環移動する無端状のフラットチェーン42とから構成されており、図9に示すように、前記循環搬送路40のフラットチェーン42上に、飲食物を載せた皿Pを直接載せて、この皿Pを循環搬送するようにしている。
【0021】
尚、実施形態では、14席の座席数の店舗として説明する。
【0022】
本発明にかかる飲食物の搬送案内具5は、前記した循環搬送路40のフラットチェーン43上に搭載して、顧客から特別に注文のあった種類の鮨等の飲食物の搬送を案内するためのものであって、次にこの搬送案内具5を説明する。
【0023】
図に示す搬送案内具5は、循環搬送路40のフラットチェーン42上に搭載可能であって、円筒状の外筒6と、この外筒6内に嵌合して、外筒6に対して相対回転可能に配置される円筒状の中筒7と、この中筒7内に嵌合して、この中筒7に対して相対回転可能に配置される円筒状の内筒8とが備えられている。
【0024】
外筒6には、図3にも示すように、その中央部よりも上方側に縦長とした矩形の窓61が開設されるとともに、この外筒6の下部には、周方向に延びるガイド孔62が開設されている。
【0025】
この外筒6の外周面には、図3にも示すように、窓61に隣接して「番」及び「注文品」の文字が印刷されている。
【0026】
中筒7には、図3にも示すように、前記した窓61内の上部に対向可能な矩形の上部開口71が開設されると共に、この上部開口71よりも下方で且つ周方向に変位した位置には、外筒7に対する中筒7の回転により窓61内の下部に対向可能となる矩形の下部開口72が開設されている。
【0027】
また中筒7の外周面下部には、操作摘み73が組み付けられている。
【0028】
この操作摘み73は、中筒7を外筒6内にはめ込んだ後、ガイド孔62を介して中筒6に組み付けて、その先端部を外筒6の外周面よりも外方に突出させるようにしている。
【0029】
そして、この操作摘み73を介して前記中筒7を外筒6に対して正転方向または逆転方向に所定角度回転させることにより、図1に示すように、上部開口71が窓61内の上部に対向する位置と、図2に示すように、下部開口72が窓61内の下部に対向する位置とに選択的に切り替えられるようにしている。
【0030】
内筒8は、前記中筒7内に嵌合可能な円筒状の筒体81と、この筒体81の上端開口を閉鎖する閉鎖板部82とが備えられている。
【0031】
そして座席の番号Nが、筒体81の外周面における前記上部開口71に対応する位置と前記下部開口72に対応する位置の上下二段で印刷されている。
【0032】
具体的には、図4にも示すように、上段には「1」から「7」の座席番号Nが周方向に等間隔で印刷され、下段には「8」から「14」の座席番号Nが同じく周方向に等間隔で印刷されている。
【0033】
また閉鎖板部82の外周には、内筒8の外周よりも径方向外方に突出するフランジ83が一体形成されるとともに、このフランジ部83の外周面には、操作摘み84が径方向外方に突設されている。
【0034】
尚、前記した窓61や上下開口71・72に透明の保護板を組み込んでもよい。
【0035】
次に以上の構成から成る飲食物の搬送案内具5の使用例を説明する。
【0036】
例えば「3」番の座席の飲食客から特別の注文があったときは、厨房室1Bにおいて、先ず操作摘み73を介して中筒7を外筒6に対して正転方向(図1において矢印X方向)に角回転させて、上部開口71を外筒6の窓61内の上部と連通するように対向させる。
【0037】
続いて操作摘み84を介して内筒8を中筒7に対して適宜回転させて、窓61内に対向している上部開口71に「3」の席番を表示させる。
【0038】
しかる後、循環搬送路40のフラットチェーン43上にこの搬送案内具5を載せると共に、この搬送案内具5に続いて特別注文の寿司が盛られた皿Pを載せて、これら搬送案内具5とともに特別注文の寿司が盛られた皿Pを客室1Aの各座席に沿って搬送するのである。
【0039】
一方、例えば「12」番の座席の飲食客から特別の注文があったときは、厨房室1Bにおいて、図1に示す状態から操作摘み73を介して中筒7を外筒6に対して逆転方向(図1において矢印Y方向)に角回転させて、下部開口72を外筒6の窓61内の下部と連通するように対向させる。
【0040】
続いて操作摘み84を介して内筒8を中筒7に対して適宜回転させて、窓61内に対向している下部開口72に「12」の席番を表示させる。
【0041】
しかる後、循環搬送路40のフラットチェーン43上にこの搬送案内具5を載せると共に、この搬送案内具5に続いて特別注文の寿司が盛られた皿Pを載せて、これら搬送案内具5とともに特別注文の寿司が盛られた皿Pを客室1Aの各座席に沿って搬送するのである。
【0042】
斯くして、飲食客は、搬送案内具5の窓に表示されている席番号を確認することで、搬送案内具5の後方に置かれた飲食物が自分の注文した品か否かを知ることが出来、他の飲食客に誤って取れられるのを抑制することが出来る。
【0043】
以上の搬送案内具5では、座席番号Nが二段に印刷されているので、複数の座席番号Nを一段で印刷する場合に比較して各席番号Nを大きく表示することが出来、従って、座席の顧客に注文の品が届いた旨を確実に知らせることが可能となる。
【0044】
以上の実施形態では、中筒7に上部開口71と下部開口72が設けられる一方、座席番号Nが内筒8を構成する筒体81の外周面における前記上部開口71に対応する位置と前記下部開口72に対応する位置の上下二段に印刷したが、これに限定されるものではなく、例えば座席数が更に多い店舗で用いるために、図7に示すように、中筒7には、上部開口71と下部開口72に加え、中間部開口74を設ける一方、座席番号Nが内筒8を構成する筒体81の外周面における前記上部開口71に対応する位置と前記中間部開口74に対応する位置と前記下部開口72に対応する位置の上中下三段に印刷してもよい。
【0045】
また以上の実施形態では、フラットチェーン43上に、搬送案内具5とこの搬送案内具5に続いて特別注文の寿司が盛られた皿Pとを順次載せるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内筒8の閉鎖板部82上に特別注文の飲食物が盛られた皿Pを載せるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
4 飲食物搬送装置
40 循環搬送路
42 フラットチェーン
5 搬送案内具
6 外筒
61 窓
62 ガイド孔
7 中筒
71 上部開口(開口)
72 下部開口(開口)
73 操作摘み
8 内筒
84 操作摘み
P 皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店内の各座席に飲食物を搬送するための循環搬送路が備えられた飲食物搬送装置の前記循環搬送路上に搭載して用いる飲食物の搬送案内具であって、外筒と、この外筒内に嵌合して、この外筒に対し相対回転可能に配置される中筒と、この中筒内に嵌合して、この中筒に対し相対回転可能に配置される内筒とが備えられ、前記外筒には、窓が開設されるとともに、前記中筒には、前記窓内に対向可能な上下複数個の開口がそれぞれ互いに周方向に変位した位置に開設されて、前記外筒に対する前記中筒の回転操作により、前記上下複数個の開口の一つが前記窓と対向する位置に来るように選択的に切り替え可能と成す一方、前記内筒には、複数の座席の番号が、前記複数個の各開口と対応する位置に上下複数段で周方向に付されて、中筒に対する内筒の回転操作により、前記複数の座席の番号の一つが前記窓と対向する位置に来た前記開口の一つから表示されるように成していることを特徴とする飲食物の搬送案内具。
【請求項2】
前記外筒には、周方向に延びるガイド孔が開設され、前記中筒には、その先端側が前記ガイド孔を介して前記外筒の外周面よりも外方に突出する操作摘みが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の飲食物の搬送案内具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−264097(P2010−264097A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118522(P2009−118522)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(396011174)株式会社くらコーポレーション (17)
【Fターム(参考)】