説明

養毛美髪料

【課題】従来の生薬を用いた養毛育毛剤、毛髪化粧品は、その効果としては充分ではなかった。従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、植物生薬を中医学の陰陽五行説、臓腑弁証論治、中薬学等に基づき、より効果のある養毛美髪料をつくるものである。
【解決手段】植物生薬の桑白皮、何首鳥、熟地黄、旱蓮草、桑椹子、女貞子、胡麻仁、黒豆、当帰、甘草を中医学の陰陽五行説、臓腑弁証論治、中薬学等に基づき肝系、腎系、肺系に係わる植物生薬の有効成分の配合により、ヒト毛包細胞の増殖の活性化を増進させて、早期脱毛予防と養毛促進効果により、より優れた美髪効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物生薬を有機溶媒抽出、水加熱抽出又は粉末とした植物有効成分を塗擦、服用により早期脱毛及び早期白髪予防、養毛促進の増進による養毛美髪料に関するものである。
【0002】
根拠は民間療法、日本漢方、中医学の陰陽五行説、弁証論治、中薬学に基づくものである。養毛美髪効果が医学的に証明されるものかどうかは、今後の問題に属すべきことで本願の主眼とすべきところではない。
[背景技術]
【0003】
民間療法では、口伝によってセンブリ、アオギリの葉、桑白皮、カラスビシャクの球根、コノテガシワ等の生薬が単品又は2種類の組合せで用いられているが、その効果は、はっきりしない。
【0004】
日本漢方では、その病態を虚実に分別して桂枝加竜骨牡蛎湯、八味丸、柴胡加竜牡蛎湯、桂枝茯苓丸等を用いているが、その効果は、はっきりしない。
【0005】
臨床中医学では、弁証論治により杞菊地黄丸、七宝美髪丹、二至丸等が用いられているが、その効果は、はっきりしない。
【0006】
[特許文献1]特開平5−201833号公報。
【0007】
[特許文献2]特開H7−285833号公報。
【0008】
[特許文献3]特開平11−139942号公報。
【0009】
[非特許文献1]よく効く民間療法 長塩 容伸監修 永岡書店 昭和61年7月5日 7版発行 P16〜18、22、181〜182。
【0010】
[非特許文献2]第2版臨床医の漢方 木下繁太朗、鎌江真五著、医歯薬出版KK。昭和58年7月15日 第2版発行 P202、291〜。
【0011】
[非特許文献3]中医臨床のための中薬学 神戸中医学研究会編 医歯薬出版KK。1993年2月20日 第1版第2刷発行 P322、368、392、P411、421〜424、441。
【0012】
[非特許文献4]静岡県身近な薬草 上野 明著 静岡新聞社。昭和54年10月13日 再版発行 P119、187、180。
【0013】
[非特許文献5]日本薬草全書 水野 瑞夫監修 新日本法規出版KK。平成7年2月22日発行 P179、401。
【0014】
[非特許文献6]臨床中医学概論 張 瓏英著 自然社。昭和63年6月20日 第1刷発行 P29、36〜38、40〜47。
[発明の開示]
[発明が解決しようとする課題]
【0015】
従来の生薬を用いた漢方的育毛養毛剤、毛髪用化粧品は、その効果としては充分ではなかった。本発明は、従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、長年にわたる調査研究の結果、数種の植物生薬を用いて、中医学の陰陽五行説、臓腑弁証論治、中薬学等に基づきより効果のある養毛美髪料をつくることができた。
[課題を解決するための手段]
【0016】
陰陽五行説の五臓の色体表では、髪は腎臓と深い関係があり、腎の弱い人に髪の異常が起るとされている。脱毛、白髪は老化現象の一つとも考えられるが、早期脱毛、早期白髪は遺伝的要因以外に、ホルモンのバランスの異常、皮膚病、ストレス、自律神経失調、病気等による体力消耗、栄養不足、生活習慣病等々も関連しているものと考えられる。
【0017】
中医学の陰陽五行説、弁証論治に於いても毛髪に関連した臓器の機能について、肝系のうち他の臓器との関係及び弁証をみると、肝と腎では肝は血を貯蔵し、腎は精を貯蔵する。腎精が不足すると肝を需養することができず陰虚となり、眩暈、耳鳴ときに脱髪する。
【0018】
肺系では、気を主り、呼吸を司る、また皮毛を主り、その華は髪にある。髪の善し悪しで肺の状態が推測できる。
【0019】
腎系では、精気をため、水を主り、気を納め、腎の華は髪にある。頭の髪は腎精気の盛衰と密接な関係にある。腎が陰虚火旺になれば、歯はぐらつき、精が弱く髪は抜けやすくなる。
【0020】
日本漢方では脱毛は頭皮の気血不調による、その病態を虚実に分別する。
【0021】
生薬の応用。
桑白皮−性味は甘、寒。帰経は肺。効能と応用は利水消腫、他。民間療法は脱毛防止。
何首鳥−性味は苦、甘、渋、微温。帰経は肝、腎。効能と応用は補肝腎、益精血、脱毛、早期白髪。
熟地黄−性味は甘、微温。帰経は心、肝、腎。効能と応用は補血調経、滋腎益精、早期白髪。
旱蓮草−性味は甘、酸、寒。帰経は肝、腎。効能と応用は養肝益腎、脱毛、早期白髪。
桑椹子−性味は甘、寒。帰経は心、肝、腎。効能と応用は滋陰補血、生発鳥髪、早期白髪。
女貞子−性味は甘、苦、凉。帰経は肝、腎。効能と応用は滋腎養肝、早期脱毛、早期白髪。
胡麻仁−性味は甘、平。帰経は脾、肺、肝、腎。効能と応用は滋養肝腎、補益精血、早期白髪。
黒豆−性味は甘、平。帰経は肝、腎。効能と応用は滋陰補血。
当帰−性味は甘、辛、苦、温。帰経は心、肝、脾。効能と応用は補血調経、活血行気。
甘草−性味は甘、平。帰経は十二経。効能と応用は補中益気、調和薬性。
[発明を実施するための最良の形態]
【0022】
上記生薬の応用を中薬学、弁証論治によって植物生薬を配合する。また配合比は用いる者の体質と薬性により増減することができる。
[配合比1]桑白皮30、何首鳥30、熟地黄10。
【0023】
[配合比2]桑白皮30、何首鳥30、熟地黄10、女貞子30、胡麻仁20、黒豆60、甘草10。
【0024】
[配合比3]桑白皮50、何首鳥0.3、旱蓮草0.3、桑椹子10。
【0025】
[配合比4]桑白皮50、何首鳥0.3、旱蓮草0.3、桑椹子10、当帰0.3、甘草0.3。
【0026】
[実施例1−1]上記の配合比1について、有機溶媒抽出による生薬の配合量とその製造方法及び使用方法。
桑白皮30g+何首鳥30g+熟地黄10g→混合する+25%エタノール700ml→常温で3ヵ月間浸漬→浸出液を分離→アルコール性浸出液とする。アルコール性浸出液10ml〜20mlを1日2回〜3回服用する。また頭部の脱毛部に塗擦することもできる。
【0027】
浸漬に用いるエタノール溶液の濃度を10%〜80%内で任意に変えることができる。またエタノールの代わりに焼酎を用いることができる。
【0028】
[実施例1−2]上記の配合比1.について、水での加熱抽出による生薬の配合量とその製造方法及び使用方法。
桑白皮3g+何首鳥3g+熟地黄1g→混合する+水600ml→水が約半量になるまで加熱→ろ過してろ液とする。ろ液を1日3回に分けて服用する。
【0029】
[実施例2−1]上記の配合ひ2.について、有機溶媒抽出による生薬の配合量とその製造方法及び使用方法。
桑白皮30g+何首鳥30g+熟地黄10g+女貞子30g+胡麻仁20g+黒豆60g+甘草10g→混合する+25%エタノール700ml→常温で3ヵ月間浸漬→浸出液を分離→アルコール性浸出液とする。アルコール性浸出液10ml〜20mlを1日2回〜3回服用する。また頭部に塗擦することもできる。
【0030】
浸漬に用いるエタノール溶液の濃度を10%〜80%内で任意に変えることができる。またエタノールの代わりに焼酎を用いることができる。
【0031】
[実施例2−2]上記の配合比2について、水での加熱抽出による生薬の配合量とその製造方法及び使用方法。
桑白皮3g+何首鳥3g+熟地黄1g+女貞子3g+胡麻仁2g+黒豆6g+甘草1g→混合する+水600ml→水が約半量になるまで加熱→ろ過してろ液とする。ろ液を1日3回に分けて服用する。また生薬を直接粉末として服用することもできる。
【0032】
[実施例3−1]上記の配合比3について、有機溶媒抽出による生薬の配合量とその製造方法及び使用方法。
桑白皮15g+80%エタノール200mlで浸漬→液100mlろ取。
何首鳥10g+80%エタノール100mlで浸漬→液 3mlろ取。
旱蓮草10g+80%エタノール100mlで浸漬→液 3mlろ取。
桑椹子10g+80%エタノール100mlで浸漬→液 10mlろ取。
→ろ取したろ液を混合し、アルコール性浸出混合液とする。アルコール性浸出混合液薬1mlを頭部に1日3日塗擦する。また服用することもできる。
【0033】
浸漬に用いるエタノール溶液の濃度を10%〜80%内で任意に変えることができる。浸漬条件は常温で15日間とする。
【0034】
[実施例3−2]上記の配合比3について、水での加熱抽出による生薬の配合量とその製造方法及び使用方法。
桑白皮15g+何首鳥3g+旱蓮草3g+桑椹子10g→混合する+水600ml→水が約半量になるまで加熱→ろ過してろ液とする。ろ液を1日3回に分けて服用する。
【0035】
[実施例4−1]上記の配合比4について、有機溶媒抽出による生薬の配合量とその製造方法及び使用方法。
桑白皮15g+80%エタノール200mlで浸漬→液100mlろ取。
何首鳥10g+80%エタノール100mlで浸漬→液 3mlろ取。
旱蓮草10g+80%エタノール100mlで浸漬→液 3mlろ取。
桑椹子10g+80%エタノール100mlで浸漬→液 10mlろ取。
当帰 10g+80%エタノール100mlで浸漬→液 3mlろ取。
甘草 10g+80%エタノール100mlで浸漬→液 3mlろ取。
→ろ取したろ液を混合し、アルコール性浸出混合液とする。アルコール性浸出混合液約1mlを頭部に1日3回塗擦する。また服用することもできる。
【0036】
浸漬に用いるエタノール溶液の濃度を10%〜80%内で任意に変えることができる。浸漬条件は常温で15日間とする。
【0037】
[実施例4−2]上記の配合比4について、水での加熱抽出による生薬の配合量とその製造方法及び使用方法。
桑白皮15g+何首鳥3g+旱蓮草3g+桑椹子10g+当帰3g+甘草3g→混合する+水600ml→水が約半量になるまで加熱→ろ過してろ液とする。ろ液を1日3回に分けて服用する。
【0038】
[使用例]上記の養毛美髪料を年齢40歳台〜50歳台の被験者を対象として養毛及び発毛の効果を調べた。効果については、効果なし、やゝ効果、効果あり、顕著な効果の4段階とし視覚、写真で毛髪の状態を評価した。その結果は有意に効果があった。使用試験結果を表に記載した。
【0039】

[発明の効果]
【0040】
本発明の養毛美髪料は、中医学の陰陽五行説、臓腑弁証論治、中薬学等に基づき、肝系、腎系、肺系に係わる植物生薬の有効成分によりヒト毛包細胞増殖の活性化を増進させて、早期脱毛予防と養毛促進効果により、より優れた美髪効果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桑白皮、何首鳥、熟地黄の主として養毛促進と脱毛予防をする植物生薬を水又は有機溶媒により抽出して得られる抽出成分を有効成分として含有することを特徴とする養毛美髪料。
【請求項2】
桑白皮、何首鳥、熟地黄の主として養毛促進と脱毛予防をする植物生薬と、女貞子の主として脱毛予防と滋腎養肝をはかる植物生薬と、胡麻仁の主として脱毛予防と滋養肝腎、補益精血をはかる植物生薬と、黒豆の主として滋陰補血をはかる植物生薬と、甘草の主として諸薬調和をはかる植物生薬を水又は有機溶媒により抽出して得られる抽出成分を有効成分として含有することを特徴とする養毛美髪料。
【請求項3】
桑白皮、何首鳥、早蓮草及び桑椹子の主として養毛促進と脱毛予防をする植物生薬を水又は有機溶媒により抽出して得られる抽出成分を有効成分として含有することを特徴とする養毛美髪料。
【請求項4】
桑白皮、何首鳥、早蓮草及び桑椹子の主として養毛促進と脱毛予防をする植物生薬と、当帰の主として補血、活血をはかる植物生薬と、甘草の主として諸薬調和をはかる植物生薬を水又は有機溶媒により抽出して得られる抽出成分を有効成分として含有することを特徴とする養毛美髪料。