高圧放電ランプ及び照明装置
【課題】封止部において封着性に優れ、長時間の使用によってもリークし難くする。
【解決手段】第1の金属酸化物を主成分とし、放電空間を形成する包囲部およびこの包囲部の両側に連通してそれぞれ設けられた小径筒部13を備える放電容器1と;小径筒部13に挿入されて小径筒部の両端側で封着される導電体23aと;放電容器1の包囲部内に設けられ、導電体の先端側に設けられた電極2Aと;第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスおよび第2の金属酸化物を含有し、導電体23aと小径筒部13との間隙に設けられて両者を封着すると共に、前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたフリットガラス13と;放電容器内部に封入された放電媒体と;を具備する。
【解決手段】第1の金属酸化物を主成分とし、放電空間を形成する包囲部およびこの包囲部の両側に連通してそれぞれ設けられた小径筒部13を備える放電容器1と;小径筒部13に挿入されて小径筒部の両端側で封着される導電体23aと;放電容器1の包囲部内に設けられ、導電体の先端側に設けられた電極2Aと;第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスおよび第2の金属酸化物を含有し、導電体23aと小径筒部13との間隙に設けられて両者を封着すると共に、前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたフリットガラス13と;放電容器内部に封入された放電媒体と;を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、透光性セラミックスの放電容器を備えた高圧放電ランプ及びこれを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高圧放電ランプに対する高効率化、小型化の要求が強まっており、これに伴って点灯時の温度や内圧などが従来品より高くなっている。また、高圧放電ランプの放電容器についても、石英ガラスよりも融点が高く、点灯温度を高く保つことが可能なアルミナ(Al2 O3 )などの金属酸化物からなるセラミックスが用いられるようになりつつある。このようなセラミックスを用いた高圧放電ランプとしては、特許文献1、特許文献2に記載のものを挙げることができる。
【0003】
上記金属酸化物からなるセラミックスを用いた高圧放電ランプにあっては、封着部分にフリットガラスを使用している例が多い。フリットガラスによる封着に関しては特許文献3に記載されている。
【特許文献1】特表2005−532250号公報
【特許文献2】特開2006−160595号公報
【特許文献3】特開2006−202728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記セラミックスを用いた放電容器では、封止部にフリットガラスやサーメットと称される封止用導体を用いているために、現状では石英ガラスのモリブデン箔を用いた封着構造に比べて耐熱性が低い。このため、セラミックス製の放電容器は封着部の信頼性が劣り、リークが発生し易く長寿命化を図ることが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、封止部において封着性に優れ、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命化を図ることの可能な高圧放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る高圧放電ランプは、第1の金属酸化物を主成分とし、放電空間を形成する包囲部およびこの包囲部の両側に連通してそれぞれ設けられた小径筒部を備える放電容器と;小径筒部に挿入されて小径筒部の両端側で封着される導電体と;放電容器の包囲部内に設けられ、導電体の先端側に設けられた電極と;第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスおよび第2の金属酸化物を含有し、導電体と小径筒部との間隙に設けられて両者を封着すると共に、前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたフリットガラスと;放電容器内部に封入された放電媒体と;を具備することを特徴とする。
【0007】
フリットガラスは、放電容器の小径筒部と電極につながる導電体との間を封着する封着材である。また、フリットガラスは、セラミックス封止用コンパウンドであり、例えばSiO2 −Al2 O3 −Dy2 O3 を主成分とする組成のものなどを用いることができる。さらに、フリットガラスは、加熱により溶融して小径筒部と導電体との間の隙間に進入して固化することにより、小径筒部と導電体との間を封着することによって放電容器内を気密に封止する。
【0008】
第1の金属酸化物としては、アルミナ(Al2 O3 )やイットリウム酸化物(YOX)などの透光性と耐熱性を有する金属酸化物セラミックスを採用することができる。第2の金属酸化物を形成する金属元素としては希土類金属が許容される。第2の金属酸化物としては特にDy2O3が好ましい。フリットガラス中に析出される結晶は、例えばディスプロシウムシリケートまたはディスプロシウムアルミネートを許容する。また、アルミニウムシリケートの結晶が析出されていても構わない。析出は、フリットガラスと小径筒部との界面に発生し易いが、このほかの部位に発生しても良い。すなわち、析出の位置は、フリットガラス内部であってよい。さらに析出の位置は、フリットガラスと小径筒部との界面およびフリットガラス内部を許容する。析出物は連続的に析出されていても、不連続に析出されていても良い。
【0009】
放電容器は、放電空間を内部に形成する包囲部を備える。放電空間は球状、楕円球状、紡錘形状、ほぼ円柱状などであり、包囲部はこれらの形状に対応するものである。放電容器の成分として、酸化物セラミックス以外に焼結助剤を含むことを許容する。焼結助剤としては酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO2 )などを許容する。
【0010】
小径筒部は、一対の電極を封装するために通常2本設けられる。しかし、ランプ構造に応じて1または3本以上備えられても良い。電極は、タングステン、ドープドタングステン、レニウム、タングステン−レニウム合金などを用いて作成される。放電媒体は、放電による発光を得るためのもので、好ましくは発光金属のハロゲン化物、ランプ電圧形成媒体及び希ガスにより構成される。
【0011】
本発明に係る高圧放電ランプでは、導電体の金属がフリットガラスに拡散されて導電体を封着していることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る高圧放電ランプでは、結晶析出部位の厚さとこれに直交する方向の広がり幅が、それぞれ1.0 μm以上であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る高圧放電ランプは、導電体の一部にサーメットが設けられ、前記小径筒部と前記サーメットとの少なくとも一方が、前記第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスまたは第2の金属酸化物を含有しており、フリットガラスに隣接する前記小径筒部または前記サーメットとの界面に前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたことを特徴とする。
【0014】
結晶は、ディスプロシウムシリケートとディスプロシウムアルミネートの少なくとも一方を含み、アルミナを含ませて結晶を析出させても良い。析出物は連続的に析出されていても、不連続に析出されていても良い。小径筒部に析出させる場合には、内側表面のみに析出させることで十分であり、また、析出の厚みが0.5μm以上であるように構成すると良い。
【0015】
本発明に係る高圧放電ランプでは、界面に析出された結晶に、第2の金属酸化物を形成する金属元素のアルミネート化合物またはシリケート化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る高圧放電ランプでは、サーメットの表面に導電性物質が存在していないことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る高圧放電ランプは、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高圧放電ランプと;高圧放電ランプを保持する照明装置本体と;高圧放電ランプを点灯させる点灯回路と;を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る高圧放電ランプでは、導電体と小径筒部との間隙に設けられて両者を封着するフリットガラスに封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶が析出されているので、この結晶が小径筒部とフリットガラスとの熱膨張率差を緩和させる機能を有する。即ち、小径筒部とフリットガラスとの間の結晶により熱膨張率が漸次に変化するため、点灯と消灯を繰り返した場合にも熱膨張率差によるクラックの発生を防ぐことができる。また、結晶周辺にフリットガラスが存在し、フリットガラスの境界面が平坦ではなく、概ねくさび状となるので、リークの原因となる所謂ずり応力を低減することができ、封着性の向上が図られ、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命化を図ることが可能であるという効果を奏する。
【0019】
さらに、本発明に係る高圧放電ランプでは、導電体の金属がフリットガラスに拡散されて導電体を封着しているので、この拡散した金属がフリットガラス内部のクラックを防止するように働き、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命化を図ることが可能であるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係る高圧放電ランプでは、結晶析出部位の厚さとこれに直交する方向の広がり幅が、それぞれ1.0 μm以上であり、結晶の範囲がある程度の大きさを有することにより、熱膨張率の漸次変化範囲や、フリットガラスの境界面が概ねくさび状となる範囲が、クラック防止や所謂ずり応力低減の効果を奏するのに十分となる。
【0021】
本発明に係る高圧放電ランプでは、導電体の一部にサーメットが設けられ、小径筒部とサーメットとの少なくとも一方が、第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスまたは第2の金属酸化物を含有し、フリットガラスに隣接する前記小径筒部または前記サーメットとの界面に前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させた構成を備えているので、結晶により熱膨張率が漸次に変化するため、点灯と消灯を繰り返した場合にも熱膨張率差によるクラックの発生を防ぐことができる。また、結晶により境界面が平坦ではなく、概ねくさび状となるので、リークの原因となる所謂ずり応力を低減することができ、封着性の向上が図られ、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命化を図ることが可能であるという効果を奏する。
【0022】
本発明に係る高圧放電ランプでは、界面に析出された結晶に、第2の金属酸化物を形成する金属元素のアルミネート化合物またはシリケート化合物の少なくとも一方を含むので、これらの化合物が熱膨張率を漸次に変化させ、また結晶を概ねくさび状として、リークの原因となる所謂ずり応力を低減する。
【0023】
本発明に係る高圧放電ランプでは、サーメットの表面に導電性物質が存在していないので、粒状結晶の成長が導電性物質に阻止されることなく良好な結晶の析出がなされる。
【0024】
本発明に係る照明装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高圧放電ランプを備えた構成であるから、封着性の向上が図られた高圧放電ランプの採用により、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命な照明装置を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明に係る高圧放電ランプ及びそれを用いた照明装置の実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付し重複する説明を省略する。本実施例に係る高圧放電ランプは、図1および図2に示す構成を有している。これらの図に示す高圧放電ランプは、定格ランプ電力100W用として好適な構造であり、図1に示すように、発光管1A、外管5、UVエンハンサ7、シュラウドガラス3、支持構体4A、4Bおよび口金6を具備している。
【0026】
図2に示す発光管1Aについて説明する。発光管1Aは、放電容器1、電極2A、2B、一対の導電体23a、23b、一対のフリットガラス13、13および放電容器1の内部に封入された放電媒体を備えている。
【0027】
放電容器1は、アルミナセラミックスを主成分とし、焼結助剤を含むものである。包囲部11および包囲部11の両端に連通して配設された一対の小径筒部12a、12bを備えている。そして、小径筒部12a、12bおよび包囲部11は、鋳込み成形により一体化されている。
【0028】
包囲部11は、2つの半球体が、互いに向かい合うように軸方向に離間した状態で、半球状の部分の間を直線で結んで形成されるほぼ俵形の形状をなしていており、肉厚が0.8mmである。
【0029】
一対の小径筒部12a、12bは、それぞれ内径約1mmのパイプ状をなし、先端が対応する包囲部11の半球状部分の中央部に一体的に接続されている。なお、包囲部11および小径筒部12a、12bの境界部は、その内外両面が曲面によって形成されている。
【0030】
電極2A、2Bは、それぞれ外径0.5mmのタングステン棒からなる細長い軸部21および電極主部22を備えている。細長い軸部21は、小径筒部12a、12b内に挿通されていて、タングステン細線を巻き付けてその周囲にコイル部24、24を形成している。そして、細長い軸部21と小径筒部12a、12bの内面との間にわずかな隙間が形成されている。電極主部22は、細長い軸部21の先端部に外径0.1mmのタングステン細線を5ターン巻き付けて形成されていて、包囲部11内に突出している。
【0031】
一対の導電体23a、23bは、それぞれニオブ棒状体Nbと、電極主部22側に存在する封止用導体としてのサーメットSMからなり、これらニオブ棒状体NbとサーメットSMが直線状に溶接されて一体に形成されている。ニオブ棒状体Nbは、その先端が小径筒部12a、12b内に挿入されるとともに、基端が小径筒部12a、12bから外部へ突出している。棒状体のサーメットSMは、外径0.6mmで、モリブデン−アルミナセラミックスの焼結体からなり、その先端に電極2A、2Bの細長い軸部21の基端部が溶接などにより一体に接続されている。本発明の高圧放電ランプは、フリットガラス13を用いて封止されている。
【0032】
放電媒体は、始動ガスおよびバッファガスとしてアルゴン(Ar)、下記のハロゲン化金属、ならびにバッファ蒸気としての水銀からなり、透光性セラミックスの放電容器1内に封入されている。なお、金属ハロゲン化物および水銀は、蒸発する分より過剰に封入されているので、その一部が安定点灯時に小径筒部12a、12b内に形成されるわずかな隙間内のコイル部24、24に形成された隙間内に液相状態で滞留している。そして、点灯中下側となる例えば小径筒部12b内に液相状態で滞留している放電媒体の表層部付近に最冷部が形成される。
【0033】
外管5は、硬質ガラスからなるT形バルブ状をなしていて、そのネック部にフレアステム4sを封着して備えている。フレアステム4sは、一対の導入線41a、41bを気密に導入している。そして、外管5は、その内部の所定位置に発光管1Aを後述する支持構体4A、4Bにより支持して収納している。
【0034】
UVエンハンサ7は、気密容器、導入線、内部電極、放電媒体および外部電極を具備して構成されている。気密容器は、石英ガラスなどの紫外線透過性ガラス製で、その一端部にピンチシール部が形成されていることにより、内部に細長い放電空間が形成されている。導入線は、先端が後述する内部電極に溶接し、ピンチシール部から外部へ導出され、基端部の部分で図1に示すように、後述する支持枠42aに溶接されている。
【0035】
上記内部電極は、モリブデン製の板状をなしていて、気密容器の放電空間内に封装されており、その基部がピンチシール部内に気密に埋設されている。外部電極は、外径0.4mmのモリブデン線からなり、気密容器の外周に密着して5ターン巻き付けられているとともに、その基端部が支持構体42bに溶接されている。そうして、UVエンハンサ7は、その導入線の基端部および外部電極の基端部により、外管5内の所定の位置に配置されている。以上説明した構造により、UVエンハンサ7は、外管5内において発光管1Aと並列に接続されているとともに、発光管1Aの一方の電極に接近した位置に保持されている。
【0036】
シュラウドガラス3は、肉厚1.0mmで外管5内に収納可能な外径の円筒状石英ガラス体からなり、外管5内において発光管1Aを包囲する位置に後述する支持部材45aによって保持されている。
【0037】
支持構体4Aは、支持枠42a、ブリッジ導体43a、スプリング片44a、44aおよび支持部材45aからなる。支持枠42aは、図1において下端が導入線41aに接続し、上端が延長されてスプリング片44aを形成している。ブリッジ導体43aは、発光管1Aの図において上側の導電体23aに溶接されることによって発光管1Aの上部を支持している。スプリング片44aは、外管5の内面に弾力的に当接して、支持枠42aの上部を外管5の内面に対して横揺れを防止している。支持部材45aは、シュラウドガラス3の上下両端を支持している。
【0038】
支持構体4Bは、直棒状をなしていて、その下部がフレアステム4sに封着されている導入線41bに溶接されることによって電気的に接続し、かつ、機械的に支持されている。そして、上端部が発光管1Aの図において下側の導電体23bに接続導体を介して溶接されて、発光管1Aの下部を支持している。
【0039】
口金6は、E39形口金であり、外管5のネック部に固着され、外管5から外部へ露出した図示しない一対の導入線の一方がシェル部に、他方がセンターコンタクトに、それぞれ接続している。なお、図1において、符号Gはゲッタであり、外管5内を清浄化するもので、支持枠42aの上部に溶接されている。
【0040】
本発明の高圧放電ランプの発光管1Aは、フリットガラス13を用いて封止されている。フリットガラス13の組成は、Al2O3:Dy2O3:SiO2=20:60:20(Wt%)とした。封止の手順では、まず図3(a)に示すような電極マウント8を用いる。電極マウント8は、電極主部22とサーメットSM及び導電体23aにより構成される。電極マウント8は、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)などの金属を含有するものである。このような電極マウント8を小径筒部12aの開口から所定の位置まで挿入する。電極マウント8において、導電体23a、23bの所定位置にはストッパ8sが形成されている。このため、ストッパ8sが小径筒部12aの端面に当接した位置が所定の挿入位置となる(図3(b))。
【0041】
次に、電極マウント8の導電体23aの上から予めリング状に成形したフリットガラス成形体13Aを挿入して、上向きに延在する小径筒部12aの端面に載置する。ここにおいて、フリットガラス成形体13Aを含む封着予定部に対し、例えばレーザビームなどのレーザ光Rを小径筒部12aの軸方向から照射して加熱する(図3(c))。フリットガラス成形体13Aが溶融すると、フリットガラス13の一部が小径筒部12aの端面から内部に進入し、導電体23aの挿入部分を包囲して放電容器1を封止する(図3(d))。
【0042】
上記加熱は炉内において行い、例えば、1250℃以上(好ましくは1700℃程度)において行い、その後、徐々に冷却すれば発光管1Aの一端側の封止が形成される。小径筒部12bに係る他端側も同様に封止する。この封止部位には、結晶の析出が見られた。また、電極マウント8に含有されたW(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)などの金属の拡散も確認された。
【0043】
フリットガラス13の一部が小径筒部12aの端面から内部に進入し、導電体23aの挿入部分を包囲して封止した部位における析出物の析出状態について、電子顕微鏡写真の模式図を図4に示す。図4(a)、(b)では、フリットガラス13と小径筒部12aとの界面に析出物(ディスプロシウムシリケートまたはディスプロシウムアルミネート)Sが析出しており、図4(c)、(d)では、フリットガラス13内に析出物(ディスプロシウムシリケートまたはディスプロシウムアルミネート)Sが析出しており、図4(e)は析出物が析出しない状態を示す。ここに、アルミニウムシリケートの結晶が析出されていても構わない。
【0044】
析出物が析出しない図4(e)では、フリットガラス13と小径筒部12aとの界面において所謂ずり応力が大きく封着部分にリークが生じやすく、また点灯消灯を繰り返すことにより、図4(e)に示すクラックCLがフリットガラス13内に生じ易い。これに対し、析出物Sが連続的に析出されている図4(a)の例と、析出物Sが不連続的に析出されている図4(b)の例では、両方共に、結晶周辺にフリットガラス13が存在し、フリットガラス13の境界面が平坦ではなく、概ねくさび状となるので、リークの原因となる所謂ずり応力を低減することができる。
【0045】
また、析出物Sがリットガラス13内に析出している図4(c)の例では、クラックCLが例え発生しても図4(d)に示されるように、フリットガラス13内の析出物Sが障害となりクラックCLが析出物Sの部分で途切れて、そこから延びることなく、リークまでの時間を長くする効果がある。
【0046】
<実施例1>
本実施例1は図4(a)(b)のようにフリットガラス13と小径筒部12a(12b)との界面に析出物Sを析出させた4つの試作品(高圧放電ランプ)である。この4つの試作品は、レーザ封着の際の温度を制御して析出物Sの種類を変化させると共に、高温に保つ時間を変化させて得られたもので、図5に示す4つの試作品1〜4の特性を有する。図5は、これら4つの試作品1〜4について連続点灯試験を行い、リークの有無を調べた結果を示している。小径筒部12a、12bと封止用導体であるサーメットSMとフリットガラス13とについては、アルミナ(Al2 O3 )セラミックスを主成分とするものを用い、ガラスフリットにSiO2−Al2O3−Dy2O3系を用いた。これらの試作品1〜4では、図4(a)の界面を切断面として、フリットガラス13側を見た図である図6において、析出物Sの広がり幅WHがいずれも0.1 μm以上である。
【0047】
なお、ランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、図6に示すように、析出物Sの厚さD(図4(a))がいずれも0.1 μm以上である試作品3、4においては、それぞれ1千2百時間、5千7百時間以上までリークが生じなかった。試作品1、2においては、数百時間の点灯でリークを生じ、実際上は製品化が難しいものであることが分かった。
【0048】
<実施例2>
本実施例2では図4(c)(d)のようにガラスフリット13内に析出物Sを析出させた試作品であり、レーザ封着の際の温度を制御して析出物Sの種類を変化させると共に、高温に保つ時間を変化させて図7に示す特性の4つの試作品11〜14を作成した。この4つの試作品11〜14について連続点灯試験を行い、リークの有無を調べた。試作品11〜14の小径筒部12a、12bと封止用導体であるサーメットSMとフリットガラス13とについては、アルミナ(Al2 O3 )セラミックスを主成分とするものであり、ガラスフリットにSiO2−Al2O3−Dy2O3系を用いた。これらの試作品11〜14では、図4(c)のA−A断面を示す図6における析出物Sが占有する面積と、図4(c)における析出物Sが占有する面積とから、これらの図に対応するガラスフリット13の体積に対し、析出物Sが占有する体積を推定して図7に示す「析出物の量」とした。
【0049】
なお、試作したランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、析出物の量がいずれも40%以上である試作品13、14においては、それぞれ2千3百時間、5千8百時間以上までリークが生じなかった。試作品11、12においては、数百時間の点灯でリークを生じ、実際上は製品化が難しいものであることが分かった。
【0050】
<電極マウントの金属拡散>
上記実施例1、2では、レーザ封着の際の温度により、電極マウント8のモリブデン(Mo)界面において、モリブデン(Mo)金属またはその酸化物がフリットガラス13側に拡散していることが分かった。各試作品とモリブデン(Mo)界面からの拡散距離を測定した結果を図8に示す。この図8に鑑みると、電極マウント8に含有されていた金属またはその酸化物の拡散距離が大であり、従って金属またはその酸化物の拡散量が多い試作品1、11が特にリークまでの時間が長く、封止部分についてクラックの低減により、ランプの長寿命化に寄与するという知見が得られる。
【0051】
<実施例3>
この実施例3では、上記実施例1及び実施例2の構成に加えて、サーメットSMにSiO2 −Al2 O3 −Dy2 O3 系を含むものを用いた。ここでは、サーメットSMにディスプロシウムシリケートなどを用いており、次の通りにしてサーメットSMを製造した。
【0052】
ディスプロシウムシリケートやディスプロシウムアルミネートの粉末をサーメット材の原料とし、有機系溶媒などを用い、予め、サーメット成形体を成形し、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことによりサーメットSMを得る。
【0053】
また、有機系溶媒にディスプロシウムシリケートなどの粉末を溶解させ、これをディスプロシウムを用いない通常の方法で作成したサーメット表面に塗布した後に、溶媒除去のため焼成し、その後に本焼結を行うことにより製造するようにしても良い。この製法によりサーメットSMを製造した場合には、表面のみにサーメットにディスプロシウムシリケートが存在することになる。
【0054】
なお、ディスプロシウムシリケートやディスプロシウムアルミネートの粉末は、酸化ディスプロシウムやアルミナ、シリカなどの粉末を混合し、ある一定の条件で焼成することで得られたものを使用する。
【0055】
比較のために、3つの試作品(高圧放電ランプ)を作成し2000時間連続点灯を行い、フリットガラス13とサーメットSMとの界面におけるクラック発生状況を電子顕微鏡により確認し図9に示す結果を得た。試作品22、23においては、フリットガラス13とサーメットSMとの界面にディスプロシウムシリケートの結晶が析出するように、レーザ封着の際の温度を制御すると共に、高温に保つ時間並びに温度低下の時間を制御した。試作品22では、界面にディスプロシウムシリケートの結晶と共にアルミナ(Al2O3 )が存在するようにしたものである。
【0056】
なお、ランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、図9に示すように、界面にアルミナが存在しディスプロシウムシリケートが存在しない試作品21では、1000時間でクラックが確認された。これに対し、界面にディスプロシウムシリケートが存在する試作品23では、2000時間でもクラックが全く確認されなかった。界面にディスプロシウムシリケート及びアルミナが存在する試作品22では、1900時間でクラックが確認され、アルミナを有する場合においてもディスプロシウムシリケートが存在することにより、クラックまでの時間が長くなり、長寿命化を図ることが可能であることが分かった。
【0057】
図15に、この界面の透過型電子顕微鏡写真を示す。写真における左上の黒い部分が電極マウント8のニオブ(Nb)であり、写真における横方向の中心線かラ下側に見えている白いブロック状の部分はPCA(多結晶アルミナ)である。そのPCAの上にいくつかの黒いブロックとなって見えるものがディスプロシウムシリケート(Dy2SiO5)である。ディスプロシウムシリケート(Dy2SiO5)の上はモリブデン(Mo)である。ここでは、ディスプロシウムシリケートであるが、ディスプロシウムアルミネートによっても、界面が平坦ではなく、概ねくさび状とする作用があり、ディスプロシウムアルミネートをディスプロシウムシリケートに代えても、また、ディスプロシウムアルミネートとディスプロシウムシリケートとを共に析出させた構成が可能である。
【0058】
<実施例4>
実施例4では、上記実施例3の構成において、サーメットSMの表面に導電性物質を有さない構成を採用した。サーメットSMの表面に(即ち、サーメットSMとフリットガラス13の界面に)、ディスプロシウムシリケートの結晶が析出する過程では、これらの結晶以外の粒子が存在すると、結晶の成長が阻止される場合がある。例えば、サーメットSMの表面Hに近い部分を示す図10のように、ディスプロシウムシリケートの結晶Dが析出しつつある状態において、Mo(モリブデン)が存在すると、結晶D(1)、結晶D(2)がMoにぶつかり、成長できなくなると考えられる。
【0059】
そこで、図11に示すように、長手方向に延びる線状のモリブデン−アルミナセラミックスMAを芯のようにして配置し、モリブデン−アルミナセラミックスMAを覆うように外側に材料M1を設けたサーメットSMを作成する。材料M1は、導電性物質を含まず、SiO2 −Al2 O3 −Dy2 O3 系を含む材料である。このようにサーメットSMにおいて、非導電性物質のみにより表面を構成する場合には、製造方法としては、以下の二方法を提示する。
【0060】
その第一は、表面塗布法である。即ち、有機系溶媒にアルミナ粉末を溶解させたものを、通常の方法で作成したサーメット表面に塗布した後に、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことにより、非導電性物質のみにより表面が構成されたサーメットSMを得る。
【0061】
第二の手法は、押し出し式法(エクストルージョンモールディング)というべき手法である。樹脂製造方法で用いられる押し出し式法のような方法(特に、電線の被覆等に用いる引き抜き法)により、押し出された状態において、表面が非導電性物質のみが存在するものを生成し、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことにより、非導電性物質のみにより表面が構成されたサーメットSMを得る。
【0062】
ここでは比較のために、2つの試作品(高圧放電ランプ)を作成し3000時間連続点灯を行い、サーメットSMとフリットガラス13との界面におけるクラック発生状況を電子顕微鏡により確認し図12に示す結果を得た。試作品32においては、フリットガラス13とサーメットSMとの界面にディスプロシウムシリケートの結晶が析出するように、レーザ封着の際の温度を制御すると共に、高温に保つ時間並びに温度低下の時間を制御した。試作品31では、図11に示す構造とせず、サーメットSMの表面にMo(モリブデン)などの導電性物質を含み、界面にディスプロシウムシリケートの結晶と共にMo(モリブデン)などの導電性物質が存在するようにしたものである。
【0063】
なお、ランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、図12に示すように、試作品32は、3000時間を経過してもクラックが全く確認されなかった。これに対し、試作品31では、2600時間でクラックが確認された。これより、サーメットSMの表面にMo(モリブデン)などの導電性物質を含まず、ディスプロシウムシリケートの結晶成長が適切に行われる場合に、クラックまでの時間が長くなり、長寿命化を図ることが可能であることが分かった。
【0064】
<実施例5>
この実施例5では、上記実施例1及び/または実施例2の構成に加えて、小径筒部12a(12b)にSiO2 −Al2 O3 −Dy2 O3 系を含むものを用いた。このようにサーメットSMにおいて、非導電性物質のみにより表面を構成する場合には、製造方法としては、以下の二方法を提示する。
【0065】
その第一は、表面塗布法である。即ち、有機系溶媒にアルミナ粉末を溶解させたものを、通常の方法で作成したサーメット表面に塗布した後に、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことにより、非導電性物質のみにより表面が構成されたサーメットSMを得る。
【0066】
第二の手法は、押し出し式法(エクストルージョンモールディング)というべき手法である。樹脂製造方法で用いられる押し出し式法のような方法(特に、電線の被覆等に用いる引き抜き法)により、押し出された状態において、表面が非導電性物質のみが存在するものを生成し、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことにより、非導電性物質のみにより表面が構成されたサーメットSMを得る。
【0067】
比較のために、3つの試作品(高圧放電ランプ)を作成し2000時間連続点灯を行い、フリットガラス13と小径筒部12a(12b)との界面におけるクラック発生状況を電子顕微鏡により確認し図13に示す結果を得た。試作品42、43においては、フリットガラス13と小径筒部12a(12b)との界面にディスプロシウムシリケートの結晶が析出するように、レーザ封着の際の温度を制御すると共に、高温に保つ時間並びに温度低下の時間を制御した。試作品42では、界面にディスプロシウムシリケートの結晶と共にアルミナ(Al2 O3 )が存在するようにしたものである。
【0068】
なお、ランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、図13に示すように、界面にアルミナが存在しディスプロシウムシリケートが存在しない試作品41では、1100時間でクラックが確認された。これに対し、界面にディスプロシウムシリケートが存在する試作品43では、2000時間を経過してもクラックが全く確認されなかった。また、界面にディスプロシウムシリケート及びアルミナが存在する試作品42では、1850時間でクラックが確認され、アルミナを有する場合においてもディスプロシウムシリケートが存在することにより、クラックまでの時間が長くなり、長寿命化を図ることが可能であることが分かった。ここでは、ディスプロシウムシリケートであるが、ディスプロシウムアルミネートによっても、界面が平坦ではなく、概ねくさび状とする作用があり、ディスプロシウムアルミネートをディスプロシウムシリケートに代えても、また、ディスプロシウムアルミネートとディスプロシウムシリケートとを共に析出させた構成が可能である。
【0069】
小径筒部12a(12b)において析出するディスプロシウムシリケート(ディスプロシウムアルミネート)の厚みは、小径筒部12a(12b)の全体に及んでいても良いが、小径筒部12a(12b)の断面について検査し、0.5μm以上であれば、図13に示すような効果を得ることが確認された。なお、この例において界面に析出されるディスプロシウムシリケートの透過型顕微鏡写真も、既に示した図15のようである。
【0070】
図14に、たとえば上記高圧放電ランプL1が用いられた本発明に係わる照明装置9を示す一部断面正面図を示す。この照明装置9は天井91に埋め込み設置される埋込形照明装置で、天井91側に取り付けられる器具(装置)本体92を有し、この器具(装置)本体92内に設けられたソケット93に上記高圧放電ランプL1の口金6が装着される。また、この器具(装置)本体92内にはランプL1の放射光を下方に反射させる反射鏡94が配設され、この反射鏡94の開口側を覆ってガラスなどからなるカバー部材やレンズなどからなる制光体95が配設されている。
【0071】
そして、上記高圧放電ランプL1は、器具(装置)本体92やあるいはこの本体92とは別置された安定器などを有する点灯装置と電気的に接続され、この点灯装置からの給電により点灯することができる。
【0072】
また、照明装置は上記実施の形態に限らず、他の構造や用途をなすものであってもよく、点灯方式も矩形波点灯回路装置を用いるものに限らず、チョークコイル式やトランス式などの磁気式の安定器を用いるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプの全体を示す正面図。
【図2】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプの発光管の拡大断面図。
【図3】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプの小径筒部に関する封止過程を示す断面図。
【図4】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプについてフリットガラス付近の結晶析出例を示す図。
【図5】本発明の高圧放電ランプにおける実施例1に係るランプ試作品についてリーク試験結果を示す図。
【図6】図4(c)のA−A断面図。
【図7】本発明の高圧放電ランプにおける実施例2に係るランプ試作品についてリーク試験結果を示す図。
【図8】本発明の高圧放電ランプにおける実施例1、2に係るランプ試作品について金属拡散量をパラメータとしたリーク試験結果を示す図。
【図9】本発明の高圧放電ランプにおける実施例3に係るランプ試作品についてクラック試験結果を示す図。
【図10】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプについてサーメット表面付近の結晶析出例を示す図。
【図11】本発明の高圧放電ランプにおける実施例4に係るランプについて採用したサーメットの構成を示す斜視図。
【図12】本発明の高圧放電ランプにおける実施例4に係るランプ試作品についてクラック試験結果を示す図。
【図13】本発明の高圧放電ランプにおける実施例5に係るランプ試作品についてクラック試験結果を示す図。
【図14】本発明の照明装置における一実施形態としての照明装置を示す概念的側面図。
【図15】本発明の高圧放電ランプにおける実施例3または5に係るランプ試作品について撮像した界面の図面代用顕微鏡写真を示す図。
【符号の説明】
【0074】
Nb ニオブ棒状体
SM サーメット
1 放電容器
1A 発光管
2A 電極
3 シュラウドガラス
5 外管
6 口金
8 電極マウント
9 照明装置
11 包囲部
12a 小径筒部
12b 小径筒部
13 フリットガラス
13A フリットガラス成形体
23a、23b 導電体
91 天井
92 本体
93 ソケット
94 反射鏡
95 制光体
S 析出物
【技術分野】
【0001】
この発明は、透光性セラミックスの放電容器を備えた高圧放電ランプ及びこれを用いた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高圧放電ランプに対する高効率化、小型化の要求が強まっており、これに伴って点灯時の温度や内圧などが従来品より高くなっている。また、高圧放電ランプの放電容器についても、石英ガラスよりも融点が高く、点灯温度を高く保つことが可能なアルミナ(Al2 O3 )などの金属酸化物からなるセラミックスが用いられるようになりつつある。このようなセラミックスを用いた高圧放電ランプとしては、特許文献1、特許文献2に記載のものを挙げることができる。
【0003】
上記金属酸化物からなるセラミックスを用いた高圧放電ランプにあっては、封着部分にフリットガラスを使用している例が多い。フリットガラスによる封着に関しては特許文献3に記載されている。
【特許文献1】特表2005−532250号公報
【特許文献2】特開2006−160595号公報
【特許文献3】特開2006−202728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記セラミックスを用いた放電容器では、封止部にフリットガラスやサーメットと称される封止用導体を用いているために、現状では石英ガラスのモリブデン箔を用いた封着構造に比べて耐熱性が低い。このため、セラミックス製の放電容器は封着部の信頼性が劣り、リークが発生し易く長寿命化を図ることが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、封止部において封着性に優れ、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命化を図ることの可能な高圧放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る高圧放電ランプは、第1の金属酸化物を主成分とし、放電空間を形成する包囲部およびこの包囲部の両側に連通してそれぞれ設けられた小径筒部を備える放電容器と;小径筒部に挿入されて小径筒部の両端側で封着される導電体と;放電容器の包囲部内に設けられ、導電体の先端側に設けられた電極と;第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスおよび第2の金属酸化物を含有し、導電体と小径筒部との間隙に設けられて両者を封着すると共に、前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたフリットガラスと;放電容器内部に封入された放電媒体と;を具備することを特徴とする。
【0007】
フリットガラスは、放電容器の小径筒部と電極につながる導電体との間を封着する封着材である。また、フリットガラスは、セラミックス封止用コンパウンドであり、例えばSiO2 −Al2 O3 −Dy2 O3 を主成分とする組成のものなどを用いることができる。さらに、フリットガラスは、加熱により溶融して小径筒部と導電体との間の隙間に進入して固化することにより、小径筒部と導電体との間を封着することによって放電容器内を気密に封止する。
【0008】
第1の金属酸化物としては、アルミナ(Al2 O3 )やイットリウム酸化物(YOX)などの透光性と耐熱性を有する金属酸化物セラミックスを採用することができる。第2の金属酸化物を形成する金属元素としては希土類金属が許容される。第2の金属酸化物としては特にDy2O3が好ましい。フリットガラス中に析出される結晶は、例えばディスプロシウムシリケートまたはディスプロシウムアルミネートを許容する。また、アルミニウムシリケートの結晶が析出されていても構わない。析出は、フリットガラスと小径筒部との界面に発生し易いが、このほかの部位に発生しても良い。すなわち、析出の位置は、フリットガラス内部であってよい。さらに析出の位置は、フリットガラスと小径筒部との界面およびフリットガラス内部を許容する。析出物は連続的に析出されていても、不連続に析出されていても良い。
【0009】
放電容器は、放電空間を内部に形成する包囲部を備える。放電空間は球状、楕円球状、紡錘形状、ほぼ円柱状などであり、包囲部はこれらの形状に対応するものである。放電容器の成分として、酸化物セラミックス以外に焼結助剤を含むことを許容する。焼結助剤としては酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO2 )などを許容する。
【0010】
小径筒部は、一対の電極を封装するために通常2本設けられる。しかし、ランプ構造に応じて1または3本以上備えられても良い。電極は、タングステン、ドープドタングステン、レニウム、タングステン−レニウム合金などを用いて作成される。放電媒体は、放電による発光を得るためのもので、好ましくは発光金属のハロゲン化物、ランプ電圧形成媒体及び希ガスにより構成される。
【0011】
本発明に係る高圧放電ランプでは、導電体の金属がフリットガラスに拡散されて導電体を封着していることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る高圧放電ランプでは、結晶析出部位の厚さとこれに直交する方向の広がり幅が、それぞれ1.0 μm以上であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る高圧放電ランプは、導電体の一部にサーメットが設けられ、前記小径筒部と前記サーメットとの少なくとも一方が、前記第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスまたは第2の金属酸化物を含有しており、フリットガラスに隣接する前記小径筒部または前記サーメットとの界面に前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたことを特徴とする。
【0014】
結晶は、ディスプロシウムシリケートとディスプロシウムアルミネートの少なくとも一方を含み、アルミナを含ませて結晶を析出させても良い。析出物は連続的に析出されていても、不連続に析出されていても良い。小径筒部に析出させる場合には、内側表面のみに析出させることで十分であり、また、析出の厚みが0.5μm以上であるように構成すると良い。
【0015】
本発明に係る高圧放電ランプでは、界面に析出された結晶に、第2の金属酸化物を形成する金属元素のアルミネート化合物またはシリケート化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る高圧放電ランプでは、サーメットの表面に導電性物質が存在していないことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る高圧放電ランプは、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高圧放電ランプと;高圧放電ランプを保持する照明装置本体と;高圧放電ランプを点灯させる点灯回路と;を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る高圧放電ランプでは、導電体と小径筒部との間隙に設けられて両者を封着するフリットガラスに封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶が析出されているので、この結晶が小径筒部とフリットガラスとの熱膨張率差を緩和させる機能を有する。即ち、小径筒部とフリットガラスとの間の結晶により熱膨張率が漸次に変化するため、点灯と消灯を繰り返した場合にも熱膨張率差によるクラックの発生を防ぐことができる。また、結晶周辺にフリットガラスが存在し、フリットガラスの境界面が平坦ではなく、概ねくさび状となるので、リークの原因となる所謂ずり応力を低減することができ、封着性の向上が図られ、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命化を図ることが可能であるという効果を奏する。
【0019】
さらに、本発明に係る高圧放電ランプでは、導電体の金属がフリットガラスに拡散されて導電体を封着しているので、この拡散した金属がフリットガラス内部のクラックを防止するように働き、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命化を図ることが可能であるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係る高圧放電ランプでは、結晶析出部位の厚さとこれに直交する方向の広がり幅が、それぞれ1.0 μm以上であり、結晶の範囲がある程度の大きさを有することにより、熱膨張率の漸次変化範囲や、フリットガラスの境界面が概ねくさび状となる範囲が、クラック防止や所謂ずり応力低減の効果を奏するのに十分となる。
【0021】
本発明に係る高圧放電ランプでは、導電体の一部にサーメットが設けられ、小径筒部とサーメットとの少なくとも一方が、第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスまたは第2の金属酸化物を含有し、フリットガラスに隣接する前記小径筒部または前記サーメットとの界面に前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させた構成を備えているので、結晶により熱膨張率が漸次に変化するため、点灯と消灯を繰り返した場合にも熱膨張率差によるクラックの発生を防ぐことができる。また、結晶により境界面が平坦ではなく、概ねくさび状となるので、リークの原因となる所謂ずり応力を低減することができ、封着性の向上が図られ、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命化を図ることが可能であるという効果を奏する。
【0022】
本発明に係る高圧放電ランプでは、界面に析出された結晶に、第2の金属酸化物を形成する金属元素のアルミネート化合物またはシリケート化合物の少なくとも一方を含むので、これらの化合物が熱膨張率を漸次に変化させ、また結晶を概ねくさび状として、リークの原因となる所謂ずり応力を低減する。
【0023】
本発明に係る高圧放電ランプでは、サーメットの表面に導電性物質が存在していないので、粒状結晶の成長が導電性物質に阻止されることなく良好な結晶の析出がなされる。
【0024】
本発明に係る照明装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高圧放電ランプを備えた構成であるから、封着性の向上が図られた高圧放電ランプの採用により、長時間の使用によってもリークし難く、長寿命な照明装置を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明に係る高圧放電ランプ及びそれを用いた照明装置の実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付し重複する説明を省略する。本実施例に係る高圧放電ランプは、図1および図2に示す構成を有している。これらの図に示す高圧放電ランプは、定格ランプ電力100W用として好適な構造であり、図1に示すように、発光管1A、外管5、UVエンハンサ7、シュラウドガラス3、支持構体4A、4Bおよび口金6を具備している。
【0026】
図2に示す発光管1Aについて説明する。発光管1Aは、放電容器1、電極2A、2B、一対の導電体23a、23b、一対のフリットガラス13、13および放電容器1の内部に封入された放電媒体を備えている。
【0027】
放電容器1は、アルミナセラミックスを主成分とし、焼結助剤を含むものである。包囲部11および包囲部11の両端に連通して配設された一対の小径筒部12a、12bを備えている。そして、小径筒部12a、12bおよび包囲部11は、鋳込み成形により一体化されている。
【0028】
包囲部11は、2つの半球体が、互いに向かい合うように軸方向に離間した状態で、半球状の部分の間を直線で結んで形成されるほぼ俵形の形状をなしていており、肉厚が0.8mmである。
【0029】
一対の小径筒部12a、12bは、それぞれ内径約1mmのパイプ状をなし、先端が対応する包囲部11の半球状部分の中央部に一体的に接続されている。なお、包囲部11および小径筒部12a、12bの境界部は、その内外両面が曲面によって形成されている。
【0030】
電極2A、2Bは、それぞれ外径0.5mmのタングステン棒からなる細長い軸部21および電極主部22を備えている。細長い軸部21は、小径筒部12a、12b内に挿通されていて、タングステン細線を巻き付けてその周囲にコイル部24、24を形成している。そして、細長い軸部21と小径筒部12a、12bの内面との間にわずかな隙間が形成されている。電極主部22は、細長い軸部21の先端部に外径0.1mmのタングステン細線を5ターン巻き付けて形成されていて、包囲部11内に突出している。
【0031】
一対の導電体23a、23bは、それぞれニオブ棒状体Nbと、電極主部22側に存在する封止用導体としてのサーメットSMからなり、これらニオブ棒状体NbとサーメットSMが直線状に溶接されて一体に形成されている。ニオブ棒状体Nbは、その先端が小径筒部12a、12b内に挿入されるとともに、基端が小径筒部12a、12bから外部へ突出している。棒状体のサーメットSMは、外径0.6mmで、モリブデン−アルミナセラミックスの焼結体からなり、その先端に電極2A、2Bの細長い軸部21の基端部が溶接などにより一体に接続されている。本発明の高圧放電ランプは、フリットガラス13を用いて封止されている。
【0032】
放電媒体は、始動ガスおよびバッファガスとしてアルゴン(Ar)、下記のハロゲン化金属、ならびにバッファ蒸気としての水銀からなり、透光性セラミックスの放電容器1内に封入されている。なお、金属ハロゲン化物および水銀は、蒸発する分より過剰に封入されているので、その一部が安定点灯時に小径筒部12a、12b内に形成されるわずかな隙間内のコイル部24、24に形成された隙間内に液相状態で滞留している。そして、点灯中下側となる例えば小径筒部12b内に液相状態で滞留している放電媒体の表層部付近に最冷部が形成される。
【0033】
外管5は、硬質ガラスからなるT形バルブ状をなしていて、そのネック部にフレアステム4sを封着して備えている。フレアステム4sは、一対の導入線41a、41bを気密に導入している。そして、外管5は、その内部の所定位置に発光管1Aを後述する支持構体4A、4Bにより支持して収納している。
【0034】
UVエンハンサ7は、気密容器、導入線、内部電極、放電媒体および外部電極を具備して構成されている。気密容器は、石英ガラスなどの紫外線透過性ガラス製で、その一端部にピンチシール部が形成されていることにより、内部に細長い放電空間が形成されている。導入線は、先端が後述する内部電極に溶接し、ピンチシール部から外部へ導出され、基端部の部分で図1に示すように、後述する支持枠42aに溶接されている。
【0035】
上記内部電極は、モリブデン製の板状をなしていて、気密容器の放電空間内に封装されており、その基部がピンチシール部内に気密に埋設されている。外部電極は、外径0.4mmのモリブデン線からなり、気密容器の外周に密着して5ターン巻き付けられているとともに、その基端部が支持構体42bに溶接されている。そうして、UVエンハンサ7は、その導入線の基端部および外部電極の基端部により、外管5内の所定の位置に配置されている。以上説明した構造により、UVエンハンサ7は、外管5内において発光管1Aと並列に接続されているとともに、発光管1Aの一方の電極に接近した位置に保持されている。
【0036】
シュラウドガラス3は、肉厚1.0mmで外管5内に収納可能な外径の円筒状石英ガラス体からなり、外管5内において発光管1Aを包囲する位置に後述する支持部材45aによって保持されている。
【0037】
支持構体4Aは、支持枠42a、ブリッジ導体43a、スプリング片44a、44aおよび支持部材45aからなる。支持枠42aは、図1において下端が導入線41aに接続し、上端が延長されてスプリング片44aを形成している。ブリッジ導体43aは、発光管1Aの図において上側の導電体23aに溶接されることによって発光管1Aの上部を支持している。スプリング片44aは、外管5の内面に弾力的に当接して、支持枠42aの上部を外管5の内面に対して横揺れを防止している。支持部材45aは、シュラウドガラス3の上下両端を支持している。
【0038】
支持構体4Bは、直棒状をなしていて、その下部がフレアステム4sに封着されている導入線41bに溶接されることによって電気的に接続し、かつ、機械的に支持されている。そして、上端部が発光管1Aの図において下側の導電体23bに接続導体を介して溶接されて、発光管1Aの下部を支持している。
【0039】
口金6は、E39形口金であり、外管5のネック部に固着され、外管5から外部へ露出した図示しない一対の導入線の一方がシェル部に、他方がセンターコンタクトに、それぞれ接続している。なお、図1において、符号Gはゲッタであり、外管5内を清浄化するもので、支持枠42aの上部に溶接されている。
【0040】
本発明の高圧放電ランプの発光管1Aは、フリットガラス13を用いて封止されている。フリットガラス13の組成は、Al2O3:Dy2O3:SiO2=20:60:20(Wt%)とした。封止の手順では、まず図3(a)に示すような電極マウント8を用いる。電極マウント8は、電極主部22とサーメットSM及び導電体23aにより構成される。電極マウント8は、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)などの金属を含有するものである。このような電極マウント8を小径筒部12aの開口から所定の位置まで挿入する。電極マウント8において、導電体23a、23bの所定位置にはストッパ8sが形成されている。このため、ストッパ8sが小径筒部12aの端面に当接した位置が所定の挿入位置となる(図3(b))。
【0041】
次に、電極マウント8の導電体23aの上から予めリング状に成形したフリットガラス成形体13Aを挿入して、上向きに延在する小径筒部12aの端面に載置する。ここにおいて、フリットガラス成形体13Aを含む封着予定部に対し、例えばレーザビームなどのレーザ光Rを小径筒部12aの軸方向から照射して加熱する(図3(c))。フリットガラス成形体13Aが溶融すると、フリットガラス13の一部が小径筒部12aの端面から内部に進入し、導電体23aの挿入部分を包囲して放電容器1を封止する(図3(d))。
【0042】
上記加熱は炉内において行い、例えば、1250℃以上(好ましくは1700℃程度)において行い、その後、徐々に冷却すれば発光管1Aの一端側の封止が形成される。小径筒部12bに係る他端側も同様に封止する。この封止部位には、結晶の析出が見られた。また、電極マウント8に含有されたW(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)などの金属の拡散も確認された。
【0043】
フリットガラス13の一部が小径筒部12aの端面から内部に進入し、導電体23aの挿入部分を包囲して封止した部位における析出物の析出状態について、電子顕微鏡写真の模式図を図4に示す。図4(a)、(b)では、フリットガラス13と小径筒部12aとの界面に析出物(ディスプロシウムシリケートまたはディスプロシウムアルミネート)Sが析出しており、図4(c)、(d)では、フリットガラス13内に析出物(ディスプロシウムシリケートまたはディスプロシウムアルミネート)Sが析出しており、図4(e)は析出物が析出しない状態を示す。ここに、アルミニウムシリケートの結晶が析出されていても構わない。
【0044】
析出物が析出しない図4(e)では、フリットガラス13と小径筒部12aとの界面において所謂ずり応力が大きく封着部分にリークが生じやすく、また点灯消灯を繰り返すことにより、図4(e)に示すクラックCLがフリットガラス13内に生じ易い。これに対し、析出物Sが連続的に析出されている図4(a)の例と、析出物Sが不連続的に析出されている図4(b)の例では、両方共に、結晶周辺にフリットガラス13が存在し、フリットガラス13の境界面が平坦ではなく、概ねくさび状となるので、リークの原因となる所謂ずり応力を低減することができる。
【0045】
また、析出物Sがリットガラス13内に析出している図4(c)の例では、クラックCLが例え発生しても図4(d)に示されるように、フリットガラス13内の析出物Sが障害となりクラックCLが析出物Sの部分で途切れて、そこから延びることなく、リークまでの時間を長くする効果がある。
【0046】
<実施例1>
本実施例1は図4(a)(b)のようにフリットガラス13と小径筒部12a(12b)との界面に析出物Sを析出させた4つの試作品(高圧放電ランプ)である。この4つの試作品は、レーザ封着の際の温度を制御して析出物Sの種類を変化させると共に、高温に保つ時間を変化させて得られたもので、図5に示す4つの試作品1〜4の特性を有する。図5は、これら4つの試作品1〜4について連続点灯試験を行い、リークの有無を調べた結果を示している。小径筒部12a、12bと封止用導体であるサーメットSMとフリットガラス13とについては、アルミナ(Al2 O3 )セラミックスを主成分とするものを用い、ガラスフリットにSiO2−Al2O3−Dy2O3系を用いた。これらの試作品1〜4では、図4(a)の界面を切断面として、フリットガラス13側を見た図である図6において、析出物Sの広がり幅WHがいずれも0.1 μm以上である。
【0047】
なお、ランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、図6に示すように、析出物Sの厚さD(図4(a))がいずれも0.1 μm以上である試作品3、4においては、それぞれ1千2百時間、5千7百時間以上までリークが生じなかった。試作品1、2においては、数百時間の点灯でリークを生じ、実際上は製品化が難しいものであることが分かった。
【0048】
<実施例2>
本実施例2では図4(c)(d)のようにガラスフリット13内に析出物Sを析出させた試作品であり、レーザ封着の際の温度を制御して析出物Sの種類を変化させると共に、高温に保つ時間を変化させて図7に示す特性の4つの試作品11〜14を作成した。この4つの試作品11〜14について連続点灯試験を行い、リークの有無を調べた。試作品11〜14の小径筒部12a、12bと封止用導体であるサーメットSMとフリットガラス13とについては、アルミナ(Al2 O3 )セラミックスを主成分とするものであり、ガラスフリットにSiO2−Al2O3−Dy2O3系を用いた。これらの試作品11〜14では、図4(c)のA−A断面を示す図6における析出物Sが占有する面積と、図4(c)における析出物Sが占有する面積とから、これらの図に対応するガラスフリット13の体積に対し、析出物Sが占有する体積を推定して図7に示す「析出物の量」とした。
【0049】
なお、試作したランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、析出物の量がいずれも40%以上である試作品13、14においては、それぞれ2千3百時間、5千8百時間以上までリークが生じなかった。試作品11、12においては、数百時間の点灯でリークを生じ、実際上は製品化が難しいものであることが分かった。
【0050】
<電極マウントの金属拡散>
上記実施例1、2では、レーザ封着の際の温度により、電極マウント8のモリブデン(Mo)界面において、モリブデン(Mo)金属またはその酸化物がフリットガラス13側に拡散していることが分かった。各試作品とモリブデン(Mo)界面からの拡散距離を測定した結果を図8に示す。この図8に鑑みると、電極マウント8に含有されていた金属またはその酸化物の拡散距離が大であり、従って金属またはその酸化物の拡散量が多い試作品1、11が特にリークまでの時間が長く、封止部分についてクラックの低減により、ランプの長寿命化に寄与するという知見が得られる。
【0051】
<実施例3>
この実施例3では、上記実施例1及び実施例2の構成に加えて、サーメットSMにSiO2 −Al2 O3 −Dy2 O3 系を含むものを用いた。ここでは、サーメットSMにディスプロシウムシリケートなどを用いており、次の通りにしてサーメットSMを製造した。
【0052】
ディスプロシウムシリケートやディスプロシウムアルミネートの粉末をサーメット材の原料とし、有機系溶媒などを用い、予め、サーメット成形体を成形し、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことによりサーメットSMを得る。
【0053】
また、有機系溶媒にディスプロシウムシリケートなどの粉末を溶解させ、これをディスプロシウムを用いない通常の方法で作成したサーメット表面に塗布した後に、溶媒除去のため焼成し、その後に本焼結を行うことにより製造するようにしても良い。この製法によりサーメットSMを製造した場合には、表面のみにサーメットにディスプロシウムシリケートが存在することになる。
【0054】
なお、ディスプロシウムシリケートやディスプロシウムアルミネートの粉末は、酸化ディスプロシウムやアルミナ、シリカなどの粉末を混合し、ある一定の条件で焼成することで得られたものを使用する。
【0055】
比較のために、3つの試作品(高圧放電ランプ)を作成し2000時間連続点灯を行い、フリットガラス13とサーメットSMとの界面におけるクラック発生状況を電子顕微鏡により確認し図9に示す結果を得た。試作品22、23においては、フリットガラス13とサーメットSMとの界面にディスプロシウムシリケートの結晶が析出するように、レーザ封着の際の温度を制御すると共に、高温に保つ時間並びに温度低下の時間を制御した。試作品22では、界面にディスプロシウムシリケートの結晶と共にアルミナ(Al2O3 )が存在するようにしたものである。
【0056】
なお、ランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、図9に示すように、界面にアルミナが存在しディスプロシウムシリケートが存在しない試作品21では、1000時間でクラックが確認された。これに対し、界面にディスプロシウムシリケートが存在する試作品23では、2000時間でもクラックが全く確認されなかった。界面にディスプロシウムシリケート及びアルミナが存在する試作品22では、1900時間でクラックが確認され、アルミナを有する場合においてもディスプロシウムシリケートが存在することにより、クラックまでの時間が長くなり、長寿命化を図ることが可能であることが分かった。
【0057】
図15に、この界面の透過型電子顕微鏡写真を示す。写真における左上の黒い部分が電極マウント8のニオブ(Nb)であり、写真における横方向の中心線かラ下側に見えている白いブロック状の部分はPCA(多結晶アルミナ)である。そのPCAの上にいくつかの黒いブロックとなって見えるものがディスプロシウムシリケート(Dy2SiO5)である。ディスプロシウムシリケート(Dy2SiO5)の上はモリブデン(Mo)である。ここでは、ディスプロシウムシリケートであるが、ディスプロシウムアルミネートによっても、界面が平坦ではなく、概ねくさび状とする作用があり、ディスプロシウムアルミネートをディスプロシウムシリケートに代えても、また、ディスプロシウムアルミネートとディスプロシウムシリケートとを共に析出させた構成が可能である。
【0058】
<実施例4>
実施例4では、上記実施例3の構成において、サーメットSMの表面に導電性物質を有さない構成を採用した。サーメットSMの表面に(即ち、サーメットSMとフリットガラス13の界面に)、ディスプロシウムシリケートの結晶が析出する過程では、これらの結晶以外の粒子が存在すると、結晶の成長が阻止される場合がある。例えば、サーメットSMの表面Hに近い部分を示す図10のように、ディスプロシウムシリケートの結晶Dが析出しつつある状態において、Mo(モリブデン)が存在すると、結晶D(1)、結晶D(2)がMoにぶつかり、成長できなくなると考えられる。
【0059】
そこで、図11に示すように、長手方向に延びる線状のモリブデン−アルミナセラミックスMAを芯のようにして配置し、モリブデン−アルミナセラミックスMAを覆うように外側に材料M1を設けたサーメットSMを作成する。材料M1は、導電性物質を含まず、SiO2 −Al2 O3 −Dy2 O3 系を含む材料である。このようにサーメットSMにおいて、非導電性物質のみにより表面を構成する場合には、製造方法としては、以下の二方法を提示する。
【0060】
その第一は、表面塗布法である。即ち、有機系溶媒にアルミナ粉末を溶解させたものを、通常の方法で作成したサーメット表面に塗布した後に、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことにより、非導電性物質のみにより表面が構成されたサーメットSMを得る。
【0061】
第二の手法は、押し出し式法(エクストルージョンモールディング)というべき手法である。樹脂製造方法で用いられる押し出し式法のような方法(特に、電線の被覆等に用いる引き抜き法)により、押し出された状態において、表面が非導電性物質のみが存在するものを生成し、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことにより、非導電性物質のみにより表面が構成されたサーメットSMを得る。
【0062】
ここでは比較のために、2つの試作品(高圧放電ランプ)を作成し3000時間連続点灯を行い、サーメットSMとフリットガラス13との界面におけるクラック発生状況を電子顕微鏡により確認し図12に示す結果を得た。試作品32においては、フリットガラス13とサーメットSMとの界面にディスプロシウムシリケートの結晶が析出するように、レーザ封着の際の温度を制御すると共に、高温に保つ時間並びに温度低下の時間を制御した。試作品31では、図11に示す構造とせず、サーメットSMの表面にMo(モリブデン)などの導電性物質を含み、界面にディスプロシウムシリケートの結晶と共にMo(モリブデン)などの導電性物質が存在するようにしたものである。
【0063】
なお、ランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、図12に示すように、試作品32は、3000時間を経過してもクラックが全く確認されなかった。これに対し、試作品31では、2600時間でクラックが確認された。これより、サーメットSMの表面にMo(モリブデン)などの導電性物質を含まず、ディスプロシウムシリケートの結晶成長が適切に行われる場合に、クラックまでの時間が長くなり、長寿命化を図ることが可能であることが分かった。
【0064】
<実施例5>
この実施例5では、上記実施例1及び/または実施例2の構成に加えて、小径筒部12a(12b)にSiO2 −Al2 O3 −Dy2 O3 系を含むものを用いた。このようにサーメットSMにおいて、非導電性物質のみにより表面を構成する場合には、製造方法としては、以下の二方法を提示する。
【0065】
その第一は、表面塗布法である。即ち、有機系溶媒にアルミナ粉末を溶解させたものを、通常の方法で作成したサーメット表面に塗布した後に、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことにより、非導電性物質のみにより表面が構成されたサーメットSMを得る。
【0066】
第二の手法は、押し出し式法(エクストルージョンモールディング)というべき手法である。樹脂製造方法で用いられる押し出し式法のような方法(特に、電線の被覆等に用いる引き抜き法)により、押し出された状態において、表面が非導電性物質のみが存在するものを生成し、溶媒除去のために焼成を行って、その後、本焼結を行うことにより、非導電性物質のみにより表面が構成されたサーメットSMを得る。
【0067】
比較のために、3つの試作品(高圧放電ランプ)を作成し2000時間連続点灯を行い、フリットガラス13と小径筒部12a(12b)との界面におけるクラック発生状況を電子顕微鏡により確認し図13に示す結果を得た。試作品42、43においては、フリットガラス13と小径筒部12a(12b)との界面にディスプロシウムシリケートの結晶が析出するように、レーザ封着の際の温度を制御すると共に、高温に保つ時間並びに温度低下の時間を制御した。試作品42では、界面にディスプロシウムシリケートの結晶と共にアルミナ(Al2 O3 )が存在するようにしたものである。
【0068】
なお、ランプの放電容器1の肉厚は1mm、外形15mmであり、封入ガスをキセノン(Xe)とし、封入薬品としてScI3 −NaI系のものを用いた。この結果、図13に示すように、界面にアルミナが存在しディスプロシウムシリケートが存在しない試作品41では、1100時間でクラックが確認された。これに対し、界面にディスプロシウムシリケートが存在する試作品43では、2000時間を経過してもクラックが全く確認されなかった。また、界面にディスプロシウムシリケート及びアルミナが存在する試作品42では、1850時間でクラックが確認され、アルミナを有する場合においてもディスプロシウムシリケートが存在することにより、クラックまでの時間が長くなり、長寿命化を図ることが可能であることが分かった。ここでは、ディスプロシウムシリケートであるが、ディスプロシウムアルミネートによっても、界面が平坦ではなく、概ねくさび状とする作用があり、ディスプロシウムアルミネートをディスプロシウムシリケートに代えても、また、ディスプロシウムアルミネートとディスプロシウムシリケートとを共に析出させた構成が可能である。
【0069】
小径筒部12a(12b)において析出するディスプロシウムシリケート(ディスプロシウムアルミネート)の厚みは、小径筒部12a(12b)の全体に及んでいても良いが、小径筒部12a(12b)の断面について検査し、0.5μm以上であれば、図13に示すような効果を得ることが確認された。なお、この例において界面に析出されるディスプロシウムシリケートの透過型顕微鏡写真も、既に示した図15のようである。
【0070】
図14に、たとえば上記高圧放電ランプL1が用いられた本発明に係わる照明装置9を示す一部断面正面図を示す。この照明装置9は天井91に埋め込み設置される埋込形照明装置で、天井91側に取り付けられる器具(装置)本体92を有し、この器具(装置)本体92内に設けられたソケット93に上記高圧放電ランプL1の口金6が装着される。また、この器具(装置)本体92内にはランプL1の放射光を下方に反射させる反射鏡94が配設され、この反射鏡94の開口側を覆ってガラスなどからなるカバー部材やレンズなどからなる制光体95が配設されている。
【0071】
そして、上記高圧放電ランプL1は、器具(装置)本体92やあるいはこの本体92とは別置された安定器などを有する点灯装置と電気的に接続され、この点灯装置からの給電により点灯することができる。
【0072】
また、照明装置は上記実施の形態に限らず、他の構造や用途をなすものであってもよく、点灯方式も矩形波点灯回路装置を用いるものに限らず、チョークコイル式やトランス式などの磁気式の安定器を用いるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプの全体を示す正面図。
【図2】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプの発光管の拡大断面図。
【図3】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプの小径筒部に関する封止過程を示す断面図。
【図4】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプについてフリットガラス付近の結晶析出例を示す図。
【図5】本発明の高圧放電ランプにおける実施例1に係るランプ試作品についてリーク試験結果を示す図。
【図6】図4(c)のA−A断面図。
【図7】本発明の高圧放電ランプにおける実施例2に係るランプ試作品についてリーク試験結果を示す図。
【図8】本発明の高圧放電ランプにおける実施例1、2に係るランプ試作品について金属拡散量をパラメータとしたリーク試験結果を示す図。
【図9】本発明の高圧放電ランプにおける実施例3に係るランプ試作品についてクラック試験結果を示す図。
【図10】本発明の高圧放電ランプにおける実施形態としてのランプについてサーメット表面付近の結晶析出例を示す図。
【図11】本発明の高圧放電ランプにおける実施例4に係るランプについて採用したサーメットの構成を示す斜視図。
【図12】本発明の高圧放電ランプにおける実施例4に係るランプ試作品についてクラック試験結果を示す図。
【図13】本発明の高圧放電ランプにおける実施例5に係るランプ試作品についてクラック試験結果を示す図。
【図14】本発明の照明装置における一実施形態としての照明装置を示す概念的側面図。
【図15】本発明の高圧放電ランプにおける実施例3または5に係るランプ試作品について撮像した界面の図面代用顕微鏡写真を示す図。
【符号の説明】
【0074】
Nb ニオブ棒状体
SM サーメット
1 放電容器
1A 発光管
2A 電極
3 シュラウドガラス
5 外管
6 口金
8 電極マウント
9 照明装置
11 包囲部
12a 小径筒部
12b 小径筒部
13 フリットガラス
13A フリットガラス成形体
23a、23b 導電体
91 天井
92 本体
93 ソケット
94 反射鏡
95 制光体
S 析出物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属酸化物を主成分とし、放電空間を形成する包囲部およびこの包囲部の両側に連通してそれぞれ設けられた小径筒部を備える放電容器と;
小径筒部に挿入されて小径筒部の両端側で封着される導電体と;
放電容器の包囲部内に設けられ、導電体の先端側に設けられた電極と;
第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスおよび第2の金属酸化物を含有し、導電体と小径筒部との間隙に設けられて両者を封着すると共に、前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたフリットガラスと;
放電容器内部に封入された放電媒体と;
を具備することを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
導電体の金属がフリットガラスに拡散されて導電体を封着していることを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
結晶析出部位の厚さとこれに直交する方向の広がり幅が、それぞれ1.0 μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
導電体の一部にサーメットが設けられ、
前記小径筒部と前記サーメットとの少なくとも一方が、前記第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスまたは第2の金属酸化物を含有しており、フリットガラスに隣接する前記小径筒部または前記サーメットとの界面に前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
界面に析出された結晶に、第2の金属酸化物を形成する金属元素のアルミネート化合物またはシリケート化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項4に記載の高圧放電ランプ。
【請求項6】
サーメットの表面に導電性物質が存在していないことを特徴とする請求項4または5に記載の高圧放電ランプ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高圧放電ランプと;
高圧放電ランプを保持する照明装置本体と;
高圧放電ランプを点灯させる点灯回路と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【請求項1】
第1の金属酸化物を主成分とし、放電空間を形成する包囲部およびこの包囲部の両側に連通してそれぞれ設けられた小径筒部を備える放電容器と;
小径筒部に挿入されて小径筒部の両端側で封着される導電体と;
放電容器の包囲部内に設けられ、導電体の先端側に設けられた電極と;
第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスおよび第2の金属酸化物を含有し、導電体と小径筒部との間隙に設けられて両者を封着すると共に、前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたフリットガラスと;
放電容器内部に封入された放電媒体と;
を具備することを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
導電体の金属がフリットガラスに拡散されて導電体を封着していることを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
結晶析出部位の厚さとこれに直交する方向の広がり幅が、それぞれ1.0 μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
導電体の一部にサーメットが設けられ、
前記小径筒部と前記サーメットとの少なくとも一方が、前記第1の金属酸化物を含む封着用セラミックスまたは第2の金属酸化物を含有しており、フリットガラスに隣接する前記小径筒部または前記サーメットとの界面に前記封着用セラミックスの成分および第2の金属酸化物の成分による結晶を析出させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
界面に析出された結晶に、第2の金属酸化物を形成する金属元素のアルミネート化合物またはシリケート化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項4に記載の高圧放電ランプ。
【請求項6】
サーメットの表面に導電性物質が存在していないことを特徴とする請求項4または5に記載の高圧放電ランプ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高圧放電ランプと;
高圧放電ランプを保持する照明装置本体と;
高圧放電ランプを点灯させる点灯回路と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−243791(P2008−243791A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235391(P2007−235391)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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