説明

高固体バイオマスの迅速な加水分解のための改良方法

【課題】せん断を必要とせず、セルロースを非常に短時間で加水分解する加水分解方法を提供する。
【解決手段】A)乾燥含有物と水とを有するバイオマスを含むリグノセルロース原料を、水溶性加水分解種を含む溶媒の少なくとも一部分と接触させるステップであって、水溶性加水分解種の少なくともいくらかが、原料中のバイオマスの加水分解から得ることができる水溶性加水分解種と同じであるステップと、B)原料流れの原料と溶媒との接触を、20℃〜200℃の範囲の温度に5分〜72時間の範囲の時間維持して、原料中のバイオマスから加水分解生成物を創出するステップとを含む、リグノセルロースバイオマスを加水分解する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本特許出願は、2009年3月31日出願のPCT/IT2009/000124、2009年3月31日出願のPCT/IT2009/000127、2009年12月14日出願のPCT/IB2009/055736および2009年12月14日出願のPCT/IB2009/055737の特許出願の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、デンプン加水分解酵素の存在下でのデンプンの加水分解について教示している。デンプンは、食用および穀粒植物から抽出されることが知られている。当業者は、デンプンが、その化学結合のために容易に加水分解されるが、セルロースは容易に加水分解されないことを知っている。この特許は、粉砕された乾燥デンプンに水を加えて、乾物で表される、粉砕されたデンプン質基層中の濃度を、発酵の途中で50〜400g/リットルと理解される値に調整することを教示している。この仏国特許出願は、セルロース性原料に対して用いることについて何も言及していない。
【0003】
当該技術において、発酵プロセスからのエタノールの蒸留のエネルギーコストが、発酵培養液が4%を超えるエタノールを含有するならば、劇的に低減されることが知られている。このことは、8%(w/w)を超える糖濃度を必要とし、これは、ほとんどのタイプのバイオマス、特にリグノセルロースバイオマスについて、20%を超える初期乾物含量に相当する。
【0004】
よって、高い、好ましくは20重量%を超える乾物含量を有するリグノセルロース含有バイオマスを用いることができることが重要である。
【0005】
バイオマスの酵素加水分解は、以前に記載されている。しかし、リグノセルロースバイオマスの場合、1インチ(25.4mm)未満の平均サイズを有し、さらに比較的低い乾物含量、すなわち20%(w/w)未満を有する繊維および粒子に存在する物質だけが、うまく加水分解されている。
【0006】
バイオマスの酵素加水分解は、発酵工業で用いられるものと同様の中央に配置された回転翼軸上に装填された回転翼(例えばラシュトンタービンまたはインテミグ回転翼)を備える撹拌タンク反応器において、従来、行われている。この装置のために、高い粘度の溶液、高度に粘着性または高度に乾燥した物質は、効率的に撹拌できず、混合が非常に乏しいかまたは混合されていない不均質な領域が維持される。さらに、このような溶液の撹拌は、非常に大きいエネルギー投入を必要とし、このことは、プロセスの経済面に不利益である。多糖含有バイオマスを用いる操作は、よって、可能な上限がおよそ20%(w/w)に予め制限される。
【0007】
このことは、固体セルロース物質の糖への加水分解について記載する特許文献2で証明されており、ここでは、30〜80%(w/w)セルロースを含有する3〜20%(w/w)固体供給の粒状スラリーを、セルラーゼ酵素複合体で処理することにより、セルロースが単糖に加水分解される。固体セルロース含有投入物は、0.01〜1インチ(0.0254〜25.4mm)の範囲の直径の平均粒子サイズを有していた。穴あき回転羽根を混合のために用いた。この特許は、反応ゾーン全体にわたって50,000〜200,000フィート/分/フィート程度の非常に高いせん断速度を用いることを教示している。
【0008】
特許文献3は、ヘミセルロースの少なくとも一部分を可溶化するステップと、可溶化されたヘミセルロースを加水分解して少なくとも1つの単糖を生成するステップとを含むバイオマス物質中のヘミセルロースの酵素加水分解について記載している。選択されたバイオマスは、好ましくは、素材または前処理された物質の水性スラリーである。バイオマス物質は、ヘミセルロースを含む任意のセルロース性物質であってよい。この方法は、トウモロコシ、コムギ、コメ、オーツ麦またはオオムギのような穀粒繊維を用いて特に有効であると記載されている。しかし、実施例からわかるように、セルロースは加水分解されない。
【0009】
特許文献4は、リグノセルロースの酵素加水分解の方法について記載している。リグノセルロースを糖に分解することは、リグノセルロースを、少なくとも1つの補助酵素および少なくとも1つのセルラーゼと接触させることを含む。リグノセルロース性物質は、粉砕され(物質の平均繊維サイズはさらには明記されなかった)、低い乾物含量を有した(10ml酵素溶液中に0.2gの粉砕された茎と葉の物質)。
【0010】
特許文献5は、比較的高い乾物含量を有する多糖含有バイオマスの液化および糖化の方法について記載している。これは、酵素加水分解を、重力の原理に依存するタイプの混合と組み合わせて、このことにより、バイオマスを機械的な力、主にせん断力および引裂力に確実に供する。
【0011】
上記の方法は、高度のせん断が要求されることと、原料の加水分解時間とにより、操作するのが高価である。よって、経済的な設計を用いると同時に高い乾燥含量バイオマスを処理することが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】仏国特許出願第2609046号
【特許文献2】米国特許第4,409,329号
【特許文献3】米国特許出願公開第2002117167号
【特許文献4】米国特許出願公開第2004005674号
【特許文献5】WO2006/056838
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
セルロースを糖に分解することは非常に困難であることが、当該技術において公知である。セルロースバイオマスを加水分解するための努力は、通常、不経済であることが示されている。セルロース含有バイオマス流れを処理して、酵素のような加水分解触媒へのセルロースの近づきやすさを増加させることができるが、それでもまだ、セルロースをその基本の糖に変換することは、時間およびエネルギー的に非常に困難である。この理由から、従来技術の系は、セルロース成分をまず除去し、デンプンまたは遊離糖成分だけを加水分解している。これらの系は、第1世代方法とよばれる。セルロースの加水分解の困難性は、セルロース性物質を高いせん断に長時間供して繊維を破壊する、背景技術で引用した最近の従来技術特許で示されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書は、せん断を必要とせず、セルロースを非常に短時間で加水分解する加水分解方法を開示する。
【0015】
本明細書は、よって、乾燥含有物と水とをともに有するバイオマスを含む原料を、水溶性加水分解種を含む溶媒の少なくとも一部分と接触させるステップであって、水溶性加水分解種の少なくともいくらかが、バイオマスの加水分解から得ることができる水溶性加水分解種と同じであるステップと、原料と溶媒との接触を、触媒組成物の存在下で20℃〜95℃の範囲の温度に5分〜72時間の範囲の時間維持して、バイオマスから加水分解生成物を創出するステップとを含む、高い乾燥含量バイオマスを加水分解する方法を開示する。
【0016】
本明細書は、バイオマスの加水分解方法が、A)乾燥含有物と水とを有するある量のバイオマスを、少なくとも第1原料流れおよび第2原料流れに分配するステップと、B)触媒を第1原料流れに加えて第1原料流れを加水分解し、20℃〜95℃の範囲の温度にて5分〜8時間の範囲の時間加水分解を行うことにより、第1溶媒流れを創出するステップであって、触媒の量が、全ての原料流れの乾燥含有物1gあたり0.1〜150FPUの範囲であるステップと、C)第1原料流れではない原料流れの少なくとも1つを第1溶媒流れと接触させるステップと、D)第1原料流れではない少なくとも1つの原料と、第1溶媒流れとの接触を、20℃〜95℃の範囲の温度に5分〜72時間の範囲の時間維持して、バイオマスから加水分解生成物を創出するステップとを含み得ることを開示する。
【0017】
原料を溶媒と接触させる前、接触させたときまたは接触させた後に、触媒組成物の少なくとも一部分を原料と接触させることがさらに開示される。バイオマスと原料の水の比率が、1:6より大きいか、または1:5より大きいか、または1:4より大きいか、または1:3より大きいか、または1:2.5より大きいか、または1:2より大きいか、または1:1.5より大きいか、または1:1より大きいか、または1:0.9より大きいことが可能であることがさらに開示される。
【0018】
バイオマスの量と原料中の水が、1:4〜9:1、1.3.9〜9:1、1:3.5〜9:1、1:3.25〜9:1、1:3〜9:1、1:2.9〜9:1、1:2〜9:1、1.15〜9:1、1:1〜9:1および1:0.9〜9:1の範囲の比率にあることがさらに開示される。
【0019】
原料と接触させる溶媒の重量と接触の瞬間における原料の重量の比率が、1:99〜99:1、10:90〜90:10、20:80〜90:10、30:70〜90:10、40:60〜90:10、50:50〜90:10および60:40〜90:10の範囲のいずれか1つであり得ることがさらに開示される。
【0020】
触媒が、酵素を含み、酵素が、バイオマス中の化合物を、糖または低分子量糖ポリマーに変換できることがさらに開示される。
【0021】
酵素が、セルロースを好ましくはグルコースに加水分解できることがさらに開示される。
【0022】
方法が、バッチプロセスであり、ここで、原料を導入する前、導入と同時または導入した後に触媒組成物が容器に導入され、原料および溶媒が、容器中に、上記の温度範囲にて上記の量の時間維持され、原料と溶媒と触媒とを容器中に、上記の温度範囲にて上記の量の時間維持した後に、ある重量の加水分解生成物が容器から除去され、ここで、除去される加水分解生成物の該重量は、原料の重量+導入された触媒組成物+容器中に導入された溶媒以外の全てのその他の物質の重量と実質的に等しいことがさらに開示される。方法は、予め加水分解されたバッチからの第2溶媒流れも含有できる。生成物の除去は、完全であり得るか、または容器中に生成物の一部分が残ることができる。
【0023】
方法が、連続プロセスであり、ここで、第1原料流れでない少なくとも1つの原料流れの原料と、第1溶媒流れの溶媒とが、溶媒流れを既に含有する容器中に連続的に導入され、触媒組成物が、該容器中に連続的に導入され、加水分解生成物が、該容器から連続的に除去され、ここで、ある特定の量の時間中に除去される加水分解生成物の重量が、原料の重量+触媒組成物+該特定の量の時間中に容器に導入される溶媒以外の全てのその他の物質の重量に等しいことがさらに開示される。
【0024】
方法が、生成物溶媒流れの再循環ループに基づく予備混合ステップを有することができ、ここで、溶媒の一部分が、容器に導入される前に原料の少なくとも一部分と混合され、原料に対する溶媒の全ての比率が、容器中の溶媒の量+原料流れの少なくとも一部分と混合される任意の溶媒の量である溶媒の全量に基づくことがさらに開示される。
【0025】
固体が、加水分解流れから分離され、固体が、所望により、加水分解容器中に再循環されることがさらに開示される。固体が、加水分解容器に加える前にパージされてもよいか、または加水分解容器に全く加えられないことが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】連続加水分解プロセスの模式図である。
【図2】再循環ループを含む連続加水分解プロセスの模式図である。
【図3】プラグ流れ連続プロセスの模式図である。
【図4】バッチ加水分解プロセスの模式図である。
【図5】過剰の触媒を用いる処理を示す改良方法のある実施形態の模式図である。
【図6】実験を行うために用いた装置のタイプを示す。
【図7】加水分解生成物中の固体の分離を含む連続加水分解プロセスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本方法は、セルロースの酵素加水分解が、非常に迅速に起こり、よって、加水分解を、バイオマスからの既に加水分解された生成物の実質的な量の存在下で行う場合に、所望によりせん断および過剰の水を回避できるという発見を利用する。このようにすることにおいて、従業者は、特別な混合機および従来技術の提案において記載される混合の高いコストの使用を回避し得る。
【0028】
方法は、原料の選択から開始する。原料は、乾燥含有物と水を有するバイオマスを含む。通常、水は自由水ではないが、バイオマス自体に吸収された水である。このバイオマスは、その乾燥含量(水でない)に従ってしばしば表される。20%の乾燥含量バイオマスは、80%の水と20%の水でないもの、またはそうでなければ固体含有物を有するバイオマスに相当する。バイオマスおよび水との用語は、バイオマスの乾燥含有物+吸収された水と自由水と加えられ得る水である。例えば、20%乾燥含量の100kgのバイオマスについて、バイオマス+水の量は100kgである。20%乾燥含量の100kgのバイオマス+10kgの水について、バイオマス+水の量は110kgである。
【0029】
記載される方法は、バイオマスの原料と水を利用できると考えられ、ここで、原料の水に対する乾物含量は、好ましくは15〜80%、20〜80%または21〜80%、好ましくは25〜70%または26〜70%、より好ましくは25〜60%または26〜60%、さらにより好ましくは25〜50%または26〜50%または25〜40%または26%〜40%、および最も好ましくは25〜35%または26〜35%または26〜34%または31%〜49%である。
【0030】
これは、代わりに、最小乾燥含量として、すなわち原料中の水に対する乾燥含有物の重量パーセントとして表すことができる。これは、少なくとも18重量パーセント乾燥含量、少なくとも21または20重量パーセント乾燥含量、好ましくは少なくとも25重量パーセント乾燥含量、より好ましくは少なくとも30重量パーセント乾燥含量、および最も好ましくは少なくとも40重量パーセント乾燥含量に相当する。これらの含量の上限は定義により100%であるが、実際は、これらの含量について、これらを範囲で表すならば、80重量パーセントが上限である。
【0031】
本明細書に記載される方法は、ほぼ100%の乾燥含量を取り扱うことができると考えられる。もちろん、いくらかの水は、加水分解反応に必須であることが認識される。
【0032】
よって、本発明に適する範囲は、18%、20%、21%、25%、26%、30%、31%、35%、36%、40%、50%、60%および80%より大きく、各下限について上限が80%、90%の乾燥含量を有するバイオマスである。
【0033】
バイオマスの繊維および粒子のサイズの好ましい分布は、0〜150mm、好ましくは5〜125mm、より好ましくは10〜100mm、さらにより好ましくは15〜30から90mmまたは20〜80mm、および最も好ましくは26〜70mmの範囲を含み得る。
【0034】
繊維および粒子のサイズの好ましい分布は、好ましい間隔内で変化するバイオマスの少なくとも20%(w/w)と定義される。
【0035】
本方法の利点は、該方法を、硫酸、塩酸、リン酸などまたはそれらの混合物からなる群より好ましくは選択される無機酸を加えることなく、または炭素、2〜6炭素原子のセトンおよびアセトンならびにそれらの混合物、メタノール、エタノールからなる群から選択されるもののようなリグニン可溶化有機溶媒を用いることなく行うことができることである。
【0036】
別の利点は、この反応を、大気圧にて行うことができることである。代わりに、反応を、酵素を用いるかまたは用いずに、100℃〜200℃の範囲の温度に伴う圧力にて行うことができるように、温度を上昇させることができると考えられる。
【0037】
植物バイオマスは、好ましい原料である。デンプン以外に、植物バイオマスの主要な3つの構成成分は、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンであり、これらは、包括的な用語でリグノセルロースと一般的によばれる。多糖含有バイオマスは、デンプンおよびリグノセルロースバイオマスの両方を含む包括的な用語である。よって、いくつかのタイプの原料は、植物バイオマス、多糖含有バイオマスおよびリグノセルロースバイオマスであり得る。明確にすると、本明細書において、リグノセルロースバイオマスは、デンプンを含んでよいか、または含まなくてよい。
【0038】
本方法は、リグノセルロース原料が、乾燥含有物の5重量%より高いセルロースを含有する第2世代加水分解生成を主に目的とする。乾燥含有物の5重量%が好ましい量であるが、さらにより好ましい量は、原料の乾燥含有物の10重量%より高いセルロース含量であり、原料の乾燥含有物の少なくとも15重量%より高いことが最も好ましい。
【0039】
原料は、デンプンを含まないか、デンプンを実質的に含まないか、またはデンプン含量が0であることができる。存在するならばデンプンは、乾燥含有物の75重量%未満であり得る。その存在は、セルロースの加水分解に影響するとは考えられないので、デンプンの好ましい範囲はない。存在するならばデンプンの量の範囲は、乾燥含有物の0〜75重量%、乾燥含有物の0〜50重量%、乾燥含有物の0〜30重量%および乾燥含有物の0〜25重量%である。
【0040】
前処理をしばしば用いて、含有リグノセルロースの構造に酵素のような触媒がより近づきやすくなり、同時に、酢酸、フルフラールおよびヒドロキシメチルフルフラールのような有害な阻害性副生成物の濃度が実質的に低いままであることを確実にする。
【0041】
近づきやすさを増加させるためのいくつかのストラテジーがあり、これらの多くはまだ発明されていない場合がある。現在のストラテジーは、リグノセルロース性物質を、110〜250℃の温度に1〜60分間供することを含み、例えば以下のとおりである:
熱水抽出
阻害性物質が形成される前に、可溶化された物質を除去する多段希酸加水分解
比較的低い厳しさの条件での希酸加水分解
アルカリ湿潤酸化
水蒸気爆砕
無毒化が後に続くほぼ全ての前処理
【0042】
熱水前処理が選択される場合、以下の条件が好ましい:
前処理温度:110〜250℃、好ましくは120〜240℃、より好ましくは130〜230℃、より好ましくは140〜220℃、より好ましくは150〜210℃、より好ましくは160〜200℃、さらにより好ましくは170〜200℃または最も好ましくは180〜200℃。
前処理時間:1〜60分、好ましくは2〜55分、より好ましくは3〜50分、より好ましくは4〜45分、より好ましくは5〜40分、より好ましくは5〜35分、より好ましくは5〜30分、より好ましくは5〜25分、より好ましくは5〜20分および最も好ましくは5〜15分。
【0043】
前処理後の乾物含量は、好ましくは少なくとも20%(w/w)である。その他の好ましい上限は、以下で考察される。
【0044】
本発明による多糖含有バイオマスは、例えばデンプンならびに精製デンプン、セルロースおよびヘミセルロースの形態の重合糖を含む任意の物質を含む。しかし、上記のように、デンプンは、主な成分でない。
【0045】
本発明による加水分解および混合のための適切なタイプのバイオマスは、例えば穀粒;トウモロコシの茎と葉、バガス、例えばコメ、コムギ、ライムギ、オーツ麦、オオムギ、ナタネ、モロコシからのわら;塊茎、例えばビート、ジャガイモなどを含む農作物に由来するバイオマスを含み得る。
【0046】
リグノセルロースバイオマス原料は、好ましくは、通常、禾本とよばれる科からである。正式名称は、顕花植物のユリ綱(Liliopsida)(単子葉植物)の中のイネ科(PoaceaeまたはGramineae)として知られる科である。この科の植物は、通常、禾本とよばれ、竹を含む。約600の属、およびおよそ9,000〜10,000以上の種の禾本が存在する(Kew Index of World Grass Species)。
【0047】
イネ科は、世界中で成長する主要食物穀粒および穀類作物、芝生および飼草ならびに竹を含む。イネ科は、通常、稈とよばれる中空の茎を有し、これは、そこから葉が生じる稈に沿った節とよばれる点でところどころが詰まって(中実)いる。禾本の葉は、通常、互生、対生(1つの平面で)または希にらせん状であり、平行脈である。それぞれの葉は、ある距離で茎を抱え込む下部葉鞘と、葉縁が通常は全縁の葉身とに分化する。多くの禾本の葉の葉身は、シリカ植物化石で堅くなっており、これが、草食動物を遠ざける助けとなる。いくつかの禾本(例えばソードグラス)において、これは、禾本の葉身の縁を、ヒトの皮膚を切断するのに十分な程度に鋭くする。葉舌とよばれる膜状付属体または毛のふさは、葉鞘と葉身との間の接合部にあり、水または昆虫が葉鞘に浸透するのを防ぐ。
【0048】
禾本の葉身は、葉身の基部で成長するのであって、伸長した茎の先端からでない。この低い成長点は、草食動物に応答して進化したものであり、植物に著しい損傷を与えることなく、禾本を草食するかまたは定期的に刈ることが可能になる。
【0049】
イネ科の花は、特徴的には小穂に配置され、各小穂は、1または複数の小花を有する(小穂は、円錐花序または穂状花序にさらに分類される)。小穂は、基部の頴とよばれる2つ(または時により少ない)の包葉と、それに続く1または複数の小花とからなる。小花は、外頴(外側のもの)と内頴(内側)とよばれる2つの包葉で囲まれた花からなる。花は、通常、雌雄同花(雌雄同株であるトウモロコシは例外である)であり、受粉は、ほとんど常に風媒である。花被は、鱗被とよばれる2つの芽鱗に変形し、これらが伸縮して外頴および内頴を広げる。これらは、通常、変形萼片と解釈される。この複雑な構造は、コムギ(トリチカム・エスチバム(Triticum aestivum))の穂状花序を描いた左側の画像で見ることができる。
【0050】
イネ科の果実は、種皮が果皮と融合した、すなわち分けることができない(トウモロコシの穀粒のように)頴果である。
【0051】
禾本には、3つの全般的な成長習性の分類、すなわち束型(群生ともいう)、葡萄枝型および根茎型が存在する。
【0052】
禾本の成果は、部分的にその形態および成長プロセスに、そして部分的にその生理的多様性にある。ほとんどの禾本は、炭素固定のためにC3およびC4光合成経路を用いる2つの生理的な群に分けられる。C4禾本は、専門化された葉のクランツ構造と連結された光合成経路を有し、この構造が、特に暑い気候および低い二酸化炭素の雰囲気にそれらを適合させる。
【0053】
C3禾本は「寒冷期禾本」とよばれ、C4植物は「温暖期禾本」とみなされる。禾本は、一年生または多年生のいずれかであり得る。一年生の寒冷期の例は、コムギ、ライムギ、一年生ブルーグラス(一年生メドウグラス、ポア・アニュア(Poa annua)およびオーツ麦)である。多年生の寒冷期の例は、オーチャードグラス(カモガヤ、ダクティリス・グロメラータ(Dactylis glomerata))、ウシノケグサ(フェストゥーカ属種(Festuca spp))、ケンタッキーブルーグラスおよびペレニアルライグラス(ロリウム・ペレンネ(Lolium perenne))である。一年生温暖期の例は、トウモロコシ、スーダングラスおよびパールミレットである。多年生温暖期の例は、ビッグブルーステム、インディアングラス、バミューダグラスおよびスイッチグラスである。
【0054】
禾本科のある分類は、12の亜科を認定している。これらは、1)2つの属(アノモクロア(Anomochloa)、ストレプトケタ(Streptochaeta))を含む広葉禾本の小さい系統であるアノモクロオイデ(anomochlooideae);2)ファルス(Pharus)およびレプタスピス(Leptaspis)を含む3つの属を含む小さい系統であるファロイデ(Pharoideae);3)アフリカの属であるプエリア(Puelia)を含む小さい系統であるプエリオイデ(Puelioideae);4)コムギ、オオムギ、オーツ麦、スズメノチャヒキ(ブロナス(Bronnus))およびリードグラス(カラマグロスティス(Calamagrostis))を含むプーイデ(Pooideae);5)竹を含むバンブソイデ(Bambusoideae);6)コメおよびワイルドライスを含むエールハルトイデ(Ehrhartoideae);7)ジャイアントリードおよびコモンリードを含むアルンディノイデ(Arundinoideae)、8)パニコイデ(Panicoideae)に時に含まれる11の属の小さい亜科であるセントテコイデ(Centothecoideae);9)カゼクサ(エラグロスティス(Eragrostis)、およそ350種、テフを含む)、ドロップシード(スポロボラス(Sporobolus)、160あまりの種)、シコクビエ(Eleusine coracana(L.)Gaertn.)およびミューレンベルギアリンドハイメリ(ミューレンベルギア(Muhlenbergia)、およそ175種)を含むクロリドイデ(Chloridoideae);10)パニックグラス、トウモロコシ、モロコシ、サトウキビ、ほとんどのキビ、フォニオおよびウシクサを含むパニコイデ、11)ミクライロイデ(Micrairoideae);12)約500種の禾本の属であり、両半球の温度領域の原産であるポア(Poa)とともにパンパスグラスを含むダントニオディエ(Danthoniodieae)である。
【0055】
食用の種子のために成長させる農芸禾本は、穀類とよばれる。3つの一般的な穀類は、コメ、コムギおよびトウモロコシ(maize)(トウモロコシ(corn))である。全ての作物のうちで、70%が禾本である。
【0056】
サトウキビは、砂糖製造の主要な供給源である。禾本は、建設のために用いられる。竹で作製された足場は、鋼鉄足場を破壊し得る台風の力の風に耐えることができる。より大きい竹およびアルンド・ドナックス(Arundo donax)は、丈夫な稈を有し、これは材木と同様の様式で用いることができ、禾本の根は、芝土の家の芝土を安定化する。アルンドは、木管楽器のリードを作製するために用いられ、竹は、多数の器具のために用いられる。
【0057】
よって、好ましいリグノセルロースバイオマスは、禾本からなる群より選択される。言い換えると、好ましいリグノセルロースバイオマスは、イネ科に属する植物からなる群より選択される。最も即時において、デンプンは抽出されない。よって、別の好ましいリグノセルロースバイオマスは、デンプンが抽出されていない禾本からなる群より選択されるものである。言い換えると、好ましいリグノセルロースバイオマスは、そのデンプンが抽出されていないイネ科に属する植物からなる群より選択される。抽出は、除去とは異なる。トウモロコシ植物は、雌穂および茎と葉を有する。雌穂の除去は、主なデンプン成分を除去するが、デンプンを抽出しない。デンプンの抽出は、デンプンを、セルロース性デンプン構成物から、切断または裁断以外の化学的または物理的プロセスにより分離する。
【0058】
リグノセルロースバイオマスは、小片に切断してよく、ここで、バイオマスの20%(w/w)が、前処理の前に好ましくは26〜70mmの範囲である。前処理された物質は、方法に入る前に20%を超える乾物含量を有することが好ましい。バイオマスから炭水化物を遊離させる他に、前処理の方法は、バイオマスを消毒し、部分的に溶解し、同時に、リグニン画分から塩化カリウムを洗い流す。
【0059】
バイオマスは、バイオマスの加水分解から得ることができる水溶性化学種に加水分解可能ないくつかの化合物を含有する。セルロースの水溶性加水分解種の場合、セルロースは、グルコース、セロビオースおよび高級グルコースポリマーに加水分解でき、ダイマーおよびオリゴマーを含む。よって、セルロースのいくつかの水溶性加水分解種は、グルコース、セロビオースおよび高級グルコースポリマーであり、それらのそれぞれのダイマーおよびオリゴマーを含む。セルロースは、炭水化物分解性セルラーゼによりグルコースに加水分解される。ゆえに、炭水化物分解性セルラーゼは、セルロースの加水分解のための触媒の例である。
【0060】
セルロース分解系の一般的な理解は、セルラーゼを3つのクラス、すなわちセルロース鎖の末端からセロビオース単位を切り出すエキソ−1,4−β−D−グルカナーゼまたはセロビオヒドロラーゼ(CBH)(EC3.2.1.91)、セルロース鎖の内部のβ−1,4−グルコース結合を無作為に加水分解するエンド−1,4−β−D−グルカナーゼ(EG)(EC3.2.1.4)、セロビオースをグルコースに加水分解し、セロオリゴ糖からグルコース単位を切り出す1,4−β−D−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)に分ける。よって、バイオマスがセルロースを含有するならば、グルコースが、バイオマスの加水分解から得ることができる水溶性加水分解種であり、上記のセルラーゼは、実験部分に記載するものとともに、セルロースの加水分解のための触媒の具体例である。
【0061】
同様の分析により、ヘミセルロースの加水分解生成物は、もちろんバイオマスがヘミセルロースを含有すると仮定して、バイオマスの加水分解から得ることができる水溶性化学種である。ヘミセルロースは、キシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、グルコマンナンおよびキシログルカンを含む。ヘミセルロース中の異なる糖は、ヘミセルラーゼにより遊離される。ヘミセルロース分解系は、ヘミセルロースの不均質な性質のために、セルロース分解系よりも複雑である。この系は、なかでも、キシラン鎖の内部の結合を加水分解するエンド−1,4−β−D−キシラナーゼ(EC3.2.1.8)、非還元末端からキシロオリゴ糖を攻撃してキシロースを遊離させる1,4−β−D−キシロシダーゼ(EC3.2.1.37)、内部の結合を切断するエンド−1,4−β−D−マンナナーゼ(EC3.2.1.78)、マンノオリゴ糖をマンノースに切断する1,4−β−D−マンノシダーゼ(EC3.2.1.25)を含み得る。側鎖は、α−D−ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.22)、α−L−アラビノフラノシダーゼ(EC3.2.1.55)、α−D−グルクロニダーゼ(EC3.2.1.139)、シンナモイルエステラーゼ(EC3.1.1.−)、アセチルキシランエステラーゼ(EC3.1.1.6)およびフルロイルエステラーゼ(EC3.1.1.73)のようないくつかの酵素により除去される。よって、バイオマスがヘミセルロースを含有するならば、キシロースおよびマンノースが、ヘミセルロース含有バイオマスの加水分解から得ることができる水溶性加水分解種の例であり、上記のヘミセルラーゼが、実験部分に記載するものとともに、ヘミセルロースの加水分解のための触媒の具体例である。
【0062】
方法には、触媒組成物が含まれる。触媒組成物は、触媒と、担体と、方法に触媒を導入するために用いられるその他の添加物/成分とからなる。上記のように、触媒は、バイオマス中の化合物の少なくとも1つを、より低い分子量の1または複数の化合物まで、すなわちバイオマス中の化合物を形成するために用いられる基本的な糖または炭水化物(およびそれらを含むもの)にまで変換する少なくとも1つの酵素または微生物を含んでよい。セルロース、ヘミセルロースおよびデンプンのような種々の多糖類についてこのことを行うことができる酵素は、当該技術において公知であり、まだ発明されていないものを含む。
【0063】
触媒組成物は、硫酸、塩酸、リン酸などまたはその混合物からなる群より好ましくは選択される無機酸も含んでよい。無機酸は、100℃より高い温度での加工に有用であると考えられる。方法は、特に無機酸を加えずに行うこともできる。
【0064】
触媒を、方法に、水または有機ベースの物質のような担体とともに加えることが典型的である。物質収支の目的のために、よって、触媒組成物との用語は、触媒(複数可)+方法に触媒(複数可)を加えるために用いられる担体(複数可)を含む。pH緩衝剤を触媒とともに加える場合、これも触媒組成物の一部分である。
【0065】
リグノセルロースバイオマスは、しばしばデンプンを含有する。デンプン加水分解のために用いられるより重要な酵素は、アルファ−アミラーゼ(1,4−α−D−グルカングルカノヒドロラーゼ(EC3.2.1.1))である。これらは、1,4−α−D−グルコシド結合を切断し、1,6−α−D−グルコシド分岐点を迂回できるがこれを加水分解できないエンド作用型ヒドロラーゼである。しかし、ベータ−アミラーゼ(EC3.2.1.2)およびプルラナーゼ(EC3.2.1.41)のようなエキソ作用型グルコアミラーゼも、デンプン加水分解のために用いることができる。デンプン加水分解の結果は、主に、グルコース、マルトース、マルトトリオース、α−デキストリンおよび種々の量のオリゴ糖である。デンプンに基づく加水分解物を発酵のために用いる場合、タンパク質分解酵素を加えることが有利であり得る。このような酵素は、微生物の凝集を妨げ、微生物に利用可能なアミノ酸を生じ得る。よって、バイオマスがデンプンを含有する場合、グルコース、マルトース、マルトトリオース、α−デキストリンおよびオリゴ糖が、デンプン含有バイオマスの加水分解から得ることができる水溶性加水分解種の例であり、上記のアルファ−アミラーゼが、実験部分に記載するものとともに、デンプンの加水分解のための触媒の具体例である。
【0066】
加水分解は、図1〜4に具体化する溶媒接触プロセスを用いることができるが、効率および加水分解速度が改良された好ましい実施形態は、新鮮な触媒を用いることにより実質的に改良できる。経時的に、実施形態1、2、3および4における触媒組成物中の触媒の一部分は、経時的に分解されると考えられる。
【0067】
図5で提案する方法は、バイオマス3、流れ1を、少なくとも2つの流れに分割するかまたは分配し、第1原料流れ1aは、容器15中で、所望により溶媒プロセスを用いずに、流れ2により触媒組成物に導入された過剰量の触媒を用いて加水分解される。第1原料流れ1aを、流れ2中の過剰の触媒の存在下で加水分解した後に、加水分解生成物4は、容器15から除去され、第1溶媒流れの溶媒として知られる。第1溶媒流れ4は、次いで、原料流れ1b中の残りの原料の少なくとも一部分と併合され、溶媒加水分解プロセスが容器16中で開始される。容器16は、図1の容器10、図2の容器10または11、図3の容器12および図4の容器13のいずれかに相当し得る。加水分解生成物6は、容器から流れ5として除去される。
【0068】
第1原料流れを処理するために必要な触媒の量は、原料中のバイオマスのタイプおよび選択される触媒または酵素(複数可)に大きく依存する。よって、触媒の量の最もよい表現は、所定の重量のバイオマス中の加水分解可能成分の100%を分解するために必要な量に基づく。
【0069】
第1原料流れに必要な触媒の量は、第1原料流れの100%を加水分解するために必要な触媒の最少量〜全ての原料流れの100%を加水分解するために必要な量の2倍の範囲にある。
【0070】
これは、乾物(DM)1gあたりの濾紙単位(FPU)で表すこともできる。FPUは、NREL Laboratory Analytical Procedure(Technical Report NREL/TP−510−42628、2008年1月)に従って測定され、定義される。この方法は、工業規格を用い、元の(希釈していない)酵素溶液1ミリリットルあたりの「濾紙単位」(FPU)の点でセルロース活性を測定する。定量的な結果のために、酵素調製物は、意味のある等価な変換に基づいて比較されなければならない。所定の酵素についての1濾紙単位は、グルコースとしての還元糖2.0mgを、50℃にて60分間でWhatman第1号濾紙片からの50mgの濾紙から(4%変換)遊離するために必要な酵素の量であり、International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)ガイドラインによる濾紙セルロース単位(FPU)を算出するための切片とよばれている。プロセスのいずれかについての触媒活性は、原則として、乾物1gあたり0.001〜150FPU、好ましくは乾物1gあたり0.001〜25FPU/、好ましくは乾物1gあたり0.01〜20FPU、より好ましくは乾物1gあたり0.2〜16FPU、より好ましくは乾物1gあたり2〜30FPU、および最も好ましくは乾物1gあたり4〜25FPUに相当する酵素活性まで上昇させる微生物の添加を含む任意の考えられる形態で供給できる。
【0071】
図5の加水分解ステップにおいて(容器15)、第1原料流れに加える触媒または酵素の量は、全ての原料流れの乾物1gあたり0.001〜150FPU、好ましくは全ての原料流れの乾物1gあたり0.001〜15FPU、好ましくは全ての原料流れの乾物1gあたり0.01〜30FPU、より好ましくは全ての原料流れの乾物1gあたり0.1〜30FPU、より好ましくは全ての原料流れの乾物1gあたり1〜25FPU、および最も好ましくは全ての原料流れの乾物1gあたり20FPU未満であるが、全ての原料流れの乾物1gあたり0.1FPUより大きい範囲にある。FPUの分析は公知であるが、この場合に、触媒の量を、原料の全量で除し、次いで、その濃度が範囲内のFPUを有するかを決定する。代わりに、触媒濃度のFPUが既知であれば、所定の量の原料のために必要とされるFPUを達成するために十分な触媒を加える。第1原料流れを触媒で加水分解した後に、加水分解物質は、第1溶媒流れとして知られるようになる。第2溶媒流れは、全ての原料流れの液化加水分解された物質であり、第1溶媒流れ+第1原料流れでない加水分解された物質を含む。全ての溶媒流れとの用語は、溶媒として用いられ、未反応バイオマスと接触する液化流れの全てを含む。
【0072】
以下に記載される第1溶媒流れは、次いで、残りの原料流れの加水分解のための溶媒として用いることができる。残りの原料流れは、次いで、第1溶媒流れを容器に導入する前、導入した後または導入と同時に、加水分解容器中に導入できる。方法1、2、3および4は、残りの原料流れ(第1原料流れでない流れ)を加水分解するために用いることができるいくつかのタイプの方法である。
【0073】
第1溶媒流れは、1回使用されただけの触媒を過剰に有するので、残りの流れをよりよく加水分解すると考えられる。なぜなら、残りの原料流れは、図5に示す方法の予備ステップを用いることなく図1〜4に示すプロセスにおいて用いるよりも新鮮な触媒とその後接触するからである。
【0074】
実験第5号に示すように、原料を2つの部分に分け、第1部分は、2つの部分を一緒に処理する場合に用いられる量の触媒で処理される。
【0075】
全ての方法において、pHを、3〜12、例えば5〜10、例えば6〜9、例えば7〜8および好ましくは4〜11の範囲の酵素触媒活性のために最適な条件に制御することも一般的である。
【0076】
高い乾燥含量のために、特別の反応器が、容器15における加水分解のために必要な場合がある。適切であると考えられる反応器は、特許文献5に見出すことができ、本開示の発明の目的である。
【0077】
方法は、溶媒流れからの溶媒も用いる。単純な用語では、水不溶性物質を除く溶媒の組成は、バイオマスの加水分解後の組成生成物と全く同じでないとしても同様のものである。ほとんどの場合、溶媒は、加水分解後のバイオマス原料から得られる加水分解物を含み、酵素、緩衝剤および加水分解反応に加えられたその他のもの全てを含む。
【0078】
溶媒は加水分解されたバイオマスであるが、溶媒は、原料に加えられ、これは、原料により創出されない。例えば、図4のバッチプロセスにおいて、溶媒タイプ物質の量は、原料が加水分解されるにつれて増加し、これは、溶媒中の溶媒に加えられるが、原料に対する溶媒の比率を算出する目的のための溶媒の一部分として考慮されず、該比率は、図4の場合において、原料が容器に入り、溶媒と接触する場合に算出される。
【0079】
実際に、溶媒流れのための溶媒は、一般的に、予め加水分解されたバイオマスに由来する。例えば、加水分解物を酵素、緩衝剤、不溶性物質などから分離する場合、加水分解物は、溶媒である。溶媒流れは、水溶性加水分解種を含み、ここで、水溶性加水分解種の少なくともいくらかは、バイオマス原料の加水分解から得ることができるかまたは得ることができた水溶性加水分解種と同じである。例えば、図4のバッチプロセスを操作する好ましい形態は、バッチの一部分を容器内に維持して、その後の投入のための溶媒として用いる。連続撹拌反応器(CSTR)のような連続プロセスにおいて、溶媒は、定常的に利用可能である。
【0080】
連続反応器において、原料および触媒が容器に連続的に導入され、生成物が連続的に除去されることが公知である。しかし、この連続的とは、開始および停止がないことを常に意味するわけではなく、例えば定常的な滴下が連続供給と考えられるが、これは、供給が連続的でない瞬間があるので、厳密な連続供給ではない。よって、連続反応器の関係において、連続的との言い回しは、供給と生成物とがそれぞれ経時的に断続的に導入または回収されることができることを意味し、同時に供給および回収される必要はない。
【0081】
実験部分に記載されるように、高い乾燥含量バイオマスを溶媒の一部分に入れた場合に、溶解および加水分解が非常に早く、実際に目に見える。
【0082】
溶媒流れと溶媒は、よって、水および水溶性加水分解種を含む。水溶性加水分解種の全てではないにしても少なくともいくらかは、原料組成物中のバイオマスの加水分解から得ることができる水溶性加水分解種と同じである。溶媒が分散固体と称することができる溶解されていない種を含有するので、物質収支の目的のために、ある項目が特に除外されない限り、溶媒および溶媒流れとの用語は、組成および重量の両方での物質の全量のことをいい、水溶性化学種および水不溶性化学種、触媒、担体、pH緩衝剤、反応中に加えられる酸または塩基のようなpH制御化合物、ならびに溶媒中に存在するその他の化合物のことをいう。
【0083】
方法は、原料と溶媒とを一緒にするときと定義される接触の瞬間を含む。図4に示すようなバッチプロセスにおいて、この接触の瞬間は、原料流れ3が容器13にライン1を通して入り、容器の底の溶媒流れ4と接触するときに生じる。
【0084】
接触に対する触媒組成物を加える点は、あまり重要でない。これは、原料流れに、原料と溶媒との接触の瞬間の前に加えることができる。これは、原料と溶媒との接触の瞬間と同時に加えることができるか、またはこれは、原料と溶媒との接触の瞬間の後に加えることができる。これは、溶媒流れに、原料流れを溶媒流れに加える前に加えることもできる。これは、分配して、接触の瞬間に対する3段階のいずれの組み合わせ中においても加えることもできる。
【0085】
加えられる触媒の量は、当該技術から容易に確立され、バイオマスの組成に依存するバイオマス中の乾燥含有物の量あたりの触媒の量に基づいて加えられる。
【0086】
方法によると、原料、溶媒および触媒組成物ならびにpH緩衝剤および反応全体にわたってpHを制御するために用いられる酸/塩基のようなその他の物質は、好ましくは、20℃〜100℃の範囲内、およびより好ましくは20℃〜99℃の範囲の温度に維持され、20℃〜95℃が最も好ましい。この温度は、触媒される反応、例えばバイオマス中の物質の、より低い分子量の化合物、例えば加水分解物への加水分解についての最良の温度に基づく。
【0087】
圧力が役割を有し、反応は、100℃〜200℃の温度に伴う圧力にて酵素もしくは酸触媒を用いてまたは用いずに働き得ることも可能であると考えられる。
【0088】
よって、方法について考えられる最大の操作範囲は、20℃〜200℃である。
【0089】
本方法の利点は、該方法を、硫酸、塩酸、リン酸などまたはそれらの混合物からなる群より好ましくは選択される無機酸を加えることなく、または炭素、2〜6炭素原子のセトンおよびアセトンならびにそれらの混合物、メタノール、エタノールからなる群から選択されるもののようなリグニン可溶化有機溶媒を加えることなく行うことができることである。
【0090】
反応は、所望の終点に到達するまでの期間継続される。この期間は、滞留時間または反応時間として知られる。5分〜8時間が好ましい範囲であり得るが、その他の好ましい滞留時間は、5分〜16時間、5分〜24時間、5分〜36時間、5分〜48時間、5分〜60時間および5分〜72時間である。
【0091】
滞留時間は、値の範囲にわたることができる。例えば、滞留時間は、8時間より長く72時間未満が好ましい範囲であり得、8時間より長く60時間未満が別の好ましい範囲であり、8時間より長く48時間未満が別の好ましい範囲であり、8時間より長く36時間未満が別の好ましい範囲であり、8時間より長く24時間未満が別の好ましい範囲である。
【0092】
滞留時間は、所望の終点に到達するまでにかかる時間として関数の様式で確立してもよい。この場合、所望の終点は、加水分解のために利用可能なバイオマスのパーセントとして表してもよい。例えば、100kgのバイオマス原料が、80kgの加水分解のために利用可能なバイオマスを有する場合、好ましくは、加水分解のために利用可能なバイオマスの45%が加水分解されたか、またはより好ましくは加水分解のために利用可能なバイオマスの55%に到達したか、またはさらにより好ましくは加水分解のために利用可能なバイオマスの65%に到達した場合に、所望の終点に到達する。
【0093】
所望の反応時間が完了した後に、得られた加水分解生成物(加水分解物)を容器から除去して、さらに加工する。
【0094】
図4に示すバッチプロセスにおいて、加水分解生成物6の量を、容器の底から除去し、さらなる加工のために第2容器14に入れる。容器13から除去する量は、一般的に、容器に導入した物質の量と同じであり、よって、第1容器中に、さらに別のバッチの原料および触媒組成物と接触させるために溶媒を残す。しかし、ある実施形態において、容器13を完全に空にして、原料および溶媒を、同時またはほぼ同時に容器に加える。
【0095】
図4に示すように、バイオマスおよび水を含む原料流れ3は、供給ライン1を通してバッチ撹拌タンク反応器13に供給される。触媒(複数可)を含有する触媒組成物は、供給ライン2を通して反応器13に供給される。相3中の原料および触媒組成物は、溶媒相4と接触し、漸進的に加水分解される。3つの異なる相として示すが、これらの相は、実際は、容器全体にわたって混合物として存在する。所望の量の時間または滞留時間または反応時間の後に、液体加水分解物または加水分解の生成物または加水分解生成物は、生成物ライン5を通してバルブ20を通して反応器から回収され、同時の糖化および発酵のために用いることができる容器14に供給される。液体加水分解物は、完全に液体でなくてよいが、まだ加水分解されていないいくらかの固体および加水分解不可能ないくらかの固体を含んでよい。除去される生成物の量は、容器13に導入された原料流れおよび触媒組成物の量とほぼ等しい。容器13と14の間の点線は、除去され容器14に入れられた量が、ほぼ相3のもの、すなわち容器(相3)に導入された量であることを示す。容器を第2バッチのために用いる場合、反応器中に残した溶媒流れ(残留分としても知られる)は、反応の速度を速める助けとなる。
【0096】
バッチごとに除去される量が、それぞれのバッチごとのレベルにて投入された量と厳密に一致する必要はないが、いくつかのバッチにわたって除去される量が、投入された量と実質的に等しく、そうでなければ容器が、低すぎる量の溶媒で操作されるかまたは容器があふれることが当業者には明らかである。本明細書に記載するバッチおよび連続プロセスのように、経時的およびバッチごとに添加速度および生成物除去速度はしばしば変動することが知られている。よって、「等しい」または「実質的に等しい」との用語は、これらの変動を含むことを意味する。
【0097】
制御パラメータは、原料を溶媒と接触させる瞬間の原料中の原料の重量(バイオマス+水)に対する、分散固体、pH緩衝剤、触媒(複数可)、緩衝制御物質(複数可)および溶媒中の他のもの全ての重量を含む溶媒の重量の比率である。
【0098】
それ未満であれば加水分解反応に対する影響がないかまたは限定された影響だけである比率があると予測される。当然、比率の上限は理論的に存在しないが、さらなる溶媒流れが加水分解速度に対してほとんど影響せず、サイズおよび操作コストにより装置のコストを単に増加させる点が存在する。
【0099】
所定の量のバイオマスのために用いられる溶媒の量は、少なくとも、バイオマスの乾燥含有物量(高い乾燥含有物重量は、より多くの溶媒を必要とすると予測される)、バイオマスおよび触媒のタイプ、pH、操作温度および用いる混合のタイプに依存すると予測される。
【0100】
接触の瞬間での原料中の溶媒の重量とバイオマス+水の重量の比率は、実施形態を参照することにより最もよく説明される。
【0101】
図1に示すように、バイオマスおよび水を含む原料流れ3は、ライン1を通して連続撹拌タンク反応器10に供給される。触媒、典型的には酵素は、2と表示するラインを通して反応器10に導入される触媒組成物の一部分として供給される。容器10の内部には、既知または決定し得る重量の溶媒流れ4がある。連続撹拌反応器において、滞留時間は、ライン5を通して反応器から出ていく物質が所望の点まで加水分解されるようなものであるので、溶媒流れの量は、容器中の物質の重量+任意の所定の時点での任意の再循環ループおよび再循環タンク中の量である。バイオマスおよび触媒は溶媒と混合され、加水分解が非常に迅速な速度で生じる。液体反応生成物(加水分解物)(6)は、反応器から生成物ライン5を通して回収される。特定の時間内にライン5を通して反応器を離れる液体の量は、速度+触媒組成物+同じ特定の期間内に容器に加えられ得るその他の物質に等しい。
【0102】
この場合の接触の瞬間での原料中の溶媒の重量とバイオマス+水の重量の比率は、バイオマスの瞬間の添加速度+共通単位の時間に容器に加えられた水に対する容器中の物質の重量+容器に再循環される任意の再循環ループおよび再循環タンク中の量(溶媒)である。連続プロセスに熟知している当業者は、この比率を滞留時間として認識する。
【0103】
例えば、容器は、400kgの溶媒を、4時間の滞留時間について含有する。原料は、100kg/時間で加えられ、加水分解物生成物は、100kg/時間で除去される。比率は、400:100もしくは4、または4時間の滞留時間である。よって、CSTRについて、比率は滞留時間である。
【0104】
図2は、再循環流れを有する図1の方法を示す。図に示すように、バイオマスおよび水は、供給ライン1を通して予備混合機11に供給され、ここで、これらは、溶媒の一部分、ライン7から入ってくる液体加水分解物と接触する。混合物は、ライン8を通して連続撹拌タンク反応器10に供給される。触媒組成物は、供給ライン2を通して反応器10に供給される。バイオマスは、漸進的に加水分解され、液体加水分解物または生成物6は、反応器から出口ライン5を通して回収され、これは、次いで、再循環流れ7および生成物ライン5に分割される。特定の期間にわたって生成物ライン5を出ていく物質の量は、速度+触媒組成物+同じ特定の期間中に容器に加えられた、ライン7から入ってくるもの以外のその他の物質と等しい。
【0105】
方法のさらなる実施形態を図5に示し、これは、示される実施形態が、液体加水分解物からいくらかまたは全ての固体を分離すると解釈できる。反応がどの程度完全であるかに依存して、固体は、所望により、さらなる加水分解のために加水分解容器16または容器15に戻すことができる。加水分解が実質的に完了しているならば、固体を除去した後に、生成物流れが次のステップに進む。
【0106】
この改良を、図7に示す。図7において、流れ5は、固体分離装置12に供給して、少なくともいくらかの固体およびおそらくいくらかの液体を固体流れ9に除去し、流れ5Aは、除去されたいくらかの固体を有する液体流れである。以前に記載したように、固体流れの少なくとも一部分は、所望により、加水分解容器16または容器15に戻してよい。分離は、容器16または15にパージして戻す前もしくは後の流れ9を取りだす前に行う必要はないが、好ましくは、生成物流れ6が次のステップに進む前に行う。図7に示すように、流れ9は、容器16もしくは15に再循環して戻してよいか、方法から完全に除去してよいか、または流れ9の一部分を方法から除去(パージ)し、残りを容器15、16のいずれかもしくは両方に再循環して戻してよい。
【0107】
固体を液体流れから分離する装置は、当該技術において公知であり、それらに限定されないが、フィルタ、サイクロン、遠心分離機、圧搾機、デカンタ、重力沈降、スキマーなどを含む。好ましい分離装置は、液体サイクロンおよび遠心分離機からなる群より選択される。
【0108】
類推によって、当業者は、図3のプラグ流れプロセスを改変して、少なくともいくらかの固体を流れ5から分離できる。
【0109】
固体を再循環し、加水分解生成物の大部分を通過させることにより、所定のサイズの容器についての変換率および滞留時間を、400%ほど多く増やし得ることがシミュレーションにより示されている。
【0110】
この場合の原料中の溶媒の重量とバイオマス+水の重量の比率は、1時間に容器に加えられたバイオマス+水の重量に対する、容器内の物質の重量+1時間に予備混合機11に加えられた溶媒の量である。ここでもまた、滞留時間は比率を表す。
【0111】
同様の類推により、図3に示すようなプラグ流れ反応器の実施形態が存在する。図2を参照して、図3の方法が、流れの全ての溶媒が予備混合機11を通して供給され、容器10には何も残らないような図2の方法の「改変」であると考えることができることが明らかである。図3に示すように、バイオマスおよび水を含有する原料流れ3は、供給ライン1を通して連続プラグ流れ反応器12に供給される。触媒組成物は、供給ライン2を通して反応器12に供給される。溶媒流れは、ライン5から分流された供給ライン7を通して物質に加えられ、これは加水分解生成物を含有する。成分は、漸進的に加水分解されるスラリーを形成し、液体加水分解物6は、反応器から生成物ライン5を通して回収され、これは流れ7に分割される。単位時間あたりに除去される生成物6の量(速度)は、速度+触媒組成物2+ライン7から入るもの以外の全てのその他の物質と等しい。接触の瞬間は、原料流れが溶媒流れと接触するときである。この場合の接触の瞬間での原料中のバイオマス+水の重量に対する重量の比率は、単位時間あたりに容器に加えられたバイオマス+水の重量に対する、同じ単位時間あたりの流れ7中の物質の重量である。
【0112】
図4に示しかつ以前に記載したバッチプロセスにおいて、この場合の接触の瞬間での原料中の溶媒の重量とバイオマス+水の重量の比率は、投入あたりに加えられたバイオマス+水の重量に対する容器内の物質の重量(相4と表示する溶媒流れ)である。さらなる溶媒を加える場合、これは、反応器中に既にある4の重量に加える。
【0113】
バイオマスを溶媒と予備混合することを有するようにバッチプロセスを改変する場合、この場合の接触の瞬間での原料中の溶媒の重量とバイオマス+水の重量の比率は、投入あたりに容器に加えられたバイオマス+水の重量に対する、容器中の溶媒の重量+投入量中の溶媒の重量である。
【0114】
原料中の溶媒の重量とバイオマス+水の重量の比率についての値は、1:99〜100:1で変動できる。しかし、この範囲は、5:95〜95:5であることがより好ましいか、またはさらにより好ましくは10:90〜90:10であり、20:80〜80:20の比率がより好ましく、20:80〜60:40の範囲が最も好ましいが、10:90〜90:10、20:80〜90:10、30:70〜90:10、40:60〜90:10、50:50〜90:10および60:40〜90:10も適切な範囲である。
【0115】
原料中の溶媒の重量とバイオマス+水の重量の比率についての値は、最小比率として表すこともできる。なぜなら、理論的最大値は存在しないと考えられるからである。よって、比率は、少なくとも0.8:1.0、またはより好ましくは少なくとも1:1、またはさらにより好ましくは少なくとも1.2:1であり、少なくとも1.5:1がより好ましく、2:1がさらにより好ましく、3:1がさらにより好ましい。
【0116】
セルロースの加水分解は、方法の中心的な特徴であるので、原料中の溶媒の重量とバイオマス+水の重量の比率は、セルロースおよびその加水分解生成物の使用により置き換えてよい。実施例に開示されるように、加水分解生成物はいずれも、原料の次の連続する量の導入の前に除去されなかった。よって、原料中のセルロースの量に対するセルロースの量+溶媒中の加水分解セルロースからの生成物の量の比率は、原料中の溶媒の重量とバイオマス+水の重量の比率と同じである。原料中のセルロースおよび溶媒の量は、容易に決定できる。セルロースからの加水分解生成物の量は、溶媒中の生成物を決定し、セルロース以外の何かの加水分解に由来するかまたは溶媒を作製するために用いた初期の原料中の生成物の量を減じることにより決定できる。例えば、デンプンもグルコースおよびセルロースと共通のその他の加水分解可能な種に加水分解される。よって、溶媒中のグルコースおよびセルロースと共通するその他の加水分解可能な種の量は、デンプンに由来する量を少なくとも低減しなければならない。このことは、そこから溶媒を作製する原料中のデンプンの量、溶媒中のデンプンの量を知ることにより決定でき、差は、デンプンに由来する加水分解可能な種の量である。
【0117】
制御比率は、セルロースの量+溶媒中の加水分解セルロースからの生成物の量と原料中のセルロースの量の最小比率として表すことができる。この比率は、少なくとも0.8:1.0、またはより好ましくは少なくとも1:1、またはさらにより好ましくは少なくとも1.2:1であり、少なくとも1.5:1がより好ましく、2:1がさらにより好ましく、3:1がさらにより好ましい。以下に列挙する実施例は、少なくとも4:1および少なくとも5:1の比率も機能することを確立する。実施例5において、比率を増加すると加水分解時間が減少したが、溶媒のそれぞれの追加量で改良がより小さいことが注目される。比率は、セルロースおよびその加水分解生成物に限定的であることが指摘される。よって、原料中に存在するセルロースの既知の加水分解生成物であるグルコースおよび生成物は、溶媒中に存在するものから減じられる。さらに、ヘミセルロースまたはデンプンまたは非セルロース性物質の加水分解に由来するいずれの生成物も、同様に溶媒から減じる必要がある。このことは、どれだけのデンプンがグルコースに還元されたかを決定することと、そのグルコースを減じることとを含む。
【0118】
溶媒は、不溶性物質以外の全てを分離する前に最もよく用いられるので、溶媒の液体部分中の水溶性物質の相対的組成は、水溶性成分を分離していない原料の加水分解の水溶性生成物の相対的組成と同じである。水を加えて水溶性成分を希釈することができるが、互いに対するそれらの量は同じままである。
【0119】
上記の実施形態は、本明細書または特許請求の範囲を限定するように設計されていない。なぜなら、一連の連続容器またはセミバッチ反応器またはプラグ流れ反応器との組み合わせもしくは組み合わせなしを含む、当業者にとって利用可能な多くの構成が存在するからである。
【0120】
粘度低減の実験的試行
実験装置
以下の寸法的特徴を有する2つの同一のガラス反応器(図6を参照されたい):
・T(反応器直径)=0.15m
・Z(反応器高さ)=0.30m
・4cmの幅の、側方表面および底の全てを取り囲む熱交換流体のためのジャケット;
・半球形の底;
・5つの開口部(撹拌機シャフト用の1つの中央の穴;物質を加えるかまたはサンプリングのための4つの側方の穴、これらは、試験中にキャップで閉じられる)を有するガスケットおよびシールを有するカバー。
【0121】
2つの反応器を、2つの異なるアンカー型撹拌機(AおよびB)に取り付けて、以下の配置を得る:
配置A:
D(「翼幅」)=0.136m
S(羽根幅)=0.01m
H(アンカー高さ)=0.12cm
C(クリアランス、羽根−壁間の距離)=0.007m
D/T=0.907
D/S=13.6
T/S=15
【0122】
配置B:
この配置において、羽根は、壁をよりよくこするように45度傾斜している
D(「翼幅」)=0.145m
LS(羽根幅)=0.0141m
S(突出羽根幅)=0.01m
H(アンカー高さ)=0.145cm
C(クリアランス、羽根−壁間の距離)=0.0025m
D/T=0.967
D/S=14.5
T/S=15
【0123】
撹拌は、Heidolph RZR 2102制御モータ(動力:140W)により行う。
【0124】
2つの温熱浴が、反応器のジャケットに45℃の水を循環させることにより、温度を確実に維持する。
【0125】
材料
用いた出発物質は、前処理したサトウモロコシおよびアルンド・ドナックスである。物質は、−18℃に貯蔵して分解を防いだ。
【0126】
出発物質の特徴は、以下のとおりである:
【0127】
【表1】

【0128】
WISは、水に可溶化されなかった固体のパーセンテージ(全物質に対して)である。
【0129】
WSSは、水に可溶化された固体のパーセンテージ(全物質に対して)である。
【0130】
WSSとWISの合計が、乾燥含有物の値と等しい。
【0131】
組成の特徴は、以下の手順である標準的な分析方法を用いて決定した:
バイオマス中の構造炭水化物およびリグニンの決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2008年4月25日
Technical Report NREL/TP−510−42618 2008年4月改訂
【0132】
バイオマス中の抽出物の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2005年7月17日
Technical Report NREL/TP−510−42619 2008年1月
【0133】
組成分析のための試料の調製
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2005年9月28日
Technical Report NREL/TP−510−42620 2008年1月
【0134】
バイオマス中の全固体および液体プロセス試料中の全可溶化固体の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2008年3月31日
Technical Report NREL/TP−510−42621 2008年3月改訂
【0135】
バイオマス中の灰分の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2005年7月17日
Technical Report NREL/TP−510−42622 2008年1月
【0136】
液体画分プロセス試料中の糖類、副生成物および分解生成物の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2006年12月8日
Technical Report NREL/TP−510−42623 2008年1月
【0137】
前処理されたバイオマス物質中の不溶性固体の決定
Laboratory Analytical Procedure(LAP)発行日:2008年3月21日
Technical Report NREL/TP−510−42627 2008年3月
【0138】
用いた酵素カクテルは、以下の特徴を有し、全ての試験について一定に維持された:
【0139】
【表2】

【0140】
セルラーゼ複合体酵素調製物は、セルロース性物質の、グルコース、セロビオースおよびより高い分子量のグルコオリゴマーへの分解を触媒する溶液である。酵素溶液ヘミセルラーゼおよびキシラナーゼは、ヘミセルロースを単糖またはオリゴマーの形態のそれらの構成要素に解重合することを主に触媒し、さらに、これらは、より少ない程度の副触媒活性を示す。
【0141】
酵素複合体は、種々の炭水化物に対して作用し、そのようにして調製される溶液の活性を増進する能力を示す酵素溶液である。
【0142】
記載されるカクテルは、以下の活性を有する:
【0143】
【表3】

【0144】
FPUは、NREL Laboratory Analytical Procedure(Technical Report NREL/TP−510−42628、2008年1月)に従って測定され、定義される。この方法は、工業規格を用い、元の(希釈していない)酵素溶液1ミリリットルあたりの「濾紙単位」(FPU)の点でセルロース活性を測定する。定量的な結果のために、酵素調製物は、意味のある等価な変換に基づいて比較されなければならない。所定の酵素についての1濾紙単位は、グルコースとしての還元糖2.0mgを、50℃にて60分間でWhatman第1号濾紙片からの50mgの濾紙から(4%変換)遊離するために必要な酵素の量であり、International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)ガイドラインによる濾紙セルロース単位(FPU)を算出するための切片とよばれている。
【0145】
FXU中のキシラナーゼ活性は、既知の活性を有する標準酵素に対して測定される。以下に記載する上清に対する分光光度測定を、標準試料により得られる標準曲線と比較する。
【0146】
キシラナーゼ試料を、レマゾール染色したコムギアラビノキシラン基質とインキュベートする。変換されなかった基質を、エタノールを用いて沈殿させる。沈殿されなかったレマゾール染色した基質分解生成物による上清の青色の着色の強度は、エンドキシラナーゼ活性に比例する。色のプロファイルは、酵素ごとに変動し得る。
【0147】
【数1】

【0148】
式中:
Cは、標準曲線から読み取った酵素活性(FXU/ml)であり、
Fは、試料の容量(ml)であり、
Dは、試料のさらなる希釈(例えば第2または第3希釈)であり、
Wは、試料の重量(g)である。
【0149】
1FBGは、以下に記載する標準的な手順(ソモギーネルソン法)に従って、1分あたり1モルのグルコースに等しい還元能力を有してグルコースまたは還元炭水化物を放出する酵素の量である。
【0150】
標準的な反応条件:
・試料は、0.02〜0.10FBG/mlの活性を得るように希釈される
・基質:0.5%ベータグルカン
・温度:30℃
・pH:5.0
・反応時間:30分
【0151】
真菌ベータグルカナーゼは、還元糖として決定されるグルコースおよび還元炭水化物の形成プロセス中にベータグルカンと反応する。
【0152】
さらに、pHを約5の値に維持するために、pH計を用いることができない(物質の性質のため)ので、1Nクエン酸緩衝液を、装填した物質の量の1%の合計量で用いる。
【0153】
試験第1号
物質:モロコシ(上記)。
【0154】
反応器を取り付け(混合機を含む)、熱交換流体を(45℃)の温度にする。2つのエンジンを、(物質なし、撹拌慣性のみで)12rpmの撹拌速度(装置の最低速度)、0.0N・cmに等しいトルク値を得るように校正した。
【0155】
両方の反応器に、融解直後の1.5kgの物質を充填し、撹拌速度を、物質を均質にするために開始した。2つの反応器のいずれにおいても、自由水は目に見えなかった。これらの条件における物質の密度は、600kg/mにほぼ等しかった。12rpmでの両方の系での撹拌は、過重負荷を示した(用いたトルク値が、200N・cmを超えて測定尺度の範囲外であった)。
【0156】
t=0において、両方の反応器に、以下の構成の溶液(全重量約96g)を加えた:
・グルカン(液相中のセロビオースおよびグルコオリゴマーと、固相中のグルカンの合計としてのグルカンを意味する)1gあたり20FPUのセルラーゼ複合体の活性を提供し、その他の活性が結果として提供されるように決定された、上記の組成を有する酵素カクテル29.4ml。このグルカン1gあたり20FPUは、原料の含有セルロースに基づいて算出して、全乾物1gあたりおよそ9FPUである。
・全物質の約1%となるように決定された上記のような緩衝液(クエン酸塩)16.5グラム。
・酵素溶液を希釈し、その分散を改善するための48.5グラムのHO。加える水の量は、加える溶液の合計(HO+カクテル+クエン酸塩)が、初期の前処理された物質の乾燥含量の約30%に等しくなるように決定される。
【0157】
添加の後に、各反応器において、約19.2%の乾燥含量(算出した)を有する1.6kgの全物質が存在した。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。撹拌速度を約180rpmに増加させて(しばらくの間)、物質と加えた溶液とを混合した。この点で、自由水はなく、反応器中の物質のレベルは、前と同じであった(この段階で、推定密度は約650kg/mであった)。
【0158】
両方の反応を、撹拌速度を両方の場合において同じに維持して並行して行い、撹拌速度は、最初の1時間で12rpmに等しく設定し、次いで100rpmの値に上昇させた。60分毎に、撹拌速度を180rpmに上昇して(数秒間)、物質を均質化した。
【0159】
試験を通して、反応器Aのエンジンについて測定されたトルクは、Bのものよりも常に低い。約5時間後に、反応器A中の物質は、液体の外観であった(約20N・cmの100rpmでのトルク値)が、他方(100rpmでのトルクが最初の200N・cmより高くから約140N・cmの値に下落したことにより示されるように、反応は部分的に生じていたが)は、固体の外観であった。
【0160】
2つの反応器内の条件を実質的に変更しないさらに1時間後(t=6時間)、反応器B(わずかな自由水の放出を有したが、まだ固体の外観であった)の全ての物質を、反応器Aに入れた。添加の後に、撹拌を数秒間200rpmに等しく設定して、物質を均質化し、次いで120N・cmのトルクで100rpmに等しく設定したところ、非常に湿った固体の物質の外観であった。約10分で、測定されたトルク値は20N・cmに下落し、物質は、添加の前の反応器Aで提示されたものと同様の液体の外観を呈した。試験は、さらに10分後に停止し、このとき、トルクは100rpmにて約15N・cmに低下した。この点で測定した物質の密度は、およそ1100kg/mであった。
【0161】
試験第2号
物質:モロコシ(上記)。
【0162】
反応器を取り付け(混合機を含む)、熱交換流体を(45℃)の温度にする。2つのエンジンを、(物質なし、撹拌慣性のみで)12rpmの撹拌速度(装置の最低速度)、0.0N・cmに等しいトルク値を得るように校正した。
【0163】
試験第2号では、A反応器において、試験第1号(同じ反応器で行った)と同じ条件下で試験を行い、同様の結果を得た。
【0164】
B反応器に、1.5kgの試験第1号からの物質(液体の外観、密度1100kg/m、約15N・cmに等しい100rpmで測定されたトルク)を充填した。この物質に、1.5kgの前処理したモロコシ(前の部分で記載した特徴を有し、特に20.41%に等しい乾燥含量)および試験第1号で用いたのと同じ溶液(合計で約96g)を加えた。種々の添加後の乾燥含量は、19.2%に等しいと算出された。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質を混合した。この点で、均質化された物質は、約800kg/mの見かけ密度、および約150N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した。
【0165】
両方の反応を、撹拌速度を両方の場合において同じに維持して並行して行い、撹拌速度は、最初の1時間で12rpmに等しく設定し、次いで100rpmの値に上昇させた。60分毎に、撹拌速度を180rpmに上昇して(数秒間)、物質を均質化した。
【0166】
試験第2号中に、反応器Bにおいて、6時間後に液化がまだ達成されなかった試験第1号に対して著しくよりよい結果が達成された。特に、約3時間後(反応器Aで必要であった時間より短い)に、物質は液体の外観であり、約20N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した(一方、反応器Aでは、測定された値は約100N・cmであり、物質は、湿潤固体の外観であった)。7時間の試験の後に、2つの反応器中の物質は、同様の外観であったが、反応器Bでは、約60%の時間で結果が達成された。
【0167】
反応器Bで得られた(7時間後)物質に対する組成分析試験は、約25%に等しいグルコースについての酵素加水分解収率(全グルカンに対して)と、およそ50%に等しいキシロースについての収率(全キシランに対して)を示した。これらの値は、先の粘度低減の試行で得られたものより高い。
【0168】
さらに、最終物質についてpH測定を行い、3.9に等しいことが見出された。この値は、文献データによると最高の酵素活性(pH=5)を確実にするものより低い。
【0169】
試験第3号
物質:アルンド・ドナックス(上記)。
【0170】
試験第3号において行った手順は、試験第1号(モロコシを用いる試行)で用いたものと同じであった。
【0171】
2つの反応器において、それぞれに1.5kgの前処理したアルンド(30.4%に等しい測定された乾燥含量)を充填し、自由水は目に見えなかった。これらの条件における物質の密度は、600kg/mにほぼ等しかった。12rpmでの両方の系での撹拌は、過重負荷を示した。
【0172】
t=0において、両方の反応器に、以下の構成の溶液(全重量約140g)を加えた:
・グルカン(液相中のセロビオースおよびグルコオリゴマーと、固相中のグルカンの合計としてのグルカンを意味する)1gあたり20FPUのセルラーゼ複合体の活性を提供し、その他の活性が結果として提供されるように決定された、上記の組成を有する酵素カクテル44.1ml。
・全物質の約1%となるように決定された上記のような緩衝液(クエン酸塩)17.3グラム。
・酵素溶液を希釈し、その分散を改善するための78.4グラムのHO。加える水の量は、加える溶液の合計(HO+カクテル+クエン酸塩)が、初期の前処理された物質の乾燥含量の約30%に等しくなるように決定される。
【0173】
添加の後に、各反応器において、約27.8%の乾燥含量(算出した)を有する1.6kgの全物質が存在した。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。撹拌速度を約180rpmに増加させて(しばらくの間)、物質と加えた溶液とを混合した。この点で、自由水はなく、反応器中の物質のレベルは、前と同じであった(この段階で、推定密度は約650kg/mであった)。
【0174】
両方の反応を、撹拌速度を両方の場合において同じに維持して並行して行い、撹拌速度は、最初の1時間で12rpmに等しく設定し、次いで100rpmの値に上昇させた。60分毎に、撹拌速度を180rpmに上昇して(数秒間)、物質を均質化した。
【0175】
試験を通して、反応器Aのエンジンについて測定されたトルクは、Bのものよりも常に低い。約6.5時間後に、反応器A中の物質は、液体の外観であった(100rpmで約20N・cmのトルク値)が、他方(100rpmでのトルクが最初の200N・cmより高くから約140N・cmの値に下落したことにより示されるように、反応は部分的に生じていたが)は、固体の外観であった。
【0176】
2つの反応器内の条件を実質的に変更しないさらに30分後に、反応器B(わずかな自由水の放出を有したが、まだ固体の外観であった)の全ての物質を、反応器Aに入れた。添加の後に、撹拌を数秒間200rpmに等しく設定して、物質を均質化し、次いで130N・cmのトルクで100rpmに等しく設定したところ、非常に湿った固体の物質の外観であった。約20分で、測定されたトルク値は20N・cmに下落し、物質は、添加の前の反応器Aで提示されたものと同様の液体の外観を呈した。試験は、さらに40分後に停止し、このとき、トルクは100rpmにて約15N・cmに低下した。この点で測定した物質の密度は、およそ1100kg/mであった。
【0177】
試験第4号
物質:アルンド・ドナックス(上記)。
【0178】
試験第4号で行った手順は、試験第2号(モロコシを用いる試行)で用いたものと同じであった。
【0179】
試行第4号では、A反応器において、試験第3号(同じ反応器で行った)と同じ条件下で試験を行い、同様の結果を得た。
【0180】
B反応器に、1.5kgの試験第3号からの物質(液体の外観、密度1100kg/m、約15N・cmに等しい100rpmで測定されたトルク)を充填した。この物質に、1.5kgの前処理したアルンド(前の部分で記載した特徴を有し、特に30.4%に等しい乾燥含量)および試験第3号で用いたのと同じ溶液(合計で約140g)を加えた。種々の添加後の乾燥含量は、27.8%に等しいと算出された。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質を混合した。この点で、均質化された物質は、約750kg/mの見かけ密度、および約170N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した。
【0181】
両方の反応を、撹拌速度を両方の場合において同じに維持して並行して行い、撹拌速度は、最初の1時間で12rpmに等しく設定し、次いで100rpmの値に上昇させた。60分毎に、撹拌速度を180rpmに上昇して(数秒間)、物質を均質化した。
【0182】
試験第4号中に、反応器Bにおいて、7時間後に液化がまだ達成されなかった試験第3号に対して著しくよりよい結果が達成された。特に、約5時間後(反応器Aで必要であった時間より短い時間)に、物質は液体の外観であり、約20N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した(一方、反応器Aでは、測定された値は約90N・cmであり、物質は、湿潤固体の外観であった)。約8時間の試験の後に、2つの反応器中の物質は、同様の外観であったが、反応器Bでは、約75%の時間で結果が達成された。
【0183】
試験第5号
物質:アルンド・ドナックス(上記)。
【0184】
B反応器に、1.5kgの試験第3号からの物質(液体の外観、密度1100kg/m、約15N・cmに等しい100rpmで測定されたトルク)を充填した。この物質に、0.5kgの前処理したアルンド(前の部分で記載した特徴を有し、特に30.4%に等しい乾燥含量)を加えた。
【0185】
t=0において、両方の反応器に、以下の構成の溶液(全重量約46.5g)を加えた:
・グルカン(液相中のセロビオースおよびグルコオリゴマーと、固相中のグルカンの合計としてのグルカンを意味する)1gあたり20FPUのセルラーゼ複合体の活性を提供し、その他の活性が結果として提供されるように決定された、上記の組成を有する酵素カクテル14.7ml。
・全物質の約5%となるように決定された上記のような緩衝液(クエン酸塩)28.8グラム。
・酵素溶液を希釈し、その分散を改善するための3.1グラムのHO。加える水の量は、加える溶液の合計(HO+カクテル+クエン酸塩)が、初期の前処理された物質の乾燥含量の約30%に等しくなるように決定される。
【0186】
添加の後に、反応器において、約27.8%の乾燥含量(算出した)を有する2.05kgの全物質が存在した。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質と加えた溶液とを混合した。この点で、均質化された物質は、約900kg/mの見かけ密度、および約150N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した。
【0187】
反応は、最初の1時間は100rpmに等しい撹拌速度を維持して行い、20分毎に、撹拌速度を180rpmに上昇して(数秒間)、物質を均質化した。
【0188】
約65分後に、物質は液体の外観であった(100rpmで約30N・cmのトルク値)。推定密度は、約1100kg/mであった。
【0189】
この点で、反応器中の物質に、500gの前処理したアルンド・ドナックスおよび46.5gの上記の溶液を加えた。添加の後に、反応器において、約27.8%の乾燥パーセンテージ(算出した)を有する約2.6kgの全物質が存在した。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質を均質化し、これは、約950kg/mの見かけ密度と、約120N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した。
【0190】
約45分後に、物質は液体の外観であった(100rpmで約30N・cmのトルク値)。推定密度は、約1100kg/mであった。
【0191】
この点で、反応器中の物質に、500gの前処理したアルンド・ドナックスおよび46.5gの上記の溶液を加えた。添加の後に、反応器において、約27.8%の乾燥パーセンテージ(算出した)を有する約3.15kgの全物質が存在した。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。
【0192】
撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質を均質化し、これは、約950kg/mの見かけ密度と、約120N・cmの100rpmでのトルク値を有した。
【0193】
約35分後に、物質は液体の外観であった(100rpmで約30N・cmのトルク値)。推定密度は、約1100kg/mであった。
【0194】
試験は、およそ8時間後に停止した。1.5kgの前処理した物質の液化は、全体で2時間25分で達成され、この時間は、試験第4号における反応器Bによりかかった時間の約50%、および試験第3号および第4号における反応器Aで必要な時間の約38%に等しかった。
【0195】
試験第6号
物質:モロコシ(上記)。
【0196】
反応器を取り付け(混合機を含む)、熱交換流体を(45℃)の温度にする。2つのエンジンを、(物質なし、撹拌慣性のみで)12rpmの撹拌速度(装置の最低速度)、0.0N・cmに等しいトルク値を得るように校正した。
【0197】
試行第6号では、B反応器において、試験第2号(同じ反応器で行った)と同じ条件下で試験を行い、同様の結果を得た。
【0198】
A反応器に、0.75kgの前処理したモロコシ(前の部分で記載した特徴を有し、特に20.4%に等しい乾燥含量)を充填した。約600kg/mの密度を有するこの固体に、以下の構成の溶液(全重量約96g)を加えた:
・グルカン(液相中のセロビオースおよびグルコオリゴマーと、固相中のグルカンの合計としてのグルカンを意味する)1gあたり40FPUのセルラーゼ複合体の活性を提供し、その他の活性が結果として提供されるように決定された、上記の組成を有する酵素カクテル29.4ml。このグルカン1gあたり40FPUは、原料の含有セルロースに基づいて算出して、全乾物1gあたりおよそ18FPUである。
・全物質の約2%となるように決定された上記のような緩衝液(クエン酸塩)16.5グラム。
・酵素溶液を希釈し、その分散を改善するための48.5グラムのHO。加える水の量は、加える溶液の合計(HO+カクテル+クエン酸塩)が、初期の前処理された物質の乾燥含量の約60%に等しくなるように決定される。
【0199】
このようにして、A反応器は、グルカン1グラムに対する酵素の装填量が試験第1号および第2号の2倍で運転した。さらに、初期の乾燥含量は、17.5%(試験第1号および第2号において算出されるものよりも低い)と等しくなると算出された。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。
【0200】
撹拌速度を約180rpmに増加させて(しばらくの間)、物質と加えた溶液とを混合した。得られた物質の見かけ密度は、約700kg/mであり、100rpmで測定されたトルクは、約160N・cmに等しかった。
【0201】
両方の反応を、撹拌速度を両方の場合において同じに維持して並行して行い、撹拌速度は、最初の1時間で12rpmに等しく設定し、次いで100rpmの値に上昇させた。60分毎に、撹拌速度を180rpmに上昇して(数秒間)、物質を均質化した。
【0202】
この試験において、反応器Aでは、試験第1号および第2号(同じ反応器で行われた)に対して、ならびに反応器Bで行われた反応に対しても著しくよりよい結果が達成された。特に、約1時間後に、物質は液体の外観であり(約1000〜1100kg/mの見かけ密度)、約20N・cmの100rpmでのトルク値を有した。同時に、反応器Bにおいて、物質は、湿潤固体の外観であり、約100N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した。
【0203】
この点で、反応器Aに、750gの前処理したモロコシをさらに加えた(前の部分に記載するように、20.41%に等しい乾燥含量)。この添加の結果として、算出された乾燥含量は、前の試験の値である19.2%に戻り、セルロース1グラムあたりの酵素の装填量は、前の試験の値(グルカン1gあたり20FPU)に低減された。撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質を混合した。この点で、均質化された物質は、約800kg/mの見かけ密度と、約120N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した。
【0204】
さらに1時間の撹拌後、物質は再び液体の外観であり、添加前に測定されたものとほぼ同じに等しい密度およびトルクの値を有した。約7時間の試験の後に、物質は両方の反応器において同様の、同様の外観であったが、反応器Aにおいて、Bで必要であった時間の約65%、ならびに試験第1号および第2号における反応器Aで必要な時間の約39%で液体状態に到達した。
【0205】
試験第7号
物質:アルンド・ドナックス(上記)。
【0206】
試験第7号では、B反応器において、試験第4号(同じ反応器で行った)と同じ条件下で試験を行い、同様の結果を得た。
【0207】
A反応器に、0.75kgの前処理したアルンド(前の部分で記載した特徴を有し、特に30.4%に等しい乾燥含量)を充填した。約600kg/mの密度を有するこの固体に、以下の構成の溶液(全重量約140g)を加えた:
・グルカン(液相中のセロビオースおよびグルコオリゴマーと、固相中のグルカンの合計としてのグルカンを意味する)1gあたり40FPUのセルラーゼ複合体の活性を提供し、その他の活性が結果として提供されるように決定された、上記の組成を有する酵素カクテル44.1ml。
・全物質の約2%となるように決定された上記のような緩衝液(クエン酸塩)17.3グラム。
・酵素溶液を希釈し、その分散を改善するための78.4グラムのHO。加える水の量は、加える溶液の合計(HO+カクテル+クエン酸塩)が、初期の前処理された物質の乾燥含量の約60%に等しくなるように決定される。
【0208】
このようにして、A反応器は、グルカン1グラムに対する酵素の装填量が試験第3号および第4号の2倍で運転した。さらに、初期の乾燥含量は、25.6%(試験第3号および第4号において算出されるものよりも低い)と等しくなると算出された。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。
【0209】
撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質と加えた溶液とを混合した。得られた物質の見かけ密度は、約750kg/mであり、100rpmで測定されたトルクは、約180N・cmに等しかった。
【0210】
両方の反応を、撹拌速度を両方の場合において同じに維持して並行して行い、撹拌速度は、最初の1時間で12rpmに等しく設定し、次いで100rpmの値に上昇させた。60分毎に、撹拌速度を180rpmに上昇して(数秒間)、物質を均質化した。
【0211】
この試験において、反応器Aでは、試験第3号および第4号(同じ反応器で行われた)に対して、ならびに反応器Bで行われた反応に対しても著しくよりよい結果が達成された。特に、約2.5時間後に、物質は液体の外観であり(約1000〜1100kg/mの見かけ密度)、約20N・cmの100rpmでのトルク値を有した。同時に、反応器Bにおいて、物質は、湿潤固体の外観であり、約130N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した。
【0212】
この点で、反応器Aに、750gの前処理したアルンドをさらに加えた(前の部分に記載するように、30.4%%に等しい乾燥含量)。この添加の結果として、算出された乾燥含量は、前の試験の値である27.8%に戻り、セルロース1グラムあたりの酵素の装填量は、前の試験の値(グルカン1gあたり20FPU)に低減された。撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質を混合した。
【0213】
さらに1.5時間の撹拌後、物質は再び液体の外観であり、添加前に測定されたものとほぼ同じに等しい密度およびトルクの値を有した。約8時間の試験の後に、物質は両方の反応器において同様の、同様の外観を有したが、反応器Aにおいて、Bで必要であった時間の約80%および試験第3号および第4号における反応器Aで必要な時間の約57%で液体状態に到達した。
【0214】
最終物質についてpH測定を行い、2.4に等しいことが見出された。この値は、文献データによると最高の酵素活性(pH=5)を確実にするものより低い。
【0215】
試験第8号
物質:アルンド・ドナックス(上記)。
【0216】
A反応器に、1.5kgの試験第7号からの物質(液体の外観、密度1100kg/m、約15N・cmに等しい100rpmで測定されたトルク)を充填した。この物質に、0.75kgの前処理したアルンド(前の部分で記載した特徴を有し、特に30.4%に等しい乾燥含量)を加えた。
【0217】
試験第7号において用いた溶液約140gを物質に加えた。添加の後に、反応器において、2.4kgの全物質が存在した。
【0218】
このようにして、反応器は、グルカン1グラムに対する酵素の装填量が試験第3号および第4号の2倍で運転した。さらに、初期の乾燥含量は、25.6%(試験第3号および第4号において算出されるものよりも低い)と等しくなると算出された。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。
【0219】
撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質と加えた溶液とを混合した。得られた物質の見かけ密度は、約850kg/mであり、100rpmで測定されたトルクは、約150N・cmに等しかった。
【0220】
反応は、100rpmに等しく設定された撹拌速度を維持して行った。20分毎に、撹拌速度を180rpmに上昇して(数秒間)、物質を均質化した。
【0221】
特に、約2時間後に、物質は液体の外観であり(約1000〜1100kg/mの見かけ密度)、約25N・cmの100rpmでのトルク値を有した。
【0222】
この点で、反応器に、750gの前処理したアルンドをさらに加え(前の部分で記載した特徴を有し、30.4%に等しい乾燥含量)、物質の全量は3.15kgであった。この添加の結果として、算出された乾燥含量は、前の試験の値である27.8%に戻り、セルロース1グラムあたりの酵素の装填量は、前の試験の値(グルカン1gあたり20FPU)に低減された。カバーの下に凝結が存在したことは、実際の乾燥含量がより高い可能性があることを示唆する。撹拌速度を約150rpmに増加させて(しばらくの間)、物質を混合した。
【0223】
この点で、均質化された物質は、約900kg/mの見かけ密度および約135N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した。
【0224】
さらに1時間の撹拌後に、物質は再び液体の外観であり、約1100kg/mに等しい見かけ密度の値および約25N・cmに等しい100rpmでのトルク値を有した。約8時間の試験の後に、物質は両方の反応器において同様の、同様の外観を有したが、A反応器において、Bで必要な時間の約80%、ならびに試験第3号および第4号における反応器Aで必要な時間の約57%で液体状態に到達した。
【0225】
試験は、およそ8時間行った。
【0226】
1.5kgの前処理した物質の液化は、全体で3時間で達成され、この時間は、試験第7号における反応器によりかかった時間の約75%に等しかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)乾燥含有物と水とを有するバイオマスを含むリグノセルロース原料を、水溶性加水分解種を含む溶媒の少なくとも一部分と接触させるステップであって、水溶性加水分解種の少なくともいくらかが、原料中のバイオマスの加水分解から得ることができる水溶性加水分解種と同じであるステップと、
B)原料流れの原料と溶媒との接触を、20℃〜200℃の範囲の温度に5分〜72時間の範囲の時間維持して、原料中のバイオマスから加水分解生成物を創出するステップと
を含む、リグノセルロースバイオマスを加水分解する方法。
【請求項2】
乾燥含有物が、セルロース、ヘミセルロースを含み、乾燥含有物中のセルロースの重量パーセントが、乾燥含有物の5重量パーセントより大きく、水溶性加水分解種の少なくともいくらかが、原料中のセルロースの加水分解から得ることができる水溶性加水分解種と同じであり、原料と溶媒との接触が、セルロースの加水分解のための触媒の存在下にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
原料と接触させる溶媒の重量と原料の重量の比率が、1:99〜99:1の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
原料と接触させる溶媒の重量と原料の重量の比率が、10:90〜90:10の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
原料と接触させる溶媒の重量と原料の重量の比率が、20:80〜90:10の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
原料と接触させる溶媒の重量と原料の重量の比率が、30:70〜90:10の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
原料と接触させる溶媒の重量と原料の重量の比率が、40:60〜90:10の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
原料と接触させる溶媒の重量と原料の重量の比率が、50:50〜90:10の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
原料と接触させる溶媒の重量と原料の重量の比率が、60:40〜90:10の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
原料と接触させる溶媒の重量と原料の重量の比率が、0.8:1より大きい請求項2に記載の方法。
【請求項11】
溶媒中のセルロース+セルロースの加水分解生成物の重量とリグノセルロース原料中のセルロースの重量の比率が、1:1より大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
溶媒中のセルロース+セルロースの加水分解生成物の重量とリグノセルロース原料中のセルロースの重量の比率が、1.5:1より大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
溶媒中のセルロース+セルロースの加水分解生成物の重量とリグノセルロース原料中のセルロースの重量の比率が、2:1より大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
溶媒中のセルロース+セルロースの加水分解生成物の重量とリグノセルロース原料中のセルロースの重量の比率が、3:1より大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
溶媒中のセルロース+セルロースの加水分解生成物の重量とリグノセルロース原料中のセルロースの重量の比率が、4:1より大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
溶媒中のセルロース+セルロースの加水分解生成物の重量とリグノセルロース原料中のセルロースの重量の比率が、5:1より大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
原料を溶媒の少なくとも一部分と接触させる前に、触媒組成物の少なくとも一部分を原料と接触させる、請求項2から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
原料を溶媒の少なくとも一部分と接触させた後に、触媒組成物の少なくとも一部分を原料と接触させる、請求項2から16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
原料を溶媒の少なくとも一部分と接触させるのと同時に、触媒組成物の少なくとも一部分を原料と接触させる、請求項2から16のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
バイオマスと原料の水の比率が、1:4より大きい、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
バイオマスと原料の水の比率が、1:3より大きい、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
バイオマスと原料の水の比率が、1:2より大きい、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
バイオマスと原料の水の比率が、1:1.5より大きい、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
バイオマスと原料の水の比率が、1:1より大きい、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
バイオマスと原料の水の比率が、1:0.9より大きい、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
触媒組成物が、酵素を含む、請求項2から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
温度が、20〜105℃の範囲にある、請求項1から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
温度が、20〜95℃の範囲にある、請求項1から26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
時間が、5分〜48時間の範囲にある、請求項1から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
時間が、5分〜36時間の範囲にある、請求項1から28のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
時間が、5分〜24時間の範囲にある、請求項1から28のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
時間が、5分〜12時間の範囲にある、請求項1から28のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
時間が、5分〜8時間の範囲にある、請求項1から28のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
A)溶媒の少なくとも一部分を既に含有する容器中に原料を導入するステップと、
B)原料を容器に導入する前、導入するのと同時または導入した後に触媒組成物を容器に導入するステップと、
C)原料と溶媒と触媒組成物とを容器中に、20℃〜200℃の前記温度範囲にて5分〜72時間の範囲の時間維持するステップと、
D)加水分解生成物を容器から除去するステップと
を含むバッチプロセスである、請求項1から33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
加水分解生成物の全てが、さらなる原料と水溶性加水分解種を含有する溶媒とを導入する前に、容器から除去される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
加水分解生成物の一部分、すなわち残留分が、容器中に残される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
A)溶媒の少なくとも一部分を既に含有する容器中に原料を連続的に導入するステップと、
B)触媒組成物を容器に導入するステップと、
C)ある重量の加水分解生成物を容器から連続的に除去するステップと
を含む連続プロセスである、請求項1から33のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
プラグ流れプロセスである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
連続撹拌反応器を用いる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
溶媒流れの一部分が、容器に導入される前に原料と混合され、溶媒と原料流れの比率が、容器中の溶媒の量+原料流れに伴う溶媒の量に基づく、請求項34から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
リグノセルロース原料を溶媒と接触させる前に、ある量の原料を、少なくとも第1原料流れに分配して、触媒を第1原料流れに加えて第1原料流れの原料を加水分解することにより第1溶媒流れを創出し、触媒の量が、全ての原料の乾燥含有物1gあたり0.1〜150FPUの範囲にあり、加水分解が、20℃〜95℃の範囲の温度にて5分〜72時間の範囲の時間行われ、リグノセルロース原料と溶媒と第1溶媒流れの溶媒とが、互いに接触され、接触が、前記温度範囲に前記時間範囲の時間維持される、請求項1から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
第1溶媒流れの一部分が、第1原料流れではない原料と、容器に導入する前に混合され、溶媒流れと原料流れの比率全てが、第1溶媒流れおよび容器中の溶媒の量である溶媒流れの全量に基づく、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
加水分解生成物中の固体の少なくとも一部分が、加水分解生成物から分離される、請求項1から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
固体の少なくとも一部分が、加水分解生成物から分離され、当該プロセスに再循環される、請求項1から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
加水分解生成物流れからの固体の少なくとも一部分の分離が、液体サイクロンおよび遠心分離機からなる群より選択される装置により行われる、請求項1から43のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−521778(P2012−521778A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502866(P2012−502866)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051413
【国際公開番号】WO2010/113130
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511233474)
【氏名又は名称原語表記】CHEMTEX ITALIA S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Strada Ribrocca 11, I−15057 TORTONA(Alessandria), ITALY
【Fターム(参考)】