説明

駐車装置

【課題】 従来技術では、高い位置に自動車を駐車する駐車場における高い位置の多数の自動車の位置のエネルギーは活用されていなかったが、この浪費位置エネルギーを有効利用可能すること。
【解決手段】 本駐車装置1では、建物の屋上等を利用し各自が登りスロープ3を利用して自己負担で石油エネルギー等を使い高い位置に駐車するが、下降時に多数の自動車の位置のエネルギーをピストンP利用し発電機6により行う。発電機6に接続されたインバータ11を介してバッテリー駆動自動車などのバッテリー(図示せず)への充電が可能なため、従来使用されずに浪費されていたエネルギーで、駐車装置1の利用者に、買い物など所用を済ます間での充電の提供をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の重量を利用して発電を行う発電装置を備えた駐車装置に関するものである。
【背景技術】
近年、原子力エネルギー以外のエネルギーを活用する技術が見直されている。一方、自動車の駐車施設としての駐車場を見ると、大型販売店、郊外型販売施設などでは建物の屋上に駐車場が配置され、多数の自動車が数十メートルの高さにおいて駐車されている。これら高い位置にある多数の自動車は位置のエネルギーを有しているにもかかわらず、活用されない状態となっている。
車両の重量を利用して発電を行うという考え方は従来から存在する。駐車場の所定の位置にシリンダを設け、車両をこのシリンダーに乗り上げてシリンダーを下降させ、この車の重量により下降力を用いて発電を行うものなどが存在する(例えば特許文献1に示す)。
【先行技術文献】
【0002】
【特許文献1】公開特許公報2004−324628号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような駐車場での車両のシリンダーに乗り上げるエネルギーは個別的で少量のエネルギーしか得られないので、いわゆる電気自動車のバッテリーへの充電を行うという用途にも充分でなく、このエネルギーを活用する用途も限られてしまうという課題がある。
本発明は、前記従来の屋上等を利用した高い位置に自動車を駐車する駐車場における高い位置の多数の自動車の位置のエネルギーを利用して発電を行う駐車装置を提供して従来の課題を解決するもので、従来は活用されていなかったエネルギーを有効利用可能な駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記従来の課題を解決するために、本発明の駐車装置方法は、自動車を所定の高さに案内する登りスロープと、前記所定の高さ位置にある自動車を下降させる少なくとも2つの下降装置と、前記下降装置にそれぞれ設けられたピストンが接続された流体シリンダーと、前記流体シリンダーにおける流体の移動により発電を行う発電機と、前記流体シリンダーと少なくとも2つのピストンを流体的に密閉して連通させる流体配管と、を備え、前記ピストンは前記自動車を支持可能で、自動車の重量によって前記自動車を所定の位置まで下降し、下降の際に前記流体シリンダー内の流体を自動車の位置エネルギーにより移動させ、前記流体配管を介して前記流体シリンダーに接続された他方のピストンを所定の高さ位置まで移動させる構成とし、前記流体配管には、前記流体の移動速度を可変とする流量調整用のバルブを備え、前記バルブは制御装置により自動車を搭載した前記ピストンの下降速度を変更可能とした、構成を備えたものである。
【0005】
また、駐車装置は、さらに発電機に接続されインバータを介してバッテリー駆動自動車のバッテリーへの充電が可能な所定の容量を有する充電装置を備えるもの、あるいは制御装置が電子計算機により構成され、バルブの制御と合わせて発電機の制御を行い、発電機によりさらにこの発電機を通過する流体の流量を制御する機能、また非常時にはバルブを介してピストンの下降を停止する機能を備えたものである。また、駐車装置は、さらに複数のピストンの動きを切り替えるため、流体シリンダーへの流体の移動を切り替える切り替え弁を備えたものであってもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の駐車装置によれば、高い位置に自動車を駐車する駐車場における高い位置の多数の自動車の位置のエネルギーを利用して発電を行う駐車装置を提供して従来の課題を解決するもので、従来は活用されていなかったエネルギーを有効利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施例に係る駐車装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1を図1により説明する。図1は本発明の実施の形態1の駐車装置の正面図である。本実施の形態1の駐車装置1は、自動車2を所定の高さhに案内する登りスロープ3と、所定の高さh位置にある自動車2を下降させる少なくとも2つの下降装置4と、下降装置4にそれぞれ設けられたピストン(P1、P2、P3、P4)が接続された流体シリンダーと、前記流体シリンダーにおける流体の移動により回転するタービン(図示しない)などを備え、このタービンの回転等により発電を行う発電機6と、流体シリンダー5とピストン(P1、P2、P3、P4)を流体的に密閉した状態で連通させる流体配管7とを備えている。
ピストン(P1、P2、P3、P4)は自動車2を支持可能で下降装置4により案内されて、自動車2の重量によって自動車2を出口8のある所定の下の位置まで下降する。下降の際には、流体シリンダー5内の流体を自動車の重量により下降移動させ、例えばピストンP2の下方(矢印D)の移動で流体配管7を介して隣接する流体シリンダー5に接続された他方のピストンP1を所定の高さ位置hまで上昇移動させる。流体配管7は、流体の移動速度を可変とする流量調整用のバルブ9を備え、バルブ9は制御装置10により制御され流量が可変となっている。自動車2を搭載したピストンP2の下降速度は、通常では自動車2の重量により変化するが、流量調整用のバルブ9を備えているので、自動車の重量に応じてピストン(P1、P2、P3、P4)の下降速度は所定の速度に調整される。
【0009】
また、駐車装置1は、発電機6に接続されたインバータ11を介してバッテリー駆動自動車などのバッテリー(図示せず)への充電が可能な所定の容量を有する充電装置12を備えている。制御装置10が電子計算機により構成され、バルブ9の制御と合わせて発電機6の制御を行う。制御装置10は、発電機6の負荷を制御することにより、さらにこの発電機6を通過する流体の流量を制御する機能も備えている。また非常時には、バルブ9あるいは発電機6、もしくは図示しない非常用停止弁を介してピストン(P1、P2、P3、P4)の下降を停止する機能を備えている。
【0010】
駐車装置1は、複数のピストン(P1、P2、P3、P4)の動きを切り替えるため、流体シリンダー5への流体の移動を切り替える切り替え弁13を備えている。これにより、いずれか1つのピストンの下降時に、選択的に下降位置にあるピストン(例えばP1やP4)を選択的に上昇させることができる。この切り替え弁13も制御装置10により切り替え制御がなされる。
【0011】
本駐車装置1では、建物の屋上等を利用し各自が登りスロープ3を利用して自己負担で石油エネルギー等を使い高い位置に駐車するが、下降時には自力で自己負担により出口へ下降することがなく、多数の自動車の位置のエネルギーを利用して発電を行う。この位置のエネルギーは、自動車が1000キログラム(kg)、高さ位置hを20メートル(m)とすると、出口の面(E)を基準にして、196000J(MKS単位)の位置エネルギーとなる。各構成要素の摩擦やロス等を考慮しても、従来使用されずに浪費されていたエネルギーであり、従来は活用されていなかったエネルギーを有効利用可能な駐車装置1となる。
【0012】
また、駐車装置1は、発電機6に接続されたインバータ11を介してバッテリー駆動自動車などのバッテリー(図示せず)への充電が可能なため、従来使用されずに浪費されていたエネルギーで、駐車装置1の利用者に、買い物など所用を済ます間での充電の提供という便宜が、計れて駐車装置の利用が促進される。また、位置エネルギーによる発電を売電して得た利益を、利用者に還元することも、従来は活用されていなかったエネルギーを有効利用可能な駐車装置1としてよりエコな駐車装置とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の駐車装置によれば、従来使用されずに浪費されていたエネルギーを有効利用可能な駐車装置となり、さらに駐車装置は、発電機に接続されたインバータ11を介してバッテリーへの充電などが可能なため、従来使用されずに浪費されていたエネルギーで、駐車装置1の利用者に、買い物など所用を済ます間での充電の提供という便宜が、計れて駐車装置の利用が促進され、多数の自動車の駐車が必要な分野での適用が可能となり、自動車を必要とする産業のサービスに広く適用できる。
【符号の説明】
【0014】
1 駐車装置、2 自動車、3 登りスロープ3、4 下降装置、P1、P2、P3、P4 ピストン、5 流体シリンダー、6 発電機6、7 流体配管7、9 流量調整用のバルブ、10 制御装置、12 充電装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車を所定の高さに案内する登りスロープと、前記所定の高さ位置にある自動車を下降させる少なくとも2つの下降装置と、前記下降装置にそれぞれ設けられたピストンが接続された流体シリンダーと、前記流体シリンダーにおける流体の移動により発電を行う発電機と、前記流体シリンダーと少なくとも2つのピストンを流体的に密閉して連通させる流体配管と、を備え、前記ピストンは前記自動車を支持可能で、自動車の重量によって前記自動車を所定の位置まで下降し、下降の際に前記流体シリンダー内の流体を自動車の重量により移動させ、前記流体配管を介して前記流体シリンダーに接続された他方のピストンを所定の高さ位置まで移動させる構成とし、前記流体配管には、前記流体の移動速度を可変とする流量調整用のバルブを備え、前記バルブは制御装置により自動車を搭載した前記ピストンの下降速度を変更可能とした、駐車装置。
【請求項2】
前記発電機に接続されインバータを介してバッテリー駆動自動車のバッテリーへの充電が可能な所定の容量を有する充電装置を備えた、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項3】
前記制御装置が電子計算機により構成され、前記バルブの制御と合わせて前記発電機の制御を行い、前記発電機により発電機を通過する流体の流量を制御する機能を備えた、請求項1に記載の駐車装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−32670(P2013−32670A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178130(P2011−178130)
【出願日】平成23年7月30日(2011.7.30)
【出願人】(505124074)