説明

飼料の製造方法

【課題】梅加工廃液を利用した飼料を比較的低コストで製造することが可能な飼料の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る飼料の製造方法は、飼料に配合する塩分量を削減し、その削減した塩分を梅加工廃液に含まれる塩分で補完する。このため、飼料の塩分量は配合設計時の設定量と同等で、脱塩処理を施していない梅加工廃液を用いても飼料の塩分濃度が増加することはない。また、梅加工廃液には特殊な処理は施されないため、梅加工廃液の添加された飼料を低コストで製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物用の飼料の製造方法に関し、特に梅の加工食品を生産するときの副産物である梅加工廃液を含有する飼料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農産物として生産される梅の多くは、梅干し、若しくは梅干しを加工した食品として市場に供給され消費される。そして、梅を梅干しとして加工する際には、その副産物として梅の漬け汁である梅酢が梅加工廃液として大量に産出される。これら、梅加工廃液の一部は調味料等にも用いられるが、その多くは産業廃棄物として処分されてきた。しかし、昨今の環境に対する問題意識の高まりと、梅加工廃液の処分コストの増加などから、近年これら梅加工廃液を廃棄せずに有効利用する方法が検討されている。
【0003】
ところで、梅加工廃液である梅酢はクエン酸を含む有機酸、アミノ酸、ミネラル等を豊富に含み、殺菌力、食欲増進、整腸作用が期待できるものである。このため、梅加工廃液を家畜用飼料の添加物として使用すれば畜産業者としても大きなメリットを得ることができる。しかしながら、梅加工廃液は上記の有効成分に加え過剰な塩分を含有しているという問題点があり、特に鶏は塩分を多量に摂取すると下痢症状を引き起こしてかえって健康を害するため、単純に梅加工廃液を飼料に添加することはできない。
【0004】
この問題に対して、下記[特許文献1]に開示されている発明では、梅加工廃液に脱塩処理を施し、塩分濃度を低下させて養鶏用の飼料に添加している。
【0005】
【特許文献1】特開2005−73651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、[特許文献1]で行われる脱塩処理に要するコストは極めて高いものであり、いかに梅加工廃液の有効利用といえども容認できるものではない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、梅加工廃液を利用した飼料を比較的低コストで製造することが可能な飼料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の飼料原料を所定の割合で配合することによって作製される飼料の食塩の配合量を所定量の90%〜0%に削減するとともに、
前記削減した食塩の配合量に相当する塩分を未脱塩処理の梅加工廃液の滴下もしくは噴霧によって補完することを特徴とする飼料の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
また、未脱塩処理の梅加工廃液を吸着材に吸着させ、さらに、
複数の飼料原料を所定の割合で配合することによって作製される飼料の食塩の配合量を所定量の90%〜0%に削減するとともに、
前記削減した食塩の配合量に相当する塩分を梅加工廃液の吸着した吸着材の混合によって補完することを特徴とする飼料の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る飼料の製造方法は、上記の構成により、
優れた有効成分を有する梅加工廃液を脱塩処理を施さずに添加して、従来と同等な塩分濃度の飼料を比較的低コストで製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る飼料の製造方法の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る飼料の製造方法の工程の概略を示すフローチャートである。図2、図3は、本発明に係る飼料の製造方法によって製造された飼料の効果を説明する図である。尚、以下の説明においては、便宜的に飼料原料には全く塩分が含まれていないものとして説明を行うが、実際の飼料原料は若干の塩分を含有するため、その塩分を考慮に入れた上で食塩及び梅加工廃液の添加量を設定しなければならない。
【0011】
図1(a)は、本発明に係る飼料の製造方法の第1形態の概略工程を示すフローチャートである。本発明に係る第1形態の飼料の製造方法は、調製工程10と、配合工程12と、液原添加工程14とを有している。
【0012】
先ず、調製工程10の前段階として、配合設計により作製する飼料の栄養価、脂質、塩分等が所望の値となるように、用いる飼料原料、添加物等の種類及びそれぞれの配合比を決定する。
【0013】
飼料原料としては、トウモロコシ、グレインソルガム、マイロ、小麦、大麦、ライ麦、エン麦、小麦粉、玄米、精白米、アワ、ヒエ、大豆、ソラマメ、エンドウ、ルーピン、カンショ、キャッサバ、大豆粕、綿実粕、ナタネ粕、ラッカセイ粕、アマニ粕、ゴマ粕、ヤシ粕、ヒマワリ粕、サフラワー粕、パーム核粕、カポック粕、米ヌカ、脱脂米ヌカ、フスマ、コーングルテンフィールド、コーングルテンミール、小麦グルテン、デンプン粕、ビール粕、酒粕、麦芽根、豆腐粕、ミカンジュース粕、リンゴジュース粕、パイナップルジュース粕、ホミニーフィード、コーンジャームミール、ポテトプロテイン、糖蜜、醤油粕、魚粉、米胚芽、小麦胚芽、コンニャク飛粉、フィッシュソリュブル吸着飼料、サナギ粕、乾燥サナギ、全脂粉乳、脱脂粉乳、乾燥ホエー、カニ殻ミール、エビ殻ミール、オキアミミール、飼料用酵母、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、アルファルファーミール、ニセアカシアリーフミール、キャッサバリーフミール、菓子屑、パン屑、カゼイン、ゼラチン、チキンミール、血粉、フェザーミール、植物性油脂、動物性油脂、デキストリン、砂糖、ブドウ糖、果糖、スクリーニングペレット、大豆皮、コーンコブミール、クロレラ、食品副産物等の周知の飼料原料を用いることができる。また、添加物としては粉末状の、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の周知の飼料用添加物を用いることができる。
【0014】
次に、調製工程10において各飼料原料等の前処理を行う。前処理の例としては、飼料原料の粒径が所望の値よりも大きい場合の粉砕処理などがあげられる。尚、飼料原料に前処理が不要の場合には、調製工程10は必ずしも行う必要はない。
【0015】
次に、配合工程12において、配合設計により選択された複数の飼料原料及び添加物を、同じく配合設計により設定された配合比で、配合タンクに投入し十分に撹拌する。このとき、食塩の配合量を配合設計により得られた所定量の90%〜0%に削減して配合する。
【0016】
次に、液原添加工程14において、配合工程12で配合された飼料に、脱塩処理の施されていない梅加工廃液をスプレーによる噴霧、もしくは滴下によって均等に添加する。またその後、必要であれば油脂、有機酸等の液状の添加物を同様に添加する。尚、液原添加工程14で添加される梅加工廃液は、予めフィルタ等を通過させて不要な夾雑物を除去しておくことが好ましい。
【0017】
液原添加工程14における梅加工廃液の添加量は、添加する梅加工廃液の総塩分量が、配合工程12において削減した食塩の配合量とほぼ等しい量としなければならない。例えば、配合設計時に食塩の配合量が0.36%と設定されたものを0%に削減して飼料を配合し、これを塩分濃度14%の梅加工廃液で補完する場合、梅加工廃液の添加量は削減された食塩の配合量0.36%に相当する塩分を含有する量、即ち2.57%となる。
【0018】
以上の手順により、梅加工廃液が添加された飼料が製造される。前述のようにこの飼料の塩分量は、配合時に削減された食塩の塩分量を梅加工廃液に含まれる塩分により補完しているため、脱塩処理を施さない梅加工廃液を添加しても飼料の塩分濃度が過剰なものとはならない。そして、飼料に梅加工廃液が添加されることにより、この飼料を与えた動物に対して梅加工廃液中の有効成分による様々な改善効果をもたらすことができる。
【0019】
また、脱塩処理を施されていない梅加工廃液は食塩よりも材料コストが安く、更に液原添加工程14で用いられるスプレー等の液原添加用設備は液状添加物と兼用可能であるため新規設備を導入する必要がない。従って、極めて低コストで梅加工廃液の添加された飼料を作製することができる。
【0020】
図1(b)は、本発明に係る飼料の製造方法の第2形態の概略工程を示す工程フローチャートである。本発明に係る第2形態の飼料の製造方法は、吸着工程16と、調製工程10と、配合工程12とを有している。
【0021】
本発明に係る第2形態の飼料の製造方法では、先ず吸着工程16において脱塩処理を施されていない梅加工廃液を吸着材に吸着させる。尚、吸着させる梅加工廃液は、第1形態同様、予めフィルタ等を通過させて不要な夾雑物を除去しておくことが好ましい。吸着材としては多量の梅加工廃液を吸着可能で、動物が食しても害が無く安価な無水珪酸を用いることが好ましい。無水珪酸以外の吸着材の例としては、微粉化された、トウモロコシ、グレインソルガム、小麦、大麦、ライ麦、エン麦、小麦粉、玄米、精白米、アワ、ヒエ、大豆、ソラマメ、エンドウ、ルーピン、カンショ、キャッサバ、大豆粕、綿実粕、ナタネ粕、ラッカセイ粕、アマニ粕、ゴマ粕、ヤシ粕、ヒマワリ粕、サフラワー粕、パーム核粕、カポック粕、米ヌカ、脱脂米ヌカ、フスマ、コーングルテンフィールド、コーングルテンミール、小麦グルテン、デンプン粕、ビール粕、酒粕、麦芽根、豆腐粕、ミカンジュース粕、リンゴジュース粕、パイナップルジュース粕、米胚芽、小麦胚芽、コンニャク飛粉、魚粉、フィッシュソリュブル吸着飼料、サナギ粕、乾燥サナギ、全脂粉乳、脱脂粉乳、乾燥ホエー、カニ殻ミール、エビ殻ミール、オキアミミール、飼料用酵母、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、アルファルファーミール、ニセアカシアリーフミール、キャッサバリーフミール、菓子屑、パン屑、等の飼料原料があげられる。また、微粉状の炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の添加物を吸着材として用いても良い。特に、飼料原料粉に梅加工廃液を吸着させて用いる場合は、飼料原料が吸着材を兼ねるため吸着材に対する材料コストの削減を図ることができる。また、複数の吸着材を混合もしくは併用して、吸着材に対する材料コストを抑制しても良い。
【0022】
次に、配合設計を行って、配合する飼料原料、添加物等の種類及び配合比を設定する。このとき、食塩の配合量を目標とする量の90%〜0%に削減するとともに、その削減した塩分(食塩)量を補完するだけの梅加工廃液を含む吸着材の分量を求める。尚、吸着材が飼料原料粉もしくは添加物である場合には、吸着材として用いた飼料原料粉及び添加物の栄養価等も考慮に入れて配合設計を行わなければならない。
【0023】
次に、調製工程10において各飼料原料の前処理等を行う。このとき、予備配合として梅加工廃液の吸着した吸着材と任意の飼料原料とを混ぜ合わせても良い。この予備配合を行うことで、たとえ吸着材が少量の場合であっても、飼料に吸着材を均一に混合することができる。予備配合に用いる飼料原料には特に限定はないが、飼料の構成比率が高く、かつ粉末状のものが好ましい。
【0024】
次に、配合工程12において、配合設計により選択された複数の飼料原料及び添加物を配合設計により設定された配合比で配合タンクに投入し十分に撹拌する。尚、調製工程10で予備配合を行わない場合には、ここで梅加工廃液の吸着した吸着材を上記飼料に混合する。
【0025】
最後に、必要であれば液原添加工程14で、油脂、有機酸等の液状の添加物を添加する。
【0026】
以上の手順により、梅加工廃液が吸着材を介して添加された飼料が製造される。この飼料の塩分量は、配合時に削減された食塩と同量の塩分を吸着材に吸着された梅加工廃液により補完しているため、第1形態と同様、飼料の塩分濃度が過剰なものとはならない。また、第1形態と同様、この飼料を与えた動物に対して梅加工廃液中の有効成分による様々な改善効果をもたらすことができる。
【0027】
更に、第2形態の飼料の製造方法では、梅加工廃液の添加を吸着材を用いて行うため、スプレーなどの液原添加用設備が必要ない。よって、液原添加用設備を保有していない小規模な飼料の製造工程においても、梅加工廃液を含有した飼料を製造することができる。
【0028】
尚、梅加工廃液の塩分濃度は梅の加工内容によって異なり、概ね6%、14%、20%前後のものが多い。よって、上記のいずれの実施の形態においても、梅加工廃液の添加量等は用いる梅加工廃液の塩分濃度によってその都度変化することとなる。また、複数の塩分濃度の梅加工廃液を混合して所定の塩分濃度になるよう予め梅加工廃液を調製しておけば、効率の良い梅加工廃液の添加が可能となる。
【実施例1】
【0029】
配合工程12において、食塩を除く所定の飼料原料及び添加物を配合設計で設定された比率で配合し、トウモロコシ、油粕、米糠、を主成分とするマッシュ状の飼料を作製した。
【0030】
次に、液原添加工程14において、配合された飼料に塩分濃度14%の梅加工廃液をスプレーにより均一に噴霧した。尚、このときの梅加工廃液の添加量は、配合設計時に設定された食塩の配合量0.36%(重量比)とほぼ同等の塩分を有する2.6%(重量比)とした。これにより、飼料の配合塩分を食塩から梅加工廃液に100%代換えした飼料を作製した。
【0031】
(比較例1)
配合工程12において、食塩を0.36%(重量比)配合し、かつ液原添加工程14において梅加工廃液の添加を行わない以外は実施例1と同様にしてマッシュ状の飼料を作製した。
【0032】
これら実施例1及び比較例1による梅加工廃液の添加、無添加飼料をコッブ種及びチャンキー種の肉用鶏に36〜49日齢までの14日間与え、その飼料摂取量と鶏の体重とから飼料要求率を算出した。その結果を図2に示す。尚、飼料要求率とは、(試験期間中の飼料摂取量÷試験終了時の体重)で表され、数値が低いほど与えた飼料が鶏の発育に寄与していることを示している。
【0033】
図2より、斜線で示す梅加工廃液の添加飼料を与えられた鶏の飼料要求率は、図2中の黒塗で示す梅加工廃液の無添加飼料を与えられた鶏の飼料要求率に比べ、5%〜11%程度の数値の減少が認められた。この飼料要求率の減少は、梅加工廃液中に含まれるクエン酸によってクエン酸回路が活性化され鶏体内のエネルギー生産が向上したことによるものと考えられる。
【実施例2】
【0034】
吸着工程16において、塩分濃度14%の梅加工廃液を吸着材としての無水珪酸に重量比で65%吸着させた。次に、配合工程12において、所定の飼料原料を実施例1と同様の比率で配合しマッシュ状の飼料を作製した。このとき、塩分の配合量が0.36%となるように食塩と梅加工廃液の吸着した吸着材とを混合した。尚、食塩と吸着材との配合比は、塩分の換算で 食塩:吸着材=50:50、75:25、87.5:12.5とした。つまり、梅加工廃液の吸着材を介した添加量は、それぞれ1.30%(食塩50%代換え)、0.65%(食塩25%代換え)、0.33%(食塩12.5%代換え)となる。これにより、飼料の配合塩分を食塩から梅加工廃液に一部代換えした飼料を作製した。
【0035】
これら梅加工廃液の添加飼料と梅加工廃液の無添加飼料(比較例1)とを肉用鶏に36〜49日齢までの14日間与え、その飼料要求率を算出した。また、梅加工廃液の無添加飼料が与えられた肉用鶏と、梅加工廃液の0.33%添加飼料が与えられた肉用鶏の筋肉中のヘム色素量を測定し、両者を比較した。更に、これらの肉用鶏を食肉加工し、その経時による肉汁の損失割合を比較した。これらの結果を図3(a)、図3(b)、図3(c)に示す。
【0036】
図3(a)より、梅加工廃液の添加飼料を与えられた肉用鶏の飼料要求量は無添加のものに比べ、梅加工廃液を1.30%添加したもので約5%、梅加工廃液を0.65%添加したもので約4%、梅加工廃液を0.33%添加したものでも約2%〜3%の数値の減少が認められた。
【0037】
また、図3(b)より、梅加工廃液の無添加飼料で育成した肉用鶏の筋肉中のヘム色素量(図3(b)中の黒塗で示す)は38mgであるのに対し、梅加工廃液を0.33%添加した飼料で育成したもののヘム色素量(図3(b)中の斜線で示す)は約45.3mgであり、梅加工廃液の添加によるヘム色素量の増加が認められた。これは、梅加工廃液中に含まれるクエン酸のキレート効果によってミネラル類、特に赤色の発色性に関与するFe(鉄)の吸収量が向上したためと考えられる。
【0038】
また、図3(c)より、梅加工廃液を0.33%添加した飼料で育成したものの肉汁の損失割合(図3(c)中の○で示す)は、無添加のものの肉汁の損失割合(図3(c)中の●で示す)よりも低く、肉の保水性が高いことがわかる。これは、梅加工廃液中のクエン酸により、屠殺等のストレス時に発生する乳酸等の疲労物質の増加が抑制され、筋繊維構造の安定化と肉のpH低下の防止がなされたためと考えられる。
【0039】
これらのことにより、梅加工廃液を吸着材を介して飼料に添加しても、直接添加したものと同等の効果が得られることがわかる。
【0040】
上記の結果から、梅加工廃液を飼料に添加することにより、この飼料を与えられた肉用鶏には、飼料要求率の低下、筋肉中のヘム色素の増加、食肉加工後の保水性の向上などの優れた改善効果が認められた。尚、前述のように飼料要求率の低下は、少ない飼料量で従来と同等の発育を維持することが可能であることを意味しており、よって飼料量の低減によるコスト削減が可能となる。また、食肉の発色の鮮やかさに関与するヘム色素の増加や保水性の向上は、肉用鶏の商品価値を高めることに繋がる。
【0041】
以上のことから、本発明に係る飼料の製造方法は、飼料に配合する塩分量を削減し、その削減した塩分を梅加工廃液に含まれる塩分で補完する。このため、飼料の塩分量は配合設計時の設定量と同等で、脱塩処理を施していない梅加工廃液を用いても飼料の塩分濃度が増加することはない。また、梅加工廃液には脱塩処理はもとよりコスト増に繋がる特殊な処理は施されないため、梅加工廃液の添加された飼料を低コストで製造することができる。
【0042】
更に、本発明に係る飼料の製造方法によって作製された飼料により育成された動物には、梅加工廃液中の有効成分による様々な効果がもたらされる。特にこの飼料により育成された家畜は、飼料要求量が低下し飼料に掛かるコストの削減を図ることができる他、食肉加工された際の発色性や保水性が向上し食肉としての商品価値を高めることができる。
【0043】
尚、本例においては肉用鶏の飼料を例にして説明を行ったが、本発明は特に肉用鶏の飼料の製造方法に限定されるものではなく、産卵鶏、肉用豚、肉用牛、乳牛、馬、山羊、羊等の家畜用の飼料、養殖魚用の飼料、犬、猫、ウサギ、カメ、観賞用鳥、コイ、観賞魚等のペット用の飼料、動物園など飼育動物用の飼料などの製造方法にも適用することが可能である。また、本例においてはマッシュ状の飼料の製造方法に関して説明を行ったが、特にこれに限定されるものではなく、本発明に係る飼料の製造方法に微粉化工程及びペレット成形工程等を適宜設けて、ペレット状の飼料の製造方法に適用することも可能である。更に、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る飼料の製造方法の工程の概略を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る飼料の製造方法によって製造された飼料の効果を説明する図である。
【図3】本発明に係る飼料の製造方法によって製造された飼料の効果を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
10 調製工程
12 配合工程
14 液原添加工程
16 吸着工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の飼料原料を所定の割合で配合することによって作製される飼料の食塩の配合量を所定量の90%〜0%に削減するとともに、
前記削減した食塩の配合量に相当する塩分を未脱塩処理の梅加工廃液の滴下もしくは噴霧によって補完することを特徴とする飼料の製造方法。
【請求項2】
未脱塩処理の梅加工廃液を吸着材に吸着させ、さらに、
複数の飼料原料を所定の割合で配合することによって作製される飼料の食塩の配合量を所定量の90%〜0%に削減するとともに、
前記削減した食塩の配合量に相当する塩分を梅加工廃液の吸着した吸着材の混合によって補完することを特徴とする飼料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−237192(P2008−237192A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86614(P2007−86614)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【出願人】(503193568)JA東日本くみあい飼料株式会社 (2)
【Fターム(参考)】