説明

駐車場管理システムおよびその管理方法

【課題】地域的に離れた複数の駐車場に入庫および出庫する車両を車両ナンバーで一元的に管理することのできる駐車場管理システムを提供する。
【解決手段】駐車場管理システム10は、複数の駐車場13,13a,13bに設置された現場制御装置14,14a,14bを中央管理装置11とインターネット網で結合される。駐車スペース15は、入出庫する車両23を規制するロック板が設置されておらず、ある駐車スペース15に入庫する車両23はカメラ17によって撮影され、カメラ17はその画像情報から車両ナンバー25を抽出する。その車両ナンバーは中央管理装置11へ伝送され、車両ナンバー毎に管理できるデータベースを作成する。料金未払いのまま出庫した車両が再度入庫したことはデータベースから認識できるので、その車両が出庫する際に前回の未納分と共に駐車料金を一括して請求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場の管理システムおよびその管理方法に関し、さらに詳しくは、撮像装置によって撮影された駐車車両の車両ナンバー毎に、駐車車両の入出庫情報や課金情報を管理する駐車場管理システムおよびその管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無人の駐車場を管理する様々なシステムが従来から提案されている。無人駐車場を管理するためには、車両の入庫および出庫の管理が重要であり、その管理は、入出庫時間の記録とその記録に基づく課金徴収および不正出庫の防止が基本となる。入出庫時間の記録は、車両の進入・退出を磁気センサ、光センサ、カメラなどにより検出することが行なわれている。
【0003】
特開平8−22597号公報に記載された駐車場集金システムは、入出庫時に車両のナンバープレートをカメラで撮影し、撮影された画像情報を入庫時間とともにメモリに記憶し、その車両番号を基礎に入庫車両が管理される。駐車料金はその車両の入出庫時間から計算され、計算された駐車料金は出口に設置された集金装置で集金される。集金が確認されると、出口ゲートが開き車両は一般道へ出ることができる。
【0004】
特開平8−22597号公報では、車両の入出庫は、カメラにより撮影した画像情報から車両ナンバーを認識し、駐車料金の集金を確認して駐車場のゲートを開く駐車場集金システムが開示されている。その結果、駐車券の発券を省くことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−127005号公報
【特許文献2】特開2005−346551号公報
【特許文献3】特開平8−221626号公報
【特許文献4】特開2001−175995号公報
【特許文献5】特開2004−234429号公報
【特許文献6】特開平4−241099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているシステムでは、特定の一箇所の駐車場で利用できる駐車場集金システムを開示しているに過ぎず、複数の地域に分散して設置されている駐車場の入出庫管理や課金管理などを車両毎に一元的に管理することはできないという欠点がある。
【0007】
また、契約を結んだ利用者が複数の駐車場を自由に利用でき、かつ利用料金を一元的に管理できる駐車場管理システムを構築することができないという欠点がある。さらに、駐車料金を未納のまま出庫した利用者に対して未納料金を再請求できないという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、車両の入出庫を規制するためのロック板を具備していない駐車スペースからなる駐車場への車両の入出庫を管理する駐車場管理システムにおいて、その駐車場管理システムは、駐車場に駐車する車両に関連する情報を車両の車両ナンバー毎に格納するデータベースを有する管理装置と、有線または無線の電気通信回線によって管理装置に結合され、駐車場の駐車スペースに入庫する車両を撮影するために駐車場に設置された撮像装置と、管理装置に電気的に結合されかつ駐車スペース毎に設置され、駐車料金の精算手続の状況を少なくとも文字または音響により通知する通知装置と、を含み、管理装置は、車両が駐車料金を支払わないで出庫した場合、未払い車両の出庫をデータベースに記録することを特徴とする駐車場管理システムである。
【0009】
また、本願発明は、データベースが駐車中の車両に対して駐車料金の未納を示している場合、この車両が出庫するとき未納の駐車料金を請求することを特徴とする。
【0010】
さらに、本願発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、車両の入出庫を規制するためのロック板を具備していない駐車スペースからなる駐車場への車両の入出庫を管理する駐車場管理方法において、駐車場に設置された撮像装置によって、駐車場の駐車スペースに入庫する車両を撮影する段階と、その撮影する段階によって撮影された画像情報から読取られた車両の車両ナンバー毎に駐車場に駐車する車両に関連する情報をデータベースに記録する段階と、駐車料金の精算手続の状況を駐車スペースに設置された通知装置が少なくとも文字または音響により通知する段階と、車両が駐車料金を支払わないで出庫する場合、未払い車両の出庫をデータベースに記録する段階と、を含むことを特徴とする駐車場管理方法である。
【発明の効果】
【0011】
本願発明に従えば、本システムの適用された複数の駐車場では、利用者はいずれの駐車場でも自由に利用することが可能であると共に、特に駐車場利用契約を締結した利用者、特に運送業などに従事する利用者は、いずれの駐車場を利用しても一元的に料金の精算が可能となる。また、駐車場管理者からは、車両ナンバーから車両を一元的に管理できるので、過去に不払いをした利用者に対して再度の課金請求をいずれかの駐車場で実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例である駐車場管理システムを示すブロック図である。
【図2】入庫する車両の車両ナンバーを撮影するときの状況を説明する図である。
【図3】車両に接近する運転者を検出する状況を説明する図である。
【図4】表示装置を有するカメラ・ボックスの別の例を示す図である。
【図5】駐車場の利用契約を締結している契約者リストを含む契約車両データベースの一例である。
【図6】駐車料金を精算せずに出庫した車両のリストを示す不正出庫車データベースの一例である。
【図7】精算器等の設備不良により利用者が駐車料金を支払わないで出庫した車両の車両ナンバーと出庫時間を記録する機器不良による出庫データベースである。
【図8】利用者が駐車場を利用した時間・利用駐車場などを車両ナンバー別に記録したナンバー別利用状況データベースである。
【図9】車両が入庫した場合の中央管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】車両が出庫した場合の中央管理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明を実施するための最良の形態が図面を参照して以下説明されるが、図面に示される構成は、本願発明の特徴の理解を容易にするために簡略化されている。しかしながら、本願発明は、図面および実施例の説明に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載によってのみ定義される。
【0014】
図1は、本願発明が適用される駐車場管理システム10の一実施例を示す構成ブロック図である。図1に示される駐車場管理システム10は、中央管理装置11と専用回線または通常の電話回線やインターネット網等の通信回線12,12a,12bを介して結合され、駐車場13,13a,13b内に設置された現場制御装置14,14a,14bを有するが、さらに多くの駐車場の現場制御装置に結合されていてもよい。
【0015】
駐車場13は、駐車スペース15に区画され、1区画に1台の車両を駐車させることができる。各駐車スペースには、カメラ・ボックス16がポール上に設けられ、その内部には撮像装置であるカメラ17と駐車スペース内に人が侵入したかどうかを検出する人感センサ18が設けられている。カメラ17は、通常使用される工業用カメラでよく、静止画または動画を撮影できればなんでもよい。また、人感センサ18は、例えば、焦電センサであり、赤外線で対象物の温度を測定し、温度差から人の存在を検出することができる。さらに、カメラは駐車スペース毎に設置する必要はなく、所定数の駐車スペースを撮影できるように設置してもよい。この場合、いずれの駐車スペースに車両が入庫したかは、撮影した画像情報を解析して特定される。
【0016】
カメラ17および人感センサ18は、信号線19,20によって現場制御装置14にそれぞれ結合され、カメラ17の画像信号および人感センサ18の検出信号は、それぞれ現場制御装置14に伝えられる。現場制御装置14は、受信した各信号から所望のデジタル信号に変換するが、それらの回路構成および処理回路の具体的構成は従来技術に属するのでここでは詳しくは述べない。
【0017】
また、駐車場13には、現場制御装置14に結合された料金精算器21が設置され、利用者が出庫する際に駐車場の利用料金を精算器21から支払うことができる。料金精算器21は、図示していないが、硬貨や紙幣の投入口および利用者への課金情報やその他のサービス情報等を示す表示装置が設けられている。
【0018】
他の駐車場13a,13bにも、上述した現場制御装置14、ボックス16内に設けられたカメラ17および人感センサ18、および、料金精算器21が同じ構成で配置されているが、同じ目的が達成できるなら、他の構成を採用してもよい。
【0019】
次に、図1に示される駐車場管理システムの動作について、図2を用いながら以下説明する。図2に示されるように、車両23が駐車スペース15に入庫する場合、カメラ17は方向24に向かって車両ナンバー25を含む入庫車両23を撮影する。その映像は、静止画でも動画でもよい。撮影された画像信号は、信号線19を介して、現場制御装置14へ伝送される。あるいは、カメラ17が撮影された画像から車両ナンバー25を抽出し、その車用ナンバー25のデジタル情報を信号線19を介して、現場制御装置14、さらに通信回線12によって中央管理装置11へ伝送することができるようにしてもよい。
【0020】
その画像信号は、現場制御装置14内でデジタル情報へ変換され、所定のメモリに格納される。現場制御装置14は、所定の画像処理に従ってデジタル情報へ変換された画像情報から、その画像情報内に含まれる車両ナンバー25を抽出する(車用ナンバー25がカメラ17から伝送される場合、車両ナンバー25を画像情報から抽出する処理は行なわれない)。その抽出された車両ナンバー25は、現場制御装置14内のメモリに格納されるとともに、インターネット網を含む電気通信回線12を介して、駐車場13の駐車場番号、その車両23が入庫した駐車スペース15の駐車スペース番号、その車両23を撮影した撮影日時などを加えて中央管理装置11へ送られる。中央管理装置11へ送られたデータは、中央管理装置11内のメモリ装置に設けられたデータベースの所定の領域にそれぞれ格納される。車両ナンバーが画像情報から抽出できない場合、画像情報は中央管理装置11へ送られ、中央管理装置11の所定のメモリ領域に格納されてもよい。この画像情報は目視により車両ナンバーを特定するために利用することができる。格納されたデータは、本システムが提供する様々なサービスに利用されるが、その内容は後述される。
【0021】
なお、車両が所定の駐車スペースに入庫した時刻および駐車スペースから出庫した時刻は、各駐車スペースに設けられた車両検出センサ(図示せず)からの検出信号に基づいて求められる。車両検出センサは、磁界の変化を検出するループセンサ、車体による光の進行を遮断されることにより車両の存在を検出する光センサ、あるいは車両の重量を検出する重量センサなどが用いられる。また、上述したようにカメラ17が車両を撮影しているので、その画像情報から車両の存在を判別し、車両の入出庫時間を特定することもできる。
【0022】
次に、出庫する場合の手順について説明する。利用者は、まず駐車料金を支払うために精算器に立ち寄り、駐車スペースの番号を入力する。入庫時間から駐車料金が算出され、その駐車料金が精算器の表示画面上に表示される。利用者は、その料金を精算器に支払い、領収書を受取ることにより、精算が完了する。精算が完了した事実は、制御装置を介して中央管理装置へ送られ、データベースの所定の領域に書き込まれる。
【0023】
利用者の中には、精算手続きをうっかり忘れて出庫しようとすることもあるので、そのような利用者へ注意を促すことが必要となる。図3に示すように、利用者31が自車32に接近すると、人感センサ18は利用者からの赤外線33を検出し、例えば図4に示されるような表示パネル41をボックス16の代わりにボックス42に取り付け、例えば「課金中」という文言を表示するようにしてもよい。また、表示だけではなくスピーカ43から利用者向けのメッセージを流し、注意を喚起するようにしてもよい。この場合、周囲の環境に配慮するために、マイクロフォン44によって周囲音を測定し、スピーカ43から流すメッセージの音圧を制限することが望ましい。
【0024】
車両が契約車である場合、精算器に立ち寄らないで出庫しようとしても、警報を発することはない。後述するように、契約車両は中央管理装置11のデータベースに登録されているので、中央管理装置11から現場制御装置14に契約車であることが通報される。これにより、契約車両を運転する利用車は、出庫時になんらの精算手続きをする必要がなく、快適に運転を再開することができる。
【0025】
次に、中央管理装置11に設けられるデータベースについて説明する。図5ないし図8は、中央管理装置11内に格納されている各種データベースの一例を示す。図5は、駐車場の利用契約を締結している契約者のリストを含む契約車両データベース50の一例である。図5では、契約者と契約した車両ナンバーが列挙されている。図6は、駐車料金を精算せずに出庫した車両のリストを示す不正出庫車データベース60の一例である。このデータベースでは、不正に出庫した車両の車両ナンバーと不正に出庫した時間が記録される。不正に出庫した車両の画像データをこのデータベース中に格納してもよいが、関連付けて他の領域に格納するようにしてもよい。また、不払いの駐車料金を記録しておいてもよい。図7は、精算器等の設備不良により利用者が駐車料金を支払わないで出庫した車両の車両ナンバーと出庫時間を記録するトラブル時出庫データベース70である。また、未払いの駐車料金を記録しておいてもよい。図8は、利用者が駐車場を利用した時間・利用駐車場などを車両ナンバー別に記録したナンバー別利用状況データベース80である。利用車両が契約車両である場合は、その利用状況を図5で示される契約車両データベースに記録できるようにしてもよい。その他、警察から手配された車両ナンバーを記録した手配車データベースも設けられている。図5ないし図8は、用途別に作成されたデータベースであるが、車両ナンバー毎に全ての項目を一元管理する形式のデータベースを構成してもよい。図5ないし図8に示された管理項目は一例であり、必要に応じてさらに別の項目を加えてもよい。さらに、図5ないし図8は、理解を容易にするために文字化して表現されているが、実際のデータベースは記号化あるいは符号化されたデジタル・データとして格納されていることは当然である。
【0026】
図8に戻り、ナンバー別利用状況データベースについて、さらに説明する。左端の車両ナンバーの欄には、上述したようにカメラ(図2)により撮影され、現場制御装置が画像処理を行なって抽出した車両ナンバーが記録される。次の入庫時間・出庫時間は車両が駐車スペースに入った時刻および退去した時刻が記録される。出庫時間における「- - - - -」の標記は、現在駐車中で、まだ出庫していないことを示す。撮影時刻は、カメラが車両を撮影した時刻が記録される。駐車場番号および駐車スペース番号は、車両が駐車している場所を特定するために、駐車場毎にまた駐車スペース毎にそれぞれ割り振られた番号である。出庫状態は、車両がどのような状況で出庫したかを示す。表中の「正常」は、駐車料金の精算が完了していることを示し、「トラブル出庫」は、機器不良で出庫したことを示し、「不正出庫」は、未払いのまま出庫した状態を示す。また、「-
- -」の標記は、駐車中のため駐車料金がまだ精算されていないことを示す。
【0027】
図5ないし図8に示されたデータベースを利用する中央管理装置11の入庫時および出庫時の動作について、以下説明する。図9は、車両が入庫した場合の中央管理装置11の動作を示すフローチャート900を示す。まず、各駐車スペースに設置された車両センサが車両の侵入を検出し、現場制御装置から車両ナンバーが伝送されてくると、中央管理装置11は、ステップ901で図6に示す手配車両データベースを参照し、ステップ902でそのリストに該当する車両ナンバーが存在するかどうかを検索する。手配車両が存在すると、処理はステップ903に進み、駐車場に手配車両が入庫しことを警告する。この警告に基づき必要があれば、駐車場管理者は警察等に通報することができる。入庫車両が手配車両でない場合、処理はステップ904に進む。
【0028】
ステップ904では、入庫車両が契約車両であるかどうかを図5に示す契約車両データベース50を利用して検索する。契約車両である場合、処理はステップ905から906へ進み、入庫車両が契約車両であり、そのまま出庫しても問題ないことを現場制御装置へ送信する。送信が完了すると、中央管理装置11は、利用状況データベース80に契約車両であることを記録し、入庫管理処理を終了する。
【0029】
入庫車両が契約車両でない場合、ステップ907へ進み、ナンバープレート別利用状況データベース80を参照する。今回入庫した車両が新規の車両であるかどうかが、ステップ908で検索される。新規車両である場合、ステップ909でナンバープレート別利用状況データベース80に車両ナンバーが登録される。例えば、ナンバープレート別利用状況データベース80において、車両ナンバー「品川〇〇−〇〇〇〇」81が新規である場合、その車両ナンバーの他、入庫時間、撮影日時、その車両が入庫した駐車場の番号および駐車スペースの番号が記録される。その後、ステップ910で現場制御装置14へ今回入庫した車両は新規の車両であることを送信し、現場制御装置14は、例えば、その利用者へサービス内容等の紹介を行なう。
【0030】
ステップ908で、入庫車両が新規でない場合、中央管理装置11の処理は、駐車料金の未払い状況を調べる。まず、ステップ911において、過去にトラブル時の未払いがあるかどうかをトラブル時出庫データベース70で参照する。存在する場合、ステップ912からステップ913へ進み、中央管理装置11は過去にトラブル時による未払いがあることを現場制御装置14へ送信する。現場制御装置14は、中央管理装置11からの送信に基づき、例えば精算器から利用者に過去に未払いがあり今回の精算時に加算されることを案内することができる。
【0031】
その後、処理は、ステップ914へ進み、不正出庫車データベース60を参照して、過去に不正に未払いのまま出庫した事実があるかどうかを検索する。ステップ915で、不正出庫が存在すると判断されると、処理はステップ916へ移り、警告表示が示され、駐車場管理者に注意を促すとともに、ステップ917で現場制御装置14へも送信され、利用状況データベース80に入庫が登録される。不正出庫の頻度の高い車両が入庫した場合は、現場責任者が利用者に注意を促すとともに、過去の駐車料金の精算を行なうよう求めることができる。
【0032】
ステップ915において、不正出庫の事実が確認できない場合、善良な車両と判断し、その情報をステップ918で現場制御装置14へ送信するとともに、利用状況データベース80に入庫が登録される。
【0033】
次に、中央管理装置11の出庫時の動作について説明する。図10は、車両が出庫した場合の中央管理装置11の動作を示すフローチャート1000を示す。まず、車両センサ(図示せず)が駐車スペースに駐車していた車両の移動を検出すると、出庫が開始したと判断する。駐車場番号および駐車スペース番号から出庫車両が特定され、ステップ1001でその車両が契約車両かどうかを判断する。契約車両の場合、処理はステップ1002へ進み、契約車両データベース50に売上の登録を行なう。すなわち、契約者の車両ナンバー毎に利用した日時、利用料金、および利用した駐車場が記録される。この記録は、例えば月毎の請求書を作成する場合に利用される。契約車両データベース50への売上登録が完了すると、ステップ1003へ進み、利用状況データベース80の出庫状態欄に「正常」82が記録され、契約車両に対する出庫時の処理は終了する。
【0034】
ステップ1001で出庫車両が契約車両でない場合、ステップ1004において、利用車の出庫が機器不良による出庫である場合、トラブル時の未払い出庫と判断し、ステップ1005でトラブル時出庫データベース70に、出庫車両の車両ナンバー、出庫時間および未納料金が記録される。この未納料金は、同じ車両が本駐車場システムで運営されるいずれかの駐車場に再度利用した際に請求される。トラブル時出庫データベース70へトラブル時出庫データが記録されると、処理は、ステップ1003へ進み、利用状況データベース80の出庫状態欄に「トラブル出庫」83が記録され、機器不良により駐車料金を支払えなかった車両に対する出庫時の処理は終了する。
【0035】
ステップ1006において未払いのまま出庫した車両(不正出庫)と判断すると、ステップ1007へ進む。ステップ1007で未払い出庫データベース60に、出庫車両の車両ナンバー、出庫時間および未納料金が記録される。この未納料金は、同じ車両が本駐車場システムで運営されるいずれかの駐車場に再度利用した際に請求される。未払い出庫データベース60へ未払い出庫データが記録されると、処理は、ステップ1008へ進み、警報表示を行なう。この警報表示は、例えば駐車場管理者への注意を喚起するために行なわれてもよく、また現場管理者が不正出庫車に未払いである旨の通知を行なってもよい。未払いのまま出庫した事実を残すため、ステップ1009において現場制御装置14に記録されている画像情報を中央管理装置11へ送り、その画像情報を未払い出庫データベース60と関連付けて所定の記憶領域に格納する。以上の処理が完了すると、ステップ1003で利用状況データベース80の出庫状態欄に「未払い出庫」84が記録され、未払いのまま出庫した車両に対する処理は終了する。
【0036】
ステップ1006で、未払いのまま出庫した車両でないと判断すると、その車両は善良な車両であると判断し、ステップ1003へ進む。ステップ1003では、利用状況データベース80の出庫状態欄に「正常」と記録される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る駐車場管理システムは、地域的に離れた複数の駐車場に入庫および出庫する車両を車両ナンバー毎に一括して管理することができ、特に、未払いのまま出庫した車両(特に、不正に出庫した車両)に対する駐車料金の請求を次回入庫した際に求めることができるので、未納駐車料金の回収効率を高めることができる。また、駐車場の利用契約を結んだ利用者との間では利用の度に駐車料金の請求を行なう必要はなく、また利用者も支払う必要もないので、駐車場利用の利便性が向上する。さらに、駐車料金を支払わない車両の車両ナンバーが保存され、駐車料金を追跡して請求できるので、敢えて設備費用の高価なロック板を各駐車スペースに設置する必要がない。
【符号の説明】
【0038】
10 駐車場管理システム
11 中央管理装置
12,12a,12b 通信回線
13,13a,13b 駐車場
14,14a,14b 現場制御装置
15 駐車スペース
16 カメラ・ボックス
17 カメラ
18 人感センサ
25 車両ナンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入出庫を規制するためのロック板を具備していない駐車スペースからなる駐車場への車両の入出庫を管理する駐車場管理システムにおいて、前記駐車場管理システムは、
前記駐車場に駐車する車両に関連する情報を前記車両の車両ナンバー毎に格納するデータベースを有する管理装置と、
有線または無線の電気通信回線によって前記管理装置に結合され、前記駐車場の駐車スペースに入庫する車両を撮影するために前記駐車場に設置された撮像装置と、
前記管理装置に電気的に結合されかつ前記駐車スペース毎に設置され、駐車料金の精算手続の状況を少なくとも文字または音響により通知する通知装置と、
を含み、
前記管理装置は、前記車両が駐車料金を支払わないで出庫した場合、未払い車両の出庫を前記データベースに記録する、
ことを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
前記車両ナンバーは、前記撮像装置で前記画像情報から読取られることを特徴とする請求項1記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
前記駐車場の各々に制御装置がさらに設置され、前記制御装置は前記撮像装置から受取った前記車両ナンバーを前記電気通信回線を介して前記管理装置へ送出することを特徴とする請求項2記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
前記画像情報から前記車両ナンバーを読取ることができない場合、前記画像情報を前記管理装置の所定の領域に格納することを特徴とする請求項2または3記載の駐車場管理システム。
【請求項5】
前記車両に関連する情報は、駐車場の利用時間、駐車料金の支払いおよび未払い状況、駐車場の利用契約の有無を少なくとも含む前記車両の現在および過去における駐車場の利用状況を示す情報からなることを特徴とする請求項1記載の駐車場管理システム。
【請求項6】
前記車両が前記駐車場の利用を契約している場合、前記管理装置は前記車両の出庫時に駐車料金の精算を求めないことを特徴とする請求項1記載駐車場管理システム。
【請求項7】
前記車両が駐車料金を支払わないで出庫した場合、前記撮像装置が撮影した前記画像情報を前記通信回線を介して前記管理装置へ送出し、前記管理装置の所定の領域に前記車両ナンバーと関連付けて格納することを特徴とする請求項1記載の駐車場管理システム。
【請求項8】
前記管理装置に結合された精算器をさらに含み、前記精算器は前記管理装置から送られた前記車両に関連する情報に基づき駐車場の利用者に課金情報を含む利用明細を表示することを特徴とする請求項1記載の駐車場管理システム。
【請求項9】
前記撮像装置は、少なくとも静止画および動画のいずれかを撮影することができることを特徴とする請求項1記載の駐車場管理システム。
【請求項10】
前記撮像装置は、前記駐車場の前記駐車スペース毎に設置されることを特徴とする請求項1記載の駐車場管理システム。
【請求項11】
前記通信回線は、インターネット網を含むことを特徴とする請求項1記載の駐車場管理システム。
【請求項12】
前記駐車場管理システムは、前記管理装置が異なる地域に設置された複数の駐車場における車両の入出庫を管理することを特徴とする請求項1ないし11記載の駐車場管理システム。
【請求項13】
車両の入出庫を規制するためのロック板を具備していない駐車スペースからなる駐車場への車両の入出庫を管理する駐車場管理方法において、
前記駐車場に設置された撮像装置によって、前記駐車場の駐車スペースに入庫する車両を撮影する段階と、
前記撮影する段階によって撮影された画像情報から読取られた前記車両の車両ナンバー毎に前記駐車場に駐車する車両に関連する情報をデータベースに記録する段階と、
駐車料金の精算手続の状況を前記駐車スペースに設置された通知装置が少なくとも文字または音響により通知する段階と、
前記車両が駐車料金を支払わないで出庫する場合、未払い車両の出庫を前記データベースに記録する段階と、
を含むことを特徴とする駐車場管理方法。
【請求項14】
駐車中の前記車両が駐車料金を未納している場合、前記車両が出庫するとき未納の駐車料金を請求する段階をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の駐車場管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−133814(P2012−133814A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−59077(P2012−59077)
【出願日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【分割の表示】特願2006−148373(P2006−148373)の分割
【原出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(501381974)株式会社アイテック (8)
【Fターム(参考)】