説明

高周波伝送用ロータリージョイントおよびその製造方法

【課題】 10MW以上の大電力で周波数10GHz以上のマイクロ波を伝送する場合でも、導波管内での放電を有効に防止でき、これにより安定したマイクロ波の伝送が可能な高周波伝送用ロータリージョイントを提供する。
【解決手段】 本発明の高周波ロータリージョイントは、内部に高周波伝送用の中空の導波路12b、14bを有する一対の導波管12、14が同軸の軸心Zを中心に互いに回転可能に接続されてなり、一対の導波管のうち一方の導波管13の円筒部16が軸方向に直列に配列される複数のブロック16a、16b、16cで構成された高周波伝送用ロータリージョイントである。各ブロック16a、16b、16cの継ぎ目位置は、導波管12の円筒部16内周面に沿って軸方向に周期的に現れる高電場位置A及びその近傍を回避した位置となっている。また、この継ぎ目位置は、高電場位置間にあって電場が最低となる低電場位置B又はその近傍に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療装置等に用いる高周波伝送用ロータリージョイントに関し、さらに詳しくは、10MW以上の大電力で10GHz以上のマイクロ波を伝送するのに好適な高周波伝送用ロータリージョイントおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネトロンやクライストロンで発生したマイクロ波を用いた放射線治療装置として、例えば、下記特許文献1が開示されている。
【0003】
特許文献1の放射線治療装置は、図5に示すように、電子銃、線形加速器及びターゲットを有する照射ヘッド51と、この照射ヘッドを予め定めた球面座標上で支持しかつ移動させる支持移動機構52と、床に設置されるマイクロ波発振器53と、一端部がマイクロ波発振器に電磁気的に接続され他端部が線形加速器に電磁気的に接続される導波管部54と、照射ヘッド内に位置する導波管部に設けられるRF窓とを具備するものである。
【0004】
またこのような放射線治療装置において、各導波管部54は金属製の中空管であることから、複数の導波管部を回転可能にかつ電磁気的に接続するために、ロータリージョイントが用いられる。このロータリージョイント(特許文献1におけるロータリRFカプラ)は、図6に示すように、導波管54の導波路はロータリージョイント56の回転部材に取り囲まれた回転スペース57a,57bに連通し、この中を管内モード2a(2b)でマイクロ波が導かれるようになっている。なお、この図において、58は軸受を示し、59はλ/4波長チョークを示す。このようなロータリージョイント56と導波管部54との組み合わせにより、床等に固定されたクライストロン等の加速マイクロ波源から移動する照射ヘッドへ加速用のマイクロ波を円滑に供給することができる。
【0005】
近年、高周波機器における技術動向は大電力で小型の方向に向かっており、10MWクラスの大電力の高周波を伝送可能な機器が望まれている。一般的な高周波機構では、その伝送するマイクロ波の周波数帯域が広いため、数10MHzレベルで共振周波数を合わせ込む必要はない。しかし、大電力の高周波を伝送するような高周波機構においては、導波路内での放電を防ぐために、表面電界強度を小さくする形状・寸法を採用する必要があり、それにより伝送する周波数帯域が、20MHz程度まで狭くなってしまう場合がある。さらに、ロータリージョイントの場合には、回転機構に起因する共振周波数の変動が30MHz程度ある。このため、ロータリージョイントの共振周波数を運転周波数に極力近づける必要がある。
【0006】
そこで、本出願人は、特願2004−167981号において、実用性が高く、低コストで、かつ簡単に所望の共振周波数に調整することが可能な高周波伝送用ロータリージョイントを出願した。図7はこのロータリージョイントの断面図であり、1対の導波管71、72のうち一方の導波管71の円筒部73は、軸方向に直列に配列される3つのブロック73a、73b、73cから構成されており、そのうちの軸方向中間部に位置するブロック73bは周波数調整用ディスクであり、この周波数調整ディスク73bの軸方向の厚さを調整することにより所望の共振周波数に調整されている。かかる構成により、共振周波数の微調整が可能となるとともに、導波管の一構成部分に周波数調整機構を組み込んだので、ロータリージョイントに周波数調整機構を別途設ける必要がなく、低コストで共振周波数を調整することができる等の作用効果を奏するものとなっている。
【0007】
ところで、従来のロータリージョイントは、可動部における電気的接触部での放電(スパーク)が問題となっており、これに関連して下記特許文献2が開示されている。特許文献2の「ロータリージョイント」は、高電力を扱う場合のスパーク発生を防止することを目的の一つとし、図8に示すように、導電性部材からなるグランド板81と、このグランド板81に垂直に立設されキャビティ回転用の中心軸線となる第1モノポールアンテナ82と、この第1モノポールアンテナ82の周囲に回転自在に配設されかつグランド板81の上方に保持された導電性部材からなる有頭筒状のキャビティ85と、このキャビティ85の頭部カバー84に垂設され、第1モノポールアンテナ82と平行な第2モノポールアンテナ86とを備えている。かかる構成により、アンテナ間を広い寸法に設定して高周波電力を伝達させ、高電力を扱う場合のスパーク発生を防止している。
【0008】
【特許文献1】特開2003−175117号公報
【特許文献2】特開平10−163701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これまで、10MW以上の大電力で周波数が10GHz以上の高周波に対応したロータリージョイントは無かったことから、導波管内での放電の問題は少なかった。しかしながら、10MW以上の大電力で周波数が10GHz以上の高周波に対応したロータリージョイントにあっては、単位体積あたりの投入エネルギーが非常に大きくなるため、導波管内での放電が問題となってくる。
【0010】
本出願人が特願2004−167981号で提案した高周波伝送用ロータリージョイントにあっては、導波管の円筒部を複数の部品で構成し、これらをロウ付け等で接合して製作するものであり、各構成部品の内径は、各部品の継ぎ目(接合部)に段差を生じないように設計されている。しかしながら、実際上は、加工精度等に起因する機械的な寸法誤差により各部品の継ぎ目には微視的には段差が生じ、完全に平坦とはならない。このため、この段差部が導波管内の高電場に位置した場合、あるいは比較的低電場に位置した場合でも段差部で放電する可能性があるという問題が生じる。一方、上記特許文献2の技術は、可動部における電気的接触部での放電を防止するものであり、かかる問題を解決するものではなかった。
【0011】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、複数の構成部品を接合してなる導波管を有するロータリージョイントにおいて、導波管内での放電を有効に防止でき、これにより、10MW以上の大電力で10GHz以上のマイクロ波を伝送する場合でも安定したマイクロ波の伝送を可能とする高周波伝送用ロータリージョイントおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の高周波伝送用ロータリージョイントは、内部に高周波伝送用の中空の導波路を有する一対の導波管が同軸の軸心を中心に互いに回転可能に接続されてなり、前記一対の導波管のうち少なくとも一方の導波管の円筒部が軸方向に直列に配列される複数のブロックで構成された高周波伝送用ロータリージョイントであって、前記複数のブロックの継ぎ目位置は、導波管の円筒部内周面に沿って軸方向に周期的に現れる高電場位置及びその近傍を回避した位置となっている、ことを特徴としている(請求項1)。
【0013】
また、上記本発明において、好ましくは、前記複数のブロックの継ぎ目位置は、前記高電場位置間にあって電場が最低となる低電場位置又はその近傍に位置している(請求項2)。
【0014】
また、上記本発明において、好ましくは、前記ブロックの数は3つであり、軸方向中間部のブロックとその両側のブロックとの継ぎ目位置は、共に、高電場位置間に位置している(請求項3)。
【0015】
また、本発明の高周波伝送用ロータリージョイントの製造方法は、内部に高周波伝送用の中空の導波路を有する一対の導波管が同軸の軸心を中心に互いに回転可能に接続されてなり、前記一対の導波管のうち少なくとも一方の導波管の円筒部が軸方向に直列に配列される複数のブロックで構成された高周波伝送用ロータリージョイントの製造方法であって、導波管の円筒部内周面に沿って軸方向に周期的に現れる高電場位置と該高電場位置間にあって電場が最低となる低電場位置を求める工程と、前記複数のブロックの継ぎ目位置が、高電場位置及びその近傍を回避し且つ低電場位置又はその近傍に位置するように各ブロックを製作する工程とを含む、ことを特徴としている(請求項4)。
【発明の効果】
【0016】
ピークパワーが10MWクラスで周波数が10GHz以上の高周波を伝送するロータリージョイントでは、放電限界となる電場(約10MV/m)近くの電場が導波管内に発生する。最大電場、この最大電場に次ぐ高電場、電場がほぼゼロに近い低電場(最低電場)の位置はそれぞれ導波管の形状(内径、長さ)により一義的に決定され、この位置は、導波管の軸方向に周期的に現れる。そして、この高電場位置、低電場位置は導波管内の電場解析を行うことにより求めることができる。そこで、本発明では、導波管の各ブロックの継ぎ目位置を、導波管の円筒部内周面に沿って軸方向に周期的に現れる高電場位置及びその近傍を回避した位置とする。これにより、各ブロックの継ぎ目位置が、放電を生じる可能性のある高電場位置にくることがないので、導波管内での放電の可能性を低くすることができる。また、継ぎ目位置を、低電場位置又はその近傍に位置付けるようにすれば、さらに放電しにくくなるため、導波管内での放電を一層有効に防止することができる。
【0017】
つまり、本発明によれば、10MW以上の大電力で周波数10GHz以上のマイクロ波を伝送する場合でも、導波管内での放電を有効に防止でき、これにより安定したマイクロ波の伝送が可能となるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るロータリージョイントの断面図である。このロータリージョイントは、マグネトロンやクライストロンで発生した大電力(例えば10MW)で約11GHzの高周波を伝送するために用いる。
【0020】
同図に示すように、このロータリージョイントは、一対の導波管12、14と、回転支持部20と、1/4波長チョーク30とを備えている。一対の導波管12、14は、その端面が一定の隙間15を隔てて直列に、かつ、回転支持部20によって同心の軸心Z−Zを中心に互いに相対的に回転可能に接続されている。
【0021】
この導波管12、14は、内部にマグネトロンやクライストロンで発生した高周波を伝送するための中空の導波路12b、14bを有し、内部に断面円形の導波路を形成する中空円筒形の円筒部16と、円筒部16の端部を閉じる端板17と、円筒部16と端板17に連結されその軸方向が円筒部16の軸方向と直角方向を向き内部に断面矩形の導波路を形成する矩形部18とから構成されている。
【0022】
回転支持部20は、一方の導波管12に嵌合する円筒形の補強ピース21と、補強ピース21の外周部に嵌合する軸受22と、これらを覆う軸受ハウジング23とから構成され、これにより、一対の導波管12、14の相対的回転を支持している。なお、補強ピース21と軸受ハウジング23の間にはガスシール24が介装され、これにより絶縁媒体として導波管内に封入したガスが隙間15から漏れるのを防止している。
【0023】
ここで、SF(6フッ化硫黄)は、電子を付着して負イオンになりやすい負性気体の1つで、ガス絶縁方式の絶縁媒体として特に適しており、大気絶縁と比較して高絶縁耐力を有するために機器の小型化が可能になるという特徴がある。また、SFガスの絶縁耐力(交流放電電圧)は、大気圧よりも加圧するほど高まることが知られている。そこで、絶縁媒体として導波管内に封入するガスとしては、加圧したSFガスを用いることが好ましい。
【0024】
1/4波長チョーク30は、断面コ字型の空間が周方向に延びて形成されており、このチョーク構造により、回転支持部20側への高周波漏れを低減している。
【0025】
図2は、図1において回転支持部20を除いた状態の断面図である。この図に示すように、導波管12の円筒部16は、軸方向に配列される3つのブロック16a、16b、16cから構成されている。この3つのブロック16a、16b、16cのうち軸方向中間部(図で中央部)に位置するブロック16bは、周波数調整用ディスクであり、この周波数調整用ディスク16bの軸方向の厚さを調整することにより所望の共振周波数に調整されている。ロータリージョイントの共振周波数は、導波管の内径や長さなど体積によって調整することができるので、この周波数調整ディスク16bの厚さを調整することで、導波管の長さLを調整し、共振周波数調整を行う。また、後述するように、ブロック16a、16b、16cの継ぎ目位置は、導波管12、14の円筒部内周面に沿って軸方向に周期的に現れる高電場位置及びその近傍を回避した位置で、かつ、高電場位置間にあって電場が最低となる低電場位置又はその近傍に位置している。
【0026】
次に、このロータリージョイントの製造方法について説明する。
【0027】
図3は、ロータリージョイントの電場解析の結果を示すものである。この図は、図1、図2における軸心Zより上側の導波路内の電場を示しているが、下側の電場は軸心Zを中心に対称に現れる。なお、電場と導波管との位置関係を明確にするため、一対の導波管12、14の円筒部16を点線で示している。図中Lは、図1、図2における導波管の長さLを意味する。同図に示すように、導波管12、14の円筒部内周面に沿って軸方向に周期的に電場が高くなる高電場位置Aが現れ、この高電場位置Aの間に電場がほぼゼロとなる低電場位置Bが現れることが分かる。この高電場位置A、低電場位置Bは、導波管の形状(内径、長さ)により一義的に決定され、高電場位置Aは高周波の波長λに相当するピッチで周期的に現れる。なお、導波路内の最高電場(約10MV/m)は図中C点で発生するため、高電場位置Aにおける電場は最高電場より低い値となる。そこで、まず、製作予定のロータリージョイントと同一寸法のロータリージョイントを用いて導波管内の電場解析を行い、高電場位置Aと低電場位置Bを求める。
【0028】
次に、ロータリージョイントを構成する各構成部品を製作する。また、一対の導波管のうちいずれか一方の導波管(この例では左側)は、軸方向に直列に配列される3つのブロック16a、16b、16cで構成されるものとし、このうち軸方向中間部となるブロック16bを周波数調整用ディスクとする。このとき、3つのブロック16a、16b、16cの軸方向の厚さは、各ブロックの継ぎ目位置が電場解析により求めた高電場位置A及びその近傍を回避した位置で、好ましくは、低電場位置B又はその近傍に位置するように設定しておく。これにより、各ブロックの継ぎ目位置が、放電を生じる可能性のある高電場位置Aにくることがないので、導波管内での放電の可能性を低くすることができる。また、継ぎ目位置を、低電場位置Bはその近傍に位置付けるようにすれば、さらに放電しにくくなるため、導波管内での放電を一層有効に防止することができる。なお、後述するように、周波数調整用ディスク16bは、共振周波数の微調整のために切削等により厚さbが変化するため、この厚さ変化分をある程度考慮して厚さを決定することが好ましい。
【0029】
この例のように、導波管12の円筒部が3つのブロックからなる場合、これらの間で継ぎ目が2箇所でき、この継ぎ目が共に、高電場位置間に位置するように設定する必要がある。ところが、一方の継ぎ目位置を低電場位置Bに一致させると他方の継ぎ目位置をこの低電場位置Bに一致させることができなくなる。そこで、周波数調整用ディスク16bの厚さbは、少なくとも高周波の波長λに相当する長さより薄く、取り扱いに支障を来たさない範囲で出来る限り薄く設定した上で、周波数調整用ディスク16bの軸方向中央部が低電場位置Bにくるようにすることが好ましい。なお、周波数10GHzの高周波では、波長λは約3cmとなるため、高電場位置Aの現れるピッチ、すなわち高電場位置間の距離は約3cmとなる。
【0030】
また、各ブロック16a、16b、16cの内周部の継ぎ目に段差が生じないように、各ブロック16a、16b、16cは、内径が同一寸法となるように製作する。このような段差が生じると、共振周波数に影響を与え所望の共振周波数に調整することが困難となるからである。
【0031】
次いで、周波数調整用ディスク16bを他の2つのブロック16a、16cで挟み込み、仮組み状態で図1のようなロータリージョイントを構成する。次に、このロータリージョイント10の共振周波数を測定する。この測定には、例えば、低電力高周波を発振する測定器を用いることができる。そして、この測定結果に基づいて、周波数調整用ディスク16bの軸方向の厚さを所望の共振周波数となるように切削等により微調整する。
【0032】
ここで、図4は、周波数調整用ディスク16bの厚さと共振周波数の関係(測定値)の一例を示すものであり、横軸にディスク厚をとり、縦軸に共振周波数をとっている。また、この例の運転条件は、運転温度:20℃、絶縁ガス:SF6、圧力:0.3MPa、比誘電率ε:1.00612(見積)である。図4から、周波数調整用ディスクの厚さと共振周波数とは一定の関係を有していることが分かる。したがって、周波数調整ディスク用の厚さは解析からある程度見積もることができる。これにより、ディスクの修正加工による調整は一回程度の少ない回数で済ませることができる。なお、この例では、周波数の変化量は、40MHz/mmであった。
【0033】
このように周波数調整用ディスク16bの厚さを調整し、所望の共振周波数に調整したならば、最終工程のロウ付けを実施し、周波数調整用ディスク16bと他のブロック16a、16b、および他の部品を接合し、ロータリージョイントを完成させる。
【0034】
なお、上述した実施形態では、導波管の円筒部は3つのブロックからなるものを説明したが、本発明はこれに限定されず、導波管の円筒部が2つのブロックからなるものである場合にも同様に適用することができる。つまり、周波数調整用ディスクをもたないが、導波管の加工等の容易性を考慮して、導波管の円筒部を2つのブロックからなる構成とした場合にも同様に適用でき、この場合、継ぎ目は1箇所となるから、この継ぎ目位置が低電場位置Bにくるように各ブロックの厚さを設定すればよい。
【0035】
このように、本発明によれば、導波管12の各ブロックの継ぎ目位置を、導波管12の円筒部16内周面に沿って軸方向に周期的に現れる高電場位置A及びその近傍を回避した位置とするので、各ブロックの継ぎ目位置が、放電を生じる可能性のある高電場位置Aにくることがなく、これにより、導波管12内での放電の可能性を低くすることができる。また、継ぎ目位置を、低電場位置B又はその近傍に位置付けるようにすれば、さらに放電しにくくなるため、導波管12内での放電を一層有効に防止することができる。つまり、10MW以上の大電力で周波数10GHz以上のマイクロ波を伝送する場合でも、導波管内での放電を有効に防止でき、これにより安定したマイクロ波の伝送が可能となるという優れた効果が得られる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る高周波伝送用ロータリージョイントの断面図である。
【図2】図1に示す導波管の断面図である。
【図3】ロータリージョイントの電場解析の結果を示す図である。
【図4】周波数調整用ディスクの厚さと共振周波数の関係を示す図である。
【図5】特許文献1の「放射線治療装置」の全体模式図である。
【図6】特許文献1の「ロータリRFカプラ」の説明図である。
【図7】特願2004−167981の「高周波伝送用ロータリージョイント」の構成図である。
【図8】特許文献2の「ロータリージョイント」の構成図である。
【符号の説明】
【0038】
12、14 導波管
12b、14b 導波路
15 隙間
16 円筒部
16a、16c ブロック
16b ブロック(周波数調整用ディスク)
17 端板
18 矩形部
20 回転支持部
21 補強ピース
22 軸受
23 軸受ハウジング
24 ガスシール
30 1/4波長チョーク
a 周波数調整用ディスクの厚さ
A 高電場位置
B 低電場位置
C 最高電場位置
L 導波管の長さ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に高周波伝送用の中空の導波路を有する一対の導波管が同軸の軸心を中心に互いに回転可能に接続されてなり、前記一対の導波管のうち少なくとも一方の導波管の円筒部が軸方向に直列に配列される複数のブロックで構成された高周波伝送用ロータリージョイントであって、
前記複数のブロックの継ぎ目位置は、導波管の円筒部内周面に沿って軸方向に周期的に現れる高電場位置及びその近傍を回避した位置となっている、ことを特徴とする高周波伝送用ロータリージョイント。
【請求項2】
前記複数のブロックの継ぎ目位置は、前記高電場位置間にあって電場が最低となる低電場位置又はその近傍に位置している、ことを特徴とする請求項1に記載の高周波伝送用ロータリージョイント。
【請求項3】
前記ブロックの数は3つであり、軸方向中間部のブロックとその両側のブロックとの継ぎ目位置は、共に、高電場位置間に位置している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波伝送用ロータリージョイント。
【請求項4】
内部に高周波伝送用の中空の導波路を有する一対の導波管が同軸の軸心を中心に互いに回転可能に接続されてなり、前記一対の導波管のうち少なくとも一方の導波管の円筒部が軸方向に直列に配列される複数のブロックで構成された高周波伝送用ロータリージョイントの製造方法であって、
導波管の円筒部内周面に沿って軸方向に周期的に現れる高電場位置と該高電場位置間にあって電場が最低となる低電場位置を求める工程と、前記複数のブロックの継ぎ目位置が、高電場位置及びその近傍を回避し且つ低電場位置又はその近傍に位置するように各ブロックを製作する工程とを含む、ことを特徴とする高周波伝送用ロータリージョイントの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−54531(P2006−54531A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232986(P2004−232986)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】