説明

駆動装置、レンズモジュールおよび撮像装置

【課題】周囲の環境に応じた特性低下を抑えることが可能な駆動装置等を提供する。
【解決手段】駆動装置は、イオン交換樹脂を用いて構成された1または複数のポリマーアクチュエータ素子を備え、イオン交換樹脂が、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有している。低湿度や高温等の環境下であっても、イオン交換樹脂におけるイオン伝導度の低下が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマーアクチュエータ素子を用いた駆動装置、ならびにそのような駆動装置を備えたレンズモジュールおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば携帯電話やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいはPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型電子機器の高機能化が著しく進んでおり、レンズモジュールを搭載することにより撮像機能を備えたものが一般的となっている。このような携帯型電子機器においては、レンズモジュール内のレンズをその光軸方向へ移動させることにより、フォーカシングやズーミングが行われる。
【0003】
従来、レンズモジュール内のレンズの移動は、ボイスコイルモータやステッピングモータなどを駆動部として行う方法が一般的であった。一方で、最近では、コンパクト化の観点から、所定のアクチュエータ素子を駆動部として利用したものが開発されている。そのようなアクチュエータ素子としては、例えば、ポリマーアクチュエータ素子(特許文献1〜3参照)が挙げられる。ポリマーアクチュエータ素子は、例えば一対の電極間にイオン交換樹脂膜を挟むようにしたものである。このポリマーアクチュエータ素子では、一対の電極間に電位差が生じることにより、イオン交換樹脂膜が膜面に対して直交する方向へ変位するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−143300号公報
【特許文献2】特開2011−11549号公報
【特許文献3】特開2006−311630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなポリマーアクチュエータ素子では、周囲の環境によっては、その特性が低下してしまうおそれがある。このため、そのような特性低下を抑えることを可能とする手法の提案が望まれる。
【0006】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、周囲の環境に応じた特性低下を抑えることが可能な駆動装置、レンズモジュールおよび撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の駆動装置は、イオン交換樹脂を用いて構成された1または複数のポリマーアクチュエータ素子を備え、イオン交換樹脂が、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有するものである。
【0008】
本開示のレンズモジュールは、レンズと、このレンズを駆動する上記本開示の駆動装置とを備えたものである。
【0009】
本開示の撮像装置は、レンズと、このレンズにより結像されてなる撮像信号を取得する撮像素子と、レンズを駆動する上記本開示の駆動装置とを備えたものである。
【0010】
本開示の駆動装置、レンズモジュールおよび撮像装置では、ポリマーアクチュエータ素子におけるイオン交換樹脂が、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有している。これにより、低湿度や高温等の環境下であっても、イオン交換樹脂におけるイオン伝導度の低下が抑えられる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の駆動装置、レンズモジュールおよび撮像装置によれば、ポリマーアクチュエータ素子におけるイオン交換樹脂が、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有するようにしたので、低湿度や高温等の環境下におけるイオン伝導度の低下を抑えることができる。よって、周囲の環境に応じた特性低下(例えば、低湿度環境下における駆動装置の応答速度低下や、高温環境下での保存後における駆動装置の変位量低下等)を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置を備えた電子機器の構成例を表す斜視図である。
【図2】図1に示した電子機器を異なる方向から表した斜視図である。
【図3】図2に示した撮像装置の要部構成を表す斜視図である。
【図4】図3に示したレンズモジュールを表す分解斜視図である。
【図5】図3に示したレンズモジュールの側面構成および平面構成を表す模式図である。
【図6】図3に示したポリマーアクチュエータ素子の詳細構成を表す断面図である。
【図7】図3に示したポリマーアクチュエータ素子、固定用部材および固定電極の一部分の詳細構成を表す断面図である。
【図8】ポリマーアクチュエータ素子の高温環境下での保存時間と変位量との関係の一例を表す特性図である。
【図9】図3に示したポリマーアクチュエータ素子の基本動作について説明するための断面模式図である。
【図10】図3に示したレンズモジュールの動作を表す側面模式図である。
【図11】実施例1,2および比較例1,2に係る応答速度についての実験結果を表す図である。
【図12】実施例1,2および比較例1,2に係る活性化エネルギーの算出結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(ポリマーアクチュエータ素子を用いた駆動装置の一例)
2.変形例
【0014】
<実施の形態>
[撮像装置を備えた電子機器の概略構成]
図1および図2は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置(後述する撮像装置2)を備えた電子機器の一例として、撮像機能付き携帯電話機(携帯電話機8)の概略構成を斜視図で表したものである。この携帯電話機8では、2つの筐体81A,81B同士が、図示しないヒンジ機構を介して折り畳み自在に連結されている。
【0015】
図1に示したように、筐体81Aの一方側の面には、各種の操作キー82が複数配設されると共に、その下端部にマイクロフォン83が配設されている。操作キー82は使用者(ユーザ)による所定の操作を受け付けて情報を入力するためのものである。マイクロフォン83は、通話時等における使用者の音声を入力するためのものである。
【0016】
筐体81Bの一方側の面には、図1に示したように、液晶表示パネル等を用いた表示部84が配設されると共に、その上端部には、スピーカー85が配設されている。表示部84には、例えば、電波の受信状況や電池残量、通話相手の電話番号、電話帳として登録されている内容(相手先の電話番号や氏名等)、発信履歴、着信履歴等の各種の情報が表示されるようになっている。スピーカー85は、通話時等における通話相手の音声等を出力するためのものである。
【0017】
図2に示したように、筐体81Aの他方側の面にはカバーガラス86が配設されていると共に、筐体81A内部のカバーバラス86に対応する位置に撮像装置2が設けられている。この撮像装置2は、物体側(カバーガラス86側)に配置されたレンズモジュール4と、像側(筐体81Aの内部側)に配置された撮像素子3とにより構成されている。撮像素子3は、レンズモジュール4内のレンズ(後述するレンズ40)により結像されてなる撮像信号を取得する素子である。この撮像素子3は、例えば電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を搭載したイメージセンサからなる。
【0018】
[撮像装置2およびレンズモジュール4の構成]
図3は、撮像装置2の要部構成を斜視図で表したものであり、図4は、この撮像装置2におけるレンズモジュール4の構成を分解斜視図で表したものである。また、図5は、このレンズモジュール4の概略構成を、(A)側面図(Z−X側面図)および(B)平面図(X−Y平面図)で模式的に表したものである。
【0019】
レンズモジュール4は、光軸Z1に沿って像側(撮像素子3側)から物体側へと順に(Z軸上の正方向に沿って)、支持部材11、ポリマーアクチュエータ素子131、レンズ保持部材14およびレンズ40、ポリマーアクチュエータ素子132を備えている。なお、図3では、レンズ40の図示を省略している。このレンズモジュール4はまた、固定用部材12、連結部材151A,151B,152A,152B、固定電極130A,130B、押え部材16およびホール素子17A,17Bを備えている。なお、これらのレンズモジュール4の部材のうちのレンズ40を除いたものが、本開示における「駆動装置(レンズ駆動装置)」の一具体例に対応している。
【0020】
支持部材11は、レンズモジュール4全体を支持するためのベース部材(基体)であり、例えば液晶ポリマー等の硬質な樹脂材料からなる。
【0021】
固定用部材12は、ポリマーアクチュエータ素子131,132の一端をそれぞれ固定するための部材であり、例えば液晶ポリマー等の硬質な樹脂材料からなる。この固定用部材12は、像側(図3および図4における下側)から物体側(上側)へと向けて配置された、下部固定用部材12D、中央(中部)固定用部材12Cおよび上部固定用部材12Uの3つの部材からなる。下部固定用部材12Dと中央固定用部材12Cとの間には、ポリマーアクチュエータ素子131の一端および固定電極130A,130Bの一端がそれぞれ、挟み込まれて配置されている。一方、中央固定用部材12Cと上部固定用電極12Uとの間には、ポリマーアクチュエータ素子132の一端および固定電極130A,130Bの他端がそれぞれ、挟み込まれて配置されている。また、これらのうちの中央固定用部材12Cには、レンズ保持部材14の一部(後述する保持部14Bの一部)を部分的に挟み込むための開口12C0が形成されている。これにより、レンズ保持部材14の一部がこの開口12C0内を移動できるようになるため、スペースを有効活用することができ、レンズモジュール4の小型化を図ることが可能となる。
【0022】
固定電極130A,130Bは、ポリマーアクチュエータ素子131,132における電極膜(前述した電極膜52A,52B)に対して、電圧印加手段(後述する電圧供給部19)からの駆動用電圧Vdを供給するための電極である。これらの固定電極130A,130Bはそれぞれ、例えば金(Au)もしくは金めっきされた金属等からなり、「コ」の字状となっている。これにより、固定電極130A,130Bはそれぞれ、中央固定用部材12Cの上下(Z軸に沿った両側面)を挟み込むようになっており、一対のポリマーアクチュエータ素子131,132に対して少ない配線で並列に同じ電圧を印加することが可能となっている。また、固定電極130A,130Bを金めっきされた金属材料から構成した場合、表面の酸化等による接触抵抗の劣化を防ぐことができる。
【0023】
レンズ保持部材14は、レンズ40を保持するための部材であり、例えば液晶ポリマー等の硬質な樹脂材料からなる。このレンズ保持部材14は、中心が光軸Z1上になるようにして配置され、レンズ40を保持する環状の保持部14Bと、この保持部14Bを支持すると共に保持部14Bと後述する連結部材151A,151B,152A,152Bとを接続する接続部14Aとからなる。また、保持部14Bは、一対のポリマーアクチュエータ素子131,132における後述する駆動面同士の間に配置されている。
【0024】
ポリマーアクチュエータ素子131,132はそれぞれ、レンズ40の光軸Z1と直交する駆動面(X−Y平面上の駆動面)を有し、この光軸Z1に沿って駆動面同士が対向するように配置されている。これらのポリマーアクチュエータ素子131,132はそれぞれ、レンズ保持部材14(およびレンズ40)を、後述する連結部材151A,151B,152A,152Bを介して光軸Z1に沿って駆動するためのものである。これらのポリマーアクチュエータ素子131,132はそれぞれ、ここでは図5(B)に示したように、固定用部材12側の幅広部(幅W21)と、可動側(連結部材151A,151B,152A,152B側)の幅狭部(幅W22)とを有している。なお、ポリマーアクチュエータ素子131,132の詳細構成については、後述する(図6,図7)。
【0025】
連結部材151A,151B,152A,152Bはそれぞれ、ポリマーアクチュエータ素子131,132の各他端と、接続部14Aの端部との間を互いに連結(接続)するための部材である。具体的には、連結部材151A,151Bはそれぞれ、接続部14Aの下端部とポリマーアクチュエータ素子131の他端との間を連結し、連結部材152A,152Bはそれぞれ、接続部14Aの上端部とポリマーアクチュエータ素子132の他端との間を連結するようになっている。これらの連結部材151A,151B,152A,152Bはそれぞれ、例えばポリイミドフィルム等のフレキシブルフィルムからなり、各ポリマーアクチュエータ素子131,132と同等以下(好ましくは同一以下)の剛性(曲げ剛性)を有する柔軟な材料からなることが望ましい。これにより、連結部材151A,151B,152A,152Bがポリマーアクチュエータ素子131,132の湾曲方向とは逆方向に湾曲する自由度が生まれ、ポリマーアクチュエータ131,132と連結部材151A,151B,152A,152Bとからなる片持ち梁における断面形状が、S字状の曲線を描くようになる。その結果、接続部14AがZ軸方向に沿って平行移動することが可能となり、保持部14B(およびレンズ40)が支持部材11に対して平行状態を保ったまま、Z軸方向に駆動されるようになる。なお、上記した剛性(曲げ剛性)としては、例えばバネ定数を用いることができる。
【0026】
ホール素子17A,17Bはそれぞれ、レンズ保持部材14の移動量(変位量)を検出するために用いられる素子であり、例えばホール素子と磁石とを組み合わせたものが挙げられる。
【0027】
電圧供給部19は、図5(A)に示したように、ポリマーアクチュエータ素子131,132に対して駆動用電圧Vdを供給することにより、ポリマーアクチュエータ素子131,132を駆動する(変形させる)ためのものである。このような電圧供給部19は、例えば半導体素子等を用いた電気回路からなる。なお、電圧供給部19によるポリマーアクチュエータ素子131,132の駆動動作の詳細については、後述する(図8)。
【0028】
[ポリマーアクチュエータ素子131,132の詳細構成]
次に、図6および図7を参照して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の詳細構成について説明する。図6は、ポリマーアクチュエータ素子131,132の断面構成(Z−X断面構成)を表したものである。
【0029】
ポリマーアクチュエータ素子131,132は、イオン導電性高分子化合物膜51(以下、単に高分子化合物膜51という。)の両面に、一対の電極膜52A,52Bが形成された断面構造を有している。換言すると、ポリマーアクチュエータ素子131,132は、一対の電極膜52A,52Bと、これらの電極膜52A,52Bの間に挿設された高分子化合物膜51とを有している。なお、ポリマーアクチュエータ素子131,132および電極膜52A,52Bは、それらの周囲が、高弾性を有する材料(例えばポリウレタンなど)からなる絶縁性の保護膜によって覆われていてもよい。
【0030】
ここで、図7に断面図(Z−X断面図)で示したように、ポリマーアクチュエータ素子131では、電極膜52Aが、下部固定用部材12D側の固定電極130Bと電気的に接続され、電極膜52Bが、中央固定用部材12C側の固定電極130ABと電気的に接続されている。一方、ポリマーアクチュエータ素子132では、電極膜52Aが、中央固定用部材12C側の固定電極130Aと電気的に接続され、電極膜52Bが、上部固定用部材12U側の固定電極130Bと電気的に接続されている。なお、図7中に図示はしていないが、下部固定用部材12D側の固定電極130Bから上部固定用部材12U側の固定電極130Bまでの各部材・電極はそれぞれ、図4中に示した押え部材16(板ばね)によって一定の圧力で挟み込まれるようにして固定されている。これにより、大きな力を与えてもポリマーアクチュエータ素子131,132を破壊することがなく、これらのポリマーアクチュエータ素子131,132が変形した際も安定して電気的な接続が可能となる。
【0031】
高分子化合物膜51は、電極膜52A,52Bの間に所定の電位差が生じることにより湾曲を生じるようになっている。この高分子化合物膜51にはイオン物質が含浸されている。ここでの「イオン物質」とは、高分子化合物膜51内を伝導することが可能なイオン全般を指しており、具体的には、水素イオンや金属イオン単体、またはそれら陽イオンおよび/または陰イオンと極性溶媒とを含むもの、あるいはイミダゾリウム塩などのそれ自体が液状である陽イオンおよび/または陰イオンを含むものを意味する。前者としては、例えば、陽イオンおよび/または陰イオンに極性溶媒が溶媒和したものが挙げられ、後者としては、例えばイオン液体が挙げられる。
【0032】
高分子化合物膜51を構成する材料としては、例えばフッ素樹脂あるいは炭化水素系などを骨格としたイオン交換樹脂が挙げられる。このイオン交換樹脂としては、陽イオン物質が含浸される場合には陽イオン交換樹脂が好ましく、陰イオン物質が含浸される場合には陰イオン交換樹脂が好ましい。
【0033】
陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基あるいはカルボキシル基などの酸性基が導入されたものが挙げられる。具体的には、酸性基を有するポリエチレン、酸性基を有するポリスチレンあるいは酸性基を有するフッ素樹脂などである。中でも、陽イオン交換樹脂としては、スルホン酸基あるいはカルボン酸基を有するフッ素樹脂が好ましく、例えばナフィオン(デュポン株式会社製)が挙げられる。
【0034】
高分子化合物膜51に含浸されている陽イオン物質としては、有機や無機など、その種類を問わない。例えば、金属イオン単体、金属イオンと水とを含むもの、有機陽イオンと水とを含むものなど種々の形態が応用可能である。金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン(Li+)などの軽金属イオンが挙げられる。また、有機陽イオンとしては、例えば、アルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。更に、水素イオン(H+)などの陽イオンも挙げられる。これらの陽イオンは、高分子化合物膜51中において水和物として存在している。よって、陽イオンと水とを含む陽イオン物質が高分子化合物膜51中に含浸されている場合には、ポリマーアクチュエータ素子131,132では、水の揮発を抑制するために全体として封止されていることが好ましい。
【0035】
高分子化合物膜51を挟んで互いに対向する電極膜52A,52Bは、それぞれ1種あるいは2種以上の導電性材料を含んでいる。電極膜52A,52Bは、導電性材料粉末同士がイオン導電性高分子により結着されたものが好ましい。電極膜52A,52Bの柔軟性が高まるからである。導電性材料粉末としてはカーボン粉末が好ましい。導電性が高く、比表面積が大きいため、より大きい変形量が得られるからである。カーボン粉末としては、ケッチェンブラックが好ましい。イオン導電性高分子としては、上記した高分子化合物膜51の構成材料と同様のもの(ここでは、イオン交換樹脂を含むもの)が好ましい。
【0036】
電極膜52A,52Bは、例えば、以下のようにして形成される。すなわち、分散媒に導電性材料粉末とイオン導電性高分子とを分散させた塗料を、高分子化合物膜51の両面に塗布したのち、乾燥させる。また、導電性材料粉末とイオン導電性高分子とを含むフィルム状のものを、高分子化合物膜51の両面に圧着するようにしてもよい。
【0037】
電極膜52A,52Bは、多層構造になっていてもよく、その場合、高分子化合物膜51の側から順に、導電性材料粉末同士がイオン導電性高分子により結着された層と金属層とが積層された構造を有していることが好ましい。これにより、電極膜52A,52Bの面内方向において電位がより均一な値に近づき、より優れた変形性能を得られるからである。金属層を構成する材料としては、金あるいは白金などの貴金属が挙げられる。金属層の厚さは任意であるが、電極膜52A,52Bに電位が均一になるように連続膜となっていることが好ましい。金属層を形成する方法としては、めっき法、蒸着法あるいはスパッタ法などが挙げられる。
【0038】
高分子化合物膜51の大きさ(幅および長さ)は、駆動対象物(ここではレンズ保持部材43等)の大きさや重量、あるいは高分子化合物膜51において必要とされる変位量(変形量)に応じて、任意に設定可能である。高分子化合物膜51の変位量は、例えば、要求される駆動対象物の変位量(Z軸方向に沿った移動量)に応じて設定されるようになっている。
【0039】
(イオン交換樹脂の詳細構成)
ここで、本実施の形態のポリマーアクチュエータ素子131,132は、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有するイオン(動作イオン)を含有したイオン交換樹脂を用いて構成されている。具体的には、上記した電極膜52A,52Bおよび高分子化合物膜51のうちの少なくとも一層、望ましくは、電極膜52A,52Bおよび高分子化合物膜51の各層(全ての層)に、そのような動作イオンを含有するイオン交換樹脂が用いられている。詳細には、ポリマーアクチュエータ素子131,132が、(導電性材料とイオン交換樹脂との混合層からなる電極膜52A)/(イオン交換樹脂を含む高分子化合物膜51)/(導電性材料とイオン交換樹脂との混合層からなる電極膜52B)の3層構造である場合において、これらの3層のうちの少なくとも1層、望ましくは3層全てに、そのような動作イオンを含有するイオン交換樹脂が用いられている。
【0040】
ここで、上記した活性化エネルギーとは、動作イオンが、イオン導電性樹脂中の一の官能基から他の一の官能基へ移動する際に最低限必要とされるエネルギーのことを意味している。また、ここでいう活性化エネルギーとは、所定の低湿度環境下(例えば後述するように、相対湿度=30%の環境下)における活性化エネルギーを意味している。このような活性化エネルギーとしては、詳細は後述するが、0.25[eV]以下であることが望ましく、0.20[eV]以下であることが更に望ましく、0.10[eV]以下であることがより一層望ましい。また、これも詳細は後述するが、そのような値の活性化エネルギーを有する動作イオン(ここでは陽イオンの例)としては、例えば、水素イオン(H+)またはリチウムイオン(Li+)が挙げられる。具体的には、リチウムイオンは、活性化エネルギーが0.20[eV]以下である動作イオンの一例であり、水素イオンは、活性化エネルギーが0.10[eV]以下である動作イオンの一例である。
【0041】
また、このようなイオン交換樹脂中における動作イオンの活性化エネルギー(イオン伝導の際の活性化エネルギー)Eaは、以下のようにして規定される。すなわち、まず、ポリマーアクチュエータ素子131,132の応答速度Vは、このイオン交換樹脂中における動作イオンの活性化エネルギーEaを用いて、以下の(1)式により規定される(アレニウスの法則)。なお、この(1)式中において、Aは、温度に依存しない定数(頻度因子)であり、Rは気体定数、Tは絶対温度である。そして、(1)式の両辺について対数(loge=ln)をとって変形すると、以下の(2)式が得られる。つまり、活性化エネルギーEaは、気体定数Rと絶対温度Tとの積(RT)の逆数を横軸にし、応答速度Vの対数(lnV)を縦軸にしたグラフ(いわゆるアレニウスプロット)において、直線の傾きの絶対値から求められる。なお、(2)式から分かるように、lnAは、このアレニウスプロット上における縦軸の切片から求められる。
【0042】
【数1】

【0043】
なお、本実施の形態では、上記した活性化エネルギーを有する動作イオンを含有したイオン交換樹脂におけるイオン交換当量質量(EW(Equivalent Weight)値)が、800[g/eq]以下となっていることが望ましい。そのように構成した場合、詳細は後述するが、低湿度での応答速度低下を防げるのと同時に、高温で長期間保存した後の変位量低下を有効に防止できるからである。ここで、図8は、動作イオンとして水素イオンを使用したアクチュエータ素子において、温度=85℃,湿度=50%RHの環境下で1000時間保存した場合における変位量低下の測定結果を、EW値=780[g/eq]およびEW値=1100[g/eq]の各場合について示したものである。
【0044】
[撮像装置2の作用・効果]
続いて、本実施の形態の撮像装置2の作用および効果について説明する。
【0045】
(1.ポリマーアクチュエータ素子131,132の動作)
最初に、図9を参照して、ポリマーアクチュエータ素子131,132の動作について説明する。図9は、これらのポリマーアクチュエータ素子131,132の動作を、断面図を用いて模式的に表したものである。なお、ここでは、陽イオン物質として、陽イオンと極性溶媒とを含むものを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0046】
この場合、電圧無印加状態におけるポリマーアクチュエータ素子131,132は、陽イオン物質が高分子化合物膜51中にほぼ均一に分散することから、湾曲することなく平面状となる(図9(A))。ここで、図9(B)中に示した電圧供給部19によって電圧印加状態とする(駆動用電圧Vdの印加を開始する)と、ポリマーアクチュエータ素子131,132は以下のような挙動を示す。すなわち、例えば電極膜52Aがマイナスの電位、電極膜52Bがプラスの電位となるように電極膜52A,52Bの間に所定の駆動用電圧Vdを印加すると、陽イオンが極性溶媒と溶媒和した状態で電極膜52A側に移動する。この際、高分子化合物膜51中では陰イオンがほとんど移動できないため、高分子化合物膜51では、電極膜52A側が膨潤し、電極膜52B側が収縮する。これにより、ポリマーアクチュエータ素子131,132は全体として、図9(B)に示したように電極膜52B側に湾曲する。
【0047】
こののち、電極膜52A,52Bの間の電位差を無くして電圧無印加状態とする(駆動用電圧Vdの印加を停止する)と、高分子化合物膜51中において電極膜52A側に偏っていた陽イオン物質(陽イオンおよび極性溶媒)が拡散し、図9(A)に示した状態に戻る。
【0048】
また、図9(A)に示した電圧無印加状態から、電極膜52Aがプラスの電位、電極膜52Bがマイナスの電位となるように、電極膜52A,52Bの間に所定の駆動電圧Vdを印加すると、陽イオンが極性溶媒と溶媒和した状態で電極膜52B側に移動する。この場合、高分子化合物膜51では、電極膜52A側が収縮し電極膜52B側が膨潤するので、ポリマーアクチュエータ素子131,132は全体として、電極膜52A側に湾曲する。
【0049】
(2.レンズモジュール4の動作)
続いて、図10を参照して撮像装置2(レンズモジュール4)全体の動作について説明する。図10は、撮像装置2におけるレンズモジュール4の動作を側面図(Z−X側面図)で表したものであり、(A)は動作前の状態を、(B)は動作後の状態をそれぞれ示す。
【0050】
このレンズモジュール4では、図10(A),(B)に示したように(図中の矢印)、一対のポリマーアクチュエータ素子131,132によってレンズ保持部材14が駆動されることにより、レンズ40がその光軸Z1に沿って移動可能となる。このようにしてレンズモジュール4では、ポリマーアクチュエータ素子131,132を用いた駆動装置(レンズ駆動装置)によって、レンズ40がその光軸Z1に沿って駆動される。
【0051】
(3.イオン交換樹脂の作用)
ところで、上記したように、イオン導電性樹脂(イオン交換樹脂)中のイオンの移動現象を利用して動作を行うポリマーアクチュエータ素子では、一般に、周囲の環境によってはその特性が低下してしまうおそれがある。
【0052】
ここで、そのような特性低下としては、具体的には、まず、低湿度環境下(乾燥した環境下)における応答速度の低下が挙げられる。これは、イオン交換樹脂におけるイオン伝導度が、低湿度環境下において低下してしまうことに起因する。この対策としては、イオン交換樹脂の乾燥を防ぐために、ポリマーアクチュエータ素子全体を不透湿フィルムでラミネートしたり、ポリマーアクチュエータ素子を水溶液中で使用する手法などが考えられる。ただし、そのような手法では、ポリマーアクチュエータ素子の動作が阻害されたり、使用環境が制限されたりする問題がある。また、動作イオンとして、蒸発しにくいイオン液体を用いる方法も考えられるが、後述する比較例2のように、低湿度環境下における応答速度低下を改善するには不十分である。
【0053】
上記した周囲の環境に応じたポリマーアクチュエータ素子の特性低下としては、その他には、高温環境下での保存後における変位量(変形量)の低下が挙げられる。これは、イオン交換樹脂内にある官能基の脱水反応による変性であると考えられている(Shigeaki Morita and Kuniyuki Kitagawa, "Temperature-dependent structure changes in Nafion ionomer studied by PCMW2D IR correlation spectroscopy", Journal of Molecular Structure, 974(2010), pp56−59参照)。この脱水反応によって官能基が変性すると、その官能基はイオン伝導に寄与しなくなることが知られている。一方、イオン伝導に寄与する官能基の数が一定量よりも少なくなると、官能基間の距離が遠くなるため、急激にイオン伝導度が低下する問題がある。
【0054】
そこで、本実施の形態のポリマーアクチュエータ素子131,132は、前述したように、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有するイオン(動作イオン)を含有したイオン交換樹脂を用いて構成されている。具体的には、電極膜52A,52Bおよび高分子化合物膜51のうちの少なくとも一層、望ましくは、電極膜52A,52Bおよび高分子化合物膜51の各層(全ての層)に、そのような活性化エネルギーを有する動作イオンを含有したイオン交換樹脂が用いられている。
【0055】
これにより、イオン伝導に必要な最小エネルギーが小さく抑えられるため、低湿度の環境下においても通常の湿度環境下と同等の応答速度を得ることができる。また、高温環境下での保存後に、変性による官能基数の低下により正常に機能している官能基間の距離が増加しても、比較的小さなエネルギーでイオン伝導を維持することができる。更に、前述したEW値が800[g/eq]以下のイオン交換樹脂と組み合わせて用いた場合、すなわち、単位重量当たりの官能基量が所定量よりも多いイオン交換樹脂を用いた場合には、以下のようになる。すなわち、高温環境下で変性した官能基数が増えても、正常に機能している官能基の数が一定量以上存在することになるため、イオン伝導度の急激な低下を有効に阻止することができる。
【0056】
このようにして本実施の形態のポリマーアクチュエータ素子131,132では、上記した低湿度や高温等の環境下であっても、イオン交換樹脂におけるイオン伝導度の低下が抑えられる。その結果、これらのポリマーアクチュエータ素子131,132では、周囲の環境に応じた特性低下(例えば、上記したように、低湿度環境下における応答速度低下や、高温環境下での保存後における変位量低下等)が抑えられる。
【0057】
(4.実施例)
ここで、このようなポリマーアクチュエータ素子131,132に関する具体的な実施例(実施例1,2)について、比較例(比較例1,2)と比較しつつ説明する。
【0058】
図11(A)〜(D)は、実施例1,2および比較例1,2に係る応答速度についての実験結果を表したものである。具体的には、図11(A)は、ポリマーアクチュエータ素子131,132におけるイオン交換樹脂中の動作イオンとして、水素イオン(H+)を用いた実施例(実施例1)において、(1000/絶対温度T)と応答速度Vとの関係(アレニウスプロット)を示している。図11(B)は、イオン交換樹脂中の動作イオンとしてリチウムイオン(Li+)を用いた実施例(実施例2)における、アレニウスプロットを示している。一方、図11(C)は、イオン交換樹脂中の動作イオンとしてナトリウムイオン(Na+)を用いた比較例(比較例1)における、アレニウスプロットを示している。図11(D)は、イオン交換樹脂中の動作イオンとして、イオン液体に用いられる一般的な有機陽イオンであるEMIM(1−Ethyl−3−methylimidazolium)イオン(EMIM+)を用いた比較例(比較例2)における、アレニウスプロットを示している。なお、ここでは、応答速度V(平均応答速度)としては、大気中の相対湿度=30%の環境下において、(幅2mm×有効長5mm)のポリマーアクチュエータ素子に対して1Vの電圧を印加したときの、素子の先端部分(有効長5mmの位置)における値を用いた。
【0059】
図12(A)は、前述した(1)式および(2)式を用いて、図11(A)〜(D)に示した各アレニウスプロットにおける直線の傾きから求められた、相対湿度=30%,温度=25℃の環境下における各動作イオンの活性化エネルギーEa(30)を表したものである。また、図12(B)は、各動作イオンの活性化エネルギーEa(30)と、相対湿度=30%,温度=25℃の環境下における各ポリマーアクチュエータ素子の応答速度V(30)との関係を表したものである。
【0060】
これらの図12(A),(B)により、活性化エネルギーEa(30)の値が小さい動作イオンほど、ポリマーアクチュエータ素子の応答速度V(30)が大きくなる傾向にあることが分かる。一方、例えば図4に示したような用途では、許容できるポリマーアクチュエータ素子の有効長や変位量、レンズのフルストローク移動時間には、自ずと制約がある。具体的には、一般的な携帯電話機用の撮像装置では、その外形寸法から、ポリマーアクチュエータ素子の有効長は5mm前後であることが望ましく、焦点調節制御に必要な諸条件から、ポリマーアクチュエータ素子の変位量は0.3mm前後であることが望ましい。また、焦点調節制御が完了するまでに許容できる時間から、レンズのフルストローク移動時間は1秒以下であることが望ましい。したがって、ポリマーアクチュエータ素子の応答速度としては、0.3mm/秒以上が要求される。
【0061】
ここで、上記した条件例を満足するには、比較例1,2と比べて大きな応答速度V(30)を得る必要がある。このことから、実施例1,2のように、活性化エネルギーEa(30)の値が0.25[eV]以下である動作イオンを含有するイオン交換樹脂を用いることが有効であることが分かる。また、活性化エネルギーEa(30)の値が0.20[eV]以下である水素イオン(H+)(実施例1)やリチウムイオン(Li+)(実施例2)を動作イオンとして用いることが、応答速度V(30)の向上の観点からは望ましいと言える。更に、活性化エネルギーEa(30)の値が0.10[eV]以下である水素イオン(H+)(実施例1)を動作イオンとして用いることが、応答速度V(30)の向上の観点からはより望ましいと言える。
【0062】
以上のように本実施の形態では、ポリマーアクチュエータ素子131,132におけるイオン交換樹脂が、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有するようにしたので、低湿度や高温等の環境下におけるイオン伝導度の低下を抑えることができる。よって、周囲の環境に応じた特性低下(例えば、低湿度環境下における駆動装置の応答速度低下や、高温環境下での保存後における駆動装置の変位量低下等)を抑えることが可能となる。
【0063】
<変形例>
以上、実施の形態および実施例を挙げて本開示の技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0064】
例えば、上記実施の形態等では、主に、陽イオン導電性樹脂と陽イオンとの組み合わせを例に挙げて説明したが、これには限られない。すなわち、ポリマーアクチュエータ素子131,132におけるイオン交換樹脂が、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有するのであれば、陰イオン導電性樹脂と陰イオンとの組み合わせであっても、上記実施の形態等と同様の効果を得ることが可能である。
【0065】
また、上記実施の形態等で説明した接続部14Aおよび連結部材151A,151B,152A,152Bはそれぞれ、場合によっては設けないようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、ポリマーアクチュエータ素子131,132の一端側が固定用部材12によって直接固定されている場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、ポリマーアクチュエータ素子の一端側が、固定用部材によって間接的に(固定電極等を介して)固定されているようにしてもよい。
【0066】
更に、上記実施の形態等では、一対のポリマーアクチュエータ素子を設けた場合について説明したが、必ずしも一対ではなくてもよく、1つあるいは3つ以上のポリマーアクチュエータ素子を設けるようにしてもよい。
【0067】
加えて、ポリマーアクチュエータ素子の形状については、上記実施の形態等に示したものには限定されず、またその積層構造についても、上記実施の形態等で説明したものに限定されず、適宜変更可能である。また、レンズモジュール(駆動装置)における各部材の形状や材料等についても、上記実施の形態等で説明したものには限られない。
【0068】
また、上記実施の形態等では、本開示の駆動装置の一例として、レンズをその光軸に沿って駆動するレンズ駆動装置を挙げて説明したが、その場合には限られず、例えば、レンズ駆動装置がレンズをその光軸と直交する方向に沿って駆動するようにしてもよい。また、本開示の駆動装置は、そのようなレンズ駆動装置以外にも、例えば絞り(特開2008−259381号公報等参照)などを駆動する駆動装置等にも適用することが可能である。更に、本開示の駆動装置、レンズモジュールおよび撮像装置は、上記実施の形態等で説明した携帯電話機以外にも、種々の電子機器に適用することが可能である。
【0069】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
イオン交換樹脂を用いて構成された1または複数のポリマーアクチュエータ素子を備え、
前記イオン交換樹脂は、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有する
駆動装置。
(2)
前記ポリマーアクチュエータ素子は、
一対の電極膜と、
前記一対の電極膜の間に挿設された高分子膜と
を有し、
前記一対の電極膜および前記高分子膜のうちの少なくとも一層に、前記イオン交換樹脂が用いられている
上記(1)に記載の駆動装置。
(3)
前記一対の電極膜および前記高分子膜の各層に、前記イオン交換樹脂が用いられている
上記(2)に記載の駆動装置。
(4)
前記高分子膜における前記動作イオンの活性化エネルギーが、前記電極膜における前記動作イオンの活性化エネルギーよりも低くなっている
上記(3)に記載の駆動装置。
(5)
前記イオン交換樹脂が、前記高分子膜において選択的に用いられている
上記(3)に記載の駆動装置。
(6)
前記動作イオンの活性化エネルギーが、0.25[eV]以下である
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の駆動装置。
(7)
前記動作イオンの活性化エネルギーが、0.20[eV]以下である
上記(6)に記載の駆動装置。
(8)
前記動作イオンの活性化エネルギーが、0.10[eV]以下である
上記(7)に記載の駆動装置。
(9)
前記動作イオンが、水素イオン(H+)またはリチウムイオン(Li+)である
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の駆動装置。
(10)
前記活性化エネルギーが、所定の低湿度環境下における活性化エネルギーである
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の駆動装置。
(11)
前記低湿度環境が、相対湿度=30%の環境である
上記(10)に記載の駆動装置。
(12)
前記イオン交換樹脂におけるイオン交換当量質量(EW値)が、800[g/eq]以下である
上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の駆動装置。
(13)
レンズを駆動するレンズ駆動装置として構成されている
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の駆動装置。
(14)
レンズと、
前記レンズを駆動する駆動装置と
を備え、
前記駆動装置は、イオン交換樹脂を用いて構成された1または複数のポリマーアクチュエータ素子を有し、
前記イオン交換樹脂は、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有する
レンズモジュール。
(15)
レンズと、
前記レンズにより結像されてなる撮像信号を取得する撮像素子と、
前記レンズを駆動する駆動装置と
を備え、
前記駆動装置は、イオン交換樹脂を用いて構成された1または複数のポリマーアクチュエータ素子を有し、
前記イオン交換樹脂は、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有する
撮像装置。
【符号の説明】
【0070】
11…支持部材、12…固定用部材、131,132…ポリマーアクチュエータ素子、14…レンズ保持部材、14A…接続部、14B…保持部、151A,151B,152A,152B…連結部材、16…押え部材、17A,17B…ホール素子、19…電圧供給部、2…撮像装置、3…撮像素子、4…レンズモジュール、40…レンズ、51…高分子化合物膜、52A,52B…電極膜、8…携帯電話機、Z1…光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換樹脂を用いて構成された1または複数のポリマーアクチュエータ素子を備え、
前記イオン交換樹脂は、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有する
駆動装置。
【請求項2】
前記ポリマーアクチュエータ素子は、
一対の電極膜と、
前記一対の電極膜の間に挿設された高分子膜と
を有し、
前記一対の電極膜および前記高分子膜のうちの少なくとも一層に、前記イオン交換樹脂が用いられている
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記一対の電極膜および前記高分子膜の各層に、前記イオン交換樹脂が用いられている
請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記動作イオンの活性化エネルギーが、0.25[eV]以下である
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記動作イオンの活性化エネルギーが、0.20[eV]以下である
請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記動作イオンの活性化エネルギーが、0.10[eV]以下である
請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記動作イオンが、水素イオン(H+)またはリチウムイオン(Li+)である
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記活性化エネルギーが、所定の低湿度環境下における活性化エネルギーである
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記低湿度環境が、相対湿度=30%の環境である
請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記イオン交換樹脂におけるイオン交換当量質量(EW値)が、800[g/eq]以下である
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項11】
レンズを駆動するレンズ駆動装置として構成されている
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項12】
レンズと、
前記レンズを駆動する駆動装置と
を備え、
前記駆動装置は、イオン交換樹脂を用いて構成された1または複数のポリマーアクチュエータ素子を有し、
前記イオン交換樹脂は、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有する
レンズモジュール。
【請求項13】
レンズと、
前記レンズにより結像されてなる撮像信号を取得する撮像素子と、
前記レンズを駆動する駆動装置と
を備え、
前記駆動装置は、イオン交換樹脂を用いて構成された1または複数のポリマーアクチュエータ素子を有し、
前記イオン交換樹脂は、所定の閾値以下の活性化エネルギーを有する動作イオンを含有する
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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