説明

馬鈴薯塊茎の発芽阻害のためのC3乃至C14脂肪族アルデヒド類、ケトン類、および一級および二級C3乃至C7脂肪族アルコール類の利用

馬鈴薯塊茎の発芽を阻害する組成物類および方法類を提供する。
前記組成物類は、C3乃至C14脂肪族アルデヒド類およびケトン類、および/またはC3乃至C7一級および二級脂肪族アルコール類を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、馬鈴薯塊茎への適用時に発芽を阻害するようにC3乃至C14脂肪族アルデヒド類、ケトン類、および一級および二級C3乃至C7脂肪族アルコール類を利用することに関する。
【背景技術】
【0002】
馬鈴薯塊茎は、収穫後、自然な休眠期間を通り、その間、新芽成長が内因性ホルモン類によって阻害される。塊茎が休眠から出現し発芽し始めると、呼吸が増大し、デンプンは糖類に異化され、重量損失が増大する。その結果、新鮮市場および加工市場に予定しておいた塊茎品質が低下する。従って、化学的または物理的手段による発芽の阻害は、品質を保持し、貯蔵期間を延長させる。
【0003】
米国内で馬鈴薯での使用を登録した発芽阻害剤類は、CIPC(クロロプロファム、SPROUT NIP(登録商標)等としても公知である)、マレイン酸ヒドラジド(MH)、DMN(ジメチルナフタレン、1,4SIGHT(登録商標)、1,4SEED(登録商標)、1,4SHIP(登録商標)としても公知)、DIPN(ジイソプロピルナフタレン、Amplify(登録商標))、およびクローブオイル(Biox−C(登録商標);Sprout Torch(商標))である。どんどん成長している植物に収穫前に適用されるMHを除いては、阻害剤は全て、塊茎が貯蔵所にある収穫後に適用される。
【0004】
CIPCは、最も有効でかつ最も広く使用される馬鈴薯発芽阻害剤である。この化学物質は、損傷治癒後でかつ発芽前に馬鈴薯貯蔵物に対して加熱エアゾール霧状物として非常に多く適用される。太平洋沿岸北西部においては、休眠が停止する前の11月または12月に通常行われる。前記化学物質は、クロロプロファム1ポンド/600cwtの推奨比率で貯蔵物に対して霧状で吹きかける。CIPCエアゾール等級1ガロンで、馬鈴薯4200cwt(210トン)が処理されるであろう。CIPCを2回適用し、台所に貯蔵した馬鈴薯および加工用馬鈴薯の発芽を阻害しかつその貯蔵期限を最長1年まで延長させる。
【0005】
CIPCは、およそ40年にもわたって馬鈴薯産業で使用されてきた有効な発芽抑制剤であり、EPAは、それをE化学物質類(非発癌性)と見なしている。CIPCは元々、米国内で1962年、発芽前および発芽後除草剤として登録され、EPAは、馬鈴薯塊茎に対する残留限度を設定している。その安全性記録にもかかわらず、今日の傾向は、世界食料供給における残留物の低下のため、農業での合成殺虫剤類の使用を低下させるようになっている。前記化学物質は、それが平均的米国人の食事中で最大濃度であることがわかった3種の殺虫剤類の中にあるので、EPAによって未だに精査されている(非特許文献1)。CIPCは、米国内馬鈴薯中において見られる総合成残留物の90%以上を構成している(非特許文献1)。EPAは最近、CIPCに対して再登録適格性決定を発行し、馬鈴薯の残留物に対する耐容レベル(トレランスレベル)を低下させた。馬鈴薯工業に対しての発芽阻害剤としてのこの化学物質の経済的重要性は、登録業者がこの再登録過程において600万ドル以上を費やしているという事実によって示される。他の有力な発芽抑制剤(例 芳香族アルデヒド類およびアルコール類、菜種油のメチルエステル、カルボン、ジャスモネート類、スペアミントおよびペッパーミントオイル類)も確認されているが、いずれもCIPCほど有効ではないようである。従って、発芽阻害剤類として可能な最も害のない化学物質(理想的には、天然の植物系化学物質類)を同定し開発する必要性が存在している。
【0006】
1,4SIGHT(登録商標)(94.7%DMN=1,4−ジメチルナフタレン)は、発芽調整剤としても登録されている上記のような天然の化学物質であるが、それは、CIPCほど有効ではない傾向がある。DMNは馬鈴薯中に天然に産生される。それは、CIPCよりも揮発性が高く、従って、CIPCよりもより急激に塊茎から拡散する。シーズン中ずっと発芽阻害を維持するためにはDMNを複数回適用することが必要である。DMNを蒸発させ、大量に貯蔵されたものにエアゾールとして適用する。それは塊茎を貯蔵所に入れた後いつでも適用できるが、通常、もっと遅くなって秋または初冬の発芽能力が高まり始めるときに適用される。DMNは、DMN1ポンド/500cwt(=馬鈴薯重量換算でDMNを20ppm)の割合で使用すると登録されている。発芽を長期にわたり阻害するためにはDMNを複数回適用する必要があるがゆえに、DMNはCIPCよりも使用コストが高い。
【0007】
他の揮発性の天然発芽阻害剤類も、同定されている。カルボン(キャラウェイ種子由来)は、オランダで馬鈴薯用途に市販されている(非特許文献2)。下記の米国特許は、馬鈴薯新芽形成阻害のためのさまざまな化合物類の使用を記載している:特許文献1は、ジャスモネート類の使用を記載している;特許文献2は、単独または併用での菜種油および他の長鎖アルコール類の使用を記載している。特許文献3は、(例 ユーカリノキ、ペッパーミント、スペアミント等由来の)揮発性モノテルペン類の使用を述べている;および特許文献4は、芳香族アルデヒド類およびアルコール類の使用を述べている。さらに、特許文献5は、複数のハーブ類(例 セージおよびローズマリ)由来の精油が馬鈴薯中における発芽阻害活性を有していることを明らかにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】LulaiらのUS Pat.No.5,436,226(1995年7月25日)
【特許文献2】WinkelmannらのUS Pat.No.5,580,596(1996年12月3日)
【特許文献3】VaughnらのUS Pat.No.5,139,562(1992年8月16日)
【特許文献4】VaughnらのUS Pat No.5,129,951(1992年7月14日)
【特許文献5】Vokouら(1993)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Gartrell,M.J.,J.C.Craun、D.S.Podrebarac,およびE.L.Gunderson.1986.Pesticides,selected elements, and other chemicals in adult total diet samples October 1980−March 1982(1980年10月から1982年3月までの成人全食事サンプル中における殺虫剤、選択要素類、および他の化学物質類). J.Assoc.Off.Anal.Chem.,69:146−161
【非特許文献2】Hartmans,K.J.,P.Diepenhorst,W.BakkerおよびL.G.M.Gorris.1995。The use of carvone in agriculture−sprout suppression of potatoes and antifungal activity against potato−tuber and other plant−diseases(農業におけるカルボンの使用−馬鈴薯の発芽抑制および馬鈴薯塊茎および他の植物の病気に対する抗真菌活性). Industrial Crops and Products 4:3−13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
安全でかつ有効なかつ環境または人間および他の種の健康に脅威を与えない代替発芽阻害剤類、特に天然化合物類である発芽阻害剤類を提供する必要が未だに残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
馬鈴薯塊茎において発芽の発育を阻害する(例 防止する、妨げる、遅くする、逆転させるかまたはそうでなければ妨害する)新規方法を提供する。この方法には、馬鈴薯塊茎を1種以上のC3乃至C14脂肪族アルデヒド類、ケトン類、およびC3乃至C7脂肪族一級および二級アルコール類に暴露させ塊茎の発芽を阻害する段階が含まれる。このような化合物類の例は、2−ノナノン、ノナナール、2−ヘプタノール、およびトランス−2−ヘプテン−1−オール、およびアルデヒド類およびケトン類の場合3乃至14−炭素または一級または二級アルコール類の場合には3乃至7炭素の同族脂肪族化合物類が含まれる。
【0012】
前記化合物類は、馬鈴薯塊茎に直接適用することもできる。これとは別に、前記化合物類は、Knowlesらの米国特許6,855、699(2005年2月15日)に記載されているもののようなC3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類の分解から誘導することもできる。米国特許6,855、699は、馬鈴薯塊茎発芽を阻害するためのC3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類の使用を記載しており、それらの多くは、果物および野菜類中で天然に産生される。しかし、本文に記載の化合物類を含めてこれらのC3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類の分解産物もまた、この目的のために有用であることが発見された。
【0013】
さらに、本発明は、C3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類を適用した馬鈴薯塊茎中または馬鈴薯塊茎上でそれらの代謝物の出現を検出するための方法を提供する。このような方法には、C3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類の分解または異化を追跡するかまたはモニタリングするために、C3乃至C14脂肪族アルデヒド類およびケトン類および/またはC3乃至C14脂肪族一級または二級アルコール類の量またはレベルを測定することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、C3乃至C14脂肪族アルデヒド類およびケトン類および/またはC3乃至C7脂肪族一級または二級アルコール類が馬鈴薯新芽の発育を阻害するように機能するという発見に基づいている。これらの化合物類は、これまで公知の馬鈴薯塊茎発芽阻害剤類C3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類の代謝物として同定されており、製造、使用および性能において利点を有している。前記化合物類の多くは、天然物であるということ従って実質的に使用上安全でかつ無害であるという利点を付与する。これらの化合物類は、単独でまたは互いに併用して使用することもでき、または他の公知の塊茎発芽阻害剤類、殺虫剤類および成長調整剤と併用することもできる。
【0015】
本発明の実施において使用できる脂肪族C3乃至C14アルデヒド類は、通常、化学式
【0016】
【化1】

【0017】
を有しており、ここで、Rは、C2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルである。本発明のいくつかの態様において、前記アルデヒドは、ノナナール
【0018】
【化2】

または
デカナール
【0019】
【化3】

【0020】
である。
【0021】
本発明の実施において使用できる脂肪族C3乃至C14ケトン類は、通常、化学式
【0022】
【化4】

【0023】
を有しており、ここで、Rは、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、Rは、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルである。RおよびRは、同一であっても異なってもよい。本発明のいくつかの態様において、前記ケトンは、2−ノナノン
【0024】
【化5】

または
3−デカノン
【0025】
【化6】

である。
【0026】
本発明の実施において使用できる脂肪族C3乃至C7一級アルコール類は、通常、化学式
【0027】
【化7】

【0028】
を有しており、ここで、Rは、C2乃至C6分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC2乃至C6分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルである。本発明のさまざまな態様において、前記不飽和C3乃至C7一級アルコールは、1−ヘキサノール
【0029】
【化8】

1−ヘプタノール
【0030】
【化9】

トランス−2−ヘキセン−1−オール
【0031】
【化10】

または
トランス−2−ヘプテン−1−オール
【0032】
【化11】

【0033】
である。
【0034】
本発明の実施において使用できる前記脂肪族C3乃至C7二級アルコール類は、通常、化学式
【0035】
【化12】

【0036】
を有しており、ここで、Rは、C1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルである。Rは、C1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルである。RとRは、同一であっても異なっていてもよい。本発明の1態様において、前記飽和C3乃至C7二級アルコールは、2−ヘプタノール
【0037】
【化13】

【0038】
である。
【0039】
本発明の実施において使用できる追加の化合物類の例を下記に示すが、それらに限定されない。
【0040】
本発明の実施において使用できる脂肪族C3乃至C14アルデヒド類は、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、4−ノネナール、6−ノネナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、およびテトラデカナールを含むが、それらに限定されない。
【0041】
本発明の実施において使用できる脂肪族C3乃至C14ケトン類は、プロパノン、2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、3−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、2−ウンデカノン、2−ドデカノン、2−トリデカノン、および2−テトラデカノンを含むが、それらに限定されない。
【0042】
本発明の実施において使用できる脂肪族C3乃至C7一級アルコール類は、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブテン−1−オール、1−ペンタノール、2−ペンテン−1−オール、1−ヘキサノール、2−ヘキセン−1−オール、および1−ヘプタノールを含むが、それらに限定されない。
【0043】
本発明の実施において使用できる脂肪族C3乃至C7二級アルコール類は、2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、および2−ヘキサノールを含むが、それらに限定されない。
【0044】
我々は、“置換”によって、1価または2価のラジカルによる水素の置換を意味する。適切な置換基類には、例えば、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、イミノ、シアノ、ハロ、チオ、チオアミド、アミジノ、イミジノ、オキソ、オキサミジノ、メソオキサミジノ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ−低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルチオ、アミノアルキル、シアノアルキル等が含まれるが、それらに限定されない。
【0045】
馬鈴薯塊茎への発芽阻害化合物類の適用は、一般的に、当業者に公知である。馬鈴薯塊茎の処理は、例えば、米国特許6,855,699(Knowlesら)において記載されており、その完全な内容を本文で言及し引用している。前記化合物類と発芽阻害を行う馬鈴薯塊茎とが十分に接触する限りにおいていかなる方法で保存または区分けした馬鈴薯に対しても前記化合物類は適用できるので、(このことは必ずしも実態である必要はないが)適用は典型的には貯蔵所にある大量の馬鈴薯に対して行われる。馬鈴薯への前記化合物類の適用は、数種の方法のいずれによっても行うことができる。一般的に、前記化合物(類)は、冷噴霧塗り、または、高温で加熱霧を形成させることによりまたは霧状にすることにより揮発させ、例えば換気系により貯蔵所に導入させるであろう。この導入は、貯蔵期間全体を通して一回だけまたは複数回行う不連続な事象である。これとは別に、徐放性メカニズムまたは製剤を用いることもでき、その中では前記化合物が漸次貯蔵領域に長期にわたり、例えば前記化合物(類)を浸漬したソースから蒸発させることによって入る。さらに、前記化合物類はまた、馬鈴薯貯蔵前、貯蔵中または貯蔵後(例 貯蔵と市販目的のための箱詰めまたは袋詰めの間)前記化合物の液体形状を噴霧するかまたはミスト状として馬鈴薯に適用するのが有効であることもあり、または、前記馬鈴薯を前記化合物に浸漬するかまたはそうでない場合には塗布することによって、適用することもできる。このような化合物類をまた、通常、輸送中および最終目的地(例 家庭、八百屋、レストランおよび他の食品施設類)での発芽を遅延させるため、前駆体または代謝化合物類を利用できるようにするという緊急目的のため、貯蔵小屋または貯蔵所から出した馬鈴薯を入れる消費者用容器(ダンボール箱、黄麻繊維の袋、プラスチックバッグ等)に塗布しまたはそれらを浸漬させるのに用いることができる。このような適用のため、前記化合物類は、また、気体類、液体類、またはゲル類の運搬に適していることが公知のさまざまな他の物質類(例 乳化剤類、徐放性物質類またはマトリックス類等)と混合することもできる。
【0046】
馬鈴薯を本発明の化合物類に暴露するタイミングは、休眠からさめる前または後である。
【0047】
前記化合物の適用は、上記に述べたようにたった1回だけ行うことができる(すなわち、馬鈴薯貯蔵の初期)。これとは別に、栽培品種、馬鈴薯収穫時期、馬鈴薯貯蔵期間、馬鈴薯用途のような要因に応じて、前記化合物類を複数回適用することもできる。例えば、もし前記馬鈴薯を種子馬鈴薯として使用する予定であるならば、馬鈴薯の来るべき発芽が望ましいであろうから、単回適用が必要となるであろう。しかし、馬鈴薯を(例 春または来るべき夏に販売するために冬の間ずっと)長期にわたり貯蔵する予定ならば、複数回の適用が行われる。この場合、1回目の適用は、一般的に、貯蔵過程の初期に行われるであろう(例 収穫後4乃至32週の間)し、その後の適用はまた、必要に応じて馬鈴薯を取り出し使用するまでおよそ4乃至12週間の間隔で行うこともできる。
【0048】
適用される化合物(または化合物類)の量は、馬鈴薯塊茎上での発芽を停止させ、遅くさせ、防止させ、および/または阻害するだけの十分な量である。未処理塊茎等に比べて、新芽の発育は、従って、完全に防止できるかもしくは新芽の開始が遅くなるか、もしくは、既にある新芽を死滅させるか、または、新芽の発育を遅くすることができる。いかなる場合であっても、一般的に、発芽過程が、同様の方法によって前記化合物類に暴露させていないかまたは接触させていない馬鈴薯塊茎に比較して、本文で述べた化合物類またはそれらの前駆体化合物類(例えば、本発明のケトン類およびアルデヒド類およびアルコール類の製造に使用できる前駆体α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類については、米国特許6,855、669を参照)で馬鈴薯塊茎を処理することによって阻害される。一般的に、このような阻害の結果、前記化合物類に暴露させていないかあるいは接触していない馬鈴薯塊茎に比較して、塊茎上に伸びる新芽の数、長さ、または新鮮重量が低下し、および/または、処理塊茎上に伸びた新芽の成長速度(長さ、数および/または重量によって決定)が遅れるであろう。前記低下は、少なくとも約10乃至100%の範囲、好適には約50乃至100%の範囲、そして最も好適には約75乃至100%の範囲であろう。従って、処理塊茎は、未処理塊茎に比較して、約10,20,30,40,50,60,70,80,90、または100%の新芽発育低下を示すであろう。
【0049】
本発明により発芽阻害に使用される化合物(または化合物類混合物)の量は、状況に応じて変化させることもできる。しかし、前記量は、一般的に、約0.1mmol/kg新鮮塊茎重量乃至約3.0mmol/kg新鮮塊茎重量の範囲であろう。
【0050】
本発明によれば、本発明の化合物類は、直接適用することもできるが、または、それらは、限定されないが本文に記載のものおよび米国特許6,855、669に記載のもののような前駆体化合物類の適用による代謝物として間接的に生ずることもある。本発明の化合物類はまた、塊茎に適用すると活性形態として放出される不活性の化学的に関連した種の製剤を適用することから誘導することもできる。この化学物質の例は、前記活性アルデヒドのアセタールまたはヘミアセタールまたは活性ケトンのケタールまたはヘミケタールである。前記化合物類は、馬鈴薯処理に用いられる他の物質類と併用して適用でき、それらの例には、発芽を同様に阻害する他の物質類が含まれるが、それらに限定されない。この場合、本発明の化合物類の使用は、使用がそれほど望ましくない別の物質(例 天然由来でない、より高価である、有毒である等の物質)をより少なく使用できるようにする。このような併用はまた、本発明の化合物類をより低用量で使用できるようにする。
【0051】
本発明の実施に使用するための化合物類の調製は、当業者に公知である。前記化合物類の多くは、市販されている。他は、周知の方法によって合成することもできる。さらに、天然起源から単離することもでき、例えば、それらが天然に産生されるかまたはそれらの前駆体類が産生される馬鈴薯または他の植物類から単離できる。これとは別に、前記化合物類は、前記化合物類を過剰産生するように遺伝子工学で処理した植物類または他の生物類で産生させることもできる。本発明の方法のひとつの利点は、前記方法で用いた化合物類のいくつかの取得が比較的廉価で、または、馬鈴薯塊茎に適用され従ってより高価な代替物に比較して利点を生ずる比較的廉価なα,β−不飽和カルボニル類の代謝から生ずると予測できる。
【0052】
本発明は、馬鈴薯塊茎がこれまでC3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類またはケトン類に暴露したかどうかを決定するための方法類を含む。過去の暴露の検出は、代謝物(例 C8−C14アルコール類)を産生する未登録であるかまたは法律に違反して適用されたα,β−不飽和カルボニル類で処理した馬鈴薯塊茎を同定する際に重要である。このような方法類には、一般的に、C3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびC4乃至C14α,β−不飽和ケトン類の変換を、これらの物質の分解によって産生された代謝物を検出することによって、モニタリングすることを含む。代謝物が重要な前駆体化合物類には、米国特許6,855、699に開示されたものを含む。このような分解産物類は、前駆体適用方法(例 冷霧状物適用、加熱霧状物適用、直接噴霧、徐放性マトリックス等)にかかわらず、出現する。前記前駆体類は、阻害量の代謝物類になるかまたは産生するのに十分な量で適用される。
【0053】
代表的前躯体C3乃至C14不飽和脂肪族アルデヒド親分子類は、式
【0054】
【化14】

【0055】
によって表され、前記C4乃至C14不飽和脂肪族ケトン親分子類は、式
【0056】
【化15】

【0057】
によって表され、
ここで、Rは、Hまたは分枝状または非分枝状の、置換または無置換のC1乃至C11低級アルキル、または分枝状または非分枝状の、置換または無置換のC1乃至C11低級アルケニルであり、Rは、Hまたは分枝状または非分枝状の、置換または無置換のC1乃至C10低級アルキル、または分枝状または非分枝状の、置換または無置換のC1乃至C10低級アルケニルである。Rは、分枝状または非分枝状の、置換または無置換のC1乃至C11低級アルキル、または分枝状または非分枝状の、置換または無置換のC1乃至C11低級アルケニルである。分解産物が追跡される好適な脂肪族アルデヒドには、トランス−2−ペンテナール;トランス−2−ヘキセナール;トランス−2−ヘプテナール;トランス−2−オクテナール;トランス−2−ノネナール;トランス−2−デセナール;トランス−2−ウンデセナール;トランス−2−ドデセナール;トランス、トランス−2,4−ノナジエナール;およびトランス−2、シス−6−ノナジエナールが含まれる。分解産物が追跡される好適な脂肪族ケトン類には、トランス−3−ヘプテン−2−オン、トランス−3−オクテン−2−オン、トランス−3−ノネン−2−オン、およびトランス−3−デセン−2−オンが含まれる。
【0058】
本発明の方法類によって検出される分解産物類には、例えば、化学式
【0059】
【化16】

【0060】
を有する脂肪族アルデヒド類が含まれ、
式中、Rは、C2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキルまたはC2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルである。
【0061】
本発明の実施において検出できるケトン類は、一般的に化学式
【0062】
【化17】

【0063】
を有し、
式中、Rは、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換の不飽和アルケニルである。Rは、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換の不飽和アルケニルである。RおよびRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0064】
本発明の実施において検出できる脂肪族C3乃至C14一級アルコール類は、一般的に化学式
【0065】
【化18】

【0066】
を有し、
式中、Rは、C2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキル、またはC2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の不飽和アルケニルである。
【0067】
本発明の実施において検出できる脂肪族C3乃至C14二級アルコール類は、一般的に化学式
【0068】
【化19】

【0069】
を有し、
式中、Rは、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換の不飽和アルケニルである;R6は、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換の不飽和アルケニルである。RおよびRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0070】
好適な態様において、C3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類の代謝物類には、親化合物と同一の炭素数を有する一級アルコール類、アルデヒド類およびα,β−不飽和一級アルコール類が含まれるが、それらに限定されない。例えば、トランス−2−ノネナールは、ノナナール、1−ノナノールおよびトランス−2−ノネン−1−オールに代謝されると予測される。
【0071】
他の好適な態様において、C4乃至C14α,β−不飽和ケトン類の代謝物には、親化合物と同一の炭素数を有しておりかつ親化合物の(先の)カルボニル炭素に結合したヒドロキシルを有する飽和ケトンまたは二級アルコールが含まれるが、これらに限定されない。例えば、トランス−3−ノネン−2−オンは、2−ノナノンおよび2−ノナノールに代謝されると予測される。
【0072】
これらの代謝物を検出する好適な方法類には、塊茎組織の溶媒抽出または固相ミクロ抽出と、その抽出物の例えば高速液体クロマトグラフィ−マス分光分析またはガスクロマトグラフィ−マス分光分析による分析が含まれるが、それらに限定されない。馬鈴薯塊茎組織中における分解産物レベルは、栽培品種、親化合物(類)への暴露時間、貯蔵時間および貯蔵温度等に依存するであろう。一般的に、約14ng/g新鮮重量から約1000ng/g新鮮重量、好適には未処理馬鈴薯中に存在するレベルの少なくともおよそ2倍の範囲のレベルにある1種以上の分解産物の存在の検出は、馬鈴薯塊茎が過去にC3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類に暴露したことを確立するに十分である。当業者は、対照馬鈴薯が、典型的には、外来性起源のC3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類に暴露させなかったが、馬鈴薯塊茎に天然に実際に出現する問題の代謝物類をバックグラウンドレベルで天然に含有することもある馬鈴薯であることを認識するであろう。
【0073】
下記の非限定的実施例は、さらに本発明の実施を例示するのに役立つ。
【実施例】
【0074】
【実施例1】
【0075】
3−ノネン−2−オン(3N2)およびトランス−2−ノネナール(T2N)の代謝物類の決定
【0076】
本研究の目的は、米国特許6,855,699に記載のような馬鈴薯発芽を阻害するα,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類の2つの例である3−ノネン−2−オン(3N2)およびトランス−2−ノネナール(T2N)の代謝物類を決定することであった。馬鈴薯塊茎は、3N2またはT2N(0.75mmol/kg塊茎)で24時間、閉チェンバー中で処理した。前記化学物質類は、チェンバー内部のろ紙から揮発させた。塊茎は、処理チェンバーから除去し、最長28日まで9℃に置いた。
【0077】
サンプルを、28日間の貯蔵期間にわたり残留物の解析と代謝物同定のために採取した。図1は、塊茎が3N2を2−ノナノンおよび2−ノナノールに代謝したことを示している。2−ノナノールは最も持続性であり、3N2処理後28日間全期間にわたり最も外側の20mmの塊茎中で1.2ppm残留を維持していた(図1)。塊茎を同様にT2Nで処理すると、代謝物は、トランス−2−ノネン−1−オール、ノナナールおよび1−ノナノールであった(図2)。残留物レベルの傾向は3N2の傾向と類似しており、最も持続性の高い代謝物は、トランス−2−ノネン−1−オールであった。
【実施例2】
【0078】
ノナナール、1−ノナノール、およびトランス−2−ノネン−1−オールの馬鈴薯塊茎発芽阻害剤類としての使用
【0079】
本研究の目的は、T2Nに対して、ノナナール、1−ノナノール、およびトランス−2−ノネン−1−オール(T2Nの代謝物)の馬鈴薯塊茎発芽阻害の程度を決定することであった。塊茎は、T2N,ノナナール、1−ノナノール、およびトランス−2−ノネン−1−オールの0.25、0.5および0.75mmol/kgで実施例1に記載のように別々に24時間処理した。処理塊茎を19℃に置き、新芽新鮮重量を、処理21日後に測定した。未処理対照塊茎に対しての発芽阻害百分率を、表1に示す。T2Nは、全ての濃度で発芽を(100%)阻害した。ノナナールおよび1−ノナノールは、使用した化合物およびその濃度に応じて発芽を13乃至51%阻害した。
【0080】
【表1】

【0081】
【実施例3】
【0082】
2−ノナノンおよび2−ノナノールの馬鈴薯塊茎発芽阻害剤としての使用
【0083】
本研究の目的は、3N2に対して、2−ノナノンおよび2−ノナノール(T2Nの代謝物)の馬鈴薯塊茎発芽阻害の程度を決定することであった。塊茎は、3N2,2−ノナノンおよび2−ノナノールの0.25、0.5および0.75mmol/kgで実施例1に記載のように別々に処理した。処理塊茎を18℃に置き、新芽新鮮重量を、処理21日後に測定した。未処理対照に対して、3種の化合物類は全て、0.5および0.75mmol/kgで発芽を阻害した(表2)。0.50および0.75mmol/kgにおいて、3N2および2−ノナノンは、実質的に新芽成長を阻害した。
【0084】
【表2】

【0085】
【実施例4】
【0086】
3N2および2−ノナノン混合物の馬鈴薯塊茎発芽阻害剤類としての使用
【0087】
本研究の目的は、3N2およびその代謝物2−ノナノン混合物類の発芽阻害に及ぼす有効性を決定することであった。実施例1に記載のように、塊茎を0乃至0.75mmol/kgの2−ノナノンと因子として組み合わせた0乃至0.75mmol/kgの3N2で処理した。処理塊茎を22℃に置き、処理21日後に新芽新鮮重量を測定した。0.75%3N2単独適用に対して9%であったのに比較して、0.5および0.75mmol/kgの2−ノナノン処理塊茎からの新芽成長が、未処理対照塊茎の平均58%であった(図3)。0.25mmol/kgの3N2+0.5mmol/kgの2−ノナノン処理は、0.75mmol/kgの3N2処理と同程度に発芽を阻害した。
【実施例5】
【0088】
馬鈴薯塊茎発芽阻害剤としてのC3乃至C7アルコール類の使用
【0089】
本研究の目的は、1−ヘプタノール、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、トランス−2−ヘプテン−1−オール、トランス−2−ヘキセン−1−オールおよび1−ペンタノール(C5乃至C7アルコール類)が馬鈴薯塊茎発芽を阻害する程度を決定することであった。実施例1に記載のように、塊茎を各アルコール0.25、0.5、0.75または1mmol/kgで別々に24時間、処理した。処理塊茎を18℃に置き、処理21日後に新芽新鮮重量を測定した。全化合物類が発芽を阻害した(表3)。C7アルコール類は、処理の詳細に応じて、約50乃至約100%だけ発芽を阻害した。
【0090】
【表3】

【0091】
【実施例6】
【0092】
馬鈴薯塊茎における長期発芽阻害のための脂肪族アルデヒド、脂肪族ケトンおよび2種の脂肪族アルコール類の使用
【0093】
本研究の目的は、トランス−2−ヘキセン−1−オール、2−ヘプタノール、デカナール、および3−デカノンが典型的商業的貯蔵条件下で長期貯蔵中に発芽を阻害する程度を決定することであった。プレミアラセット(Premier Russet)塊茎は、190Lのプラスチックバケツ中、室温で各化合物0.75mmol/kgで別々に処理した。化学物質類は、適用中24時間密封されていたバケツ内部でろ紙から揮発させた。その後、塊茎を9℃に貯蔵し、毎月サンプリングし、塊茎1個毎に発芽量を決定した。処理は全て、貯蔵第2月および第3月の間に、再適用した。未処理塊茎に対して、各処理を行った塊茎1個毎の経時的新芽新鮮重量を、図4に示す。トランス−2−ヘキセン−1−オールは、周皮に対する過剰な損傷のために83日後に本研究から除外したが、この時点まで発芽コントロールは有効に行われた。2−ヘプタノールおよびデカナールは、114日間(コントロール約4ヶ月間)発芽を抑制した。3−デカノンは、83日間発芽を抑制した。
【0094】
本発明を好適な実施の態様の観点から述べてきたが、当業者は、本発明を、特許請求の範囲の精神と範囲の中で改変して実施できることを理解するであろう。従って、本発明は、上述のような態様に限定してはならず、さらに、本文に示した明細書の精神と範囲においてその全ての修飾物および均等物を含む。
【産業上の利用可能性】
【0095】
環境または人間その他の種の健康に悪影響を及ぼさない天然化合物から成る発芽阻害剤の製造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】0.75mmol/kgの3−ノネン−2−オンで最初に処理し9℃に貯蔵した塊茎中における3−ノネン−2−オン、2−ノナノンおよび2−ノナノールのレベル。塊茎外側20mm中における残留物含量。
【図2】0.75mmol/kgのトランス−2−ノネナールで最初処理し9℃に貯蔵した塊茎中におけるトランス−2−ノネナール、ノナナール、トランス−2−ノネン−1−オールおよび1−ノナノールのレベル。塊茎外側20mm中における残留物含量。
【図3】ラセットバーバンク(Russet Burbank)塊茎の発芽に及ぼす2−ノナノンとさまざまに組み合わせた3−ノネン−2−オン(3N2)の効果。前記化合物類は、実施例1に記載のように適用した。塊茎は24時間処理し、処理チェンバーから取り出し、新芽が出るまで3週間22℃に置いた。新芽の新鮮重量は、100%発芽した対照(未処理)に対する百分率として示した。
【図4】9℃において長期貯蔵中のプレミアラセット(Premier Russet)塊茎の発芽に及ぼすトランス−2−ヘキセン−1−オール、2−ヘプタノール、デカナールおよび3−デカノンの効果。化合物類は、収穫98日後に休眠からさめて小さな(<3mm)新芽を出した塊茎に最初に適用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
馬鈴薯塊茎の発芽を阻害する方法であって、
前記馬鈴薯塊茎の発芽を十分に阻害する量の組成物に前記馬鈴薯塊茎を暴露させることを含み、前記組成物が、
1種以上のC3乃至C14脂肪族アルデヒド類;
1種以上のC3乃至C14脂肪族ケトン類;
1種以上のC3乃至C7脂肪族一級アルコール類;および
1種以上のC3乃至C7脂肪族二級アルコール類
の少なくとも1種を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記1種以上のC3乃至C14脂肪族アルデヒド類が、化学式
【化1】

を有し、
式中、Rが、C2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキル、またはC2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の不飽和アルケニルであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1種以上の脂肪族アルデヒド類が、ノナナール
【化2】

および
デカナール
【化3】

から構成される群から選択されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記1種以上のC3乃至C14脂肪族ケトン類が、化学式
【化4】

を有し、
式中、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、ここで、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよいことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記1種以上の脂肪族ケトン類が、2−ノナノン
【化5】

および3−デカノン
【化6】

から構成される群から選択される請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記1種以上のC3乃至C7脂肪族一級アルコール類が、化学式
【化7】

を有し、
式中、Rが、C2乃至C6分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC2乃至C6分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記1種以上のC3乃至C7脂肪族一級アルコール類が、1−ヘキサノール
【化8】

1−ヘプタノール
【化9】

トランス−2−ヘキセン−1−オール
【化10】

および
トランス−2−ヘプテン−1−オール
【化11】

から構成される群から選択されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記1種以上のC3乃至C7脂肪族二級アルコール類が、化学式
【化12】

を有し、
式中、Rが、C1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、Rが、C1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、RとRが、同一であっても異なっていてもよいことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記1種以上のC3乃至C7脂肪族二級アルコール類が、2−ヘプタノール
【化13】

であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
馬鈴薯塊茎の発芽を阻害する組成物の調製に使用するための組成物であって、前記組成物が、
1種以上のC3乃至C14脂肪族アルデヒド類;
1種以上のC3乃至C14脂肪族ケトン類;
1種以上のC3乃至C7脂肪族一級アルコール類;および
1種以上のC3乃至C7脂肪族二級アルコール類
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項11】
前記1種以上のC3乃至C14脂肪族アルデヒド類が、化学式
【化1】

を有し、
式中、Rが、C2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキル、またはC2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の不飽和アルケニルであることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記1種以上の脂肪族アルデヒド類が、ノナナール
【化2】

および
デカナール
【化3】

から構成される群から選択されることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記1種以上のC3乃至C14脂肪族ケトン類が、化学式
【化4】

を有し、
式中、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、ここで、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよいことを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項14】
前記1種以上の脂肪族ケトン類が、2−ノナノン
【化5】

および
3−デカノン
【化6】

から構成される群から選択される請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記1種以上のC3乃至C7脂肪族一級アルコール類が、化学式
【化7】

を有し、
式中、Rが、C2乃至C6分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC2乃至C6分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであることを特徴とする請求項9記載の組成物。
【請求項16】
前記1種以上のC3乃至C7脂肪族一級アルコール類が、
1−ヘキサノール
【化8】

1−ヘプタノール
【化9】

トランス−2−ヘキセン−1−オール
【化10】

および
トランス−2−ヘプテン−1−オール
【化11】

から構成される群から選択されることを特徴とする請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記1種以上のC3乃至C7脂肪族二級アルコール類が、化学式
【化12】

を有し、
式中、Rが、C1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、Rが、C1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C5分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、RとRは、同一であっても異なっていてもよいことを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項18】
前記1種以上のC3乃至C7脂肪族二級アルコール類が、2−ヘプタノール
【化13】

であることを特徴とする請求項17記載の組成物。
【請求項19】
馬鈴薯塊茎が過去にC3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類またはケトン類に暴露したかどうかを判定する方法であって、
前記馬鈴薯塊茎中または馬鈴薯塊茎上で前記C3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類またはケトン類の1種以上の分解産物を検出することを含み、前記1種以上の分解産物の検出が、前記馬鈴薯塊茎が前記C3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類またはケトン類に過去に暴露したことを示唆することを特徴とする方法。
【請求項20】
前記1種以上の分解産物が、
i)化学式
【化1】

を有する脂肪族アルデヒド類
(式中、Rは、C2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキル、またはC2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の不飽和アルケニルである)と、
ii)化学式
【化4】

を有する脂肪族ケトン類
(式中、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、ここで、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよい)と、
iii)化学式
【化7】

を有するC3乃至C14脂肪族一級アルコール類
(式中、Rが、C2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルである)と、
iv)化学式
【化12】

を有するC3乃至C14脂肪族二級アルコール類
(式中、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、RとRは同一であっても異なっていてもよい)と
を含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
馬鈴薯塊茎中または馬鈴薯塊茎上のC3乃至C14α,β−不飽和アルデヒド類およびケトン類の分解産物を定量する方法であって、
前記馬鈴薯塊茎のサンプルを得る過程と、
前記馬鈴薯塊茎中または馬鈴薯塊茎上における前記分解産物の量を定量する過程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記分解産物が、
i)化学式
【化1】

を有する脂肪族アルデヒド類
(式中、Rが、C2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の飽和アルキル、またはC2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換の不飽和アルケニルである)と、
ii)化学式
【化4】

を有する脂肪族ケトン類
(式中、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、ここで、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよい)と、
iii)化学式
【化7】

を有するC3乃至C14脂肪族一級アルコール類
(式中、Rが、C2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC2乃至C13分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルである)と、
iv)化学式
【化12】

を有するC3乃至C14脂肪族二級アルコール類
(式中、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、Rが、C1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換飽和アルキル、またはC1乃至C12分枝状または非分枝状の、置換または無置換不飽和アルケニルであり、RとRは、同一であっても異なっていてもよい)と
を含むことを特徴とする請求項21記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−535860(P2010−535860A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521090(P2010−521090)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/072402
【国際公開番号】WO2009/023498
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(502168127)ワシントン・ステート・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】