説明

高圧気体供給装置

【課題】従来の高圧気体供給装置は、内圧を高圧と低圧に交互に切り替える関係上、硬質の2重構造からなるものや、全体を耐圧性と非通気性を有する実質的に一層の厚みのあるEVA樹脂等からなる可撓性のものが知られているが、相当の強度と厚みが必要であり、折り畳みが容易でない、重量のある構造となり、持ち運んで任意の場所で使用するには重くてかさばりやすい課題があった。
【解決手段】通気性と折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体に対して耐圧性を有する外側袋体1と、折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体に対して非通気性を有する内側袋体10からなり、両袋体には、内側袋体を外側袋体で覆った状態で加圧源から高圧気体を送り込むことが可能な加圧機構を設け、加圧状態で内側袋体の形状を外側袋体が維持可能に設けてなる高圧気体供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧よりも高い圧力で空気より酸素濃度の濃い気体を人又は動物に供給して、心身の疲労の回復、美容および健康の増進、新陳代謝の増進によるダイエット効果、生活習慣病の予防、視力の回復向上等を期待することができる高圧気体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明のアクリル樹脂製の2重構造からなる治療室を患者出入り用の開閉扉を閉じた状態で気密にして、室内ガス状態をヘリウムと酸素を主成分とする混合ガス状態に保持しうる保持手段と、治療室内の内圧を高圧と低圧に交互に切り替えうる切り替え手段を備えた高圧酸素治療装置は知られている(特許文献1参照。)。
また、同様に治療室内の内圧を高圧と低圧に交互に切り替えうる切り替え手段を備え、全体が非通気性のEVA樹脂、ウレタン、ナイロン、塩化ビニルからなる一体の可撓性のチャンバからなる高気圧式酸素供給装置において、出入口を2重構造にしてなる高圧気体供給装置は知られている(特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平8−154982号公報
【特許文献2】特開2004−275706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の硬質のアクリル樹脂製の2重構造からなる治療室は、耐圧強度は勿論、封入性も2重扉で十分に維持されるが、持ち運んで任意の場所で使用するには大型すぎる課題がある。
また、特許文献2の治療室内の内圧を高圧と低圧に交互に切り替えうる切り替え手段を備え、全体が非通気性のEVA樹脂、ウレタン、ナイロン、塩化ビニルからなる一体の可撓性のチャンバは、出入口を2重構造にして、外側は引っ張り強度の高いファスナー、内側は気密性の高い気密ファスナーにして、内側の気密ファスナーに膨張力を働かないようにして気密性を向上させている。
【0004】
しかし、外側のファスナー及びその周辺の外側構造部分には2重構造以外の一層構造部分と同様の引っ張り力が加わり、これに対抗する必要があり、2重構造部分の外側構造部分は一層構造部分と同じ強度が要求されることとなるから、可撓性があるとはいえ、全体が一層構造で非通気性のEVA樹脂、ウレタン、ナイロン、塩化ビニル、ゴムからなるチャンバとしては、相当の強度と厚みが必要であり、折り畳みが容易でない、重量のある構造となり、持ち運んで任意の場所で使用するには重くてかさばりやすい課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、請求項1に記載のように、通気性と折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体の内圧に対して耐圧性を有する外側袋体と、折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体に対して非通気性を有する内側袋体からなり、両袋体には、内側袋体を外側袋体で覆った状態で加圧源から高圧気体を送り込むことが可能な加圧機構を設けると共に利用者が出入り可能且つ高圧気体を封入可能な出入口を設け、封入加圧状態で内側袋体の形状を外側袋体が維持可能に設けてなる高圧気体供給装置を提供するものである。
なお、本願発明において、高圧気体とは装置の周囲の気体より高圧な気体を意味するものである。
【0006】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載の高圧気体供給装置において、外側袋体が織物からなる高圧気体供給装置を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1又は2に記載の高圧気体供給装置において、外側袋体が網状体からなる高圧気体供給装置を提供するものである。
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1乃至3のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、外側袋体が透視窓部を有する高圧気体供給装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、内側袋体が合成樹脂製の膜状体からなる高圧気体供給装置を提供するものである。
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項5に記載の高圧気体供給装置において、内側袋体がビニール樹脂からなる高圧気体供給装置を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項5又は6に記載の高圧気体供給装置において、内側袋体が透明又は半透明の合成樹脂製の膜状体からなる高圧気体供給装置を提供するものである。
また、本発明は、請求項8に記載のように、請求項1乃至7のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、両袋体には出入口に開閉可能なファスナーが設けてあり、外側袋体の前記ファスナーとして内側袋体に比較して通気性および耐圧性の大きい耐圧性ファスナーを設けると共に、内側袋体の前期ファスナーとしては外側袋体に比較して耐圧性および通気性の少ない微通気性を有する微通気性ファスナーを設けてなる高圧気体供給装置を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、請求項9に記載のように、請求項8に記載の高圧気体供給装置において、内側袋体の微通気性ファスナーがファスナー全体に渡ってほぼ均等な微通気性を有する高圧気体供給装置を提供するものである。
また、本発明は、請求項10に記載のように、請求項8又は9に記載の高圧気体供給装置において、加圧機構の加圧源から高圧気体を微通気性ファスナーの通気性を補って供給してなる高圧気体供給装置を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、請求項11に記載のように、請求項1乃至10のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、外側袋体のファスナーと内側袋体のファスナーとが直接に接しないように設けてある高圧気体供給装置を提供するものである。
また、本発明は、請求項12に記載のように、請求項11に記載の高圧気体供給装置において、外側袋体と内側袋体のファスナーとの間に非通気性の膜体を設けてなる高圧気体供給装置を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、請求項13に記載のように、請求項1乃至12のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、内側袋体と外側袋体とに合致する貫通孔を設け、貫通孔に嵌合するパイプ状の連結部材によって内外の袋体を組み立て可能に設けると共に、連結部材によって加圧源からの高圧気体を供給してなる高圧気体供給装置を提供するものである。
また、本発明は、請求項14に記載のように、請求項13に記載の高圧気体供給装置において、連結部材によって内側袋体内の高圧気体を排出制御してなる高圧気体供給装置を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、請求項15に記載のように、請求項13又は14に記載の高圧気体供給装置において、連結部材によって内側袋体内の酸素濃度、気圧、温度、湿度等の袋体内の気体検出機構を設けてなる高圧気体供給装置を提供するものである。
また、本発明は、請求項16に記載のように、請求項1乃至15のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、内側袋体内に利用者が寝そべることができる枕、敷物を収容してなる高圧気体供給装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る高圧気体供給装置によれば、請求項1に記載のように、通気性と折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体の内圧に対して耐圧性を有する外側袋体と、折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体に対して非通気性を有する内側袋体からなり、両袋体には、内側袋体を外側袋体で覆った状態で加圧源から高圧気体を送り込むことが可能な加圧機構を設けると共に利用者が出入り可能且つ高圧気体を封入可能な出入口を設け、封入加圧状態で内側袋体の形状を外側袋体が維持可能に設けてなる構成を有することより、外側袋体は通気性と柔軟性がある丈夫な布や網状の生地から製作できるから、素材の選択の余地が大きいと共に軽量で小さく折り畳んで移動することが容易にできる一方、内側袋体としては耐圧性は要求されない柔軟な比較的薄い膜状の非通気性の合成樹脂素材等から製作することができるから、外側袋体と同様に軽量で小さく折り畳んで移動することが容易にできる効果がある。
また、更に、個々に折り畳んで運んだ後で外側袋体の出入口から内袋体を収容して内側袋体を膨らませることによって、外側袋体と共に装置を容易に組み立てることができる効果がある。
【0015】
また、本発明は、請求項2に記載のように、請求項1に記載の高圧気体供給装置において、外側袋体が織物からなる構成を有することより、軽量、柔軟で強度の大きい外側袋体を得られる効果がある。
【0016】
また、本発明は、請求項3に記載のように、請求項1又は2に記載の高圧気体供給装置において、外側袋体が網状体からなる構成を有することより、軽量、柔軟で強度の大きい外側袋体を得られる効果がある。
また、本発明は、請求項4に記載のように、請求項1乃至3のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、外側袋体が透視窓部を有する構成を有することより、内外から反対側を観察することができる効果がある。
【0017】
また、本発明は、請求項5に記載のように、請求項1乃至4のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、内側袋体が合成樹脂製の膜状体からなる構成を有することより、非通気性、耐圧性があり、軽量で小さく折り畳んで移動することが容易にできる内側袋体を得られる効果がある。
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項5に記載の高圧気体供給装置において、内側袋体がビニール樹脂からなる構成を有することより、内外から反対側を透視できる透明性があり、非通気性、耐圧性があり、軽量で小さく折り畳んで移動することが容易にできる内側袋体を得られる効果がある。
また、本発明は、請求項7に記載のように、請求項5又は6に記載の高圧気体供給装置において、内側袋体が透明又は半透明の合成樹脂製の膜状体からなる構成を有することより、窓を設けることなく内外から反対側を透視できる効果がある。
【0018】
また、本発明は、請求項8に記載のように、請求項1乃至7のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、両袋体には出入口に開閉可能なファスナーが設けてあり、外側袋体の前記ファスナーとして内側袋体に比較して通気性および耐圧性の大きい耐圧性ファスナーを設けると共に、内側袋体の前期ファスナーとしては外側袋体に比較して耐圧性および通気性の少ない微通気性を有する微通気性ファスナーを設けてなる構成を有することより、外側袋体のファスナーは非通気性がなくても耐圧性に優れればよく、内側袋体のファスナーは微通気性によって自らの耐圧性を緩和することができる効果がある。
【0019】
また、本発明は、請求項9に記載のように、請求項8に記載の高圧気体供給装置において、内側袋体の微通気性ファスナーがファスナー全体に渡ってほぼ均等な微通気性を有する構成を有することより、微通気性によるファスナー全体の耐圧性を緩和することができると共に、均等な微通気性により排気音を微弱にして、集中的な排気音による不快感を緩和することができる効果がある。
また、本発明は、請求項10に記載のように、請求項8又は9に記載の高圧気体供給装置において、加圧機構の加圧源から高圧気体を微通気性ファスナーの通気性を補って供給してなる構成を有することより、高圧気体状態を維持しながら微通気ファスナーによって換気することができる効果がある。
【0020】
また、本発明は、請求項11に記載のように、請求項1乃至10のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、外側袋体のファスナーと内側袋体のファスナーとが直接に接しないように設けてある構成を有することより、互いにファスナーの開閉を阻害しない効果がある。
また、本発明は、請求項12に記載のように、請求項11に記載の高圧気体供給装置において、外側袋体と内側袋体のファスナーとの間に非通気性の膜体を設けてなる構成を有することより、内側袋体のファスナーが非通気性の膜体を介して外側袋体に密着し、非通気性を増強する効果がある。
【0021】
また、本発明は、請求項13に記載のように、請求項1乃至12のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、内側袋体と外側袋体とに合致する貫通孔を設け、貫通孔に嵌合するパイプ状の連結部材によって内外の袋体を組み立て可能に設けると共に、連結部材によって加圧源からの高圧気体を供給してなる構成を有することより、内側袋体と外側袋体とを貫通孔に嵌合するパイプ状の連結部材によって内外の袋体を容易に組み立てることができると共に、連結部材によって加圧源からの高圧気体を内側袋体内に供給して一体に装置を膨張することができる効果がある。
また、本発明は、請求項14に記載のように、請求項13に記載の高圧気体供給装置において、連結部材によって内側袋体内の高圧気体を排出制御してなる構成を有することより、装置を組み立てる連結部材を利用して装置の気圧や換気を制御することができる効果がある。
【0022】
また、本発明は、請求項15に記載のように、請求項13又は14に記載の高圧気体供給装置において、連結部材によって内側袋体内の酸素濃度、気圧、温度、湿度等の袋体内の気体検出機構を設けてなる構成を有することより、装置を組み立てる連結部材を利用して装置内の酸素濃度、気圧、温度、湿度を検出して制御することができる効果がある。
また、本発明は、請求項16に記載のように、請求項1乃至15のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、内側袋体内に利用者が寝そべることができる枕、敷物を収容してなる構成を有することより、膨張した内側袋体内で利用者が容易に寝そべることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下図示する実施例のより本発明を説明する。
【実施例1】
【0024】
図1に記載の実施例において、1は通気性と折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体の内圧に対して耐圧性を有する外側袋体で、帆布、ナイロンの強化繊維を含む織物、網状体等の軽量で引っ張り強度の大きい素材からなり、中に人が横臥して入れる横長胴部2と前後面部3で封鎖した横長筒状体の形状をなしている。
【0025】
横長胴部2の上面には長手方向にファスナー5によって開閉する出入口が設けてある。6は出入口の両側に長手方向に設けた布状の補強材である。なお、補強材6は横長胴部2の下面にも対象的に設けてある。
また、図では省略したが、横長胴部2の人間が横臥したときに顔の横に位置する側面部に、耐圧性の透明合成樹脂からなる透視窓部を設けてある。
前後面部3は前面と後面とが同じ円形状からなると共に、実質的に横長胴部2と同じ素材からなり、実施例の場合、図5に記載のように、前後面部3の周縁部と横長胴部2の端部とを引っ張り強度の大きいナイロンの強化繊維等からなる糸状の連結固定部材4によって一体に固定してあり、内圧を受けてほぼ球状に膨らむこととなる。
【0026】
図2において、10は折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体に対して非通気性を有する内側袋体で、実施例の場合、透明又は半透明の薄いビニール樹脂等の合成樹脂材からなり、窓を設けることなく内外から反対側を透視できると共に、軽量で小さく折り畳んで移動することができる。
内側袋体10は外側袋体1に比較してやや大きめな形状からなり、横長胴部11と前後面部12とは同一素材の合成樹脂を熔着して一体に連結してある。また、横長胴部11の上面には外側袋体1と同様にファスナー13で開閉する出入口が設けてある。
【0027】
内側袋体10の一前後面部12と外側袋体1の一前後面部3には、組み立て時にほぼ一致する位置に任意個数の貫通孔14、7が設けてある。 また、貫通孔14、7の周囲には密着して高い気密性が得られる合成樹脂膜等からなる補強枠材15を一体に設け、貫通孔14,7に強度的な厚みを付与する共に、同時に締め付け時にパッキング効果を付与するように構成してある。
【0028】
また、柔軟な外側袋体1のファスナー5を開いて、柔軟な内側袋体10をその中に収容し、前記貫通孔14,7を合致させて嵌合するパイプ状の連結部材20によって内外の袋体10,1を組み立て可能に設け、連結部材20によって加圧源からの高圧気体を供給するように構成してあり、内側袋体1と外側袋体10とを貫通孔14、7に嵌合するパイプ状の連結部材20によって内外の袋体を組み立てることができると共に、連結部材20によって加圧源からの高圧気体を内側袋体10内に供給して一体に装置を膨張することができる。
【0029】
また、連結部材20は、図5又は図6に記載のごとく、中央に雌ネジ付きの連結孔22を有する連結ボルト部21の頭部を内側袋体10の内側にしてボルトネジ部23を貫通孔14、7に通し、次いで、外側袋体1の外側からパッキング24を介して連結ナット部25をボルトネジ部23にねじ込み、強固に締め付けて連結部材20を貫通孔14、7に固定し、連結孔22の雌ネジ部にパイプ状の接続管部材26の雄ネジ部27を気密を維持するまで螺合して、貫通孔14、7への取り付けが完了する。
この作業を、実施例では4個所で行うことによって、内側袋体10と外側袋体1とを連結して組み立て、接続管部材26に、図では省略した加圧源からの高圧気体の充填用パイプ、充填後の空気循環用の排気パイプ、装置内の酸素濃度、気圧、温度、湿度等の検出装置、使用後の排気パイプを取り付けて、本発明装置の使用準備は完了する。
【0030】
内側袋体10内に利用者と共に利用者が寝そべることができる敷物や頭部を保護する枕等を収容して内側のファスナー13を閉じ、空気より酸素濃度のやや濃い高圧気体の充填を開始し、内側袋体10が、図3に記載のようにある程度の形をなす大きさに膨らんだところで外側袋体1のファスナー5を閉じて、図4に記載のように、内側袋体1内の気圧が周囲の大気圧より高い所定の圧力に達するまで膨張させ、その後、利用者の様子を観察しながら、また、希望を聞きながら、所定時間経過するまで、所定の酸素濃度と気圧、温度、湿度を制御する。
なお、気体の酸素濃度は、体に負担をかけない15%以上40%未満で、30〜35%が好ましく、高圧時の気圧は1.2気圧から1.3気圧で、好ましくは1.22気圧乃至1.25気圧が好ましい。
【0031】
図4の装置の膨張状態において、内側袋体10はその非通気性により充填される気体を密封して膨張状態に向かって幾らでも膨らもうとする状態にあるが、通気性があり耐圧性の外側袋体1は、図3で示す内外袋体の中間に存在する空気8を間に閉じ込めることなく外側袋体1から外気に自由に放出し、内側袋体10の膨張力に抗して横長円筒形状を維持し、前後面部3が球形状に膨らむ程度で、内側袋体10を内側に密着した状態で押し込め、装置外形を維持することとなる。
【0032】
従って、内側袋体10は、内圧を受けて膨張した状態で外側袋体1より大きくなる膨張性を備えればよいから、単に内圧を受けない状態で外側袋体1より大きい条件を満たす場合だけではなく、内圧を受けない状態では外側袋体1より容量は小さいが、内圧を受けて膨張した状態では外側袋体1より大きくなる伸縮性又は伸展性を有する袋体であってもよいことになる。
そして、この場合、内側袋体10は膨張の途中の状態で外側袋体1に密着して膨張を止めた状態であるから、内側袋体のファスナー13は周囲の袋体部分から強い引っ張り力を受けない状態に維持されることとなる。
【0033】
外側袋体1のファスナー5は内側袋体1の膨張力を保持する耐圧性を必要とし、内側袋体10のファスナー13は、内部の周囲より高い所定の圧力に空気を閉じ込めた状態に維持する所定の非通気性を必要とする。この所定の非通気性を本発明では微通気性と称する。
また、外側袋体1のファスナー5は、外側袋体1が通気性を有することにより、従来のように袋体が非通気性の場合に比較して、内側袋体10との間の空気8を排出するための通気性を必須の条件としないから、通気性に関して自由な構成のファスナーを採用することができる。
【0034】
本発明実施例の場合、内側袋体10のファスナー13としては、外側袋体に比較して耐圧性および通気性の少ない微通気性を有する微通気性ファスナー13を設けてある。
即ち、外側袋体1のファスナーは非通気性があってもなくても耐圧性に優れればよいのに対して、内側袋体10のファスナー13は微通気性によって自らの耐圧性を緩和することができる。
【0035】
そして、内側袋体10の微通気性ファスナー13がファスナー全体に渡ってほぼ均等な微通気性を有する構成にすることより、微通気性によるファスナー全体の耐圧性を緩和することができると共に、均等な微通気性により排気音を微弱にして、ファスナー両端部や隙間からの集中的な排気音による不快感を緩和することができる。
また、この場合、加圧機構の加圧源から高圧気体を微通気性ファスナー13の通気性を補って供給することより、高圧気体状態を維持しながら微通気ファスナー13によって内部空気の換気をすることができる。
また、本発明は、外側袋体1のファスナー5と内側袋体10のファスナー13とが直接に接しないように設けてあることより、互いにファスナーの開閉を阻害しないように構成してある。9,16はそれぞれファスナー5,13のスライダ取っ手である。
【0036】
この場合、外側袋体1のファスナー5と内側袋体10のファスナー13との配設位置をお互いが重なり合わない位置に外して設けることもできるが、実施例の場合、図3又は図4に記載のように、外側袋体1と内側袋体10のファスナー5,13の間に、長手方向に沿って、隔膜体17を設けてある。隔膜体17は外側袋体1のファスナー5の下側に沿って長手方向にファスナー5の両側から2重に延設してあり、それぞれ相対するファスナー5,13に相対するように設けてある。
【0037】
また、この実施例の場合、隔膜体17は非通気性の膜体からなり、内側袋体10のファスナー13が非通気性の膜体を介して外側袋体1に密着し、非通気性を増強するように構成してある。
なお、隔膜体17はファスナー13の上側に内側袋体10に設けることも可能であり、この場合、ファスナー13のスライダ取っ手16を隔膜体17が覆って外側から操作しにくくなる。しかし、ファスナー5,16の配設位置をお互いが重なり合わない位置に外して設ける場合には、ファスナー13が隔膜体17を介して外側袋体1に密着するから、ファスナー13の気密性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明装置の一実施例の要部を示す概略斜視図。
【図2】その一実施例の他の要部を示す概略斜視図。
【図3】図1の実施例の要部の一使用態様を縦断して示す概略縦断面図。
【図4】図1の実施例の要部の他の使用態様を縦断して示す概略縦断面図。
【図5】図1の実施例の一部の断面を示す概略断面図。
【図6】その一部を取り出して分解して示す概略分解斜視図。
【符号の説明】
【0039】
1 外側袋体
2 横長胴部
3 前後面部
4 連結固定部材
5 ファスナー
6 補強材
7 貫通孔
8 空間
9 スライダ取っ手
10 内側袋体
11 横長胴部
12 前後面部
13 微通気性ファスナー
14 貫通孔
15 補強枠材
16 スライダ取っ手
17 隔膜体
20 連結部材
21 連結ボルト部
22 連結孔
23 ボルトネジ部
24 パッキング
25 連結ナット部
26 接続管部材
27 雄ネジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性と折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体の内圧に対して耐圧性を有する外側袋体と、折り畳み可能な柔軟性を有すると共に高圧気体に対して非通気性を有する内側袋体からなり、両袋体には、内側袋体を外側袋体で覆った状態で加圧源から高圧気体を送り込むことが可能な加圧機構を設けると共に利用者が出入り可能且つ高圧気体を封入可能な出入口を設け、封入加圧状態で内側袋体の形状を外側袋体が維持可能に設けてなる高圧気体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高圧気体供給装置において、外側袋体が織物からなる高圧気体供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高圧気体供給装置において、外側袋体が網状体からなる高圧気体供給装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、外側袋体が透視窓部を有する高圧気体供給装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、内側袋体が合成樹脂製の膜状体からなる高圧気体供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の高圧気体供給装置において、内側袋体がビニール樹脂からなる高圧気体供給装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の高圧気体供給装置において、内側袋体が透明又は半透明の合成樹脂製の膜状体からなる高圧気体供給装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、両袋体には出入口に開閉可能なファスナーが設けてあり、外側袋体の前記ファスナーとして内側袋体に比較して通気性および耐圧性の大きい耐圧性ファスナーを設けると共に、内側袋体の前期ファスナーとしては外側袋体に比較して耐圧性および通気性の少ない微通気性を有する微通気性ファスナーを設けてなる高圧気体供給装置。
【請求項9】
請求項8に記載の高圧気体供給装置において、内側袋体の微通気性ファスナーがファスナー全体に渡ってほぼ均等な微通気性を有する高圧気体供給装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の高圧気体供給装置において、加圧機構の加圧源から高圧気体を微通気性ファスナーの通気性を補って供給してなる高圧気体供給装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、外側袋体のファスナーと内側袋体のファスナーとが直接に接しないように設けてある高圧気体供給装置。
【請求項12】
請求項11に記載の高圧気体供給装置において、外側袋体と内側袋体のファスナーとの間に非通気性の膜体を設けてなる高圧気体供給装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、内側袋体と外側袋体とに合致する貫通孔を設け、貫通孔に嵌合するパイプ状の連結部材によって内外の袋体を組み立て可能に設けると共に、連結部材によって加圧源からの高圧気体を供給してなる高圧気体供給装置。
【請求項14】
請求項13に記載の高圧気体供給装置において、連結部材によって内側袋体内の高圧気体を排出制御してなる高圧気体供給装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の高圧気体供給装置において、連結部材によって内側袋体内の酸素濃度、気圧、温度、湿度等の袋体内の気体検出機構を設けてなる高圧気体供給装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の高圧気体供給装置において、内側袋体内に利用者が寝そべることができる枕、敷物を収容してなる高圧気体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−212261(P2008−212261A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51052(P2007−51052)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(505273763)有限会社テイクハート (2)
【Fターム(参考)】