説明

高圧放電ランプ

【課題】均斉度のばらつきを回避できる高圧放電ランプを提供することにある。
【解決手段】支持フレーム10において発光管6の軸線L方向に沿って延びる一対の支持枠片11、11には、発光管6の軸線L周りに螺旋状に延びる螺旋部16、16が設けられている。2つの螺旋部16、16は発光管6の軸線Lを中心軸として軸対称となるように配されて、それぞれ半周分(180°)回転し、合計で1周の巻回となるようにされている。さらに、この螺旋部16、16の巻き始め位置および巻き終わり位置は、それぞれ発光管6の端部に対応する位置にある。すなわち、一対の電極E、Eにおいて互いに向かい合う側の端部に対応する位置よりも外側(互いに離間する側)に位置している。したがって、支持フレーム10によって遮断される光の量が発光管の軸線L周りの全周にわたって概ね均等となる。これにより、特定の出射方向のみ照度が落ちてしまうことを回避でき、安定した均斉度を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
道路照明等に使用される高圧ナトリウムランプ等の高圧放電ランプは、外管の内部に、発光管と、この発光管にパルス電圧を与える始動装置を備え、外球に口金を嵌着したものである。この種のランプにおいては、発光管が、枠状に形成されたサポートワイヤによってその両端部を支持されることがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−111221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記のような構成のランプでは、サポートワイヤにより発光管からの光が遮断されてしまうために、サポートワイヤが存在する側での照度が低下してしまうことがある。特に、ランプがねじ込み型の口金を備えるものである場合、ランプは口金部分を照明器具のソケットに対して回転させながらねじ込むことにより取り付けられ、取り付け向き(ランプがどの向きになったときにソケットに対する回転が止まるか)が常に一定になるわけではない。このため、取り付け向きによって得られる照度分布がばらつくこととなる。
【0004】
このような問題は、例えばランプを道路の照明に利用する場合においてより顕著となる。すなわち、道路照明においてはランプの均斉度、すなわち路面での照度分布ができるだけ均一であることが求められる性能の1つとなっている。しかし、上記したようにサポートワイヤによって特定方向への光が遮られると、路面上で局所的な照度の低下が生じることとなる。そして、路面上において照度が低くなる位置がランプの取り付け向きに依存して変化し、それによって均斉度も変化し得るため、取り付け向きによっては所望の均斉度を得られない、といったことが起こり得る。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、均斉度のばらつきを回避できる高圧放電ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の高圧放電ランプは、外管部と、前記外管部の内部に設けられる発光管と、前記発光管の内部に設けられる一対の電極と、前記外管部の内部で前記発光管を支持する支持部と、を備え、前記支持部には前記発光管の軸線方向に沿って延びる支持辺部が備えられ、この支持辺部には前記発光管の軸線周りに螺旋状に延びる螺旋部が設けられ、前記螺旋部が、前記軸線周りに略整数週巻回されており、かつ、この螺旋部の巻き始め位置および巻き終わり位置が前記一対の電極において互いに向かい合う側の端部に対応する位置かそれよりも外側位置にあるものである。なお、支持辺部が複数本ある場合、複数の螺旋部が合計で略整数週の巻回となっていればよい。
【0007】
本発明は、外管部が透明である高圧放電ランプに好ましく適用できる。ここで、外管部が白色管など半透明のものである場合、外管部によって光が拡散されるために支持部による特定方向での照度低下がある程度緩和される。しかし、近年は照明効率の向上のために透明な外管部を有するランプが好んで使用される傾向があり、このようなランプでは光の拡散効果が得られないために特定方向での照度低下が問題となりやすい。したがって、このようなランプに本発明を適用することにより、特定方向での照度低下を防ぎ、均斉度のばらつきを効果的に低減できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光管を支持する支持部にはこの発光管の軸線方向に沿って延びる支持辺部が備えられ、この支持辺部には、発光管の軸線周りに螺旋状に延びる螺旋部が設けられている。このような構成によれば、発光管の軸線周りにおいて支持部による光の遮断量が分散されるから、特定方向で照度が大きく低下することが回避され、均斉度を向上させることができる。
特に、螺旋部が発光管の軸線周りに略整数週巻回され、かつ、この螺旋部の巻き始め位置および巻き終わり位置が一対の電極において互いに向かい合う側の端部に対応する位置かそれよりも外側位置にある。これにより、支持辺部によって遮断される光の量が発光管の軸線周りの全周にわたって概ね均等となり、ランプの均斉度が取り付け向きによってばらつくことがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図3を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1には、本実施形態のナトリウムランプ1(本発明の高圧放電ランプに該当する)の概略側面図を、図2には、このナトリウムランプ1を図1とは90°ずれた方向から見た概略側面図を、それぞれ示す。このナトリウムランプ1には、透明の硬質ガラスにより形成された外管部2が備えられている。この外管部2は、一端が開放された略円筒容器状をなすものであって、その開放側の端部はステム3によって気密に封止されており、さらに、図示しないソケットに装着可能なねじ込み型の口金4が取り付けられている。ステム3の近傍には、不純物を吸着するためのゲッタ5が設けられている。
【0011】
この外管部2の内部には、発光管6が設けられている。発光管6は、透光性のアルミナにより直円筒状に形成されたもので、その両端の開口はシール部7、7により気密的に封止されている。発光管6の内部にはナトリウム、水銀およびキセノンガスが封入されている。また、発光管6の内部において両端部付近には、互いに対となる2つの電極E、Eと、これらの電極E、Eにそれぞれ接続されたリード8、8とが設けられている。リード8、8の端部は、それぞれシール部7、7を貫通して発光管6の外部に延出されている。
なお、発光管の寸法はランプの大きさ(ランプ電力)によって異なり、例えば、110W〜360Wのランプにおいて透光性のアルミナ管の外径は7〜11mm、電極間距離は40〜90mm、一対のリードにおいて外側(互いに向かい合う側とは逆側)の端部間の距離は60〜125mmである。
【0012】
発光管6は、その軸線L方向が外管部2の長さ方向と沿う姿勢で、径が1〜3mmの金属製の支持フレーム10(本発明の支持部に該当する)により支持されている。なお、支持フレーム10の径が1mmより小さくなると機械的強度が不足し、ランプ点灯中に熱で変形するおそれがあるため好ましくない。また、支持フレーム10の径が3mmよりも大きくなると発光管6から放射される光を多く遮るため、ランプ効率が低下し、好ましくない。
この支持フレーム10は、発光管6を挟んで対向位置に配され全体として発光管6の軸線L方向に沿って延びる一対の支持枠片11、11(本発明の支持辺部に該当する)と、この支持枠片11、11を両端でそれぞれ連結する連結枠片12、12とを備え、全体として発光管6および始動装置9(後述)を囲う細長い枠状に形成されている。
【0013】
発光管6の2本のリード8、8のうち、口金4側のリード8Aは両支持枠片11、11間に渡された固定板13を介して支持フレーム10に固定されている。この固定板13には、発光管6にパルス電圧を与えるための始動器等からなる始動装置9が連結されており、リード8Aの先端部はこの始動装置9に接続されている。この始動装置9は、外部電源からの電力を供給するインナーリード線17、17のうち一方を介してステム3に接続されている。一方、他方のリード8Bは、両支持枠片11、11間に橋渡されたリード線を兼ねる金属製固定部材14を介して支持フレーム10に固定されている。また、一対の連結枠片12、12のうち口金4側と逆側の連結枠片12Aは、支持板15を介して外管部2の内面に固定されている。
【0014】
支持枠片11、11の一部は、それぞれ、発光管6の軸線Lの周りに螺旋状に延びる螺旋部16、16とされている(図3を併せて参照)。一方の支持枠片11Aに設けられる螺旋部16Aは、その巻き始め位置から巻き終わり位置までの間で半周分(180°)ねじられている。また、他方の支持枠片11Bに設けられる螺旋部16Bは、その巻き始め位置が相手側の螺旋部16Aの巻き始め位置に対して発光管6の軸線Lを挟んで対称位置にあり、ここから巻き終わり位置までの間で同じく半周分(180°)ねじられている。すなわち、一対の螺旋部16、16は発光管6の軸線Lを中心軸として軸対称となるように配され、合計で1周巻回されるようになっている。
この螺旋部16、16の巻き始め位置および巻き終わり位置は、それぞれ発光管6の端部に対応する位置にある。すなわち、一対の電極E、Eにおいて互いに向かい合う側の端部に対応する位置よりも外側(互いに離間する側)に位置している。
なお、図1に示すような、極間長40mm以上、外周径6〜12cmの円筒型発光管6を有するランプ1においては、螺旋部16、16の巻き始め位置および巻き終わり位置は、電極E、Eの先端(互いに向かい合う側の端部)に対応する位置から互いに離間する側へ約30mmの範囲内にあることがより好ましい。
【0015】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用および効果について説明する。
【0016】
ナトリウムランプ1を照明器具(図示せず)に装着する際には、照明器具のソケットにナトリウムランプ1の口金4を合わせ、回転させながらねじ込む。このとき、ナトリウムランプ1がどの向きになったときにソケットに対する口金4の回転が止まるかは、ねじ込み強さやランプ個体差により毎回一定ではないため、支持フレーム10の発光管6の軸線L回りにおける固定位置も毎回一定ではない。
【0017】
次いで、ナトリウムランプ1を点灯させる。このとき、発光管6から外周方向に出射する光の一部は、支持フレーム10によって遮断される。しかし、支持フレーム10において発光管6の軸線L方向に沿って延びる一対の支持枠片11、11には、発光管6の軸線L周りに螺旋状に延びる螺旋部16、16が設けられている。さらに、2つの螺旋部16、16は、発光管6の軸線Lを中心軸として軸対称となるように配されており、それぞれ180°ねじられ、合計で1周の巻回となるようにされている。加えて、螺旋部16、16の巻き始め位置および巻き終わり位置は、それぞれ発光管6の端部に対応する位置にある。すなわち、一対の電極E、Eにおいて互いに向かい合う側の端部に対応する位置よりも外側(互いに離間する側)に位置している。
ここで、発光管6からの発光は一対の電極E、E間のアーク放電によるものであるから、光は電極E、Eにおいて発生してその周囲に広がっていく。したがって、支持フレーム10が配されている位置において、発光管6から発せられる光が通過する領域は、発光管6のサイズや支持フレーム10と発光管6との距離等にもより若干変動するが、概ね一対の電極E、E間に対応する領域、もしくはそれよりも僅かに外側までの領域となる。よって、この領域に2つの螺旋部16、16が存在し、かつ合計で1周の巻回となるようにされていることにより、支持フレーム10によって遮断される光の量が発光管の軸線L周りの全周にわたって概ね均等となる。これにより、特定の出射方向のみ照度が落ちてしまうことを回避でき、安定した均斉度を得ることができる。
【0018】
<変形例1>
変形例1には、上記第1実施形態と同様の構成の支持フレーム10をメタルハライドランプに適用した場合について説明する。図4には、本変形例のメタルハライドランプ20(本発明の高圧放電ランプに該当する)の概略側面図を、図5には、このメタルハライドランプ20を図4とは90°ずれた方向から見た概略側面図を、それぞれ示す。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0019】
このメタルハライドランプ20の発光管21は、透光性のアルミナにより形成されたもので、両端がテーパ状に細くなった直円筒状に形成された本体部22と、この本体部22の両端に気密的に設けられた一対の細管部23とを備える。細管部23の内部には、先端部にコイルを巻回した電極E、Eと、この電極E、Eにそれぞれ接続されたリード24、24が気密的に固定されている。また、発光管21内には、希ガス、金属ハロゲン化物、および水銀が封入されている。
【0020】
リード24、24の端部は、発光管21の外部に延出されている。口金4側のリード24Aは両支持枠片11、11間に渡された固定板13を介して支持フレーム10に連結されている。この固定板13には第1実施形態と同様に始動装置9が連結されており、リード24Aの先端部はこの始動装置9に接続されている。一方、他方のリード24Bは、両支持枠片11、11間に橋渡されたリード線を兼ねる金属製固定部材14を介して支持フレーム10に接続されている。
【0021】
本変形例のように、第1実施形態と同様の支持フレームの構造をメタルハライドランプ20に適用しても、第1実施形態と同様に特定の出射方向のみ照度が落ちてしまうことを回避でき、安定した均斉度を得ることができる。
【0022】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について、図6〜図8を参照しつつ説明する。図6には、本実施形態のナトリウムランプ30の概略側面図を、図7には、このナトリウムランプ30を図6とは90°ずれた方向から見た概略側面図を、それぞれ示す。本実施形態の第1実施形態との相違点は、支持フレーム31における螺旋部34の構造にある。なお、上記実施形態および変形例と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0023】
本実施形態のナトリウムランプ30においても、支持フレーム31は発光管6を挟んで対向位置に配され全体として発光管6の軸線L方向に沿って延びる一対の支持枠片32、32と、この支持枠片32、32を両端でそれぞれ連結する連結枠片33、33とを備え、全体として発光管6および始動装置9を囲う細長い枠状に形成されている。
【0024】
支持枠片33、33の一部は、それぞれ、発光管6の軸線L周りに螺旋状に延びる螺旋部34、34とされている(図8を併せて参照)。一方の支持枠片32Aに設けられる螺旋部34Aは、その巻き始め位置から巻き終わり位置までの間で1周分(360°)ねじられている。また、他方の支持枠片32Bに設けられる螺旋部34Bは、その巻き始め位置が相手側の螺旋部34Aの巻き始め位置に対して発光管6の軸線Lを挟んで対称位置にあり、ここから巻き終わり位置までの間で同じく1周分(360°)ねじられている。すなわち、一対の螺旋部34、34は発光管6の軸線Lを中心軸として軸対称となるように配され、合計で2周巻回されるようになっている。
さらに、この螺旋部34、34の巻き始め位置および巻き終わり位置は、それぞれ発光管6の端部に対応する位置にある。すなわち、一対の電極E、Eにおいて互いに向かい合う側の端部に対応する位置よりも外側(互いに離間する側)に位置している。
【0025】
本実施形態のように、一対の螺旋部34、34の合計の巻回数が2周とされていても、第1実施形態と同様に、特定の出射方向のみ照度が落ちてしまうことを回避でき、安定した均斉度を得ることができる。
【0026】
<変形例2>
変形例2には、第2実施形態と同様の構成の支持フレーム31をメタルハライドランプに適用した場合について説明する。図9には、本変形例のメタルハライドランプ40の概略側面図を、図10には、このメタルハライドランプ40を図9とは90°ずれた方向から見た概略側面図を、それぞれ示す。なお、上記実施形態および変形例と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例のメタルハライドランプ40は、発光管21として変形例1と同様の構成を用いたものであって、その余の構成は第2実施形態と同様である。本変形例のメタルハライドランプにおいても、上記実施形態と同様、特定の出射方向のみ照度が落ちてしまうことを回避でき、安定した均斉度を得ることができる。
【0027】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について、図11〜図13を参照しつつ説明する。図11には、本実施形態のナトリウムランプ50の概略側面図を、図12には、このナトリウムランプ50を図11とは90°ずれた方向から見た概略側面図を、それぞれ示す。本実施形態の第1実施形態との相違点は、支持フレーム51の構造にある。なお、上記実施形態および変形例と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
本実施形態のナトリウムランプ50において、支持フレーム51は、全体として発光管6の軸線L方向に沿って延びる一本の支持枠片52と、この支持枠片52を両端において支持枠片52と直交方向に延びる一対の連結枠片53、53とを備えている。
【0029】
発光管6の2本のリード8、8のうち、口金4側のリード8Aは固定板54を介して支持枠片52に連結されている。この固定板54には、第1実施形態と同様に始動装置9が連結されており、リード8Aの先端部はこの始動装置9に接続されている。この始動装置9は、インナーリード線17、17のうち一方を介してステム3に接続されている。一方、他方のリード8Bは、リード線を兼ねる金属製固定部材55を介して支持枠片52に接続されている。また、一対の連結枠片53、53のうち口金4側と逆側の連結枠片53Aは、支持板56を介して外管部2の内面に固定されている。
【0030】
支持枠片52の一部は、発光管6の軸線L周りに螺旋状に延びる螺旋部57とされている(図13を併せて参照)。この螺旋部57は、その巻き始め位置から巻き終わり位置までのあいだで1周分(360°)ねじられている。さらに、この螺旋部57の巻き始め位置および巻き終わり位置は、それぞれ発光管6の端部に対応する位置にある。すなわち、一対の電極E、Eにおいて互いに向かい合う側の端部に対応する位置よりも外側(互いに離間する側)に位置している。
【0031】
本実施形態のように、支持枠片52を1本しか備えていない支持フレーム51により発光管6が支持される場合であっても、支持枠片52に螺旋部57が設けられていることにより、第1実施形態と同様に、特定の出射方向のみ照度が落ちてしまうことを回避でき、安定した均斉度を得ることができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
ランプとしては、高圧ナトリウムランプ(株式会社ジーエス・ユアサライティング製 NHT180・LS)において、支持フレームの構造を上記第1実施形態(図1および図2参照)に示したのと同様としたものを使用した。
なお、発光管の寸法は外径約9.0mm。シール部を含めた長さは約107mm、電極間距離は約67mm、リードのシール部からの突き出し長さは約7.5mmである。さらに、螺旋部の巻き始め位置と巻き終わり位置は、電極の先端部(互いに向かい合う側の端部)から互いに離間する方向へ約24mmの位置とした。
このランプを用いて、JIS C 8105−3 附属書「照明器具の測光方法」に従って配光測定を行った。なお、ランプの取り付け高さは10m、取り付け角度は5°とし、ランプの取り付け向きは、図1に示された面が下側(道路側)を向くようにした。5°ピッチ×鉛直360°×36断面で各測定点の光度値を測定した。
【0033】
<実施例2>
図2に示された面が下側(道路側)を向くようにした他は、実施例1と同様にして配光測定を行った。
【0034】
<比較例1>
ランプとしては高圧ナトリウムランプ(株式会社ジーエス・ユアサライティング製 NHT180・LS)を使用した。このランプは従来型の支持フレーム、すなわち、螺旋部を有しない直線状の支持枠片を備える支持フレームによって発光管が支持されたものである。
このランプを用いて、実施例1と同様にして配光測定を行った。なお、ランプの取り付け高さは10m、取り付け角度は5°とし、ランプの取り付け向きは支持枠線が発光管の直下(発光管から路面に向かって下ろした鉛直線上)に位置するようにした。
【0035】
<比較例2>
ランプの取り付け向きを、支持枠線が発光管から路面に向かって下ろした鉛直線に対して45°の位置にあるようにした。その他は、比較例1と同様にして配光測定を行った。
【0036】
<結果と考察>
例えば道路照明の場合、路面上の明るさとその明るさのムラが問題となる。明るさは平均照度として評価され、明るさのムラを評価するためには総合均斉度という指標が使用される。ここで均斉度とは、ある面上に存在する照度値のうち、限定された範囲における平均照度値に対する最小照度値をいい、次式(1)で表される。
【0037】
均斉度=Emin/Eave …(1)
(但しEminは最小照度、Eaveは平均照度)
【0038】
最小照度値が小さくなれば、すなわち路面上に他の場所と比べて極端に暗い場所があれば、均斉度は小さくなる。
【0039】
従来の支持フレーム構造をもつランプにおいて、支持枠線が発光管の直下にあるようにランプを取り付けた場合(比較例1)では、ランプの直下に支持枠線の影が生じる。このように、照明器具直下(本来は明るすぎる位置)に影ができ、他の光を必要とする場所には光が届きやすくなる。この場合、均斉度を高いレベルに確保することは容易となる。比較例1における平均照度、最小照度、総合均斉度は以下のようであった。
【0040】
平均照度Eave:11.4 lx
最小照度Emin:6.27 lx
総合均斉度:6.27/11.4=0.55
【0041】
一方、支持枠線が45°位置にあるようにランプを取り付けた場合(比較例2)では、支持枠線の影がランプの直下ではなく側方に分散する。このように、照明器具直下は明るくなり、その他の光を必要とする場所に影ができることとなるため、平均照度と最小照度との差が大きくなり、均斉度が下がる。比較例2における平均照度、最小照度、総合均斉度は以下のようであった。
【0042】
平均照度Eave:11.3 lx
最小照度Emin:5.08 lx
総合均斉度:5.08/11.3=0.45
【0043】
このように、取り付け向きによって得られる均斉度がばらつくこととなる。
【0044】
これに対し、実施例1、2のように支持枠線に螺旋部が設けられているランプを使用した場合、ランプをソケットに対してどのような取り付け向きで取り付けても特定方向に極端な影が生じない構造であるから、取り付け向きによる均斉度のばらつきが小さくなる。実施例1および実施例2における平均照度、最小照度、総合均斉度は以下のようであった。
【0045】
実施例1
平均照度Eave:11.4 lx
最小照度Emin:5.93 lx
総合均斉度:5.93/11.3=0.52
【0046】
実施例2
平均照度Eave:11.3 lx
最小照度Emin:6.21 lx
総合均斉度:6.21/11.3=0.55
【0047】
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記各実施形態および変形例では、螺旋部16、34、57が発光管6、21の軸線L周りに1周または2周(螺旋部が1対の場合は合計で1周または2周)巻回されていたが、螺旋部の巻回数が3周以上であっても構わない。
【0048】
(2)上記各実施形態および変形例では、1本または2本の支持枠片11、32、52を備える支持フレーム10、31、51によって発光管6、21が支持されていたが、例えば3本またはそれ以上の支持辺部を備える支持部によって発光管が支持されていても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1実施形態のナトリウムランプの概略側面図
【図2】第1実施形態のナトリウムランプを図1とは90°ずれた方向から見た概略側面図
【図3】第1実施形態の支持フレームの側面図
【図4】変形例1のメタルハライドランプの概略側面図
【図5】変形例1のメタルハライドランプを図4とは90°ずれた方向から見た概略側面図
【図6】第2実施形態のナトリウムランプの概略側面図
【図7】第2実施形態のナトリウムランプを図6とは90°ずれた方向から見た概略側面図
【図8】第2実施形態の支持フレームの側面図
【図9】変形例2のメタルハライドランプの概略側面図
【図10】変形例2のメタルハライドランプを図9とは90°ずれた方向から見た概略側面図
【図11】第3実施形態のナトリウムランプの概略側面図
【図12】第3実施形態のナトリウムランプを図11とは90°ずれた方向から見た概略側面図
【図13】第3実施形態の支持フレームの側面図
【符号の説明】
【0050】
1、30、50…ナトリウムランプ(高圧放電ランプ)
20、40…メタルハライドランプ(高圧放電ランプ)
2…外管部
6、21…発光管
10、31、51…支持フレーム(支持部)
11、32、52…支持枠片(支持辺部)
16、34、57…螺旋部
L…軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管部と、
前記外管部の内部に設けられる発光管と、
前記発光管の内部に設けられる一対の電極と、
前記外管部の内部で前記発光管を支持する支持部と、を備え、
前記支持部には前記発光管の軸線方向に沿って延びる支持辺部が備えられ、この支持辺部には前記発光管の軸線周りに螺旋状に延びる螺旋部が設けられ、
前記螺旋部が、前記軸線周りに略整数週巻回されており、
かつ、この螺旋部の巻き始め位置および巻き終わり位置が前記一対の電極において互いに向かい合う側の端部に対応する位置かそれよりも外側位置にある高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記外管部が透明である、請求項1に記載の高圧放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−323902(P2007−323902A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151609(P2006−151609)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(304021440)株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション (461)
【Fターム(参考)】