説明

養殖池浄化装置

【課題】養殖池の浄化をするものとして、ゼオライトなどのように養殖池床に敷きつめて使用するものがあるが、毎回池干しをするたびに入替をしなければならず、ゼオライト購入費と入替労力は養殖業者の大きな負担となっている。尚かつ、その方法でも養殖池の浄化は十分でなく、臭気や汚泥堆積で養殖業者は苦労している状況である。かかる従来の状況を改善すべく、初期投資さえすれば、労力をかけずに養殖池の浄化ができる、養殖池浄化装置を提供することを目的とする。
【解決手段】活水器と水エジェクターを組合せて、養殖池に効率よく酸素を供給し、養殖池の浄化ならびに養殖魚の生長を助ける養殖池浄化装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、淡水、海水を問わず養殖池を浄化し、養殖環境を整えるとともに、養殖魚の生長を助ける装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の養殖池の浄化をするための設備としては、養鰻業でみると、池干しの後、ゼオライト(イワミライト)などを池に敷きつめる必要があった。
【0003】
然しながら、その量は10アール当り200〜300kg程度、価格にして年間一つの池で約6〜7万円かかっており、平均的規模の養鰻業者で年間100万円以上の出費となる。
【0004】
尚かつ、ゼオライトの効果は4〜6ヶ月と短い為、池を干す度にそれを敷きつめなくてはならず、その労力まで考えると大きな負担である。
【0005】
現状では、ゼオライトを敷きつめたにもかかわらず、養殖池の底部には多くの汚泥が堆積し、嫌気性処理が進み、アンモニア臭が強い状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3705500号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、従来のゼオライトだけを使用する水浄化方法では経費、労力が多大で、十分な効果が得られない点である。かかる従来の養殖池の浄化方法を改善し、養殖池を良い状態に保ち、養殖業者の経費節減並びに養殖魚の収量の増加を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、水中ポンプで養殖池もしくは浄化設備の水を汲上げ、水エジェクターで空気を水に取り入れ、活水器を通して養殖池に戻し、養殖池の溶存酸素量を増加させることにより水を浄化し、養殖魚の生長を助ける装置を提供する。
【0009】
通常、養殖池に多くの硝化細菌がいるが、水中の溶存酸素が充分にないと、有機態窒素の分解無機化速度もある程度小さくなるが、ここで生成されたアンモニア態窒素の酸化速度はそれ以上に低下する為、魚の生育にとって有害なアンモニア態窒素が水中に多量に蓄積する結果となる。
【0010】
アンモニア態窒素を酸化し、亜硝酸態窒素を経て硝酸態窒素を生成する硝化細菌(硝酸化成細菌)は科学独立栄養細菌であって、その増殖ならびに活性の発現には分子状酸素を必要とするため、溶存酸素の乏しい環境では、この反応過程が進行しない。
【0011】
このことから、養殖池中の溶存酸素量を増加させれば、養殖池の浄化および魚の生長を促進することができると考えられる。
【0012】
本発明は特許第3705500号で開示されている活水器に水エジェクターを組込むことで、溶存酸素量を増やすことができる装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
(1)初期投資の費用は必要であるが、本装置のランニングコストである電気料金はゼオライトの購入費の1/3程度で済む。
【0014】
(2)ゼオライト入替の労力がいらない。
【0015】
(3)養殖池の汚泥量が激減するため、それを除去するための労力が少なくて済む。
【0016】
(4)養殖池の環境が良くなり、養殖魚の生長が良くなることより出荷量が増え、収入が増えることとなる。
【0017】
(5)養殖池の環境が悪くなると、定期的に大量の足し水をして、養殖池の環境を整えてやる必要があるが、養殖池の水温管理をしなくてはならない魚種においては、足し水温度が低い場合は、ボイラを使用して水温を上げることとなり、その燃料費も高額となっている。養殖池の環境を良く保てば、その必要もなく経費節減となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明養殖池浄化装置の設置要領図。
【図2】養殖池浄化装置の斜視図。
【図3】活水器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の養殖池浄化装置の実施例を図面に基づき説明する
【実施例1】
【0020】
本発明の養殖池浄化装置は、図1に示すように養殖池水の浄化設備2から水中ポンプ4で水を汲上げ、水エジェクター6で空気を吸込み活水器5に水と空気が混合した状態で送るのだが、活水器5が目詰りしたとき、空気吸入口10の方に水が流れないように逆止弁9を設けている。尚、水を汲上げるのは浄化設備からではなく、養殖池から直接汲上げても良いが、その際は活水器が目詰まりしないように、固形物の混入を防止するこし器を設ける必要がある。
【0021】
また、完全開放状態で水エジェクターを使用すると、吸入空気量が増加し、逆に水量が減少することにより、水と空気のバランスが崩れるので、流入空気調整弁8の開度で吸入空気量を調整している。
【0022】
活水器5には、図3の様に、粒径Φ3.0mmの大量のセラミックス12が入っており、本体の上、下部にセラミックス12が流出しないように、パンチングメタル13が取付けられている。尚、活水器本体は架台11にUボルトで固定されている。
【0023】
図3の様に水が活水器5に流入すると、セラミックス12は浮上し、水中でセラミックス同士が衝突を繰返し、水をカチオン帯電させるとともに、空気を取込みやすい小さな水の粒子となる。
【0024】
活水器5に取付けてあるパンチングメタル13は、Φ2.0mm〜Φ2.5mmの穴があいており、セラミックス12が抜け出ないようになっている反面、固形物がパンチングメタル13下部に詰まることがある。
【0025】
その問題を解決するために、覗窓14を取付け、ポリカボネート製の透明円板15を介して、内部のセラミックス12の動きを確認し、もしセラミックス12が浮遊しなくなっていたら、活水器5を開放し、パンチングメタル13を掃除することができる仕組となっている。
【0026】
正常時のセラミックスの浮遊は、覗窓からセラミックス12が見える状態を最良とし、水量の調整は、流入水調整弁7で行う。
【産業上の利用可能性】
【0027】
水と水エジェクターより吸込んだ空気を活水器を通すことにより、溶存酸素量の多い活性水を容易に安価で長期にわたり安定的に供給できるので、工業・農水産業の分野で水の浄化が不可欠な用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 養殖池
2 浄化設備
3 養殖池浄化装置
4 水中ポンプ
5 活水器
6 水エジェクター
7 流入水調整弁
8 流入空気調整弁
9 逆止弁
10 空気吸入口
11 架台
12 セラミックス
13 パンチングメタル
14 覗窓
15 透明円板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用水池である養殖池もしくは養殖池の浄化設備からポンプで水を汲上げ、その水に水エジェクターより吸込んだ空気を混ぜ、活水器を通し、養殖池に戻す装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−263797(P2010−263797A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115647(P2009−115647)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(302001147)有限会社ハル ビュー プランニング (1)
【出願人】(599077144)
【出願人】(509132705)
【Fターム(参考)】