説明

餌寄せ装置、及びその運転方法

【課題】 畜房から遠ざかってしまった餌を畜房側に寄せ戻すことが可能な餌寄せ装置を提供する。
【解決手段】 餌寄せ装置1は、給餌用通路5に沿って走行する走行体11と、この走行体11のフレーム13に取り付けられた給餌用通路5から立ち上がる形態の餌寄せブレード15と、走行体11のフレーム13に取り付けられ、走行体11の移動に伴い餌寄せブレード15を畜房3側とその反対側との間で往復駆動する第1油圧シリンダ17(ブレード駆動機構に相当)とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餌寄せ装置、及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図15(A)に示すように牛等の家畜は畜房101内に収容され、畜房の給餌用通路103には所定幅で餌105が置かれている(例えば特許文献1参照)。
ところが、家畜が餌105を食べる際に鼻等で餌を押してしまい、図15(B)に示すように、餌105が畜房101から遠ざかってしまう。その結果、家畜が餌105を食べることができない状況になってしまう。
【0003】
そこで、畜房101から遠ざかってしまった餌105を人がスコップ等で畜房101に寄せ戻すことが行われているが、1日に4〜10回程度、餌105の寄せ戻しを行わなければならないため多大な労力を要していた。
【0004】
一方、図16(A)に示すように、フォークリフト107の先端に平面視先端が尖ったブレード109を装着し、このフォークリフト107を畜房101の長手方向に沿って前進させて、餌105の寄せ戻しを行うことも試みられている。
このようにすると、図16(A)の矢印に示すように餌105はブレード109の側面を滑るように整列させられるように思われる。
【特許文献1】実用新案登録第3088813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、餌105は、粉体とは異なり、例えば、約20〜30cm程度の牧草が含まれており、かつ表面はざらついているため相互に絡んで集合体となりやすい。特に飼料を付着させるため牧草に水分を含ませた場合は、大きな集合体を形成しやすい。
このため、フォークリフト107が前進しても、ブレード109の傾斜面に沿ってうまく滑らずに大きな塊が形成され、その結果、図16(B)に示すように畜房101前に餌105が存在する場所と餌105が存在しない場所ができてしまい餌を確実には寄せ戻すことができないという問題点があった。
【0006】
また、餌は早朝と夜の2回に分けて家畜に与えられ、これに伴って夜にも餌寄せの作業を行う必要があるため、餌寄せ作業の自動化が強く要望されていた。
また、家畜が食べ残した餌は、その腐敗を防ぐため1日に1回程度、回収しなければならないが、これも人力又はフォークリフトにより行う必要があり、多大なる労力を要していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、畜房から遠ざかってしまった餌を畜房側に確実に寄せ戻すことであり、第2の目的は、食べ残した餌の回収作業を自動で行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<請求項1>
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、畜房に沿って給餌用の通路が設けられた畜舎において、給餌用通路に沿って走行する走行体の移動と共に前記給餌用通路に供給された餌を前記畜房側に寄せるためのものであって、前記走行体と共に移動可能とされた装置フレームに、前記通路から立ち上がる形態の餌寄せブレードと、前記走行体の移動に伴い前記餌寄せブレードを前記畜房側とその反対側との間で往復駆動するブレード駆動機構とを設けたことを特徴とする畜舎における餌寄せ装置である。
【0008】
<請求項2>
請求項1のものにおいて、前記装置フレームは、前記走行体のフレームと一体化されて餌寄せ装置が自走式に構成されていることを特徴とする。
【0009】
<請求項3>
請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記餌寄せブレードは、前記給餌用通路に対して垂直となる縦軸を中心に旋回可能に設けた旋回アームの先端に設けられ、前記ブレード駆動機構は前記旋回アームのうち前記縦軸と前記餌寄せブレードとの間を押圧するシリンダ機構により構成されていることを特徴とする。
【0010】
<請求項4>
請求項3に記載のものにおいて、前記旋回アームは、前記縦軸側の基端側アームと、この基端側アームの先端において前記縦軸と直交する方向の横軸を中心に上下方向に旋回可能に設けられた先端側アームとからなり、前記基端側アームには前記先端側アームを前記横軸を中心に上下方向に旋回させるための上下駆動シリンダ機構が設けられていることを特徴とする。
【0011】
<請求項5>
請求項1ないし4のいずれかに記載のものにおいて、前記畜房側には、前記給餌用通路に沿って延びるガイドレールが設けられ、前記装置フレームには前記ガイドレールと係合して装置フレームの走行経路を案内するガイド車輪が設けられていることを特徴とする。
【0012】
<請求項6>
請求項1ないし5のいずれかに記載のものにおいて、前記装置フレームの前記畜房側の側部には、前記給餌用通路に対して垂直となる縦軸を中心に補助ブレードが前記装置フレームに沿った待避位置と先端が前記畜房側にほぼ接する進出位置との間で旋回可能に設けられ、前記装置フレームにはその補助ブレードを前記進出位置に駆動する補助シリンダ機構が設けられていることを特徴とする。
【0013】
<請求項7>
請求項6記載の餌寄せ装置を用いて前記給餌用通路に残された餌をその通路の一方の端部に寄せ集めるための運転方法であって、
前記餌寄せ装置を前記補助ブレードを前記待避位置にしたままで前記一方の端部から他方の端部側に所定距離だけ戻った位置まで走行させる初期動作(a)と、
その後、前記補助ブレードを前記進出位置に進出させて前記一方の端部側に走行させることで所定距離Lmax以下の距離分の餌を前記一方の端部側に寄せ集める寄せ集め動作(b)と、
前記補助ブレードを前記待避位置に待避させて前記餌寄せ装置を残された餌の端部から所定距離Lmax以下の距離分だけ戻った位置まで前記他方の端部側に走行させる戻し動作(c)とを順に行い、以後、上記寄せ集め動作(b)及び戻し動作(c)を繰り返すものであり、
前記所定距離Lmax が、前記走行体が前記餌寄せ装置の補助ブレードを進出位置に進出させて餌を寄せ集めことが可能な最大距離であることを特徴とする運転方法である。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1及び請求項2>
本請求項の発明によれば、走行体の移動に伴いブレード駆動機構にて餌寄せブレードを畜房側とその反対側との間で往復駆動することによって、畜房から遠ざかってしまった餌を畜房側に確実に寄せ戻すことができる。
【0015】
<請求項3>
本請求項の発明によれば、餌寄せブレードは、給餌用通路に対して垂直となる縦軸を中心に旋回可能に設けた旋回アームの先端に設けられ、ブレード駆動機構は旋回アームのうち縦軸と餌寄せブレードとの間を押圧するシリンダ機構により構成されているから、シリンダ機構が旋回アームを押圧することで、旋回アームの先端の餌寄せブレードが旋回して餌を畜房側に確実に寄せることができる。
【0016】
<請求項4>
餌は湿っている場合があるため餌寄せブレードに付着しやすい。本請求項の発明によれば、餌寄せブレードを上方へ旋回すると、餌が自重により落下する。よって、餌寄せブレードへの餌の付着を防止できる。
【0017】
<請求項5>
本請求項によれば、畜房側には、給餌用通路に沿って延びるガイドレールが設けられ、装置フレームにはガイドレールと係合して装置フレームの走行経路を案内するガイド車輪が設けれているから、装置フレームの蛇行を防止することができ、その結果、蓄房に対して均等に餌寄せをすることができる。
【0018】
<請求項6>
本請求項の発明によれば、補助ブレードを進出位置とした状態で、走行体を移動させることで、家畜が食べ残した餌を掻き取って回収することができる。
【0019】
<請求項7>
家畜が食べ残した餌を、その腐敗を防ぐため1日に1回程度、回収するが、日によって食べ残し量が異なる。そのため、食べ残し量が多い日に一度に回収しようとすると、餌寄せ装置に過大な負担がかかる場合があった。
本請求項の発明の運転方法によれば、餌寄せ装置を補助ブレードを待避位置にしたままで一方の端部から他方の端部側に所定距離だけ戻った位置まで走行させる(初期動作(a))。その後、補助ブレードを進出位置に進出させて一方の端部側に走行させることで所定距離Lmax以下の距離分の餌を前記一方の端部側に寄せ集める(寄せ集め動作(b))。次に、補助ブレードを待避位置に待避させて餌寄せ装置を残された餌の端部から所定距離Lmax以下の距離分だけ戻った位置まで他方の端部側に走行させる(戻し動作(c))。以後、寄せ集め動作(b)及び戻し動作(c)を繰り返す。
このようにして餌寄せ装置は運転されるが、所定距離Lmax は、走行体が餌寄せ装置の補助ブレードを進出位置に進出させて餌を寄せ集めことが可能な最大距離とされており、餌を回収する際に複数回に分けて回収するため、餌寄せ装置の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について図1ないし図11を参照しつつ説明する。
本実施形態の餌寄せ装置1は、畜房3に沿って給餌用通路5が設けられた畜舎において、給餌用通路5に供給された餌7を畜房3側に寄せるためのものである。
この餌寄せ装置1は、給餌用通路5に沿って走行する走行体11と、この走行体11のフレーム13に取り付けられた給餌用通路5から立ち上がる形態の餌寄せブレード15と、走行体11のフレーム13に取り付けられ、走行体11の移動に伴い餌寄せブレード15を畜房3側とその反対側との間で往復駆動する第1油圧シリンダ17(ブレード駆動機構に相当)とを備えてなる。
走行体11は、鋼材からなる堅牢な概ね四角枠状のフレーム13(走行体フレーム及び装置フレームに相当)と、このフレーム13の四隅に回動可能に支持され、モータ19により駆動される4つの走行車輪21とを備える。なお、モータ19の動力はチェーン23により走行車輪21に伝達されている。そして、走行体11は、図示しない制御装置によってモータ19を駆動制御することによって畜房3の側端部に沿って往復移動可能とされている。
【0021】
フレーム13には、その前端寄り、かつ蓄房寄りの位置と、その後端寄り、かつ畜房寄りの位置の2カ所から、上方へ向かって延びて、途中から畜房側へ略直角に屈曲した一対のアーム部材25,25が備えられている。それぞれのアーム部材25,25の先端には、縦軸周りを回転可能に軸支された外ガイドローラ27及び内ガイドローラ29(装置フレーム13の走行経路を案内するガイド車輪に相当)が設けられている。一方、畜房3の側端部には、給餌用通路5の床面から所定高さの位置に、給餌用通路5に沿って延びるH型鋼材からなるガイドレール31が架設されてる。図5に示されるように、外ガイドローラ27と内ガイドローラ29の間にガイドレール31の断面平行辺の一辺31Aを挟むようにして、外ガイドローラ27はガイドレール31の断面平行辺の一辺31Aの外側を転動し、内ガイドローラ29は内側を転動するようにされている。このようにして、ガイドレール31と、外ガイドローラ27及び内ガイドローラ29は係合して、走行体11が畜房3の側端部に確実に沿って往復移動可能とされている。
フレーム13の前端の畜房3側の角部と、フレーム13の後端の畜房3側の角部にはそれぞれ通路から立ち上がる形態のガード部33,33が取り付けられ、餌寄せ装置1が往復動した際に、餌7が餌寄せ装置1内へ進入することを防止している。
【0022】
フレーム13の前部の畜房3寄りの角部付近には、給餌用通路5に対して垂直となる縦軸35(接続ピン)を中心に旋回アーム37が取り付けられ、この旋回アーム37の先端に餌寄せブレード15が設けられている。
旋回アーム37は、縦軸35側の基端側アーム39と、この基端側アーム39の先端において縦軸35と直交する方向の横軸41(接続ピン)を中心に上下方向に旋回可能に設けられた先端側アーム43とからなる。
基端側アーム39は、平面視直線状となっており、先端側アーム43は、基端側アーム39の先端部から基端側アーム39の延び方向に沿って延びて、中程で畜房3側へ略直角に屈曲した平面視L字状をなす。
基端側アーム39には、縦軸35よりも先端側アーム43寄りの位置にロッド結合部39Aが設けられ、このロッド結合部39Aに、フレーム13に取り付けられた第1油圧シリンダ17のロッド17Aの先端が回動可能に結合されている。第1油圧シリンダ17が基端側アーム39を押圧すると、旋回アーム37が縦軸35を中心に水平方向に回動し、餌寄せブレード15が図1に示す傾斜姿勢から、図2に示す走行体11の進行方向に沿い、かつ畜房3の側端部と所定距離(例えば50cm)まで寄った寄り姿勢となる。
【0023】
先端側アーム43の基端寄りの位置には、図3、図7に示すように上方に突出したロッド結合部43Aが設けられ、このロッド結合部43Aに、基端側アーム39上に載置された第2油圧シリンダ45(上下駆動シリンダ機構に相当)のロッド45Aの先端が回動可能に結合されている。
先端側アーム43の先端には、その先端側の一辺と略垂直となるように板状の餌寄せブレード15が固着されている。餌寄せブレード15は、図3に示すように水平姿勢でその下縁部が給餌用通路5の床面に摺接可能な高さ位置とされているとともに、図1に示すように餌寄せブレード15の畜房3側の一端15Aが、横軸41(接続ピン)のほぼ延長線上になるようにされている。
第2油圧シリンダ45が収縮することによって、餌寄せブレード15が横軸41を中心に縦方向に回動し、図3の水平姿勢から図4の傾斜姿勢となるようにされている。
【0024】
餌寄せブレード15は、図5に示すように、その下端部がRをつけて曲げられた形態をしている。
フレーム13の畜房3側の側部には、板状の補助ブレード51がフレーム13に沿った待避位置(図1参照)と、先端が畜房3にほぼ接する進出位置(図6参照)との間で縦軸53(接続ピン)を中心に旋回可能に設けられている。補助ブレード51は、その下縁部が底面に摺接可能な形態とされている。
【0025】
補助ブレード51の中央付近には、ロッド結合部51Aが設けられ、このロッド結合部51Aに、フレーム13に載置された第3油圧シリンダ55(補助シリンダ機構)のロッド55Aの先端が回動可能に結合されている。第3油圧シリンダ55が伸縮することによって、補助ブレード51が待避位置と、進出位置との間で旋回するようにされている。
なお、補助ブレード51の長さは、進出位置で、その先端が畜房3の側端部に近接する程度とされている。
フレーム13の後部には、油圧装置57が配され、この油圧装置57により、各油圧シリンダ17,45,55が伸縮する。
【0026】
<餌寄せ装置1の運転方法>
さて、ここで、本実施形態の餌寄せ装置1の運転方法について説明する。
(第1動作)
まず、餌寄せ装置1は、餌寄せブレード15を畜房3に対して傾斜し、かつ給餌用通路5に対して水平な姿勢(初期姿勢)として(図1、3参照)、図8の状態から図9の状態まで所定距離(例えば約80cm)、前進した後に停止する(なお、補助ブレード51は待機位置とされている)。餌7は、餌寄せブレード15に沿って滑りながら畜房3側へ寄る方向へ移動する。
(第2動作)
次に、餌寄せ装置1は、図10に示すように第1油圧シリンダ17を伸長して旋回アーム37を旋回して餌寄せブレード15を揺動させ、餌寄せブレード15を寄り姿勢とする。このようにすると、確実に餌7を畜房3側に寄せることができる。
(第3動作)
さらに、その後、餌寄せ装置1は、第2油圧シリンダ45を収縮させて餌寄せブレード15を水平姿勢(図3参照)から傾斜姿勢(図4参照)となるように旋回させる。すると、餌7が自重により落下する。よって、餌寄せブレード15への餌7の付着を防止できる。その後、餌寄せ装置1は、餌寄せブレード15初期姿勢に戻す。
以後、第1〜第3動作を繰り返す。
以上のように、本実施形態の餌寄せ装置1によれば、給餌用通路5に供給された餌7を畜房3側に確実に寄せることができる。
また、本実施形態の餌寄せ装置1によれば、畜房3側には、給餌用通路5に沿って延びるガイドレール31が設けられ、フレーム13にはガイドレール31と係合するガイドローラ27,29が設けられているから、餌寄せ装置1の蛇行を防止することができ、その結果、畜房3に対して均等幅に餌7を寄せることができる。
【0027】
<食べ残した餌7を寄せ集めるための運転方法>
次に、家畜が食べ残した餌7を給餌用通路5の一方の端部に寄せ集めるための運転方法について説明する。
図11(A)は、寄せ集め前の状態を示し、この状態で餌寄せ装置1は、畜房3の前端(左端)に位置している。
<第1回目の寄せ集め運転>
(初期動作(a))
餌寄せ装置1は、補助ブレード51を待避位置にした状態で前端(左端)から後端(右端)側に所定距離L1だけ戻った位置まで走行する(図11(A)(B)参照)。
(寄せ集め動作(b))
初期動作(a)の後、餌寄せ装置1は、補助ブレード51を進出位置に進出させて前端側に走行して、所定距離Lmax以下の距離分(ここでは、L1−L2)の餌7を前端側に寄せ集める(図11(B)(C)参照)。
(戻し動作(c))
寄せ集め動作(b)の後、餌寄せ装置1は、補助ブレード51を待避位置に待避させて残された餌7の端部から所定距離Lmax以下の距離分(ここではL1)だけ戻った位置まで後端側に走行する(図11(C)(D)参照)。
【0028】
<第2回目の寄せ集め運転>
(寄せ集め動作(b))
第1回目の寄せ集め運転後、餌寄せ装置1は、補助ブレード51を進出位置に進出させて前端側に走行することで所定距離Lmax以下の距離分(ここでは、L1)の餌7を前端側に寄せ集める(図11(D)(E)参照)。
(戻し動作(c))
寄せ集め動作(b)の後、餌寄せ装置1は、補助ブレード51を待避位置に待避させて残された餌7の端部から所定距離Lmax以下の距離分(ここではL1)だけ戻った位置まで後端側に走行する(図11(E)(F)参照)。
以後、第2回目の寄せ集め運転と同様の運転を繰り返す。
なお、所定距離Lmax は、補助ブレード51を進出位置に進出した状態で餌寄せ装置1を走行させて餌7を寄せ集めることが可能な最大距離とされており、餌寄せ装置1の能力、餌7の残り具合に応じて適当に設定される距離である。
本実施形態の食べ残した餌7の寄せ集め運転方法によれば、餌7を寄せ集める際に複数回に分けて寄せ集めるため、餌寄せ装置1の負担を軽減することができる。
なお、餌寄せ装置1の走行距離は、時間によって制御してもよいし、ロータリーエンコーダにより走行車輪21の回転数信号を得てこの信号により制御してもよい。
【0029】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図12を参照しつつ説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成のみ説明し、第1実施形態と同一の他の構成、作用、効果については省略する。なお、同一の構成については第1実施形態と同一の符号を付す。
本実施形態の餌寄せ装置1は、給餌用通路5を挟んで2列畜房3が設けられている場合に使用されるものである。
この餌寄せ装置1は、1の走行体11の両側にそれぞれ第1実施形態と同様の餌寄せブレード15を配した旋回アーム37と補助ブレード51が備えられている点が第1実施形態と異なる。
本実施形態の餌7寄せ装置1によれば、2列の畜房3の餌寄せを1台の餌寄せ装置1で行うことができる。また、餌寄せブレード15、補助ブレード51を制御する制御基板等は1台分で足りるから、製造コストが安い。
【0030】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、駆動機構として油圧シリンダ17,45,55を用いたが、油圧シリンダに限定されず、空気圧シリンダ等を用いてもよい。
(2)上記実施形態では、餌寄せブレードが揺動運動するものについて説明したが、図13に示すように、餌寄せブレード15は、駆動機構により畜房3の側端部から所定距離離れた離隔位置(図13(A))と、離隔位置よりも畜房3の側端部に寄った寄り位置(図13(B))との間で平行移動可能に構成されていてもよい。この場合には、駆動機構として、油圧シリンダ、空気圧シリンダ等が用いられる。
(3)上記実施形態では、装置フレームは、走行体11のフレーム13と一体化されており、餌寄せ装置1が自走式とされているが、装置フレームと走行体11のフレーム13を別体に構成してもよい。
(4)上記実施形態では、旋回アーム37は、基端側アーム39と、先端側アーム43の2部材からなるものとしたが、1部材からなるものであってもよい。
(5)上記実施形態では、餌寄せ装置1は、第1動作、第2動作、第3動作を順に行うものとしたが、第3動作を行わないものであってもよい。
(6)上記実施形態では、餌寄せ装置1にはガイドレール31と係合して走行体11の走行経路を案内するガイドローラ27,29が設けれていることとしたが、ガイドローラ27,29はなくてもよい。
また、ガイドローラ27,29を設けない場合には、図14に示すように走行体11の走行車輪21をつば付車輪とし、給餌用通路5に走行車輪21と係合するレール65を敷設してもよい。このようにしても走行体11を畜房3の側端部に沿って走行させることができる。
(7)上記実施形態では、餌寄せ装置1には補助ブレード51が設けられていることとしたが、補助ブレード51を設けなくてもよい。
(8)なお、本発明において畜房3とは、牛、鶏、馬等の家畜を収容するものをいう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態の餌寄せ装置の平面図
【図2】餌寄せ装置の平面図
【図3】餌寄せ装置の側面図
【図4】餌寄せ装置の側面図
【図5】餌寄せ装置の一部省略背面図
【図6】餌寄せ装置の平面図
【図7】餌寄せ装置の一部拡大斜視図
【図8】餌寄せ装置の運転方法を説明する説明図
【図9】餌寄せ装置の運転方法を説明する説明図
【図10】餌寄せ装置の運転方法を説明する説明図
【図11】餌寄せ装置の運転方法を説明する説明図
【図12】第2実施形態の餌寄せ装置の平面図
【図13】他の実施形態の餌寄せ装置の平面図
【図14】他の実施形態の餌寄せ装置の部分正面図
【図15】従来例を説明する平面図
【図16】従来例を説明する平面図
【符号の説明】
【0032】
1…餌寄せ装置
3…畜房
5…給餌用通路
7…餌
11…走行体
13…フレーム
15…餌寄せブレード
17…第1油圧シリンダ(ブレード駆動機構)
21…走行車輪
27…外ガイドローラ
29…内ガイドローラ
31…ガイドレール
35…縦軸
37…旋回アーム
39…基端側アーム
41…横軸
43…先端側アーム
45…第2油圧シリンダ(上下駆動シリンダ機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜房に沿って給餌用の通路が設けられた畜舎において、給餌用通路に沿って走行する走行体の移動と共に前記給餌用通路に供給された餌を前記畜房側に寄せるためのものであって、
前記走行体と共に移動可能とされた装置フレームに、前記通路から立ち上がる形態の餌寄せブレードと、前記走行体の移動に伴い前記餌寄せブレードを前記畜房側とその反対側との間で往復駆動するブレード駆動機構とを設けたことを特徴とする畜舎における餌寄せ装置。
【請求項2】
前記装置フレームは、前記走行体のフレームと一体化されて餌寄せ装置が自走式に構成されていることを特徴とする請求項1記載の畜舎における餌寄せ装置。
【請求項3】
前記餌寄せブレードは、前記給餌用通路に対して垂直となる縦軸を中心に旋回可能に設けた旋回アームの先端に設けられ、前記ブレード駆動機構は前記旋回アームのうち前記縦軸と前記餌寄せブレードとの間を押圧するシリンダ機構により構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の畜舎における餌寄せ装置。
【請求項4】
前記旋回アームは、前記縦軸側の基端側アームと、この基端側アームの先端において前記縦軸と直交する方向の横軸を中心に上下方向に旋回可能に設けられた先端側アームとからなり、前記基端側アームには前記先端側アームを前記横軸を中心に上下方向に旋回させるための上下駆動シリンダ機構が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の畜舎における餌寄せ装置。
【請求項5】
前記畜房側には、前記給餌用通路に沿って延びるガイドレールが設けられ、前記装置フレームには前記ガイドレールと係合して装置フレームの走行経路を案内するガイド車輪が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の畜舎における餌寄せ装置。
【請求項6】
前記装置フレームの前記畜房側の側部には、前記給餌用通路に対して垂直となる縦軸を中心に補助ブレードが前記装置フレームに沿った待避位置と先端が前記畜房側にほぼ接する進出位置との間で旋回可能に設けられ、前記装置フレームにはその補助ブレードを前記進出位置に駆動する補助シリンダ機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の畜舎における餌寄せ装置。
【請求項7】
請求項6記載の餌寄せ装置を用いて前記給餌用通路に残された餌をその通路の一方の端部に寄せ集めるための運転方法であって、
前記餌寄せ装置を前記補助ブレードを前記待避位置にしたままで前記一方の端部から他方の端部側に所定距離だけ戻った位置まで走行させる初期動作(a)と、
その後、前記補助ブレードを前記進出位置に進出させて前記一方の端部側に走行させることで所定距離Lmax以下の距離分の餌を前記一方の端部側に寄せ集める寄せ集め動作(b)と、
前記補助ブレードを前記待避位置に待避させて前記餌寄せ装置を残された餌の端部から所定距離Lmax以下の距離分だけ戻った位置まで前記他方の端部側に走行させる戻し動作(c)とを順に行い、以後、上記寄せ集め動作(b)及び戻し動作(c)を繰り返すものであり、
前記所定距離Lmax が、前記走行体が前記餌寄せ装置の補助ブレードを進出位置に進出させて餌を寄せ集めことが可能な最大距離であることを特徴とする運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−94717(P2006−94717A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281713(P2004−281713)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【特許番号】特許第3740156号(P3740156)
【特許公報発行日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(591196625)株式会社晃伸製機 (7)
【Fターム(参考)】