説明

高圧力式細砂ろ過装置およびその方法

【課題】従来の圧力式ろ過法に代わりえる、無薬注、安価で、クリプトスポリジウムに対応した安全でおいしい水を得ることができ、超純水の前処理や工業用水浄化にも利用できる高圧力式細砂ろ過装置および方法を提供する。
【解決手段】ろ過砂として0.02〜0.2mmの有効径からなる細砂を0.2〜100cm充填し、凝集剤を入れないで、逆洗直前の、ろ過損失水頭を2〜40mの高圧までろ過することにより逆洗水量を削減する。ろ過速度は30〜500m/日まで高めることによって、面積あたりの、ろ過水量を大とする。凝集剤を使わないため、原水に有機物があれば生物処理を行えるため、より安全なろ過水が得られるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は河川表流水、湖沼水、ダム水、地下水などの原水から浄水を得るための濁水処理に関するものである。さらに詳しくは清澄な原水から、やや汚濁した原水までの中高速ろ過に関し、原水を安全でおいしい飲み水にする浄水処理に関するものである。さらに、浄水のほか、超純水の製造、工業用水の浄水処理、排水処理水の高度処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道水の浄水方法は急速ろ過および緩速ろ過が主流である。しかし前者はオペレータが維持管理することを原則とするが、小規模では人員を配置できないという欠点がある。新しく水道水の水質基準にアルミニウムが入れられ、厳しい凝集剤管理が要求されることとなった。これは小規模の急速ろ過にとっては厳しいものである。また原水の悪化によってろ過水の異臭味が増大し、オゾン処理など高度処理を行うところが増えてきた。しかし高度処理はコストの増大を招くのが最大の欠点である。
【0003】
比較的原水がきれいな地方では緩速ろ過が行われているが、ろ過速度が4〜5m/日と低いのが難点であり、河川表流水や湖沼水では砂層の目詰まりを引き起こし、必ずしも維持管理費は安価ではない。
【0004】
クリプトスポリジウムが大きな問題となっている。この原虫は大きさが5μmであり、ろ過で除去できるが、塩素では死なないため、従来の井戸水や伏流水を塩素消毒しただけで水道水とする直送方式が見直されている。これら地下水は有機物が少なく、濁質も少ないのが特徴である。ある程度汚れた水を対象とする急速ろ過や緩速ろ過は、直送方式から置き換えるには、維持管理の煩雑さやコストの面で適当でないとの考えがある。
【0005】
最近は膜ろ過が注目されている。膜ろ過は原水濁度が極めて低い場合に利用できるものであり、全自動運転が最大のメリットとされている。特に有機物が少なくクリプトスポリジウムという比較的大きな粒子を除去するには膜ろ過が適当であるとの考えがある。しかしながら、最大の問題は維持管理の煩雑さとコストである。全自動であるが現実問題として前処理が必要なことが多く、膜の逆洗や薬品洗浄などトラブルも少なくない。そのためコストが極めて高いという大きな問題が発生している。
【0006】
グローバル化の社会において、重要なことのひとつがコストダウンである。社会資本である水道も、これに合致しなければならなくなった。上記3方法はコスト的に難点がある。特に地方の小さな自治体や給水人口が小さい場合、コストダウンはきわめて重要である。
【0007】
新しいろ過法として特許文献1に記載のような細砂ろ過法が開発された。
この特許文献1に記載の細砂ろ過法は、細砂の使用により急速ろ過における凝集剤を不要とし、かつ生物処理を行わせることにより異臭味を大幅に低減することができた。さらに緩速ろ過の砂を細砂とすることにより濁質の漏出がなくなり、ろ過速度を高めることができた。また、逆洗装置の導入は砂の目詰まり対策としての砂削り取りを不要とした。
【0008】
膜ろ過は、膜の目詰まりが逆洗を繰り返していくと高まり、最後には膜モジュールを交換しなければならないが、細砂ろ過では逆洗により細砂層が完全に再生されるため膜のような劣化は起こらない。
【0009】
しかしながら、細砂ろ過法は原水濁度が高いときは逆洗回数が増大する。大雨時は、ろ過水のうち逆洗に使用する割合が高くなる。膜ろ過のように一時的に浄水処理を停止することはできるが、その間、ろ過水の供給は停止する。
【0010】
清澄ろ過は、水道水のほか、超純水の製造、工業用水のろ過、工場排水処理水の高度ろ過など多くのところからの要求がある。超純水の製造は電子工業に欠かせないものであるが、通常は工業用水、地下水などを原水としている。ろ過として濁質や、細ゴミ、鉄などの除去が必要になるが、薬品の添加は後段の処理に影響を与えるので、無添加処理が望まれている。
【0011】
また工業用水には浄水処理と同じ安価で安全な水を作ることが望まれているが、適当な方法がない。たとえば豆腐製造やもやし製造業では水道水は水質的に問題があり、また高価である。クリプトスポリジウムを完全に除去した安価な水が望まれるが、その供給は決して容易ではない。
【0012】
工場排水の処理水は可能ならばリサイクルするところである。排水処理水は、さらに高度処理や高度ろ過しなければリサイクルできないが、ここに維持管理の容易さとコストにおいて問題を抱えている。
【0013】
緩速ろ過や急速ろ過は、河川表流水の場合、大雨時急激に濁水が流入し、これが悩みの種である。膜ろ過が実質上使えない原因のひとつとなっている。無人運転はこのような濁度の急変に対応が困難であり、コストアップの原因にもなっている。
【0014】
膜ろ過は無機濁質をろ過する。30分から1時間に1回逆洗するが、何れ閉塞し逆洗が必要になる。閉塞しない膜、さらには有機物汚濁に耐えうる膜は開発されていない。実質上、利用は地下水に限られている。河川表流水に用いようとする場合は、浄水処理に近い前処理が要求されている。いずれにしても特別の高コストシステムである。
【特許文献1】特開2003−275782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
急速ろ過は凝集剤を添加するが、無薬品処理するのが課題である。膜ろ過も凝集剤や塩素を使うのが普通であるが、安全でおいしい水を作るために薬品を使わないこととした。薬品を使わないことは生物ろ過が行われることを示している。そのため、より高度な浄水処理となる。
【0016】
生物ろ過といえば緩速ろ過であるが、ろ過速度をアップするのが課題である。緩速ろ過では、ろ過速度を上げると濁質が漏出し、目詰まりが頻繁に起こるようになり、運転できない。
【0017】
クリプトスポリジウム対策として地下水をろ過するシステムの開発が課題である。建設費および維持管理費のコストが低く、小規模水道に適した方法が望まれる。
細砂ろ過は無薬注ろ過で物理ろ過のみならず生物ろ過をするという長所があり、これを基本として能力の高い処理方法を開発するのが課題である。特に原水濁度が高い場合、細砂ろ過は逆洗回数が急激に増大する。この逆洗回数を減らすことが課題である。これが可能となれば河川が濁流時であってもろ過水を得ることができる。急速ろ過では凝集剤量を増すことで、曲がりなりにも対応できるが、既存の他の方法は無理があった。
【0018】
細砂ろ過では細砂を小さくしていくと、ろ過損失水頭が増大し、限界があった。この限界をさらに広げるのが課題である。
細砂ろ過は生物処理を使う場合は濁質除去がよいが、原水の有機物が少なくて無機質が主体の場合は、ろ過性能が低下する。特に河川表流水の場合、大雨時や田植え時期に無機濁質主体の汚濁水が流入する。このようなとき、物理的篩ろ過のみでも十二分に除去できるシステムの構築が課題である。
【0019】
膜ろ過は同じろ過量であっても他の方法に比べ小型であるという特徴がある。圧力式急速ろ過は凝集沈殿池がない方式では小型化しているが、基本的には重力式ろ過を踏襲しており、限度があった。この圧力式ろ過を無薬品でろ過するシステムとし、より小型で、安全で安価なろ過水を提供するのが課題である。
【0020】
膜ろ過は逆洗や薬品洗浄を行い、最後には膜交換が必要になる。膜のように、ろ材の薬品洗浄や交換の不要な膜に変わる技術を提供するのが課題である。
超純水製造の前処理や工業用水のろ過に適当な方法がなかったが、これを提供するのが課題である。
【0021】
河川表流水やダム水の緩速ろ過、急速ろ過の前処理として濁質の大半を簡単に除去できる自動ろ過システムがあるならば、負荷が低減され維持管理費が大幅に低下する可能性がある。また膜ろ過の前処理として用いるならば、河川表流水に適用できるようになる可能性がある。これらの前処理システムを提供するのが課題である。
【0022】
本発明の目的は、このような課題を解決した高圧力式細砂ろ過装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の請求項1に記載の高圧力式細砂ろ過装置は、河川、湖沼、地下水、工場排水処理水などの原水をろ過する細砂ろ過装置において、これを無凝集剤高圧力式ろ過器とし、細砂またはガーネットの有効径が0.02〜0.2mmで平均の径が0.25mm以下である、ろ過砂を0.2〜100cm充填し、ろ過速度を30〜500m/日とする該原水を供給するためのポンプと、逆洗速度10〜400m/日とする逆洗再生のためのポンプを備えており、ろ過が終了し逆洗操作に切り替える際の、ろ過損失水頭を2〜40mまで高めることによって効率的なろ過ができるための耐圧性と圧力検出計器を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項2に記載の高圧力式細砂ろ過装置は、細砂またはガーネット表面を洗浄するための表面洗浄用配管もしくは表面をほぐすためのグリットを備え、逆洗を補完することを特徴とする。
【0025】
請求項3に記載の高圧力式細砂ろ過装置は、逆洗するタイミングをタイマーまたはろ過損失水頭によって検出し、運転を完全自動化することを特徴とする。
【0026】
請求項4に記載の高圧力式細砂ろ過方法は、河川、湖沼、地下水、工場排水処理水などの原水をろ過する細砂ろ過方法において、これを無凝集剤高圧力式ろ過とし、細砂またはガーネットを0.2〜100cm充填し、ろ過速度を30〜500m/日とする該原水を供給するための設備と、逆洗速度10〜400m/日とする逆洗再生のための逆洗設備を備えており、ろ過が終了し逆洗操作に切り替える際の、ろ過損失水頭を2〜40mまで高めることによって効率的なろ過ができるための耐圧性と圧力検出設備を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項5に記載の高圧力式細砂ろ過方法は、細砂またはガーネット表面を洗浄するための表面洗浄もしくは表面をほぐすための機構を備え、逆洗を補完することを特徴とする。 請求項6に記載の高圧力式細砂ろ過方法は、逆洗するタイミングをタイマーまたはろ過損失水頭によって検出し、運転を完全自動化することを特徴とする。
【0028】
本発明の根幹は高圧の圧力式ろ過である。従来、圧力式ろ過は急速ろ過の一変法であるが、単に重力式を圧力式に置き換えるだけでは利益は僅かである。そこで細砂を用いて、ろ過圧力(ろ過損失水頭)を従来の範囲から脱することができないかどうか詳細に検討した。ろ過損失水頭、砂粒径、ろ過速度はそれぞれ独立しながらも相関を持つものであった。ろ過損失水頭はろ過速度との相関があるが、従来の限界を超える高圧領域を可能としたシステムを発明するに至った。
【0029】
従来、圧力式砂ろ過器といわれるものは、凝集剤を使用するマイクロフロック法あるいは薬注ろ過法などである。基本的には重力式の急速ろ過の条件を踏襲する。実際日本水道協会の設計指針では池数、ろ層、洗浄方式は重力式ろ過池に準じるとしている。また、公害防止管理者テキストの「公害防止の技術と法規―水質編―」(5訂、丸善)では「両者とも、圧力のかけ方を除けば、メカニズムはまったく同じである」とし、砂の有効径0.5〜0.7mm、均等係数1.7以下、ろ層の厚さ500〜700mmが多いとしている。ろ過損失水頭については1.5〜2mになった場合は逆洗するとしている。ろ過速度は120〜150m/日であるが、最近の研究では200m/日も可能としているものもある。
【0030】
急速ろ過のろ過条件は、ろ過速度が大きすぎると濁質が漏出する恐れがあること、ろ過が進行していくと、ろ過損失水頭が高くなるが、同時にろ過水濁度が次第に上昇していくことにある。いわゆる水みちができる。そこでろ過損失水頭上限は最大1.5〜2m/日としてきたのである。これが従来の重力式急速ろ過の条件であり、圧力式の砂ろ過の条件でもある。緩速ろ過もこの値に準じてきたところである。
【0031】
本発明は、ろ過にかかる圧力(損失水頭)上限を撤廃したところに大きな特徴がある。後述する実施例7によれば、有効径0.1mm、均等係数1.3、平均径0.125の細砂を使用した場合、ろ過損失水頭は40mであっても問題はないことが判明した。これは従来の事実や認識からは、全く考えられない新しい発見であった。細砂を使用することによってろ過濁質の保持力が大幅に高められたことによる。さらに、凝集剤を使用しないことによって濁質自体の流動性が低くなり、これが高圧下の漏出を抑制していることによるのである。0.3mm程度の砂では高損失水頭ではやや濁質が流出する傾向が見られたが、やはり細砂であるのが条件である。
【0032】
これ以上の損失水頭の実験はしなかったが、さらに上限は高いものと推察される。しかしながら、実用的な意味を考えるならば耐圧容器のコストと動力費を考える場合、40m以下が適当である。
【0033】
ろ過速度は30〜500m/日が適当である。ろ過速度の下限はないが実用的な限度を考えると緩速ろ過の数倍以上の性能を示す必要があろう。上限は実験で定める必要があるが、実施例4によれば400m/日以上は可能である。但し、僅かではあるがろ過水の濁度は増加傾向にある。このような砂を用いたろ過での高速化は、従来、考えられなかったものである。無薬注、高圧力式によって初めて可能になったのである。
【0034】
細砂の粒径は有効径0.02〜0.2mmの範囲である。細砂粒径は有機物汚濁がある河川表流水の場合はやや大きくてよいが、一部の地下水のように有機物がほとんどない無機性濁質の場合は有効径が0.1mm程度あるいはそれ以下の細砂を用いるのが好ましい。
【0035】
砂は粒径分布に大きく左右されるので小さい方から10%という有効径だけでは定義できないが、物理的な目詰まりと篩効果で除去できる濁質の大きさは基本的には、この定義に大きな影響を受ける。最小有効径は実験により0.02としたが、ろ過速度は大幅に低下した。この低下は加圧によって対応できる。
【0036】
最大有効径を0.2mmとしたのは実施例1〜4に示すように、有効径0.17mmの実験では、ろ過水質が実験開始時の篩ろ過による結果は悪く、開始後4週間経過して生物膜がようやく生成してくるというように、立ち上げに時間がかかったことによる。このあたりが細砂の上限である。無機質濁質では有効径は0.15mm以下が条件である。
【0037】
重力式ろ過の実験によれば、無機質のろ過で、砂が0.15〜0.25mmを使うと、ろ過速度が高いと濁質が漏出し、濁度除去率が150m/日では90%に低下した。また初期のろ過損失水頭が高くなり実用化に限界があった。重力式の場合、無機質のろ過では、ろ過速度が高くなると濁質の漏出が起きる。より小さな細砂を使おうとすると、ろ過損失水頭が高くかつ速やかに閉塞し、運転できなくなった。すなわち濁質が無機質に偏っている場合、細砂ろ過はろ過速度、濁質漏出、ろ過損失水頭の面から、本質的問題点を抱えていると考えられてきた。
【0038】
しかしながら、高圧力式ろ過の実験装置を建設し、実験を繰り返したところ、無機濁質のろ過は細砂で小さいものを使用した場合、濁質の漏出はなく、閉塞ではなく単に初期のろ過損失水頭が高く、ろ過とともに上昇していくだけであることが判明した。このことから細砂ろ過システムは新しい展開を示すこととなった。高圧で濁質の漏出がないこと、高圧ろ過で無機濁質のろ過が可能であることは、従来の常識を覆すものであった。ここに本発明の重要性がある。
【0039】
特許文献1に代表される細砂ろ過システムは、細砂の利用でろ過速度が高く、凝集剤も不要という従来の技術的常識を超えた発明となった。本発明は、その細砂ろ過システムを基礎としながらも、ろ過損失水頭が2mを遥かに超えても濁質の漏出がないこと、急速な損失水との上昇がないこと、より小さい細砂を選ぶならば無機性濁質に対応できることを発見し、システム化するに至った。
【0040】
均等係数とは小さい砂から分画して60%の粒径と有効径の比であり、通常1.3〜2程度とする。しかし、これだけでは、砂分布がいろいろな広がりを持つ以上、定義は不十分である。そこで平均径が0.25mmを超えないものとした。これは0.2〜0.3mmの砂区分を最大のものとしたことにある。別の言い方をすれば0.3mm以上の砂はろ過砂としてほとんど存在しないことが条件となる。存在した場合は支持砂としての意味を持つことになる。
【0041】
砂が小さい場合、実用的にはある程度の粒径分布を認めなければ、支持砂層の構造も難しくなる。たとえば、0.02〜0.15mmのように微細砂(0.1mmあるいはそれ以下の砂が主体となるものを微細砂という)を含む砂を使うのは特に無機性濁質の場合適当であるが、逆洗速度を最小の砂が流出しない程度にした場合、0.1〜0.2mm程度の砂は支持細砂となる。この場合有効径0.02mm、均等係数6というような定義に意味があるかどうか疑問である。そこで本発明では有効径と、ろ過にかかる砂の平均の粒径で定義した。
【0042】
細砂の中でももっとも小さい砂の大きさを検討した。まず、微細砂の範囲である。微細砂は小さいほどよいが、逆洗時に流出しないことが条件となる。逆洗速度と粒径は関係があるが、まず泥と微細砂の区別をすることが重要で、実験結果によれば、その区分は10μmである。その区分をより明確化する粒径としては平均径20μmすなわち0.02mmである。
【0043】
クリプトスポリジウムの物理的篩ろ過の上限は実験によれば、篩区分0.15〜0.25の細砂で99%である。実施例5によれば有効径0.076mm、平均径0.1mmの場合、2〜3μmの濁質の除去率は98.9%、3μm以上の濁質の除去率は100%であった。すなわちクリプトスポリジウムは完全に除去できることになる。
【0044】
本発明では、このろ過にかかる圧力(損失水頭)上限が高圧としても微細砂では解決したことにならない。この場合、微細砂層を薄くすることが必要であり、実施例5では厚さはろ過損失水頭を考えた経済的制約から1〜3cmが適当である。下限は、平均径0.02mmの微細砂では、ろ過層は1mm以下でろ過損失水頭が急激に上昇し、ろ過ができることが推察できる。この場合、逆洗の容易さを考慮すると2mm以上となる。このように細砂が小さくなるにつれろ過層を薄くするのが本発明の根本でもある。
【0045】
ろ過砂厚さは0.2〜100cmである。きわめて範囲が広いようにみえるが、これは砂粒径が大きい場合と小さい場合があるためである。大き目の細砂の場合、砂層は100cmまでというのはごく一般的な話である。
【0046】
逆洗速度は細砂の大きさによって異なる。有効径0.02mmの砂は10m/日であっても流動化できる。実施例6がその目安を示す。およそ10〜400m/日の範囲で、砂粒径と原水の性質によって適宜決定する。
【0047】
逆洗のときの問題は逆洗速度だけでなく、逆洗する濁質と微細砂との分離を如何にするかである。河川表流水や沢水などの場合、100m/日以下の逆洗速度ではその分離は難しい場合が多いことを実験で確かめた。そのため微細砂の中でも、特に粒径が小さい場合は、地下水などのように大きな濁質がない場合に限って用いる。平均砂粒径でいえば、おおむね0.1mm以下の場合である。大きな濁質を含む原水には微細砂ろ過は用いないと制限することで微細砂ろ過を可能としたのである。
【0048】
河川表流水のような場合、微細砂の平均粒径がおよそ0.1mm以下では、逆洗により濁質を流しだそうとするならば微細砂が流出する恐れがあるので、あらかじめ前処理によって大きな濁質を除去することが好ましい。
【0049】
微細砂と濁質の分離を良くするため、ガーネットなど比重の大きなろ過材を使うのは微細砂ろ過では好都合である。砂とガーネットの比重はそれぞれ2.7と3.5である。沈降する速さの比は、水の比重との差に比例するから、1.7:2.5となる。すなわち同じ粒径の場合、最大逆洗速度は47%アップできるため、濁質との分離がそれだけ容易になる。ガーネットを下層に砂を上層に置く2層ろ過も好ましい。
【0050】
ろ過に使われるろ材にアンスラサイトがある。これは比重が砂よりも小さいのでやや不利であり、微細砂としては使い難い。その他、人工的なろ材がいろいろ開発されているが、細砂や微細砂と同じような粒径のろ材であれば、本発明にそのまま使えるのは当然である。比重以外特に留意すべき点もない。
【0051】
無凝集剤で、かつ無機濁質をろ過することについて記載しておく。本発明では細砂の小さなものすなわち微細砂を使えば、凝集剤がなく生物膜もない場合においても、きわめて有効である。たとえば生物膜が発生し難い有機質も鉄もない地下水に対して平均径0.1mm程度の微細砂の篩ろ過だけによる高圧力式細砂ろ過はクリプトスポリジウム対策として実用的である。塩素などの消毒剤が入ったろ過にも適している。
【0052】
微細砂を用いる無機濁質ろ過は、圧力式であること、篩ろ過であることからMF膜に相当すると考えてよい。違いはMF膜が膜1枚であるのに対し、微細砂ろ過が立体的ろ過であることにある。そのため膜ろ過は破断する恐れがあるが微細砂ろ過にはそれがなく、濁質保持量にも大きな違いがある。逆洗はMF膜が不完全であるのに対して、微細砂ろ過は完全に復元する。また膜は有機物汚濁に弱いが、微細砂は砂粒が生物膜に覆われ、膨張し、ろ過損失水頭の減少が見られることもあり、水質も向上する。このように本発明はMF膜を超えるシステムとみなすことができる。
【0053】
大半の原水では砂に微生物が発生する。ろ過を続けると生物膜(ろ過膜)が発生し、濁質を吸着するようになる。したがって細砂ではやや大きめの場合も凝集剤は不要である。また凝集剤を使わないことにより生物ろ過による、ろ過水質向上が起こるのである。この特徴は重力式細砂ろ過のみならず本発明でも同じである。
【0054】
本発明は逆洗時には表面洗浄あるいはグリット格子などによって砂表面を解す装置をつけるのが基本である。凝集性がそれほどないような濁質であっても次第にマッドボール的なものができてくる。特別に凝集性が高い濁質の場合は空気洗浄装置も敷設するとよい。
【0055】
ろ過には定圧ろ過と定流量ろ過がある。本発明では定流量ろ過を原則とする。定圧ろ過で高圧とするならば、初期の流量が極端に大となり、濁質が漏出する。しかし、定流量ろ過は厳密に制御する必要はない。流量変動に耐え得るのが本発明である。ろ過を始めると低いろ過損失水頭から次第に高いろ過損失水頭になるが、このろ過損失水頭を検出して逆洗タイミングを決定するのが標準的方法である。またタイマー制御も使うことができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明の高圧力式細砂ろ過装置およびその方法は、いろいろな原水から安全な飲み水を提供することができる。有機物や濁質の多い河川水やダム水などでは濁質と溶解している有機物や異臭味を除去できる。重力式では逆洗頻度が高くなり、原水からの浄水収率が低下する場合にも、高い収率の運転が可能になる。地下水のような有機物と濁度が少ない原水に対しては細砂粒径を小さい微細砂とすることで篩ろ過効果を活用した浄水ができる。MF膜に代わる低コスト技術である。地下水のクリプトスポリジウム対策として有用である。また、膜ろ過、急速ろ過、および緩速ろ過の前処理として本システムは有用である。これを前処理として用いることによって大幅に維持管理が容易になりコストダウンへの道をひらくことになった。本発明は浄水処理そのものに使われるだけでなく、超純水の前処理や工業用水の浄水処理あるいは排水処理水のリサイクルに有用である。とくに薬品を加えないろ過であるため、後段の処理や水利用に大きな利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図3を用いて具体的に説明する。
図1は典型的な高圧力式細砂ろ過装置の説明図である。取水ポンプ1で取水し着水タンク2に入れた原水は、原水ポンプ3により原水バルブ14を経て高圧力細砂ろ過槽4に入れられる。高圧力細砂ろ過槽4内には表面洗浄装置11の下にろ過砂10、支持砂層9、支持砂利層8があり、最下部には集水装置7がある。集水装置7からのろ過水は、ろ過水バルブ18から洗浄用水タンク5を経て浄水池へ送られ、ろ過水6となる。ろ過損失水頭は差圧計19で検出する。差圧計が所定の圧力を検出すると逆洗モードになる。逆洗ポンプ13が起動し、表面洗浄バルブ16と底部逆洗バルブ17が開き、逆洗が開始される。逆洗排水は逆洗排水バルブ15を経て排出される。なお、内部の空気は空気抜き装置12で除去される。
【0058】
流量調整は原水ポンプ3あるいは別に設けた流量調整弁で一定とする。ろ過損失水頭はろ過開始時に低く、逆洗前は数倍から10倍以上になる。そのため完全な制御がより好ましく、定流量弁やゲートバルブ調整では定流量性に限界があるのは事実である。しかし、流量が50%程度増えたとしても特に問題はないので安価な方式を使うこともできる。
【0059】
ろ過細砂の積層高さは微細砂の場合0.2cm以上であり、細砂の平均径が大きくなるにつれ砂は厚くするが最大は100cm程度である。ろ過損失水頭を高く設定する場合はやや厚くすることが望ましい。これは圧力を分散させるためである。
【0060】
ろ過速度は30〜500m/日の範囲、細砂の有効径は0.02〜0.2mmである。前処理として用いる場合、ろ過速度は高く、細砂の有効径も大き目とする。逆に、これだけで浄水とする場合は、小さい砂でろ過速度も低目とする。原水の有機物濃度によっても砂粒径と、ろ過速度は影響を受ける。有機物濃度が低い場合は微細砂が好ましく、高めの損失水頭にし、ろ過速度をやや低目とする。特に地下水で濁度は低く、クリプトスポリジウム対策として用いる場合は、砂平均径は0.1mm程度あるいはそれ以下が好ましい。
【0061】
逆洗直前の、ろ過損失水頭は2〜40mの範囲であるが、特徴を生かすためには3m以上が好ましい。たとえば細砂の有効径が0.17mmの場合、ろ過速度100m/日、最大ろ過損失水頭を10mとして河川中流域表流水のろ過を行ったところ、重力式細砂ろ過で50m/日で運転した場合に比べ、次の逆洗までに得られる、ろ過水は4〜8倍であった。それだけろ過量に対する逆洗水量の割合が少なくなるので、河川表流水のように濁度の急激な変化がある原水に対応できる。
【0062】
逆洗は細砂表面をほぐすことが基本である。河川表流水程度では砂表面のろ過膜は結合力が弱いので、弱い表面洗浄で済むのが普通である。表面洗浄水量はおおむね底部逆洗水量の20%程度でよい。粘着性濁質でない限り空気洗浄は不要である。
【0063】
逆洗時、急速ろ過では砂の膨張率は30%程度であるが、それより高めが好ましく、200%を超えてもよい。逆洗速度は細砂の大きさと原水の性状によって決める。河川表流水では細砂はやや大きめで、微細ゴミとの区分も必要なことがある。
【0064】
図2は河川表流水の2段の高圧力式ろ過の例である。前段で濁質の大半を除去し、後段では生物処理を主体にしたろ過を行う方法である。前段取水ポンプ20から取水した原水は前段着水タンク21に入る。原水は前段原水ポンプ22により前段高圧力式細砂ろ過槽23に入れ、前段細砂ろ過層24でろ過する。ろ過水は前段洗浄用タンク27に入れる。逆洗は前段逆洗ポンプ26を用いて行い、前段表面洗浄装置25と底部逆洗装置で逆洗する。前段洗浄用タンク27からのろ過水は後段のろ過処理を受ける。後段の処理は図1と同等である。2段ろ過により河川濁質の変動に対して常に安定した良質のろ過水を作ることができる。河川水では大雨時濁度が急上昇し、重力式では逆洗回数が大幅に増大する。そのため逆洗用水が多くなり、ろ過水が僅かしか得られないことがある。高圧力式とすることで逆洗回数が減少し、逆洗用水が大幅に減少し、晴天時と変わらない浄水量となる。後段は基本的に逆洗回数が少ないため、高圧力式を重力式に置き換えることもできる。
【0065】
このように前段に前処理として高圧力式細砂ろ過装置を置くことで、濁度が高い場合も安定した浄水量が得られる。このシステムは自動運転でオペレータが不要であるということも特記すべき利点である。従来小規模から中規模の河川表流水の浄水施設には適当な方法がなかったが、本発明はこれに応えるものである。
【0066】
次に実施例によって、この発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0067】
図1に示すごとき高圧力式ろ過装置のプラントにおいて、ろ過砂に、有効径0.17mm、均等係数1.8の細砂を使用し、50cm充填し、立ち上げた。立ち上げ時、すなわちろ過膜(生物膜)が生成していない段階で、平均濁度1.1度の河川表流水をろ過した。ろ過損失水頭0.7〜5m、ろ過速度100m/日で立ち上げた。その結果は、ろ過時間19時間であり、ろ過水濁度は初期の3時間を除けば0.2〜0.23度であった。ろ過損失水頭が5mというきわめて高い値に近くなっても、ろ過水濁度は上昇しなかった。
【0068】
この結果は、濁度除去率は高くないが、次の2点においてきわめて重要なデータが得られた。まず、初期ろ過時間としては重力式の50m/日の条件にくらべ、2〜3倍であったことである。ろ過量となると4〜9倍である。高圧(高損失水頭)ろ過は、一般に、ろ過層が圧縮されて急激に高ろ過損失水頭に至り、ろ過時間は期待されるほど長くならないと考えられてきたが、ここに高圧力式細砂ろ過の有用性が明らかになった。
【0069】
次に、細砂ろ過は濁度の変化は平坦であり高圧化による濁質の漏出はないことが確認された。従来の急速ろ過では、高損失水頭にすれば、ろ過層に水みちができて、濁質が漏出するものであった。しかし細砂かつ無凝集剤という条件において、高損失水頭で濁質は漏出しなかった。これは極めて有用なデータである。高損失水頭時に濁質の漏出が激しくなれば、本発明は、あり得なかったのである。
【0070】
濁度が0.2〜0.23度というのは濁質除去率80%であり、良好とはいえない。すなわち、ろ過膜がない状態の篩ろ過のみという極めて特殊な条件において、19時間の最初から最後まで濁質除去が不完全であった。このことから無機質などの篩ろ過においては実施例1で使用した細砂は大きすぎることが判明した。
【実施例2】
【0071】
実施例1の実験後最大ろ過損失水頭を5mとして運転を続けた。立ち上げ後、3週間後の測定である。原水の平均濁度は1度であった。ろ過損失水頭は最初が0.7m、逆洗前が10mと実施例1よりもさらに高圧とした。その結果、ろ過時間は約40時間と重力式の数倍であり、ろ過水平均濁度は0.1度であった。実施例1の約半分のろ過水濁度まで減少し、ろ過膜が次第に形成されてきたと推察される。さらにろ過水濁度は、ろ過損失水頭が10mに近づいても全く上昇しなかった。ろ過損失水頭が10mであっても、濁質の漏出がないことが判明した。
【実施例3】
【0072】
実施例1と同じプラントを使い、4週間後の測定をした。ろ過損失水頭は0.7〜10mと実施例2と同じにした。その結果を図3に示す。図3は原水濁度が5度と高いにもかかわらず、ろ過水の濁度は、0.08〜0.11度と低くかつ安定していた。すなわち濁度除去率は約98%であった。濁度が高いのは、夜半、降雨があり河川が増水していたのが原因で、無機性の濁質が多い状態であった。そのため、ろ過時間も8時間と実施例1より短い。
【0073】
立ち上げ後、ろ過膜が完成するのに約3ヶ月を要する。本実験では4週間後であるからろ過膜は不完全である。それにもかかわらず、ろ過は良好である。3ヵ月後には濁度が0.1度以下になることは明らかであり、水道水のクリプトスポリジウム対策としての濁度0.1度をクリアできるものである。
【0074】
実施例2の場合、ろ過性能の向上は緩やかであったため、ろ過速度が100m/日ではろ過膜の生成は難しいかと懸念があったが、本実施例の結果は、その心配が杞憂であったことを証明した。すなわち、高圧力式細砂ろ過では急速ろ過に匹敵するような高速ろ過であっても問題はないことがわかった。本発明の根幹の一つがここにある。
【0075】
しかしながらろ過性能の向上が緩やかであることは、ろ過膜ろ過の砂の上限が0.2〜0.3mm程度の区分であることを示している。緩速ろ過では砂粒径は0.4〜1mmと大きいが、それはろ過速度が4〜5m/日と小さいためである。
【0076】
ろ過膜による、ろ過においても、高圧力式細砂ろ過は濁質を漏出しないのも重要な結果である。実施例2の篩ろ過および実施例3のろ過膜ろ過の何れにおいても高圧化で濁質は漏出しなかった。これは本発明にかかる重要な結果である。
【実施例4】
【0077】
実施例1と同じプラントを使い、ろ過砂の生物膜がわずかに存在し篩ろ過が主の状態で、ろ過速度を変えた。原水は無機性濁質が主であり、濁度4.5〜6.9であった。ろ過水濁度除去率はろ過速度100m/日のとき92%、200m/日のとき84%、300/日のとき81%、400m/日のとき80%であった。ろ過損失水頭は3mで実験を開始したが、最後には10mまで上昇した。濁度除去率はろ過速度が低い方が高いが、ろ過速度が400m/日となっても、なお高い除去率を示している。この高いろ過速度の条件で、そのまま浄水とすることはできないが、前処理として用いるならば利用方法によっては有用である。高いろ過速度で、濁度除去率を85〜95%程度にするには、細砂粒径をさらに小さくすることが条件になるが、ろ過損失水頭は高くなる。この実施例の結果において、ろ過損失水頭の上昇と濁質除去率低下の関係を勘案するならば、およそ500m/日が実用的限界となる。
【実施例5】
【0078】
有効径0.075mm、均等係数1.42、平均粒径0.10mmの微細砂を6.5cm充填し、ろ過速度150m/日で無機濁質を篩ろ過したところ、ろ過損失水頭は1.3mであった。ろ過水は、2〜3μmの濁質が98.9%、3ミクロン以上が100%除去できた。このデータによれば、5μmのクリプトスポリジウムを除去には、砂厚は1〜2cmで十分である。微細砂の平均粒径を0.03mmとするときは砂厚0.2〜0.3cm程度でも、その下に0.1mm程度の支持微細砂をおくことを考えると、十分の能力を示すことになる。
【0079】
実施例5は、大孔径MF膜に相当する微細砂が0.1mm程度であることを示している。有効径0.02mm、平均粒径0.03mm程度の微細砂をろ過砂とする場合はMF膜そのものに匹敵すると考えられる。
【実施例6】
【0080】
実施例5の砂を逆洗した。逆洗速度31m/日のとき膨張率17%、逆洗速度83m/日のとき膨張率91%であった。すなわち平均径0.1mmよりも小さい微細砂の場合は膨張率30%程度では河川表流水を直接ろ過し難いことがわかった。150m/日以上では河川表流水の濁質と微細砂の分離が完全であるとすれば、膨張率100%となる粒径は0.12mm程度であるが、最大膨張率200%とすると粒径0.1mmが河川表流水の前処理が必要かどうかの分かれ目となる。
【0081】
この実験から、有効径0.02mm、平均粒径0.03mmとしたときの膨張率も沈降速度に反比例するとして概算できる。沈降速度はおよそ1/10であるから、膨張率100%のとき、9m/日程度になる。この粒径の場合は地下水にはそのまま使えるが、河川表流水では前処理を十分に行うことが不可欠である。
【実施例7】
【0082】
有効径0.1mm、均等係数1.3、平均粒径0.125mmの細砂を25cm充填して、無機質原水の篩ろ過を行った。原水濁度870度、ろ過速度100m/日とし、ろ過損失水頭を7mから最大38mまで上げた。ろ過水濁度は、10〜12.4度と僅かに高くなったが、ほぼ一定であった。平均濁度11.5度で、除去率は98.7%と良好である。このことから実施例2よりも高損失水頭としても、ろ過性能は低下しないことが明らかになった。
【0083】
これ以上の高圧の実験はしなかったが、さらに高損失水頭の条件でも問題はなく、ろ過できることが推察できる。ただし、実用的条件としては動力費を勘案すると、ろ過損失水頭は40m以下が好ましいと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態における高圧力式細砂ろ過装置の説明図である。
【図2】本発明の他の実施の形態における2段の高圧力式細砂ろ過装置の説明図である。
【図3】本発明の実施例3に基づく実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0085】
1 取水ポンプ
2 着水タンク
3 原水ポンプ
4 高圧力式細砂ろ過槽
5 洗浄用水タンク
6 ろ過水
7 集水装置
8 支持砂利層
9 支持砂層
10 ろ過砂
11 表面洗浄装置
12 空気抜き装置
13 洗浄ポンプ
14 原水バルブ
15 逆洗排水バルブ
16 表面洗浄バルブ
17 底部逆洗バルブ
18 ろ過水バルブ
19 差圧計
20 前段取水ポンプ
21 前段着水タンク
22 前段原水ポンプ
23 前段高圧力式細砂ろ過槽
24 前段細砂ろ過層
25 前段表面洗浄装置
26 前段逆洗ポンプ
27 前段洗浄用水タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川、湖沼、地下水、工場排水処理水などの原水をろ過する細砂ろ過装置において、これを無凝集剤高圧力式ろ過器とし、細砂またはガーネットの有効径が0.02〜0.2mmで平均の径が0.25mm以下である、ろ過砂を0.2〜100cm充填し、ろ過速度を30〜500m/日とする該原水を供給するためのポンプと、逆洗速度10〜400m/日とする逆洗再生のためのポンプを備えており、ろ過が終了し逆洗操作に切り替える際の、ろ過損失水頭を2〜40mまで高めることによって効率的なろ過ができるための耐圧性と圧力検出計器を備えることを特徴とする高圧力式細砂ろ過装置。
【請求項2】
細砂またはガーネット表面を洗浄するための表面洗浄用配管もしくは表面をほぐすためのグリットを備え、逆洗を補完することを特徴とする請求項1記載の高圧力式細砂ろ過装置。
【請求項3】
逆洗するタイミングをタイマーまたはろ過損失水頭によって検出し、運転を完全自動化することを特徴とする請求項1または2記載の高圧力式細砂ろ過装置。
【請求項4】
河川、湖沼、地下水、工場排水処理水などの原水をろ過する細砂ろ過方法において、これを無凝集剤高圧力式ろ過とし、細砂またはガーネットを0.2〜100cm充填し、ろ過速度を30〜500m/日とする該原水を供給するための設備と、逆洗速度10〜400m/日とする逆洗再生のための逆洗設備を備えており、ろ過が終了し逆洗操作に切り替える際の、ろ過損失水頭を2〜40mまで高めることによって効率的なろ過ができるための耐圧性と圧力検出設備を備えることを特徴とする高圧力式細砂ろ過方法。
【請求項5】
細砂表面を洗浄するための表面洗浄もしくは表面をほぐすための機構を備え、逆洗を補完することを特徴とする請求項4記載の高圧力式細砂ろ過方法。
【請求項6】
逆洗するタイミングをタイマーまたはろ過損失水頭によって検出し、運転を完全自動化することを特徴とする請求項4または5記載の高圧力式細砂ろ過方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−136753(P2006−136753A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325772(P2004−325772)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(593066368)
【出願人】(301050186)ポエック株式会社 (3)
【出願人】(504415980)株式会社太陽砂工房 (2)