説明

飼料搬送装置

【課題】飼料搬送装置において、ディスクケーブルの弛みの発生をなくし、その弛みを原因とするトラブルの発生を確実に防止する。
【解決手段】パイプラインPに、その1つの引張コーナー部12aを引っ張ってエンドレスのディスクケーブルDの弛みを取るケーブル弛み除去装置Rを組み付ける。ケーブル弛み除去装置は、ウエイト50の重量に応じて、パイプ組立体25の伸長方向Yへ引張コーナー部12aを後方から吊りワイヤー41で引っ張って駆動歯車16ごとパイプ組立体の固定パイプ21に対し移動し、駆動歯車に巻装したディスクケーブルに常にテンションを付与して弛みをとる構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドレスに配管したパイプライン内の飼料搬送路に、多数の飼料搬送用ディスクを中心にケーブルを貫通させて等間隔に組み付けたディスクケーブルを、エンドレスに張り渡して配設し、このディスクケーブルを駆動させて肥育牛・養豚・養鶏用などの飼料を給餌器側へと搬送する飼料搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の飼料搬送装置は、図6に示すように、多数の給餌器1の設置レイアウトに応じて、幾つかコーナー部2aを設けてエンドレスに形成したパイプライン2内に、ディスクケーブル3を無端状に繋いで内蔵し、パイプライン2の飼料搬送路途中に1つ、ディスクケーブル3の駆動部4を設置した1駆動部方式が一般的であった。この1駆動部方式では、ディスクケーブル3は、パイプライン2のコーナー部2aでコーナー送り用プーリに巻き掛けると共に、図中一部拡大して内部構造を示すように、ケーブル駆動部4内で駆動歯車5と従動ホイール6間に掛け渡し、駆動時に、ケーブル駆動部4に備えた駆動モータで駆動歯車5を駆動回転させることにより、パイプライン2内の飼料搬送路を通して回送するようになっている。
【0003】
ケーブル駆動部4において、駆動歯車5は、そのリム外周に歯5aを有するギヤホイールで、駆動モータの駆動軸に直結して軸支し、歯5aに複数のディスク3aを噛み合わせた状態でディスクケーブル3を巻き掛ける一方、従動ホイール6は、回転自在に軸支し、リム6aの外周面上にディスク3aを立てた係止状態でディスクケーブル3を巻き掛けている。そして、従動ホイール6を、ガイドレール部材7でパイプライン2の長さ方向に移動可能に保持する一方、テンション付与機構8でケーブル移動方向Xと逆向きにばね付勢してディスクケーブル3に常時テンションを付与している。こうしてパイプライン2内にディスクケーブル3をエンドレスに張り渡し、駆動時は、ディスクケーブル3を、パイプライン2内の飼料搬送路に沿って、一応は、弛みなく引っ張りながら移動させる構造になっている。
【0004】
しかし、1駆動部方式の飼料搬送装置では、ケーブル駆動部4の箱形ケース4a内で飛散する飼料の粉塵が湿気でテンション付与機構8の滑車8a等に凝着し、これが原因でテンション付与機構8が作動不能となり、その結果、ディスクケーブル3が、駆動歯車5の外周から、その接線方向下流側へ繰り出される繰り出し始め位置Pで弛みを生じてしまう。そうすると、ディスクケーブル3は、弛んだ部分が駆動歯車5の歯5aに絡み付き、駆動歯車5の回転に従って、図7に示すように外周の歯部に巻き込まれてディスク3aが歯溝に食い込み、その結果、場合によってはケーブル断線の事態を招き、結局、飼料搬送不能という重大な事態に陥るという問題があった。
【0005】
そこで、従来の飼料搬送装置の中には、図8に示すように、パイプライン2の各コーナー部2aの近くにあって、ケーブル移動方向X上流側の直管部にケーブル駆動部4を付設し、コーナー部2aの手前で各ケーブル駆動部4を作動してディスクケーブルを移動させる複数駆動部方式の構造にしたものがある(特許文献1参照)。この従来の飼料搬送装置では、図9(A)に示すように、駆動歯車5の歯5aを、上方からディスクケーブル3のディスク3aに噛み合わせ、駆動モータmで駆動歯車5を駆動回転させると、ディスクケーブル3が押し出されるように移動し、しかも、図8に示すように、コーナー部2aを円弧形の曲管で形成し、ギヤホイールを用いずに、曲管で直接にディスクケーブル3を案内してコーナー送りする構造にしている。すなわち、パイプライン2内では、ディスクケーブル3をギヤホイールの外周に巻き掛けて送る機構部分がないため、ディスクケーブル3がパイプライン2内で弛む余地が少ない構造になっている。
【特許文献1】特開平8−143125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来、上述した複数駆動部方式の飼料搬送装置では、駆動歯車5を駆動回転させてディスクケーブル3を移動させるとき、図9(B)に示すように、各ディスク3aを駆動歯車5の歯5aで強く押圧しながら、ディスクケーブル3を押し出す送り機構になっているため、ディスクケーブル3は、駆動歯車5の押圧力によってディスク3aが直管部2bの内壁面の底面部位2cに強く衝突したり、底面部位2cを擦りながら削るように走行し、その結果、これが繰り返されると、経時、底面部位2cに亀裂や穴が開いて、これら空隙から飼料が漏出してしまう搬送トラブルが発生するという問題点があった。また、コーナー部2aでは、ギヤホイールを用いず曲管で直接にディスクケーブル3をコーナー送りする構造であるため、ディスクケーブル3は、ディスク3aが曲管の内壁面を強く擦りながら送られて過大な負荷を受ける結果、その摩擦抵抗がケーブル走行の妨げになって飼料搬送路をスムーズに移動できず、これらが原因で、従来、ディスクケーブル3によっては、飼料搬送路内に飼料を取り残さず、効率よく安定して搬送することができないという重大な問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、飼料搬送装置において、従来の以上のような問題点を考慮して創作されたもので、ディスクケーブルの弛みの発生をなくし、その弛みを原因とするトラブルの発生を確実に防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、たとえば以下に図1〜図5を用いて説明する実施の形態に示すとおり、給餌器Cの設置レイアウトに応じて設けた複数のコーナー部12a〜12fと複数のパイプを接合して形成した直管部14a〜14jとを接続してエンドレスに構築したパイプラインp内に、多数の飼料搬送用ディスク17をその中心にケーブルを貫通させて等間隔に組み付けたディスクケーブルDを、エンドレスに繋いで挿設すると共に、前記各コーナー部を、そこに駆動軸20で駆動歯車16を軸支して回転駆動する駆動モータmを備えたケーブル駆動装置15を付設して形成する一方、該ケーブル駆動装置15の前記駆動歯車16に前記ディスクケーブルDのディスク17を噛み合わせて巻装し、該ディスクケーブルDを、各駆動モータmで分担してコーナー駆動し、前記パイプラインp内の飼料搬送路に沿って移動させながら、飼料を搬送するようにした飼料搬送装置Aであって、前記パイプラインpに、その1つの引張コーナー部12aを引っ張って前記ディスクケーブルDの弛みを取るケーブル弛み除去装置Rを組み付け、このケーブル弛み除去装置Rは、前記引張コーナー部12aに対するケーブル移動方向X下流側の直管部14aに基端管部21aを接合する固定パイプ21と、該固定パイプ21の先端管部21bに対し先端パイプ部22bを係合させて長さ方向にスライド自在に連結して前記固定パイプ21とで長さが伸縮自在のパイプ組立体25を形成する一方、基端パイプ部22aを前記引張コーナー部12aに一体的に接合する可動パイプ22と、該可動パイプ22の上方でそれと平行に懸架して固定したハンガーレール31と、上端部に枢支したローラ35を前記ハンガーレール31に転動自在に係合させる一方、下端部を前記引張コーナー部12aに掛け止めて、該引張コーナー部12aを前記固定パイプ21に対し前記パイプ組立体25の長さ方向に移動可能に吊持する吊り金具32と、前記引張コーナー部12aに対して前記パイプ組立体25が伸長する方向Yの延長線上において枢支した円周に溝付きの滑車のような回転ガイド部材45と、前記引張コーナー部12aに上端を連結しワイヤー途中を前記回転ガイド部材45に掛け回して吊り下げた吊りワイヤー41の下端に連結して垂下するウエイト50とを備え、該ウエイト50の重量に応じて、前記引張コーナー部12aを、前記パイプ組立体25の伸長方向Yに向けて前記吊りワイヤー41で引っ張って前記駆動歯車16ごと前記固定パイプ21に対し移動して常時前記ディスクケーブルDにテンションを付与してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、各コーナー部で駆動歯車を駆動回転してディスクケーブルをパイプライン内に沿って移動するとき、ウエイトの重量をかけて、1つの引張コーナー部を駆動歯車ごとケーブル移動方向とは反対のパイプ組立体の伸長方向へ引っ張り、すると、駆動歯車に巻装したディスクケーブルは、エンドレスにパイプライン内で挿設されているため、ケーブル全体が引っ張られ、弛みなくパイプライン内で常に張り渡された状態を保つことができる。こうしてディスクケーブルに弛みを発生させない結果、従来のごとくディスクケーブルの弛み部分が駆動歯車の歯に絡み付いて巻き込まれ、ケーブル断線の事態を招いて飼料搬送不能など、ディスクケーブルの弛みが原因とする重大なトラブルが発生する弊害を確実になくすことができる。
【0010】
また、ウエイトの重量をかけて、重い駆動モータごと引張コーナー部をパイプ組立体の伸長方向へ引っ張って移動させるとき、その僅かな移動距離でも、その間は、引張コーナー部を吊持したハンガーレールに係合した吊り金具のローラが転動し、これにより、移動時の摩擦抵抗が極力少なくなり、それだけ余計に引張抵抗を受けることなく引張コーナー部をスムーズに引っ張ってディスクケーブルの弛みを除去することができる。その結果、飼料搬送装置では、引張対象の引張コーナー部に付設の駆動モータも構造上重量物ではあるが、余計に引張抵抗を受けることなく引張コーナー部を引っ張って移動できるため、その分、引張コーナー部に重量をかけて引っ張るウエイトの小型軽量化を図ることができる。
【0011】
更に、稼動時、各コーナー部にて、個別にケーブル駆動装置の駆動モータを作動して各々の駆動歯車を駆動回転し、同じディスクケーブルを、各コーナー部の駆動モータで分担して飼料搬送路を通して移動させる駆動負荷分担方式であるため、ディスクケーブルがほとんど負荷抵抗なく飼料搬送路を走行し、その結果、個々に大型な駆動モータを用いなくても、また、飼料搬送路の長さにも関係なく、ディスクケーブルで搬送する飼料の搬送速度や搬送量を、1駆動部方式に比べて倍増させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1〜図5は、本発明に係る飼料搬送装置を実施するための最良の形態を示す。図5は、本発明に係る飼料搬送装置の1例を備えた飼料供給システムの全体構成を示す。飼料供給システムは、たとえば養豚用の飼料供給システムとして豚舎内に構築されるもので、飼料搬送装置Aと、その飼料搬送装置Aへ飼料タンク10から飼料を飼料ホッパ11を通して送り込む飼料補給装置Bと、送り込まれた飼料を飼料搬送装置Aで搬送する先の複数の給餌器Cとで構成されている。
【0014】
飼料搬送装置Aは、給餌器Cの設置レイアウトに応じて複数のコーナー部12a〜12fを設けてパイプラインpを構築し、パイプラインpの配管を介して飼料補給装置Bと各給餌器C間を連結している。各給餌器Cとは、垂設したドロップパイプ13を介してパイプラインpと連通させている。
【0015】
パイプラインpは、コーナー部12a〜12fと、それぞれ複数の直管状パイプを接合して形成した直管部14a〜14jを接続し、内部にエンドレスの飼料搬送路を形成し、中空パイプ内に飼料搬送用のディスクケーブルDを無端状に繋いで挿設している。飼料搬送装置Aは、このパイプラインpのコーナー部12a〜12fに、それぞれケーブル駆動装置15を設置し、各ケーブル駆動装置15別に、図2に示すように、駆動歯車16の歯gにディスクケーブルDのディスク17を噛み合わせて巻装し、ディスクケーブルDを複数の駆動モータmで分担して駆動するコーナー駆動方式であることが特徴になっている。
【0016】
ディスクケーブルDは、例えばインサート樹脂成形法により、所定径サイズの多数のディスク17を形成すると共に、各ディスク17の中心に鋼製ワイヤーのケーブル部18を貫通させて等間隔に組み付けて成形し、ジョイント金具で繋いでエンドレスに結線してなる。なお、ディスクケーブルDとしては、勿論、ケーブル部18が、たとえば市販のチェーンで形成されたものを用いることもできる。
【0017】
図示例の各ケーブル駆動装置15は、図1および図2に示すように、コーナーカバー19の底面板部に駆動モータmを外付けし、コーナーカバー19内で駆動モータmの駆動軸20に駆動歯車16を直結して軸支し、駆動歯車16の歯gにディスクケーブルDのディスク17を噛み合わせて巻き掛け、ディスクケーブルDを、各コーナー部12a〜12fの駆動モータmで分担して駆動回転する構成になっている。
【0018】
そして、飼料供給システム(図5参照)では、給餌時に飼料搬送装置Aを稼動し、飼料タンク10に収容した飼料を、飼料ホッパ11で補給量を調整しながら、パイプラインp内へ送り込む一方、各コーナー部12a〜12fにて、個別にケーブル駆動装置15の駆動モータmを作動して各々の駆動歯車16を駆動回転し、ディスクケーブルDをパイプラインp内の飼料搬送路に沿って移動させる。そうすると、飼料は、ディスクケーブルDのディスク17により飼料搬送路を通ってケーブル移動方向Xへ搬送され、各給餌器Cの真上に達したとき、順次ドロップパイプ13を通して落下して給餌器Cへと供給されるようになっている。
【0019】
このように飼料搬送装置Aでは、稼動時、同じディスクケーブルDを、各ーナー部12a〜12fの駆動モータmで分担してパイプラインp内を通して移動させる。故に、このように駆動負荷分担方式とする飼料搬送装置Aでは、ディスクケーブルDがほとんど負荷抵抗なくパイプラインp内を走行し、その結果、個々に大型な駆動モータを用いなくても、また、パイプラインpの長さにも関係なく、ディスクケーブルDで搬送する飼料の搬送速度や搬送量を、1駆動部方式に比べて倍増させることができる。
【0020】
さて、飼料搬送装置Aは、上記コーナー部12a〜12fの中で、1つのコーナー部12aを引張コーナー部とし、パイプラインp上に、この引張コーナー部12aを引っ張ってディスクケーブルDの弛みを取るケーブル弛み除去装置Rを、組み付けた構成であることが特徴になっている。ケーブル弛み除去装置Rは、図1に示すように、パイプ組立体25と、パイプハンガー手段30と、パイプ引張手段40を備えて構築されている。
【0021】
パイプ組立体25は、共に金属製丸パイプ材からなる、アウターの固定パイプ21と、インナーの可動パイプ22とで構成されてなる。固定パイプ21は、基端部21aをより細径に成形して直管部14aと略同径につくり、図3(A)に示すように先端管部21b寄りの外周上部側を切り欠いて開放し、後述するように可動パイプ22と係合状態にしたときに摩擦抵抗が小さくなるように断面半円状に形成している。そして、この先端管部21bの片側に、ケーブル異常検知手段として、リッミトレバー23aを上向きに突出させたリミットスイッチ23を取り付けている。可動パイプ22は、同様に、基端パイプ部22aをより細径に成形して直管部14aと略同径につくり、外周面上において、基端パイプ部22a寄りに吊リング24を立設し、先端パイプ部22b寄りに横長板状のリミットキッカ26を横向きに立てて固着している。
【0022】
そこで、パイプ組立体25は、固定パイプ21の基端管部21aを、図1に示すように引張コーナー部12aに対しケーブル移動方向X下流側の直管部14aに接合し、図3(B)に示すように、先端管部21bに可動パイプ22の先端パイプ部22bを係合させて長さ方向に可動パイプ22をスライド自在に連結する。一方で、可動パイプ22は、図1に示すように、その基端パイプ部22aを引張コーナー部12aに有したガイドパイプ27に接合して引張コーナー部12aと一体化して形成する。そして、ケーブル弛み除去装置Rでは、稼動中、可動パイプ22が固定パイプ21に対しケーブル移動方向Xと反対の伸長方向Yに一定距離以上スライドしたとき、リミットキッカ26が当接してリミットレバー23aを倒すと、リミットスイッチ23がディスクケーブルCの張設状態の異常を検知し、駆動モータmの駆動を全て停止するようになっている。
【0023】
更に、ケーブル弛み除去装置Rのパイプハンガー手段30は、ハンガーレール31と、各一対の、吊り金具32および連結部材33とからなる。ハンガーレール31は、図4に示すように、下面の長さ方向に逃げ穴31aをあけて略角パイプ状に曲げ成形したレール材で、逃げ穴31aの両側に走行路31bを形成してなる。そして図1に示すように、可動パイプ22の上方でそれと平行に、天井側の筐体(図示省略)に懸架して固定的に吊設している。吊り金具32は、図4に示すように、T型の支持バー34の上端軸部に一対のローラ35を枢支し、下端に吊リング36を固着してなる。連結部材33として、図示例ではワイヤーロープを用いが、連結用チェーンやロッド等であってもよい。そして、パイプハンガー手段30は、ローラ35をそれぞれ走行路31bに転動自在に係合させて、吊り金具32をハンガーレール31に吊り下げる一方、各吊り金具32の吊リング36に、図1に示すように連結部材33の上端部を掛け止め、下端部をそれぞれ可動パイプ22と引張コーナー部12a上に立設した吊リング24・37に掛け止めて、引張コーナー部12aを、パイプ組立体25の固定パイプ21に対し直管部14aの長さ方向に移動可能に吊持する。
【0024】
パイプ引張手段40は、引張コーナー部12aに、その角縁近くに固着したアイナット(図示省略)のリング部に、吊りワイヤー41の上端を連結すると共に、その吊りワイヤー41を、支柱42に固定した取付ブラケット44で枢支した回転ガイド部材45に掛け回し、ワイヤー下端にウエイト50を連結して垂下した構造になっている。回転ガイド部材45は、円周溝付きの滑車で、引張コーナー部12aに対しパイプ組立体25の伸長方向Yの延長線上において、引張コーナー部12aと同じ高さ位置で支柱42に枢支している。そして、ケーブル弛み除去装置Rは、ウエイト50の重量に応じて、パイプ組立体25の伸長方向Yへ引張コーナー部12aを後方から吊りワイヤー41で引っ張り、駆動歯車16ごとパイプ組立体25の固定パイプ21に対し移動し、ディスクケーブルDに常にテンションを付与する構成になっている。
【0025】
したがって、飼料搬送装置Aでは、各コーナー部12a〜12fで駆動歯車16を駆動回転してディスクケーブルDをパイプラインp内に沿って移動するとき、1つの引張コーナー部12aが駆動歯車16ごとケーブル移動方向Xとは反対のパイプ組立体25の伸長方向Yへ引っ張られると、駆動歯車16に巻装したディスクケーブルDは、エンドレスにパイプラインp内で挿設されているため、常に、ケーブル全体が引っ張られて、弛みなくパイプラインp内で張り渡された状態が保たれることになる。よって、飼料搬送装置Aでは、ディスクケーブルDには弛みを生じさせない結果、従来のごとくディスクケーブルDの弛み部分が駆動歯車16の歯gに絡み付いて巻き込まれ、ケーブル断線の事態を招いて飼料搬送不能などの重大なトラブルが発生する弊害を確実になくすことができる。故に、駆動負荷分担方式の飼料搬送装置Aであっても、ディスクケーブルDの弛み防止効果によってディスクケーブルDで搬送する飼料の搬送速度や搬送量を倍増させる本来の効果を、いかんなく発揮することができるようになる。
【0026】
また、この飼料搬送装置Aにおいて、ケーブル弛み除去装置Rは、ウエイト50の重量をかけて、重い駆動モータmごと引張コーナー部12aをパイプ組立体25の伸長方向Yへ引っ張って移動させるとき、その僅かな移動距離でも、その間は、引張コーナー部12aを吊持したハンガーレール31に係合した吊り金具32のローラ35が転動し、これにより、移動時の摩擦抵抗が極力少なくなり、それだけ余計に引張抵抗を受けることなく引張コーナー部12aをスムーズに引っ張ってディスクケーブルDの弛みを除去することができる。その結果、飼料搬送装置Aでは、引張対象の引張コーナー部12aに付設の駆動モータmも構造上重量物ではあるが、余計に引張抵抗を受けることなく引張コーナー部12aを引っ張って移動できるため、その分、引張コーナー部12aに重量をかけて引っ張るウエイト50の小型軽量化を図ることができる。
【0027】
なお、飼料搬送装置Aでは、稼動中に、断線したり、或いは引っ張って伸ばしすぎたりしてディスクケーブルDの張設状態に異常が発生した場合に、パイプ組立体25の可動パイプ22が固定パイプ21に対しケーブル移動方向Xと反対の伸長方向Yに一定距離以上スライドし、リミットキッカ26が当接してリミットレバー23aを倒すと、リミットスイッチ23にてディスクケーブルDの張設状態の異常を検知する。すると、異常検知信号を受けて駆動モータmの駆動を全て停止し、ケーブル張設トラブルの原因解消に、即座に備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による飼料搬送装置のパイプラインに組み付けたケーブル弛み除去装置の一例を示す斜視図である。
【図2】ケーブル駆動装置を示す斜視図である。
【図3】(A)はパイプ組立体の斜視図、(B)はその組立斜視図である。
【図4】パイプハンガー手段を一部を破断して示す斜視図である。
【図5】本発明による飼料搬送装置を備えた飼料供給システムの全体構成を示す斜視図である。
【図6】従来の1駆動部方式の飼料搬送装置を備えた飼料供給システムの全体構成を、一部ケーブル駆動部を拡大して示す斜視図である。
【図7】従来の飼料搬送装置に備えた駆動歯車でのケーブル巻き込みトラブル状態を示す斜視図である。
【図8】従来の複数駆動部方式の飼料搬送装置を備えた飼料供給システムの全体構成を示す斜視図である。
【図9】(A)は複数駆動部方式の飼料搬送装置に備えた駆動歯車によるケーブル駆動構造を説明する斜視図、(B)は一部を拡大して示す正面図である。
【符号の説明】
【0029】
A 飼料搬送装置
B 給餌器
C 給餌器
D ディスクケーブル
R ケーブル弛み除去装置
X ケーブル走行方向
Y パイプ組立体の伸長方向
m 駆動モータ
12a 引張コーナー部
14a 直管部
15 ケーブル駆動装置
16 駆動歯車
17 ディスク
20 駆動軸
21 固定パイプ
22 可動パイプ
25 パイプ組立体
31 ハンガーレール
32 吊り金具
35 ローラ
41 吊りワイヤー
45 滑車(回転ガイド部材)
50 ウエイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給餌器の設置レイアウトに応じて設けた複数のコーナー部と複数のパイプを接合して形成した直管部とを接続してエンドレスに構築したパイプライン内に、多数の飼料搬送用ディスクをその中心にケーブルを貫通させて等間隔に組み付けたディスクケーブルを、エンドレスに繋いで挿設すると共に、前記各コーナー部を、そこに駆動軸で駆動歯車を軸支して回転駆動する駆動モータを備えたケーブル駆動装置を付設して形成する一方、該ケーブル駆動装置の前記駆動歯車に前記ディスクケーブルのディスクを噛み合わせて巻装し、該ディスクケーブルを、各駆動モータで分担してコーナー駆動し、前記パイプライン内の飼料搬送路に沿って移動させながら、飼料を搬送するようにした飼料搬送装置であって、
前記パイプラインに、その1つの引張コーナー部を引っ張って前記ディスクケーブルの弛みを取るケーブル弛み除去装置を組み付け、
このケーブル弛み除去装置は、
前記引張コーナー部に対するケーブル移動方向下流側の直管部に基端管部を接合する固定パイプと、
該固定パイプの先端管部に対し先端パイプ部を係合させて長さ方向にスライド自在に連結して前記固定パイプとで長さが伸縮自在のパイプ組立体を形成する一方、基端パイプ部を前記引張コーナー部に一体的に接合する可動パイプと、
該可動パイプの上方でそれと平行に懸架して固定したハンガーレールと、
上端部に枢支したローラを前記ハンガーレールに転動自在に係合させる一方、下端部を前記引張コーナー部に掛け止めて、該引張コーナー部を前記固定パイプに対し前記パイプ組立体の長さ方向に移動可能に吊持する吊り金具と、
前記引張コーナー部に対して前記パイプ組立体が伸長する方向の延長線上において枢支した回転ガイド部材と、
前記引張コーナー部に上端を連結しワイヤー途中を前記回転ガイド部材に掛け回して吊り下げた吊りワイヤーの下端に連結して垂下するウエイトとを備え、
該ウエイトの重量に応じて、前記引張コーナー部を、前記パイプ組立体の伸長方向に向けて前記吊りワイヤーで引っ張って前記駆動歯車ごと前記固定パイプに対し移動して常時前記ディスクケーブルにテンションを付与してなることを特徴とする、飼料搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−119207(P2007−119207A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315957(P2005−315957)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(390032263)株式会社藤井商会 (15)
【Fターム(参考)】