説明

骨切削用リーマ

【課題】骨切削用リーマの回転をスムーズに行うことが可能な骨切削用リーマを提供する。
【解決手段】骨切削用リーマ1は、刃部2と、刃部2が先端に設けられた軸部3と、軸部3に回動可能に取り付けられた円筒状のスリーブ4とを備える。この構成によると、軸部はスリーブに対して回動可能であるので、刃部の回転時において、当該スリーブがガイド部材に当接しても、軸部の回転が妨げられることはない。更に、スリーブが円筒状であるため、スリーブの回転が、当該スリーブの外周面に当接するガイド部材によって拘束されることはない。これにより、骨切削用リーマの回転をスムーズに行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド部材を用いて骨を切削するための骨切削用リーマに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガイド部材を用いて骨を切削するための骨切削用リーマとして、特許文献1に記載の回転リーマが知られている。
特許文献1の図1に記載されているように、この回転リーマ(22)は、切削端部(25)と、リーマ当たり(23)と、軸部と、軸部の基端に設けられた駆動装置接続部(24)とが、一体的に形成されたものである。そして、ガイド部材としてのコレット(21)の開口(21A)に当該回転リーマ(22)を挿入して回転することで、骨の切削が行われる。
【0003】
【特許文献1】特表2000−505337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された回転リーマは、ガイド部材と摺動することで、回転リーマとガイドとの双方、或いはいずれか一方の器具が損傷し、回転リーマの回転がスムーズに行われなくなるおそれがある。この場合、正確な骨切削が困難になる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、骨切削用リーマの回転をスムーズに行うことが可能な骨切削用リーマを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る骨切削用リーマは、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の骨切削用リーマは、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る骨切削用リーマにおける第1の特徴は、刃部と、当該刃部が先端に設けられた軸部と、前記軸部に回動可能に取り付けられた円筒状のスリーブと、を備えることである。
【0008】
この構成によると、軸部はスリーブに対して回動可能であるので、刃部の回転時において、当該スリーブがガイド部材に当接しても、軸部の回転が妨げられることはない。
更に、スリーブが円筒状であるため、スリーブの回転が、当該スリーブの外周面に当接するガイド部材によって拘束されることはない。
これにより、骨切削用リーマの回転をスムーズに行うことができる。
【0009】
また、本発明に係る骨切削用リーマにおける第2の特徴は、前記スリーブは、樹脂で形成されていることである。
【0010】
この構成によると、スリーブと軸部との間の摺動、及び、スリーブとガイド部材との間の摺動がスムーズに行われる。これにより、刃部の回転がスムーズになる。
【0011】
また、本発明に係る骨切削用リーマにおける第3の特徴は、前記刃部から離れる方向への前記スリーブの移動を拘束するように前記軸部に固定されたロック部材を備え、前記スリーブにフランジ部が設けられていることである。
【0012】
この構成によると、フランジ部をガイド部材に当接させることができるので、刃部で切削される深さが過度に深くなることを防止できる。
【0013】
また、本発明に係る骨切削用リーマにおける第4の特徴は、前記ロック部材の軸方向における位置を調整可能であることである。
【0014】
この構成によると、ロック部材の位置を調整することで、刃部で切削する深さを所定の深さに調整することができる。
【0015】
また、本発明に係る骨切削用リーマにおける第5の特徴は、前記軸部は、前記刃部に近づく方向への前記スリーブの移動を拘束する凸部を有することである。
【0016】
この構成によると、スリーブが移動して刃部に接触することを防止できる。これにより、スリーブの損傷を防止できる。
【発明の効果】
【0017】
スリーブがガイド部材に当接しても、軸部の回転が妨げられることはなく、また、スリーブの回転が、当該スリーブの外周面に当接するガイド部材によって拘束されにくいので、骨切削用リーマの回転をスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態においては、大腿骨遠位部における顆間部中央部の骨を切除するために用いるリーマを例に挙げて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
<骨切削用リーマの全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る骨切削用リーマ1を示す全体斜視図である。
図2は、図1に示す骨切削用リーマ1の分解斜視図である。
図3は、図1に示す骨切削用リーマ1におけるスリーブ4近傍の断面拡大図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、骨切削用リーマ1は、骨を切削するための刃が形成された刃部2と、刃部2が先端に設けられた軸部3と、軸部3に回動可能に取り付けられたスリーブ4と、スリーブ4の移動を拘束するように軸部3に設けられたロック部材5と、を備える。
【0021】
<刃部及び軸部の構成>
刃部2及び軸部3は、医療器具材料として滅菌できる金属であるステンレス合金で形成されている。尚、ステンレス合金に限らず、医療器具材料として滅菌できる他の金属を用いてもよい。例えば、チタン合金であってもよい。また、軸部3は、金属に限らず、医療器具材料として滅菌できるような樹脂で形成されていてもよい。例えば、フッ素樹脂(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)などを用いることができる。
【0022】
図2に示すように、軸部3は、刃部2から連続する円柱状の先端軸部31と、先端軸部31に連続してロック部材5が設けられる中間軸部32と、中間軸部32に連続して刃部2から離れる方向へ延びる基端軸部33と、基端軸部33の端部に設けられた回転手段接続部34と、を有している。
【0023】
先端軸部31には、刃部2に近接した位置に外周から突出する凸部31aが設けられている。当該凸部31aは、先端軸部31の全周に亘って連続している。
【0024】
中間軸部32には、外周において、互いに平行となる一対の平面が形成されている。当該一対の平面には、それぞれ、軸部3の中心軸方向(以下、「軸方向」という。)と垂直な方向に延びる溝32aが形成されている。
尚、中間軸部32は、軸方向から見たときに、先端軸部31の外周縁よりも内側に位置するように形成されている。
【0025】
基端軸部33は、軸径が、先端軸部31よりも小さく、軸方向から見たときに、中間軸部32の外周縁よりも内側に位置するように形成されている。
【0026】
回転手段接続部34は、図示しないモータ駆動装置等の回転手段と回転方向および軸方向に係合可能に形成されている。
【0027】
<スリーブの構成>
スリーブ4は、医療器具材料として滅菌できる樹脂により円筒状に形成されている。
尚、スリーブ4の材料としては、軸部3との間での摩擦係数が小さくなるような樹脂を用いることが望ましい。例えば、フッ素樹脂(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)などを用いることができる。
【0028】
当該スリーブ4は、図2に示すように、円筒状の胴部41と、胴部41の端部に設けられ径方向外側に突出するフランジ部42とを有する。
胴部41は、内径が、軸部3の先端軸部31の外径よりも大きく、凸部31aの外径よりも小さくなるように形成されている。また、図3に示すように、胴部41の内周先端には、内周が基端側よりも拡径するように段部41aが形成されている。
フランジ部42は、先端軸部31の全周に亘って連続しており、外径が、後述する円筒状ガイド12の内径よりも大きくなるように形成されている。
【0029】
当該スリーブ4は、軸部3の先端軸部31に挿入され、当該先端軸部31の軸回りに回動することができる。
また、図3に示すように、スリーブ4の刃部2側への移動は、凸部31aに段部41aの先端側を向く面が当接することで規制され、中間軸部32側への移動は、ロック部材5に当接することで規制される。つまり、スリーブ4は、軸部3の凸部31aとロック部材5との間において、軸方向に移動可能である。
【0030】
<ロック部材の構成>
ロック部材5は、刃部2及び軸部3と同じ材料で形成されており、内部中空のリング状部材51と、リング状部材51の内部に挿入される係止部材52と、リング状部材51と係止部材52との間に設けられたバネ53とを有する。尚、ロック部材5を、刃部2及び軸部3と同じ材料とする場合に限らず、他の、医療器具材料として滅菌できる金属又は樹脂を用いてもよい。
【0031】
リング状部材51は、円筒状部の軸方向両端が、円板状部で閉塞された内部中空の部材である。当該円板状部の中心部には、中間軸部32の軸方向垂直断面形状と略同形状の第1開口部51aが設けられている。リング状部材51の円筒状部の外周面には、内部空間に連通する第2開口部51bが形成されている。
係止部材52は、リング状部材51の第2開口部51bからリング状部材51の内部に挿入される。
バネ53は、係止部材52を第2開口部51bから外側に押し出すように付勢している。
係止部材52には、第2開口部51bからリング状部材51内に挿入される方向と垂直方向に向かって中間軸部32を挿入可能な貫通孔52aが形成されている。当該貫通孔52aの内周面において、バネ53の付勢方向と同方向に突出する係合凸部52bが設けられている。
【0032】
バネ53の付勢力に抗して、係止部材52がリング状部材51の内側に押し込まれると、係止部材52の係合凸部52bは、中間軸部32の貫通孔52aへの挿入を妨げない位置に移動する。この状態で、中間軸部32が第1開口部51a及び貫通孔52aに挿入され、挿入された状態で、係止部材52への押圧が解除されると、バネ53の付勢力により、係合凸部52bが中間軸部32の溝32aに係合する。これにより、ロック部材5の軸方向への移動が規制される。
【0033】
第1実施形態においては、ロック部材5の第1開口部51aは、当該第1開口部51aに挿入された中間軸部32と回転方向において係合する形状であるので、軸部3が回転すると、ロック部材5も回転する。これにより、ロック部材5と軸部3との摺動が起こりにくくなり、ロック部材5と軸部3との間で磨耗粉が発生することが抑制される。
【0034】
<切削方法>
次に、骨切削用リーマ1により、大腿骨遠位部における顆間部中央部の骨を切除する方法について説明する。
図4は、骨切削用リーマ1による切削方法を説明するための斜視図である。
図5は、骨切削用リーマ1を円筒状ガイド12に挿入した状態を示す斜視図である。
図6は、図5に示す大腿骨100、ガイド部材10、及び骨切削用リーマ1の断面図である。
図7は、骨切削用リーマ1で大腿骨100を切削した状態を示す断面図である。
【0035】
図4に示すように、切削対象となる大腿骨100の遠位部の端部には、大腿骨100の顆間部中央が切削されるように骨切削用リーマ1を案内するガイド部材10が固定される。
ガイド部材10は、側面視略コの字状に形成されるガイド本体11と、ガイド本体11の外面に固定される円筒状ガイド12とを有している。
【0036】
ガイド本体11は、外面を所定の形状に切断された大腿骨100の遠位部に嵌め込まれ、ボルト又はピン13等により大腿骨100に対して固定されている。当該ガイド本体11には、大腿骨100の顆間部中央のみが露出されるように、当該顆間部に対応する位置に開口が形成されている。
【0037】
円筒状ガイド12は、内径が、スリーブ4の胴部41の外径よりも大きく、フランジ部42の外径よりも小さくなるように形成されている。当該円筒状ガイド12は、その円筒中心軸が大腿骨100の端面100aと略垂直になるように設けられ、端面100aと平行に、大腿骨100の前面100b側および後面100c側にスライド移動可能である(図6参照)。
尚、円筒状ガイド12は、当該円筒状ガイド12に挿入された骨切削用リーマ1の刃部2が、ガイド本体11の前記開口を通過して大腿骨100に到達できる所定の範囲でスライド移動可能である。
【0038】
ガイド部材10を大腿骨100に取り付けた後、図5及び図6に示すように、骨切削用リーマ1が円筒状ガイド12に挿入される。
尚、刃部2の先端が大腿骨100の端面に当接する前に、スリーブ4の先端が円筒状ガイド12に挿入されるように、軸方向におけるスリーブ4の長さ及びロック部材5の位置が設定される。
【0039】
スリーブ4の先端が円筒状ガイド12に挿入された状態で、骨切削用リーマ1の軸部3が図示しない回転手段により回転される。このとき、軸部3の外周面とスリーブ4の内周面との間、及び/又は、スリーブ4の外周面と円筒状ガイド12の内周面との間で、相対回転が生じる。これにより、刃部2の回転が滑らかに行われることになる。
そして、刃部2を大腿骨100に向かって進出させることで、大腿骨100が切削される。
【0040】
図7に示すように、骨切削用リーマ1が大腿骨100側に所定量移動すると、円筒状ガイド12の端部がフランジ部42に当接する。スリーブ4は、ロック部材5によって軸部3の基端側へ移動が拘束されているので、骨切削用リーマ1を更に大腿骨100側に移動させることはできなくなる。これにより、刃部2による大腿骨100の切削深さが、所定の深さよりも深くなることが防止される。
【0041】
また、骨切削用リーマ1の刃部2は、外周面にも刃が形成されているので、刃部2を回転させながら、円筒状ガイド12と骨切削用リーマ1をガイド本体11に対してスライドさせることで、軸径方向にも切削を進めていくことができる。尚、このとき、スリーブ4によりラジアル荷重を受けるので刃部2はスムーズに回転可能である。
【0042】
<第1実施形態の効果>
以上、説明したように、第1実施形態に係る骨切削用リーマ1は、刃部2と、刃部2が先端に設けられた軸部3と、軸部3に回動可能に取り付けられた円筒状のスリーブ4と、を備える。
【0043】
この構成によると、軸部3がスリーブ4に対して回動可能であるので、刃部2の回転時において、当該スリーブ4が円筒状ガイド12に当接しても、軸部3の回転が妨げられることはない。これにより、骨切削用リーマ1の回転をスムーズに行うことができる。
【0044】
また、スリーブ4と円筒状ガイド12との間でも相対回転が可能であるため、骨切削用リーマ1の回転が更にスムーズになる。
尚、スリーブ4は、円筒状に形成されているので、ガイド部材として円筒状の円筒状ガイド12を用いる場合に限らず、矩形のガイド枠などを用いる場合でも、ガイド部材に当接したスリーブ4が当該ガイド部材に対して相対回転可能である。これにより、骨切削用リーマ1の回転をスムーズにすることができる。
【0045】
このように、スリーブ4の内周面と軸部3の外周面との間、及び、スリーブ4の外周面と円筒状ガイド12の内周面との間で、相対回転が生じうるため、例えば、異物の混入などにより、いずれか一方の相対回転が停止したとしても、他方の相対回転が停止しない限り刃部2の回転が妨げられることはない。
【0046】
また、スリーブ4は、樹脂で形成されているので、樹脂製のスリーブ4と金属性の軸部3との間の摺動、及び、樹脂製のスリーブ4と金属性の円筒状ガイド12との間の摺動がスムーズに行われる。これにより、刃部2の回転がスムーズになる。また、スリーブ4と軸部3との摩擦、及び、スリーブ4と円筒状ガイド12との摩擦により、磨耗粉が発生することを抑制できる。
【0047】
また、骨切削用リーマ1は、刃部2から離れる方向(軸方向基端側)へのスリーブ4の移動を拘束するように軸部3に固定されたロック部材5を備え、スリーブ4にフランジ部42が設けられている。
【0048】
この構成によると、骨切削用リーマ1を大腿骨100側に押し込むときに、フランジ部42が円筒状ガイド12に当接して、当該押し込み方向への骨切削用リーマ1の移動が規制されるので、刃部2で切削される深さが過度に深くなることを防止できる。
【0049】
ここで、スリーブ4は樹脂製であるため、金属製の円筒状ガイド12との間での摺動、及び、金属製のロック部材5との間での摺動はスムーズに行われ、磨耗粉を生じにくい。
【0050】
また、軸部3は、刃部2に近づく方向(軸方向先端側)へのスリーブ4の移動を拘束する凸部31aを有する。
【0051】
この構成によると、スリーブ4が移動して刃部2に接触することを防止できる。これにより、スリーブ4の損傷を防止できる。
【0052】
また、スリーブ4及びロック部材5が、ネジを用いずに軸部3に対して取り付けられているので、当該軸部3からスリーブ4及びロック部材5を容易に取り外すことができる。これにより、骨切削用リーマ1の洗浄が容易になる。
【0053】
また、ロック部材5は、ネジを用いずに構成されており、リング状部材51と係止部材52とバネ53とに分解可能である。そのため、ロック部材5の洗浄も容易になる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る骨切削用リーマについて説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る骨切削用リーマを示す断面図である。
第2実施形態の骨切削用リーマは、軸部3における中間軸部32の構成が上記第1実施形態と異なる。上記第1実施形態と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0055】
第2実施形態の中間軸部132には、上記第1実施形態と同様に、外周において、互いに平行となる一対の平面が形成されている。当該一対の平面には、それぞれ、軸方向と垂直な方向に延びる2本の溝132a及び溝132bが形成されている。当該2本の溝132a及び溝132bは、係止部材52が係合可能となるように形成されており、軸方向において所定の間隔を空けて並んでいる。
【0056】
この構成によれば、係止部材52を溝132aに係合させることもできれば、溝132bに係合させることもできる。これにより、ロック部材5の取付位置を軸方向において変化させることができる。
【0057】
即ち、刃部2に近い位置に形成された溝132aに係止部材52を係合させた場合(図8(a)参照)に比べ、当該溝132aよりも刃部2から離れた位置に形成された溝132bに係止部材52を係合させた場合(図8(b)参照)の方が、骨切削用リーマで切削できる深さが、深くなる。
【0058】
このように、第2実施形態の骨切削用リーマは、ロック部材5の軸方向における位置を調整できるので、状況に応じて、刃部2で切削する深さを所定の深さに調整することができる。
【0059】
また、係止部材52をバネ53に抗して付勢するだけで、容易にロック部材5の軸方向における位置を調整できるので、位置調整を迅速に行うことができる。
【0060】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
図9に、第1実施形態に係る骨切削用リーマ1の変形例を示す。
この変形例においては、ロック部材5における係止部材54の構成が第1実施形態の係止部材52(図3参照)と異なっている。
変形例の係止部材54は、軸部3を挟んで係合凸部54bとは逆側に、軸方向に貫通するピン挿入孔54cが形成されている。そして、リング状部材51を貫通して設けられるピン55が、ピン挿入孔54cに挿入されている。
当該ピン挿入孔54cは、ピン55が挿入された状態でも、バネ53による付勢方向において係止部材54が移動できるように形成されている。尚、係止部材54は、少なくとも係合凸部54bの突出長さに相当する幅よりも広い範囲で移動可能である。
そのため、係止部材54をバネ53の付勢力に抗して付勢することで、係合凸部54bの軸部3への係合を解除することができる。
また、この構成によれば、ピン55を取り外さない限り、係止部材54がリング状部材51から外れることはない。そのため、意図せずロック部材5が分解してしまうことを防止できる。
【0061】
尚、ピン55を用いる場合に限らず、ボルトをリング状部材51にねじ込み、ピン挿入孔54cに当該ボルトの軸を挿入した構成であってもよい。
【0062】
また、図10に示すように、第2実施形態に係る骨切削用リーマにおいても、同様に、ピン挿入孔54cが形成された係止部材54を用い、ピン55により係止部材54の抜けを防止することも可能である。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態に係る骨切削用リーマを示す全体斜視図。
【図2】図1に示す骨切削用リーマの分解斜視図。
【図3】図1に示す骨切削用リーマにおけるスリーブ近傍の断面拡大図。
【図4】骨切削用リーマによる切削方法を説明するための斜視図。
【図5】骨切削用リーマを円筒状ガイドに挿入した状態を示す斜視図。
【図6】図5に示す大腿骨、ガイド部材、及び骨切削用リーマの断面図。
【図7】骨切削用リーマで大腿骨を切削した状態を示す断面図。
【図8】(a)本発明の第2実施形態に係る骨切削用リーマの断面拡大図、及び(b)ロック部材の位置を変更した状態を示す断面拡大図。
【図9】第1実施形態の骨切断用リーマの変形例を示す図。
【図10】第2実施形態の骨切断用リーマの変形例を示す図。
【符号の説明】
【0065】
1 骨切削用リーマ
2 刃部
3 軸部
31a 凸部
4 スリーブ
42 フランジ部
5 ロック部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃部と、
当該刃部が先端に設けられた軸部と、
前記軸部に回動可能に取り付けられた円筒状のスリーブと、
を備える骨切削用リーマ。
【請求項2】
前記スリーブは、樹脂で形成されている請求項1に記載の骨切削用リーマ。
【請求項3】
前記刃部から離れる方向への前記スリーブの移動を拘束するように前記軸部に固定されたロック部材を備え、
前記スリーブにフランジ部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の骨切削用リーマ。
【請求項4】
前記ロック部材の軸方向における位置を調整可能である請求項3に記載の骨切削用リーマ。
【請求項5】
前記軸部は、前記刃部に近づく方向への前記スリーブの移動を拘束する凸部を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の骨切削用リーマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−131298(P2010−131298A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312028(P2008−312028)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(504418084)日本メディカルマテリアル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】