説明

駅務システム及び駅務処理方法

【課題】非磁気化券及び交通系ICカードに対応することができる駅務システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、駅務機器側システムと監視室側システムとを含む駅務システムであって、駅務機器側システムは、乗車券の券面を読み取る読取手段と、記憶媒体に対するデータの読み書きを行うリーダライタ手段とを有し、監視室側システムは、読取手段が読み取った券面を含む画面を表示する第一の表示制御手段と、画面を介したユーザ操作に応じて、乗車券の精算金額情報を駅務機器側システムの駅務機器に対して送信する第一の送信制御手段と、リーダライタ手段が記憶媒体から読み取った交通系データを含む画面を表示する第二の表示制御手段と、画面を介したユーザ操作に応じて、リーダライタ手段に対して記憶媒体へのデータの書き込み命令を送信する第二の送信制御手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅務機器側システムと監視室側システムとを含む駅務システム及び駅務システムにおける駅務処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動改札機で読み取ることができなった白券等の非磁気化券や磁気データが壊れてしまった磁気化券(以下、非磁気化券という)の精算処理を遠隔で行うことを目的とした従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。
一方、近年、交通系ICカードが普及している。
【0003】
【特許文献1】特開平11−161823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、交通系ICカードの遠隔での駅務処理を行うことができない問題があった。
【0005】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、非磁気化券及び交通系ICカードに対応した駅務処理を遠隔で行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駅務機器側システムと監視室側システムとを含む駅務システムであって、前記駅務機器側システムは、乗車券の券面を読み取る読取手段と、記憶媒体に対するデータの読み書きを行うリーダライタ手段とを有し、前記監視室側システムは、前記読取手段が読み取った券面を含む画面を表示する第一の表示制御手段と、前記画面を介したユーザ操作に応じて、前記乗車券の精算金額情報を前記駅務機器側システムの駅務機器に対して送信する第一の送信制御手段と、前記リーダライタ手段が記憶媒体から読み取った交通系データを含む画面を表示する第二の表示制御手段と、前記画面を介したユーザ操作に応じて、前記リーダライタ手段に対して記憶媒体へのデータの書き込み命令を送信する第二の送信制御手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明は、駅務機器側システムと監視室側システムとを含む駅務システムにおける駅務処理方法であって、前記駅務機器側システムが、乗車券の券面を読み取る読取ステップと、前記監視室側システムが、前記読取ステップにおいて読み取った券面を含む画面を表示する第一の表示ステップと、前記監視室側システムが、前記画面を介してユーザ操作に応じて、前記乗車券の精算金額情報を前記駅務機器側システムの駅務機器に対して送信する第一の送信ステップと、前記駅務機器側システムが、記憶媒体からデータを読み取るリーダステップと、前記監視室側システムが、前記リーダステップにより読み取られた交通系データを含む画面を表示する第二の表示ステップと、前記監視室側システムが、前記第二の表示ステップで表示された画面を介したユーザ操作に応じて、前記駅務機器側システムに対して記憶媒体へのデータの書き込み命令を送信する第二の送信ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
ここで、記憶媒体とは、例えばICチップが内蔵された交通系ICカード、又はICチップが内蔵された携帯端末装置等に対応する。読取手段とは、例えば後述する券面読取機の券面カメラ制御部等に対応する。リーダライタ手段とは、例えば後述する券面読取機のリーダ制御部や、ライタ制御部等に対応する。第一の表示制御手段とは、例えば後述する操作卓のGUI制御部等に対応する。第一の送信手段とは、例えば後述する操作卓の送信制御部等に対応する。第二の表示制御手段とは、例えば後述する窓口精算機のGUI制御部等に対応する。第二の送信手段とは、例えば後述する窓口精算機の送信制御部等に対応する。また、特許請求の範囲に記載の第一の情報処理装置とは、例えば後述する操作卓等に対応する。特許請求の範囲に記載の第二の情報処理装置とは、例えば後述する窓口精算機等に対応する。特許請求の範囲に記載の第一の通信路とは、例えば後述するLAN等に対応する。特許請求の範囲に記載の第二の通信路とは、例えば後述するシリアルケーブル等に対応する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非磁気化券及び交通系ICカードに対応した駅務処理を遠隔で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第一の実施形態)
図1は、駅務システム1のシステム構成の一例を示す図である。この駅務システム1は、駅務機器側システム2と監視室側システム3とを含んで構成される。
【0011】
駅務機器側システム2は、駅構内に設置される精算機11と、この精算機11に隣接して設置される券面読取機12と、監視カメラ13とを含んで構成される。駅務機器側システム2は、自動改札機で入場した駅構内であって係員が存在しない無人コーナに設けられている。
【0012】
監視室側システム3は、操作卓14と、インターホン親機15と、制御サーバ16と、窓口精算機17とを含んで構成される。監視室側システム3は、駅務機器側システム2が設けられている駅の同構内であって係員が存在する有人コーナや、異なる駅であって係員が存在する有人駅に設けられている。駅務機器側システム2と監視室側システム3とは、LAN4と、シリアルケーブル5とを介して接続されている。
【0013】
本駅務システムの処理について、乗客が所有する乗車券が非磁気化券である場合について簡単に説明する。まず、券面読取機12は乗車券の券面を読み取る。読み取られた乗車券の券面データは、LAN4を介して制御サーバ16を経由し、操作卓14に送信される。係員は操作卓14に表示された乗車券の券面から精算金額を算出し、操作卓14に入力する。入力された精算金額の情報は制御サーバ16を経由し、LAN4を介して精算機11に送信される。精算機11は、乗客がその精算金額を投入することで、精算券を発行する。乗客は発行された精算券を利用することで、自動改札機から出場することができる。
【0014】
次に、本駅務システムの処理について、乗客が所有するICチップが内蔵された交通系ICカード、又はICチップが内蔵された携帯端末装置等(以下、ICカードという)で自動改札機を通過することができない場合について簡単に説明する。まず、券面読取機12はICカードに記憶されているデータを読み込む。読み込まれたICカードのデータは、シリアルケーブル5を介して窓口精算機17に送信される。係員は、窓口精算機17に表示されたICカードの内容から後述する出場処理を行うかの判断をする。出場処理を行う判断をした場合、係員は窓口精算機17で出場処理を行う旨の選択を行う。出場処理を行う旨の情報はシリアルケーブル5を介して券面読取機12に送信される。券面読取機12は、ICカードに出場処理に関する情報を書き込む。乗客は書き込まれたICカードを利用することで、自動改札機を通過することができる。
【0015】
なお、図1では、精算機11は1つで構成されているが、複数で構成されていてもよい。また、図1では、券面読取機12は1つで構成されているが、複数で構成されていてもよく、また精算機11の数に合わせて(つまり、精算機11との組み合わせで)構成されていてもよい。また、図1では、監視カメラ13は、1つで構成されているが、複数で構成されていてもよく、精算機11又は券面読取機12の数に合わせて構成されていてもよい。また、図1では、操作卓14は1つで構成されているが、複数で構成されていてもよい。また、図1では、窓口精算機17は1つで構成されているが、複数で構成されていてもよい。
【0016】
次に、駅務機器側システム2の各構成について説明する。
精算機11は、乗り越した乗車券に対して精算処理を行う駅務機器であり、そのハードウェア構成を図2に示す。図2は、駅務機器のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0017】
精算機11は、ハードウェア構成として、CPU21と、記憶装置22と、表示装置23と、入力装置24と、通信装置25と、磁気データ読取装置26と、発券装置27と、リーダ/ライタ装置28とを含んで構成される。また、各構成はバス29を介して接続される。
【0018】
CPU21は、記憶装置22に記憶されたプログラムに従って、乗り越した乗車券やICカードに対する精算処理や、ICカードのSF(Stored Fare)エリアに対して金額を追加する、所謂チャージ処理を行う。記憶装置22には、精算処理やチャージ処理等に関するプログラムが記憶されている。
【0019】
表示装置23は、タッチパネル式のディスプレイであり、乗り越し料金の表示をしたりICカードに対するチャージ金額を選択する選択画面を表示したりする。入力装置24は、表示装置23のタッチパネル式のディスプレイと共通であり、チャージ金額を選択して入力することができる。通信装置25は、投入された硬貨や乗車券が詰まった場合等に異常発生信号を監視室側システム3に送信したり、監視室側システム3から送信された乗車券の精算金額の情報を受信したりする。
【0020】
磁気データ読取装置26は、投入された乗車券の磁気データから有効区間等を読み取る。発券装置27は、磁気データ読取装置26で読み取られた有効区間等に基づいてCPU21が、プログラムに従って、精算金額を表示装置23に表示し、精算料金が投入されることにより精算券を発行する。リーダ/ライタ装置28は、ICカードのチャージ金額を読み込んだり、入力装置24で選択して入力されたチャージ金額をICカードに書き込んだりする。
【0021】
このように、精算機11を用いることで乗り越した乗車券に対する精算処理やチャージ金額が不足しているICカードに対してのチャージ処理を、係員を介さず行うことができる。
【0022】
券面読取機12は、自動改札機や精算機11で読み取ることができない白券等の乗車券や磁気データが壊れてしまった乗車券の券面を読み取ることができる。また、券面読取機12は、何らかの原因で自動改札機においてエラー処理され、自動改札機を通過することができないICカードのデータを読み取り、監視室側システム3からの指示に応じて、データを書き込むことができる。
【0023】
券面読取機12のハードウェア構成を図3に示す。図3は、券面読取機12のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0024】
券面読取機12は、ハードウェア構成として、券面カメラ30と、呼出ボタン31と、インターホン子機32と、リーダ/ライタ装置33と、通信装置34と、CPU36と、記憶装置37と、を含んで構成される。また各構成はバス35を介して接続される。
【0025】
CPU36は、記憶装置37に記憶された券面読取機用のプログラムを読み出して、実行することで、券面読取機12の機能や処理等を実現する。記憶装置37には、券面読取機用のプログラムが記憶されている。また、記憶装置37には、券面カメラ30で読み取られた乗車券の券面データやリーダ/ライタ装置33で読み込まれたICカードのデータ等が記憶されている。
【0026】
券面カメラ30は、乗車券の券面を撮影して読み取りを行う。インターホン子機32は、監視室側システム3のインターホン親機15との間の通話を可能にする。リーダ/ライタ装置33は、ICカードに記憶されたデータを読み込んだり、ICカードにデータを書き込んだりする。通信装置34は、券面カメラ30で読み取られた乗車券の券面データやリーダ/ライタ装置33で読み込まれたICカードのデータを送信したり、リーダ/ライタ装置33でICカードに書き込むデータを受信したりする。
【0027】
監視カメラ13は、精算機11、券面読取機12及びこれらの駅務機器を利用する乗客を監視するカメラである。監視カメラ13は、撮像した撮像データを、LAN4を介して監視室側システム3に送信する。
【0028】
次に、監視室側システム3の各構成について説明する。
操作卓14は、PC(パーソナルコンピュータ)であり、券面読取機12の券面カメラ30で読み取られた乗車券の券面データを表示したり、券面データに応じた係員の操作に従って後述する処理を行ったりする。操作卓14のハードウェア構成を図4に示す。図4は、操作卓14のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0029】
操作卓14は、CPU41と、記憶装置42と、表示装置43と、入力装置44と、通信装置45とを含んで構成される。また各構成はバス46を介して接続される。
【0030】
CPU41は、記憶装置42に記憶された操作卓用のプログラムを読み出して、実行することで、操作卓14の機能や処理等を実現する。記憶装置42には、操作卓用のプログラム等が記憶されている。表示装置43は、CPU41の制御に基づいて、監視カメラ13によって撮像された撮像データ、券面カメラ30で読み取られた乗車券の券面データ等を含む後述する図7に示すような画面を表示する。入力装置44は、キーボートやマウスである。係員は、入力装置44を操作して、後述する図7に示すような画面を介して、券面カメラ30で読み取られた乗車券の券面データから乗車券の精算金額を入力したり、表示装置43に表示された画面に含まれる選択項目から一つの選択項目を選択し、入力したりすることができる。通信装置45は、乗車券の精算金額の情報を精算機11に送信したり、券面カメラ30で読み取られた券面データ等のデータを券面カメラ30(又は券面読取機12)より受信したりする。
【0031】
ここで、窓口精算機17のハードウェア構成も、図4に示した操作卓14のハードウェア構成と同様である。窓口精算機17のCPUが窓口精算機17のHD等に記憶されている窓口精算用のプログラムを読み出して、実行することで、窓口精算機17の機能や処理等を実現する。
【0032】
窓口精算機17の入力装置も、キーボートやマウスである。係員は、窓口精算機の入力装置を操作して、窓口精算機17の表示装置に表示された後述する図9に示されるような画面を介して、リーダ/ライタ装置33に対するICカードへのデータの書き込み命令を入力することができる。窓口精算機17の通信装置は、リーダ/ライタ装置33で読み込まれたICカードのデータを券面読取機12より受信したり、券面読取機12に対してICカードに書き込むデータ(又は所定のデータを書き込み旨の書き込み命令)を送信したりする。
【0033】
また、制御サーバ16のハードウェア構成も、図4に示した操作卓14のハードウェア構成と同様である。制御サーバ16のCPUが制御サーバ16のHD等に記憶されている制御サーバ用のプログラムを読み出して、実行することで、制御サーバ16の機能や処理等を実現する。なお、制御サーバ16は、ハードウェア構成として、表示装置や、入力装置は必須のハードウェアではない。また、1つの券面読取機12と1つの操作卓14とで構成される駅務システムの場合、制御サーバ16は駅務システムに存在しなくてもよい。
【0034】
ここで、制御サーバ16は、複数の券面読取機12と複数の操作卓14との間の接続を管理する。制御サーバ16の通信装置は、インターホン子機32からの呼出をインターホン親機15に接続させたり、券面カメラ30で読み取られた券面データを券面読取機12から受信し、接続しているインターホン親機15に対応する操作卓14に送信したりする。
【0035】
なお、駅務機器側システム2と、監視室側システム3の操作卓14及びインターホン親機15との間のデータの送信は、制御サーバ16を介して行われる。しかしながら、以下では説明を簡略化するため、制御サーバ16を介して各種データを送受信する処理は省略して説明する。
【0036】
次に、CPU36、記憶装置37及び券面読取機用のプログラム等から構成される、券面読取機12の機能構成の一例を図5に示す。図5は、券面読取機12の機能構成の一例を示す図である。図5に示されるように、券面読取機12は、機能構成として、券面カメラ制御部51と、インターホン子機制御部52と、リーダ制御部53と、ライタ制御部54と、送信制御部55と、受信制御部56と、を含んでいる。
【0037】
券面カメラ制御部51は、乗車券の券面を読み取るために、券面カメラ30を介した乗車券の券面の撮影を制御する。インターホン子機制御部52は、インターホン子機32を介したインターホン親機15との音声データの送受信を制御する。リーダ制御部53は、リーダ/ライタ装置33を介したICカードのデータの読み込みを制御する。ライタ制御部54は、リーダ/ライタ装置33を介してICカードに対するデータの書き込みを制御する。
【0038】
送信制御部55は、通信装置34を介した操作卓14及び窓口精算機17へのデータの送信を制御する。より具体的に説明すると、送信制御部55は、券面カメラ30で撮影された券面や、インターホン子機32を介したインターホン親機15との音声データは、LAN4を介して操作卓14に送信するよう制御し、リーダ/ライタ装置33で読み取ったICカードのデータは、シリアルケーブル5を介して窓口精算機17に送信するよう制御する。
【0039】
受信制御部56は、通信装置34を介した操作卓14及び窓口精算機17からのデータの受信を制御する。より具体的に説明すると、受信制御部56は、LAN4を介した操作卓14からの命令(又はデータ)を受信するよう制御したり、シリアルケーブル5を介した窓口精算機17からの命令(又はデータ)を受信するよう制御したりする。
【0040】
次に、CPU41、記憶装置42及び操作卓用のプログラム等から構成される、操作卓14の機能構成の一例を図6に示す。図6は、操作卓14の機能構成の一例を示す図である。図6に示されるように、操作卓14は、機能構成として、GUI制御部61と、送信制御部62と、受信制御部63と、を含んでいる。
【0041】
GUI制御部61は、受信制御部63から受け取った監視カメラ13によって撮像された撮像データ、券面カメラ30で読み取られた乗車券の券面データ等を含む後述する図7に示すような画面の表示制御及び入力装置44等を用いて後述する図7に示すような画面を介して入力された、又は選択されたデータの入力(又は取得)制御を行う。
【0042】
送信制御部62は、GUI制御部61から受け取った入力データに応じて、精算金額等のデータを例えば精算機11へ通信装置45を介して送信する制御を行う。受信制御部63は、監視カメラ13によって撮像された撮像データ、券面カメラ30で読み取られた乗車券の券面データを、通信装置45を介して受信する制御を行う。
【0043】
ここで、操作卓14の表示装置43に表示される画面について図7を参照して説明する。図7は、操作卓14における表示画面の一例を示す図である。図7の表示画面は、現在時刻表示部79と、監視カメラ表示部80と、監視カメラ切替部81と、券面カメラ表示部82と、券面拡大ボタン83と、テンキー部84と、入力金額表示部85と、金額送信ボタン86と、精算機ステータス表示部87と、異常表示ボタン88と、インターホンステータス表示部89と、対応状況表示部90と、を含んで構成される。
【0044】
監視カメラ表示部80には、監視カメラ13によって撮像された撮像データが表示される。監視カメラ切替部81は、係員が複数ある監視カメラ13を切り替える場合に使用される。係員は、監視カメラ表示部80に表示させたい精算機11に対応する精算機のボタンを選択することで、監視カメラ表示部80に、対応する精算機11を表示させることができる。
【0045】
券面カメラ表示部82には、券面カメラ30で読み取られた券面データの画像が表示される。券面拡大ボタン83は、係員が券面カメラ表示部82に表示された券面データの画像を拡大したい場合に使用される。係員は、券面拡大ボタン83を選択することで券面データの画像を拡大して表示することができる。テンキー部84は、係員が券面カメラ表示部82に表示された乗車券の券面データの画像から精算金額を算出し、算出した精算金額を、マウス等を利用して入力する場合に使用される。入力金額表示部85には、テンキー部84で入力された精算金額を表示させる。金額送信ボタン86は、係員が入力金額表示部85によって表示された精算金額の情報を駅務機器側システム2の精算機11に送信する場合に使用される。係員は、金額送信ボタン86を選択することで、精算金額の情報を精算機11に送信することができる。
【0046】
精算機ステータス表示部87には、精算機11に関する状態が表示され、例えば精算金額が正しく送信された場合には「送信完了」等が表示される。異常表示ボタン88には、
精算機11に関する異常状態が表示され、例えば、硬貨や乗車券が詰まった場合等、精算機11より異常発生信号を受信した場合には、その異常発生信号に応じて、「硬貨詰まり発生」、「乗車券詰まり発生」等が表示される。インターホンステータス表示部89には、インターホン親機15とインターホン子機32との状態が表示され、例えば券面読取機12の呼出ボタン31が押下されると「呼出中」や、インターホン親機15とインターホン子機32の間で音声データの送受信が行われている場合には「通話中」が表示される。対応状況表示部90には、現在の操作卓14の状況が表示され、例えば、「呼出発生」や「対応中」等が表示される。
【0047】
次に、窓口精算機17のCPU、記憶装置及び窓口精算機用のプログラム等から構成される、窓口精算機17の機能構成の一例を図8に示す。図8は、窓口精算機17の機能構成の一例を示す図である。図8に示されるように、窓口精算機17は、機能構成として、GUI制御部71と、送信制御部72と、受信制御部73と、を含んでいる。
【0048】
GUI制御部71は、券面読取機12のリーダ/ライタ装置33で読み込まれたICカードのデータ等を含む後述する図9に示すような画面の表示制御及び窓口精算機17の入力装置等を用いて後述する図9に示すような画面を介して入力された、又は選択されたデータの入力(又は取得)制御を行う。
【0049】
送信制御部72は、GUI制御部71から受け取った、後述する出場処理選択部97が選択(又は押下)された旨のデータに応じて、ICカードに対する書き込みデータを窓口精算機17の通信装置を介して券面読取機12へ送信する制御を行う。受信制御部73は、券面読取機12のリーダ/ライタ装置33で読み取られたICカードのデータを、窓口精算機17の通信装置を介して受信する制御を行う。
【0050】
ここで、窓口精算機17の表示装置に表示される画面について図9を参照して説明する。図9は、窓口精算機17における表示画面の一例を示す図である。図9の表示画面は、券面読取機12のリーダ/ライタ装置33によって読み込まれたICカードのデータが表示されている。図9の表示画面は、乗降時刻表示部92と、乗降駅名表示部93、ICカードステータス表示部94と、精算額表示部95と、ICカードのチャージ残金表示部96と、出場処理選択部97と、現在時刻/現駅名表示部98と、を含んで構成される。
【0051】
乗降時刻表示部92には、最後に自動改札機等の駅務機器を利用した時刻が表示される。乗降駅名表示部93には、最後に自動改札機等の駅務機器を利用した駅名が表示される。ICカードステータス表示部94には、ICカードの状態が表示され、例えば「SF出場」、「SF入場」、「窓口出場」等が表示される。「SF出場」とは、自動改札機を利用して出場したICカードであることを意味する。「SF入場」とは、自動改札機を利用して入場したICカードであることを意味する。「窓口出場」とは、自動改札機を利用せず、係員がいる窓口に隣接した兼掌口や、本実施形態に係る券面読取機12のリーダ/ライタ装置33を利用し、係員がいない兼掌口から、出場処理が行われて出場したICカードであることを意味する。
【0052】
精算額表示部95には、自動改札機においてICカード内のチャージ金額から引き去かれた金額が表示される。チャージ残金表示部96には、ICカード内のチャージ金額が表示される。
【0053】
出場処理選択部97には、自動改札機によりエラー処理され、自動改札機を通過することができないICカードに対して、正常に通過するための情報を書き込む出場処理を選択するボタンが表示される。現在時刻/現駅名表示部98には、現在時刻と窓口精算機17が設置されている駅名が表示される。
【0054】
次に、自動改札機や精算機11で読み取ることができない白券等の乗車券や磁気データが壊れてしまった乗車券を遠隔で精算処理する場合について説明する。
まず、乗客は、精算機11で非磁気化券を精算することができなかった場合、例えば精算機11に隣接する券面読取機12に設けられた呼出ボタン31を押下する。呼出ボタン31が押下されると、インターホン子機制御部52は、LAN4を介してインターホン親機15を呼び出す。また、呼出ボタン31が押下された旨のデータを受け取った操作卓14のGUI制御部61は、操作卓14の表示装置43のインターホンステータス表示部89に「呼出中」を表示する。また、呼出ボタン31が押下された旨のデータを受け取った操作卓14の受信制御部63は、監視カメラ13によって撮像された撮像データをGUI制御部61に受け渡す。GUI制御部61は、監視カメラ13によって撮像された撮像データを表示装置43の監視カメラ表示部80に表示する。
【0055】
係員がインターホン親機15に応答することで、インターホン子機32とインターホン親機15との間で音声データの送受信が行われる。音声データの送受信が開始されると、操作卓14のGUI制御部61は、操作卓14の表示装置43のインターホンステータス表示部89に「通話中」を表示する。
【0056】
次に、係員のインターホン親機15からの指示により、乗客は非磁気化券を券面読取機12の券面カメラ30に載置する。非磁気化券が券面カメラ30に載置されることで、券面カメラ制御部51は、乗車券の券面の撮影を行う。券面読取機12の送信制御部55は、乗車券の券面データを操作卓14に送信する。操作卓14の受信制御部63は、受信した乗車券の券面データをGUI制御部61に受け渡す。GUI制御部61は、受け取った券面データを表示装置43の券面カメラ表示部82に表示する。
【0057】
次に、係員は券面カメラ表示部82に表示された乗車券の券面データから精算金額を算出し、乗車券の精算金額をテンキー部84や操作卓14の入力装置44等を利用して入力する。GUI制御部61は、入力された精算金額を入力金額表示部85に表示する。次に、係員は、金額送信ボタン86を選択する。金額送信ボタン86が選択されると、送信制御部62は、入力金額表示部85に表示された精算金額を駅務機器である精算機11に送信する。すると、精算機11の表示装置23に、精算金額が表示され、乗客は精算金額を投入する。このことで発券装置27により精算券が発行される。乗客はこの精算券を自動改札機に投入することで出場することができる。
【0058】
操作卓14の受信制御部63は、精算機11から、精算金額を受信した情報及び精算券を発行した情報を受け取る。すると、操作卓14のGUI制御部61は、精算機ステータス表示部87に「送信完了」を表示する。なお、上述したデータや情報の送受信はLAN4を介して行われている。
【0059】
このように、非磁気化券であっても遠隔で精算処理を行うことができるので、精算機11側の無人化を図ることができる。
【0060】
次に、自動改札機で出場することができないICカードを処理する場合について説明する。この説明では、乗客がICカードを利用できないエリアから入場し、ICカードエリアからICカードを用いて出場する場合について説明する。通常、自動改札機を利用して出場したICカードであればICカードステータスは、「SF出場」になっている。ICカードを利用できないエリアから入場した場合は、ICカードステータスは、「SF出場」のままであり、ICカードには入場した情報の記録がないため、自動改札機を通過する際、エラーが生じ、自動改札機で出場することができない。
【0061】
まず、乗客は、例えば精算機11に隣接する券面読取機12に設けられた呼出ボタン31を押下する。呼出ボタン31が押下されると、インターホン子機制御部52は、LAN4を介してインターホン親機15を呼び出す。次に、インターホン親機15及びインターホン子機32を介した係員からの指示により、乗客はICカードをリーダ/ライタ装置33に載置、又はかざす。ICカードがリーダ/ライタ装置33に載置、又はかざされると、リーダ制御部53は、ICカードに記憶されているデータを読み込む。券面読取機12の送信制御部55は、シリアルケーブル5を介してICカードに記憶されているデータを窓口精算機17に送信する。窓口精算機17の受信制御部73は、受信したICカードのデータをGUI制御部71に受け渡す。GUI制御部71は、受け取ったICカードのデータを含む、図9に示すような表示画面を窓口精算機17の表示装置に表示する。
【0062】
次に、係員は、ICカードステータス表示部94に表示されているICカードの状態(ステータス)からICカードのステータスを確認する。ICカードステータス表示部94に「SF出場」が表示されていると、係員は自動改札機を利用して入場していないと判断する。このように判断した場合、係員は、窓口精算機17の表示装置に表示された出場処理選択部97を選択する。出場処理選択部97が選択されると、GUI制御部71は、図10に示すような確認画面を窓口精算機17の表示装置に表示する。ここで、図10は、確認画面の一例を示す図である。係員が、「はい」を選択すると、送信制御部72は、「出場処理」を行う旨の情報を、シリアルケーブル5を介して券面読取機12に送信する。
【0063】
券面読取機12の受信制御部56が「出場処理」を行う旨の情報を受信すると、ライタ制御部54は、ICカードに対して「出場処理」の情報を書き込む。より具体的に説明すると、ここでいう出場処理とは、ライタ制御部54が、ICカードのステータスを「SF出場」から「窓口出場」に変更する書き込みを行うことをいう。このとき、精算が必要であれば、ライタ制御部54は、ICカードに記憶されているチャージ金額から、窓口精算機17から通知された精算金額分を引き去る処理を行う。係員は、係員がいない兼掌口の、自動改札機の開閉扉を開放させる遠隔操作を行うことで、乗客を出場させる。
【0064】
このように、遠隔でICカードに対して、処理を行うことができるので、精算機11側において無人化を図ることができる。また、本実施形態によれば、券面カメラ30で読み取られた乗車券の券面データに関するデータの送受信をLAN4で行い、ICカードに対する情報の送受信を、シリアルケーブル5で行っている。このように、異なる通信路を用いることで、ICカードに関するセキュリティを向上させることができる。
【0065】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、駅構内に設置される精算機11と、この精算機11に隣接して設置される券面読取機12と、精算機11又は券面読取機12を監視する監視カメラ13とを含む駅務機器側システム2について説明した。第二の実施形態の駅務機器側システムは、自動改札機によって入場する前の駅構内に設置される券売機と、この券売機に隣接して設置される券面読取機12と、を含むように構成されている。
【0066】
本実施形態において、自動改札機で入場することができないICカードを処理する場合について説明する。この説明では、ICカードを利用可能なICカードエリアからICカードを用いて入場し、ICカードを利用できないエリアから何らかの方法で出場し、ICカードステータスが、「SF入場」のままになっているものとする。この場合、ICカードには出場した情報の記録がないため、自動改札機を通過する際、エラーが生じ、自動改札機で入場することができない。
【0067】
係員のインターホン親機15からの指示により、乗客はICカードをリーダ/ライタ装置33に載置、又はかざす。ICカードがリーダ/ライタ装置33に載置、又はかざされると、リーダ制御部53は、ICカードに記憶されているデータを読み込む。券面読取機12の送信制御部55は、シリアルケーブル5を介してICカードに記憶されているデータを窓口精算機17に送信する。窓口精算機17の受信制御部73は、受信したICカードのデータをGUI制御部71に受け渡す。GUI制御部71は、受け取ったICカードのデータを含む、図9に示すような表示画面を窓口精算機17の表示装置に表示する。
【0068】
次に、係員は、窓口精算機17の表示装置に表示されているICカードの状態(ステータス)からICカードのステータスを確認する。ICカードステータス表示部94に「SF入場」が表示されていると、係員は自動改札機を利用して出場していないと判断する。このように判断した場合、係員は、窓口精算機17の表示装置に表示された出場処理選択部97を選択する。出場処理選択部97が選択されると、GUI制御部71は、図10に示すような確認画面を窓口精算機17の表示装置に表示する。係員が、「はい」を選択すると、送信制御部72は、「出場処理」を行う旨の情報を、シリアルケーブル5を介して券面読取機12に送信する。
【0069】
券面読取機12の受信制御部56が「出場処理」を行う情報を受信すると、ライタ制御部54は、ICカードに対して「出場処理」の情報を書き込む。より具体的に説明すると、ここでいう出場処理とは、ライタ制御部54が、ICカードのステータスを「SF入場」から「窓口出場」に変更する書き込みを行うことをいう。ICカードには出場した情報が記録されるので、乗客はICカードを用いて自動改札機から入場することができる。
【0070】
このように、遠隔でICカードに対して、処理を行うことができるので、券売機側において無人化を図ることができる。
【0071】
上述した実施形態では、精算機11と券面読取機12とを別々に構成したが、一体に構成してもよい。また精算機11と券面読取機12とを一体で構成する場合、精算機11のリーダ/ライタ装置28と券面読取機12のリーダ/ライタ装置33とのいずれかを共有することができるので、駅務機器の生産コストを削減することができる。更に、精算機11の磁気データ読取装置26が設けられたスペースに、券面カメラ30や読取手段としてのスキャナを設置してもよく、この場合、駅務機器の小型化を図ることができる。
【0072】
また、上述した実施形態では、操作卓14と窓口精算機17とを別々に構成したが、一体に構成してもよい。また、操作卓14と窓口精算機17とを一体に構成する場合、券面読取機12と接続する通信路をLANのみで構成してもよい。このように構成することで駅務システムの構成を簡単にすることができる。
【0073】
以上、上述した実施形態によれば、非磁気化券及び交通系ICカードに対応した駅務処理を遠隔で行うことができる。なお、ここで、駅務処理とは、例えば、上述したような入場、出場、精算等に関する処理のことである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】駅務システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】駅務機器のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】券面読取機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】操作卓のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】券面読取機の機能構成の一例を示す図である。
【図6】操作卓の機能構成の一例を示す図である。
【図7】操作卓における表示画面の一例を示す図である。
【図8】窓口精算機の機能構成の一例を示す図である。
【図9】窓口精算機における表示画面の一例を示す図である。
【図10】確認画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 駅務システム
2 駅務機器側システム
3 監視室側システム
4 LAN
5 シリアルケーブル
11 精算機
12 券面読取機
13 監視カメラ
14 操作卓
15 インターホン親機
16 制御サーバ
17 窓口精算機
21 CPU
22 記憶装置
23 表示装置
24 入力装置
25 通信装置
26 磁気データ読取装置
27 発券装置
28 リーダ/ライタ装置
29 バス
30 券面カメラ
31 呼出ボタン
32 インターホン子機
33 リーダ/ライタ装置
34 通信装置
35 バス
36 CPU
37 記憶装置
41 CPU
42 記憶装置
43 表示装置
44 入力装置
45 通信装置
46 バス
51 券面カメラ制御部
52 インターホン子機制御部
53 リーダ制御部
54 ライタ制御部
55 送信制御部
56 受信制御部
61 GUI制御部
62 送信制御部
63 受信制御部
71 GUI制御部
72 送信制御部
73 受信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅務機器側システムと監視室側システムとを含む駅務システムであって、
前記駅務機器側システムは、
乗車券の券面を読み取る読取手段と、
記憶媒体に対するデータの読み書きを行うリーダライタ手段と
を有し、
前記監視室側システムは、
前記読取手段が読み取った券面を含む画面を表示する第一の表示制御手段と、
前記画面を介したユーザ操作に応じて、前記乗車券の精算金額情報を前記駅務機器側システムの駅務機器に対して送信する第一の送信制御手段と、
前記リーダライタ手段が記憶媒体から読み取った交通系データを含む画面を表示する第二の表示制御手段と、
前記画面を介したユーザ操作に応じて、前記リーダライタ手段に対して記憶媒体へのデータの書き込み命令を送信する第二の送信制御手段と
を有することを特徴とする駅務システム。
【請求項2】
前記駅務機器側システムは、
前記読取手段及び前記リーダライタ手段を備える券面読取機を有し、
前記監視室側システムは、
前記第一の表示制御手段及び前記第一の送信制御手段を備える第一の情報処理装置と、
前記第二の表示制御手段及び前記第二の送信制御手段を備える第二の情報処理装置と
を有することを特徴とする請求項1に記載の駅務システム。
【請求項3】
前記券面読取機と前記第一の情報処理装置とは、第一の通信路を介して接続されており、
前記券面読取機と前記第二の情報処理装置とは、第二の通信路を介して接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の駅務システム。
【請求項4】
駅務機器側システムと監視室側システムとを含む駅務システムにおける駅務処理方法であって、
前記駅務機器側システムが、乗車券の券面を読み取る読取ステップと、
前記監視室側システムが、前記読取ステップにおいて読み取った券面を含む画面を表示する第一の表示ステップと、
前記監視室側システムが、前記画面を介してユーザ操作に応じて、前記乗車券の精算金額情報を前記駅務機器側システムの駅務機器に対して送信する第一の送信ステップと、
前記駅務機器側システムが、記憶媒体からデータを読み取るリーダステップと、
前記監視室側システムが、前記リーダステップにより読み取られた交通系データを含む画面を表示する第二の表示ステップと、
前記監視室側システムが、前記第二の表示ステップで表示された画面を介したユーザ操作に応じて、前記駅務機器側システムに対して記憶媒体へのデータの書き込み命令を送信する第二の送信ステップと
を有することを特徴とする駅務処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−225881(P2008−225881A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63751(P2007−63751)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)
【Fターム(参考)】