説明

駐車場に備えた車両のはみ出し検出器

【課題】従来の検出装置では、上下動によって入出庫口を開閉する扉を備えた機械式駐車設備の停車位置検出装置であって、入庫した車両の後端部を検出するための後端部検出器が備えてある。この後端部検出器は、光電管を扉の左右に配置して、扉を上下動することで光軸の面検出を可能にして、車長の後端を検出している。しかし、扉が上方から下方に下降しないと面検出が完了しないため、はみ出しが有った場合には、扉が干渉し事故になる欠点があり、車両の昇降に別途の検出器を備える必要があった。
【解決手段】本発明の駐車装置1の乗込場Sにおいて、前記乗込場Sの車両Cのはみ出し面を検出する面検出器Kを入庫可能な領域内10の境に配置し、前記面検出器Kは、車両が乗込場Sに進入するとき、領域内10の表示または領域外11の表示をすると共に、領域内10に停車する時に入庫許可を出す構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場に入庫する車両を、乗込場の定位置の領域とはみ出す領域の境を幕状の全面を面積で検出する検出器であり、検出する領域を面ごとに検出することで、安全な定位置へ導き入庫する面検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の検出装置では、上下動によって入出庫口を開閉する扉を備えた機械式駐車設備の停車位置検出装置であって、入庫した車両の後端部が所定区画内に有るか否かを検出するための後端部検出器が備えてある。この後端部検出器は、光電管を扉の左右に投光管と受光管を配置して、扉を上下動することで光軸の面検出を可能にして、車長の後端を検出している。
【0003】
【特許文献1】 特開2001−12101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、扉が上方から下方に下降しないと面検出が完了しないため、もしも、はみ出しが有った場合には、扉が干渉し事故になる欠点があり、さらに、左右の側面の検出を上下動することができないため面検出ができなく、車両の昇降に別途の検出器を備える必要があった。
【0005】
本発明では、面として検出する検出器であり、この検出器は光軸を回動するミラーの反射で面状に検出領域を形成するものと、面を画像でスキャンして正常な画面と検出画像を比較して検出するものとを含む機構のものである。検出器は、安全な定位置内に在車していることを検出する領域の境に設置して表示する。さらに、進入する車両にはみ出す境を検出して、車両の運転者に表示することで、進行方向を調整する操縦をすることができる検出装置を目的にしている。
【0006】
面検出器は、車幅・車長・車高を検出するもので、複列に設置して安全領域とはみ出し領域に備え、車両の位置を捕らえ安全内に誘導できる検出器の配置と検出方法を備えた検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明では、昇降リフトを昇降する昇降空間を備え、該昇降空間に隣接する駐車室を備え、駐車室に車両を搭載する横行トレイを配置して、昇降リフトと横行トレイとが車両の受け渡しを可能にする駐車装置の乗込場である。
前記乗込場には、車両のはみ出し面を検出する面検出器を、入庫可能な領域内の境に配置する。この面検出器は、車両が乗込場に進入するとき、領域内の表示または領域外の表示をすると共に、領域内に停車する時に入庫許可を出す構成とする。
【0008】
請求項2の発明では、請求項1の面検出器の位置は、複列間隔に配置している。この位置は、入庫可能な正常位置を領域内とした面と、前記領域外とする面と、領域を大きく外している面を検知して車両の運転者に表示する構成とする。
請求項3の発明では、請求項1の面検出器の領域は、昇降リフトが昇降可能な昇降領域と、横行トレイが収納可能な収納領域と、を検出する車幅と車長と車高との少なくとも一検出を乗込場で検知する構成とする。
請求項4の発明では、請求項2の正常位置の領域は、乗込場の手前から検知して、車両の運転者に表示する構成とする。
【0009】
請求項1の構成では、入庫車両を正常で安全な領域に進行方向させることができる作用がある。
請求項2の構成では、車両の位置を左右・前後に移動する距離と修正方向を表示することができる作用がある。
請求項3の構成では、入庫可能な車両の車幅・車長・車高の領域を検出する作用がある。
請求項4の構成では、乗込場の手前から正常な位置に修正することができる作用がある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、車両のはみ出しを面で検出するので、安全な領域に容易に乗入れのことができる効果がある。
請求項2の発明では、車両の運転者が正常な位置の方向に進行させることができる効果がある。
請求項3の発明では、昇降リフトが昇降可能な領域と、横行トレイが収納可能な領域を面検出器により瞬時に要否を得ることで、安全に速く検知することができる効果がある。
請求項4の発明では、正常な位置に手前から運転操作でき、正確に正常方向へ入庫案内することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 駐車装置の乗込場を示す正面図。
【図2】 乗込場と前面空地を示す平面図。
【図3】 乗込場と検出器と入庫する車両を示す平面図。
【図4】 検出器と乗込場に乗入れる車両を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、駐車装置1に入庫する車両Cが乗込場Sに乗込む時に、入庫可能な領域内10か領域外11かを検知する検出器Kであり、領域の境の全面を検出することができるものであり、車幅・車長・車高を検知することで入庫を安全にでき、領域内10に容易に乗入れることができように配置した検出器Kを提供するものである。
【0013】
図1は、駐車装置1の正面を示すもので、一例としてエレベーター式立体駐車塔のフォーク式で説明するが、これに限定するものではなく、多段多列式・パレット式・フォーク式・自走式等の全般に採用することができるものである。車両Cの乗込場Sは、地上面GLの中央の昇降空間Eの位置にあり、左右に駐車室Xを複数段に形成している。昇降空間Eには、上部に設置した昇降駆動部から索状体6を介して昇降リフト2を吊下げて、この昇降リフト2に車両Cを搭載してガイドレール5の案内で昇降動作する。
【0014】
駐車室Xは、昇降空間Eに隣接する左右に配置され、車両Cを搭載する横行トレイ8を収納している。横行トレイ8は、駐車室Xと昇降空間Eを往復動することができる横行装置9を備え、昇降リフト2とすれ違い可能にして車両Cを受け渡しする。乗込場Sは、昇降リフト2と乗込み床3とをすれ違い可能にして、一体になることで水平な平面の車路を形成して、車両Cを乗込めることができる。
【0015】
検出器Kは、全面の幕状を検知するもので、光軸を回動させて反射する光軸を受光して検知するものとか、光軸で画像面を形成して記憶し受光する画像面と異なると異常検知するレーザ光軸のものとかがあり、光軸の幅の薄い幕状の面の変化を検出することができるものである。車幅の検出は、車両の左右を垂直な幕状にして、入庫可能な領域内10である第一検出器kaに検知されなければ正常な位置として、入庫ができる。車長の検出は、車両の前後を入庫可能な領域内10である検出器Kに、検知されなければ正常な位置として、入庫することができる。
【0016】
車高の検出は、車両Cの高さ方向に水平な幕状の検出をすることで、入庫可能な領域内10とすることができる。駐車室Xの車室の種類が例えば1600mm・1800mm・2050mmとあるとき、検出器Kを3種類用意することで、どの駐車室X入るかを判断することができる。この車高の検出器は、一般に採用されている入口の左右に光軸を通す方法では、乗員の人数により車高が低くなり乗入れたときと、乗員が降車したときとの差ができ、正確な高さを得ることができなく、またエアーサスペンション機能付き車両Cのように変化するものでは正確にできなかった。
【0017】
しかし、本発明の検出器Kにより乗込場Sで車両Cのみになったときに変化が起きても検知が正確にできるもので、安全に駐車装置1を起動させることができる。検出器Kの設置位置は、入庫車に干渉しないところで、図1では車幅の検出器Kを複列に配置した第一検出器Kaと第二検出器Kbの2列の一例を示している。
【0018】
図2は、2列に配置した車幅の検出器Kを一例として、乗込場Sに乗入れる車両Cを検知して説明する。駐車装置1は、前面空地タイプの縦列型であり、地上面GLの乗込場Sと前面空地S1を示し、車幅の検出器Kを2列に配置している。前面空地S1は、車両Cを入出庫する出入口にあり、入庫する車両Cの待機する空間であり、この上段を複数階の駐車室Xを配置する駐車塔になっている。
【0019】
乗込場Sは、中央を昇降リフト2が昇降する昇降空間Eを備え、この昇降空間Eの四隅にガイドレール5を立設して昇降リフト2の昇降の案内をし、地上面GLで床面4と昇降リフト2とが一体の車路を形成して、車両Cを乗込みすることができると共に、昇降リフト2の昇降により各階の駐車室Xに搬送することもできる。昇降リフト2は、昇降空間Eの長手方向の左右両端からフォーク形状に内側へ突出させ、フォーク上に車両Cを搭載して搬送する。昇降空間Eの床面4は、中央に平面部を備え、この平面部から昇降リフト2のフォークの隙間を塞ぐように、フォークが内側から外側に突出して、隙間が少ない安全な車路にしている。
【0020】
検出器Kは、車幅のもので一例を示して説明すると、第一検出器kaを安全に入庫することができる領域の境に設置して、第二検出器Kbを第一検出器Kaから離間距離Lだけ外側に位置するもので、右側と左側の区別がつき光軸も長い距離の検出が可能なものである。前面空地S1は、乗込場Sに入出庫する前車の処理中に入庫する車両Cが待機する場所であり、乗込場Sが空車になれば乗り入れを行う。
【0021】
検出器Kは、乗込場Sから前面空地S1の位置まで光軸が延びて検出を行い、前面空地S1の車両Cを検出する。第一検出器Kaと第二検出器Kbは、図2の左側が検出され、右側が検出されてないので、運転者には「もっと右に寄ってください」と表示することができる。
【0022】
図3は、前記入庫する車両Cが右側に寄ってくると、第一検出器Kaに検出されれば領域外11であり「少し左に寄せてください」と表示して、第二検出器Kbに検出されれば大きく超えた領域12であり「大きく左に寄せてください」と、または、離間距離Lが分かるので「Lセンチ左に寄せてください」と表示してもよい。車両Cの運転者は、表示に従って乗込場Sに乗入れる。
【0023】
図4は、表示に従って車両Cを進行させるが、右側の第二検出器Kbが検出してなく、第一検出器Kaだけになると、「少し左に寄せてください」と変わり、運転者が正常な左右の検出器Kに検出されない位置に運転して乗入れることができる。検出する領域は、幕状の面積で検出するため、車幅検出で説明すると、ドアミラーが低い位置のスポーツカーの車両Cでも、ハイルーフの車両Cでも検出することができる。検出器Kの位置は、乗込場Sの奥側の上段に配置されることが多いが、限定するものではなく、どの位置でも作用効果を変えることなく作動する。
【0024】
車長検出の場合は、長手方向の両端位置に配置して、車両Cが進行して検出器Kが検出しない前端位置と後端位置とを安全な入庫可能な領域内10に入ることで、「その位置で停止してください」と表示が出て運転者はサイドブレーキを掛けて停止させる。検出器Kを複列に配置すれば、さらに精度の高い位置に案内することができる。表示は、乗込場の正面にミラーを備え、このミラーの上部に発光掲示板による文字の表示でもよく、矢印の表示でも、音声による伝達でもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 駐車装置
2 昇降リフト
3 乗込み床
4 床面
5 ガイドレール
6 索状体
7 開口部
8 横行トレイ
9 横行装置
10 入庫可能な領域内
11 領域外
12 大きく超えた領域
E 昇降空間
X 駐車室
K 検出器
Ka 第一検出器
Kb 第二検出器
S 乗込場
C 車両
P ピット
GL 地上面
L 離間距離
S1 前面空地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降リフトを昇降する昇降空間を備え、該昇降空間に隣接する駐車室を備え、駐車室に車両を搭載する横行トレイを配置して、昇降リフトと横行トレイとが車両の受け渡しを可能にする駐車装置の乗込場において、
前記乗込場の車両のはみ出し面を検出する面検出器を入庫可能な領域内の境に配置し、
前記面検出器は、車両が乗込場に進入するとき、領域内の表示または領域外の表示をすると共に、領域内に停車する時に入庫許可を出すことを特徴とする駐車場に備えた車両のはみ出し検出器。
【請求項2】
前記面検出器の位置は、複列間隔に配置され、入庫可能な正常位置を領域内とした面と、前記領域外とする面と、前記領域外を大きく超えたとする面と、を検知して車両の運転者に表示することを特徴とする請求項1記載の駐車場に備えた車両のはみ出し検出器。
【請求項3】
前記面検出器の領域は、昇降リフトが昇降可能な昇降領域と、横行トレイが収納可能な収納領域と、を検出する車幅と車長と車高との少なくとも一検出を乗込場で検知することを特徴とする請求項1記載の駐車場に備えた車両のはみ出し検出器。
【請求項4】
前記乗入れる正常位置の領域は、乗込場の手前から検知して、車両の運転者に表示することを特徴とする請求項2記載の駐車場に備えた車両のはみ出し検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−113084(P2013−113084A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−276419(P2011−276419)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000237835)富士変速機株式会社 (76)