説明

駐車場管理システム

【課題】ロック装置等、コストがかかる装置を減らしてコスト低減を図ると共に、利用者が駐車料金の精算をその場で行い易くなるようにし、管理者側の駐車料金回収の負担を削減する。
【解決手段】ロック装置およびゲート装置のいずれも設置されておらず、各駐車スペース6に設置されたループコイル8および駐車場2内に設置されたカメラ16等により駐車車両の監視を行う駐車場管理システム1において、駐車車両を駐車スペース6から出す前に駐車料金の精算(出庫前精算)を行うことを原則としつつも、駐車車両を駐車スペース6から出した後も一定時間内に限り駐車料金の精算(出庫後精算)を行うことを可能にする。出庫前精算が行われることなく駐車車両が駐車スペース6から出た場合には、当該駐車車両についての駐車情報を消去すると共に一時未精算出庫情報を生成し、その後出庫後精算が行われた場合には一時未精算出庫情報に基づき駐車料金の算出等を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場の利用管理を行う駐車場管理システムに関し、より詳しくは、駐車場の出入口にゲート装置を設けず、かつ駐車場内の各駐車スペースに未精算車両の退出を防止するロック装置を設けずに時間貸し駐車場の利用管理を無人で行うことができる駐車場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場管理システムは、駐車場の無人管理を実現することができ、これにより人件費の節約による管理コスト低減等を図ることができるため、都市近郊の時間貸し駐車場に適用されている場合が多い。比較的小規模な駐車場には、駐車スペースごとに車両の退出を防止するロック装置を設置したロック装置式の駐車場管理システムが適用されている場合が多い。一方、入口出口にゲート装置を設けて、入口で駐車券発行機により駐車券を発行し、出口で料金精算機により駐車券を受け取って精算するゲート式の駐車場管理システムは、中規模から大規模の駐車場に適用されている場合が多い。ゲート式の駐車場管理システムは、ゲート装置を設置するレーンのスペースが必要となり、小規模な駐車場にこれを適用すると、十分な駐車スペース数を確保することができなくなってしまうため、小規模な駐車場ではあまり適用されていない。
【0003】
ところで、駐車場が林立しているエリアでは駐車料金の低価格化競争が激化し、これが特に比較的小規模な駐車場の経営を圧迫している。また、比較的小規模な駐車場で用いられているロック装置式の駐車場管理システムは、駐車スペースごとにロック装置を設置するため、各ロック装置について、装置自体のコストと設置コストがかかり、全体的にコストが高くつく。コストの低減化等を図るために、昨今では、ロック装置を使用せず、上述したようなゲート式ともいえず、監視カメラで入退場する車両を撮影して駐車場の利用管理を行う方式の駐車場管理システムが出現している。
【0004】
例えば特許文献1には、高価な車両ロック装置を車室ごとに敷設しないで、車室ごとに車両の入出庫および駐車料金等の管理を行なえるようにすることを目的とし、駐車場内の複数の駐車領域ごとに精算機が設置され、各精算機は複数の車室に駐車する車両を管理し、各車室には車両センサを敷設して車室内に車両が進入したかどうかを検出し、利用者が適正に精算を済まさないで車室から出庫した場合は不正出庫とみなして出口ゲートを遮断し、その車両が公道へ退出することを阻止する駐車場管理システムが開示されている。
【0005】
また、例えば特許文献2には、地域的に離れた複数の駐車場に入庫および出庫する車両を車両ナンバーで一元的に管理できるようにすることを目的とし、複数の駐車場に設置された現場制御装置を中央管理装置とインターネット網で結合し、ある駐車スペースに入庫する車両をカメラによって撮影して現場制御装置でその画像情報から車両ナンバーを抽出し、車両ナンバーを中央管理装置へ伝送してデータベースに記録し、料金未払いのまま出庫した車両が再度入庫した場合にはデータベースからその旨を認識して、その車両が出庫する際に前回の未納分と共に駐車料金を一括して請求する駐車場管理システムおよびその管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−129677号公報
【特許文献2】特開2007−317098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の駐車場管理システムでは、駐車スペース(車室)ごとにロック装置を設置する必要はないものの、出口ゲート装置が必要であり、出口ゲート装置について、装置自体のコストと設置コストがかかってしまう。また、出口ゲート装置を設置する以上、出口レーンを設ける必要があり、駐車スペースを設ける領域が減少してしまう。このため、駐車スペース数の少ない小規模な駐車場ではシステム導入のメリットが乏しい。
【0008】
また、上記特許文献2に記載の駐車場管理システムおよびその管理方法では、ロック装置を設置する必要はないものの、駐車スペースごとにカメラが必要であるため、多数のカメラを設置しなければならない。このため、全体的にみてコストの低減に繋がらない。
【0009】
そこで、小規模な駐車場においてできる限り多くの駐車スペースを確保すると共に、駐車場管理システムの導入または維持のコストを効果的に低減するためには、駐車場内の複数の駐車スペースごとに設置した例えばループコイル等の車両検知装置(車両センサ)と、各駐車スペースに駐車した車両について駐車料金の精算を行う料金精算機と、精算をせずに出庫してしまう車両の発見を容易にする等のために駐車場内を監視する少数のカメラ(カメラを駐車スペースごとに設ける必要はない)とを備え、ロック装置およびゲート装置を排除した新方式の駐車場管理システムが望まれる。
【0010】
ところが、このような新方式の駐車場管理システムには次のような問題が生じ得る。すなわち、上記新方式の駐車場管理システムでは、ロック装置、ゲート装置といった、駐車料金を精算していない車両の駐車場からの退出をその場で物理的に阻止する手段を欠く。このため、このような未精算退出が行われた場合に備えて、未精算退出を行った利用者から事後的に駐車料金を回収することができ、また未精算退出を故意で行った利用者に対してはその責任追及をすることができるように措置を講ずる必要がある。このような措置として次のような方法が考えられる。すなわち、料金精算機により精算が行われたか否かを駐車車両ごとに認識し、かつ駐車スペースごとに設けられた車両検知装置により駐車スペースからの駐車車両の退出を駐車スペースごとに認識し、これら2つの認識結果を突き合わせることにより未精算退出車両を特定する。さらに、各駐車車両をカメラで撮影しておき、撮影により得られた画像や映像から未精算退出車両のナンバープレートに記された番号を知り、これにより、未精算退出を行った利用者を特定する。そして、当該利用者に対し、適切な機会に駐車料金等を請求する。
【0011】
ところが、このような方法を採用した場合、利用者が駐車料金を精算して車両を駐車場から退出させようと思っていたものの、誤って精算前に車両を駐車スペースから退出させてしまい、駐車場管理側により未精算退出として扱われてしまうといった事態が起こり得る。すなわち、多くの利用者は、精算を行うまでは車両を駐車スペースまたは駐車場出口から外へ退出させることができないロック装置方式やゲート方式の駐車場管理システムの利用に慣れている。このような利用者が新方式の駐車場管理システムを利用した場合、物理的には、いつでも車両を駐車スペースや駐車場出口から外へ移動させることができるので、精算のタイミングが分からず、精算前に車両を駐車スペースから退出させてしまうといった過ちを犯してしまうことは十分に考えられる。
【0012】
このように精算前に誤って車両を駐車スペースから退出させてしまった利用者を未精算退出者として扱い、その利用者に対し、その場における精算の機会を一切与えないとすれば、利用者にとって不便であるという問題がある。また、このような利用者は大抵、携帯電話や料金精算機に設けられたインターホン等を利用して駐車場管理業者(例えばサービスセンタ)に精算方法について問い合わせるため、駐車場管理業者において問い合わせ対応の負担が増加し、この結果、オペレータの増員などの措置を講じる必要が生じ、駐車料金の精算に係る運営コストが上昇してしまうおそれがあるという問題がある。また、このような精算のタイミングを失した利用者から駐車料金をその場で回収することができないとすれば、利用者から駐車料金を事後的に回収するケースが頻発し、このために駐車場管理業者側の負担が増加するおそれがあるという問題がある。
【0013】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、ロック装置、ゲート装置等、装置自体または設置にコストがかかる装置を減らしてコストの低減を図ることができると共に、利用者が駐車料金の精算をその場で行い易くなるようにすることができ、駐車料金の精算および回収に係る管理者側の負担またはコストを削減することができる駐車場管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第1の駐車場管理システムは、駐車場内における複数の駐車スペースにそれぞれ設けられ、自身が設けられた前記駐車スペースへの車両の進入および退出を検知する複数の車両検知装置と、前記各駐車スペースに駐車した車両について駐車料金の精算を行う料金精算機とを備え、当該料金精算機は、前記複数の車両検知装置のうちの一の車両検知装置により前記複数の駐車スペースのうちの一の駐車スペースへの第1の車両の進入が検知された時刻を前記第1の車両の入庫時刻とし、当該入庫時刻を含む第1の駐車情報を生成し、当該第1の駐車情報を前記料金精算機に設けられた記憶装置に記憶する駐車情報生成手段と、前記一の車両検知装置により前記第1の車両の前記一の駐車スペースからの退出が検知されていない間に、当該料金精算機が前記一の駐車スペースについて駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには、前記第1の駐車情報に含まれる前記入庫時刻を参照して前記第1の車両についての駐車料金の精算を行う出庫前精算手段と、前記出庫前精算手段により前記第1の車両についての駐車料金の精算が行われていない間に前記一の車両検知装置により前記第1の車両の前記一の駐車スペースからの退出が検知されたときには、前記一の車両検知装置により前記第1の車両の前記一の駐車スペースからの退出が検知された時刻を出庫時刻とし、当該出庫時刻と前記入庫時刻とを含む一時未精算出庫情報を生成し、当該一時未精算出庫情報を前記記憶装置に記憶する一時未精算出庫情報生成手段と、前記出庫前精算手段により前記第1の車両についての駐車料金の精算が行われていない間に前記一の車両検知装置により前記第1の車両の前記一の駐車スペースからの退出が検知された時点から当該時点より所定時間が経過した時点までの精算許容期間内に、当該料金精算機が前記一の駐車スペースについて駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには、前記一時未精算出庫情報に含まれる前記入庫時刻を参照して前記第1の車両についての駐車料金の精算を行う出庫後精算手段と、前記精算許容期間内に前記出庫後精算手段により前記第1の車両についての駐車料金の精算が行われなかったときには、前記第1の車両が駐車していた前記一の駐車スペースの識別情報、前記入庫時刻および前記出庫時刻を含む確定未精算出庫情報を生成し、当該確定未精算出庫情報を前記記憶装置に記憶する確定未精算出庫情報生成手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第1の駐車場管理システムによれば、利用者は、駐車料金の精算前に駐車スペースから車両を退出させてしまった場合でも、出庫後精算手段により、駐車料金の精算を行うことができる。また、精算許容期間の経過した後には、確定未精算出庫情報生成手段により、確定未精算出庫情報を生成し、記憶するので、駐車料金の精算前に駐車スペースから車両を退出させてしまった利用者が精算を行う機会を確保しながら、故意に駐車料金の精算を行わない利用者に対する駐車料金等の事後的請求のための情報を確実に記録することができる。また、駐車料金の精算前に駐車スペースから車両が退出した場合には、一時未精算出庫情報生成手段により、駐車情報と別に一時未精算出庫情報を生成する。これにより、駐車料金の精算前に駐車スペースから車両を退出させた利用者に対する出庫後精算を一時未精算出庫情報に基づいて行い、当該利用者が車両を駐車スペースから退出させた直後に他の車両を当該駐車スペースに駐車した他の利用者に対する出庫前精算を駐車情報に基づいて行うことができ、このような複雑なケースが生じた場合でも精算処理を効率良くかつ確実に行うことができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第2の駐車場管理システムは、上述した本発明の第1の駐車場管理システムにおいて、前記精算許容期間内に、前記一の車両検知装置により前記一の駐車スペースへの第2の車両の進入が検知され、これに応じ前記駐車情報生成手段により当該第2の車両の入庫時刻を含む第2の駐車情報の生成および前記記憶装置への記憶が行われ、その後、前記精算許容期間内に、前記料金精算機が前記一の駐車スペースについて駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには、前記第1の車両についての駐車料金の精算および前記第2の車両についての駐車料金の精算のうちのいずれを行うかの選択を要求するメッセージを出力する選択要求手段を備え、前記選択要求手段による前記メッセージの出力後、前記料金精算機が前記第1の車両についての駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには前記出庫後精算手段が前記第1の車両についての駐車料金の精算を行い、前記料金精算機が前記第2の車両についての駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには前記出庫前精算手段が前記第2の車両についての駐車料金の精算を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の駐車場管理システムでは、例えば、利用者Aが駐車料金の精算前に駐車スペースから車両aを退出させ、その直後に、他の利用者Bが当該駐車スペースに他の車両bを駐車した場合には、同一の駐車スペースについて、利用者Aに対しては車両aについての出庫後精算を行う機会を与え、利用者Bに対しては車両bについての出庫前精算を行う機会を与える。この場合、本発明の第2の駐車場管理システムでは、利用者AまたはBが当該駐車スペースについて駐車料金の精算を行う指示を入力したとき、当該利用者に対し、車両aについての駐車料金の出庫後精算および車両bについての駐車料金の出庫前精算のうちのいずれを行うかの選択を要求するメッセージを出力する。このように、本発明の第2の駐車場管理システムによれば、同一の駐車スペースについて出庫後精算と出庫前精算とが重複するといった複雑なケースが生じた場合でも、利用者は、困惑することなく、自己が行うべき精算を円滑に行うことができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第3の駐車場管理システムは、上述した本発明の第2の駐車場管理システムにおいて、前記選択要求手段は、前記第1の車両についての駐車料金の精算を行うことを要求するメッセージを最初に出力し、当該メッセージが出力された後に前記料金精算機が所定の指示の入力を受けたときに、前記第2の車両についての駐車料金の精算を行うことを要求するメッセージを出力することを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の駐車場管理システムでは、上述したように、同一の駐車スペースについて車両aについての出庫後精算と車両bについての出庫前精算とが重複するといったケースが生じた場合において、利用者が当該駐車スペースについて駐車料金の精算を行う指示を入力したときには、車両aについての出庫後精算を行うことを要求するメッセージを最初に出す。すなわち、同一の駐車スペースについて、出庫後精算と出庫前精算とが重複して生じ得る期間は上記精算許容期間(例えば3分〜10分程度)に限られる。また、一般的な駐車場の実際上の利用形態を考慮すると、利用者が車両の駐車を開始してから3分ないし10分程度の短い時間しか経過していないうちに精算を行う頻度は低い。したがって、上記ケースにおいて、いままで駐車を継続していた利用者Aと、駐車を開始したばかりの利用者Bとを比較すると、利用者Aの方が精算を行う可能性が高い。そこで、利用者が当該駐車スペースについて駐車料金の精算を行う指示を入力したときには、その利用者が利用者Aである可能性が高いので、まず、車両aについての駐車料金の出庫後精算を行うことを要求するメッセージを出す。これにより、高い確率で状況に合致した精算処理(すなわち利用者Aに対する精算)を円滑に行うことができ、また、利用者Aが誤って利用者Bに対する精算に応じてしまうといった事態が生じる危険を減らすことができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の第4の駐車場管理システムは、上述した本発明の第2または第3の駐車場管理システムにおいて、前記駐車場内の車両を撮影するカメラを備え、前記選択要求手段は、前記第1の車両についての駐車料金の精算および前記第2の車両についての駐車料金の精算のうちのいずれを行うかの選択を要求する前記メッセージを出力すると共に、前記カメラで撮影した前記第1の車両の画像または映像と、前記カメラで撮影した前記第2の車両の画像または映像とを前記料金精算機に設けられた表示装置に表示することを特徴とする。
【0021】
本発明の第4の駐車場管理システムによれば、上述したように、同一の駐車スペースについて出庫後精算と出庫前精算とが重複するといったケースが生じた場合において、利用者AまたはBは、画像または映像を見ることにより、自己が行うべき精算を容易かつ正確に選択することができる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の第5の駐車場管理システムは、上述した本発明の第1ないし第4のいずれかの駐車場管理システムにおいて、外部のサービスセンタのオペレータと利用者との間で少なくとも音声による通信を行うことができ、マイク、スピーカ、および前記サービスセンタとの間の通信回線の接続、非接続を切換制御する接続制御手段を有する通信手段を備え、前記通信手段は、前記出庫後精算手段により前記第1の車両についての駐車料金の精算が行われるときに前記サービスセンタとの間の通信回線を自動的に接続することを特徴とする。
【0023】
本発明の第5の駐車場管理システムによれば、上述したロック装置式ともゲート式とも異なる方式の本発明の駐車場管理システムに慣れていない利用者に対し、精算時にオペレータと話をする機会を与えることで、利用者が精算を行い易くなるように、または利用者が誤った精算をしないように、利用者を支援することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ロック装置、ゲート装置等、装置自体または設置にコストがかかる装置を減らしてコストの低減を図ることができると共に、利用者が駐車料金の精算をその場で行い易くなるようにすることができ、駐車料金の精算および回収に係る管理者側の負担またはコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態による駐車場管理システムおよびそれが適用された駐車場を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける料金精算機を示す外観図である。
【図3】本発明の実施形態による駐車場管理システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態による駐車場管理システムとメンテナンスサービスセンタとの通信接続を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける駐車情報、一時未精算出庫情報および確定未精算出庫情報等を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける車両入庫時の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける車両出庫時の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおける精算処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおいて、出庫前精算時の料金精算機の画面を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態による駐車場管理システムにおいて、出庫後精算時の料金精算機の画面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
(駐車場管理システムの構成および動作)
図1は本発明の実施形態による駐車場管理システムおよびそれが適用された駐車場を示している。図1において、本発明の実施形態による駐車場管理システム1が適用された駐車場2は、出入口3が公道4に接し、出入口3以外は境界柵5に仕切られている。駐車場2には、複数(例えば13個)の駐車スペース6が設けられている。駐車スペース6は、路面上に枠線をペイントすることにより区画され、車両1台分を駐車することができる程度の面積を有している。また、各駐車スペース6の手前側には、路面上にペイントすることにより駐車スペース番号が記され、各駐車スペース6の奥側には、タイヤ止め7が設置されている。また、各駐車スペース6には、自身が設けられた駐車スペース6への車両の進入および退出を検知する車両検知装置としてのループコイル8が埋設されている。また、駐車場2の出入口3の近傍には、各駐車スペース6に駐車した車両について駐車料金の精算を行う料金精算機9が設置されている。料金精算機9は、その前面のパネル部21に設けられた表示器22や入力キーユニット23等(図2参照)が利用者にとって操作し易い位置となるように、その向きが考慮されて配置されている。また、料金精算機9のすぐ脇の境界柵5の上方には、案内看板10が設置されている。案内看板10は、その一方の面が駐車場2外の公道4側から見やすい位置となり、他方の面が駐車場2内から見やすい位置となるように配置されており、公道4側に向いた面には、時間あたりの駐車料金や最大料金に加え、この駐車場2がロック装置のない時間貸し駐車場である旨が記されている(例えば「ロック装置のない時間貸し駐車場」と明記されている)。一方、案内看板10の駐車場2内側に向いた面には、料金精算機9を使用する利用者や、駐車後に駐車場2から徒歩で退出する利用者に向けて、駐車場2の利用方法や料金精算機9の使用方法、約款等が記載されている。また、駐車場2の出入口3の近傍で公道4との境界部には、駐車場2の利用可否を表示する満空車表示看板11が設置されている。これらループコイル8、満空車表示看板11の図示しない満空表示灯の制御線などはそれぞれが配線によって中継装置12に接続され、さらに中継装置12は料金精算機9に接続されている。また、中継装置12には内部に後述する車両認識装置54や映像記録装置55等(図3参照)が格納されている。なお、制御装置13は商用電源を引き込んだ配電盤などである。
【0028】
また、駐車場2内の奥側の境界柵5近傍の中央部には、専用若しくは夜間照明と兼用のポールが立設され、その上方には第1のカメラ15が設置されている。さらに、図1に示す駐車場2において、出入口3から駐車場2内を見て左手前、右奥、左奥の隅部にも、専用若しくは夜間照明と兼用のポールがそれぞれ立設され、それらの上方には第2のカメラ16、第3のカメラ17、第4のカメラ18がそれぞれ設置されている。第1のカメラ15は、出入口3がその視野に入るように方向が設定され、第2のカメラ16は、料金精算機9がその視野に入るように方向が設定されている。また、第3のカメラ17および第4のカメラ18はいずれも比較的広角なレンズを有し、第3のカメラ17は、出入口3から駐車場2内を見て駐車場2内の左側に配置されたすべての駐車スペース6がその視野に入るように方向が設定され、第4のカメラ18は、出入口3から駐車場2内を見て駐車場2内の右側に配置されたすべての駐車スペース6がその視野に入るように方向が設定されている。
【0029】
図2は料金精算機9を示している。図2において、料金精算機9の前面のパネル部21には、駐車料金やその他のメッセージ等を表示する例えば液晶ディスプレイからなる表示装置としての表示器22、および利用者が料金精算機9に対して指示等を入力する入力キーユニット23が設けられている。入力キーユニット23には、テンキー23A、精算キー23Bおよび取消キー23Cが含まれている(図3、図9参照)。また、パネル部21には、割引券やプリペイドカード等を挿入するカード挿入口24、紙幣を挿入する紙幣挿入口25、硬貨を投入する硬貨投入口26、釣銭・領収証取出口27、およびスピーカ28等が設けられている。また、料金精算機9の前面には、メンテナンスサービスセンタ61(図4参照)のオペレータ等と通話をすることができるインターホン29が設けられ、インターホン29には、上記オペレータ等を呼び出す通話ボタン30と、当該オペレータ等と通話するためのマイクおよびスピーカを備えた通話ユニット33とが設けられている。また、料金精算機9の上部には、メンテナンスサービスセンタ61と通信を行う通信装置31が取り付けられ、通信装置31には精算機カメラ32が設けられている。
【0030】
図3は駐車場管理システム1の電気的構成を示している。図3に示すように、料金精算機9内に設けられたコントロールユニットには、CPU(Central Processing Unit)41およびメモリ42が設けられ、両者はバス43を介して接続されている。また、CPU41およびメモリ42には、バス43およびインターフェイス44を介して、料金精算機9のパネル部21または料金精算機9の内部に設けられたカードリーダ45、表示器22、入力キーユニット23、領収証プリンタ46、コインセレクタ47、硬貨払出機48、紙幣リーダ49、スピーカ28および扉開センサ50が接続されている。
【0031】
また、インターフェイス44には、第1の外部通信部51を介して通信装置31が接続されている。通信装置31は、遠隔地にあるメンテナンスサービスセンタ61と通信を行う装置であり、駐車場2の利用者とメンテナンスサービスセンタ61のオペレータとの通話を可能にし、また、メンテナンスサービスセンタ61による料金精算機9の遠隔操作を可能にする。通信装置31の内部のインターフェイス56には、例えば精算を行うために料金精算機9の前方に立った利用者の顔を含む頭部を撮影する精算機カメラ32、利用者との通話用のインターホン29、およびデータ端末装置(DCE:Data Circuit Terminating Equipment)52が接続されている。データ端末装置52は、例えばモデムまたはターミナルアダプタであり、広域通信回線に対する接続、非接続の切換制御をする接続制御手段としての機能や、料金精算機9から出力された信号を広域通信回線用の信号に変換する機能を有する。料金精算機9は、データ端末装置52を介して、公衆のPHS(Personal Handy−Phone System)網や、FOMA(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモの登録商標)網などの広域通信回線網62(図4参照)と接続される。これにより、料金精算機9とメンテナンスサービスセンタ61との間において通話接続およびデータ送受信が実現される。
【0032】
また、料金精算機9には、第2の外部通信部53を介して中継装置12が接続されている。中継装置12の内部には車両認識装置54および映像記録装置55が設けられている。車両認識装置54には、駐車場2内の複数の駐車スペース6にそれぞれ埋設された複数のループコイル8が接続されている。車両認識装置54は、各ループコイル8の周波数変動(高周波発振状態)をループコイル8ごとに監視し、各駐車スペース6への車両の進入、退出、各駐車スペース6における車両の有無を駐車スペース6ごとに認識し、認識した結果を示す信号を料金精算機9に出力する。また、映像記録装置55には、第1ないし第4のカメラ15、16、17、18が接続されている。映像記録装置55には、各カメラ15、16、17、18の映像をそれぞれ数日間にわたって記録可能な大容量のハードディスク(HDD)が搭載されている。さらに、中継装置12には、図示しないカメラ制御装置、満空表示灯の制御装置等が設けられている。
【0033】
図4は駐車場2を含む複数の駐車場における料金精算機9とメンテナンスサービスセンタ61との間の接続を示している。図4に示すように、駐車場2を含む複数の駐車場(例えば駐車場番号:No.001、No.002、No.003、No.004等)にそれぞれ設けられた料金精算機9は、広域通信回線網62およびインターネット63等を介してメンテナンスサービスセンタ61と接続されている。メンテナンスサービスセンタ61は、それぞれ離れた場所にある、駐車場2を含む複数の駐車場を統括して管理する駐車場管理機関である。メンテナンスサービスセンタ61には、管理用のパーソナルコンピュータ(管理PC)64および各種データを一元的に保管するサーバ65等が備えられている。管理PC64には、図示しないが、オペレータ用のヘッドセット(ヘッドホンとマイク)が接続されている。また、管理PC64は、図示しない一般的なインターネット接続アダプタを介してインターネットに接続されている。メンテナンスサービスセンタ61にはオペレータが常駐しており、オペレータは、ヘッドセットを装着しつつ、管理PC64を操作する。駐車場の利用者が料金精算機9に設けられたインターホン29の通話ボタン30を押して問い合わせをしたときなどには、オペレータはこれに応じ、当該利用者と通話をすることができる。このようなメンテナンスサービスセンタ61による管理により、駐車場に管理係員のいない無人管理がそれぞれの駐車場において実現されている。
【0034】
図5は、駐車場管理システム1において取り扱われる駐車情報、一時未精算出庫情報および確定未精算出庫情報を示している。図5において、駐車情報71は、後述するように、主として駐車車両の出庫前における駐車料金の精算に用いられる情報であり、料金精算機9により駐車スペース6ごとに生成され、料金精算機9のメモリ42の駐車情報記憶領域72に記憶される。一時未精算出庫情報73は、後述するように、主として駐車車両の出庫後における駐車料金の精算に用いられる情報であり、料金精算機9により駐車スペース6ごとに生成され、料金精算機9のメモリ42の一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶される。確定未精算出庫情報75は、後述するように、主として、駐車料金の未精算退出が確定した利用者から事後的に駐車料金を回収する際に用いられる情報であり、料金精算機9により生成され、料金精算機9のメモリ42の確定未精算出庫情報記憶領域76に一旦記憶された後、料金精算機9からメンテナンスサービスセンタ61に送信され、メンテナンスサービスセンタ61のサーバ65に設けられた図示しない確定未精算出庫情報データベースに記憶される。
【0035】
以上、図1ないし図5に示すような構成を有する駐車場管理システム1の動作は大略次の通りである。すなわち、車両が出入口3から駐車場2内に入り、空いているいずれかの駐車スペース6に進入すると、当該駐車スペース6に埋設されたループコイル8が、当該駐車スペース6への当該車両の進入を検知し、その検知結果に基づいて、料金精算機9がその時点の時刻を入庫時刻とし、当該入庫時刻を含む駐車情報71を生成し、これを当該駐車スペース6についての駐車情報71としてメモリ42に記憶する。
【0036】
駐車場管理システム1では、案内看板10に記されているように、原則として、駐車場2の利用者は駐車車両を駐車スペース6から出す前に、駐車料金の精算を行わなければならない。以下、駐車車両を駐車スペース6から出す前の駐車料金の精算を「出庫前精算」という。利用者は料金精算機9の入力キーユニット23中のキーを操作して駐車料金の精算を行うことができる。出庫前精算の場合、料金精算機9は、駐車情報71に含まれる入庫時刻と精算時の時刻とに基づいて駐車時間を求め、駐車時間に応じた駐車料金を算出し、精算処理を行う。出庫前精算後に利用者が駐車車両を駐車スペース6から退出させたとき、当該駐車スペース6に埋設されたループコイル8が、当該駐車スペース6からの当該車両の退出を検知し、その検知結果に基づいて料金精算機9は当該駐車スペース6についての駐車情報71をメモリ42から消去する。
【0037】
また、利用者が駐車料金の精算をし忘れて、駐車料金の精算を行う前に駐車車両を駐車スペース6から退出させてしまう場合があり、また、駐車場2が混雑していて、駐車スペース6が空くのを待っている車両があるときには、急いで出庫することを強いられて駐車料金の精算をする余裕がなく駐車車両を精算せずに駐車スペース6から退出させてしまう場合もある。そこで、駐車場管理システム1では、出庫前精算が原則であるが、このように駐車料金の精算を行う前に駐車車両を駐車スペース6から退出させてしまった利用者等に対し、駐車車両を駐車スペース6から退出させた後に駐車料金の精算を行う機会を与える。以下、駐車車両を駐車スペース6から退出させた後の駐車料金の精算を「出庫後精算」という。ただし、出庫後精算は、所定の精算許容期間ta内に行わなければならない。出庫後精算は、駐車車両を駐車スペース6から退出させた直後に、駐車料金の精算をし忘れたことに気付いた利用者等が、当該車両を駐車場内または駐車場外近傍に停止して駐車料金の精算を行うことを想定している。このため、上記精算許容期間taは、例えば3分ないし10分程度、より具体的には5分程度である。利用者が駐車料金の精算前に駐車車両を駐車スペース6から退出させたときには、当該駐車スペース6に埋設されたループコイル8が当該駐車スペース6からの当該車両の退出を検知し、その検知結果に基づいて料金精算機9が、当該駐車スペース6についての駐車情報71に含まれる入庫時刻等を読み出し、当該読み出した入庫時刻および当該駐車車両の出庫時刻(駐車スペース6からの退出時刻)等を含む一時未精算出庫情報73を生成し、これをメモリ42に記憶すると共に、当該駐車スペース6についての駐車情報71をメモリ42から消去する。また、出庫後精算を行うべく、利用者が料金精算機9の入力キーユニット23中のキーを操作したときには、これに応じ、料金精算機9は、一時未精算出庫情報73に含まれる入庫時刻と出庫後精算時の時刻とに基づいて駐車時間を求め、駐車時間に応じた駐車料金を算出し、精算処理を行う。
【0038】
一方、駐車場管理システム1は、上述したロック装置方式やゲート方式の駐車場管理システムのように、ロック装置、ゲート装置といった車両の駐車場2からの退出を物理的に阻止する手段を有していない。このため、駐車場管理システム1は、出庫前精算も出庫後精算もせずに駐車車両を駐車場2から退出させた利用者を特定し、当該利用者から事後的に駐車料金等の回収を行うための徹底した仕組を有している。すなわち、利用者が出庫前精算をせずに駐車車両を駐車スペース6から退出させてから、出庫後精算が行われることなく上記精算許容期間taが経過した場合、この利用者は、出庫前精算も出庫後精算もせずに駐車車両を駐車場2から退出させた利用者に当たる。この場合、料金精算機9は、当該駐車車両を駐車していた駐車スペース6についての一時未精算出庫情報から入庫時刻および出庫時刻等を読み出し、当該読み出した入庫時刻および出庫時刻並びに当該駐車スペースの番号等を含む確定未精算出庫情報75を生成し、これをメモリ42に記憶すると共に、当該駐車スペース6についての一時未精算出庫情報73をメモリ42から消去する。そして、料金精算機9は、確定未精算出庫情報75を当該駐車車両の画像情報または映像情報と共に、例えば深夜等の所定の時間帯にメンテナンスサービスセンタ61に送信する。駐車場2の管理者は、メンテナンスサービスセンタ61に送信された確定未精算出庫情報75および当該駐車車両の画像情報または映像情報に基づいて、未精算の利用者を特定し、後に、当該利用者から駐車料金等を回収する。
【0039】
ここで、確定未精算出庫情報75と共にメンテナンスサービスセンタ61に送信される、未精算出庫が確定した駐車車両の画像情報または映像情報は次のように得られる。すなわち、駐車場2内の駐車車両は、第1、第3、第4のカメラ15、17、18のいずれかにより常時または撮影に適したタイミングで撮影されており、各駐車車両のナンバープレートに記された番号を読み取ることができる精細さを有する画像または映像の情報が映像記録装置55に記録されている。例えば、確定未精算出庫情報75をメンテナンスサービスセンタ61に送信するときに、料金精算機9は、確定未精算出庫情報75に含まれる入庫時刻または出庫時刻等を参照して、未精算出庫が確定的となった駐車車両の画像情報または映像情報を映像記録装置55から抽出する。このようにして、未精算出庫が確定した駐車車両の画像情報または映像情報を得る。
【0040】
(車両入庫時の処理)
図6は駐車場管理システム1における車両入庫時の処理を示している。図6において、車両が出入口3から駐車場2内に入り、空いているいずれかの駐車スペース6に進入すると、当該駐車スペース6に埋設されたループコイル8の高周波発振状態が当該車両の金属部分に反応して変化する。このループコイルの高周波信号は、中継装置12に設けられた車両認識装置54に入力される。車両認識装置54は、この高周波信号の発振状態の変化を検知し、当該高周波信号を出力しているループコイル8が埋設された駐車スペース6に車両が進入したことを認識してONとなり、その旨を示す車両認識信号を料金精算機9に出力する(ステップS1:YES)。当該車両認識信号は、料金精算機9において第2の外部通信部53を介してCPU41に入力される。これに応じ、CPU41は、車両が進入した駐車スペース6について駐車情報71を生成し、生成した駐車情報71をメモリ42の駐車情報記憶領域72に記憶する(ステップS2、S3)。
【0041】
ここで、駐車情報71の生成について具体的に説明すると、図5に示すように、駐車情報は駐車スペース6ごとに生成され、各駐車情報71には、ステータス、入庫時刻、暗証番号、精算時刻および精算金額が含まれる。また、ステータスには、入車中ステータス、駐車中ステータス、精算済ステータス等がある。CPU41は、現在日時、例えば車両認識装置54から出力された車両認識信号を受け取った時点の年月日時分を入庫時刻とし、この入庫時刻を駐車情報71に加える。また、CPU41は、車両の駐車スペース6への進入に応じて駐車情報71を生成する時点では、入車中ステータスを当該駐車情報71に加える。また、利用者は、入庫時に料金精算機9の入力キーユニット23中のテンキー23Aを操作して暗証番号を入力することができる。しかし、これは任意であり、省略することができる。利用者が暗証番号を入力した場合には、CPU41は、その暗証番号を当該駐車情報71に加える。精算時刻および精算金額は、車両の駐車スペース6への進入に応じて駐車情報71を生成する時点ではまだ未確定であるので、この時点では当該駐車情報71に加えられない。
【0042】
このように駐車情報71を生成し、駐車情報記憶領域72に記憶した後、CPU41は時間の測定を開始する。そして、当該駐車情報71を記憶してから所定時間tbが経過したとき(ステップS4:YES)、CPU41は、当該駐車情報71に含まれる入車中ステータスを駐車中ステータスに書き換え(ステップS5)、車両入庫時の処理を終える。
【0043】
一方、当該駐車情報71を記憶してから所定時間tbが経過する前に、当該駐車情報71に対応する駐車スペース6から車両が退出し、当該車両の退出によりループコイル8の高周波発振状態が変化し、これにより車両認識装置54が当該駐車スペース6からの車両の退出を認識してOFFになった場合には(ステップS6:YES)、これに応じ、CPU41は、当該駐車情報71を駐車情報記憶領域72から消去し(ステップS7)、車両入庫時の処理を終える。これは、車両が駐車スペース6に一旦進入したものの、きわめて短時間で退出した場合、それを駐車として取り扱わないための処理である。所定時間tbは例えば3分ないし5分程度である。
【0044】
なお、図示しないが、CPU41は、車両認識装置54の状態の変化とその時刻をすべて履歴情報としてメモリ42の例えば履歴記憶領域に記憶している。履歴情報は、駐車場2の利用状況の調査等に利用するために、メンテナンスサービスセンタ61に適宜送信され、メンテナンスサービスセンタ61のサーバ65に保管される。
【0045】
(車両出庫時の処理)
図7は駐車場管理システム1における車両出庫時の処理を示している。図7において、車両認識装置54は、各駐車スペース6に埋設されたループコイル8から出力される高周波発振状態に基づいて各駐車スペース6における車両の進入、退出および有無を常時認識し、各駐車スペース6についての車両認識信号を料金精算機9に出力しており、料金精算機9のCPU41は、各駐車スペース6における車両の進入、退出および有無を常時監視している。駐車車両が駐車スペース6から退出すると、当該駐車スペース6に埋設されたループコイル8の高周波発振状態が変化する。そして、車両認識装置54が、この変化を検知し、当該高周波信号を出力しているループコイル8が埋設された駐車スペース6から車両が退出したことを認識してOFFとなり、その旨を示す車両認識信号を料金精算機9に出力する(ステップS11:YES)。料金精算機9のCPU41は、当該車両認識信号を第2の外部通信部53を介して受け取る。続いて、CPU41は、駐車車両が退出した当該駐車スペース6に対応する駐車情報71を、メモリ42の駐車情報記憶領域72から読み出し、当該駐車情報71に含まれるステータスが、精算済ステータスか否か判断する(ステップS12)。後述するように、利用者が駐車車両について出庫前精算をすると、料金精算機9のCPU41により、当該駐車車両が駐車している駐車スペース6に対応する駐車情報71に含まれるステータスが駐車中ステータスから精算済ステータスに書き換えられる(図8中のステップS31参照)。したがって、ステップS12の判断が行われる時点において、駐車情報71に含まれるステータスが精算済ステータスである場合には出庫前精算が行われたことを意味し、駐車情報71に含まれるステータスが駐車中ステータスである場合には出庫前精算が行われていないことを意味する。ステップS12の判断の結果、判断の対象となっている駐車情報71に含まれるステータスが精算済ステータスである場合には(ステップS12:YES)、CPU41は、当該駐車情報71を駐車情報記憶領域72から消去し(ステップS13)、車両出庫時における処理を終える。
【0046】
一方、ステップS12の判断の結果、判断の対象となっている駐車情報71に含まれるステータスが精算済ステータスでない場合には(ステップS12:NO)、CPU41は、当該駐車情報に対応する駐車スペース6について一時未精算出庫情報73を生成し、生成した一時未精算出庫情報73をメモリ42の一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶する(ステップS14、S15)。
【0047】
ここで、一時未精算出庫情報73の生成について具体的に説明すると、図5に示すように、一時未精算出庫情報73は駐車スペース6ごとに生成され、各一時未精算出庫情報73には、ステータス、入庫時刻、暗証番号(暗証番号は含まれていない場合がある)、および出庫時刻が含まれる。車両認識装置54が駐車車両の駐車スペース6からの退出を認識してその旨を示す車両認識信号を出力したとき、CPU41は、当該駐車スペース6に対応する駐車情報71を駐車情報記憶領域72から読み出し、当該駐車情報71に含まれるステータスおよび入庫時刻を一時未精算出庫情報73に加える。当該駐車情報71に暗証番号が含まれている場合には、暗証番号も一時未精算出庫情報に加えられる。そして、CPU41は、当該駐車情報71を駐車情報記憶領域72から消去する。続いて、CPU41は、現在日時、例えば上記車両認識信号を受け取った時点の年月日時分を出庫時刻とし、この出庫時刻を当該一時未精算出庫情報に加える。なお、一時未精算出庫情報73は、駐車情報71を駐車情報記憶領域72から一時未精算出庫情報記憶領域74に移動し、移動した駐車情報71に出庫時刻を追加することにより生成することができる。
【0048】
このように一時未精算出庫情報73を生成し、一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶した後、CPU41は時間の測定を開始する。上述したように、利用者は、出庫前精算を行わずに駐車車両を駐車スペース6から退出させた後であっても精算許容期間taが経過する前であれば、当該車両を駐車場2内または駐車場2近傍に停止し、出庫後精算を行うことができる。CPU41がステップS14、S15で当該一時未精算出庫情報73を記憶してから精算許容期間taが経過する前に、利用者が出庫後精算を行うべく、料金精算機9の入力キーユニット23中の精算キー23B等を操作した場合には(ステップS16:NO、ステップS17:YES)、CPU41は、後述する出庫後精算の処理を行う(ステップS18)。なお、当該一時未精算出庫情報73は、出庫後精算処理において一時未精算出庫情報記憶領域74から消去される(図8中のステップS38参照)。
【0049】
一方、CPU41がステップS14、S15で当該一時未精算出庫情報73を記憶してから、出庫後精算が行われることなく精算許容期間taが経過した場合には(ステップS16:YES)、CPU41は、確定未精算出庫情報75を生成し、この確定未精算出庫情報75をメモリ42の確定未精算出庫情報記憶領域76に記憶し、さらに、当該一時未精算出庫情報73を一時未精算出庫情報記憶領域74から消去し(ステップS19)、車両出庫時の処理を終える。
【0050】
ここで、確定未精算出庫情報75の生成について具体的に説明すると、図5に示すように、確定未精算出庫情報75は未精算が確定した出庫車両(確定的未精算出庫事件)ごとに生成される。確定未精算出庫情報75には、駐車場2の識別情報である駐車場番号、駐車スペース6の識別情報である駐車スペース番号、入庫時刻、出庫時刻、未収金額および対処ステータスが含まれる。出庫前精算が行われていない駐車車両が駐車スペース6から退出し、出庫後精算も行われることなく精算許容期間taが経過したとき、CPU41は、駐車場2の駐車場番号および当該駐車スペース6の駐車スペース番号を確定未精算出庫情報75に加える。また、CPU41は、当該駐車スペース6に対応する一時未精算出庫情報73から入庫時刻および出庫時刻を読み出し、これら入庫時刻および出庫時刻を当該確定未精算出庫情報75に加える。また、CPU41は、当該入庫時刻および当該出庫時刻に基づいて駐車時間を求め、さらにこの駐車時間に基づいて駐車料金を算出し、この駐車料金を未収金額として当該確定未精算出庫情報75に加える。さらに、CPU41は、所定の対処ステータスを当該確定未精算出庫情報75に加える。なお、未精算退出が確定した車両についての一時未精算出庫情報73を一時未精算出庫情報記憶領域74から確定未精算出庫情報記憶領域76に移動させ、この移動した一時未精算出庫情報73を確定未精算出庫情報75として取り扱うようにしてもよい。また、上述したように、確定未精算出庫情報75は当該駐車車両の画像情報または映像情報と共に、例えば深夜等の所定の時間帯に料金精算機9から通信装置31を介してメンテナンスサービスセンタ61に送信される。
【0051】
(出庫前精算の処理)
図8は駐車場管理システム1における出庫前精算および出庫後精算の処理を示している。図9は出庫前精算時の料金精算機9の画面を示し、図10は出庫後精算時の料金精算機9の画面を示している。これより、図8、図9、図10を用いて出庫前精算および出庫後精算についての処理を説明する。まず、図8および図9を参照しながら出庫前精算の処理について説明する。
【0052】
料金精算機9は、利用者により入力キーユニット23中の精算キー23B等が操作されるまで、例えば図9(1)に示すように「精算の方は精算キーを押してください」といったメッセージを含む案内画面を表示器22に表示した状態で待機している(ステップS21:NO)。利用者が駐車車両を駐車スペース6から退出させる前に、入力キーユニット23中の精算キー23Bを押下したとき(ステップS21:YES)、料金精算機9のCPU41はこれに応じ、例えば図9(2)に示すように「車室番号を入力してください」といったメッセージを含む案内画面を表示し、また当該メッセージの音声をスピーカ28から出力し、利用者に駐車スペース番号(車室番号)の入力を要求する(ステップS22)。これに応じ、利用者が入力キーユニット23中のテンキー23Aを押下して駐車スペース番号を入力したとき、CPU41は、入力された駐車スペース番号が、この時点で車両が駐車している駐車スペース6および車両が退出してから精算許容期間taが経過していない駐車スペース6のうちのいずれかの駐車スペース番号であるか否かを判断する(ステップS23)。この判断は、例えば、駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する駐車情報71がメモリ42の駐車情報記憶領域72に記憶されているか否かを調べ、記憶されていない場合には、続いて、駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する一時未精算出庫情報73がメモリ42の一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶されているか否かを調べることにより行うことができる。
【0053】
利用者により入力された駐車スペース番号が、車両が駐車している駐車スペース6の駐車スペース番号でもなく、かつ車両が出庫前精算を行わず退出してから精算許容期間taが経過していない駐車スペース6の駐車スペース番号でもない場合には(ステップS23:NO)、CPU41は、エラーメッセージを含む案内画面を表示器22に表示すると共に、エラーメッセージの音声をスピーカ28から出力し(ステップS24)、利用者に駐車スペース番号の入力を再び要求する。
【0054】
一方、利用者により入力された駐車スペース番号が、車両が駐車している駐車スペース6および車両が出庫前精算を行わず退出してから精算許容期間taが経過していない駐車スペース6のうちのいずれかの駐車スペース番号である場合には(ステップS23:YES)、CPU41は、例えば「駐車スペース番号の確認はよろしいですか」といったメッセージを含む案内画面を表示器22に出力する(ステップS25)。これに応じ、利用者が例えば入力キーユニット23中の取消キー23Cを押下した場合には(ステップS26:NO、ステップS27:YES)、CPU41は処理をステップS21に戻す。一方、利用者が例えば入力キーユニット23中の精算キー23Bを押下した場合には(ステップS26:YES)、CPU41は処理をステップS28に進める。
【0055】
ステップS28において、CPU41は、当該利用者による精算が出庫後精算である可能性がないか否かを判断する。この判断は例えば次のように行う。すなわち、利用者が出庫前精算を行わずに駐車車両を駐車スペース6から退出させると、当該駐車スペース6についての一時未精算出庫情報73が生成され、これが一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶される(図7中のステップS14、S15参照)。したがって、CPU41は、当該利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する一時未精算出庫情報73が一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶されているか否かを調べることにより、当該利用者による精算が出庫後精算である可能性がないか否かを判断する。
【0056】
当該利用者による精算が出庫後精算である可能性がない場合には(ステップS28:YES)、CPU41は出庫前精算処理を行う。具体的には、CPU41は、当該利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する駐車情報71に含まれる入庫時刻を駐車情報記憶領域72から読み取り、この入庫時刻と現時点の時刻(年月日時分)との差を算出して駐車時間を求め、この駐車時間と、予めメモリ42に記憶された料金体系とに基づいて駐車料金を算出する。そして、CPU41は、例えば図9(3)に示すように駐車料金の案内画面を表示器22に出力すると共に、駐車料金の支払いを要求するメッセージの音声をスピーカ28から出力する(ステップS29)。CPU41は、利用者の金銭の支払態様(紙幣挿入、硬貨投入、割引券挿入、電子マネー決済等)に応じて駐車料金の精算を行い、必要に応じてつり銭の払い出し、領収書発行等を行う(ステップS30)。精算後、CPU41は、例えば図9(4)に示すような案内画面を表示器22に出力し、当該利用者に例えば5分以内に駐車車両を駐車場2から出すべき旨を告げる。続いて、CPU41は、当該利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する駐車情報71に含まれるステータスを、駐車中ステータスから精算済ステータスに書き換え(ステップS31)、出庫前精算処理を終える。当該利用者が駐車車両を駐車スペース6から退出させると、上述したように、当該駐車スペース6に対応する駐車情報71が駐車情報記憶領域72から消去される(図7中のステップS13参照)。また、CPU41は、精算時刻、精算金額、駐車車両の出庫時刻等を上記履歴情報としてメモリ42の例えば履歴記憶領域に記憶する。
【0057】
なお、出庫前精算が終了してから所定時間(例えば5分程度)経過しても利用者が駐車車両を駐車スペース6から退出させない場合には、その旨がループコイル8および車両認識装置54により認識され、再度入庫したものとして取り扱われる。具体的には、退出しない当該車両について図6に示す車両入庫処理が行われる。
【0058】
(出庫後精算の処理)
次に、図8および図10を参照しながら出庫後精算の処理について説明する。なお、この出庫後精算の処理は、図7中のステップS17およびステップS18の具体的内容に相当する。料金精算機9のCPU41は、利用者による入力キーユニット23中のキーの操作に応じ、図8中のステップS21ないしステップS27の処理を行う。続いて、CPU41は、ステップS28において、当該利用者による精算が出庫後精算である可能性がないか否かを判断する。すなわち、CPU41は、当該利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する一時未精算出庫情報73が一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶されているか否かを調べる。
【0059】
当該利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する一時未精算出庫情報73が一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶されており、当該利用者による精算が出庫後精算である可能性がある場合には(ステップS28:NO)、CPU41は、当該駐車スペース6について、精算を行うべき車両が重複しているか否かを判断する(ステップS32)。すなわち、駐車場管理システム1では、例えば、利用者Aが出庫前精算を行わずに駐車スペース6から車両aを退出させ、その直後に、他の利用者Bが同一の駐車スペース6に他の車両bを駐車した場合には、同一の駐車スペース6について、利用者Aに対しては車両aについての出庫後精算を行う機会を与え、利用者Bに対しては車両bについての出庫前精算を行う機会を与える。このため、同一の駐車スペース6について精算を行うべき車両の重複が生じる場合がある。同一の駐車スペース6について精算を行うべき車両の重複していない場合には、車両aについての出庫後精算を行えばよいが、同一の駐車スペース6について精算を行うべき車両の重複している場合には、車両aについての出庫後精算を行うのか、車両bについての出庫前精算を行うのかを利用者に選択させてから、その選択に従った精算処理を行う必要がある。そこで、ステップS32において、CPU41は、利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6について精算を行うべき車両が重複しているか否かを判断する。この判断は、利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する一時未精算出庫情報73が一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶されており、かつ当該同一の駐車スペース6に対応する駐車情報71が駐車情報記憶領域72に記憶されているか否かを調べることにより行う。
【0060】
利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6について精算を行うべき車両が重複していない場合には(ステップS32:NO)、CPU41は、例えば図10(1)に示すように「すでに駐車スペースからお車を出庫した後の精算ですね。次回はお車を出庫する前に精算するようにしてください。よろしければ再度精算キーを押してください」といったメッセージを含む案内画面を表示器22に表示すると共に、当該メッセージの音声をスピーカ28から出力する(ステップS33)。これに応じ、利用者が例えば入力キーユニット23中の取消キー23Cを押下した場合には(ステップS34:NO、ステップS35:YES)、CPU41は処理をステップS21に戻す。一方、利用者が例えば入力キーユニット23中の精算キー23Bを押下した場合には(ステップS34:YES)、CPU41は処理をステップS36に進める。
【0061】
処理がステップS36に進んだ場合、CPU41は出庫後精算処理を行う。具体的には、CPU41は、利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する一時未精算出庫情報73に含まれる入庫時刻を一時未精算出庫情報記憶領域74から読み取り、この入庫時刻と現時点の時刻(年月日時分)との差を算出して駐車時間を求め、この駐車時間と、予めメモリ42に記憶された料金体系とに基づいて駐車料金を算出する。そして、CPU41は、出庫前精算の場合と同様に(ステップS29、S30参照)、駐車料金の支払いを要求するメッセージを表示器22およびスピーカ28から出力し(ステップS36)、利用者の金銭の支払態様に応じて駐車料金の精算を行う(ステップS37)。精算後、CPU41は、当該利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する一時未精算出庫情報73を一時未精算出庫情報記憶領域74から消去し(ステップS38)、必要に応じて、精算時刻、精算金額、駐車車両の出庫時刻等を上記履歴情報としてメモリ42の履歴記憶領域に記憶し、出庫後精算を終える。
【0062】
ここで、出庫後精算処理において、駐車時間を算出する際には、一時未精算出庫情報73に含まれる入庫時刻と現時点(出庫後精算処理時点)の時刻との差を算出する。すなわち、一時未精算出庫情報73に含まれる入庫時刻と当該一時未精算出庫情報73に含まれる出庫時刻との差を算出するのではない。これにより、利用者が出庫前精算を行わずに駐車車両を駐車スペース6から退出させてから出庫後精算を行うまでの間の時間も駐車時間に加算されて駐車料金が算定されるので、利用者が意図的に出庫前精算を行わずに未精算出庫をすることで出庫時刻が若干でも早くなって駐車時間を短くなり、その結果として駐車料金が安く計算される、といったようなことが防止できる。
【0063】
また、ステップS33において、通信装置31によりメンテナンスサービスセンタ61との間の通信回線を自動的に接続し、インターホン29を介して利用者とメンテナンスサービスセンタ61のオペレータとの間の通話を可能にしてもよい。これにより、利用者はオペレータから精算方法等を教えてもらうことができ、精算を容易かつ確実に行うことができる。
【0064】
(出庫前精算と出庫後精算の選択)
次に、図8および図10を参照しながら、出庫前精算と出庫後精算の選択について説明する。上述したように、駐車場管理システム1では、例えば、利用者Aが出庫前精算を行わずに駐車スペース6から車両aを出し、その直後に、他の利用者Bが同一の駐車スペース6に他の車両bを駐車した場合には、同一の駐車スペース6について、利用者Aに対しては車両aについての出庫後精算を行う機会を与え、利用者Bに対しては車両bについての出庫前精算を行う機会を与える。具体的には、図8中のステップS32において、CPU41は、利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6について、精算を行うべき車両が重複しているか否かを判断し、同一の駐車スペース6について精算を行うべき車両の重複している場合には、車両aについての出庫後精算を行うのか、車両bについての出庫前精算を行うのかを利用者に選択させてから、その選択に従った精算処理を行う。
【0065】
すなわち、ステップS32において、利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6に対応する一時未精算出庫情報73が一時未精算出庫情報記憶領域74に記憶されており、かつ当該同一の駐車スペース6に対応する駐車情報71が駐車情報記憶領域72に記憶されている場合には、CPU41は、利用者が入力した駐車スペース番号が指し示す駐車スペース6について精算を行うべき車両が重複していると判断する(ステップS32:YES)。続いて、CPU41は、例えば図10(2)に示すように、駐車スペース6から退出させた車両についての出庫後精算か駐車スペース6に現在駐車している車両についての出庫前精算かを利用者に選択させるための案内画面を表示器22に出力すると共に、例えば「○○番の駐車スペースにW月W日W時W分からX月X日X時X分まで駐車されていた車両の精算であれば1のキーを押し、○○番の駐車スペースにY月Y日Y時Y分からZ月Z日Z時Z分まで駐車されていた車両の精算であれば2のキーを押し、いずれでもない場合には取消キーを押して下さい」といったメッセージ音声をスピーカ28から出力する(ステップS39)。
【0066】
これに応じ、利用者がテンキー23Aのうちの「1」のキーを押下した場合には、CPU41は、処理をステップS40からステップS33に移行させ、上述したような出庫後精算処理およびそれに関連する処理を行い(ステップS33ないしステップS38)を行う。一方、利用者がテンキー23Aのうちの「2」のキーを押下した場合には、CPU41は、処理をステップS40からステップS29に移行させ、上述したような出庫前精算処理およびそれに関連する処理を行う(ステップS29ないしステップS31)。
【0067】
ここで、ステップS39およびステップS40において、利用者に出庫後精算および出庫前精算のうちのいずれかを選択させる方法には、以下に述べるように、いくつかの方法が考えられ、いずれの方法を採用してもよい。すなわち、第1の方法は、上述した方法であり、図10(2)に示すように、出庫後精算に係る車両についての入庫時刻等と、出庫前精算に係る車両についての入庫時刻等とをそれぞれ文字で説明した案内画面を表示器22に表示し、案内画面中の説明に沿ったメッセージを音声で出力する方法である。この方法によれば、利用者は案内画面中の説明を読み、またはメッセージ音声を聞くことにより、出庫後精算および出庫前精算のいずれかを選択することができる。
【0068】
第2の方法は、図10(3)に示すように、表示器22に表示する案内画面中に、出庫後精算に係る車両についての入庫時刻等と、出庫前精算に係る車両についての入庫時刻等とをそれぞれ説明した文字に加え、出庫後精算に係る車両を撮影した画像と、出庫前精算に係る車両を撮影した画像とを表示する方法である。この方法においても、案内画面中の説明に沿ったメッセージを音声で出力する。この方法によれば、利用者は案内画面中の車両の画像を見ることにより、出庫後精算と出庫前精算の選択を、第1の方法よりも容易に、迅速に、正確に行うことができる。なお、各車両の画像は、駐車場2に設置されたカメラ15、17、18により各車両を駐車中等に撮影した画像を用いる。また、各車両の画像は、各車両の特徴的な部分、例えばナンバープレートを含む車両のフロント部分の画像が望ましい。また、各車両の画像に代えて各車両の映像を用いてもよい。
【0069】
第3の方法は、ステップS39において、最初に、出庫後精算に係る車両についての精算を行うことを要求する案内画像を表示器22に出力すると共に、その旨のメッセージをスピーカ28から出力し、利用者が例えば精算キーを押すなどして出庫後精算を選択する操作をした場合には出庫精算処理に進み、一方、利用者が例えば取消キーを押すなどして出庫後精算を選択しない操作をした場合には、次に、表示器22の表示を、出庫前精算に係る車両についての精算を行うことを要求する案内画像に切り換えると共に、出庫前精算に係る車両についての駐車料金の精算を行うことを要求するメッセージをスピーカ28から出力する方法である。この方法には次のようなメリットがある。すなわち、同一の駐車スペース6について精算を行うべき車両の重複が生じ得る期間は上記精算許容期間ta(例えば3分〜10分程度)に限られる。また、一般的な駐車場の実際上の利用形態を考慮すると、利用者が車両の駐車を開始してから3分ないし10分程度の短い時間しか経過していないうちに精算を行う頻度は低い。したがって、同一の駐車スペース6について精算を行うべき車両の重複が生じた場合、当該駐車スペースの利用について最初に精算を行う利用者は、出庫前精算を行わずに駐車スペース6から車両を退出させてしまった者、すなわち出庫後精算を行う者である確率が高い。したがって、ステップS39において、出庫後精算に係る車両についての精算を行うことを要求する案内を最初に行うことにより、高い確率で利用者の意思に直ちに応じて出庫後精算に円滑に進めることができ、また、利用者の選択操作ミスを少なくすることができる。
【0070】
以上説明した通り、本発明の実施形態による駐車場管理システム1によれば、利用者は、駐車料金の精算前に駐車スペース6から駐車車両を出庫させてしまった場合でも、出庫後精算という形で駐車料金の精算を行うことができる。したがって、ロック装置、ゲート装置等、装置自体または設置にコストがかかる装置を減らしてコストの低減を図りながらも、利用者が駐車料金の精算をその場で行い易くなるようにすることができる。また、出庫前精算を行い損ねた利用者から、駐車料金の精算についての問い合わせがメンテナンスサービスセンタ61に頻発し、メンテナンスサービスセンタ61において問い合わせ応対のための作業負担が増加するといった事態を防ぐことができる。さらに、駐車料金をその場で精算する機会を失った利用者に対し、事後的に駐車料金を請求するといった事態が生じる頻度を低くすることができ、駐車料金の事後的回収の負担を減らすことができる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、駐車場管理システム1を、図1に示すような13個の駐車スペース6を有する比較的小規模の駐車場2に適用する場合を例にあげたが、本発明の駐車場管理システム1を、中規模または大規模の駐車場に適用してもよい。一方、上述した実施形態では、メンテナンスサービスセンタにより複数の駐車場2を統括的に管理する場合を例にあげたが、本発明はこれに限定されない。個々の駐車場を完全に独立させて管理する形態も採用することができる。
【0072】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駐車場管理システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 駐車場管理システム
2 駐車場
6 駐車スペース
8 ループコイル(車両検知装置)
9 料金精算機
12 中継装置
15 第1のカメラ
16 第2のカメラ
17 第3のカメラ
18 第4のカメラ
22 表示器(表示装置)
23 入力キーユニット
28 スピーカ
29 インターホン
31 通信装置(通信手段)
33 通話ユニット(マイク、スピーカ)
41 CPU(駐車情報記憶手段、出庫前精算手段、一時未精算出庫情報記憶手段、出庫後精算手段、確定未精算出庫情報記憶手段、選択要求手段)
42 メモリ(記憶装置)
51 第1の外部通信部
52 データ端末装置(接続制御回路)
53 第2の外部通信部
54 車両認識装置
55 映像記録装置
61 メンテナンスサービスセンタ
62 広域通信回線網
63 インターネット
64 管理PC
65 サーバ
71 駐車情報
73 一時未精算出庫情報
75 確定未精算出庫情報
ta 精算許容期間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内における複数の駐車スペースにそれぞれ設けられ、自身が設けられた前記駐車スペースへの車両の進入および退出を検知する複数の車両検知装置と、
前記各駐車スペースに駐車した車両について駐車料金の精算を行う料金精算機とを備え、
当該料金精算機は、
前記複数の車両検知装置のうちの一の車両検知装置により前記複数の駐車スペースのうちの一の駐車スペースへの第1の車両の進入が検知された時刻を前記第1の車両の入庫時刻とし、当該入庫時刻を含む第1の駐車情報を生成し、当該第1の駐車情報を前記料金精算機に設けられた記憶装置に記憶する駐車情報生成手段と、
前記一の車両検知装置により前記第1の車両の前記一の駐車スペースからの退出が検知されていない間に、当該料金精算機が前記一の駐車スペースについて駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには、前記第1の駐車情報に含まれる前記入庫時刻を参照して前記第1の車両についての駐車料金の精算を行う出庫前精算手段と、
前記出庫前精算手段により前記第1の車両についての駐車料金の精算が行われていない間に前記一の車両検知装置により前記第1の車両の前記一の駐車スペースからの退出が検知されたときには、前記一の車両検知装置により前記第1の車両の前記一の駐車スペースからの退出が検知された時刻を出庫時刻とし、当該出庫時刻と前記入庫時刻とを含む一時未精算出庫情報を生成し、当該一時未精算出庫情報を前記記憶装置に記憶する一時未精算出庫情報生成手段と、
前記出庫前精算手段により前記第1の車両についての駐車料金の精算が行われていない間に前記一の車両検知装置により前記第1の車両の前記一の駐車スペースからの退出が検知された時点から当該時点より所定時間が経過した時点までの精算許容期間内に、当該料金精算機が前記一の駐車スペースについて駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには、前記一時未精算出庫情報に含まれる前記入庫時刻を参照して前記第1の車両についての駐車料金の精算を行う出庫後精算手段と、
前記精算許容期間内に前記出庫後精算手段により前記第1の車両についての駐車料金の精算が行われなかったときには、前記第1の車両が駐車していた前記一の駐車スペースの識別情報、前記入庫時刻および前記出庫時刻を含む確定未精算出庫情報を生成し、当該確定未精算出庫情報を前記記憶装置に記憶する確定未精算出庫情報生成手段とを備えていることを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
前記精算許容期間内に、前記一の車両検知装置により前記一の駐車スペースへの第2の車両の進入が検知され、これに応じ前記駐車情報生成手段により当該第2の車両の入庫時刻を含む第2の駐車情報の生成および前記記憶装置への記憶が行われ、その後、前記精算許容期間内に、前記料金精算機が前記一の駐車スペースについて駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには、前記第1の車両についての駐車料金の精算および前記第2の車両についての駐車料金の精算のうちのいずれを行うかの選択を要求するメッセージを出力する選択要求手段を備え、
前記選択要求手段による前記メッセージの出力後、前記料金精算機が前記第1の車両についての駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには前記出庫後精算手段が前記第1の車両についての駐車料金の精算を行い、前記料金精算機が前記第2の車両についての駐車料金の精算を行う指示の入力を受けたときには前記出庫前精算手段が前記第2の車両についての駐車料金の精算を行うことを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
前記選択要求手段は、前記第1の車両についての駐車料金の精算を行うことを要求するメッセージを最初に出力し、当該メッセージが出力された後に前記料金精算機が所定の指示の入力を受けたときに、前記第2の車両についての駐車料金の精算を行うことを要求するメッセージを出力することを特徴とする請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
前記駐車場内の車両を撮影するカメラを備え、
前記選択要求手段は、前記第1の車両についての駐車料金の精算および前記第2の車両についての駐車料金の精算のうちのいずれを行うかの選択を要求する前記メッセージを出力すると共に、前記カメラで撮影した前記第1の車両の画像または映像と、前記カメラで撮影した前記第2の車両の画像または映像とを前記料金精算機に設けられた表示装置に表示することを特徴とする請求項2または3に記載の駐車場管理システム。
【請求項5】
外部のサービスセンタのオペレータと利用者との間で少なくとも音声による通信を行うことができ、マイク、スピーカ、および前記サービスセンタとの間の通信回線の接続、非接続を切換制御する接続制御手段を有する通信手段を備え、
前記通信手段は、前記出庫後精算手段により前記第1の車両についての駐車料金の精算が行われるときに前記サービスセンタとの間の通信回線を自動的に接続することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の駐車場管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−168850(P2012−168850A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30709(P2011−30709)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】