説明

高圧ポンプ用カムのトップ位置検出装置

【課題】蓄圧式燃料噴射装置用の高圧ポンプにおいて、エンジン始動時のカムトップ位置の検出時間を短縮して、高圧ポンプによる電磁弁のリフト制御のトータル時間を短縮可能とした高圧ポンプ用高圧ポンプのカム位置検出装置を提供する。
【解決手段】カム軸に形成されたカムによって駆動され、燃料を高圧に加圧して蓄圧器に蓄圧する高圧ポンプにおける前記カムのカムローブ位置を検知する高圧ポンプのカム位置検出装置において、前記カムローブを1シリンダに付き複数個設けるとともに、前記カム軸の外周にカムローブと同数・同位相で設けた位置検出ポインターとを備え、前記位置検出ポインターの複数個の位置信号を該位置検出ポインターに対応して設置されたカム位置検出器にて検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄圧式燃料噴射装置の高圧ポンプに適用され、カム軸に形成されたカムによって駆動され、燃料を高圧に加圧して蓄圧器に蓄圧する高圧ポンプにおける前記カムのトップ位置を検知するカムトップ位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、蓄圧式燃料噴射装置用の高圧ポンプの要部縦断面図である。
高圧ポンプ100は、エンジン(図示省略)にカップリング12を介してフライホイール11が連結され、該フライホイール11に連結されて、カム軸3が回転駆動される。
前記カム軸3には、エンジンのシリンダ数と同じ数のカム2が形成されている。各カム2は、それぞれタペット4を介してプランジャ1を往復動させ、該プランジャ1により高圧に圧縮された高圧燃料が図示しない蓄圧器に蓄圧される。
【0003】
前記高圧ポンプ100の各シリンダには、電磁弁5が設置され、該電磁弁5は配線7で接続された制御装置(ECU)6によって開閉制御され、前記プランジャ1のプランジャ室1aへの燃料の供給、遮断を制御している。
前記制御装置(ECU)6には、カム位置検出器9からカム軸のカム2位置の検出信号が配線8を介して入力される。即ち、前記カム軸3のフライホイール11の外周に設けた位置検出ポインター11aを設け、前記フライホイール11とともに回転する位置検出ポインター11aの位置信号を、該位置検出ポインター11aに対応して設置された前記カム位置検出器9にて検出して、カムローブ21の基準トップとしている。
【0004】
尚、分配型燃料ポンプ1例として、特許文献1(特開昭59−192842号公報)が提供されている。かかる技術は回転軸の位置を、軸の外周に複数個の設けた位置検出ポインターの位置信号を位置検出器で検出している。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−192842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3に示される、従来の蓄圧式燃料噴射装置用の高圧ポンプでは、制御装置(ECU)6に入力されるカム位置検出器9にて検出信号は、フライホイール11の外周に設けた位置検出ポインター管11aの1回りに一度のカム2位置の検出信号を用いている。
図3に示すように、カムローブ21が180°の間隔で2つある場合では、カムローブ21の1回りに一度のカム位置の検出信号を用いている。
一方、高圧ポンプによる吐出流量制御を電磁弁5のリフト制御により行う場合は、プランジャ1の電磁弁5を閉弁することで、吐出が行われることから、閉弁のタイミングを測るため、エンジン始動の際に、カム2のトップ位置の検出のための時間が必要となる。
【0007】
従って、かかる従来の高圧ポンプにおいては、位置検出ポインター11aの1回りに一度のカムローブ21位置の検出信号を用いているため、カムローブ位置の検出に一回転分の時間を要することとなる。
【0008】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、蓄圧式燃料噴射装置用の高圧ポンプにおいて、エンジン始動時のカムローブ位置の検出時間を短縮して、高圧ポンプによる電磁弁のリフト制御のトータル時間を短縮可能とした高圧ポンプ用高圧ポンプのカム位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる目的を達成するもので、カム軸に形成されたカムによって駆動され、燃料を高圧に加圧して蓄圧器に蓄圧する高圧ポンプにおける前記カムのカムトップ位置を検知する高圧ポンプのカム位置検出装置において、前記カムローブを1シリンダにつき複数個設けるとともに、前記カム軸の外周にカムローブと同数・同位相で設けた位置検出ポインターとを備え、前記位置検出ポインターの複数個の位置信号を該位置検出ポインターに対応して設置されたカム位置検出器にて検出することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
かかる発明において、具体的には次のように構成する。
(1)前記位置検出ポインターは、前記カム軸の外周に沿った複数の突起物にて構成される(請求項2)。
(2)前記位置検出ポインターは、前記カム軸の外周に沿った複数の凹陥部にて構成された(請求項3)。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高圧ポンプにおける前記カムのカムローブ位置を検知する高圧ポンプのカム位置検出装置において、前記カム軸の外周にカムローブと同数・同位相で設けた位置検出ポインターとを備え、前記位置検出ポインターの複数個の位置信号を該位置検出ポインターに対応して設置されたカム位置検出器にて検出するようにし(請求項1)、具体的には、前記位置検出ポインターは、前記カム軸の外周に沿った複数の突起物にて構成され(請求項2)、あるいは前記カム軸の外周に沿った複数の凹陥部にて構成される(請求項2)ので、
カムローブを1シリンダにつき複数個設け、カム軸の外周にカムローブと同数・同位相で設けた位置検出ポインターを備えたので、少なくとも1/2回転(2個設ける場合)に1度のピッチで、カムローブ毎にカム位置の検出信号を得ることができ、従来技術の高圧ポンプのように位置検出ポインターの1回りに一度のカム位置の検出信号を用いる場合に比べて、カム位置の検出時間が1/2となる。
【0012】
即ち、本発明によれば、カム位置の検出時間が、従来技術にくらべて1/(カムローブ数)に短縮される。
これにより、1/(カムローブ数)の短縮時間を実現し、エンジン始動時における高圧ポンプによる電磁弁のリフト制御のトータル時間を短縮可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0014】
図1は本発明の実施例にかかる蓄圧式燃料噴射装置用の高圧ポンプの要部縦断面図、図2は図1のA−A矢視図(その1・その2)、図3は従来の蓄圧式燃料噴射装置用の高圧ポンプの要部縦断面図である。
図1〜3において、高圧ポンプ100は、エンジン(図示省略)にカップリング12を介してフライホイール11が連結され、該フライホイール11に連結されてカム軸3が回転駆動される。前記カム軸3には、エンジンのシリンダ数と同じ数のカム2が形成されている。各カム2は、それぞれタペット4を介してプランジャ1を往復動させ、該プランジャ1により高圧に圧縮された高圧燃料が図示しない蓄圧器に蓄圧される。
【0015】
前記高圧ポンプ100の各シリンダには、電磁弁5が設置され、該電磁弁5は配線7で接続された制御装置(ECU)6によって開閉制御され、前記プランジャ1のプランジャ室1aへの燃料の供給、遮断を制御している。
前記制御装置(ECU)6には、カム位置検出器9からカム軸3のカム2位置の検出信号が配線8を介して入力される。
以上の構成は、従来技術と同様である。
【0016】
前記カム軸3の各シリンダに設けた各カム2は、図2に示すように、カムローブ21を1シリンダにつき複数個(この場合は軸対称に2個)設けている。そして、前記フライホイール11の外周に前記カムローブ21と同数(2個)・同位相で設けた位置検出ポインター10,10とを備えている。
また、前記位置検出ポインター10,10の2個の位置信号を、該位置検出ポインター10、10に対応して設置されたカム位置検出器9にて検出し、該検出信号を前記制御装置(ECU)6に入力する。
【0017】
前記位置検出ポインター10,10は、図2のように、前記フライホイール11の外周に沿った複数の突起状の位置検出ポインター10,10にて構成され、あるいは、図3のように、前記位置検出ポインターは、前記フライホイール11の外周に沿った複数の凹陥部状の位置検出ポインター10,10にて構成される。
【0018】
カムローブ21を1シリンダにつき複数個(この場合は軸対称に2個)設け、フライホイール11の外周にカムローブ21と同数・同位相で設けた位置検出ポインター10を備えたので、少なくとも1/2回転(2個設ける場合)に1度のピッチで、カムローブ21毎にカム2位置の検出信号を得ることができ、従来技術の高圧ポンプのように位置検出ポインターの1回りに一度のカム位置の検出信号を用いる場合に比べて、カム位置の検出時間が1/2となる。
【0019】
即ち、係る実施例によれば、カム2の位置の検出時間が、従来技術にくらべて1/(カムローブ数に短縮される。
これにより、1/(カムローブ数)の短縮時間を実現し、エンジン始動時における高圧ポンプ100による電磁弁5のリフト制御のトータル時間を短縮可能とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明によれば、蓄圧式燃料噴射装置用の高圧ポンプにおいて、エンジン始動時のカムトップ位置の検出時間を短縮して、高圧ポンプによる電磁弁のリフト制御のトータル時間を短縮可能とした高圧ポンプ用高圧ポンプのカム位置検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例にかかる蓄圧式燃料噴射装置用の高圧ポンプの要部縦断面図である。
【図2】(A)は図1のA−A矢視図(その1)、(B)は図1のA−A矢視図(その2)である。
【図3】従来の蓄圧式燃料噴射装置用の高圧ポンプの要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 プランジャ
1a プランジャ室
2 カム
3 カム軸
5 電磁弁
6 制御装置(ECU)
9 カム位置検出器
10 位置検出ポインター
11 フライホイール
21 カムローブ
100 高圧ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム軸に形成されたカムによって駆動され、燃料を高圧に加圧して蓄圧器に蓄圧する高圧ポンプにおける前記カムのカムトップ位置を検知する高圧ポンプのカム位置検出装置において、前記カムローブを1シリンダにつき複数個設けるとともに、前記カム軸の外周にカムローブと同数・同位相で設けた位置検出ポインターとを備え、前記位置検出ポインターの複数個の位置信号を該位置検出ポインターに対応して設置されたカム位置検出器にて検出することを特徴とする高圧ポンプのカム位置検出装置。
【請求項2】
前記位置検出ポインターは、前記カム軸の外周に沿った複数の突起物にて構成されたことを特徴とする請求項1記載の高圧ポンプのカム位置検出装置。
【請求項3】
前記位置検出ポインターは、前記カム軸の外周に沿った複数の凹陥部にて構成されたことを特徴とする請求項1記載の高圧ポンプのカム位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−144631(P2009−144631A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323968(P2007−323968)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】