説明

飼料及び飼料の製造方法

【課題】動物性タンパク質を豊富に含んだ栄養価の高い飼料を製造するとともに、食品残渣物を飼料の原料として有効に利用することで食品残渣物の処理に要する費用を低減し、しかも、燃焼装置を用いる必要がなく、食品残渣物の処理によって発生する二酸化炭素の排出量を低減させること。
【解決手段】本発明では、飼料の製造方法において、地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物を埋蔵し、熟成した後に掘り出して飼料の原料とすることにした。また、本発明では、飼料として、地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物を埋蔵し、熟成した後に掘り出した埋蔵物を原料として製造することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料及び飼料の製造方法に関するものであり、特に、魚類・鳥類・哺乳類を原料とする飼料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、魚類・鳥類・哺乳類などの動物性タンパク質を含有する動物は、栄養源として大量に捕獲や養殖などされ食用に供されているが、その一方で、余剰分が残渣物として廃棄されている。
【0003】
この廃棄された食品残渣物は、一部が有効利用されているものの、大部分が焼却炉で焼却処分されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−28672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の食品残渣物の焼却処分では、焼却によって大量の二酸化炭素が排出されており、地球温暖化といった社会問題ともなっていた。
【0006】
また、上記従来の食品残渣物の焼却処分では、焼却に大量の燃料を使用するばかりでなく、焼却炉のメンテナンスに多大な労力や費用を要しており、食品残渣物の処理コストを増大させていた。
【0007】
そこで、本発明者は、食品残渣物の処理について鋭意研究を重ね、食品残渣物を飼料として有効利用することで処理に要する費用を低減するとともに、二酸化炭素の排出量を低減させることができる方法を見出し、本発明を成すに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、請求項1に係る本発明では、飼料の製造方法において、地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物を埋蔵し、熟成した後に掘り出して飼料の原料とすることにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、飼料において、地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物を埋蔵し、熟成した後に掘り出した埋蔵物を原料として製造することにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物を埋蔵し、熟成した後に掘り出して飼料の原料としているために、動物性タンパク質を豊富に含んだ栄養価の高い飼料を製造することができるとともに、食品残渣物を飼料の原料として有効に利用することで食品残渣物の処理に要する費用を低減することができ、しかも、燃焼装置を用いる必要がなく、食品残渣物の処理によって発生する二酸化炭素の排出量を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る飼料及びその製造方法の具体的な構成について説明する。
【0013】
本発明では、地面を掘って処理量に応じた容積の掘削溝を形成する。掘削溝の内側面は土を露出させたままの状態とする。
【0014】
そして、この掘削溝の内部に、処理する動物を生のまま投入する。動物としては、食品として提供するために捕獲や養殖などされた魚類や鳥類や哺乳類の余剰分が用いられ、加工途中で排出される残渣物であってもよい。また、単一の魚類や鳥類や哺乳類だけを投入してもよく、複数種類の魚類や鳥類や哺乳類を投入してもよく、さらには、こられの魚類や鳥類や哺乳類を混合させて投入してもよい。
【0015】
その後、処理する動物を投入した掘削溝の開口部分を土で被覆する。このときに、所定量の土を所定厚さ(たとえば、2m。)となるよう押圧して外気との遮断を行う。
【0016】
その後、所定期間(たとえば、10〜20年間。)放置する。これにより、地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物を埋蔵したことになる。
【0017】
この埋蔵によって、地中の貯蔵空間の内部で投入物が土中の微生物や菌類によって分解されて熟成される。
【0018】
そして、熟成後に地中の貯蔵空間から埋蔵物を掘り出し、掘り出した埋蔵物を原料として飼料を製造する。埋蔵物はそのまま飼料としてもよく、粉砕し他の栄養素と混合して飼料としてもよく、熱処理や液化処理して飼料としてもよい。
【0019】
このように、本発明では、地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物を埋蔵し、熟成した後に掘り出して飼料の原料としている。
【0020】
この原料(埋蔵物)には、動物性タンパク質が豊富に含まれているために、これを用いて飼料を製造することで動物性タンパク質を豊富に含んだ栄養価の高い飼料を製造することができる。
【0021】
また、食品残渣物を飼料の原料として有効に利用することになるために、食品残渣物の処理に要する費用を低減することができる。
【0022】
しかも、本発明では燃焼装置を用いる必要がないために、食品残渣物の処理によって発生する二酸化炭素の排出量を低減させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物を埋蔵し、熟成した後に掘り出して飼料の原料とすることを特徴とする飼料の製造方法。
【請求項2】
地中に形成した貯蔵空間に魚類・鳥類・哺乳類のいずれか一種又はこれらの混合物を埋蔵し、熟成した後に掘り出した埋蔵物を原料として製造したことを特徴とする飼料。

【公開番号】特開2011−239689(P2011−239689A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112029(P2010−112029)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(391051197)
【Fターム(参考)】