説明

高圧測定可能な示差走査型熱量計及びそれを用いた示差走査型熱流計装置

【課題】
高圧下で圧力を走査させた場合であっても高感度で測定を行う示差走査型熱量計、及び圧力走査のレスポンスが速い示差走査型熱流計装置を提供すること。
【解決手段】
筒状の側壁部材と、該側壁部材に固定される台座部材と、からなる金属フレームと、該金属フレームにおける台座部材の表裏面のそれぞれに配置される一対の半導体熱電素子と、金属フレームの側壁部材の開口部分を覆う一対の金属キャップと、を有することを特徴とする示差走査型熱量計とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は示差走査型熱量計及びそれを用いた示差走査型熱量計装置に関し、特に、高温下での熱流束の測定に好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧下で測定可能な示差走査型熱量計装置(DSC:Differential Scanning Calorimetry)は様々な会社で市販されているが、それらが加えることのできる圧力は最高でも100気圧程度までであり、ポリマーなどを調べるためにはより高圧(〜5000気圧)が必要であると考えられている。また、市販のDSCでは測定中に圧力を走査させて測定するものはない。
【0003】
一方で、高圧下での微小熱量の測定が可能なDSCとしては、市販されている示差走査型熱量計装置を改良し、約5000気圧まで圧力を加えることができるものが下記非特許文献1に記載されている。また100気圧以下であるが、市販されている示差走査型熱量計装置を改良し、圧力の走査を可能とした装置が下記非特許文献2に記載されている。
【0004】
なお一方で、溶液中の生体高分子や水和物・溶媒和物などの分析では圧力を変化させることによる体積変化や、構造変化による熱量変化を分解能よく測定することが要求されており、その例として、圧力走査を行うことができない装置において、測定毎に圧力の値を変えてメタンハイドレートの共晶点を探る試みが下記非特許文献3に記載されている。
【0005】
【非特許文献1】G.W.Hohne、Thermochim.Acta、1992年、332巻、115−123頁
【非特許文献2】S.L.Randzio、J.Phys.E:Sci.Instrum、1983年、16巻、691−694頁
【非特許文献3】D.Dalmazzone et al.、Am.Mineral、2004年、89巻、1183−1191頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記非特許文献1、2に記載の技術では、試料を保持する熱量計として市販品に少しの改良を加えたものに過ぎず、圧力変化等に十分な対応可能な構造とはいえず圧力変化に対する安定性において課題を有し、感度が不十分である。また、非特許文献2に記載の技術においては、上記の課題を有しているのみならず、DSCとしては圧力走査を圧力媒体の温度変化に伴う体積膨張を用いて行っているためにレスポンスが遅い、という課題も有する。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決し、高圧下で圧力を走査させた場合であっても高感度で測定を行う示差走査型熱量計、及び圧力走査のレスポンスが速い示差走査型熱流計装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明に係る示差走査型熱量計は、筒状の側壁部材と、該側壁部材に固定される台座部材とからなる金属フレームと、金属フレームにおける台座部材の表裏面のそれぞれに配置される一対の半導体熱電素子と、金属フレームの側壁部材の開口部分を覆う一対の金属キャップと、を有することを特徴とする。本示差走査型熱量計によると、金属フレームの台座部材の表裏に半導体熱電素子を配置することで、二つの間の温度差等の差をより少なくすることができるため高感度化することができ、更に、表裏に配置することで設置面積を少なくすることができる。このようにすることで高圧下であっても配置可能な程度に小さくすることができ、高感度な示差走査型熱量計を実現することができるようになる。
【0009】
また本示差走査型熱量計は、金属フレームの台座部材において、側壁部材近傍の厚さが、半導体熱電素子が配置される部分における厚さよりも薄いことが望ましい。このようにすることで、側壁部材近傍における台座部材が熱抵抗となり、半導体熱電素子が配置される台座部分の熱の側壁部材側への漏洩を少なくすることができ、より安定的な示差走査型熱量計を実現することができる。なおこの場合において、半導体熱電素子が配置される台座部分と側壁部材近傍における台座部分の厚さの差としては、特段制限はないが、1mm以上3mm以下であることがより望ましい。
【0010】
また本示差走査型熱量計は、金属フレームの側壁部材の内周側に、断熱材を配置してなることが望ましい。これにより、示差走査型熱量計内部の半導体熱電素子周辺の温度をより均一に保つことができるようになる。更に、この断熱材は、セラミックス多孔質材であることがより望ましい。多孔質のセラミックスとすることで、圧力が変化した場合であっても、圧力媒体がセラミック中を浸透しやすく、示差走査型熱量計内部の圧力媒体の圧力変化もすばやく応答させることができ、高感度な示差走査型熱量計を実現することができる。
【0011】
また本示差走査型熱量計は、金属フレーム周囲に配置される熱量計用ヒーターを有することがより望ましい。このようにすることで、半導体熱電素子に配置される測定試料近傍の温度を精度良く調整することができるようになる。
【0012】
また、上記の示差走査型熱量計と、示差走査型熱量計を内部に配置可能な高圧容器と、この高圧容器に配管を通して接続され、高圧容器内部に圧力媒体が充填された場合に圧力媒体の圧力を調整可能な高圧ポンプと、を有する示差走査型熱量計装置が実現できる。
【発明の効果】
【0013】
以上本発明は、圧力や熱流の安定性が高く、しかも圧力走査のレスポンスが速く、高圧下での測定を高感度で行うことができる示差走査型熱量計及びそれを用いた示差走査型熱流計装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係る示差走査型熱量計(以下単に「本熱量計」ともいう。)及びそれを用いた示差走査型熱量計装置(以下「本装置」ともいう。)を示す断面図である。
【0016】
本装置は示差走査型熱量計1と、示差走査型熱量計1を設置可能な内部空間を有する高圧容器2と、高圧容器2の内部空間に配管3を介して接続し高圧容器2の圧力を制御する圧力ポンプ4と、有して構成されている。本装置は高圧容器2の内部空間に圧力媒体を充填すると共にその中に測定対象試料を保持する示差走査型熱量計1を配置し、圧力ポンプ4により圧力を制御しつつ示差走査の熱量の測定を行うものである。
【0017】
高圧容器2は、内部空間の圧力を一定に保つための容器であって、高圧にした場合であっても十分耐えられる程度の強度を有する。材質については特段に制限されるものではないが例えば5000気圧程度の高圧であっても耐えられるようなものが好ましく、例えばステンレス等の材質が好適である。形状については、示差走査型熱量計1を配置することができる限りにおいて限定は無いが、本装置における高圧容器2の形状は圧力を均一にする観点及び強度の観点から、内部に空間を有する円筒形状であることが望ましい。なお本高圧容器2は、高圧容器の下部に底部21が形成され側部22と一体に形成されており、上端は示差走査型熱量計1を配置した後蓋部材23により密封可能となるよう構成されている。なお蓋部材23にはこれを貫通する配線管231が設けられており、示差走査型熱量計1から延びる配線を高圧容器2の外部へと導くことができる。
【0018】
高圧容器2の内部空間には測定の際、圧力を調整するための圧力媒体が充填されるが、内部空間には配管3を介して圧力ポンプ4が接続されており、この圧力ポンプ4によって内部空間の圧力を制御する。圧力媒体には特段の制限は無く、気体、液体いずれであっても良く、安全性と応答性との観点から液体、特にシリコンオイル等が望ましい。圧力ポンプ4は、シリンダ41と、このシリンダ41内を摺動して配管3を介して高圧容器2に圧力媒体を押し出すポンプ本体42と、シリンダ41とポンプ本体42との間に配置されポンプ本体42の摺動を規制するベローズ43と、を有して構成されている。
【0019】
また、高圧容器2の周囲には高圧容器用ヒーター5が巻きつけられており、高圧容器2の内部空間に充填される圧力媒体の温度を一定に保つ。なお高圧容器用ヒーター5の温度調節はこれに接続される高圧容器用温度計51を用いて行う。高圧容器用温度計51については特段の制限はないが、白金抵抗温度計が好適である。
【0020】
次に示差走査型熱量計1について説明する。図2に本熱量計についての断面図を、図3に本熱量計における半導体熱電素子14を上部から見た場合の俯瞰図をそれぞれ示す。
【0021】
示差走査型熱量計1は、円筒形状の側壁部材111及び側壁部に固定される台座部材112を有する金属フレーム11と、この金属フレーム11の側壁部材111における上端部分及び下端部分を覆うよう配置される金属キャップ12及び13と、この金属フレーム11の台座部材112に設置される二つの半導体熱電素子14、15と、金属フレーム11の外周に配置される熱量計用ヒーター16と、を少なくとも有して構成されている。測定試料17及び参照試料18は、二つの半導体熱電素子14、15のそれぞれに設けられる固定部材141、151とワイヤー142、152とを用いて固定される。
【0022】
金属フレーム11の形状は上述したとおりであり、材質として特段限定はされないが、測定試料の温度を効率よく制御する観点から熱伝導性の良い材質が好ましく、例えば銅などの材質を用いることができる。また金属フレーム11の台座部112は円筒形状の中心軸近傍では台座部の厚さを厚く、一方側壁部近傍では厚さを薄くしている。このような構成を採用することにより、薄い部分では熱抵抗としての役割を果たすことができる。また、金属フレーム11において、側壁部材111と台座部材112とは一体に構成されている。なお、金属フレーム11には半導体熱電素子14、15等から出る配線等を熱量計外部へ引き出すための孔113が適宜設けられている。またこの孔113を設けることで、高圧容器2の内部と示差走査型熱量計の内部空間との圧力を等しくさせることができ、圧力変化への応答を速くする。
【0023】
金属キャップ12、13は金属フレーム11の側壁部材111の開口両端を閉じるためのキャップであって、これにより金属フレーム11内の空間における熱的外乱をおさえることができ温度の安定性を向上させることができる。金属キャップ12、13の材質としては特段制限ないが、金属フレーム11との熱伝導の関係から、金属フレーム11と同様な材質であることが好ましい。また、金属フレーム11と同様、金属キャップ12、13には半導体熱電素子14、15や熱量計用温度計16の配線を外部へ引き出すための孔121、131が適宜設けられている。なお金属フレーム11の孔113や金属キャップ12、13の孔121、131から引き出された配線は、高圧容器2における蓋部材23を貫通した配線管231(図1参照)を介して高圧容器外部に引き出され、各制御装置に接続されている。
【0024】
金属キャップ12、13と金属フレーム11とで形成される内部空間には、熱的外乱の影響を防ぐため、セラミックス多孔質材19が断熱材として充填されている。セラミック多孔質材とすることで、圧力媒体が断熱材内を透過しやすくし、圧力変化により高速に応答させることが可能となる。
【0025】
半導体熱電素子14、15は、複数の熱電素子を直列結合したものであって、直流電流を流すことにより加熱・冷却を行うことができる素子をいい、逆に加熱などの温度差により電流が流れる素子をいう。本実施形態に係る示差走査型熱量計装置では測定試料17又は参照試料18をこの半導体熱電素子14、15に配置することで測定試料17と参照試料18との間の温度差を電流として検出することができ、高精度な熱量変化を検出することができる。また半導体熱電素子14、15は、金属フレーム11の台座部材112において表裏対称となるようそれぞれ配置されている。一方の半導体熱電素子14には測定試料17を、もう一方の半導体熱電素子15には参照試料18を配置する。本熱量計ではこのように複数の半導体熱電素子を採用することにより、半導体熱電素子の熱起電力の差を検出し、それに基づいて測定試料に流れる熱流束、更に測定試料の相転移などに起因する発熱量又は吸熱量を求めることができる。特に、金属フレーム11の台座部材112において表裏対称に配置しているため、半導体熱電素子同士の距離を短くすることで高精度な測定が可能となるだけでなく、同一の面に複数の半導体熱電素子を配置する場合に比べ、占有面積を削減することができるという効果がある。なお半導体熱電素子14、15のそれぞれは保持する試料が異なるのみでそれぞれの構成は同じであることが好ましい。
【0026】
また半導体熱電素子14、15の金属フレーム11とは反対の面には、ワイヤーを張り試料を固定するための複数の固定部材141、151がそれぞれは位置されている。固定部材141、151としては試料を半導体熱電素子14、15に固定することができる限りにおいて特段の制限があるわけではないが、固定部材として金属チューブを半導体熱電素子の四隅に固定して配置し、この金属チューブにワイヤーを通すことで試料を固定することが好適である。試料を固定した場合において半導体熱電素子14を上部からみた俯瞰図を図3に示す。
【0027】
次に、本装置を用いた測定の測定手順について説明する。
まず、測定試料及び参照試料を示差走査型熱量計の金属フレーム11に設置された半導体素子14、15にワイヤー142、152を使って保持させる。その後、金属フレーム11の内部空間に多孔質セラミックスを充填した後、金属キャップ12、13で覆い、更に、高圧容器1の内壁との熱的接触を防ぐために断熱テープを巻く。そして高圧容器2の内部部空間に示差走査型熱量計1を配置した後、内部空間に圧力媒体を満たす。その後高圧容器2の蓋部材23を用いて高圧容器2の内部空間を密封するとともに所望の圧力、温度の条件まで内部空間を変化させつつ、測定を行う。
【0028】
なおここで、図4に本実施形態に係る示差走査型熱量計装置の測定における等価回路を示す。図4の等価回路は、試料温度を制御するための熱源71と、この熱源に対し直列に接続される第1乃至第4の4個の熱抵抗721、722、723、724と、第1及び第2の熱抵抗の間、第2及び第3の熱抵抗の間、第3及び第4の熱抵抗の間、第4の熱抵抗と熱源41の間にそれぞれ接し、熱源71に対して並列に配置される第1乃至第4の熱だめ731、732、733、734、を有する構成されている。ここにおいて熱源71は高圧容器用ヒーター5に、第1の熱抵抗と第1の熱だめは高圧容器2とそれに巻きつけた高圧用ヒーター5に、第2の熱抵抗と第2の熱だめは高圧容器2内に充填した圧力媒体及び示差走査型熱量計1の金属キャップ12、13に、第3の熱抵抗と第3の熱だめは金属ブロック11における台座部112の薄い部分と示差走査型熱量計内に配置した断熱材20に、第4の熱抵抗と第4の熱だめは半導体熱電素子14、15に夫々相当する。
【0029】
またここで、図5に本実施形態に係る示差走査型熱量計装置の測定における電気的な接続関係についてブロック図を用いて説明する。
【0030】
本実施形態に係る示差走査型熱量計装置は、上述した構成要件のほか高圧容器用ヒーター5の温度を検出する高圧容器用温度計51、高圧容器用ヒーター5を制御する高圧容器用ヒーター用電源52と、を有している。また、示差走査型熱量計1の金属フレーム11の台座部112には、熱量計用ヒーター16の温度を検出する熱量計用温度計161、熱量計用ヒーターを制御する熱量計用ヒーター電源162、が接続されている。更に、本実施形態に係る示差走査型熱量計装置には、半導体熱電素子14、15の間に発生する熱起電力差を検出するための熱起電力検出装置163が接続されている。
【0031】
高圧容器用ヒーター電源52は、高圧容器用温度計51にも電気的に接続されており、高圧容器用温度計51が検出する温度を参照しつつ高圧容器用ヒーター5に電力を供給し、高圧容器2内の圧力媒体の温度を調節する。なお高圧容器用ヒーター電源52はPID制御を行い所望の温度となるようなプログラムを高圧容器用ヒーター電源内の記録媒体に格納していることが望ましい。
【0032】
熱量計用ヒーター電源162は、熱量計用温度計161にも電気的に接続されており、熱量計用温度計161により温度を検出しつつ熱量計用ヒーター16に電力を供給し、半導体熱電素子14、15の温度を調節する。なお熱量計用ヒーター電源162もPID制御を行うプログラムを熱量計用ヒーター電源162内の記録媒体に格納していることが望ましい。
【0033】
熱起電力差検出装置163は、二つの半導体熱電素子に接続されており、その間の熱起電力の差を検出するものである。測定試料17を保持する半導体熱電素子14は、測定試料17と金属フレーム11との温度差に比例する熱起電力を発生し、参照試料を保持する半導体熱電素子15は、参照試料18と金属フレーム11との温度差に比例する熱起電力を発生させる一方、測定試料17を保持する半導体熱電素子14と参照試料18を保持する半導体熱電素子15とは差動的に結線しているため、金属フレーム11の温度にかかわらず、測定試料17と参照試料18の温度差に比例した熱起電力差を検出することができる。従って、参照試料17は金属フレーム11の温度変化の影響を受けなくなるため、検出した熱起電力の差は測定試料の発熱現象若しくは吸熱減少に起因すると考えることができるのである。特に、本熱量計では、金属フレーム11の表裏に対称に配置しているため、半導体熱電素子の距離が近く精度が高いだけでなく、小面積で熱量計を実現することができるという効果を有する。
【0034】
(測定例1)
上記の示差走査型熱量計装置を用いて実際に測定を行った。以下説明する。なお本測定においては、圧力を制御する圧力ポンプとして、SITEC社のSITEC750−1200を用い、ORIENTAL MOZTOROのステッピングモーター(ASM98AA−H100)を直接取り付けて用いた。これによりレスポンスの早い走査が可能となっている。
【0035】
測定試料としては、CsPbClを用いた。なお参照試料は本測定例では特に用いず、測定試料は動かないように銅製のワイヤーで固定した。また測定条件としては圧力を3MPa又は50MPaにて一定にした条件下で、47℃〜51℃320Kまで一定の速度で昇温させた場合の熱流束を測定した。この結果を図6に示す。なお図中横軸は温度(℃)であり、横軸は熱流束(Q/mW)である。この結果、図6で示すとおり、3MPa、50MPaのいずれにおいても鋭いピークを観察することができた。なおこの測定の際のベースラインの安定度は±0.2μW程度であり、非常に高感度であることを確認できた。
【0036】
(測定例2)
本測定は、温度を48℃と一定にした条件の下で圧力を昇圧又は降圧させながら行った。これ以外については測定例1と同様の装置構成を採用している。この結果を図7に示す。図中横軸は圧力(P/MPa)を示し、縦軸は熱流束(Q/mW)を示す。この結果、図7で示すとおり、昇圧過程、降圧過程いずれにおいても鋭いピークを観測することができ、圧力を走査させた場合であっても、相転移現象を検出することができた。
た。
【0037】
以上、本発明の熱量計装置を使用することにより、ベースラインの安定性と安定してレスポンスの速い圧力操作の測定が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態に係る示差走査型熱量計装置を示す断面図。
【図2】実施形態に係る示差走査型熱量計を示す断面図。
【図3】実施形態に係る半導体熱伝素子を上から見た場合の図。
【図4】実施形態に係る示差走査型熱量計装置の等価回路図。
【図5】実施形態に係る示差走査型熱量計装置の電気的な接続関係を示す図。
【図6】一定の高圧下において温度を変化させた場合における熱流束の測定結果を示す図。
【図7】圧力を走査させた場合における熱流束の測定結果を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1…示差走査型熱量計、2…高圧容器、3…配管、4…圧力ポンプ、5…高圧容器用ヒーター、11…金属フレーム、12、13…金属キャップ、14、15…半導体熱電素子、16…熱量計用ヒーター、17…測定試料、18…参照試料、21…底部、22…側部、23…蓋部材、41…シリンダ、42…ポンプ本体、43…ベローズ、51…高圧容器用温度計、72…高圧容器用ヒーター電源、71…熱源、111…側壁部材、112…台座部材、113、121、131、…孔、141、151…固定部材、142、152…ワイヤー、161…熱量計用温度計、162…熱量計用ヒーター電源、721…第1の熱抵抗、722…第2の熱抵抗、723…第3の熱抵抗、724…第4の熱抵抗、731…第1の熱だめ、732…第2の熱だめ、733…第3の熱だめ、734…第4の熱だめ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の側壁部材と、該側壁部材に固定される台座部材と、からなる金属フレームと、
該金属フレームにおける前記台座部材の表裏面のそれぞれに配置される一対の半導体熱電素子と、
前記金属フレームの側壁部材の開口部分を覆う一対の金属キャップと、を有することを特徴とする示差走査型熱量計。
【請求項2】
前記金属フレームの前記台座部材において、側壁部材近傍の厚さが、半導体熱電素子が配置される部分における厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1記載の示差走査型熱量計。
【請求項3】
前記金属フレームの側壁部材の内周側に、断熱材を配置してなることを特徴とする請求項1記載の示差走査型熱量計。
【請求項4】
前記断熱材は、セラミックス多孔質材であることを特徴とする請求項3記載の示差走査型熱量計。
【請求項5】
前記金属フレーム周囲に配置される熱量計用ヒーターを有することを特徴とする請求項1記載の示差走査型熱量計。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の示差走査型熱量計と、
該示差走査型熱量計を内部に配置可能な高圧容器と、
該高圧容器に配管を通して接続され、該高圧容器内部に圧力媒体が充填された場合に該圧力媒体の圧力を調整可能な高圧ポンプと、を有することを特徴とする示差走査型熱量計装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−308335(P2006−308335A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128727(P2005−128727)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)