説明

高周波ケーブル

【課題】 300A〜1500Aの範囲の電流を、できる限りエネルギ散逸の場が小さく、損失を少なくして伝送することが可能である高周波ケーブルを提供する。
【解決手段】 本発明は、各導電性ワイヤ22からなるストランド2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’と、各ワイヤ22を囲む導体としての外被21とを備える高周波ケーブル1であって、各ワイヤ22は塗布絶縁層に担持される高周波ケーブルに関する。高周波ケーブル1は、少なくとも1つのストランド対2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’を備え、該対の一方2,2’,2’’,2’’’は、給電線導体として用いられ、他方3,3’,3’’,3’’’は、帰線導体として用いられ、ストランド対2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’の該給電線導体と該帰線導体とは、互いに平行に延びて束ねられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ワイヤからなるストランド(より線)と、ワイヤを囲む、導電体としての外被とを備える高周波ケーブルに関し、各ワイヤは塗布絶縁層を担持する。
【背景技術】
【0002】
高周波電流は、特に、高周波電流が信号伝送のために利用される高周波技術において利用される。
【0003】
高周波信号の伝送には、同軸ケーブルを利用することが多く、該同軸ケーブルは、ワイヤまたはストランドからなる内部導体と、交織ケーブルからなる外部導体を含む。ストランドからなる内部導体を含むケーブルは、たとえば、特許文献1から知られる。特許文献1に開示されるケーブルは、高電圧の場合における100kWより大きな出力の伝送に適している。
【0004】
高周波技術においては、高周波ストランド(HFより線)も用いられ、該ストランドの場合には、各ワイヤは同じ電位を導くけれど、塗布層によってそれぞれ互いから絶縁されている。したがって、表皮効果の影響は低減または防止することが可能である。電流搬送に用いられる、導体の全横断面積を大きくすることが可能である。
【0005】
さらにまた、固定内部導体と外部導体としてのチューブとを備える同軸ケーブルについて記載されている。
【0006】
これまで、300Aから1500Aまでの強い電流の高周波電流を通すことが可能であるケーブルは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】スイス特許公開第205040号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明が提供される。
本発明は、300A〜1500Aの範囲の電流を、できる限りエネルギ散逸の場が小さく、損失を少なくして伝送することが可能である高周波ケーブルを提供するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、高周波ケーブルが、ストランド対であって、その内の一方が給電線導体として、他方が帰線導体として利用可能であるストランド対を少なくとも1つ備え、これらの給電線導体と帰線導体とは互いに平行に設けられて線束を形成することによって解決される。
【0010】
ストランド対の各ストランドは、平行に設けられる。大きなエネルギ散逸の場は形成されず、損失は小さく、給電線導体と帰線導体とをできる限り近くに一緒に配設することができる。
【0011】
1つのケーブルにおいて、複数の、好ましくは最大4つのストランド対を束ねることが可能である。該線束は、できる限り円形の断面を有する構成であることが好ましい。
【0012】
ストランド対が4より多い場合、場合によっては、ストランド中に変換される出力を生じさせる熱を最適に導くことができず、および/または近接効果が一層強く現れる。
【0013】
これらの給電線導体と帰線導体とは、好ましくは、発明に従った高周波ケーブルの両端部で、通電可能に互いに結合されている。好ましくは、ケーブルラグが用いられ、それらははんだづけ、および/または圧着される。特に有利なことに、すべての各ワイヤがこの結合部に取り込まれ、通電のために使える断面が小さくなる。
【0014】
機械的保護として、織物チューブが利用される。織物チューブは、絶縁部における損傷を防止する。チューブは、好ましくは、ストランド冷却のための通気を可能とするために、目の粗い織物がよい。
【0015】
ストランドは、2000〜4000のワイヤを有することが可能である。ストランドの各ワイヤは、0.0157mmの断面積を有することが可能である。
各ワイヤはよることも、および/またはねじることも可能である。
【0016】
ケーブルは、好ましくは、1A〜1500Aの電流用として準備される。測定電流の場合、8A/mmまでの中間電流密度が生じる。ケーブルを流れる電流は、1Hz〜150Hzの周波数を有する。
【0017】
さらに詳しくは、本発明は、各導電性ワイヤ(22)からなるストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)と、各ワイヤ(22)を囲む導体としての外被(21)とを備える高周波ケーブル(1)であって、各ワイヤ(22)は塗布絶縁層に担持される高周波ケーブルにおいて、
少なくとも1つのストランド対(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)を備え、該対の一方(2,2’,2’’,2’’’)は、給電線導体として用いられ、他方(3,3’,3’’,3’’’)は、帰線導体として用いられ、
ストランド対(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)の該給電線導体と該帰線導体とは、互いに平行に延びて束ねられることを特徴とする高周波ケーブルである。
【0018】
また本発明において、複数のストランド対(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)を備え、各ストランド対(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)は、互いに平行に延びて束ねられることが好ましい。
【0019】
また本発明において、高周波ケーブルの両端部では、給電線導体(2,2’,2’’,2’’’)が互いに電気的に結合され、帰線導体(3,3’,3’’,3’’’)が互いに電気的に結合されていることが好ましい。
【0020】
また本発明において、ストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)は、目の粗い織物チューブによって束ねられていることが好ましい。
【0021】
また本発明において、ストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)は、2000〜4000のワイヤを含むことが好ましい。
【0022】
また本発明において、ストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)の各ワイヤは、0.0157mmの断面積を有することが好ましい。
【0023】
また本発明において、ストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)の各ワイヤは、よられている、および/またはねじられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、このように構成することによって、300A〜1500Aの範囲の電流を、できる限りエネルギ散逸の場が小さく、損失を少なくして伝送することが可能である高周波ケーブルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】発明に従った高周波ケーブルの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に従った高周波ケーブルの実施形態について、図を参照して説明する。
発明に従った高周波ケーブル1は、8つの高周波ストランド2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’を備え,これらは、2,3;2’,3’;2’’,3’’;2’’’,3’’’の組みにまとめられる。該高周波ストランドは、多くの個別のワイヤ22からなり(たとえば、4000)、塗布絶縁層を有し、各ワイヤ22は、ストランド2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’における各場所において同じように延びるように編まれる。このようなストランドを用いることによって、表皮効果および近接効果の負の結果に対抗するために、電流が流れる面を大きくする。各ストランド2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’は、絶縁電圧に応じて、適切な材料からなる外被21を有する。
【0027】
ストランド対2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’は、給電線導体2,2’,2’’,2’’’としてのストランドと、帰線導体3,3’,3’’,3’’’としてのストランドとを含む。1つのストランド対の給電線導体と帰線導体とは、互いに平行に、およびできる限り互いに非常に近接して配設され、したがって、大きなエネルギ散逸の場は形成されず、結果として損失が少なくてすむ。
【0028】
ストランド2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’は、目の粗い織物チューブ内に収納され、該織物チューブは、特にストランド2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’の外被21であるが、ストランド2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’の機械的保護を提供する一方、他方において、通電部分の冷却のための十分な通気を織物の目を通して可能にする。ケーブル1の織物チューブ4中において、4つのストランド対2,3;2’,3’;2’’,3’’;2’’’,3’’’が、可能なかぎり円い束にされている。
【符号の説明】
【0029】
1 高周波ケーブル
2,2’,2’’,2’’’ ストランド
3,3’,3’’,3’’’ ストランド
4 織物チューブ
21 外被
22 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各導電性ワイヤ(22)からなるストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)と、各ワイヤ(22)を囲む導体としての外被(21)とを備える高周波ケーブル(1)であって、各ワイヤ(22)は塗布絶縁層に担持される高周波ケーブルにおいて、
少なくとも1つのストランド対(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)を備え、該対の一方(2,2’,2’’,2’’’)は、給電線導体として用いられ、他方(3,3’,3’’,3’’’)は、帰線導体として用いられ、
ストランド対(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)の該給電線導体と該帰線導体とは、互いに平行に延びて束ねられることを特徴とする高周波ケーブル。
【請求項2】
複数のストランド対(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)を備え、各ストランド対(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)は、互いに平行に延びて束ねられることを特徴とする、請求項1に記載の高周波ケーブル(1)。
【請求項3】
高周波ケーブルの両端部では、給電線導体(2,2’,2’’,2’’’)が互いに電気的に結合され、帰線導体(3,3’,3’’,3’’’)が互いに電気的に結合されていることを特徴とする、請求項2に記載の高周波ケーブル。
【請求項4】
ストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)は、目の粗い織物チューブによって束ねられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高周波ケーブル。
【請求項5】
ストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)は、2000〜4000のワイヤを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波ケーブル。
【請求項6】
ストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)の各ワイヤは、0.0157mmの断面積を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波ケーブル。
【請求項7】
ストランド(2,3,2’,3’,2’’,3’’,2’’’,3’’’)の各ワイヤは、よられている、および/またはねじられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の高周波ケーブル。

【図1】
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【公開番号】特開2012−243770(P2012−243770A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−112896(P2012−112896)
【出願日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(511011861)
【氏名又は名称原語表記】AEG Power Solutions B.V.
【住所又は居所原語表記】Weerenweg 29 Zwanenburg The Netherlands
【Fターム(参考)】