説明

高インスリン血症の治療および/または予防のための酵母細胞壁の使用

本発明は、高インスリン血症の治療および/または予防のための薬学的組成物の調製における酵母細胞壁の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高インスリン血症の治療および/または予防のための酵母細胞壁の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インスリンは、膵臓ランゲルハンス島のβ細胞によって分泌される血糖降下ホルモンである。インスリンは、特に標的組織(筋肉、肝臓、および脂肪組織)中へのグルコースの輸送を活性化することによって、血糖を減少させ得る。
【0003】
2型糖尿病は、最初の段階にインスリン過剰を生じるインスリン抵抗性によって特徴付けられる。さらに、いくつかの肥満もインスリン過剰に関連している。インスリン抵抗性による糖尿病に対しては、インスリンの分泌を刺激せずに過剰な血糖を減少させることができる医薬品を処方することができる(例えば、メトホルミン)。
【0004】
文献特開昭61−167622号(特許文献1)では、50〜70℃の温度で少なくとも2時間、脱苦味性ビール酵母を加水分解し、水溶性成分を水抽出することによって得られるビール酵母の細胞画分(本明細書では細胞壁と呼ぶ)を含有する糖尿病コントロール剤が提案されている。ビール酵母の上記細胞画分は、特に、約14.8%のグルカン含有量、約13.9%のマンナン含有量を有する。上記の細胞画分は、さらに、約24.9%のグリコーゲン含有量も有する。グリコーゲンは、筋肉および特に肝臓にも存在する貯蔵多糖類である。さらに、このグリコーゲンは、酵母がその生存を確実にするためのエネルギー源として使用する、酵母の貯蔵物質でもある。これは、この日本出願における細胞画分の主要成分の1つであるが、酵母の細胞壁の一部を形成するものではない。
【0005】
特許出願WO2005/021015(特許文献2)には、高血糖症の予防および治療並びに血糖の安定化のための酵母細胞壁の使用について記載されており、この酵母細胞壁は、低グリコーゲン含有量を有し、単独の酵素の自己分解または加水分解法を用いて得ることができる。上記酵母細胞壁の総グルカンおよびマンナン含有量は、乾燥体で少なくとも34.0重量%である。
【0006】
酵母細胞壁のβ−グルカンは、本質的に、主鎖のグルコース単位がβ−1,3結合によって連結され、かつ側鎖がβ−1,6結合によって連結されているグルコースポリマーである。酵母のβ−グルカンは、不溶性であり、低粘度を有している。
【0007】
酵母細胞壁から精製されたβ−グルカンは、免疫刺激特性を有している。特に、酵母のβ−グルカンは、マクロファージに結合し、それらを活性化し得ることがわかっている。酵母のβ−グルカンは、抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗癌剤の用途のために研究されている(Adams D.S.,Journal of Leukocyte Biology,1997(非特許文献1))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−167622号
【特許文献2】WO2005/021015
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Adams D.S.,Journal of Leukocyte Biology,1997
【発明の概要】
【0010】
本発明の主題は、インスリン調節薬剤としての酵母細胞壁の使用である。
【0011】
本発明の一主題は、特に、高インスリン血症の治療および/または予防のための酵母細胞壁の使用である。
【0012】
本発明の一主題は、高インスリン血症の治療および/または予防を意図する薬学的組成物の調製のための酵母細胞壁の使用であり、該酵母細胞壁は、
・乾燥体で少なくとも34.0重量%の総グルカンおよびマンナン含有量と、
・乾燥体で10.0重量%未満のグリコーゲン含有量と
を有する。
【0013】
「酵母細胞壁」なる用語は、全酵母細胞の乾燥体の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%の可溶化をもたらす自己分解の後または実質的にプロテアーゼによる酵素加水分解の後に得られ、細胞壁の構造多糖類、すなわちβ−グルカンと、マンノタンパク質の形態で存在するマンナンとを維持する、非クロム富化された酵母細胞の不溶性画分を意味する。
【0014】
この自己分解または酵素加水分解は、酵母細胞の貯蔵糖類、すなわちグリコーゲンおよびトレハロースの大部分を可溶化するように実施される。当該酵母細胞壁は、好ましくは少なくとも18時間に及ぶ、自己分解または酵素加水分解によって可溶化された画分を分離することによって得られる。好ましい酵母クリームの自己分解法は、参照文献の「Yeast Technology」2版, 1991, G. Reed and T. W. Nogodawithana, Van Nostrand Reinhold出版, New York, ISBN 0-442-31892-8の370〜377頁に記載されている。このようにして得られた酵母細胞壁は、次に、慣用的な乾燥方法、例えば噴霧乾燥または加熱ロール上での乾燥によって通常は乾燥させる。
【0015】
本発明の酵母細胞壁は、細胞壁中の乾燥体で少なくとも34.0重量%の総グルカンおよびマンナン含有量(体系的に、それぞれ当量のグルカンおよびマンナンで表される、下記測定方法を参照のこと)と、乾燥体の10.0重量%未満のグリコーゲン含有量(体系的に、グルコース当量で表される、下記測定法を参照のこと)とを有する。
【0016】
「高インスリン血症」は、基礎的高インスリン血症および摂食後高インスリン血症の両方を意味する。有利な一態様において、本発明の酵母細胞壁は、摂食後高インスリン血症の予防および/または治療のために使用される。あるいは、本発明の酵母細胞壁は、基礎的高インスリン血症の予防および/または治療のために使用される。別の態様において、本発明の酵母細胞壁は、基礎的高インスリン血症および摂食後高インスリン血症の両方の予防および/または治療のために使用される。
【0017】
基礎的高インスリン血症は、高い基礎的血漿インスリンレベルによって特徴付けられる。当該基礎的レベルは、食間、特に、対象者の空腹時のインスリンレベルに対応している。生理的な基礎的レベルは、一般的に、痩せている健康な個体において、10mU/L以下である。したがって、基礎的高インスリン血症は、食間(特に、空腹時)における10mU/Lを越える基礎的レベルによって特徴付けられ得る。
【0018】
摂食後高インスリン血症は、食物摂取後の過剰なインスリン応答に対応している。
【0019】
摂食後高インスリン血症は、経口グルコース負荷試験(OGTT:oral glucose tolerance test)によって確認することができる。OGTT試験に対する生理的反応は、健康な痩せている個体においては、一般的に30〜60mU/Lの間のインスリン分泌ピークによって特徴付けられる。したがって、摂食後高インスリン血症は、60mU/Lを越えるインスリン分泌ピークを伴うOGTT反応により特徴付けられ得る。
【0020】
患者の血漿インスリンレベルは、当業者に公知である慣用的な技術を用いて測定される。特に、患者から採取された血漿試料に対して、RIA試験(ラジオイムノアッセイ)を実施することができる(例えば、RIA、Biosurce/Medgenix Diagnostics社、ランジス、フランス)。
【0021】
高インスリン血症治療の目的は、基礎的血漿インスリンレベルを低下させること、および/または食物摂取後の生理的なインスリン応答を回復させることである。
【0022】
高インスリン血症予防の目的は、特に、生理的な値での基礎的血漿インスリンレベルを維持すること、および/または食物摂取後の生理的なインスリン応答を維持することである。
【0023】
本発明の主題は、特に、摂食後高インスリン血症の治療および/または予防である。
【0024】
本発明の主題は、特に、酵母細胞壁がサッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)属に由来する、上記で定義されるような使用である。
【0025】
上記酵母は、好ましくはパン酵母である。パン酵母は、サッカロマイセス・セレヴィシエ種に属する酵母であり、上で引用された参考資料「Yeast Technology」で教示されるように、実質的に、好気性増殖または培養により生成される。例えば、ビール製造からの副産物であるビール酵母は、酵素による自己分解または加水分解のために収集される前にビールを製造する役に立つが、それとは違って、パン酵母は、その自己分解または酵素加水分解の前にはいかなる目的のためにも使用されていない。このビール酵母は、実質的に嫌気下で培養されていた(ビールの生産は嫌気性工程である)。
【0026】
本発明の主題は、上記酵母細胞壁が、乾燥体で少なくとも40.0重量%、好ましくは少なくとも45.0重量%の総グルカンおよびマンナン含有量を有する、上で定義したような使用である。
【0027】
有用には、本発明の酵母細胞壁は、乾燥体で17.0〜35.0重量%、好ましくは18.0〜26.0重量%のタンバク質含有量(N×6.25)を有する。
【0028】
本発明の特定の主題は、上記酵母細胞壁が乾燥体で30重量%未満のマンナン含有量を有する、上で定義したような使用である。
【0029】
本発明の好ましい一態様において、酵母細胞壁のマンナン含有量は、乾燥体で20〜26重量%の間に存する。この態様は、上記および実施例1.1(見出し:マンナンを含有する酵母細胞壁の調製)に記載されているような、酵素による自己分解または加水分解、可溶性画分の分離、および非可溶性画分の乾燥によって得られる酵母細胞壁に対応している。上記製造物は、2型糖尿病を患っている患者において、プラセボと比較して、経口グルコース負荷試験(OGTT)の後のインスリンピークを低下させ得る(実施例2を参照のこと)。
【0030】
本発明の主題は、特に、上記酵母細胞壁が、乾燥体で2重量%未満、特に乾燥体で1重量%未満、特に乾燥体で0.1重量%未満のマンナン含有量を有する、上で定義したような使用である。
【0031】
本発明の別の好ましい態様において、酵母細胞壁の当該マンナン含有量は、乾燥体で0.1重量%未満である。
【0032】
マンナンは、熱アルカリ処理によって除去することができる。熱アルカリ処理は、上に記載されたようにして得られる本発明の酵母細胞壁を水性懸濁液中に懸濁させる工程と、アルカリ媒体中の懸濁液を、最長3時間、70℃〜100℃に加熱する工程とからなる。この処理によって可溶化される画分は、マンノタンパク質の大部分もしくは全てを含有し、遠心分離および洗浄によって分離される。残存する非可溶化画分は、収集され、通常は乾燥される。
【0033】
好ましくは、当該マンナンを完全に除去するために、当該マンナンを熱アルカリ処理および続いて酸処理によって除去する。
【0034】
これらの処理については、実施例の項において詳細に説明する。
【0035】
前述の酵母細胞壁から得られ、前に説明したような熱アルカリ処理および任意で酸処理に供され(実施例1.1、見出し: マンナンを含有しない酵母細胞壁の調製、も参照のこと)、かつマンナンが完全にもしくはほぼ完全に除去された(グルカンが、グルカンおよびマンナンの総含有量の大部分を表す)上記製造物により、2型糖尿病または過体重を患っている患者において、プラセボと比べて、およびマンナンが除去されていない酵母細胞壁と比べても、OGTT試験後に得られるインスリンピークを低下させることが可能である(実施例2を参照のこと)。
【0036】
本発明の主題は、酵母細胞壁が、乾燥体で90重量%以下の、特に乾燥体で80重量%以下の、特に乾燥体で70重量%以下の総グルカンおよびマンナン含有量を有する、上で定義したような使用である。
【0037】
本発明の主題は、より詳細には、酵母細胞壁が、乾燥体で45〜90重量%の、特に乾燥体で52〜80重量%の、好ましくは乾燥体で65〜77重量%の、さらに好ましくは乾燥体で72〜77重量%の総グルカンおよびマンナン含有量を有する、上で定義したような使用である。したがって、特に有利な一態様により、当該グルカンおよびマンナン含有量は、乾燥体で72〜77重量%の間に存する。
【0038】
特に、特定の一態様において、本発明の主題は、グルカンおよびマンナン含有量が乾燥体で72〜77重量%の間に存し、並びにマンナン含有量が乾燥体で2重量%未満、特に乾燥体で1重量%未満、特に0.1%未満である、上で定義したような使用である。
【0039】
あるいは、グルカンおよびマンナン含有量はまた、乾燥体で55重量%以下であってもよいが、ただし、当該含有量は乾燥体で45重量%より多い場合に限る。
【0040】
したがって、有利な一態様により、当該グルカンおよびマンナン含有量は、乾燥体で52〜57重量%の間に存する。
【0041】
特に、特定の一態様において、本発明の主題は、グルカンおよびマンナン含有量が乾燥体で52〜57重量%の間に存し、並びにマンナン含有量が乾燥体で2重量%未満、特に乾燥体で1重量%未満、特に0.1%未満である、上で定義したような使用である。
【0042】
本発明の主題は、酵母細胞壁が、乾燥体で8.0重量%未満の、好ましくは乾燥体で5.0重量%未満の、好ましくは乾燥体で3.0重量%未満の、好ましくは乾燥体で1.0重量%未満の、さらに好ましくは乾燥体で0.1重量%未満のグリコーゲン含有量を有する、上で定義したような使用である。
【0043】
酵母細胞壁からグリコーゲンを完全にまたはほぼ完全に取り除くために、本発明の酵母細胞壁を、上に記されたような熱アルカリ処理、好ましくは熱アルカリ処理およびそれに続く酸処理に供してもよい。
【0044】
上記処理によって、乾燥体で45〜90重量%の、好ましくは乾燥体で52〜80重量%の、好ましくは乾燥体で65〜77重量%の、さらに好ましくは乾燥体で72〜77重量%の総グルカンおよびマンナン含有量を有する、本発明による酵母細胞壁を生成することが可能である。上記処理によって、特に、乾燥体で1.0重量%未満のグリコーゲン、好ましくは乾燥体で0.1重量%未満のグリコーゲンを含有する酵母細胞壁の生成が可能である。
【0045】
本発明による薬学的組成物は、様々な形態または提示において投与することができる。
【0046】
本発明による薬学的組成物は、酵母細胞壁に代表される少なくとも1種の活性物質および薬学的に許容されるビヒクルを含む。
【0047】
本発明による薬学的組成物は、例えば、血糖低下剤またはインスリン増感剤から、特に低血糖スルファミド、ビグアニド、メトホルミンおよびチアゾリジンジオン誘導体、α−グルコシダーゼの阻害剤から選択される1種または複数種の他の活性物質を含んでいてもよい。
【0048】
さらに、当該調製は、特に、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6、ビタミンB8(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12(コバラミン)から選択される1種または複数種のビタミン、ならびに/または、特に、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、および鉄から選択される1種または複数種の食物ミネラルを含有し得る。
【0049】
さらに、本発明の主題は、クロムを含有する、上で定義したような薬学的組成物でもある。
【0050】
当該薬学的組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよい。
【0051】
好ましい一態様において、本発明による薬学的組成物は、経口経路による投与に好適である。
【0052】
当該薬学的組成物は、特に、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、または懸濁液の形態であってもよい。
【0053】
本発明の薬学的組成物は、特に、10g未満、好ましくは8〜9gの本発明による酵母細胞壁の乾燥体の量に相当する摂取用の投与形態であってもよい。
【0054】
好ましい一態様において、本発明の主題は、当該酵母細胞壁が、90重量%以上の、好ましくは94重量%以上の、さらに好ましくは96重量%以上の乾燥体含有量を示す、上で定義したような使用である。
【0055】
90重量%以上、好ましくは94重量%以上、さらに好ましくは96重量%以上の上記乾燥体含有量により、酵母細胞壁のより良好な保存、特に、より良好な細菌学的安定性および酵素由来のもしくは酵素由来ではない有害反応に対するより良好な安定性を得ることができる。
【0056】
本発明の主題は、高インスリン血症の由来に関係なく、基礎的または摂食後高インスリン血症のいずれにせよ高インスリン血症の予防および/または治療のための、上で定義したような酵母細胞壁の使用である。
【0057】
本発明の主題は、特に、インスリン抵抗性、過体重、肥満、またはメタボリックシンドロームに関連する高インスリン血症の、これに由来する高インスリン血症を患っている任意のタイプの患者における、予防および/または治療のための、上で定義したような酵母細胞壁の使用である。
【0058】
しかしながら、本発明は、任意のタイプの患者における任意のタイプの高インスリン血症の予防および治療を意図しているが、有利な一態様においては、本発明の酵母細胞壁は、非糖尿病患者における高インスリン血症の予防および/または治療を意図する医薬品の製造に使用される。この場合、本発明の主題は、特に、非糖尿病対象者における、インスリン抵抗性、過体重、肥満、またはメタボリックシンドロームに関連する高インスリン血症の予防および/または治療のための、上で定義したような酵母細胞壁の使用である。
【0059】
あるいは、本発明による酵母細胞壁は、2型糖尿病患者における、高インスリン血症の予防および/または治療を意図する医薬品の調製のために使用することができる。したがって、本発明の主題は、特に、2型糖尿病の患者における、インスリン抵抗性、過体重、肥満、またはメタボリックシンドロームに関連する高インスリン血症の予防および/または治療のための、上で定義したような酵母細胞壁の使用である。
【0060】
「2型糖尿病」とは、非インスリン依存性糖尿病(NIDD:non-insulin-dependent diabetes)を意味する。2型糖尿病は、1.26g/Lを超える空腹時血糖によって特徴付けられる。
【0061】
空腹時血糖が1.10g/L〜1.26g/Lの間の場合、血糖異常なる用語が使用される。
【0062】
特に、本発明の主題は、2型糖尿病の最初の段階における高インスリン血症の予防および/または治療のための、上で定義したような酵母細胞壁の使用である。
【0063】
「インスリン抵抗性」とは、インスリンの作用に対するインスリン依存性組織の反応の欠如を意味する。したがって、膵臓がインスリンを分泌し続けるために、血漿インスリンレベルが高くなり過ぎる。
【0064】
「過体重」または「肥満」とは、過剰な体重を意味する。成人の場合、過体重は、25〜30kg/m2の間の肥満指数(BMI:Body Mass Index)によって特徴付けられ、肥満は、30kg/m2を超える肥満指数(BMI)によって特徴付けられる。ヒトにおける肥満指数は以下の式によって定義される。
BMI=体重(kg)/(身長(m))2
【0065】
「非糖尿病対象者における過体重または肥満」なる表現は、血糖が適切に調整されている対象者における、上で定義したような過体重または肥満を意味する。
【0066】
特に、非糖尿病対象者の空腹時の血漿グルコースレベルは、1.26g/L(7mmol/L)未満、特に1.10g/L(6.1mmol/L)未満である。
【0067】
「メタボリックシンドローム」なる表現は、心臓血管疾患、脳卒中、および2型糖尿病を発症する一連のリスク因子を意味する。
【0068】
メタボリックシンドロームの診断は、ウエストサイズ、コレステロールおよびトリグリセリドのレベル、空腹時血糖、インスリン値、および血圧を含むいくつかのパラメータの評価に基づいている。
【0069】
特に、NCEP-ATPIII(National Cholesterol Education Program−Adult Treatment Panel III:全米コレステロール教育プログラム−成人の治療パネルIII)により、以下のリスク因子の3つ以上が存在する場合にメタボリックシンドロームとして診断される。
・ウエストのサイズが、女性は88cm、男性は102cmを上回る
・HDLコレステロールレベルが、男性は1mmol/l未満、女性は1.2mmol/l未満
・トリグリセリドレベルが、1.7mmol/l以上
・空腹時血糖が、6.1mmol/l以上
・血圧が130mmHg/85mmHgを超える
【0070】
特に、摂食後高インスリン血症は、メタボリックシンドロームの発症において、ある役割を果たしている。
【0071】
本発明はさらに、患者における高インスリン血症の治療および/または予防のための方法であって、当該患者に、本発明による薬学的組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0072】
高インスリン血症の治療および/または予防のための当該方法は、特に、インスリン抵抗性、過体重、肥満、またはメタボリックシンドロームに関連する高インスリン血症の治療および/または予防のための方法であり得る。有利な一態様において、当該患者は、非糖尿病患者である。あるいは、当該患者は、2型糖尿病患者であってもよい。
【0073】
本発明は、特に、薬学的組成物を経口経路により当該患者に投与する、上記の方法に関する。
【0074】
本発明による様々な方法は、特に、本発明による酵母細胞壁1〜10g、好ましくは8〜9gに相当する1日投与量において、薬学的組成物を患者に投与する工程を含むことができ、当該1日投与量は、可能であれば、単回投与、すなわち朝食時などの摂食時の一回の投与において、または複数回投与量、すなわち1日の間に何回かに分けて投与される。
【0075】
本発明の方法は、薬学的組成物の急性投与および長期投与後に、食物摂取またはOGTT試験の後の患者の基礎的インスリンレベルおよび/またはインスリン応答を確認するための、少なくとも1つの検査段階を含んでもよい。
【0076】
本発明による方法は、さらに、上記の薬学的組成物の急性投与または長期投与の前に、食物摂取またはOGTT試験の後の患者の基礎的インスリンレベルを測定するおよび/またはインスリン応答を評価する測定段階を含むことができる。
【0077】
本発明はさらに、基礎的高インスリン血症を患っている患者において、基礎的血漿インスリンレベルを低下または安定させる方法であって、本発明による薬学的組成物の有効量を上記の患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0078】
基礎的血漿インスリンレベルを低下または安定させる本方法は、特に、インスリン抵抗性、過体重、肥満、またはメタボリックシンドロームに関連する基礎的高インスリン血症を患っている患者に関し得る。有利な一態様において、当該患者は、非糖尿病患者である。あるいは、当該患者は、2型糖尿病患者であってもよい。
【0079】
本発明はさらに、摂食後高インスリン血症を患っている患者において、食物摂取後のインスリン分泌ピークを低下させる方法であって、本発明による薬学的組成物の有効量を上記の患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0080】
食物摂取後のインスリン分泌ピークを低下させる当該方法は、特に、インスリン抵抗性、過体重、肥満、またはメタボリックシンドロームに関連する摂食後高インスリン血症を有する患者に関し得る。有利な一態様において、当該患者は、非糖尿病患者である。あるいは、当該患者は、2型糖尿病の患者であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】過体重の患者(n=12)の摂食後インスリン値の動態。3日間の調査の結果を、平均±SEMとして得た。ミルクを摂取した対照におけるインスリン値は四角を伴う実線で示してあり、マンナンを含有しない酵母細胞壁(β−グルカン)を摂取した被験者は菱形を伴う破線で示してあり、マンナンを含有する酵母細胞壁を摂取した被験者は三角を伴う点線で示してある。インスリンレベル(mU/L)は、時間(分)の関数として得た。
【図2】過体重の被験者(n=12)の曲線下面積(AUC:area under curve)として示される摂食後インスリン値における傾向。3日間の調査の結果を、平均±SEMとして得た。ミルクを摂取した対照被験者において得られた曲線下面積は、黒の棒線で示してあり、マンナンを含有しない酵母細胞壁(β−グルカン)を摂取した被験者は密な点の棒線で示してあり、マンナンを含有する酵母細胞壁を摂取した被験者は疎な点の棒線で示してある。インスリン値の面積(mU/L*時間)は、0〜300分の期間(tot)、0〜120分の期間、および120〜300分の期間に対して得た。
【図3】2型糖尿病被験者(n=11)における摂食後インスリン値の動態。3日間の調査の結果を、平均±SEMとして得た。ミルクを摂取した対照におけるインスリン値は四角を伴う実線で示してあり、マンナンを含有しない酵母細胞壁(β−グルカン)を摂取した被験者は菱形を伴う破線で示してあり、マンナンを含有する酵母細胞壁を摂取した被験者は三角を伴う点線で示してある。インスリンレベル(mU/L)は、時間(分)の関数として得た。
【図4】2型糖尿病患者(n=11)において曲線下面積(AUC)として示される摂食後インスリン値における傾向。3日間の調査の結果を、平均±SEMとして得た。ミルクを摂取した対照のインスリン値の面積は黒の棒線で示してあり、マンナンを含有しない酵母細胞壁(β−グルカン)を摂取した被験者は密な点の棒線で示してあり、マンナンを含有する酵母細胞壁を摂取した被験者は疎な点の棒線で示してある。インスリン値の面積(mU/L*時間)は、0〜300分の期間(tot)、0〜120分の期間、および120〜300分の期間に対して得た。
【発明を実施するための形態】
【0082】
実施例
実施例1:本発明による酵母細胞壁の調製
1.材料と方法
マンナンを含有する酵母細胞壁の調製
12〜18重量%の乾燥体での含有量を有するサッカロマイセス・セレヴィシエの水性クリーム(すなわち、酵母細胞の水の懸濁液)を、前記酵母細胞の内因性酵素を用いて加水分解に供し、任意で、例えばパパインのような当該酵母細胞にとって外因性のプロテアーゼを補う。加水分解は、酵母細胞の乾燥体で少なくとも60重量%を可溶化するように、50℃にて24時間実施する。
【0083】
実際には、一般的に、自己分解および本発明の酵素加水分解は、グルカンまたはマンノタンパク質を可溶化し得るいかなる酵素も使用せずに、45℃〜55℃で18〜36時間実施する。
【0084】
遠心分離および水洗浄による数回の連続的な工程により、不溶性画分から可溶化画分を分離する。
【0085】
当該不溶性画分を加熱ロール上で乾燥させて、95重量%の乾燥体での含有量を得る。形成された凝集物を、ふるい分けにより除去して、本発明の酵母細胞壁を得る。
【0086】
マンナンを含有しない酵母細胞壁の調製
前に得た酵母細胞壁を水性懸濁液に懸濁し、アルカリ媒体中で70℃〜100℃の間で最長3時間加熱する。特に、アルカリ性の水酸化ナトリウム水性媒体の懸濁液において、85℃で2時間加熱する。
【0087】
この処理で可溶化された画分を除去し、残りの非可溶性画分を収集し、洗浄して、通常は乾燥させる。マンノタンパク質とグリコーゲンとを含有する可溶化画分は、遠心分離および洗浄によって除去する。
【0088】
熱アルカリ処理の後に得られる酵母細胞壁を、微量なマンノタンパク質も全て除去するために好ましくは酸処理に供する。不溶性画分は、次に、リン酸または酢酸により酸性化し、その後、80℃で1〜2時間インキュベートする。残留するマンノタンパク質、グリコーゲン、およびいくぶんかの脂質を含有する当該可溶化された画分は、遠心分離および洗浄によって除去する。
【0089】
グリコーゲン含有量の測定
乾燥させた酵母細胞壁、すなわち、少なくとも90重量%の乾燥体での含有量を有する酵母細胞壁の試料20mgに、0.25MのNa2CO3を0.5ml加え、この混合物を4時間95℃に維持する。
【0090】
次に、当該混合物に1Mの酢酸0.3mlおよび0.2Mの酢酸ナトリウム1.2mlを加え、当該成分を混合してpHを5.2にする。総量が2mlになるまで、蒸留水を加える。
【0091】
このようにして得られた懸濁液0.5mlを、ROCHE社からカタログ番号No.102857で市販されているような、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の過剰なアミログルコシダーゼの存在下において、55℃で15時間インキュベートする。
【0092】
遠心分離の後で、放出されたグルコースを、酵素的アッセイにより測定する。
【0093】
グルコースの酵素的アッセイについては、特に、マニュアル「Methods of Biochemical Analysis and Food Analysis−using Single Reagents」、BOEHRINGER MANNHEIM GmbH Biochemica(著作権)出版、1989、p50〜55に記載されており、好ましくは、Roche社の子会社:BOEHRINGER MANNHEIM GmbH/R−BIOPHARM GmbH Darmstadt Germany社からの「Test−Combination D−Glucose/−Fructose」(カタログ番号No.139106)を用いて実施する。
【0094】
このようにして定量したグルコースの量(mg)は、グルコース当量において表される、試料中に存在するグリコーゲンの量に相当する。
【0095】
グルカンおよびマンナンの総含有量の測定
乾燥させた酵母細胞壁、すなわち、少なくとも90重量%の乾燥体での含有量を有する酵母細胞壁の試料20mgを、2NのHClの20mlと混合することによって酸加水分解に供し、当該混合物を密閉したネジ蓋付きの管中においてオーブン中103℃で15分おきに攪拌しながら4時間置く。
【0096】
次に、このようにして得られた酸溶液を中和し、中和された溶液において、それぞれのグルコースおよびマンノースの量を酵素的アッセイにより定量する。
【0097】
グルコースおよびマンノースのこの酵素的アッセイも、上記で引用したマニュアルの50〜55頁に記載されており、好ましくは、カタログ番号No.139106の「Test Combination」を用いて実施する。
【0098】
この方法を用いて定量したグルコースの量(mgで表す)と、グリコーゲン含有量を測定する上記の方法を用いてこれらの酵母細胞壁に対して定量したグルコースの量(同様にmgで表す)との差を算出する。
【0099】
グルコースのこれら定量した2つの量の差(mg)は、当該試料中に存在するグルカンの総量に相当し、このグルカンの量は、グルコース当量において表される。
【0100】
定量したマンノースの量(mg)は、当該試料中に存在するマンナンの総量に相当し、このマンナン量は、マンノース当量において表される。
【0101】
2.結果
このようにして得られた酵母細胞壁は、95重量%の乾燥体での含有量を有する。
【0102】
マンナンを含有する酵母細胞壁の組成およびマンナンを含有しない酵母細胞壁(熱アルカリ処理によって得る)の組成を表1に記載する。
【0103】
(表1)本発明による酵母細胞壁の組成

【0104】
両方のタイプの酵母細胞壁において、グリコーゲンの含有量は、乾燥体で10重量%未満であった。
【0105】
実施例2:過体重の非糖尿病対象者およびインスリン非依存性糖尿病の対象者のインスリンレベルに関する本発明の酵母細胞壁の効果
以下において、マンナンを含有する当該酵母細胞壁は、「酵母細胞壁」と呼び、マンナンを含有していない酵母細胞壁は「β−グルカン」と呼ぶ。
【0106】
1.材料と方法
被験者、特性、および試料サイズ
2つのタイプのボランティア24人、すなわち、健康な過体重のボランティア12人および2型糖尿病の患者12人(男性または女性)を登録した。
【0107】
過体重のボランティアの場合、試験対象患者基準は、肥満指数25〜30kg/m2(境界値を含む)、年齢30〜65歳(境界値を含む)、正常な空腹時血糖値:<7mmol/l、HbAlc:<6%、総コレステロール:≦7.0mmol/l、トリグリセリド:≦4.0mmol/lであった。
【0108】
2型糖尿病の被験者の場合、試験対象患者基準は、年齢30〜65歳(境界値を含む)、メトホルミンおよび/または低血糖スルファミドおよび/またはグリニドおよび/またはグリタゾンによる少なくとも3ヶ月の治療、HbAlc:<10%、総コレステロール:≦7.0mmol/l、トリグリセリド:≦4.0mmol/lであった。
【0109】
主な除外基準は、1型糖尿病、インスリンまたはアカルボースで治療された2型糖尿病、インスリン欠乏症、慢性の腎臓もしくは肝不全、慢性の胃腸病に関する病歴、内分泌性病理、糖質の代謝および食事行動に干渉し得る処置、牛乳に対する不耐症、閉所恐怖症(Canopy(登録商標)下での熱量測定)、妊娠女性、禁止食物のリストにある生産物を多量に消費する人であった。
【0110】
1人の糖尿病患者だけが、最初の誘導高血糖の間にインスリン欠乏症であることが判明し、したがって、規定された試験対象患者基準を満たしていないため、試験から除外した。他の23人の被検者については、試験を完了した。
【0111】
経口グルコース負荷試験(OGTT)
試験は、7〜14日間の間隔をおいた3日間の入院において実施した。各被験者に対し、順不同に、それぞれの3つのOGTTを実施した。
【0112】
酵母細胞壁8gおよびβ−グルカン9gをOGTT試験で使用した。計画された用量8gでの酵母細胞壁の消費は、パン酵母および食用酵母で観察された消費水準を超えていないことに注目すべきである。
【0113】
生成物は、13Cグルコース50gを含有する30%の13Cグルコース溶液167ml中に希釈した。プラセボ摂食試験では、酵母細胞壁8gおよびβ−グルカン9gと同等のエネルギー摂取を得るために、13Cグルコース溶液167mlを全乳28mlおよび半脱脂乳50mlで補った。
【0114】
代謝日を2つの部分、すなわち、基礎的条件(空腹時)を測定する間の基礎的期間(T−120〜T0)と、OGTT試験へ続く4時間45分(T15〜T300)の摂食後期間とに分割した。
【0115】
OGTT試験中、患者には、T0において13Cグルコース50gを与えた。無作為の順序で、酵母細胞壁溶液またはβ−グルカン溶液またはミルクのいずれかに、できるだけ即座に添加した。当該溶液を10分以内に摂取させた。患者は、睡眠を避けながら、その後5時間、側臥位でいた。調査日の間、被検者には水を飲むことを許可した(最大300ml)。
【0116】
血漿インスリンレベルは、基礎的期間(T−120〜T0の間)および摂食後期間(T15〜T300)に測定した。静脈試料をすぐに遠心分離し、インスリンアッセイのために血漿を収集した。血漿インスリンのアッセイは、ラジオイムノアッセイ(Medgenix Diagnostics(登録商標)、ランジス、フランス)により実施した。
【0117】
統計処理
結果は、群ごとの平均±平均の標準誤差(SEM)として表す。3つの条件(酵母細胞壁、β−グルカン、およびプラセボ(ミルク))において得られた結果は、ノンパラメトリックウィルコクソン検定を用いて対応する2つの群の間で比較した。これらの統計検定を実施するために、ソフトウェアStatview(Statview、Abacus Concepts社、バークレー、カナダ)を使用した。
【0118】
2.結果
試験した両方の酵母生産物において、良好な消化許容性が観察された。
【0119】
過体重被検者の3つのOGTT試験におけるインスリン値の傾向
経口グルコース摂取に応答してのインスリン値の増加は、プラセボと比較して、β−グルカンの存在下では有意に低かった。
【0120】
インスリンピークは、プラセボと比較して、β−グルカンの存在下では有意に低かった(63.0±7.7mU/L対91.6±13.4mU/L(ミルク条件)(p<0.01)(図1)。β−グルカン存在下でのインスリン値の曲線下面積は、プラセボと比較して、有意に低かった(p<0.05)(図2および表2)。
【0121】
酵母細胞壁では、プラセボと比較して、インスリンピークと曲線下面積において減少傾向が観察された。
【0122】
(表2)過体重被験者におけるインスリンピーク(mU/L)およびインスリン値曲線下面積(mU/L*時間)
結果は平均±SEM(n=12)として表されている。p<x=プラセボ(ミルク)との比較の有意差。

【0123】
2型糖尿病被検者の3つのOGTT試験におけるインスリン値の傾向
2型糖尿病被検者では、β−グルカンの存在下および酵母細胞壁の存在下において、インスリン応答の減少も観察された。
【0124】
インスリンピークは、β−グルカンおよび酵母細胞壁の両方の存在下において、かなり減少した(それぞれ、44.2±6.0mU/Lおよび43.8±4.7mU/L対56.1±8.8mU/L(ミルク)、p<0.05)(図3および表3)。
【0125】
曲線下面積は、プラセボと比較して、酵母細胞壁およびβグルカンの存在下において有意に減少した(図4および表3)。
【0126】
(表3)2型糖尿病被験者におけるインスリンピーク(mU/L)およびインスリン値曲線下面積(mU/L*時間)
結果は平均±SEM(n=11)として表されている。p<x=プラセボ(ミルク)との比較の有意差。

【0127】
したがって、2つの群、非糖尿病の過体重被験者および2型糖尿病被験者におけるインスリン値の結果は、マンナンを含有しない酵母細胞壁の摂取後にインスリン応答が有意に減少することを示している。2型糖尿病被験者におけるマンナンを含有する酵母細胞壁の摂取においても同様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高インスリン血症の治療および/または予防を意図する薬学的組成物の調製のための酵母細胞壁の使用であって、該酵母細胞壁が、
・乾燥体で少なくとも34.0重量%の総グルカンおよびマンナン含有量と、
・乾燥体で10.0重量%未満のグリコーゲン含有量と
を有する、使用。
【請求項2】
酵母細胞壁が、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)属のものである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
酵母細胞壁が、乾燥体で少なくとも40.0重量%の、好ましくは乾燥体で少なくとも45.0重量%の総グルカンおよびマンナン含有量を有する、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
酵母細胞壁が、乾燥体で30重量%未満のマンナン含有量を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用。
【請求項5】
酵母細胞壁が、乾燥体で2重量%未満の、特に乾燥体で1重量%未満の、特に乾燥体で0.1重量%未満のマンナン含有量を有する、請求項1〜4のいずれか一項記載の使用。
【請求項6】
酵母細胞壁が、乾燥体で90重量%以下の、特に乾燥体で80重量%以下の、特に乾燥体で70重量%以下の総グルカンおよびマンナン含有量を有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の使用。
【請求項7】
酵母細胞壁が、乾燥体で45〜90重量%の、好ましくは乾燥体で52〜80重量%の、好ましくは65〜77重量%の、およびさらに好ましくは乾燥体で72〜77重量%の総グルカンおよびマンナン含有量を有する、請求項1〜6のいずれか一項記載の使用。
【請求項8】
酵母細胞壁が、乾燥体で8.0重量%未満の、好ましくは乾燥体で5.0重量%未満の、好ましくは乾燥体で3.0重量%未満の、好ましくは乾燥体で1.0重量%未満の、およびさらに好ましくは乾燥体で0.1%未満のグリコーゲン含有量を有する、請求項1〜7のいずれか一項記載の使用。
【請求項9】
酵母細胞壁が、90重量%以上の、好ましくは94重量%以上の、およびさらに好ましくは96重量%以上の乾燥体含有量を示す、請求項1〜8のいずれか一項記載の使用。
【請求項10】
インスリン抵抗性、過体重、肥満、またはメタボリックシンドロームに関連する高インスリン血症の予防および/または治療のための、請求項1〜9のいずれか一項記載の使用。
【請求項11】
薬学的組成物が、非糖尿病患者における、高インスリン血症の治療および/または予防を意図される、請求項10記載の使用。
【請求項12】
薬学的組成物が、2型糖尿病患者における高インスリン血症の治療および/または予防を意図される、請求項10記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−534223(P2010−534223A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517414(P2010−517414)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059815
【国際公開番号】WO2009/013357
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510020985)レサフレー エ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】