説明

駅務機器

【課題】昼間の電力需要ピーク時に稼動を停止させているのと同等の節電効果が得られる駅務機器を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る駅務機器は、交通機関の駅に設置され、商用交流電源を動作電源として動作する駅務機器であって、前記商用交流電源が供給されて動作し、蓄電池を充電する充電手段と、前記蓄電池の出力電圧を交流電圧に変換し、当該駅務機器の動作電源として供給する電圧変換手段と、前記充電手段と前記商用交流電源との間に接続され、前記充電手段に対する前記商用交流電源の供給をオン、オフするスイッチ手段と、このスイッチ手段をあらかじめ設定される時間に応じてオン、オフ制御する制御手段とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅務機器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電力不足により電力需要が逼迫しており、各鉄道事業者も電力会社等から昼間の電力需要の抑制を要望されている。そのため、抑制分(節電分)の駅務機器(自動券売機、自動改札機等)の稼動を停止させる事態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−257171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、昼間の電力需要ピーク時に稼動を停止させているのと同等の節電効果が得られる駅務機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る駅務機器は、交通機関の駅に設置され、商用交流電源を動作電源として動作する駅務機器であって、前記商用交流電源が供給されて動作し、蓄電池を充電する充電手段と、前記蓄電池の出力電圧を交流電圧に変換し、当該駅務機器の動作電源として供給する電圧変換手段と、前記充電手段と前記商用交流電源との間に接続され、前記充電手段に対する前記商用交流電源の供給をオン、オフするスイッチ手段と、このスイッチ手段をあらかじめ設定される時間に応じてオン、オフ制御する制御手段とを具備している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】実施形態に係る駅務機器の一例として自動券売機の構成を概略的に示すブロック図。
【図2】実施形態に係る自動券売機の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の駅務機器について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る駅務機器の一例として自動券売機の構成を概略的に示すものである。本実施形態に係る自動券売機10は、大別して券売機部20および電池電源部30から構成されている。券売機部20は、利用者の操作に基づき料金を受入れるとともに所望の乗車券を発券する発券ユニット等のメカユニット21、メカユニット21を制御する制御部22、および、メカユニット21に対し交流(AC)の動作電源(交流電圧)を供給するとともに制御部22に対し直流(DC)の動作電源(直流電圧)を供給する電源ユニット23から構成されている。
【0008】
電源ユニット23は、電池電源部30から供給される交流電圧(たとえば、AC100ボルト)を整流して安定化することで直流の所定電圧の動作電源を生成し、それを制御部22に供給するとともに、電池電源部30から供給される交流電圧に基づき交流の所定電圧の動作電源を生成し、それをメカユニット21に供給する。
【0009】
電池電源部30は、商用交流電源50に接続されるもので、着脱自在に設置された蓄電池31、商用交流電源50から供給される交流電圧(たとえば、AC100ボルト)により動作し、蓄電池31を充電するコンバータを主体に構成された充電回路32、充電回路32と商用交流電源50との間に接続され、充電回路32に対する商用交流電源50の供給をオン、オフするスイッチ33、蓄電池31の出力電圧を所定の交流電圧(たとえば、AC100ボルト)に変換し、動作電源として電源ユニット23に供給するインバータ34、蓄電池31の出力電圧があらかじめ設定される規定値以下になるとそれを検知する電圧検知部35、スイッチ33をオフする時間帯を設定するタイマ36、電圧検知部35の検知結果およびタイマ36の設定内容に基づきスイッチ33をオン、オフ制御するスイッチ制御部37から構成されている。
【0010】
タイマ36は、スイッチ33をオフする時間帯を設定するもので、昼間の電力需要ピーク時、たとえば、「12時〜15時」あるいは「8時〜17時」というようにオフ時間帯を設定する。
【0011】
スイッチ制御部37は、たとえば、現在時刻がタイマ36で設定されたオフ時間帯のときはスイッチ33をオフ状態に設定し、それ以外はオン状態に設定する。また、スイッチ制御部37は、スイッチ33がオフ状態にあるとき、電圧検知部35が蓄電池31の出力電圧が規定値以下になったことを検知すると、その検知信号を制御部22に送信し、制御部22の係員パネルに表示することで係員に蓄電池31の出力電圧が規定値以下になったことを通知するとともに、スイッチ33をオン状態に設定する。
【0012】
なお、蓄電池31は、電池電源部30内に固定的に設置されていても、着脱自在に設置されていてもよい。蓄電池31を着脱自在にした場合、たとえば、当該自動券売機10の設置者が用いる蓄電池31を選択して後から設置することができる。
【0013】
また、電圧検知部35は、蓄電池31の外部に設けられていても、蓄電池31の内部に設けられていてもよい。また、タイマ36は、スイッチ制御部37と一体化されていてもよいし、制御部22と一体化されていてもよい。また、制御部22にタイマ36とスイッチ制御部37との機能を持たせてもよい。
【0014】
次に、このような構成において図2に示すフローチャートを参照して本実施形態に係る自動券売機10の動作を説明する。
【0015】
まず、タイマ36により、スイッチ33をオフする時間帯(商用交流電源50からの電源供給をオフする時間帯)を設定する。たとえば、電力需要がピークとなる昼間の電力を抑制する場合、「12時〜15時」あるいは「8時〜17時」というようにオフ時間帯を設定する。
【0016】
スイッチ制御部37は、現在時刻がタイマ36で設定されたオフ時間帯か否かを判断し(ステップS1)、現在時刻がオフ時間帯でない場合はスイッチ33をオン状態に設定し、商用交流電源50を充電回路32に供給する(ステップS2)。
【0017】
充電回路32は、商用交流電源50から供給される交流電圧により動作して蓄電池31を充電する(ステップS3)。インバータ34は、蓄電池31の出力電圧を所定の交流電圧(たとえば、AC100ボルト)に変換し、動作電源として電源ユニット23に供給する(ステップS4)。
【0018】
このように、現在時刻がオフ時間帯でない場合、蓄電池31を充電しながら券売機部20へ動作電源を供給し、券売機部20を稼動させることが可能となる。
【0019】
ステップS1において、現在時刻がオフ時間帯である場合、スイッチ制御部37は、スイッチ33をオフ状態に設定し、充電回路32への商用交流電源50の供給を切断する(ステップS5)。充電回路32は、蓄電池31の充電を停止する(ステップS6)。
【0020】
この場合、蓄電池31の充電を停止しても、インバータ34は、蓄電池31の出力電圧を所定の交流電圧に変換し、動作電源として電源ユニット23に供給する。
【0021】
このように、現在時刻がオフ時間帯である場合、商用交流電源50の供給を切断(停止)し、夜間などに充電された蓄電池31から券売機部20へ動作電源を供給し、券売機部20を稼動させることが可能となる。
【0022】
次に、スイッチ制御部37は、電圧検知部35が蓄電池31の出力電圧が規定値以下になったことを検知したか否かを判断し(ステップS7)、蓄電池31の出力電圧が規定値以下になったことを検知しない場合、ステップS4に進み、蓄電池31からの電源供給を続行する。
【0023】
ステップS7において、蓄電池31の出力電圧が規定値以下になったことを検知した場合、スイッチ制御部37は、その検知信号を制御部22に送ることで、係員に蓄電池31の出力電圧が規定値以下になったことを通知する(ステップS8)。
次に、スイッチ制御部37は、ステップS4に進んでスイッチ33をオン状態に設定し、以降、上記同様な動作を繰り返す。
【0024】
このように、スイッチ33がオフ状態にあるとき、電圧検知部35が蓄電池31の出力電圧が規定値以下になったことを検知すると、その旨を係員に通知するとともにスイッチ33を強制的にオン状態に設定し、商用交流電源50の供給を再開するものである。
【0025】
以上述べた少なくとも1つの実施形態の自動券売機10によれば、昼間の電力ピーク時に、夜間などに蓄電池31に充電された電力を用いて稼動させているので、昼間の電力需要ピーク時に稼動を停止させているのと同等の節電効果が得られる。したがって、節電目的で稼動を停止されていた自動券売機10を稼動させることができる。
【0026】
なお、前記実施形態では、蓄電池31が電池電源部30内に固定的に設置されていても、着脱自在に設置されていてもよい場合について説明したが、これに限らず、たとえば、蓄電池31が自動券売機10内に固定的に設置されている場合や着脱自在に設置されている場合も同様に適用可能である。
【0027】
また、前記実施形態では、駅務機器が自動券売機10の場合について説明したが、これに限らず、たとえば、自動改札機や監視盤の場合も同様に適用可能である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0029】
10…自動券売機(駅務機器)、20…券売機部、30…電池電源部、50…商用交流電源、21…メカユニット、22…制御部、23…電源ユニット、31…蓄電池、32…充電回路、33…スイッチ、34…インバータ、35…電圧検知部、36…タイマ、37…スイッチ制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関の駅に設置され、商用交流電源を動作電源として動作する駅務機器であって、
前記商用交流電源が供給されて動作し、蓄電池を充電する充電手段と、
前記蓄電池の出力電圧を交流電圧に変換し、当該駅務機器の動作電源として供給する電圧変換手段と、
前記充電手段と前記商用交流電源との間に接続され、前記充電手段に対する前記商用交流電源の供給をオン、オフするスイッチ手段と、
このスイッチ手段をあらかじめ設定される時間に応じてオン、オフ制御する制御手段と、
を具備した駅務機器。
【請求項2】
交通機関の駅に設置され、商用交流電源を動作電源として動作する駅務機器であって、
前記商用交流電源が供給されて動作し、蓄電池を充電する充電手段と、
前記蓄電池の出力電圧を交流電圧に変換し、当該駅務機器の動作電源として供給する電圧変換手段と、
前記充電手段と前記商用交流電源との間に接続され、前記充電手段に対する前記商用交流電源の供給をオン、オフするスイッチ手段と、
このスイッチ手段をあらかじめ設定される時間に応じてオン、オフ制御する第1の制御手段と、
前記蓄電池の出力電圧があらかじめ設定される規定値以下になるとそれを検知する電圧検知手段と、
前記スイッチ手段がオフ状態にあるとき、前記電圧検知手段が前記蓄電池の出力電圧が規定値以下になったことを検知すると、前記スイッチ手段をオン状態に設定する第2の制御手段と、
を具備した駅務機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−37466(P2013−37466A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171739(P2011−171739)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】