説明

高分子構造体及びその製造方法

高分子構造体、その製造方法、その構造体とその構造体を組み込んだ繊維性製品を含む繊維性構造体が提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともポリビニルアルコール(PVOH)ヒドロキシポリマーを含むヒドロキシポリマーを含むPVOHで処理されたヒドロキシルポリマー組成物を含む高分子構造体、そのような高分子構造体を含む繊維性構造体、及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、繊維性構造体の配合者は、木材系セルロース繊維から高分子繊維へ移行しようと試みてきた。高分子繊維を含む繊維性構造体は、当該技術分野において周知である。例として、EP1217106A1を参照すること。
【0003】
しかしながら、密度の濃い特性を有する木材系セルロース繊維を含む繊維性構造体の類似品を実現することを目的とした、高分子繊維を含む繊維性構造体を作製するそのような従来技術の試みは、失敗してきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえに、高分子構造体及び/又は木材系セルロース繊維含有繊維性構造体に実質的に類似する、又はそれに優る高密度特性を示す繊維状高分子構造体を含む繊維性構造体への要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、高分子構造体及び/又は木材系セルロース繊維含有繊維性構造体と比べ類似した又はそれに優る高密度特性を実質的に示す繊維状高分子構造体を含む繊維性構造体を提供することにより、上記の要望を満たす。
【0006】
本発明の一態様において、少なくともPVOHヒドロキシルポリマーを含むヒドロキシルポリマーを含むPVOHで処理されたヒドロキシルポリマー組成物を含むポリマー高分子構造体が提供され、ここで、高分子構造体は、少なくとも約5%及び/又は少なくとも約8%及び/又は約10%のピーク荷重で伸び、及び/又は少なくとも約10%及び/又は少なくとも約13%及び/又は少なくとも約20%の破壊荷重で伸びを示す。
【0007】
本発明の他の態様において、本発明に従った繊維状高分子構造体を含む繊維性構造体が提供され、ここで、繊維性構造体が、少なくとも約5%及び/又は少なくとも約8%少なくとも約10%のピーク荷重で伸び、及び/又は約10%及び/又は約13%及び/又は約20%の破壊荷重で伸びを示す。
【0008】
本発明の更なる他の態様において、本発明に従う1つ以上の繊維性構造体を含む繊維状製品が提供される。
【0009】
本発明の更なる他の態様において、高分子構造体を作製する方法が提供され、その方法は、次の工程を含む。
【0010】
a.少なくともPVOHヒドロキシポリマーを含むヒドロキシルポリマーを含むPVOHポリマー溶融組成物を準備する工程と、
b.高分子構造体を形成するためにPVOHポリマー溶融組成物をポリマー処理する工程、
ここで、高分子構造体は、少なくとも約5%及び/又は少なくとも約8%及び/又は少なくとも約10%のピーク荷重で伸び、及び/若しくは少なくとも約10%及び/又は少なくとも約13%及び/又は少なくとも約20%の破壊荷重で伸びを示す。
【0011】
本発明の更なる他の態様において、本発明の方法に従い作製されるファイバ形状高分子構造体が、提供される。
【0012】
本発明の更なる他の実施形態において、繊維状構造体を作製する方法が提供され、その方法は、次の工程を含む。
【0013】
a.少なくともPVOHヒドロキシルポリマーを含むヒドロキシルポリマーを含むPVOHポリマー溶融組成物を準備する工程、
b.繊維状高分子構造体を形成するためにPVOHポリマー溶融組成物をポリマー処理する工程と、
c.繊維形状高分子構造体を繊維性構造体に組み込む工程、
ここで、繊維性構造体は、少なくとも約5%及び/又は少なくとも約8%及び/又は少なくとも約10%のピーク荷重で伸び、及び/若しくは少なくとも約10%及び/又は少なくとも約13%及び/又は少なくとも約20%の破壊荷重で伸びを示す。
【0014】
本発明の更なる他の態様において、2つ以上の繊維を含み、少なくともその中の1つが繊維状高分子構造体を含む、繊維性構造体が提供され、ここで繊維性構造体が、結合された繊維を含む第一領域と非結合繊維を含む第二領域を含む。
【0015】
本発明の更なる他の態様において、結合された繊維を含む第一領域と非結合繊維を含む第二領域を含む1つ以上の繊維性構造体を含む繊維性製品が提供される。
【0016】
本発明の更なる他の態様において、繊維状構造体を作製する方法が提供され、その方法は次の工程を含む。
【0017】
a.2つ以上の繊維を含み、少なくともその中の一つが繊維状高分子構造体を含む、繊維性構造体を準備する工程と、
b.結合された繊維を含む第一領域と非結合繊維を含む第二領域を含む繊維性構造体が形成されるように、2つ以上の繊維を互いに結合させる工程。
【0018】
それゆえに、本発明は、高分子構造体と、そのような繊維状高分子構造体を含む繊維性構造体と、1つ以上のそのような繊維性構造体を含む繊維性製品と、繊維状高分子構造体とそのような方法で作製された繊維状高分子構造体を含むそのような繊維性構造体を作製する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
定義
本明細書で使用される「高分子構造体」は、本発明のPVOHポリマー溶融組成物をポリマー処理することによって作製されたいずれの物理的構造体を意味する。そのような高分子構造体の制限のない例として、繊維、薄膜、発泡剤がある。そのような高分子構造体は、特に繊維形状の場合、所望により、繊維性構造体を形成するために、セルロース繊維及び熱可塑性非水溶性ポリマー繊維のような他の物理的構造体とともに使用される。好ましくは、本発明の高分子構造体は、全体として融点を有さず、又は換言すれば、高分子構造体は、非熱可塑性高分子構造体である。その上、本発明の高分子構造体がほぼ均質であることが好ましい。
【0020】
本明細書で使用される「破壊伸び」は、次の式で定義される。
【0021】
(高分子構造体の長さFL−高分子構造体の長さI)/高分子構造体の長さI×100%
式中で
高分子構造体の長さFLは、破壊荷重での高分子構造体の長さである。
【0022】
高分子構造体の長さIは、伸びに先立つ高分子構造体の初期の長さである。
【0023】
本明細書で使用の「ピーク伸び」は、次の式で定義される。
【0024】
(高分子構造体の長さPL−高分子構造体の長さI)/高分子構造体の長さI×100%
式中で
高分子構造体の長さPLは、ピーク荷重での高分子構造体の長さである。
【0025】
高分子構造体の長さIは、伸びに先立つ高分子構造体の初期の長さである。
【0026】
高分子構造体の強度は、高分子構造体の総乾燥引張り強度(MD(巻き取りの流れ方向、縦方向)及びCD(流れ直角方向、横方向))又は「TDT」を測定することにより定められる。TDT又は伸びは、高分子構造体及び/又は試験が必要な場合、高分子構造体などを含む繊維性製品の2.5cm×12.7cm(1インチ×5インチ)のストリップを提供することにより、測定される。各ストリップは、マサチューセッツ、カントンのインストロン社(Instron Corp., Canton, Massachusetts)から市場で入手可能な電子引張り試験機モデル1122上に位置する。引張り試験機のクロスヘッド速度は、約5.1cm/分(2.0インチ/分)であり、ゲージ長は約2.54cm(1.0インチ)である。引張り試験機は、ピーク荷重での伸びと破壊荷重での伸びを計算する。基本的に、引張り試験機は、上述の式を使って伸びを計算する。本明細書で使用する時、ピーク荷重での伸びは、MD及びCDに対するピーク荷重での伸びの平均である。本明細書で使用する時、破壊荷重での伸びは、MD及びCDに対する破壊荷重での伸びの平均である。
【0027】
「流れ方向」(MD)は、製造設備を通して作製される高分子構造体の流れに平行な方向である。
【0028】
「機械横方向」(CD)は、流れ方向に垂直で、高分子構造体の一般面に平行な方向である。
【0029】
本明細書で使用する時、「繊維」は、長軸に垂直である繊維の2つの互い直行する軸と比べ、極めて長い長軸を有する細長くて薄い高可撓性物を意味する。好ましくは、長軸と直角な繊維の断面の等価直径に対するその長軸の長さの縦横比は、100/1よりも大きく、より具体的には500/1よりも大きく、なおより具体的には1000/1よりも大きく、さらにより具体的には5000/1よりも大きい。
【0030】
本発明の繊維は、連続又はほぼ連続でありえる。繊維が繊維性構造体及び/又はそれらから作製される繊維性製品のMD長の100%伸びる場合、繊維は連続である。一つの実施形態において、繊維が繊維性構造体及び/又はそれらから作製される繊維性製品のMD長の約30%以上及び/又は約50%以上及び/又は約70%以上伸びる場合、繊維はほぼ連続である。
【0031】
繊維は、本明細書に記載の繊維直径試験方法により定められ、約50ミクロン未満及び/又は約20ミクロン未満及び/又は約10ミクロン未満及び/又は約8ミクロン未満及び/又は約6ミクロン未満の繊維直径を有することができる。
【0032】
総合した架橋ヒドロキシルポリマーにより、本発明の高分子構造体、特に本発明の繊維を製造できる。1つの実施形態において、架橋の結果形成された、特に繊維形状の高分子構造体は、全体として、融点を示さない。換言すれば、それは溶融の前に劣化する。架橋の実行に適した架橋システムの制限のない例は、架橋剤及び所望により架橋促進剤を含み、ここで、ヒドロキシルポリマーは、架橋剤によって架橋される。
【0033】
ヒドロキシルポリマーを含む繊維は、溶融紡ぎ繊維、乾燥紡ぎ繊維及び/又はスパンボンド繊維、短繊維、中空繊維、多角断面繊維及び多構成要素繊維、特に2成分繊維のような型繊維を含むことができる。多成分繊維、特に2成分繊維は、サイド・バイ・サイド、シース−コア、分割パイ、リボン、海島型構造体、又はこれらの組み合わせであってよい。シースはコアの周囲で連続でも非連続でもよい。シースとコアとの重量比は、約5:95〜約95:5であることができる。本発明の繊維は、円、楕円、星形、方形、及びその他の種々の偏心を包含する異なる幾何学的形状を有していてもよい。
【0034】
他の実施形態において、ヒドロキシルポリマーを含む繊維は、熱可塑性非水溶性ポリマーに従う本発明のヒドロキシルポリマーを含む多成分繊維のような、多構成成分繊維を含むことができる。多成分繊維とは、本明細書で使用する時、互いの空間的関係において1つより多くの別個の部分を有する繊維を意味する。多成分繊維は、互いの空間的関係において2つの別個の部分を有する繊維として定義される2成分繊維を包含する。多成分繊維の異なる構成成分は、繊維の断面にわたって実質的に区別可能な区域に配置され、繊維の長さに沿って連続して伸長することができる。
【0035】
そのような多構成要素繊維の限定されない例は、特に2成分繊維は、ヒドロキシルポリマーが繊維のコアに相当し、熱可塑性非水溶性ポリマーがシースに相当し、そのシースが繊維のコアを取り囲む又はほぼ取り囲む、2成分繊維である。そのような繊維が誘導されるポリマー溶融組成物は、好ましくは、ヒドロキシルポリマーと熱可塑性非水溶性ポリマーを含む。
【0036】
他の多構成要素、特に2成分繊維実施形態において、シースは、ヒドロキシルポリマーと架橋剤を有する架橋システムを含むことができ、コアは、ヒドロキシルポリマーと架橋剤を有する架橋システムを含むことができる。シース及びコアに関して、ヒドロキシルポリマーは同じであっても異なっていてもよく、架橋剤は同じであっても異なっていてもよい。更に、ヒドロキシルポリマーの濃度は、同じであっても異なっていてもよく、架橋剤の濃度は同じであっても異なっていてもよい。
【0037】
本発明の1以上のほぼ連続な又は連続な繊維を、ウェブのような繊維性構造体内に組み込みできる。最終的に、そのような繊維性構造体を、単一又は多プライ繊維性製品など、顔面用ティッシュなど、バスティッシュ、ペーパータオル及び/又は拭取り布、婦人用ケア製品、おむつ、印刷紙、ティッシュコアのようなコア、及び他の型の紙製品のような市販品に組み込みできる。
【0038】
本明細書で使用する時、「プライ」又は「多プライ」は、所望により他のプライとほぼ連続な向かい合わせの関係にある単一繊維性構造体を意味し、多プライ繊維性製品を形成する。また、単一の繊維性構造体体は、例えばそれ自体の上に折り畳まれることにより、効果的に2つの「プライ」又は「多プライ」を形成できると考えられる。プライ又は多プライは、その上フィルム又は他の高分子構造体として存在できる。
【0039】
本明細書で使用する時、「坪量」は、ポンド/3000ft2又は1.63g/m2と記録された試料の単位面積当たりの重量である。
【0040】
坪量は、ある領域(m2)の1以上の試料を準備し、0.01gの最小分解能で上部荷重残部上で、本発明に従う繊維性構造体及び/又はフィルムの試料の重さを計ることにより、測定される。天秤は、風防を使用することにより、気流及びその他の外乱から保護される。天秤の表示が一定になった時に、重量を記録する。平均重量(g)とサンプルの平均面積(m2)が計算される。坪量(g/m2)を、平均重量(g)をサンプルの平均面積(m2)で除算することにより算出する。
【0041】
本明細書で使用する時、「キャリパー」は、繊維性構造体、繊維性製品又はフィルムの巨視的な厚さを意味する。本発明に従う繊維性構造体、繊維性製品又はフィルムのキャリパーは、繊維性構造体、繊維性製品又はフィルムの試料を切断して定められ、そのキャリパーは、ロードフット搭載面より寸法が大きく、ロードフット搭載面は、約20.3cm2(3.14in2)の円状表面積を有する。サンプルを水平平坦面とロードフットのローディング面との間に押し込める。ロードフット搭載面は、1.45kPa(15.5g/cm2(約0.21psi))の封圧を試料に印加する。キャリパーは、得られる平坦面とロードフット搭載面との間隙である。このような測定は、スウィング・アルバート・インストルメント・カンパニー(Thwing-Albert Instrument Company)(ペンシルベニア、フィラデルフィア(Philadelphia,PA))から入手可能なVIR電子厚さ試験機モデルII(VIR Electronic Thickness Tester Model II)で得ることができる。平均キャリパーを計算できるように、キャリパー測定を少なくとも5回繰り返して記録する。結果をミリメートルの単位で報告する。本発明の1つの実施形態において、繊維性構造体は、バルクキャリパーより小さな平均的なキャリパーを示す。
【0042】
本明細書で使用する時、「見かけの密度」又は「密度」は、サンプル中に組み込まれた適当な加工度を用いて、サンプルの坪量をキャリパーで除算したものを意味する。本明細書で使用する見かけの密度は、単位g/cm3で表される。
【0043】
本明細書で使用する時、「重量平均分子量」は、「コロイド及び界面A、物理化学及び工学の状況」(Colloids and Surfaces A.Physico Chemical & Engineering Aspects)162巻、2000、107〜121頁に見出されるプロトコルにしたがって、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定される重量平均分子量を意味する。物理化学及び工学の状況(Physico Chemical & Engineering Aspects)、162巻、2000、107〜121頁。
【0044】
本明細書で使用する時、「塑性」は、少なくとも高分子構造体及び/又は繊維性構造体が、成型、鋳造、及び/又は形成される能力を示すことを意味する。
【0045】
使用される「繊維性製品」は、限定はされないが、排尿後の及び排便後の洗浄のための、(トイレットペーパー)、耳鼻咽喉科排泄(顔用ティッシュ)、及び多機能吸収及び洗浄使用(吸収タオル)のための拭き取り用具を含む。
【0046】
本明細書で使用する時、「リント」及び/又は「ピル」は、高分子構造体の分離性部分を意味し、特に繊維性構造体及び/又は繊維性製品は、通常使用中、元の高分子構造体及び/又は繊維性構造体及び/又は繊維性製品と分離される。
【0047】
従来のトイレットペーパー及びタオルは、主に短いセルロース繊維から構成される。湿式と乾式双方の拭き取り処理中、これらの短繊維は、その構造体から分離でき、リント又はピルとして明らかになる。本発明は、従来の分離性短セルロース繊維に対して主に連続繊維を用いる。一般的に、本発明の繊維性構造体は、繊維の連続特性のため、リンティング対それらのセルロース類似物を食い止める。更に、本発明の繊維性構造体は、結合及び繊維強度及び伸びが、遊離繊維破断及び拭き取り処理の間の隣接する繊維のもつれを妨げるのに十分であるという条件のもとで、ピリング対それらのセルロース類似物を食い止める。
【0048】
本明細書で使用する時、「強度特性」及び/又は「共通強度特性の値」は、密度、坪量、キャリパー、基材厚さ、隆起、不透明さ、クリープ頻度、及びこれらのいずれの組み合わせを意味する。本発明の繊維性構造体は、互いに関連のある共通強度特性の異なる値を示す2つ以上の領域を含む。換言すれば、本発明の繊維性構造体は、第一不透明度を有する1つの領域及び第一不透明度値とは異なる第二不透明度値を有する第二領域を含むことができる。そのような領域は、連続、ほぼ連続及び/又は不連続でありえる。
【0049】
本明細書で使用する時、「乾式紡糸」及び/又は「溶媒式紡糸」は、湿式紡糸とは異なり、高分子構造体が凝固槽内で紡がれないことを意味する。
【0050】
本明細書で使用する時、繊維に対して「結合された」は、2つ以上の別個の繊維が、1つの繊維が他の繊維の作用に影響するように、1以上の場所で繊維長に沿って、しかし全長未満で互いに近接することを意味する。繊維を結合するための手段の限定されない例は、結合点で1つの繊維ユニットが形成されるように、互いに結合すること(粘着で及び/又は科化学的に及び/又は静電気で)及び/又は互いに溶融することを含む。
【0051】
本明細書で使用する時、繊維に対して「結合されていない」は、繊維が本明細書で定義されたように結合されないことを意味する。
【0052】
(本発明の方法)
本発明の方法は、少なくともPVOHヒドロキシルポリマーを含むヒドロキシルポリマーを含むPVOHポリマー溶融組成物から、繊維、フィルム、又は発砲体のような高分子構造体を作製すること、及び/又は繊維状高分子構造体を含む繊維性構造体を作製することに関する。
【0053】
本発明に従う方法の1つの限定されない例において、下述のように、PVOHポリマー溶融組成物は、繊維を形成するためにポリマー処理される。次に、繊維を繊維構造体に組み込みできる。
【0054】
ポリマー溶融組成物を作製し及び/又はポリマー溶融組成物をポリマー処理し、本発明の高分子構造体を作製するために、当該技術分野における当業者に知られているいずれの好適な処理を使用できる。そのような処理の限定されない例は、EP1035239、EP1132427、EP1217106、EP1217107、WO03/066942及びUS5,342,225の公布された明細書に記載される。
【0055】
A.PVOHポリマー溶融組成物
本明細書で使用する時、「PVOHポリマー溶融組成物」は、少なくとも溶融処理されたPVOHヒドロキシルポリマーを含む溶融処理されたヒドロキシルポリマーを含む組成物を意味する。本明細書で使用する時、「溶融処理されたヒドロキシルポリマー」は、重量で10%を超える及び/又は20%を超える及び/又は25%を超えるヒドロキシル基を含み、外部可塑剤を使用して又は使用せず、及び/又はpH調整剤を使用して又は使用せず溶融処理された、いずれのポリマーを意味する更に一般的に、溶融処理されたヒドロキシルポリマーはポリマーを含み、高温の影響により、圧力及び/又は外部可塑剤が、それらが流れ可能な状態になる程度に軟化され(全溶融処理操作/処理)、この状態において、要望により、形状化される。
【0056】
PVOHポリマー溶融組成物は、異なるポリマーの組み合わせを含む合成物であってもよく、ここで、少なくとも1つは、本発明に従う溶融処理されたヒドロキシルポリマー及び/又は無機及び有機細線、及び/又は繊維及び/又は発泡剤である。1つの実施形態において、PVOHポリマー溶融組成物は、本発明に従う2つ以上の異なる溶融処理されたヒドロキシルポリマーを含む。本明細書で使用する時、「異なる溶融処理されたヒドロキシルポリマー」は、制限なく溶融処理されたヒドロキシルポリマーを含み、それは、他の溶融処理されたヒドロキシルポリマー及び/又は異なる化学分類の部材である溶融処理されたヒドロキシルポリマーに関する少なくとも1つの異なる部分を含む(例、PVOH対デンプン対キトサン)。
【0057】
PVOHポリマー溶融組成物を既に形成できる、又は原材料ヒドロキシルポリマーを溶融処理されたヒドロキシルポリマーに変換するために、溶融処理工程を実行することが必要である、従って、PVOHポリマー溶融組成物を作製する。原料ヒドロキシルポリマーを溶融加工ヒドロキシルポリマーへと変換させるために、当該技術分野において既知のいかなる好適な溶融加工工程を使用してもよい。
【0058】
PVOHポリマー溶融組成物は、a)PVOHポリマー溶融組成物の重量で約30重量%及び/又は40重量%及び/又は45重量%及び/又は50重量%〜約75重量%及び/又は80重量%及び/又は85重量%及び/又は90重量%及び/又は99.5重量%の、少なくともPVOHヒドロキシルポリマーを含むヒドロキシルポリマー、b)PVOHポリマー溶融組成物の重量で約0.1重量%〜約10重量%の架橋剤を含む架橋システム、並びにc)PVOHポリマー溶融組成物の重量で約0重量%及び/又は約10重量%及び/又は15重量%及び/又は20重量%〜約50重量%及び/又は55%及び/又は60%及び/又は70%の外部可塑剤(例、水)を含有できる。
【0059】
B.ポリマー加工
本明細書で使用する時、「ポリマー処理」は、処理されたヒドロキシルポリマーを含む高分子構造体がPVOHポリマー溶融組成物から形成される、いずれの操作及び/又は処理を意味する。ポリマー加工操作の非限定例には、押出成形、成型及び/又は繊維紡糸が挙げられる。押出成形及び成型(キャスティング又はブローンのどちらでも)は典型的にはフィルム、シート及び種々の特性の押出成形品を生成する。成型としては、射出成形、ブロー成形及び/又は圧縮成形を挙げることができる。繊維紡糸は、スパンボンディング、溶融吹き出し、連続繊維作製及び/又はトウ繊維作製を含むことができる。
【0060】
「加工ヒドロキシルポリマー」とは、本明細書で使用するとき、溶融加工作業及びそれに続くポリマー加工作業を行ったいかなるヒドロキシルポリマーをも意味する。
【0061】
C.高分子構造体
PVOHポリマー溶組成物を、1回以上のポリマー処理操作にさらすことができ、結果として、PVOHポリマー溶融組成物は、本発明に従うヒドロキシルポリマー及び架橋システムを含む繊維、フィルム、又は発泡体のような高分子構造体に処理される。
【0062】
高分子構造体の処置後
PVOHポリマー溶融組成物が、繊維、フィルム、発泡体、又はともに繊維性構造体を形成する複数個の繊維のような、高分子構造体に処理されると、その構造体を処置後硬化及び/又は示差的高密度化にさらすことができる。
【0063】
構造体の硬化は、構造体の領域を高密度化する前及び/又はした後に、起こりえる。好ましくは、硬化は、構造体の領域を高密度化する前に起こる。
【0064】
1つの実施形態において、ポリマー処理操作を経由して作製される構造体は、約110℃から約200度の温度、及び/又は約120℃から195℃、及び/又は約130℃から約185℃の硬化温度で、約0.01及び/又は1及び/又は5及び/又は15秒から約60分、及び/又は約20秒から約45分、及び/又は5及び/又は15秒から約60分、及び/又は約30秒から約30分の時間、構造体の領域の高密度化に先立ち、硬化される。別の硬化法には、UV、e−ビーム、IRなどの放射法及びその他の温度上昇法を挙げることができる。
【0065】
更に、構造体は、硬化後室温上で又は室温上で硬化する代わりに、室温で数日間硬化される。
【0066】
高密度化に先立つ構造体は、ヒドロキシルポリマーを含む結合されていないほぼ連続な又は連続繊維を含むことができる。更に、ほぼ連続又は連続な繊維は、架橋ヒドロキシルポリマーを含むことができる。更に、構造体は、構造体の重量で約10重量%から及び/又は約15重量%から及び/又は約20重量%から約60重量%の及び/又は約50重量%の及び/又は約40重量%の水分を含むことができる。
【0067】
示差的高密度化の前に、構造体は、特に構造体が1以上の繊維を含む場合、非結合構造体の形態でありえる。そのような非示差的高密度化形態の構造体は、強度特性、特に伸張(伸び)で、木材系セルロース性繊維性構造体類似物より劣る。
【0068】
それ故に、本発明の構造体は、示差的に高密度化操作を経由して示差的高密度化をこうむる。そのような示差的高密度化は、オンラインで構造体を形成し、次に構造体を示差的に高密度化することを含む連続処理で起こりえる。あるいは、示差的高密度化は、オフラインで非連続処理で起こりえる。
【0069】
本発明の構造体を示差的に高密度化するために、当該技術分野における当業者に周知の、示差的に高密度化するいずれの処理も使用できる。
【0070】
示差的高密度化の結果として、構造体は、他と比較して異なる密度を示す2つ以上の領域を含む。
【0071】
1つの実施形態において、示差的高密度化処理は、構造体内に異なる密度の領域を創造できるように、塑性を示差的高密度化を必要とする構造体に付与する工程を含む。換言すれば、示差的高密度化処理は、示差的高密度化を必要する構造体に塑性を付与する工程を含み、模様を構造体内に創造できる。異なる密度の領域をその構造体に付与するために、模様が設計される。構造体内に示差的高密度化を創造することを可能にするために、示差的高密度化を必要する構造体を、約20%〜約95%及び/又は約40%〜約90%及び又は約50%〜約85%及び/又は約65%〜約80%の相対湿度のような湿度のある環境に、少なくとも1秒及び/又は少なくとも3秒及び/又は少なくとも5秒のような十分な時間さらすことで、十分な塑性を構造体に付与することができる。
【0072】
1つの実施形態において、示差的高密度化処理は、構造体を模様付きローラーにさらすことを含み、ローラー上の模様は、構造体に付与され、したがって構造体は、示差的に高密度化される。
【0073】
他の実施形態において、示差的高密度化処理は、構造体に接触することを含み、構造体は、円滑なローラーからの圧力で模様付きベルト/布地に接触し、したがってベルト/布地のパターンを構造体に付与し、構造体が示差的に高密度化される。
【0074】
本発明に従う構造体の示差的高密度化は、好ましくは構造体の形成と同時ではなく、構造体が形成された後に起こる。
【0075】
本発明の構造体は、一回より多く示差的に高密度化できる。例えば構造体は、本発明に従って示差的に高密度化され、次に硬化され、次に再び示差的に高密度化できる。
【0076】
他の実施形態において、構造体は、2つ以上の構造体の「多プライ」を含むことができ、多プライ構造体として示差的に高密度化できる。
【0077】
構造体は示差的に高密度化でき、次に再び示差的に高密度化され、硬化される。
【0078】
あるいは、本発明の構造体は、硬化され、本発明に従って示差的に高密度化できる。
【0079】
本発明に従う、構造体の硬化は、いずれの示差的高密度化処理に関わる時間のいずれの点でも起こりえる。それは、前に(好ましくは直前に)、後に(好ましくは直後に)、前後に(好ましくは直前と直後に)、起こりえる、又は全く起こりえない。
【0080】
示差的高密度化処理は、一回又は複数回起こりえる。
【0081】
構造体の示差的高密度化を補助するために、特に模様付きローラーと関連させて超音波も使用できる。いずれの好適な超音波装置を使って、超音波装置を発生できる。例えば、模様付きローラー上の模様に従って構造体が変形するように、エネルギーを構造体に付与可能なホーン又は超音波発生器を使用できる。
【0082】
更なる他の実施形態において、示差的高密度化高分子構造体を形成するために、示差的高密度化の工程は、湿度の存在下、繊維性構造体を模様を含む構造体付与要素に接触させ、繊維性構造体が模様の形状を構造体付与要素上に取るように、抵抗力を繊維性構造体及び/又は構造体付与要素に与えることを含む。
【0083】
もっと更なる他の実施形態において、示差的高密度化高分子構造体を形成するために、構造体を示差的に高密度化する工程は、湿度の存在下、繊維性構造体を2つのベルトに挟み込むことを含み、ここで、少なくともベルトの一つが、模様を含み、繊維性構造体が模様の形状を構造体付与要素上に取るように、抵抗力を少なくともベルトの一つに与える構造体化されたベルトである。
【0084】
本発明に従って構造体を示差的に高密度化するための示差的高密度化工程の制限のない例が、以下に提供される。
【0085】
示差的高密度化例
約40%の水を含むPVOHポリマー溶融組成物は、双スクリュー押出成形機から押し出される。架橋剤及び他の添加物、添加剤は、PVOHポリマー溶融組成物に挿入され、インライン静的混合器を使って混合される。次に、添加剤を伴うPVOHポリマー溶融組成物は、メルトブロウン型紡糸口金に押し込められ、ここで、繊維は押し出され、細い繊維に細くされる。使用される架橋剤及び添加剤は、尿素グリオキサール付加物(「UGA」)、硫酸アンモニウム、及びアクリルラテックスである。総添加剤は、通常10%又は乾いたヒドロキシルポリマーの質量%基底未満である。細線化された繊維は、圧入された加熱空気で乾燥され、収集ベルト上に置かれる。収集ベルトは、通常紡糸口金端から55.9〜63.5cm(22〜25インチ)に設定され、収集ベルト上に形成された構造体、繊維性構造体は、非結合繊維性構造体である。
【0086】
図1は、示差的高密度化操作10の1つの実施形態を模式的に示す。形成後、非結合繊維性構造体12は、湿度チャンバ14内のような、環境が制御された湿度環境にさらされる。典型的な相対湿度範囲は、70〜78%である。繊維性構造体12がチャンバ14を通して搬送される時、細いデンプン繊維は、可塑化され、示差的高密度化を可能にする。繊維性構造体の領域を結合させるために、チャンバ14から出た可塑化繊維性構造体12’は、模様付きニップ16を通過し、したがって、結合繊維性構造体12”が作製される。結合繊維性構造体領域18は、搬送ベルト(図示されず)又はローラー自身20上で使用される模様に対応する。使用される1つの模様付きベルトは、アルバニ・インターナショナル社(Albany International Inc)から入手可能で、型「フィルトラテック10(Filtratech10)」として知られた正方形織りオープンメッシュベルトであった。ニップ圧力は、使用する模様に依存し変化するが、通常200〜300プライの範囲である。繊維性構造体内に存在する繊維は結合され、繊維性構造体は、優れた運用特性を示す。架橋システムと反応添加剤の硬化期間の後、結合された繊維性構造体は使い捨て繊維性製品として受諾可能な乾燥及び湿潤特性を示し、様々な使い捨て用具、特にトイレットペーパー又はタオル地の布として使用可能である。
【0087】
ヒドロキシルポリマー
本発明に従うヒドロキシルポリマーは、本発明の、好ましくは繊維形状の高分子構造体に組み込み可能なヒドロキシル含有ポリマーを含む。
【0088】
一実施形態では、本発明のヒドロキシルポリマーは10重量%よりも多い、及び/若しくは20重量%よりも多い、及び/若しくは25重量%よりも多いヒドロキシル部分を包含する。
【0089】
本発明に従うヒドロキシルポリマーの制限のない例は、ポリオールを含み、例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロースエーテル及びエステル誘導体のようなセルロース誘導体、ガム、アラビナン、ガラクタン、タンパク質及び様々な他の多糖類及びこれらの混合物がある。
【0090】
好ましくは、ヒドロキシルポリマーは、約10,000〜約40,000,000g/molの重量平均分子量を有する。更に高い及び更に低い分子量のヒドロキシルポリマー類を、好ましい重量平均分子量を有するヒドロキシルポリマー類と組み合わせて使用してもよい。
【0091】
天然デンプンの周知の変質は、化学修飾及び/又は酵素修飾を含む。例えば、天然デンプンは酸希釈、ヒドロキシエチル化、又はヒドロキシプロピル化、若しくは酸化することができる。
【0092】
本明細書では「多糖類」とは、天然多糖類及び多糖類誘導体又は変性多糖類を意味する。好適な多糖類としては、ゴム類、アラビナン類、ガラクタン類、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
架橋系
本発明の架橋系は、架橋剤に加えて、架橋促進剤を更に含んでいてもよい。
【0094】
「架橋促進剤」とは、本明細書で使用するとき、架橋剤を活性化することにより、その架橋剤をその不活性状態からその活性状態へと変化させることができるいかなる物質をも意味する。換言すれば、架橋剤が不活性状態の時、PVOHポリマー溶融組成物内に存在するヒドロキシルポリマーは、本明細書に記載の剪断粘度変化試験方法に従って定められるような、尚早の架橋(「許容不可能な」架橋)を受ける。
【0095】
本発明に従う架橋剤がその活性状態にある場合には、高分子構造体中に存在するヒドロキシルポリマーは、本明細書に記載される初期総湿潤引張強度試験方法に従って判定されるような、架橋剤を介した許容可能な架橋を受けてもよく、好ましくはそのような架橋を受ける。
【0096】
架橋促進剤には、架橋剤の変化/活性化後に存在し得る物質の誘導体が挙げられる。例えば、酸の形態に化学的に変化する架橋促進剤の塩、及びその逆のもの。
【0097】
架橋システムは、PVOHポリマー溶融組成物内に存在でき、及び/又はPVOHポリマー溶融組成物のポリマー処理の前にPVOHポリマー溶融組成物に付加できる。
【0098】
好適な架橋促進剤の制限のない例は、約0〜約6及び/又は約1.5〜約6及び/又は約2〜約6pKaを有する酸又はそれらの塩を含む。架橋促進剤はブレンステッド酸類及び/又はそれらの塩類、好ましくはそれらのアンモニウム塩類であってもよい。
【0099】
加えて、マグネシウム及び亜鉛塩などの金属塩類を単独で、又はブレンステッド酸類及び/若しくはそれらの塩類と組み合わせて、架橋促進剤として使用することができる。
【0100】
好適な架橋促進剤の限定されない例として、酢酸、安息香酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、フタル酸、リン酸、硫酸、コハク酸、及びこれらの混合物及び/又はこれらの塩、好ましくは、グリコール酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムのような、これらのアンモニウム塩がある。
【0101】
好適な架橋剤の限定されない例として、ポリカルボン酸、イミダゾリジノン及び尿素、チオ尿酸、グアニジン、メチレンジアミド、及びメチレンカルバメート及びこれらの誘導体を伴うグリオキサールのアルキル置換又は非置換環状付加物から生じる他の化合物、及びこれらの混合物がある。
【0102】
試験方法
定義の節で記載されたものを含む本明細書に記載のすべての試験及び次の試験方法は、試験に先立つ24時間の間、約(23℃±2.2℃(73°F±4°F)の温度、50%±10%相対湿度の調湿された環境で調湿された試料対して行われる更に、すべての試験は、そのような調湿された部屋で行われる。試験される試料及びフェルトを、画像捕獲に先立つ24時間の間、約23℃±2.2℃(73°F±4°F)の温度及び50%±10%相対湿度にさらさなければならない。
【0103】
A.リント/ピリング試験方法
i.試料の調製
試験に先立ち、繊維性製品試料、繊維性製品の11.4cm×40.6cm(4.5インチ×16インチ)ストリップは、タピ方法(Tappi Method )#T402OM−88に従って調湿される。
【0104】
各繊維性製品試料(両面を試験する場合6つ試料、単面を試験する場合は、3試料)が、取り扱い時磨り減った試料の小片を取り除き、捨てることにより、最初に用意される。繊維性構造体の多プライから形成された繊維性製品に対して、多プライ繊維性製品でリント測定をするために、この試験を使用でき、繊維性製品に損傷を与えることなくプライを分離できる場合、繊維性製品を作る個々のプライに対して、測定を行うことができる。測定される試料が、表面で異なる場合、合成物リントスコアに到達するために、両面を試験し、スコアの平均を取る必要がある。幾つかの場合、繊維性製品は、フェイシングアウト表面が同一であるように、繊維性構造体の多プライから作製され、その場合、1表面を試験するのみでよい。
【0105】
11.4cmCD×10.2cmMD(4.5インチCD×4インチMD)試料を作るために、各試料はそれ自身に折りたたまれる。2表面試験に対して、第一表面「外」を伴う3個の(11.4cmCD×10.2cmMD(4.5インチCD×4インチMD))試料を、第二表面「外」を伴う3個の(11.4cmCD×10.2cmMD(4.5インチCD×4インチMD))試料を作る。いずれの試料が、第一表面「外」で、第二表面「外」であるのか記録を残す。
【0106】
コダージュ社(Cordage Inc.)800E.ロスロード、シンシナティー、オハイオ、45217(800 E. Ross Road, Cincinnati, Ohio, 45217)から76.2cm×101.6cm(30インチ×40インチ)片の三日月形#300厚紙を入手する。ペーパーカッターを使い、厚紙を6.4cm×15.2cm(2.5インチ×6インチ)寸法で6片に切る。厚紙をサザランド摩擦試験機(Sutherland Rub tester)のホールド・ダウン・ピンに押し付けることにより、厚紙6片の各片へ2つの穴を開ける。
【0107】
厚紙片の各片を中心に置き、慎重に6枚(2表面試験)又は3枚(単表面試験)の以前折畳まれた試料の上部に置く。15.2cm(6インチ)寸法の厚紙が各試料の流れ方向(MD)に平行に走っていることを確認する。
【0108】
試料の暴露部分の1片を厚紙の裏面上に折り曲げる。この端を、3M社より入手した接着テープ(1.9cm(3/4インチ)幅のスコッチ・ブランド(Scotch Brand)(ミネソタ州セントポール))で厚紙に固定する。他方の突き出したティッシュの端を慎重につかみ、それを厚紙の裏側にぴったりと折る。試料のスナッグフィットを厚紙上に維持している間、この第二端を厚紙裏面に固定する。各試料についてこの手順を繰り返す。
【0109】
乾燥リント/ピリング試験のために、各試料を引っ繰り返し、試料の横断方向(CD)端を厚紙に固定する。他の半分が厚紙に接着している間、粘着テープの半分は、試料に接触しなければならない。この手順を試料の各々について繰り返す。この試料準備手順の工程中いずれの時間において、試料が、破壊、引き裂き、又は擦り切れる場合、捨てて、試料ストリップを伴う新たな試料を作製する。
【0110】
湿潤リント/ピリング試験に対して、試料の導横断方向(CD)端を厚紙及び試料が置かれる卓上に固定する。試料の後縁が、厚紙端から約0.6cm(1/4インチ)であるように、厚紙上に試料を置く。厚紙の反対(横断)端が卓上端に位置するように、試料の導端が厚紙と卓上に固定される。
【0111】
厚紙上に3つの第一表面「外」試料及び(所望により)厚紙上に3つの第二表面「外」試料が現在ある。
【0112】
ii.フェルト調製
コダージュ社(Cordage Inc.)800E.ロスロード、シンシナティー、オハイオ、45217(800 E. Ross Road, Cincinnati, Ohio, 45217)から76.2cm×101.6cm(30インチ×40インチ)片の三日月形#300厚紙を入手する。ペーパーカッターを使い、厚紙を5.72cm×18.4cm(2.25インチ×7.25インチ)寸法で6片に切る。短い寸法に平行に、厚紙の白面上に上部及び底部最端から2.858cm(1.125インチ)下に、2本の線を引く。直定規をガイドとして使用して、線の全長にかみそりの刃で慎重に切れ目を入れる。切れ目は、用紙の厚さ全体の約半分の深さまで入れる。この切れ目は、フェルト/厚紙の組み合わせが、サザランド摩擦試験機(Sutherland Rub tester)の重りの周辺にしっかりと付くことを可能にする。厚紙のこの切り目を入れた側に、厚紙の長寸法に平行に走る矢印を描く。
【0113】
黒フェルト(F−55又はニュー・イングランド・ガスケット(New England Gasket, 550 Broad Street, Bristol, Conn. 06010)から同等物)を6片、5.72cm×21.6cm×0.158cm(2.25インチ×8.5インチ”×0.0625インチ”)の寸法に切る。フェルトを、厚紙の切り目が入っていない緑色の側の上に、フェルト及び厚紙のいずれの長端も平行であり、揃うように置く。その上、約1.3cm(0.5インチ)の黒フェルトが、厚紙の上部及び底部最端の上にかかることを可能にする。上にかかったフェルト端を厚紙の裏側にスコッチブランドのテープでぴったりととめる、あるいは、以下に議論するフェルト/厚紙の組合せを重りにつなぐ時、フェルトを厚紙にぴったりとあてる。これらのフェルト/厚紙の組み合わせを合計で6つ調製する。
【0114】
湿潤リント/ピリング試験のために、フェルト/厚紙の組合せは、22.9cm(9インチ)ストリップのスコッチブランドテープ(1.9cm(0.75インチ)幅)を含み、そのストリップは、試料が接触するフェルト側上のフェルトの各端に沿って(フェルトの長側に平行に)位置する。2つのテープストリップ間のテープで固定されていないフェルトは、18〜21mmの幅を有する。3つの印が、テープのストリップの1つの上に、フェルトの後裏端から0、4及び8センチメートルに位置する。
【0115】
すべての試料は、フェルトの同じ組で流れなければならない。
【0116】
iii.フェルト/厚紙/重り構成要素
フェルト/厚紙の組合せは、重りと連結される。重りは、フェルト/厚紙の組合せを重りに付けるためのクランプデバイスを含む。重り及びいずれのクランプデバイスは、2.6kg(5ボンド)の重さである。重りは、テキサス、サン・アントニオ(San Antonio, TX)のダニー社(Danilee Company)から入手可能である。重りは、25.81cm2(4in2)の有効な接触領域を有し、約8.6kPa(1.25psi)の接触圧を提供する。
【0117】
iv.乾燥リント/ピル試験への指南
本発明に従う繊維性製品から生成された乾燥リント及び/又は乾燥ピルの量は、(テキサス、サンアントニオ(San Antonio, TX)のダニー社(Danilee Company)から入手可能な)サザランド摩擦試験機(Sutherland Rub Tester)で決定される。この試験機は、フェルト/厚紙/重り構成要素を5回(前後に)繊維性製品上でこすり合わせるモーターを使用し、繊維性製品は、定常位置に拘束されている。フェルトのグレー値が、こすり付け試験の前後で測定される。次に、乾燥リントスコア及び/又は乾燥ピルスコアを計算するために、これらの2つのグレー値の間の差が使用される。
【0118】
サザランド摩擦試験機は、使用前にまず較正しなければならない。はじめに、サザランド摩擦試験機をオンにし、「リセット」ボタンを押す。2つの速度の低い方で5ストローク動くように、試験機を設定する。1ストロークは、おもりの一回の完全な前後運動である。摩擦ブロックの末端部は、各試験の開始時及び終了時に、オペレータに最も近い位置にあるべきである。
【0119】
上述にように、厚紙上に較正試料を用意する。加えて、上述にように、厚紙上に較正フェルトを用意する。これらの較正物品の双方は、器具の較正に使用され、実試料のためのデータ収集には使用されない。
【0120】
ボード内の穴をホールドダウンピンへ滑らせることにより、較正試料/厚紙の組合せを試験機のベースプレート上に置く。押さえピンは、試料が試験中に移動するのを防止する。重りのパッドに接触する厚紙側で、較正フェルト/厚紙の組合せを上述の重り構成要素上にとめる。較正フェルト/厚紙の組合せが、重りに対して平らになっていることを確認する。この重りをサザランド摩擦試験機の試験機アーム上に架け、優しくそれを較正試料/厚紙の組合せの上部に置く。較正フェルトは、較正試料上で水平でなければならず、較正試料表面と100%接触しなければならない。サザランド摩擦試験機を可動し、「開始」ボタンを押す。
【0121】
ストローク数のカウントを保ち、観察し、較正試料に関連する較正フェルトカバー重りの開始及び終了位置に気を留める。ストローク総数が5回である時、較正フェルトカバー重りの位置が、試験の開始時と終了時で同じである場合、試験機は較正され、使用準備ができた。総ストローク数が5回でない時、又は較正フェルトカバー重りの開始及び終了位置が異なる場合、装置は、サービス及び/又は再較正を必要とする。試料の実際の試験中、ストロークカウント及びフェルトカバー重りの開始及び終了点を監視し、観察する。
【0122】
v.湿潤リント/ピル試験への指南
1パスの間、試料上で濡れたフェルト/厚紙/重り構成要素を引くことによって、湿潤リント/ピルは決定される。
【0123】
フェルトを濡らすために、0.6mLの脱イオン水をフェルト上にピペットで移し、フェルトに付着するテープ上に示されている4〜8cmマーク間をできる限り均一に水を分配する。10秒間待機し、次にフェルト/厚紙/重り構成要素を試料の中心に置く。1秒後、フェルト/厚紙/重り構成要素が完全にテーブルから離れるまで、フェルト/厚紙/重り構成要素を水平にリード端で引く。水平引き力以外の付加的な力がフェルト/厚紙/重り構成要素上で働くことを避ける方法で、重りを引く。フェルト/厚紙/重り構成要素を引く処理は、約0.5〜1.5秒を要する。引き処理は、ほぼ連続な又は連続な動作で行われなければならない。
【0124】
慎重に、フェルト/厚紙の組合せをフェルト/厚紙/重り構成要素から取り除き、画像を捕獲する前に乾かす。次に、以下に記載するように、フェルト及び/又は試料の画像解析操作及び計算をする。
【0125】
vi.画像捕獲
フェルト(非試験の)、試料(非試験の)及びフェルト(試験された)の画像が、ニコン・ニコル(Nikon Nikkor)24−85mm f2.8−f4 D 1F AFレンズ(85mm最大ズームに設定)及び適切なコンピュータにインストールされたニコン・キャプチャー・ソフトウェアとともに、ニコンデジタルカメラ(DIX)を使用して捕獲される。図2に模式的に示されるように、カメラ22は、コダックカメラスタンド/照明設定(図示されず)に取り付けられており、その設定は、4個の白熱ランプ24(ポラロイドMP−4ランドカメラ モデル44−22、120ボルト150ワット各)を有しており、それらのランプは、搭載カメラのレンズの下31cm(12.2インチ)に位置するフェルト26に向けられる。個々の白熱ランプ24は、27.94cm(11インチ)離れて位置する。白熱電球24の各ペアは、88.9cm(35インチ)離れて位置する。白熱電球24は、フェルト28の上56.83cm(22 3/8インチ)に位置する。カメラは、適切なケーブルを経由してコンピュータに接続される。カメラは、PCモードでオンしなければならない。カメラレンズ上でボタンをマクロにし、レンズベース上でスイッチをオレンジマークに切り替える。ズームを最大レベル85mmに調節する。オートフォーカス特性をオフにする。画像を捕獲するために、ニコン・キャプチャー・ソフトウェアが操作される必要がある。ニコン・キャプチャー・ソフトウェアの設定は、次のようである。露光1−マニュアル露光モード、1/30秒シャッタースピード、f/6.3開口及びOEV露光補正、露光2−中心重量メーターモード、ISO125感度及び白熱白色バランス、記録設定−生(12ビット)データフォーマット、非圧縮、カラーイメージタイプ及び大(3008×1960)画像サイズ、メカニカル−単一シューティングモード、単一領域AF領域モード、マニュアルフォーカスモード。フェルトが、カメラレンズの下で中心に位置するように、較正フェルト/厚紙の組合せをカメラの下に位置する。マニュアルでフェルトにカメラの焦点を合わす。画像を撮る。露光差が、+2.5〜+2.75の範囲で必要である。画像をTIFFファイル(RGB)8−ビットで保存する。この画像は、画像解析ソフトウェア(Optimas 6.5)でリント及びピリング計算を実行するために使用される。試料/厚紙の組合せ(非試験)及びフェルト/厚紙の組合せ(試験)の付加画像が、同様の方法で捕獲されることが必要である。その上、周知の長さ基準(例、定規)の画像が撮られる(この画像の露光差は問題ではない)。
【0126】
vii.画像解析
捕獲された画像は、メディアサイバネックス社(Media Cybernetics, L.P.)から市場で入手可能なOptimas6.5画像解析ソフトウェアを使って、解析される。比較によるリントスコア及びピルスコア結果を十分に有するために、本明細書でリストされたような、画像設定パラメータは、固く忠実でなければならない。
【0127】
はじめに、周知の長さ基準(例、定規)の画像が、Optimasに取り込まれ、長さ単位(この場合ミリメートル)を較正するために、使用される。
【0128】
乾燥試験に対して、試験されたフェルト画像は、約4510mm2(82mm×55mm)のイントレスト領域(ROI)を有する。的確なROI領域が、測定され、記録される(変数名:ROI領域)。
【0129】
湿潤リント/ピル試験に対して、試験されたフェルト画像は、2つのイントレスト領域(ROI領域)を有する。
【0130】
1)「濡れた」領域(テープ上4〜8cmの間)及び2)「抵抗」領域(テープ上0〜4cmの間)各ROI領域は、約608mm2(38mm×16mm)である。的確なROI領域が、測定され、記録される(変数名:ROI領域)。
【0131】
非試験黒フェルトの画像はオープンにされ、平均グレー値(試験フェルトと同じ非試験フェルトのROIを使用して)が測定され、記録される(変数名:非試験フェルトグレー値平均)。
【0132】
試験された試料のルミナンスは、飽和された白(グレー値=255)であり、関心のある試料に対して一定である。異なると考えられる場合、非試験フェルトに対してなされた類似の方法で試験された試料を測定し、記録する(変数名:非試験試料グレー値平均)。
【0133】
ルミナンス閾値が、非試験フェルトグレー値平均と非試験試料グレー値平均の数値平均として、計算される。
【0134】
試験されたフェルト画像はオープンにされ、ROIが創造され、ROIが解析される試験されたフェルト画像の領域を取り囲むように、適切に配置される。ROIに対する平均ルミナンスが、記録される(変数名:ROIグレー値平均)。
【0135】
ピルが、次のように決定される。Optimasが、画像内に境界線を創造し、ここで、ピクセルルミナンス値は、閾値を通過する(例、閾値が155のグレー値である場合、境界線が、創造され、ここで高及び低値のピクセルがいずれかの側に存在する)。ピルを決定する基準は、それが、閾値より高い平均ルミナンスを有し、乾燥ピルに対し2mm、湿潤ピルに対して0.5mmより長い周辺長を有さなければならないことである。ROI内に存在するピル領域は、加算される(変数名:総ピル領域)。
【0136】
viii計算
画像分析から得られたデータは、次の計算で使用される。ピル領域%=総ピル領域/ROI領域
平均ピル寸法(領域重量平均、mm2)=Σ(ピル領域)2/総ピル領域
リントスコア=非ピルフェルトグレー値平均−非試験フェルトグレー値平均
式中、非ピルフェルトグレー値平均=[(ROIグレー値平均×ROI領域)―(ピルグレー値平均×ピル領域)]/総非ピル領域
総領域リント及びピルスコア=ROIグレー値平均−非試験フェルトグレー値平均
第1側表面及び第2側表面上のリントスコアの平均を取ることにより、リントが得られ、その特定のウェブ又は製品に応用可能である。換言すれば、リントスコアを計算するために、次の式が使用される。
【0137】
【数1】

B.ポリマー溶融組成物の剪断粘度測定試験方法
本発明のポリマー溶融組成物の剪断粘度は、米国ロックヒルSC(Rock Hill SC)のゲットファートUSA(Goettfert USA)で製造された毛管レオメーター(Goettfert Rheograph 6000)を使用して、測定される。測定は、1.0mmの直径D及び30mmの長さL(すなわちL/D=30)を有するキャピラリーダイを用いて行われる。ダイはレオメーターの20mmバレルの低い方の末端に取り付けられ、これは約75℃のダイ試験温度に保持される。ダイ試験温度に予め加熱されたポリマー溶融組成物の試料60gをレオメーターのバレル部分内に装填する。試料からすべての混入空気を取り除く。一連の選択された速度、1,000〜10,000sec-1で、バレルからキャピラリーダイを通して試料を押す。見かけ剪断粘度は、試料がバレルからキャピラリーダイを通って進むときに試料に生じる圧力低下及びキャピラリーダイを通る試料の流量から、レオメーターのソフトウェアを用いて計算することができる。log(見かけ剪断粘度)をlog(剪断断速度)に対してプロットすることができ、プロットは以下の式に従って指数法則により適合されることができ、
η=Kγn-1、式中、Kは原料の粘度定数であり、nは原料の減粘指数であり、γは剪断速度である。本明細書の組成物の報告される見かけ剪断粘度は、剪断速度3,000sec−1に対する補間により指数法則関係を用いて計算される。
【0138】
C.剪断粘度変化試験方法
試験される架橋システムを含む本発明の単一ポリマー溶融組成物の3つの試料の粘度が、3つの分離された60ccの注射器を満たすことによって測定される。ポリマー溶融組成物測定試験方法の剪断粘度に従って、1つの試料の剪断粘度が即座に測定される(初期剪断粘度)(第一指数を得るのに、試料がレオメーターに置かれた時刻から約10分を要する)。この第1の試料の初期剪断粘度が剪断速度3,000sec−1で測定したとき5〜8Pa.sの範囲内にない場合には、その単一のポリマー溶融組成物の初期剪断粘度が剪断速度3,000sec−1で測定したとき5〜8Pa.sの範囲内となるようにその単一のポリマー溶融組成物を調節して、この剪断粘度変化試験方法を繰り返さなければならない。ポリマー溶融組成物の初期剪断粘度が剪断速度3,000sec−1で測定して5〜8Pa.sの範囲内に入ったら、次に他の2つの試料を対流式オーブン中で80℃でそれぞれ70分及び130分保存した後、同じ試験方法によって測定する。70分及び130分の試料に対する3,000sec−1での剪断粘度は、初期剪断粘度で除され、70分及び130分の試料に関する標準化された剪断粘度変化を得る。標準化された剪断粘度変化が70分後に1.3倍以上、及び/又は130分後に2倍以上であるならば、その場合はポリマー溶融組成物内の架橋系は許容できないものであり、したがって本発明の範囲内に入らない。しかしながら、規格化された剪断粘度変化は、70分後1.3回未満であり、及び/又は(好ましくは及び)130分後2回未満である場合、架橋システムは、許容不可能ではなく、したがって、架橋システムを含むポリマー溶融組成物に対する本発明の範囲内である。好ましくは、架橋システムは、初期総湿潤引張り試験方法により定められるような、架橋システムを含むポリマー溶融組成物から誘導された高分子構造体に対して許容可能である。
【0139】
好ましくは、標準化された剪断粘度変化は70分後に1.2倍未満、及び/又は130分後に1.7倍未満となり、より好ましくは70分後に1.1倍未満、及び/又は130分後に1.4倍未満となる。
【0140】
D.初期総湿潤引張強度試験方法
電子的引張り試験機(Thwing-Albert EJA Materials Tester, Thwing-Albert Instrument Co., 10960 Dutton Rd., Philadelphia, Pa., 19154)が使用され、2.54cm(1インチ)幅及び7.6cm(3インチ)長さの高分子構造体のストリップを使って、約10.16cm(4.0インチ)毎分のクロスヘッド速度及び約2.54cm(1.0インチ)のゲージ長で操作される。ストリップの2つの端部が機械の上側つかみ具内に配置され、ストリップの中央がステンレススチールのペグ(直径0.5cm)の周りに配置される。ストリップがスチールのペグの周囲で均一に曲げられていることを確認した後、ストリップを約20℃の蒸留水に5秒間浸漬させてから、クロスヘッドの移動を開始する。試験の初期結果は、負荷(グラム重量)対クロスヘッドの変位(開始点からのセンチメートル)の形態の一連のデータである。
【0141】
試料は、本明細書ではMD(機械方向、すなわち連続巻取りリール及び形成生地と同じ方向)及びCD(機械横方向、すなわちMDから90°)と称される2つの配向において試験される。MD及びCD湿潤引張強度は上記の装置及び以下の様な計算式を用いて決定される:
初期総湿潤引張=ITWT(gf/インチ)=ピーク荷重MD(gf)/2(インチ幅)+ピーク荷重CD(gf)/2(インチ幅)
次いで、初期総湿潤引張強度の値はそれが試験されたストリップの坪量に対して標準化される。使用された標準化坪量は36g/m2であり、以下のように計算される。
【0142】
標準化{ITWT}={ITWT}*36(g/m2)/ストリップの坪量(g/m2
高分子構造体、特に繊維性構造体及び/又は本発明の架橋システムを含む高分子構造体を含む繊維性製品の初期総湿潤引張は、少なくとも3g/2.54cm(3g/in)及び/又は少なくとも4g/2.54cm(4g/in)及び/又は少なくとも5g/2.54cm(5g/in)である場合、架橋システムは、許容可能であり、それに対応する高分子構造体及び/又は繊維性構造体及び/又は繊維性製品とともに、本発明の範囲内である。
【0143】
E.繊維直径試験方法
適当な秤量(およそ5〜20g/平方メートル)の繊維を含む高分子構造体を、およそ20mm×35mmの方形に裁断する。次に繊維を比較的不透明にするために、SEMスパッターコーター(米国ペンシルベニア州、EMS社(EMS Inc))を用いて、試料を金でコーティングする。典型的なコーティングの厚さは50〜250nmである。次いで試料を2枚の標準顕微鏡スライドの間に載せて、小さなバインダークリップを用いて圧縮する。試料をオリンパス(Olympus)BHS顕微鏡で10X対物レンズを用い顕微鏡光コリメータレンズ(light-collimating lens)をできるだけ対物レンズから遠ざけるように動かして画像化する。画像をニコン(Nikon)D1デジタルカメラを用いて撮影する。画像の空間距離を較正するためにガラス顕微鏡ミクロメーターを使用する。画像のおよその解像度は1μm/ピクセルである。画像は典型的には、繊維及び背景に対応する強度ヒストグラムにおけるはっきりした二峰性分布を示す。許容可能な二峰性分布を達成するために、カメラ調節又は異なる坪量が用いられる。典型的には試料1つ当たり10枚の画像が撮られ、画像分析結果が平均される。
【0144】
画像は、B.ポアデイヒミ(Pourdeyhimi)、R.及びR.デント(Dent)によって「不織布の繊維直径分布測定(Measuring fiber diameter distribution in nonwovens)」(織物研究誌(Textile Res.J.)69(4)233〜236、1999年)に記載されているものと同様の方法で分析される。MATLAB(バージョン6.3)及びMATLABイメージプロセッシングツールボックス(MATLAB Image Processing Tool Box)(バージョン3)を使用するコンピュータによって、デジタル画像が分析される。画像はまずグレースケールに変換される。次いで画像を、閾値化された白黒ピクセルの種類内の相違を最小限にする閾値を用いて白黒ピクセルへと二値化する。画像は二値化されると、各繊維の中心が画像中に位置決めされるように骨格化される。二値化された画像の距離の変換もまた計算される。骨格化された(skeltonized)画像と距離地図のスカラ積が、ピクセル強度がゼロかその位置での繊維の半径かのどちらかである画像を提供する。2つの重なり合う繊維間の接合部の1つの半径内でのピクセルは、それらが示す距離がその接合部の半径よりも小さい場合はカウントされない。次いで残りのピクセルを用いて、画像中に収容された繊維直径の長さ加重ヒストグラム(length-weighted histogram)を計算する。
【0145】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれているが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であるとの容認と見なされるべきではない。
【0146】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明に従った、高分子構造体を作成するための方法の模式図。
【図2】本明細書に記載のリント/ピリング試験方法での使用に適したカメラ設定の模式図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのPVOHヒドロキシルポリマーを含むヒドロキシルポリマーを含む、PVOHで処理されたヒドロキシルポリマー組成物を含む高分子構造体であって、ピーク荷重で少なくとも5%の伸び及び/又は破壊荷重で少なくとも10%の伸びを示す高分子構造体。
【請求項2】
前記ヒドロキシルポリマーが、ポリビニルアルコール誘導体、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロース誘導体、ガム、アラビナン、ガラクタン、タンパク質、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、前記ヒドロキシルポリマーが、デンプン及び/又はデンプン誘導体を含む、請求項1に記載の高分子構造体。
【請求項3】
前記PVOHで処理されたヒドロキシルポリマー組成物が、架橋剤を含む架橋システムを含み、ここで、前記高分子構造体が全体で融点を示さないように、前記ヒドロキシルポリマーが、前記架橋剤によって架橋される、請求項1または2のいずれか1項に記載の高分子構造体。
【請求項4】
前記高分子構造体が、繊維、フィルム、及び発泡体からなる群から選択される形態であり、好ましくは繊維状であり、更に好ましくは、50μm未満の繊維直径を示す繊維状である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子構造体。
【請求項5】
繊維性構造体が、ピーク荷重で少なくとも5%の伸びと破壊荷重で少なくとも10%の伸びを示し、好ましくは前記繊維性構造体が、互いに結合する2種類以上の繊維を含み、更に好ましくは前記繊維性構造体が、互いに対して共通の示強性の異なる値を示す2種類以上の領域を含み、最も好ましくは前記共通の至強性が、密度、坪量、キャリパー、基材の厚さ、隆起、不透明度、クレープ頻度及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記繊維性構造体における請求項4に記載の繊維状高分子構造体の使用。
【請求項6】
前記繊維性構造体が、結合された繊維を含む第一領域と結合されていない繊維を含む第二領域とを含む、請求項4に記載の高分子構造体の使用。
【請求項7】
a.PVOHヒドロキシルポリマーを含むPVOHポリマー溶融組成物を準備する工程と、
b.繊維状高分子構造体を形成するために、前記PVOHポリマー溶融組成物をポリマー処理する工程と、
c.任意に、前記繊維状高分子構造体を繊維性構造体に組み込む工程と、
ここで前記繊維性構造体が、ピーク荷重で少なくとも5%の伸び及び/又は破壊荷重で少なくとも10%の伸びを示し、
を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子構造体の製造方法。
【請求項8】
2種類以上の領域が、互いに対して異なる密度を示すように、前記繊維性構造体を示差的に高密度化する工程を含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記示差的に高密度化する工程が、湿度の存在下で前記繊維性構造体を模様を含む構造付与要素と接触させることと、示差的高密度化高分子構造体を形成するために、前記繊維性構造体が前記構造付与要素上で前記模様の形状を受け取るように力を前記繊維性構造体及び/又は前記構造付与要素に加えることとを含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記繊維性構造体を前記示差的に高密度化する工程が、湿度の存在下で2枚のベルトの間に前記繊維性構造体を挟み込むことと、ここで前記ベルトの少なくとも1枚が模様を含む構造化ベルトであり、示差的高密度化高分子構造体を形成するために、前記繊維性構造体が前記構造化ベルト上で前記模様の形状を得るように、力を前記ベルトの少なくとも1枚に加えることとを含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記繊維状高分子構造体が全体で融点を示さないように、前記繊維性構造体が、前記ヒドロキシルポリマーを架橋可能にする架橋剤を含む架橋システムを含み、ここで好ましくはプロセスが、前記架橋剤を硬化する工程を含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項12】
a.少なくとも1つが繊維状高分子構造体を含む2種類以上の繊維を含む繊維性構造体を準備する工程と、
b.任意に、結合された繊維を含む第一領域と結合されていない繊維を含む第二領域とを含む繊維性構造体が形成されるように、2種類以上の繊維を互いに結合させる工程と、
を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−536435(P2007−536435A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508655(P2007−508655)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/015329
【国際公開番号】WO2005/108658
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】