説明

骨髄内視鏡検査のための実装システム

本発明の1つの態様によれば、骨髄内視鏡検査で用いられる器具のための実装システム(40)が提供される。実装システム(40)は、骨(10)に機械的に固定されるように構成された配置システム(41)と、配置システム(41)に固定された少なくとも1つの器具ホルダ(45)とを備える。器具ホルダ(45)は、髄管内での骨形成術の際に用いられる1つまたはそれ以上の器具を保持するように構成されている。配置システム(41)は骨(10)に機械的に固定され、器具ホルダ(45)は配置システム(41)に固定される器具を保持するので、外科医は、両手を使って患者に対する手術を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組織および/またはグラウト剤を骨髄管から取り除くための内視鏡切除システムに関するものである。特定の実施形態では、本発明は、たとえば股関節の関節炎を治療するために、最初の股関節置換術または再度の股関節置換術の際、骨組織および/またはメチルメタクリル樹脂(骨セメント)などのグラウト剤を人間の大腿管から取り除く内視鏡切除システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
関節形成術とは、関節の一体性および機能をできる限り復元する外科手術である。人工関節は、たとえば進行した変性性関節炎を矯正するように形成される。
【0003】
股関節の重篤な関節炎を治療するための従来の手法は、大腿骨10の近位端11を内部切除し(図1参照)、よく似た形状を有する金属デバイスと置換することである。メチルメタクリル樹脂などの(骨セメント)スペーサまたはグラウト剤を用いて、金属製インプラントを大腿骨内に配置し、固定する。これは股関節全置換術と呼ばれている。
【0004】
金属製インプラントは、移植後数年経過すると、新しいものと交換する必要がある。グラウト剤(骨セメント)を大腿管から取り除く必要がある。これが特に、問題が多く、時間を要する面倒な作業となる。グラウト剤を取り除く作業は、大腿管の穿孔または大腿骨骨折のような重篤な症状(18%未満の割合)で必要となる。これまで骨セメントを取り除くためのさまざまなデバイスが提案されている。
【0005】
これまで、最初のおよび再度の股関節置換術において骨の骨髄管内に対する処置は手探りで行われてきた。ここで問題となるのは、大腿ステムの大きさが常に正確であるとは限らず、金属製インプラントを配置する前の骨髄管が必ずしも乾燥しているとは限らない点であった。股関節再置換術において、骨髄管の特に奥の方(遠位側)にあるグラウト剤を取り除くことはきわめて困難であった。
【0006】
髄内骨内視鏡検査、組織内視鏡検査、骨内視鏡検査、および骨髄内視鏡検査は、最近用いられている髄質管視覚検査および髄質管視覚システムを表現する同義語である。ロバートにより最初に提唱された用語である骨髄内視鏡検査は、長い骨の髄質管に対する内視鏡による視覚的検査を意味するものである。これまでの臨床的な経験のほとんどは、股関節形成術において、内視鏡により支援しながら、骨セメントを除去することに重点が置かれていた。椎弓根スクリュー配置術、コア減圧術(core decompression)、自家骨移植術、股関節置換術における管形成術、股関節置換術、長い骨の化膿性癒合不全の髄管検査術を支援するために、内視鏡が用いられる。
【0007】
いくつかのデバイスが提案されてきた。1999年にエム・ホルシュ(M. Porsch)が提案する1つの解決手段は、スイス・オルソクラスト(Swiss OrthoClast)社から市販されているオルソスコープ(Orthoscope)であり、これは、剛体の(rigid)カメラシステム21および別体のチゼルシステム(のみ装置)22を有する。図2の内視鏡切除システムの課題は、カメラシステムが長くて直線的なアーム23および重いカメラ部品24を有するため、2つの手を用いて操作する必要がある、すなわち補助者による操作が要求される点にある。さらに大腿骨骨幹軸(大腿骨シャフト)は多少湾曲するものの、ホプキンスレンズを用いた内視鏡は、レンズの光学的物理特性に起因して、常に十分な長さを有し、直線的である必要がある。大腿管の形状および直径は患者によって異なる。こうした硬い内視鏡は、特にチゼルシステム22に接近しているとき、湾曲させることはできず、きわめて脆弱である。よって、この内視鏡を用いて、大腿骨シャフトの下方で奥深い部分の良好な視野が得られない。
【0008】
2002年にエム・オベルスト(M. Oberst)が提案する別の解決手段(髄内骨内視鏡検査−IBE:Intramedullary Bone Endoscopy)が図3aおよび図3bに図示されている。中空の剛体チューブ31が骨内管に挿入される。剛体チューブ31の最先端部には、カメラシステム(ホプキンスレンズ)32が設けられている。把持用鉗子33および吸引チューブ34などの治具が剛体チューブ31内に導入される。この解決手段の課題は、人間工学的に使いづらい点である。
【発明の概要】
【0009】
本発明に係る実施形態の目的は、骨形成術のための良好な内視鏡切除システムを提供することにある。この目的は、本発明に係るデバイスおよび方法により実現することができる。
【0010】
本発明に係る第1の態様によれば、骨髄内視鏡検査で用いられる器具のための実装システムが提供される。この実装システムは、骨に機械的に固定されるように構成された配置システムと、配置システムに固定された少なくとも1つの器具ホルダとを備え、器具ホルダは、髄管内での骨形成術の際に用いられる1つまたはそれ以上の器具を保持するように構成されるものである。
【0011】
配置システムは骨に機械的に固定され、器具ホルダは配置システムに固定される器具を保持するので、外科医は、両手を使って患者に対する手術を行うことができる。これは、外科医が一方の手を使って内視鏡を保持して配向させる必要がある、先行技術に係るデバイスとは異なるものである。これは、補助者が内視鏡を保持するか、たとえばベッドやこれに固定されたフレームなど、患者の一部を構成しない固定した支持体に内視鏡を固定する必要がある、その他の先行技術に係るデバイスとは異なるものである。
【0012】
本発明の第1の態様に係る実装システムにおいては、配置システムは、髄管に固定されるように構成されたばねシステムであってもよい。
【0013】
択一的な実施形態においては、配置システムは、骨の上に固定されるように構成された把持部であってもよい。また把持部は、転子上に戴置されるように構成されたものであってもよい。
【0014】
さらに択一的な実施形態においては、配置システムは、骨にピン留めするように構成されたピン留めシステムであってもよい。
【0015】
本発明の実施形態に係る実装システムは、容易に取り付け、容易に取り外すことができ、骨に損傷を与えないようすることができる。
【0016】
本発明に係る第2の態様によれば、本発明に係る第1の態様の任意の実施形態に係る実装システムと、髄管内を視覚化する内視鏡とを有する内視鏡切除システムが提供される。
【0017】
こうした内視鏡切除システムは、侵襲性を極力抑えた医療手術を実現することができるという利点がある。
【0018】
本発明の実施形態に係る内視鏡切除システムにおいて、内視鏡は可撓性内視鏡である。こうした内視鏡は可撓性を有するので、完全に直線的ではない骨の髄管内で使用することができる。特定の実施形態では、可撓性内視鏡は、外科手術の際、内視鏡を保護するためのスリーブを有していてもよい。このように内視鏡を引っ掻き傷またはその他の損傷から保護することができる。これらのまたはその他の実施形態では、スリーブは、湾曲させたときに記憶機能を有するものであってもよく、たとえば形状記憶材料で構成してもよい。
【0019】
本発明の実施形態に係る内視鏡切除システムは、吸引チューブをさらに有するものであってもよい。こうした吸引チューブは、たとえば血液、髄液、水などの流体を除去するために用いられる。
【0020】
本発明の実施形態に係る内視鏡切除システムは、たとえば把持デバイス、ドリル、チゼルデバイスなどの動力源付デバイスまたは非動力源付デバイスを有していてもよい。
【0021】
本発明に係る第3の態様によれば、整形外科手術、膝手術、上腕部手術、股関節形成術などの股関節手術、骨盤手術、その他の人間もしくは動物の患者の骨形成術において、本発明に係る第1の態様に係る実装システムを使用する方法、または本発明に係る第2の態様に係る内視鏡切除システムを使用する方法を使用する方法を提供するものである。
【0022】
本発明に係る第4の態様によれば、股関節手術における可撓性内視鏡を使用する方法を提供するものである。この使用方法は、本発明に係る第1の態様の実施形態に係る実装システムを使用することを含み得る。
【0023】
本発明に係る第5の態様によれば、骨形成術を実施するための、侵襲性を極力小さくする方法が提供され、この方法は、骨に配置システムを機械的に固定するステップと、器具ホルダが配置システムに固定され、骨形成術の際に用いられる1つまたはそれ以上の器具を器具ホルダに固定するステップとを有するものである。
【0024】
本発明の特定のおよび好適な態様が、添付する独立クレームおよび従属クレームに記載されている。従属クレームの特徴は、適当ならば、独立クレームの特徴または他の従属クレームの特徴と組み合わせてもよく、そのような組み合わせは単にクレームに記載されていないだけである。
【0025】
先行技術に対して実現される発明および利点を要約するために、本発明のいくつの特定の実施形態および利点を上述のとおり説明した。当然に、本発明の特定の各実施形態に関する、必ずしもすべての目的または利点を実現するものでなくてもよいと理解する必要がある。すなわち、たとえば当業者ならば、ここで教示され、示唆された他の目的または利点を実現することなく、ここで教示された1つまたは一連の利点を実現または最適化するような手法で、本発明を具現化し、実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】人間の体の大腿部の骨、大腿骨を示すものである。
【図2】スイス・オルソクラスト・システムとして知られた従来技術に係る内視鏡切除システムを示すものであり、剛体のカメラシステムおよび別体のチゼルシステムを有する。
【図3】(a)は別の先行技術に係る内視鏡切除システムおよび髄内骨内視鏡検査(IBE)を示し、髄内骨内視鏡検査は剛体のチューブを有し、その内部に手術器具が案内され、(b)は(a)に示す内視鏡切除システムの先端部の拡大図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る実装システムを示すものである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る実装システムを示すものである。
【図6】図5の拡大斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る実装システムを示すものである。
【図8】本発明の実施形態で用いられる器具ホルダの実施形態の詳細を示すものである。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る手術前状態にある実装システムを示すものである。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る手術中状態にある実装システムを示すものである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る、髄管内に配置された実装システムの平面図である。
【図12】(a)は堅い内視鏡を示し、(b)は本発明の実施形態に係る可撓性内視鏡を示し、堅い内視鏡を用いた場合より可撓性内視鏡を用いたときの利点を示すものである。
【図13】本発明の実施形態に係る実装システムとともに用いられる保護スリーブ内に設けられた、特別の実施形態に係る可撓性内視鏡を示す。
【図14】本発明の実施形態に係る実装システムとともに用いられる、択一的な実施形態に係る可撓性内視鏡を示す。
【図15】本発明の実施形態に係る内視鏡に固定されたカメラシステムを示す。
【図16】本発明のさらなる実施形態に係る実装システムを示す。
【図17】本発明のさらなる実施形態に係る実装システムを示す。
【図18】本発明のさらなる実施形態に係る実装システムを示す。
【図19】本発明のさらなる実施形態に係る実装システムを示し、内視鏡は器具ホルダを介して配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
上述の図面は概略的なものに過ぎず、限定的なものでもない。これらの図面において、理解しやすくするために、いくつかの構成部品の寸法は、誇張され、実寸大で表されたものではない。
【0028】
クレーム中の参照符号は、その権利範囲を限定するものと解釈すべきではない。さまざまな図面において、同一の参照符号は、同一または類似の構成部品を参照するものとする。
【0029】
本発明の詳細な説明は、内視鏡により支援された股関節置換術に関し、より具体的には、股関節形成術に関する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではなく、人間の上側四肢すなわち上腕部など、人間および動物の髄管を有する他の骨に関する内視鏡支援による骨形成術をも含むものである。本発明の実施形態は、たとえば骨感染症(骨髄炎)、骨折の処置および固定、骨梗塞(骨壊死)の治療、腫瘍性疾患および全身性疾患の処置および固定、切断術後の再生形成術、ならびに人間または動物の骨の代わりに技術的デバイスを用いた再生形成術などの非解剖学的な再生形成術など、さまざまなタイプの骨形成術に用いることができる。
【0030】
大腿近位部または大腿骨10(図1)は、本発明の実施形態に係る内視鏡支援による骨形成術の際の施術すべき基体である。図1に示すように大腿骨10の上側端部(近位端)は、大腿骨頭11、大腿骨頚12、大腿骨大転子13、および大腿骨小転子14を有し、大転子13および小転子14は、大腿骨体15と大腿骨頚12との接続部に配置されている。
【0031】
最初に行う股関節置換術(完全股関節全置換形成術)の際、大腿骨頭11が大腿骨10から切除され、チゼル治具などの適当な器具を用いて、大腿骨内の髄管(図1では図示せず)を開口する。その後、大腿骨頭は適当な形状を有する金属デバイスなどの移植デバイスと置換される。メチルメタクリル樹脂(骨セメント)などのスペーサまたはグラウト剤を用いて、移植デバイスを設置し、髄管内に固定する。股関節再置換術の際にも同様の施術が行われ、大腿骨内の髄管を開口するときには、過去に充填したグラウト剤が取り除かれる。
【0032】
本発明に係る実施形態によれば、内視鏡により支援された手法を用いて、大腿骨内の髄管を形成することにより、股関節再置換術の際に生じ得る大腿骨の骨折または貫通などの数多くの不具合を低減することができる。
【0033】
本発明の実施形態によれば、骨形成術に用いられる器具を実装するための実装システムを提供することができる。実装システムは、概略、大腿骨などの骨に機械的に固定されるように構成された配置システムと、配置システムに固定される器具ホルダを有し、器具ホルダは、骨形成術の際に用いられる1つまたはそれ以上の器具を髄管内に保持するように構成されている。
【0034】
本発明の第1の実施形態に係る実装システム40が図4に図示されている。図4は、大腿骨頭が切除された大腿骨の一部破断断面図である。一部破断断面図を示すことにより、髄管47が見えるようになっている。
【0035】
実装システム40は、骨10に機械的に固定される配置システム41を有する。図示された実施形態において、配置システム41は、開口した骨の上側部分を把持するように構成された形状を有するクリップであって、特別の実施形態では大転子13の上方を把持するように構成された形状を有するクリップである。したがってクリップ41は、背部42と2つの脚部43,44を有する。背部42は、開口した骨の上側部分の上または僅かに上方に戴置され、たとえば大転子13上または大転子13の僅かに上方に戴置される。2つの脚部43,44は、開口した上側部分の上方、たとえば大転子13の上方であって、骨のいずれか一方の側面を把持するものである。これは、一方の脚部43が骨10の外側に配置され、他方の脚部44が骨10の内側に配置されることを意味する。骨10の内側、すなわち髄管47内にある脚部44は、髄管47の内壁にできるだけ近接して配置されるような形状を有し、内壁に実装され、器具を髄管47内に挿入する上でできる限り広い空間を形成することが好ましい。本発明の特別の実施形態において(図4では図示せず)、脚部44は、できる限り小さいスペースを占有するように平坦な形状を有していてもよい。
【0036】
また実装システム40は、配置システム41に固定された器具ホルダ45を有する。本発明に係る実施形態において、器具ホルダ45は配置システム41の背部42に固定してもよい。択一的な実施形態では、器具ホルダ45は配置システム41の一方の脚部43,44に固定してもよい。図4に実施形態において、器具ホルダ45は、内視鏡46を収容するように構成されたチューブ、たとえば円筒形状を有するチューブである。この内視鏡46は固定式の内視鏡であってもよい。内視鏡46はズーム機能を有するものであってもよい。図4に示す実施形態において、内視鏡46は髄管47の上面にのみ存在するが、その性能が相当に良好なものであれば、十分な品質の画像を外科医に提供することができる。図4に示す実施形態において、内視鏡46は、第2の脚部44を有するが、必ずしも必要ではない。内視鏡46から離れた方の脚部43は必要である。図19に示すような択一的な実施形態では、たとえば可撓性の内視鏡を、外科医が髄管47の深さの実質的に全体を視認して作業する上で必要な程度に深く髄管47内に骨10の外側から器具ホルダ45を通して挿入する。
【0037】
図4および図19に示す実施形態において、器具ホルダ45は、内視鏡を受容するように構成された円形状チューブである。図示しないが、択一的な実施形態においては、器具ホルダは、把持デバイスまたは一対のペンチなどの別のタイプのものであってもよい。これにより、複数の異なる径を有する内視鏡すなわち可撓性内視鏡を、異なる供給源から受容し、これらを把持し、所定位置に固定することができる。
【0038】
本発明の別の実施形態に係る実装システム160が図16に図示され、平面図(図16の上側図面)および正面図(図16の下側図面)の両方に図示されている。実装システム160は、骨に機械的に固定されるように構成された配置システム161を有する。この特別の実施形態では、配置システム161は、大転子13上に引っ掛けられるなどして、戴置されるように構成されたクランプ(把持部)である。さらに実装システム160は、配置システム161に固定された少なくとも1つの器具ホルダ162を有し、器具ホルダ162は、外科手術中に髄管47内で用いられる1つまたはそれ以上の器具を保持するように構成されている。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態に係る実装システム170が図17に図示され、平面図(図17の上側図面)および正面図(図17の下側図面)の両方に図示されている。実装システム170は、骨に機械的に固定されるように構成された配置システム171を有する。この特別の実施形態では、配置システム171は、骨の周囲に設置されるように構成されたクランプ(把持部)またはクリップ(留め具)である。さらに実装システム170は、配置システム171に固定された少なくとも1つの器具ホルダ172を有し、器具ホルダ172は、外科手術中に髄管47内で用いられる1つまたはそれ以上の器具を保持するように構成されている。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態に係る実装システム180が図18に図示され、平面図(図18の上側図面)および正面図(図18の下側図面)の両方に図示されている。実装システム180は、骨に機械的に固定されるように構成された配置システム171を有する。この特別の実施形態では、配置システム181は、骨の壁部、とりわけ髄管47の側壁の上方にクランプ(把持)またはクリップ(留め止め)するように構成されたクランプ(把持部)またはクリップ(留め具)である。さらに実装システム180は、配置システム181に固定される少なくとも1つの器具ホルダ182を有し、器具ホルダ182は、髄管47内での骨形成手術で用いられる1つまたはそれ以上の器具を保持するように構成されている。
【0041】
本発明のさらに別の実施形態に係る実装システム50が図5に図示されている。この実装システム50は、骨に固定され、図5に示す実施形態では大腿骨1の大転子13に機械的に固定されるように構成された配置システム51を有する。図5に示す実施形態では、機械的に固定されるように構成された爪部または爪状先端部52が設けられ、骨の内部の所定位置に機械的に固定されている。図示しないが、択一的な実施形態では、配置システム51は、配置システム51を骨10内にねじ止めできるように、ねじ山付端部を有していてもよい。さらに実装システムは器具ホルダ53を有する。図5に示す実施形態では、器具ホルダ53は、内視鏡54などの器具が少なくとも部分的に貫通できるような形状および寸法を有するように構成されたリング部分を有する。内視鏡54は、器具ホルダ53で支持されるように構成されたリブ55を有し、器具ホルダ53は内視鏡54などの器具を所定位置に固定することができる。これは、図6において、より詳細に図示されている。
【0042】
図5に示す実施形態において、器具ホルダがアーム56上に取り付けられている。器具ホルダ53のアーム56および配置システム51は、ピボットポイント57で互いに機械的に固定されている。これは、配置システム51および器具ホルダ53のアーム56がピボットポイント57の周りで互いに対して回転することができるということを意味する。図示された実施形態において、器具ホルダ53のアーム56と配置システム51とが、鋏のようなデバイスを形成している。2つの連結ストラップの半分(片割れ)部分が、配置システム51と器具ホルダ53のアーム56との間に設けられ、第1の連結ストラップの半分部分58が配置システム51の上に設けられ、第2の連結ストラップの半分部分59が器具ホルダ53のアーム56の上に設けられている。図示された実施形態において、連結ストラップの半分部分58,59には、鋸歯状の表面が形成されている。連結ストラップの半分部分58,59は、互いに向かい合った鋸歯状表面が形成され、配置システム51に対して器具ホルダ53のアーム56を固定した位置に配置することができる。これらの鋸歯状ストラップ半分部分58,59により、器具ホルダ53を髄管47に対して正確な位置に配置し、器具ホルダ53に取り付けられる器具を髄管47に対して正確に固定することができる。
【0043】
図示しない別の実施形態では、鋸歯状表面で実現するのではなく、第1のストラップ半分部分にはスリットを設け、第2のストラップ半分部分にはスクリューおよび蝶ナットなどのナットを設けて、第2の連結ストラップ半分部分のスクリューが第1の連結ストラップ半分部分のスリットを貫通させることにより、第1および第2の連結ストラップ半分部分を取り付けることができる。ナットをスクリュー上で締め付けることにより、器具ホルダ53の固定位置を、配置システム51に対するアーム56の固定位置で決定することができる。
【0044】
本発明の第3の実施形態に係る実装システム70が図7に図示されている。この実施形態に係る実装システム70は、金属ばね等のばねとして具現された配置システムを有する。このばねは、開口上面の髄管の内部に導入され、その復元力により上方位置である実質的には所定位置で維持される。したがって、ばねが髄管内に固定されるように構成される。任意ではあるが、ばね71が髄管内に深く挿入されないようにするため、ばねに力が加わるとき、器具が髄管47内に挿入されるので、貫通チャンネル壁部を形成する骨の一部の上に戴置されるように構成された係止部品(bridging piece)73をばね71の側面に設けてもよい。任意ではあるが、係止部品73は、チャンネル壁部を形成する骨の一部の上方を把持するものであってもよい。
【0045】
少なくとも1つの器具ホルダ72がばね71上に設けられる。図7に示す実施形態では、器具ホルダ72は、内視鏡74および/または吸引チューブ75などの1つまたはそれ以上の器具を内部保持することができるリングまたはリング部分からなる。択一的な実施形態では、器具ホルダ72は、内視鏡74および吸引チューブ75等の器具を保持するために、配置システム71に固定された複数のリングを有していてもよい。1つまたはそれ以上のリング72の代わりに、図8で詳細図示されたような1つまたはそれ以上のリング部分80を用いることができる。利用される器具の形状に左右されるが、器具ホルダは、リングまたはリング部品とは異なる形状を有していてもよい。配置システムは、たとえば正方形、矩形、多角形、楕円、または他の任意の適当な形状を有していてもよい。特別の実施形態では、配置システムは、開口面を有する上記任意の形状を有するものであってもよい。図8に示す実施形態において、器具ホルダは、吸引チューブを保持するための固定クリップである。図8に示す実施形態において、内視鏡74は存在するが、保持するためのリングは図示されていない。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態に係る実装システム90が図9および図10に図示されている。
【0047】
この実装システム90は、骨に機械的に固定されるように構成された配置システム91を有する。とりわけ図示された実施形態では、配置システム91は、湾曲させたワイヤ、特定の形状に湾曲させたワイヤであって、たとえば金属製のワイヤである。ワイヤ91には、たとえば爪部などのピン止めデバイスを用いて、骨に固定できるようにループ92が設けられている。ワイヤ91を湾曲させて、髄管47(図9および図10では図示せず)の周囲にある骨により形成された管壁によって支持されるように構成されたアーム94を形成してもよい。ワイヤ91をさらに湾曲させて、1つまたはそれ以上の器具を保持するための器具ホルダのループまたはフック95を形成してもよい。器具ホルダの複数のループまたはフック95は、単一の配置システム91上に設けてもよい。ワイヤは、所定位置にあるとき、処置すべき骨にワイヤを適合させるために、外科医により変形させることができるようなものであってもよい。
【0048】
図11は、中空の骨の平面図であって、本発明の第3の実施形態に係る実装システム70が固定されたものの平面図である。これは一例に過ぎないが、用いられる実装システムは、本発明の実施形態に係る任意のタイプの実装システムであってもよい。実装システム70は、図示された実施形態においては、ばね(spring)である配置システム71を有し、復元力を用いて骨に機械的に固定されている。また実装システム70は、内視鏡74を保持するための第1の器具ホルダ72と、吸引デバイス75を保持するための第2の器具ホルダ80とを有する。本発明の実施形態に係る実装システム70または他の任意の実装システムを用いることにより、内視鏡74および/または吸引デバイス75は所定位置に保持され、外科医は、自らの手でこれらの器具を保持する必要なく、外科手術を行うことができる。さらに髄管47の内壁に対向して器具を固定できるので、十分な利行スペースを確保することができる。図11で図示された実施形態において、内視鏡74の配置位置Aは、理想的な作業スペース領域からは外れ、髄管47内の良好な視野が得られるため、内視鏡の理想的な配置領域である。特定の配置位置は患者に依存する。理想的な吸引領域Aは、髄管47の側方にあり、理想的な作業スペース領域からは外れ、血が重力により大腿骨シャフトの底部(フロア部)上に集まるため、髄管47の側方領域にある。配置位置Cは、剛体の器具にとって髄管47内に対して実質的に真っ直ぐであり、ほとんどの既存のツールを用いる利用することができるので、理想的な作業スペース領域である。実装システムを、たとえば爪部などの固定手段を用いて大腿骨に固定する必要がある場合、大転子は、骨の容積が大きいという観点からして最良の固定部位となる。
【0049】
図11により図示および/または図11を用いて記載された実施形態の利点は、内視鏡を固定して、外科医はハンズフリーで作業することができるという点にある。内視鏡を最適な位置に配置することができるならば、他の器具との干渉が起こることはない。内視鏡により、外科医および補助者の作業が妨害されることはない。
【0050】
本発明の実施形態に係る実装システムは、たとえばプラスティック等の軽量材料で構成してもよい。特別の実施形態では、たとえば1回限り使用可能な廃棄処分可能なものであってもよい。
【0051】
本発明の特別な実施形態では、用いられる内視鏡は可撓性を有するものであってもよい。内視鏡の形状は、骨の解剖学的管腔に適合したものであってもよい。可撓性内視鏡を用いたときの利点が図12に図示されている。図12(a)は、従来技術として知られた堅い内視鏡120が髄管47内に挿入される大腿骨10を図示している。図面から明らかなように、大腿骨10は完全に直線的でないので、堅い内視鏡120は髄管47内の一定の限定的な深さまでしか挿入することができない。さらに、こうした堅い内視鏡120は、髄管47の内部において多くのスペースを占有する。一方、可撓性内視鏡121を用いたとき、図12(b)に示すように、内視鏡121は、弓なりになって、髄管47の底部に届くような形状を有することができる。さらに、可撓性内視鏡121は、髄管47の内壁に対向して配置されるような形状とすることができるので、内視鏡自体の占有スペースを低減し、外科医にとっての自由な作業スペースを確保することができる。可撓性内視鏡として、たとえば30cm〜50cmの長さを有する光ファイバか、先端部にチップを有するチップ・オン・ティップ腹腔鏡(chip-on-tip laparoscope)を用いることができる。これらの実施形態は、外科医がカメラヘッドを保持し、支持する必要がないという点で利点がある。
【0052】
特別の実施形態において、たとえば図13に示すように、可撓性内視鏡121は、骨形成手術中にチゼル治具および高速バー(high speed burrs)などの鋭く侵襲性の高い器具、または手荒な操作によるたとえば引っ掻き傷から保護することができる。可撓性内視鏡121の周囲にある保護スリーブ130を用いて、こうした損傷から保護される。保護スリーブ130は、血液、水、および/または消毒剤に対して保護するように構成してもよい。特別の実施形態においては、保護スリーブ130は、可撓性内視鏡121の周囲に設けた金属ワイヤなどのワイヤからなる。ワイヤが湾曲に対する記憶機能を有する場合、たとえば湾曲させることにより、内視鏡121の形状を整えることができる。こうして上述のように、弓なり状の髄管47の内壁に沿ってワイヤを配置することができる。スリーブを用いて可撓性内視鏡を保護することは、整形外科手術の利用において特に有用である。
【0053】
たとえば図14に示す特別の実施形態において、レンズ141を洗浄するための洗浄システム140を、内視鏡121の先端部に配設してもよい。1つの実施形態は、フラッシュ・システム(flushing system)であり、水を勢いよく流し、吸引し、そして乾燥させる手段を有する。特別の実施形態において、断続的にのみ水を勢いよく流す。択一的な実施形態では、こうした洗浄システムは、たとえば空気またはCOを吹き付けるガスブローシステムを有し、任意的には、可撓性内視鏡121の周囲にある保護スリーブ142内に構成してもよい。
【0054】
本発明の特別の実施形態において(図示せず)、たとえば血液などの液体を取り除いて髄管内を洗浄するために、吸引システムなどの洗浄システムを内視鏡の先端部に設けてもよい。この場合においても、髄管内を洗浄するための洗浄システム(たとえば図11に示す別体の吸引チューブなど)とは異なる洗浄システム、つまり内視鏡の先端部に設けた髄管洗浄を行うもの(吸引システム)とは異なる、内視鏡のレンズ141を洗浄するための洗浄システム(たとえば図14を用いて説明した空気ブローシステムなど)を設けることは有意義である。髄管47の内側の視認性を低減させるような液体内に内視鏡を浸漬させる必要があるためである。
【0055】
図14に示す特別の実施形態において、保護スリーブ142内に複数の光源143を設けて、記録すべき視野に光を当てて、および/または内視鏡121のレンズの前方に光を向けることができる。
【0056】
図15に示すように、カメラ150を可撓性内視鏡121の一方の先端部に配設してもよい。内視鏡121の前方先端部とカメラ150との間に、光ケーブルを設けてもよい。
【0057】
本発明の1つの態様によれば、たとえば図11に示すような内視鏡による切除システムを提供することができ、この内視鏡切除システムは、本発明の実施形態に係る任意の実装システムのうちの1つの実装システムであって、たとえば図示された第3の実施形態に係る実装システム70と、髄管47内を視覚化する内視鏡74とを備える。内視鏡74は、たとえば図13、図14、または図15に示すような可撓性内視鏡であってもよい。こうした内視鏡切除システムは、たとえば股関節形成術など、とりわけ内視鏡により支援された骨形成術において、侵襲性を極力抑えた外科手術を実現することができる。
【0058】
本発明の実施形態に係る切除システムとともに用いられる理想的な内視鏡は、次に挙げる特徴のうちの1つまたはそれ以上の特徴を有する。すなわち、その特徴とは、最大の作業スペースを確保するため、内視鏡の直径が微小であること、高品位画像を提供すること、可撓性を有すること、軽量であること、経済的であること、外科医が手術のために両手が使えるようにハンズフリーで使用できること、自動穿孔可能であること、整形外科手術用として耐性を有すること、傷が付きにくいこと、方向性を見失わないように前方指向性を有すること(0°レンズ)、および/または、あまりにも高額でないことである。
【0059】
内視鏡切除システムは、たとえば血液などの流体を取り除くための吸引チューブ75(図7参照)を有する。
【0060】
本発明の実施形態において、内視鏡切除システムは、一例として、これに限定しないが、チゼル器具やドリルなどの電動デバイスを有していてもよい。
【0061】
本発明の実施形態に係る内視鏡切除システムは、骨外科手術において、一例として、これに限定しないが、髄管に対する手術、たとえば股関節置換術の際に利用することができる。
【0062】
実験的な外科手術において、患者を側位に寝かせた。大腿骨の寸法測定および位置ずれは、アセテート・テンプレートを用いて前後方向および水平方向の両方から撮像した術前X線画像に基づいて決定した。すべての患者に対して、最小限の非侵襲性の前外側X線照射を用いた。
【0063】
大腿骨ネック部を切除した後、丸い先端部を有するシャーンリー・オール(Charnley awl)を用いて、髄管を開口した。標準的な利用可能な抜髄針(broaches)(メンフィス州にあるスミス&ネヒュー社のスペクトロン)を用いて、抜髄針が十分に安定的に回転できるようになるまで、大腿骨の髄管を徐々に広げる。大腿骨髄管の吸引は、オールを挿入し、各抜髄針を挿入した後に、血液および髄液を髄管から除去して髄管内の視認性を改善するために行った。試行的に除去した後、抜髄針を抜き取り、汎用的なセメント規制装置(cement restrictor)(メンフィス州にあるスミス&ネヒュー社のプレップ−IMキット)を挿入した。第3世代のセメントに関する従来式ステップは、すべての患者に対して用いた。ボーン・ベッドの形成には、研磨、生理食塩水を用いたパルス・ラベージ(pulsed lavage)、大腿骨セメント挿入前に20〜60秒間、吸引と同時に髄管充填止血栓(メンフィス州にあるスミス&ネヒュー社のプレップ−IMキット)を伴うものであった。
【0064】
ゲンタマイシン充填パラコス(Gentamycine loaded Palacos)(ドイツのヘラウス・メディカル)をすべての事案において用い、髄管の逆行充填用セメントガンを用いた。直径10mmで、0°の前方方向視野の腹腔鏡(ドイツのストロッツ、Strotz, Germany)を選択して内視鏡検査を行った。髄管内で処置すると同時に髄管の内部を検査するために、内視鏡検査は大転子の内側側面にて実施された。使用した装置は、トリニトロンモニタ(ソニー製の型番PVM20M2MDE)、シュトルツカメラ(TELECAM 20212030, カール・シュトルツ)、制御ユニット(TELECAM SL Pal 20212020, カール・シュトルツ)、冷光源(XENON NOVA 20131520, カール・シュトルツ)、グラスファイバ導光ケーブル(495NCS, カール・シュトルツ)、および複数のホプキンス・レンズからなる。直径5mmおよび10mmの0°の前方方向視野の腹腔鏡(型番:26006AA and 26003AA)と、直径5mmの30°の前方斜め方向視野の腹腔鏡(型番:28031BA)を有するカール・シュトルツ製のレンズを用いた。
【0065】
内視鏡による検査内容はビデオテープおよびビデオプリントに記録されている。大腿骨髄管は、10時から2時の間の方向にあるルーフ部、2時から4時の間および8時から10時の間にある2つの側壁部、および4時から8時の間の方向にあるフロア部からなる4つの領域に分割される。大腿骨骨髄の内視鏡検査は、6つの異なる段階により行われた。すなわち内視鏡検査は、シャーンリー・オールを挿入し、最後の抜髄針(broach)を挿入し、研磨し、パルス・ラベージし、吸引と同時に髄管充填止血栓を行い、最後に、セメントを挿入した。髄管内の洗浄度および髄管内の出血は、完全に乾燥した海線骨を有するグレード0の髄管から動脈髄内出血を伴うグレード3の髄管まで4段階に標準化した(表1)。
[表1]

【0066】
髄管内の動脈からの出血に対しては、標準的なジアテルミ先端部のような長い先端部を用いて対処した。
【0067】
臨床的なデータ収集に際しては、オルソウェーブ(Orthowave、登録商標)ソフトウェアを用いた。
【0068】
ノンパラメトリック反復測定分析ANOVA、反復ダネット多重比較検定を用いて統計分析を行った。追跡調査可能な178名(女性68%、男性32%)からなる患者の母集合のうち、92名(51%)の患者が右側を、86名(49%)の患者が左側について手術を受けた。
【0069】
股関節全関節形成術の適応症は、股関節の変形性関節症(102症例、57.3%)と、股関節の骨頭下骨折(60症例、33.7%)、大腿骨ヘッド部の骨壊死(9症例、5.1%)、リウマチ性関節炎(4症例、2.2%)、および上記以外の不特定症状(3症例、1.7%)であった。
【0070】
次のステップを含む外科施術が行われた。患者を横臥位状態に寝かせた。前外側の側方(ハーディング)手法を用いた。筋肉の切開および股関節の切開の後、複数の組織(cultures)が取り除かれ、切除されたメンブレンおよび髄管から複数の組織が収集された。移植およびセメント除去のために、次の一連の手術ステップを用いた。
1.ステムを取り外すことができるように、大転子とプロテーゼの肩部の間のセメントを除去する。
2.取り外し治具を用いて移植ステムを取り外す。
3.既存のセメント外套膜を内視鏡を用いて評価する。
4.さまざまな寸法と厚みを有する狭小骨刀およびチゼルを用いて、届く範囲の近位側にあるセメントをできる限り取り除く。
5.さまざまな把持器具を用いて、骨幹端セメントを半径方向および長手方向に分割して、取り除く。この段階で、10mmの腹腔鏡を追加的な光源として用いる。
6.内視鏡を用いた制御のもと、螺旋超音波ツールを配置する。
7.超音波を用いて遠位セメント栓に穿孔する。
8.パルス・ラベージを用いて髄管を洗浄し、洗い流した後、5mmの腹腔鏡を用いて栓穿孔を検査する。
9.大腿骨の遠位端部内にボールの付いたガイドワイヤを侵入させる。
10.画像増強管を用いてガイドワイヤを配置する。
11.標準的な可撓性カニューレ付の低圧髄内リーマを用いて0.5mmずつセメントマントルの径を広げる。
12.超音波駆動キュレットを用いて、側壁に残存するセメントを除去する。
13.セメントを完全に除去した後、内視鏡を用いて、髄管に沿った膜をきわめて慎重に掻爬(キュレットで挟み)する。
14.セメントを用いないステムを遠位固定と置換する前には、内視鏡を用いた制御のもと、遠位大腿骨の径の大きさおよび寸法決定を決定する。
【0071】
腹腔鏡を用いた場合、本発明の実施形態に係る実装システムは、腹腔鏡を固定するために用いられ、ハンズフリーで用いることができ、外科医は施術するのに両方の手を使うことができる。
【0072】
標準的な装置を用いて骨髄内視鏡検査を行う場合、レンズ角が0°で径が5mm〜10mmの腹腔鏡が最善の選択である。傾斜したレンズを用いた内視鏡を用いると、器具が髄内で不正確な方向に配置され、骨を貫通させてしまうリスクが増大する。
【0073】
骨内視鏡術が実施されるとき、いずれの用途においても、本発明の実施形態に係る実装システムおよび本発明の実施形態に係る内視鏡切除システムを採用することができる。上述のように、本発明の実施形態に係る方法およびデバイスは、関節形成術において用いることができる。択一的には、壊れた器具および/または爪部を髄管から回収するため、骨折治療のために、本発明の実施形態に係るシステムを動的な股関節スクリュー置換術に利用することができる。これらの処理は、侵襲性を極力抑えつつ実施できるという利点がある。
【0074】
本発明は、添付図面に図示し、上記明細書で詳細に説明したが、こうした図面および説明は、説明するためだけのものであるか、例示的なものであって、限定的なものと解釈すべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。
【0075】
開示された実施形態のその他の変形例は、当業者ならば、図面、明細書の開示内容、および添付したクレームを参照すれば理解され、実施することができる。クレームにおいて、「備える(comprising)」なる用語は、他の構成要素またはステップを排除するものではなく、「ある(a,an)」なる不定冠詞は複数であることを妨げない。単一のプロセッサまたはその他のユニットは、複数のクレームに複数回引用された機能を満たすものである。複数の特定の測定結果が互いに異なる従属クレームにおいて引用されるという事実だけでは、これらの測定結果の組み合わせが利点を有するということを示唆するものではない。クレーム中の任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0076】
上記説明は、本発明の特定の実施形態を詳述するものである。しかしながら、本発明は、上記において如何に詳細に説明されていようとも、数多くの手法により実現されるという点について理解されたい。本発明の特定の特徴または態様を記述するときに用いられた特定の用語は、これらに関連する本発明の任意の特別な特徴または態様を含むものとして限定して定義されたことを示唆するものではない点に留意されたい。
【符号の説明】
【0077】
10…大腿骨、11…大腿骨頭、12…大腿骨頚、13…大腿骨大転子、14…大腿骨小転子、15…大腿骨体、40…実装システム、41…配置システム(クリップ)、42…背部、43,44…脚部、45…器具ホルダ、46…内視鏡、47…髄管、50…実装システム、51…配置システム(爪部)、52…爪状先端部、53…器具ホルダ、54…内視鏡、55…リブ、56…アーム、57…ピボットポイント、58,59…連結ストラップの半分部分、70…実装システム、71…ばね、72…器具ホルダ、73…係止部品(bridging piece)、74…内視鏡、75…吸引チューブ、80…リング部分、90…実装システム、91…配置システム、92…ループ、94…アーム、95…フック、121…内視鏡、130…保護スリーブ、140…洗浄システム、141…レンズ、143…光源、150…カメラ、160,170,180…実装システム、161,171,181…配置システム、162,172,182…器具ホルダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄内視鏡検査で用いられる器具のための実装システムであって、
骨に機械的に固定されるように構成された配置システムと、
配置システムに固定された少なくとも1つの器具ホルダとを備え、
器具ホルダは、髄管内での骨形成術の際に用いられる1つまたはそれ以上の器具を保持するように構成されていることを特徴とする実装システム。
【請求項2】
請求項1に記載の実装システムであって、
配置システムは、髄管に固定されるように構成されたばねシステムであることを特徴とする実装システム。
【請求項3】
請求項1に記載の実装システムであって、
配置システムは、骨の上に固定されるように構成された把持部であることを特徴とする実装システム。
【請求項4】
請求項3に記載の実装システムであって、
把持部は、転子上に戴置されるように構成されたことを特徴とする実装システム。
【請求項5】
請求項1に記載の実装システムであって、
配置システムは、骨にピン留めするように構成されたピン留めデバイスであることを特徴とする実装システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の実装システムと、
髄管内を視覚化する内視鏡とを有することを特徴とする内視鏡切除システム。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡切除システムであって、
内視鏡が可撓性内視鏡であることを特徴とする内視鏡切除システム。
【請求項8】
請求項7に記載の内視鏡切除システムであって、
可撓性内視鏡は、骨形成術の際、内視鏡を保護するためのスリーブを有することを特徴とする内視鏡切除システム。
【請求項9】
請求項8に記載の内視鏡切除システムであって、
スリーブは、湾曲させたときに記憶機能を有するものであることを特徴とする内視鏡切除システム。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1に記載の内視鏡切除システムであって、
吸引チューブをさらに有することを特徴とする内視鏡切除システム。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1に記載の内視鏡切除システムであって、
動力源付デバイスをさらに有することを特徴とする内視鏡切除システム。
【請求項12】
請求項11に記載の内視鏡切除システムであって、
動力源付デバイスはドリルであることを特徴とする内視鏡切除システム。
【請求項13】
整形外科手術、股関節手術、股関節形成術、または骨盤手術における請求項1〜5のいずれか1に記載の実装システム、または請求項6〜12のいずれか1に記載の内視鏡切除システムの使用。
【請求項14】
股関節手術における可撓性内視鏡の使用。
【請求項15】
請求項14に記載の内視鏡切除システムの使用であって、
内視鏡切除システムの使用は、請求項1〜5のいずれか1に記載の実装システムの使用を含むことを特徴とする内視鏡切除システムの使用。
【請求項16】
骨形成術を実施するための、侵襲性を極力小さくする方法であって、
骨に配置システムを機械的に固定するステップと、
器具ホルダが配置システムに固定され、
骨形成術の際に用いられる1つまたはそれ以上の器具を器具ホルダに固定するステップとを有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【図13(c)】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2013−517918(P2013−517918A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551589(P2012−551589)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051347
【国際公開番号】WO2011/092337
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(510214573)ユニフェルシテイト アントウェルペン (2)
【氏名又は名称原語表記】Universiteit Antwerpen
【住所又は居所原語表記】Prinsstraat 13,Antwerpen,BELGIUM
【Fターム(参考)】