説明

首振りノズル

【課題】安定的に平面内での首振り運動を行うことができる首振りノズルの提供。
【解決手段】ベース11と、ベース11に基端側が回動可能に支持されるフレーム12と、フレーム12の先端側に、フレーム12のベース11に対する回動中心軸と平行な回動中心軸回りに回動可能に支持される支持体13と、ベース11と支持体13とに、これらベース11と支持体13との間の可撓部50が撓んだ状態で支持されベース11とは反対端の開口部56から流体を放出する管体14と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首振りノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
筒状をなし内周側に流体を通過させて噴出させる流体噴出ノズルにおいて、可撓性を有する偏平部を形成することで平面内での首振りを行わせるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−286494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の流体噴出ノズルでは、内部を通過する流体の流量が多くなると扁平部が円形状に膨らんでしまい、平面内での首振り運動ができなくなってしまう可能性があった。
【0005】
したがって、本発明は、安定的に平面内での首振り運動を行うことができる首振りノズルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ベースと、該ベースに基端側が回動可能に支持されるフレームと、該フレームの先端側に、該フレームの前記ベースに対する回動中心軸と平行な回動中心軸回りに回動可能に支持される支持体と、前記ベースと前記支持体とに、これらベースと支持体との間の可撓部が撓んだ状態で支持され前記ベースとは反対端の開口部から流体を放出する管体と、を有し、流体放出時に前記管体から前記支持体に入力される反力で前記フレームが前記ベースに対し一側に向け回動し前記可撓部の撓み状態が反転すると該可撓部の付勢力で前記フレームが前記一側の回動端まで回動し、前記反力で前記フレームが前記ベースに対し他側に向け回動し前記可撓部の撓み状態が反転すると該可撓部の付勢力で前記フレームが前記他側の回動端まで回動することを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記支持体には、前記管体の支持位置を調整可能な支持位置調整部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、例えば、フレームがベースに対し一側に傾斜した状態では、管体の可撓部が撓むことで管体の開口部側がフレームよりもさらに一側に傾斜した状態となる。この状態で、管体の開口部から流体を放出させると、管体の開口部側に他側に向けた反力を生じることになり、この反力が管体を支持する支持体からフレームに伝達され、可撓部の付勢力に抗して管体およびフレームをベースを中心に他側に向け振ることになる。そして、その途中、所定角度で管体の可撓部の撓み状態が反転すると可撓部の付勢力によって、フレームがベースに対し瞬時に他側の回動端まで回動した状態となり、管体の開口部側がフレームよりもさらに他側に傾斜した状態となる。すると、管体の開口部側に一側に向けた反力を生じることになり、この反力が、可撓部の付勢力に抗して管体およびフレームを一側に向け振ることになる。このようにして、管体を往復揺動、つまり首振り運動させる。このように、フレームの基端側を回動可能に支持するベースと、フレームと、フレームの先端側に支持される支持体とで、管体を支持して管体の反力および付勢力を利用した首振り運動を行うため、安定的に平面内での首振り運動を行うことができる。しかも、管体の開口部をフレームの揺動角度よりも大きな角度で往復揺動させることができる。したがって、より広範囲に流体を放出することができる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、支持体に設けられた支持位置調整部で管体の支持位置を調整すれば、ベースおよび支持体間の管体の長さつまり可撓部の撓み状態を調整でき、その結果、首振り角度を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る首振りノズルを示す振幅大で最も右側に振れた状態の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る首振りノズルを図1のA方向から見た図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る首振りノズルの部分側断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る首振りノズルを示す振幅大で最も左側に振れた状態の平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る首振りノズルを示す振幅小で最も右側に振れた状態の平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る首振りノズルを示す振幅中で最も右側に振れた状態の平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る首振りノズルを図6のC方向から見た図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る首振りノズルの支持位置調整部等を示す部分側面図であって、(a)は振幅中の場合、(b)は振幅小の場合、(c)は振幅大の場合、をそれぞれ示すものである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る首振りノズルを示す振幅中で最も左側に振れた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1実施形態に係る首振りノズル図1〜図5を参照して以下に説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る首振りノズル1は、壁面等の取付対象部Tにブラケット10を介して固定されるベース11と、このベース11に基端側が支持されるフレーム12と、このフレーム12の先端側に支持される支持体13と、ベース11と支持体13とに支持される管体14と、管体14の中間位置に設けられる移動体15とを有している。
【0012】
ベース11は、図2に示すように、矩形板状の基板部20と、基板部20の相反する端縁部から基板部20と垂直をなして同側に延出する矩形板状の一対の支持板部21,22とを有する側面視コ字状をなしている。ベース11の基板部20には、管体14の一部を構成するホースニップル24が板厚方向に貫通して取り付けられている。ベース11に取り付けられた状態でホースニップル24は基板部20の支持板部21,22とは反対側にオネジ部25を有しており、首振りノズル1は、このオネジ部25において流体供給源側の図1に示す配管26に連結される。
【0013】
フレーム12は、図2に示すように、長尺状の一対の主板28,29と、これら主板28,29の長さ方向に中心軸を沿わせた姿勢でこれら主板28,29の先端部同士を連結させる略円筒状の連結部材30とを有している。連結部材30の先端側には、主板28,29への連結位置を除く両側に、図1に示すように切欠部31,32が形成されている。このフレーム12は、図2に示すように、一方の主板28の基端側が、ベース11の一方の支持板部21の外側に配置され、この状態で、支持板部21に垂直に設けられたネジ部を有する回動軸34で回動可能に支持される。また、他方の主板29の基端側が、ベース11の他方の支持板部22の外側に配置され、この状態で、支持板部22に前記回動軸34と同軸をなして設けられた回動軸35で回動可能に支持される。これにより、フレーム12は、ベース11に基端側が、回動軸34,35の中心を回動中心軸として回動可能に支持されている。
【0014】
一方の回動軸34にはハンドル37が設けられており、このハンドル37と主板28との間には、バネ部材38が設けられている。また、この主板28とこれに近接するベース11の支持板部21との間には図示略の高摩擦シートが介装されている。ハンドル37の回転位置を調整することにより、バネ部材38の主板28への付勢力が増減することになり、主板28の図示略の高摩擦シートとの摩擦力が増減する。これより、フレーム12のベース11に対する回動抵抗が増減する。これらハンドル37、バネ部材38および図示略の高摩擦シートは、後述するようにフレーム12のベース11に対する揺動速度を調整する揺動速度調整部42を構成している。
【0015】
支持体13は、円環状をなしており、連結部材30内に配置されている。図3に示すように、支持体13は、一方の主板28の先端に垂直に設けられた回動軸45と、他方の主板29に前記回動軸45と同軸をなして設けられた回動軸46とで回動可能に支持される。これにより、支持体13は、フレーム12の先端側に回動可能に支持されている。図2に示すように、これら回動軸45,46は、上記した回動軸34,35と平行をなしている。つまり、ベース11に対するフレーム12の回動中心軸とフレーム12に対する支持体13の回動中心軸とは平行となっている。言い換えれば、支持体13は、フレーム12の先端側に、フレーム12のベース11に対する回動中心軸と平行な回動中心軸回りに回動可能に支持されている。
【0016】
管体14は、ベース11に固定される上記したホースニップル24と、このホースニップル24のオネジ部25とは反対側に一端側が嵌合されるメッシュホース50(可撓部)と、ゴム製の保護チューブ51を介してメッシュホース50をホースニップル24に固定するホースバンド52と、メッシュホース50の他端側に嵌合されるパイプ部材53と、ゴム製の保護チューブ54を介してメッシュホース50をパイプ部材53に固定するホースバンド55とからなっている。相対的に、メッシュホース50は剛性が低く可撓性のある材料からなる一方、パイプ部材53は剛性が高く可撓性がない材料からなる。
【0017】
図1に示すようように、管体14は、パイプ部材53のメッシュホース50とは反対端つまりベース11とは反対端に開口部56が設けられており、ホースニップル24から導入された流体を開口部56から矢印Bで示す方向に放出する。ここで、図3に示すように、パイプ部材53は、一定径の主円筒部57と、これより大径で開口部56を形成する大径円筒部58とを有しており、大径円筒部58の内周面には、軸線方向に対し傾斜する溝59が円周方向に間隔をあけて複数形成されている。これら溝59の基端側は、大径円筒部58と主円筒部57との間の段差部60を貫通する貫通穴61につながっている。よって、パイプ部材53内に流体として液体を流通させて開口部56から矢印B方向に放出させると、貫通穴61から外気が吸引され、液体に混合されて気液混合状態で溝59の案内で旋回流となって放出される。
【0018】
管体14は、パイプ部材53の主円筒部57が支持体13の内周側に挿通されることになる。このとき、大径円筒部58は支持体13の内径よりも大径となっていて、パイプ部材53の支持体13からの抜けを規制する。なお、支持体13には径方向に沿ってイモネジ64が螺合されており、このイモネジ64を支持体13の中心側に前進させてパイプ部材53の主円筒部57の外周面に当接させると、パイプ部材53が支持体13に固定される。他方、このイモネジ64をパイプ部材53の主円筒部57から離間させることでパイプ部材53が支持体13に対し軸方向に移動可能となる。よって、支持体13の内周部と、支持体13に設けられたイモネジ64とが、パイプ部材53の支持体13に対する支持位置を調整可能とする支持位置調整部65となっている。ここで、図1に示すように、支持体13の支持位置に拘わらず、管体14のベース11と支持体13との間に配置される部分の長さは、ベース11と支持体13との距離よりも長くなっており、この長さの差を吸収するために、可撓性のメッシュホース50は常に湾曲している。つまり、管体14は、ベース11と支持体13とに、これらベース11と支持体13との間の可撓部であるメッシュホース50が撓んだ状態で支持されている。
【0019】
移動体15は、円環状をなしており、パイプ部材53の支持体13よりもメッシュホース50側の主円筒部57を内側に挿通させている。これにより、移動体15は、管体14のメッシュホース50と支持体13との間に、管体14に沿って移動可能、より具体的には、管体14のパイプ部材53の主円筒部57に摺動可能に設けられている。
【0020】
そして、移動体15とフレーム12との間には、移動体15をベース11と支持体13とを結ぶ方向、言い換えればフレーム12の長さ方向に対し交差する方向に往復移動可能に案内するガイド機構70が設けられている。
【0021】
ガイド機構70は、図2に示すように、フレーム12の一対の主板28,29の内側にそれぞれ固定される一対のカム板71,72と、移動体15に設けられてカム板71,72のカム73,74に沿って移動する一対のカムフォロア75,76と、カムフォロア75,76をカム73,74に当接させる方向に移動体15を付勢する図1に示す一対のコイルバネ(付勢部材)77,78とを有している。
【0022】
一対のカム73,74は、図1にカム73を示すように、ベース11に向け膨出する円弧状をなしており、図2に示すように、一対の主板28,29同士を結ぶ方向の中央が深くなるV字溝を有している。一対のカムフォロア75,76は、一対のカム73,74のV字溝に嵌合可能となるように軸方向の中央位置が大径で軸方向両側ほど小径となる反対向きのテーパ状をなしている。一対のカムフォロア75,76は、移動体15の外周部の180度異なる位置に、移動体15と中心軸を直交させて固定されている。一対のコイルバネ77,78は、図1および図4に示すように、移動体15の外周部のカムフォロア75,76と90度異なる位置に一端が連結されており、他端がフレーム12の連結部材30の主板28,29と90度異なる位置のそれぞれの近接側に連結されている。
【0023】
ガイド機構70は、移動体15に設けられた一対のカムフォロア75,76が一対のカム73,74のV字溝に入り込んで当接しており、この状態が維持されるように、一対のコイルバネ77,78で移動体15を支持体13側、言い換えればベース11とは反対側に付勢する。そして、移動体15は、一対のカムフォロア75,76が、一対のカム73,74に沿って軸方向の移動が規制されながら移動することになり、よって、ガイド機構70は、移動体15をベース11と支持体13とを結ぶ方向に対し交差する方向に往復移動可能に案内する。
【0024】
一対のカム73,74は、上記したようにベース11側に膨出する円弧状をなしており、フレーム12の主板28,29の幅方向における中央(つまり移動体15の往復移動の中央)が主板28,29の長さ方向において最もベース11側に位置し、主板28,29の幅方向における両側は、外側ほど、主板28,29の長さ方向においてベース11とは反対側に位置するように湾曲している。よって、ガイド機構70は、一対のコイルバネ77,78でカム73,74のベース11とは反対側に移動体15を付勢することにより、移動体15を、往復移動の中央に対し一側に位置するとこの一側の移動端に移動するように付勢し且つ往復移動の中央に対し他側に位置するとこの他側の移動端に移動するように付勢する。
【0025】
以上の構成の首振りノズル1を、ベース11において取付対象部Tに取り付け、ホースニップル24を含む管体14内に、圧送されてきた水等の液体を流入させると、この液体が貫通穴61を介して吸引される空気と混合されてパイプ部材53の開口部56から放出されることになる。その際に、管体14のパイプ部材53には反力(反動力)を生じることになり、この反力がパイプ部材53を支持する支持体13からフレーム12に伝達され、図1および図4に示す状態に交互になるように、管体14およびこれを支持するフレーム12をベース11に対し平面内での往復移動させる首振り運動を行う。
【0026】
その際に、例えば、図1に示すように、フレーム12がベース11に対し一側の回動端に傾斜した状態では、管体14のメッシュホース50が弓なりに撓むことにより、支持体13と移動体15とに支持されるパイプ部材53がフレーム12よりもさらに一側に傾斜した状態となり、移動体15が往復移動方向の一側の移動端に位置した状態となる。この状態から、上記した反力で、フレーム12がベース11に対し逆側に傾斜するように回動すると、フレーム12は、管体14のメッシュホース50のベース11側に対しても逆側に傾斜する状態となり、管体14の長さの関係で、パイプ部材53のフレーム12に対する傾斜が小さくなり、パイプ部材53に設けられた移動体15のカムフォロア75,76が、カム73,74上を往復移動の中央側に移動する。そして、フレーム12がさらに傾斜すると、カムフォロア75,76がカム73,74の往復移動方向の中央位置を超えることになり、これにより、コイルバネ77,78の付勢力で移動体15が往復移動方向の他側に向け移動させられることになる。加えて、フレーム12がベース11に対し所定角度回動しメッシュホース50の撓み状態が逆の弓なりに反転すると、その付勢力(弾性力)でフレーム12がベース11に対し他側の回動端まで瞬時に回動して傾斜した状態となり、移動体15が往復移動方向の他側の移動端に移動させられることになる。その結果、図4に示すように、管体14の支持体13と移動体15とに支持されるパイプ部材53がフレーム12よりもさらに逆側に傾斜する状態となる。このような圧送流体の放出反力による首振り運動を往復して繰り返し行うことになり、開口部56をフレーム12の揺動角度よりも大きな角度で往復揺動させる。なお、パイプ部材53の揺動に対し干渉しないように、フレーム12の連結部材30に上記した切欠部31,32が形成されている。
【0027】
ここで、上記した揺動速度調整部42のハンドル37を操作して図示略の高摩擦シートへのベース11およびフレーム12の接触圧を大きくすると、摩擦抵抗が増すことになって、上記した首振り運動の移動速度が遅くなり、逆に高摩擦シートへのベース11およびフレーム12の接触圧を小さくすると、摩擦抵抗が減少することになって、上記した首振り運動の移動速度が速くなる。
【0028】
また、上記した支持位置調整部65でパイプ部材53の支持体13への支持位置を調整し、例えば、図1および図4に示すように、ベース11および支持体13の間の管体14の長さを長くすると、首振りの運動の揺動角度が大きくなり、図5に示すように、ベース11および支持体13の間の管体14の長さを短くすると、首振りの運動の揺動角度が小さくなる。このようにして流体の放出範囲を調整することができる。
【0029】
なお、支持位置調整部65は、管体14の支持体13への支持位置を調整する以外にも、管体14のベース11への支持位置を調整しても良い。つまり、ベース11および支持体13の間の管体14の長さを調整できれば、支持体13およびベース11のうちの少なくともいずれか一方に、管体14の支持位置を調整可能な支持位置調整部が設けられていれば良い。
【0030】
以上に述べた第1実施形態に係る首振りノズル1によれば、フレーム12の基端側を回動可能に支持するベース11と、フレーム12と、フレーム12の先端側に支持される支持体13とで、管体14を支持して首振り運動を行うため、例えば内部を通過する流体の流量が多くなる等しても、安定的に平面内での首振り運動を行うことができる。
【0031】
しかも、ガイド機構70を設けたことにより、管体14の開口部56をフレーム12の揺動角度よりも大きな角度で首振り運動させることができるため、より広範囲に流体を放出することができる。
【0032】
また、簡素な構造のガイド機構70で、移動体15を、往復移動の中央に対し一側に位置するとこの一側の移動端に移動するように付勢し且つ往復移動の中央に対し他側に位置するとこの他側の移動端に移動するように付勢することができる。
【0033】
また、支持体13に設けられた支持位置調整部65で、支持体13による管体14の支持位置を調整すれば、ベース11および支持体13間の管体14の長さを調整でき、その結果、首振りノズル1の首振り角度を変更することができる。
【0034】
なお、パイプ部材53の開口部56側の一部を別体の部材とし、この部材を口径の異なる複数種類用意して用途に応じて変更しても良い。
【0035】
また、上記した管体14よりも細い可撓性のチューブを、管体14内に通して開口部56の近傍に開口するように配置しても良い。そして、管体14とこの細いチューブとの間に一の液体を圧送して開口部56から放出させると、首振りノズル1が上記のように首振り動作しながら、この一の液体を放出することになるが、このとき、細いチューブの基端を他の液体に挿入しておけば、一の液体の放出によるエジェクタの原理で細いチューブの先端近傍が負圧となり、他の液体がチューブから吸い上げられて一緒に放出されることになる。これにより、二液を混合状態で放出することができる。この場合、例えば、一の液体として水を、他の液体として洗剤を用いると、洗剤を水で薄めるとともに貫通穴61からの外気と混合して泡立てながら放出することができる。
【0036】
以上に述べた第1実施形態は、ベースと、該ベースに基端側が回動可能に支持されるフレームと、該フレームの先端側に回動可能に支持される支持体と、可撓部を有して前記ベースと前記支持体とに支持され前記ベースとは反対端の開口部から流体を放出する管体と、該管体の前記可撓部と前記支持体との間に前記管体に沿って移動可能に設けられる移動体と、該移動体を前記ベースと前記支持体とを結ぶ方向に対し交差する方向に往復移動可能に案内するガイド機構と、を有し、該ガイド機構が、前記移動体を、前記往復移動の中央に対し一側に位置すると該一側の移動端に移動するように付勢し且つ前記往復移動の中央に対し他側に位置すると該他側の移動端に移動するように付勢する。
【0037】
これにより、管体の開口部から流体を放出させると、管体の開口部側に反力を生じることになり、この反力が管体を支持する支持体からフレームに伝達され、管体およびフレームをベースに対し往復揺動、つまり首振り運動させる。このように、フレームの基端側を回動可能に支持するベースと、フレームと、フレームの先端側に支持される支持体とで、管体を支持して管体の反力を利用した首振り運動を行うため、安定的に平面内での首振り運動を行うことができる。
【0038】
しかも、例えば、フレームがベースに対し一側に傾斜し、管体の支持体と移動体との間部分がこれよりもさらに一側に傾斜し、移動体が往復移動方向の一側の移動端に位置した状態から、上記した反力により、フレームがベースに対し逆側に傾斜するように回動すると、管体の基端側に対してもフレームが逆側に傾斜するようになり、これにより、管体に設けられた移動体が往復移動の中央側に移動する。そして、この中央を超えると、ガイド機構の付勢力により移動体が往復移動方向の他側の移動端側に移動させられることになり、管体の支持体と移動体との間部分がフレームよりも大きな角度で逆側に傾斜する。このような動作を往復して行うことにより、管体の開口部をフレームの揺動角度よりも大きな角度で往復揺動させることができる。したがって、より広範囲に流体を放出することができる。
【0039】
また、第1実施形態は、前記ガイド機構が、前記フレームに固定され前記ベースに向け膨出する円弧状をなすカムと、前記移動体に設けられて前記カムに沿って移動するカムフォロアと、該カムフォロアを前記カムに当接させる方向に前記移動体を付勢する付勢部材とを有する。
【0040】
簡素な構造のガイド機構で、移動体を、往復移動の中央に対し一側に位置すると該一側の移動端に移動するように付勢し、且つ、往復移動の中央に対し他側に位置すると該他側の移動端に移動するように付勢することができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態に係る首振りノズル図6〜図9を参照して説明する。
【0042】
図6に示すように、第2実施形態に係る首振りノズル100は、壁面等の取付対象部Tに固定されるベース101と、このベース101に基端側が支持されるフレーム102と、このフレーム102の先端側に支持される支持体103と、ベース101と支持体103とに支持される管体104とを有している。
【0043】
ベース101は、両端部にオネジ110,111が形成され中間部に六角形状部112が形成された口金113と、口金113の一端のオネジ111に螺合される有底円筒状のベース本体114とからなっている。ベース101は、口金113の他端のオネジ110において取付対象部Tに固定されるとともに流体供給源側の配管116に連結される。
【0044】
ベース本体114の底部には、管体104の一部を構成するホースニップル117が取り付けられている。
【0045】
フレーム102は、図7に示すように、長尺状の一対のフレーム部材120,121からなっている。フレーム102は、一方のフレーム部材120の基端側が、ベース本体114の径方向の一側に配置され、この状態で、ベース本体114に連結された回動軸124で回動可能に支持される。また、他方のフレーム部材121の基端側が、ベース本体114のフレーム部材120とは反対側に配置され、この状態で、前記回動軸124と同軸をなして設けられた回動軸125で回動可能に支持される。これにより、フレーム12は、ベース11のベース本体114に基端側が、回動軸124,125の中心を回動中心軸として回動可能に支持されている。
【0046】
一方の回動軸124にはハンドル127が設けられており、このハンドル127とフレーム部材120との間には、バネ部材128が設けられている。また、フレーム部材120とベース101との間には、円板129と円板130と高摩擦シート131とが設けられている。円板129、円板130および高摩擦シート131は、同径の円板状をなしており、回動軸124を中心に配置されている。円板129はフレーム部材120に固定され、円板130はベース本体114に固定されており、高摩擦シート131は、これら円板129,130の間に介装されている。ハンドル127の回転位置を調整することにより、ハンドル127のフレーム部材120との距離が変化することになり、よって、バネ部材128のフレーム部材120への付勢力が増減し、円板129,130と高摩擦シート131との摩擦力が増減する。これにより、フレーム102のベース101に対する回動抵抗が増減する。つまり、これらハンドル127、バネ部材128、円板129,130および高摩擦シート131は、後述するようにフレーム102のベース101に対する揺動速度を調整する揺動速度調整部132を構成している。
【0047】
支持体103は、円環状をなしており、一方のフレーム部材120の先端に設けられた回動軸135と、他方のフレーム部材121に前記回動軸135と同軸をなして設けられた回動軸136とで回動可能に支持される。これにより、支持体103は、フレーム102の先端側に回動可能に支持されている。これら回動軸135,136は、上記した回動軸124,125と平行をなしている。つまり、ベース101に対するフレーム102の回動中心とフレーム102に対する支持体103の回動中心とは平行となっている。言い換えれば、支持体103は、フレーム102の先端側に、フレーム102のベース101に対する回動中心軸と平行な回動中心軸回りに回動可能に支持されている。
【0048】
管体104は、一端側においてベース101のベース本体114に連結される上記したホースニップル117と、このホースニップル117の他端側に一端部がナット部材139を介して連結される可撓性のチューブ140(可撓部)と、このチューブ140の他端部にナット部材141を介して連結されるホースニップル142と、このホースニップル142に連結されるパイプ部材143とからなっている。相対的に、チューブ140は剛性が低く可撓性のある例えば合成樹脂材料からなる一方、パイプ部材143は剛性が高く可撓性がない例えば金属材料からなる。
【0049】
パイプ部材143のチューブ140とは反対端つまりベース101とは反対端には筒状の開口部材(開口部)145が螺合されており、この開口部材145が管体104の開口部となっている。管体104は、ベース101を介してホースニップル117に導入された流体を開口部材145から図6の矢印Dで示す方向に放出する。内径の異なる複数種類の開口部材145を用意し、選択的にパイプ部材143に取り付けることで、管体104からの流体の放出流量や放出距離を調整可能となっている。
【0050】
パイプ部材143は、ホースニップル142に一端側において連結される一定径の主円筒部147と、主円筒部147の他端側に形成された六角形状部148とを有しており、軸方向の六角形状部148側に開口部材145が螺合されている。
【0051】
管体104は、パイプ部材143の主円筒部147において支持体103の内周側に挿通されることになる。このとき、六角形状部148は支持体103の内径よりも大きく、パイプ部材143の支持体103からの抜けを規制する。なお、図7に示すように、支持体103には径方向に沿ってイモネジ151が螺合されており、パイプ部材143の主円筒部147には、イモネジ151の先端部を嵌合させる図8に示す複数の凹部152〜154が軸方向に直列に並んで形成されている。
【0052】
イモネジ151を回転させてパイプ部材143の主円筒部147から離間させると、パイプ部材143が支持体103に対し軸方向に移動可能となる。また、複数の凹部152〜154に選択的に位置を合わせてイモネジ151を支持体103の中心側に前進させて凹部152〜154の対応するものに嵌合させると、パイプ部材143は、支持体103に対し、凹部152〜154のうち嵌合されたものに対応した位置に固定される。よって、支持体103と、支持体103に設けられたイモネジ151と、パイプ部材143の複数の凹部152〜154とが、パイプ部材143の支持体103に対する支持位置を調整可能とする支持位置調整部155となっている。ここで、支持体103の支持位置に拘わらず、管体104のベース101と支持体103との間に配置される部分の長さは、例えば図6に示すように、ベース101と支持体103との距離よりも長くなっており、この長さの差を吸収するために、可撓性のチューブ140は常に湾曲状に撓んでいる。つまり、管体104は、ベース101と支持体103とに、これらベース101と支持体103との間の可撓部であるチューブ140が撓んだ状態で支持されている。
【0053】
以上の構成の首振りノズル100を、ベース101のオネジ110において取付対象部Tに取り付け、ベース101から管体104内に、圧送されてきた水等の液体を流入させると、この液体がパイプ部材143の開口部材145から放出されることになる。その際に、管体104のパイプ部材143には放出方向とは反対方向に反力を生じることになり、この反力がパイプ部材143を支持する支持体103からフレーム102に伝達され、図6および図9に示す状態に交互になるように、管体104およびこれを支持するフレーム102をベース101に対し平面内での往復移動させる首振り運動を行う。
【0054】
その際に、例えば、図6に示すように、フレーム102がベース101に対し一側に傾斜した状態では、管体104のチューブ140が弓なりに撓むことにより管体104の開口部材145側がフレーム102よりもさらに一側に傾斜した状態となる。この状態で、管体104の開口部材145から液体を放出させると、管体104の開口部材145側に他側に向けた反力を生じることになる。この液体放出時に生じる反力が管体104からこれを支持する支持体103に入力され、支持体103からフレーム102に伝達されることになり、その結果、チューブ140の付勢力に抗して管体104およびフレーム102をベース101を中心に他側に向け振ることになる。そして、フレーム102がベース101に対し他側に向け所定角度回動し、管体104のチューブ140の撓み状態が逆の弓なりに反転すると、チューブ140の付勢力によって、瞬時に、図9に示すようにフレーム102がベース101に対し他側の回動端まで回動して傾斜した状態となり、管体104の開口部材145側がフレーム102よりもさらに他側に傾斜した状態となる。すると、管体104の開口部材145側に一側に向けた反力を生じることになり、この反力が、管体104から支持体103に入力され、支持体103からフレーム102に伝達されることになり、その結果、チューブ140の付勢力に抗して管体104およびフレーム102をベース101を中心に一側に向け振ることになる。そして、フレーム102がベース101に対し一側に向け所定角度回動し、管体104のチューブ140の撓み状態が反転すると、チューブ140の付勢力によって、瞬時に、図6に示すようにフレーム102がベース101に対し一側の回動端まで回動して傾斜した状態となり、管体104の開口部材145側がフレーム102よりもさらに一側に傾斜した状態となる。このような圧送液体の放出反力による首振り運動を往復して繰り返し行うことになり、開口部材145をフレーム102の揺動角度よりも大きな角度で往復揺動、つまり首振り運動させる。
【0055】
ここで、上記した揺動速度調整部132のハンドル127を操作して高摩擦シート131への円板129,130の接触圧を大きくすると、摩擦抵抗が増すことになって、上記した首振り運動の移動速度が遅くなり、逆に高摩擦シート131への円板129,130の接触圧を小さくすると、摩擦抵抗が減少することになって、上記した首振り運動の移動速度が速くなる。
【0056】
また、上記した支持位置調整部155でパイプ部材143の支持体103への支持位置を調整し、例えば、図8(a)に示すように、中間の凹部153にイモネジ151を嵌合させ、ベース101および支持体103の間の管体104の長さを中間長さにすると、首振りの運動の揺動角度が中間となり、図8(b)に示すように、チューブ140側の凹部154にイモネジ151を嵌合させ、ベース101および支持体103の間の管体104の長さを短くすると、首振りの運動の揺動角度が小さくなり、図8(c)に示すように、チューブ140とは反対側の凹部152にイモネジ151を嵌合させ、ベース101および支持体103の間の管体104の長さを長くすると、首振りの運動の揺動角度が大きくなる。このようにして液体の放出範囲を調整することができる。
【0057】
なお、この場合も、支持位置調整部155は、管体104の支持体103への支持位置を調整する以外にも、管体104のベース101への支持位置を調整しても良い。つまり、ベース101および支持体103の間の管体104の長さを調整できれば、支持体103およびベース101のうちの少なくともいずれか一方に、管体104の支持位置を調整可能な支持位置調整部が設けられていれば良い。
【0058】
以上に述べた第2実施形態に係る首振りノズル100によれば、フレーム102の基端側を回動可能に支持するベース101と、フレーム102と、フレーム102の先端側に支持される支持体103とで、管体104を支持して管体104の液体放出時の反力とチューブ140の変形により生じる付勢力(反発力)を利用したトグル機構的な構造で首振り運動を行うため、例えば内部を通過する流体の流量が多くなる等しても、安定的に平面内での首振り運動を行うことができる。
【0059】
しかも、管体104の開口部材145をフレーム102の揺動角度よりも大きな角度で往復揺動させることができる。したがって、より広範囲に流体を放出することができる。
【0060】
また、第1実施形態のガイド機構70を設けることなく、管体104の流体放出時の反力とチューブ140の変形により生じる付勢力とのバランスで、首振り運動を行うことになるため、部品点数が減少し、コストを大幅に低減することができる。
【0061】
また、支持体103に設けられた支持位置調整部155で、支持体103による管体104の支持位置を調整することにより、ベース101および支持体103間の管体104の長さを調整でき、その結果、首振りノズル100の首振り角度を変更することができる。
【0062】
また、内口径の異なる複数種類の開口部材145を、用途に応じて変更するため、放出流量や放出距離を変更することができる。
【0063】
なお、パイプ部材143に、第1実施形態の空気取入用の貫通穴61と同様の貫通穴を形成すれば、チューブ140に液体を流通させてパイプ部材143の開口部材145から放出させると、貫通穴から外気が吸引され、液体に混合されて気液混合状態で放出されることになる。また、これに加えて、上記した管体104よりも細い可撓性のチューブを、チューブ140に連結させて開口部材145の近傍に開口するように配置しても良い。
【符号の説明】
【0064】
10,100 首振りノズル
11,101 ベース
12,102 フレーム
13,103 支持体
14,104 管体
15 移動体
50 メッシュホース(可撓部)
56 開口部
65,155 支持位置調整部
70 ガイド機構
73,74 カム
75,76 カムフォロア
77,78 コイルバネ(付勢部材)
140 チューブ(可撓部)
145 開口部材(開口部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
該ベースに基端側が回動可能に支持されるフレームと、
該フレームの先端側に、該フレームの前記ベースに対する回動中心軸と平行な回動中心軸回りに回動可能に支持される支持体と、
前記ベースと前記支持体とに、これらベースと支持体との間の可撓部が撓んだ状態で支持され前記ベースとは反対端の開口部から流体を放出する管体と、
を有し、
流体放出時に前記管体から前記支持体に入力される反力で前記フレームが前記ベースに対し一側に向け回動し前記可撓部の撓み状態が反転すると該可撓部の付勢力で前記フレームが前記一側の回動端まで回動し、前記反力で前記フレームが前記ベースに対し他側に向け回動し前記可撓部の撓み状態が反転すると該可撓部の付勢力で前記フレームが前記他側の回動端まで回動することを特徴とする首振りノズル。
【請求項2】
前記支持体には、前記管体の支持位置を調整可能な支持位置調整部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の首振りノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−192399(P2012−192399A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188638(P2011−188638)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【特許番号】特許第4926290号(P4926290)
【特許公報発行日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(503332466)有限会社ガリュー (6)
【Fターム(参考)】