説明

高密度高温プラズマの安定状態を形成する方法

【課題】制御された融合用のプラズマを含む高密度高温プラズマの安定状態を形成する方法を得る。
【解決手段】本方法は、パルス大電流放電内において高密度高温プラズマを生成する段階と、これに続いて、帯状エネルギースペクトルを有する電子の重力放射の条件に対応したパラメータを有する磁場エリアからプラズマを注入する段階と、スペクトルに沿った(eVエネルギーの)長波長領域内への後続のエネルギー移動(カスケード遷移)段階を有しており、これは、流体静力学的平衡状態へのその同時圧縮と共に、プラズマ内における重力放射のロッキング及び増幅状態に結びついており、適切な重力場内における電子の基底エネルギーレベル(keVの領域)からの自発重力放射をクエンチングするべく、作動ガスの成分内において、不可欠な要素として、多電子原子を使用している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、核融合制御などに使用可能な高密度高温プラズマの安定状態を形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
核融合に適用可能な高密度高温プラズマの安定状態の実現に関係した当技術分野における現在の状態は、特許請求されている方法の中の個別の技術を実現することが可能な装置での磁場によるプラズマの形成及び閉じ込めの段階として定義可能であり、従って、これは、この方法それ自体、即ち、高密度高温プラズマの安定状態を実現する方法ではない。この観点から、特許請求されている方法に類似のものはない。
【0003】
最新技術においては、大電流パルス放電が知られており、これは、作動ガス(0.5〜10mmHgの圧力の重水素、水素、重水素−トリチウム混合物、或いは、0.01〜0.1mmHgの圧力の希ガス)が充填された円筒形の放電チャンバ(この場合には、その端面が電極として機能している)を使用して形成される。次いで、陽極に印加された20〜40kVの電圧と、約1MAに到達する放電形成における電流とにより、ガスを通じて強力なキャパシタバッテリの放電を実現している。実験(Lukyanov S. Yuによる「Hot Plasma and Controlled Fusion」(Moscow、Atomizdat、1975年(ロシア語))においては、まず、プロセスの第1フェーズ−電流チャネルの直径の略10分1の減少を伴う電流磁場による軸へのプラズマの圧縮と、放電軸(zピンチ)上における白熱して輝くプラズ柱の形成−が観察され、プロセスの第2フェーズにおいては、電流チャネルの急速な不安定化(ねじれや螺旋状の混乱など)の進展が観察される。
【0004】
これらの不安定性の増大は、非常に急速に発生してプラズマ柱の劣化に結びつき(プラズマジェットの噴出や放電の中断など)、この結果、放電持続時間は、10'''sのレベルの値に制限されることになる。このため、直線型のピンチにおいて、ローソン基準のnτ>1014cm-3sによって定義された核融合条件を満足させることは非現実的であることがわかる(ここで、nは、プラズマの濃度であり、τは、放電持続時間である)。
【0005】
類似の状況は、方位電流を誘発する外部長手方向磁場を円筒形の放電チャンバに印加した際に、Θ−ピンチにおいても発生する。
【0006】
磁気トラップについては、周知であり、これらは、限定された容積内に長時間にわたって(但し、これは、核融合が進行するのに十分なものではない)高温プラズマを閉じ込める能力を有している(Artsimovich L. A.による「Closed Plasma Configuration」(Moscow、Atomizdat、1969年(ロシア語)を参照されたい)。磁気トラップには、クローズド型とオープン型という2つの主要な種類が存在している。
【0007】
磁気トラップは、限られた容積内に十分に長い時間にわたって高温プラズマを閉じ込める能力を有する装置であり、これらについては、Artsimovich L. A.による「Closed Plasma Configurations」(Moscow、Atomizdat、1969年)に記述されている。
【0008】
クローズドタイプの磁気トラップ(このタイプのものには、制御された核融合(CNU)の条件を実現するという希望が多年にわたって託されていた)には、トカマク(Tokamak)、スフェロマク(Spheromak)、及びステラレーター(Stellarator)タイプの各装置が属しており、様々な変更を有している(Lukyanov S. Yuによる「Hot Plasma and CNU」(Moscow、Atomizdat、1975年(ロシア語))。
【0009】
トカマクタイプの装置においては、磁力線の回転変換を生成するリング電流をプラズマ内において励起している。スフェロマクは、プラズマ内のドーナツ形磁場を有する小型のトーラスを表している。ステラレーターにおいては、プラズマ内におけるドーナツ形電流の励起を伴うことなしに実行される磁力線の回転変換が実現されている(Volkov E. D.他による「Stellarator」(Moscow、Nauka、1983年(ロシア語))。
【0010】
直線形状を有するオープンタイプの磁気トラップは、磁気ボトル、同時二極性トラップ、ガスダイナミックタイプトラップである(Ryutov D. D.による「Open traps」(Uspekhi Fizicheskikh Nauk、1988年、154巻、565頁)。
【0011】
オープンタイプとクローズドタイプのトラップは、それらの様々な設計の違いにも拘わらず、ガス動力学的なプラズマの圧力とプラズマの外部境界における磁場圧力の均衡を通じた磁場内におけるプラズマの流体静力学的平衡状態の実現という1つの原理に基づいている。これらのトラップの著しい多様性は、良好な結果の欠如に由来するものである。
【0012】
PF(Plasma Focus)装置(電気放電をこのように呼んでいる)を使用する場合には、高密度高温の(一般には、重水素の)プラズマの非静止状態における集群が得られる(この集群は、「プラズマフォーカス」とも呼ばれている)。PFは、ピンチのカテゴリに属しており、特殊な設計を具備した放電チャンバの軸上の電流シース塊のエリア内に形成される。この結果、直接的なピンチとは対照的に、プラズマフォーカスは、非円筒形の形状を獲得する(Petrov D. P.他による「Powerful pulsed gas discharge in chambers with conducting wall」(「Plasma Physics and Problem of Controlled Thermonuclear Reactions」論文集、第4巻、Moscow、Izdatel’stvo AN SSSR、1958年(ロシア語))。
【0013】
直線形のピンチ装置(この場合には、電極の機能がチャンバの端面によって実行される)とは異なり、PFにおいては、陰極の役割は、チャンバ本体によって果たされており、この結果、プラズマの集群は、漏斗の形態を獲得する(この装置の名称は、これに由来している)。円筒形のピンチと同一の作動パラメータによれば、PF装置内においては、相対的に高い温度、密度、並びに、長い持続時間を具備したプラズマを得ることが可能であるが、直線形のピンチの場合と同様に、後続する不安定性の進展により、放電が破壊され(Burtsev B. A.他による「High−temperature plasma formations」(Itogi Nauki i Tekhniki、「Plasma Physics」シリーズ、第2巻、Moscow、Izdatel’stvo AN SSSR、1981年(ロシア語))、実際には、プラズマの安定状態は、実現されない。
【0014】
高温プラズマの非静止状態の集群は、(同軸プラズマ注入器を有する装置を使用した)同軸構成の電極を有するガス放電チャンバにおいても得られる。このような種類の最初の装置は、J. Matherにより、1961年に作動している(Mather J. W.、「Formation on the high−density deuterium plasma focus」、Phys. Fluids、1965年、第8巻、366頁)。この装置は、更に改良されている(具体的には、J. Brzosko他によるPhys. Let. A.、192(1994年)、250頁、Phys. Let. A.、155(1991年)、162頁を参照されたい)。この改良の重要な要素は、多電子原子によってドーピングされた作動ガスの使用であった。このような装置内におけるプラズマの注入は、円筒形チャンバの同軸構成によって実現されており、この場合に、陽極として機能する内部チャンバは、形状的に、外部シリンダ(陰極)よりも低い位置に配設されている。J. Brzoskoの研究においては、プラズマ集群の生成効率が、水素に多電子原子をドーピングした場合に増大するということが指摘されている。しかしながら、これらの装置内においては、不安定性の進展により、プラズマの持続時間が同様に大幅に制限されている。この結果、この持続時間は、核融合反応の安定した進行のための条件を実現するのに必要とされるものを下回っている。明確な設計上の特徴により(具体的には、円錐同軸電極の使用により)、このような装置は、既にプラズマ注入装置である(M. P. Kozlov及びA. I. Morozov(Eds.)による「Plasma Accelerators and Ion Guns」、Moscow、Nauka、1984年(ロシア語))。前述の装置(円錐円筒形電極を有する装置)においては、電極間のスペース内へのプラズマの注入が行われているが、プラズマ崩壊に至るすべての段階において、プラズマは磁場エリア内に留まっている。純粋な形態においては、円錐同軸電極を有する装置内においては、電極間のスペースからのプラズマの注入が観察される。プラズマ注入器の適用分野は、その後続の使用に伴うプラズマ注入のための補助的なものと見なされており(例えば、レーザー装置内などにおいて、トカマクタイプの装置内におけるパワーを更にポンピングするためなど)、この結果、今度は、パルスモードではなく、準定常モードにおいて、これらの装置の使用法が制限されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Lukyanov S. Yuによる「Hot Plasma and Controlled Fusion」(Moscow、Atomizdat、1975年
【非特許文献2】Artsimovich L. A.による「Closed Plasma Configuration」(Moscow、Atomizdat、1969年
【非特許文献3】Volkov E. D.他による「Stellarator」(Moscow、Nauka、1983年
【非特許文献4】Ryutov D. D.による「Open traps」(Uspekhi Fizicheskikh Nauk、1988年、154巻、565頁
【非特許文献5】Petrov D. P.他による「Powerful pulsed gas discharge in chambers with conducting wall」(「Plasma Physics and Problem of Controlled Thermonuclear Reactions」論文集、第4巻、Moscow、Izdatel’stvo AN SSSR、1958年
【非特許文献6】Burtsev B. A.他による「High−temperature plasma formations」(Itogi Nauki i Tekhniki、「Plasma Physics」シリーズ、第2巻、Moscow、Izdatel’stvo AN SSSR、1981年
【非特許文献7】Mather J. W.、「Formation on the high−density deuterium plasma focus」、Phys. Fluids、1965年、第8巻、366頁
【非特許文献8】J. Brzosko他によるPhys. Let. A.、192(1994年)、250頁、Phys. Let. A.、155(1991年)、162頁
【非特許文献9】M. P. Kozlov及びA. I. Morozov(Eds.)による「Plasma Accelerators and Ion Guns」、Moscow、Nauka、1984年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、磁場によるプラズマの閉じ込めに基づいた既存の最新技術は、核融合反応が進行可能な状態にプラズマを加熱するという問題を効果的に解決してはいるが、これらの反応が進行するのに必要とされる期間にわたって高密度高温プラズマを閉じ込めるという問題を解決してはいない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、前述の問題の解決策を提案するものであり、これは、当技術分野において既知の手段(装置)の新しい組み合わせによって実現可能であり(これらの組み合わせ(先程検討したパラメータ)の使用は、これまで使用されていないのみならず、最新技術において提案又は想定されてもいない)、これについては、本発明の実施法について説明しているセクション及び添付の請求項の組内において更に詳細に説明することとする。
【0018】
従って、本発明は、高密度高温プラズマの安定状態を形成する方法に関係するものであって、(a)パルス大電流放電を利用した水素及びそのアイソトープからの高密度高温プラズマの生成と、(b)帯状エネルギースペクトルを有する電子の重力放射の条件に対応したパラメータを有する磁場エリアからのプラズマの注入と、(c)スペクトルに沿ったエネルギー移動と、という段階を有している。
【0019】
エネルギー移動(段階c)は、重力放射のロッキング及び増幅状態に対するeVエネルギーの長波長領域内へのカスケード遷移と、流体性力学的平衡状態への同時圧縮と、によって実行され、且つ、前述の状態の形成においては、適切な重力場内におけるkeV領域の電子の基底エネルギーレベルからの自発重力放射をクエンチングするべく、作動ガスの成分内において多電子原子を使用している。
【0020】
高密度高温プラズマの安定状態を得るための本発明の一実施例においては、水素と、クリプトン、キセノン、及びその他の同族元素(ネオン、アルゴン)などの多電子原子を使用することが好ましい。
【0021】
本発明の別の好適な実施例においては、核融合反応が進行するための条件を実現するべく、水素及び炭素が使用されており、この場合に、炭素は、keVのエネルギーを有する重力放射のスペクトルのクエンチングと、融合反応触媒としての両方の目的に利用されている。
【0022】
請求の範囲に記載の方法は、高密度高温プラズマの安定状態を形成する方式を提供しており、この方式は、作動ガスを供給する装置と、放電チャンバと、放電回路と、安定したプラズマ集群を形成するチャンバと、を有している。
【0023】
必要に応じて、この方式の引用されているブロックのそれぞれに対して、適切な計測機器を装着可能である。
【0024】
本発明は、円錐同軸電極を有する多価イオン上におけるパルス大電流磁気圧縮放電の回路図によって表されており、これは、(1)内部電極2と外部電極3間のギャップ内に作動ガスを供給する高速作動バルブと、(2)外部電極と、(3)円錐のものに近接した狭まった表面を具備する内部電極と、(4)圧縮エリア内への混合物の進入を防止するダイバータチャネルと、(5)放電回路と、(6)磁場による圧縮エリアと、(7)送出プラズマジェット内の流出電流に起因した圧縮と放射重力場による後続の圧縮の領域と、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の方法を実施するためのマグネットプラズマコンプレッサの概略回路図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[本出願において使用されている用語及び定義]
「高密度高温プラズマの安定状態」という定義は、ガスダイナミック圧力が磁場の圧力(又は、このケースにおいては、放射重力場の圧力)と釣り合っている際のプラズマの流体静力学的平衡状態を意味している。
【0027】
「高密度高温プラズマ」という定義は、より低い密度値nC、ni=(1023−1025)m-3及び温度Tc、Ti=(107−108)Kを有するプラズマを意味している。
【0028】
「電子の重力放射に対応したプラズマパラメータ」(これは、帯状放射スペクトルを有している)という定義は、前述の圧力及び温度の範囲内のパラメータを意味している。
【0029】
「プラズマ内にける重力放射のロッキング」という定義は、プラズマ内の重力放射の状態を意味しており、この状態は、その放射周波数と電子ラングミュア周波数が等しい場合に発生する。このケースにおいては、放射のロッキングは、「放射周波数(1013−1014)を実現し、且つ、プラズマラングミュア周波数を電子周波数と等しくする長波長領域内へのカスケード遷移の結果としての、長波長領域内へのスペクトルに沿ったエネルギーの移動、これは、プラズマ内における重力放射のロッキングの条件である」と「励起電子のエネルギーが、対応したレベルを有するイオンに移動し、そのイオン化に結びつく際の、基底エネルギーレベルからの電子の自発的重力放射の、多電子原子によるクエンチング」という2つの理由から発生する。
【0030】
「重力放射の増幅」という定義は、ロッキング条件が満足されると、重力放射がプラズマ内に留まり、重力場の合計エネルギーの連続的な放射がプラズマ内にロッキングされることから、重力放射がロッキングされた際に発生する増幅を意味している。
【0031】
本発明を更に十分に理解できるように、この提案されている方法において実行される高温プラズマの形成に関する説明と、それらの安定状態を流体静力学的平衡状態として形成する方法に関する説明を以下に提示する。添付の請求項の組において、特許請求されている帯状スペクトルを有する電子の重力放射の条件、プラズマ内における重力放射の励起の条件、及びカスケード遷移に起因したロッキング及び増幅について説明する。
【0032】
[1.電磁放射と同一レベルの放射としての帯状スペクトルを有する電子の重力放射]
適切な重力場内における電子の定常状態の帯状スペクトルを表す対象の数学的なモデルに関しては、2つの側面が重要である。第1に、アインシュタインの場の方程式においては、κは、方程式の基点がκ値の数値的な制限と結び付けられないように、空間/時間の幾何学的特性を物理的な事物の分布と関連させる定数である。ニュートンの古典重力理論との一致という要件のみが、小さなκ=8πG/c4に結びついている(ここで、G、cは、それぞれ、ニュートンの重力定数と光の速度である)。このような要件は、ニュートンの重力理論の相対性理論の一般化として、アインシュタインの一般相対性理論(GRT)の基礎概念から導出される。第2に、相対性理論の重力方程式の最も一般的な形態は、∧項を有する式である。弱い場への限定的な遷移は、次の式に結びついている。
【0033】
ΔΦ=−4πρG+∧c2
【0034】
ここで、Φは、フィールドスカラーポテンシャル、ρは、ソース密度である。GTRは、このケースにおいてのみ、古典重力理論の一般化であるため、この状況は、最終的に、∧項を無視するために非常に重要である。従って、κ=8πG/c4の数値とGTR方程式内の∧=0は、式の基点とは関連付けられておらず、古典理論とGTRの一致からのみ導出されるものである。
【0035】
70年代以降に、量子領域においては、Gの数値は、量子力学の原理と互換性を有していないことが明らかになっている(Siravam C.及びSinha K.によるPhys. Res. 51(1979年)112)。いくつかの論文には、量子領域内においては、結合定数K(K≒1040G)を許容可能であることが示されている(Siravam C.及びSinha K.によるPhys. Res. 51(1979年)112、及び、Fisenko S.他によるPhys. Lett. A、148、、7、9(1990年)405をも含む)。従って、量子レベルにおける相対性理論の方程式の一般化の問題の本質は、「このような一般化が、量子及び古典的な領域における重力定数の数値と一致しなければならない」と略述されている。
【0036】
これらの結果の発展において、アインシュタインの場の方程式のマイクロレベルの近似として、「質量m0を具備した素粒子のローカリゼーション領域内の重力場は、その適切な重力場内における粒子の定常状態に結びつく重力定数K及び定数∧の値によって特徴付けられ、このような粒子の定常状態は、ニュートンの重力定数Gを有する重力場のソースである」という仮定に基づいて、モデルが提案されている。
【0037】
重力理論における最も一般的な方法は、ねじれを考慮すると共に、重力場をその他の基本的な場と等しい項に対して作用するゲージ場として取り扱う方法である(Ivanenko他による「Gage Theory of Gravitation」、Moscow、MGU Publishing House、1985年(ロシア語))。このような方法は、先験性を欠いており、微視的なレベルにおいて制限を付与していない。質量m0を有する基本的なスピノルソースの場合には、採用されている仮定に従って適切な重力場内におけるその状態を表す式の組は、次のような形態を具備することになる。
【0038】
【数1】

【0039】
本明細書の本文においては、κ=8πK/c4、κ’=8πG/c4という表記法を使用しており、Enは、定数K、∧=κμを有する適切な重力場内における定常状態のエネルギーであり、rnは、適切な重力場
【0040】
【数2】

【0041】
内における平衡n状態を満足する座標rの値であり、κ0は、次元定数
【0042】
【数3】

【0043】
であり、∇μは、ねじれとは独立したスピノル結合共変微分係数あり、E’nは、定数Gを有する適切な重力場内における波動関数Ψ’によって表される質量mn(フリー又は場、或いは、外部の場内のもの)を具備する粒子のエネルギー状態である。表記法の残りの部分は、重力理論において一般的に利用されているものである。
【0044】
式(1)〜式(5)は、適切な重力場内における粒子の平衡状態(定常状態)を表しており、平衡状態を満足する定数Kによって特徴付けられる場のローカリゼーション(局在)領域を定義している。これらの定常状態は、定数Gを有する場のソースであり、条件(3)は、解を重力定数K及びGとマッチングさせる段階を提供している。物理的な側面において、提案モデルは、量子力学の原理と互換性を有しており、平衡状態によって指定された特定の非常に明確な距離における定数K及び∧を有する重力場は、定数Gを具備すると共に、弱い場の限度内においてポアソン方程式を満足する場に変化する。
【0045】
第1に、式(1)〜式(5)の組は、定常状態の問題(即ち、独自の重力場内における元素ソースのエネルギースペクトル計算の問題)に関して興味深い。この意味において、電気力学との(特に、クーロン場内における電子定常状態の問題との)類似性を使用するのが合理的である。シュレーディンガー方程式からクライン−ゴードン相対性理論方程式への遷移により、クーロン場内における電子エネルギースペクトルの微細構造を考慮することが可能となり、ディラック方程式への遷移により、スピン−軌道相互作用と関連する相対性理論の微細構造とエネルギーレベルの分割を考慮することが可能となる。この類似性と式(1)の形態を使用することにより、項
【0046】
【数4】

【0047】
を伴わないこの式の解は、微細構造のものに類似したスペクトルを付与すると結論付けることが可能である(相対性理論と主量子数縮退の除去の意味において類似している)。Siravam C.及びSinha K.によるPhys. Res. 51(1979年)112に記述されているように、項
【0048】
【数5】

【0049】
を考慮することは、パウリ方程式における項
【0050】
【数6】

【0051】
を考慮することに類似している。後者は、考慮されたねじれを有する定常状態の問題の解が、相対性理論の微細構造と、考慮されたスピン−ツイスト相互作用によって引き起こされるエネルギー状態の分割の両方を有する総合的なエネルギー状態スペクトルを付与することになることを意味している。この事実(これは、重力のゲージ理論の要件に完全に合致している)により、我々は、量子領域内の重力場の特性に関する前述の仮定が、一般的なケースにおいて、ツイストを有する重力場に対して適切なものであると確信することができる。
【0052】
この問題の解明における複雑性のため、我々は、相対的に単純な近似(即ち、相対性理論の微細構造近似におけるエネルギースペクトル計算)を利用せざるを得ない。この近似においては、適切な重力場における元素ソースの定常状態の問題は、次の式を解くことに簡略化されることになる。
【0053】
【数7】

【0054】
Ψ=fEl(r)Ylm(θ,φ)exp(−iEt/h)という形態のΨによる置換と、式
【0055】
【数8】

【0056】
によって定義されているインターバルを有する中央対称場メトリックにおける特定の演算の後に、式(6)−(8)は、式(14)−(15)から導出される(Landau L. D.、Lifshitz E. M.による「Field Theory」、Moscow、Nauka Publishers、1976年)。
【0057】
【数9】

【0058】
以上においては、次のような表記法が使用されている。fmは、明確なエネルギーE及び軌道モーメントlを有する状態を表す半径方向の波動関数であり(以下においては、添え字Elは、省略する)、Ylm(θ,φ)は、球関数であり、Kn=En/hc、K0=cm0/h、β=(k/4π)(h/m0)である。
【0059】
条件(9)は、rnを定義しており、式(10)〜(12)は、それぞれ、境界条件と、関数fの正規化条件である。一般的なケースにおける条件(9)は、R(K,rn)=R(G,rn)という形態を具備している。定数Gを有する適切な重力場を無視することにより、我々は、この条件をR(K,rn)と記述することになり、式(9)は、実際に、これに対応している。
【0060】
式(7)、式(8)の右辺は、次の複素スカラー場のエネルギーモーメンタムテンソルの一般的な表現に基づいて算出される。
【0061】
【数10】

【0062】
適切な成分Tμvは、Ψ=f(r)Ylm(θ,φ)exp(−iEt/h)の式(17)への置換の後に、球関数の特性アイデンティティの適用を伴うインデックスmにわたる加算によって取得される(Warshalovich D. A.他による「Quantum Theory of Angular Momentum」、Leningrad、Nauka Publishers、1975年(ロシア語))。
【0063】
最も単純な近似においても、適切な重力場内における元素ソースの定常状態の問題は、複雑な数学的問題である。これは、我々が我々自身をエネルギースペクトルのみの推定に限定すれば、より単純になる。式(6)は、多くの方法により、次の式に簡略化可能である(E. Kamke、「Differentialgleichungen」、Losungsmethoden und Losungen、Leizig、1959年)。
【0064】
f’=fP(r)+Q(r)z、z’=fF(r)+S(r)z (18)
【0065】
この遷移は、次の条件を満足するように、P、Q、F、Sの特定の選択肢を意味している。
【0066】
P+S+Q’/Q+g=0、FQ+P’+P2+Pg+h=0 (19)
【0067】
ここで、g及びhは、f”+gf’+hf=Qという形態で記述された式(6)に対応している。条件(19)は、具体的には、次のように記述されたP、Q、F、Sによって満足される。
【0068】
Q=1、P=S=−g/2、F=(1/2)g’+(1/4)g2−h (20)
【0069】
組(18)の解は、次の関数となる(E. Kamke、「Differentialgleichungen, Losungsmethoden und Losungen」、Leizig、1959年)。
【0070】
f=Cρ(r)sinθ(r)、z=Cρ(r)cosθ(r) (21)
【0071】
ここで、Cは、任意の定数であり、θ(r)は、次の式の解である。
【0072】
θ’=Qcos2θ+(P−S)sinθcosθ−Fsin2θ (22)
【0073】
そして、ρ(r)は、次の式から得られる。
【0074】
【数11】

【0075】
このケースにおいては、極座標において解を提示する形態により、θ=nπの対応する値を有するr=rnにおける関数f(r)のゼロを判定可能である(nは、整数である)。v、λの最も単純な近似の1つとして、我々は、次の従属性を選択することにする。
【0076】
【数12】

【0077】
先程、K≒1.7x1029Nm2kg-2であるKの推定値を採用した。我々が、電子の静止質量m1の観察値が、適切な重力場内における基底定常状態におけるその質量であると仮定すれば、m0=4m1/3である。次元に関する配慮から、拘束された状態におけるエネルギーは、式
【0078】
【数13】

【0079】
によって定義されることになる(ここで、r1は、古典的な電子半径である)。これは、推定値K≒5.1x1031Nm2kg-2に結びつき、これが後に開始点として採用される。異なる方法によって取得された推定値Kの違いは許容可能である(これらの特性は、破壊的ではないため、尚更、許容可能である)。μが電子エネルギー密度であるという条件から、μ=1.1x1030J/m3、∧=κμ=4.4x1029-2が導出される。式(22)(これは、考慮されたf(r)の式を有している)から、次式が導出される。
【0080】
【数14】

【0081】
式(25)の積分と、θ=πn、r=rnの置換により、次のようなKnとrnの間の関係が付与される。
【0082】
【数15】

【0083】
式(26)内に入る係数は、積分に必要な多項式の展開の単純な一部分における係数であり、この場合に、αi〜Kn、d2〜Ai〜rn-5、Bi〜rn-4、A’i〜rn-2、ai〜rn-4、d1=rn-4である。式(26)からrnを除去するべく、条件(9)(又は、利用されている近似においては、これに等しいexp v(K,rn)=1という条件)が存在しているが、この直接的に使用すれば、既に面倒である式(26)が更に複雑化することになる。同時に、rn〜10-3ncであることに容易に気付くが、ここで、rncは、質量mnの粒子のコンプトン波長であり、従って、rn〜10-3n-1である。関係(26)自体は、相当の近似であるが、それにも拘わらず、その利用可能性は、近似の精度とは無関係に、r≦rnの範囲内における独自の重力場との粒子の自己相互作用の結果としてのエネルギースペクトルの存在を意味している(ここで、場と粒子の相互補償動作が発生する)。l=0の場合に、rnとKnの間の関係を考慮すると、近似解(26)は、次の形態を具備しており、ここで、α=1.65、β=1.60である。
【0084】
n=E0(1+αe-βn-1 (27)
【0085】
関係(27)は、電子の静止質量の観察値は、適切な重力場内における基底定常状態におけるその質量の値であるという仮定から出発することにより、具体化され、値r1=2.82x10-15m、Kl=0.41x1012-1は、K及びAの数値の定義により、関数の正確なゼロを付与する。
【0086】
従って、提示された電子の推定値は、K〜1031Nm2kg-2及び∧〜1029-2を有するそのローカリゼーションの範囲内に、適切な重力場内における定常状態のスペクトルが存在していることを示している。Kの数値は、確かに、あらゆる元素ソースについて普遍的であり、∧の値は、元素ソースの静止質量によって定義される。定数Kを有する重力場がローカライズされる距離は、コンプトン波長を下回っており、例えば、電子の場合には、この値は、その古典的な半径のレベルである。これを上回る距離においては、重力場は、定数Gによって特徴付けられる(即ち、古典的なGTRへの正しい遷移が有効である)。
【0087】
式(27)から、粗い近似において、E1=0.511MeV、E2=0.638MeV、...、E=0.681Mevという定常状態エネルギーの数値が導出される。
【0088】
定常状態を超えての量子遷移は、定数Kによって特徴付けられる重力放射に必ず結びつくことになり、遷移エネルギーは、127keVから170keVである。ここでは、2つの状況が非常に重要である。
【0089】
第1に、重力的な「電荷」m√Kによる電荷eの置換に関して、電磁的及び重力的な相互作用間における一致が発生し、この結果、数値Kが、同一レベルにおいて電磁及び重力放射効果を有することになる(例えば、電磁及び重力制動放射断面は、放射スペクトルの一致領域内においては、0.16のファクタしか異なっていない)。
【0090】
第2に、前述の電子定常状態のスペクトル内におけるエネルギーレベルの自然な幅は、10-9eV〜10-7eVとなる。実際の状態における電子エネルギーの広がりと比較した場合のこのエネルギーレベル幅の小さな値は、付帯現象における大量現象として(例えば、ターゲットに対する電子ビーム制動放射のプロセスにおいて)重力放射効果が観察されない理由を説明している。定数Kを有する独自の重力場内における電子定常状態の存在の直接的な確認は、核のβ崩壊の下位境界の存在であってよい。この境界から開始することによってのみ、β−非対称性が発生可能であり、これは、弱い相互作用におけるパリティの非保存として解釈されるが、実際には、β崩壊における独自の重力場内における電子の励起状態の存在の結果に過ぎない。β−非対称性は、磁場内の重い原子核のβ−崩壊内においてのみ、実験的に観察されている(例えば、Wuによって行われた既知の実験における2760(Wu Ts. S.、Moshkovskii Sa. A.、「Beta−decay」、Atomizdat、Moscow、1970(ロシア語))。β崩壊の非対称性がまだ発生していない13などの軽い原子核については、類似の実験は行われていない。
【0091】
[2.プラズマ内における重力放射の条件(プラズマ内におけ重力放射の励起)]
前述の独自の場及びエネルギーレベル幅における定常状態にわたる遷移エネルギーの場合に、重力放射を大量現象として実現可能な唯一のオブジェクトは、後述する推定から導出されるように、高密度高温プラズマとなる。
【0092】
制動放射断面のボルン近似を使用することにより、我々は、次のような単位時間当たりの容積の単位当たりの電磁制動放射の式を記述可能である。
【0093】
【数16】

【0094】
ここで、Te、k、ni、ne、m、z、r0は、それぞれ、電子温度、ボルツマン定数、イオン及び電子成分の濃度、電子質量、イオン成分の連番、古典的な電子半径である。
【0095】
0をrg=2Km/s2によって置換することにより(これは、重力的な電荷m√K)による電荷eの置換に対応している)、我々は、重力制動放射について、次の関係を使用可能である。
【0096】
g=0.16Qe (29)
【0097】
式(28)から、パラメータne=ni=1023-3、Te=107Kを有する高密度高温プラズマにおいては、電磁制動放射のパワーは、≒0.53 1010J/m3sに等しく、重力制動放射のパワーは、0.86・109J/m3sである。そのエネルギーが独自の重力場内における遷移のエネルギーレベルである電子の相対的な比率は、Teの減少に伴ってマクスウェル分布指数に従って減少するため、これらのプラズマパラメータの値は、明らかに、かなりの重力放射レベルのガイド閾値として採用可能である。
【0098】
[3.カスケード遷移による重力放射のロッキング及び増幅と、磁場エリアから注入されたプラズマ内における多電子原子のイオンによる基底エネルギーレベルからの自発放射のクエンチング]
e=T1=(107−108)K、ne=ni=(1023−1025)m-3というプラズマパラメータの数値の場合には、電磁制動放射スペクトルは、基本的に、電子放射のコンプトン散乱に伴って変化することはなく、且つ、制動放射自体が高温プラズマの放射損失のソースである。この連続的なスペクトルの周波数は、(1018−1020)s-1のレベルであり、前述のプラズマパラメータにおけるプラズマ周波数は、(1013−1014)s-1である(又は、0.1eVの放射量子エネルギーである)。
【0099】
電磁制動放射と重力制動放射の基本的な違いは、独自の重力場内における電子定常状態のスペクトルに対応した重力放射の帯状スペクトルである。
【0100】
上位励起レベルから下位のものへのカスケード遷移の存在は、電子(これは、100keVを上回るエネルギー領域内において励起されることになる)が、主に、eV領域内において放射されることに結びつくことになる(即ち、下位周波数領域へのスペクトルに沿ったエネルギー移動が発生することになる)。このようなエネルギー移動メカニズムは、独自の重力場内における下位電子エネルギーレベルからの自発放射をクエンチングする際にのみ発生可能である(この結果、keVの領域内の量子エネルギーを有する放射が妨げられる)。スペクトルに沿ったエネルギー移動のメカニズムの詳細な説明として、その正確な数値的特性を以下において付与することとする。但し、重力制動放射のスペクトルの帯状特性によって条件付けられるその存在の事実は、明らかに主張可能である。重力制動放射スペクトルの低周波数特性は、ωg≦0.5√(103e)というロッキング条件が満足されることにより、プラズマ内におけるその増幅に結びつくことになる。
【0101】
放射重力場によって圧縮された高温プラズマの状態の実際的な実現の観点においては、2つの状況が重要である。
【0102】
第1に、プラズマは、2つの成分を有していなければならない(多価イオンを水素に追加する。これらのイオンは、独自の重力場内における基底エネルギーレベルからの電子の自発放射をクエンチングするのに必要である)。このためには、フリー励起電子のエネルギーレベルに近い電子エネルギーレベルを有するイオンを具備することが必要である。励起電子のエネルギーとイオン内における電子励起エネルギーの間に共振が存在している場合に、電子の下位励起状態のクエンチングが特に効果的なものとなる(限度内において最も好ましいケースは、イオン化エネルギーである)。zの増大により、重力制動放射のパワーも増大し、この結果、ωg≦0.5√(103e)という条件が満足されることにより、圧縮プラズマの許容可能なパラメータ値ne=(1+a)ni=(1025−1026)m-3、a>2、Te≒Te=108K、z>10の場合に、Δt=(10-6−10-7)sにおいて、次のようにガス動力学的圧力と放射圧力が等しくなる。
【0103】
【数17】

【0104】
第2は、磁場領域からの後続のエネルギーポンピングを伴う一時的なパラメータne=(1023−1024)m-3、Te=(107−108)Kを有する磁場領域からのプラズマ排出の必要性である。
【0105】
以上の条件の充足(これは、原則的には、これらの条件を実現する装置の特定の方式とは無関係である)によって解決されるのは、プラズマの流体静力学的平衡状態の実現のみである。炭素は、核融合反応に必要な触媒として同時に機能することになるため、水素に対する添加剤としての多電子ガス(炭素)の使用は、核融合反応条件の実現に結びついている。
【0106】
クリプトン、キセノン(並びに、同族元素)などの多電子原子を成分要素とする核融合の別の変形は、軽い成分としての重水素−トリチウム混合物の使用である。
【0107】
プラズマの安定した高温状態を生成する既知の装置において実行されているプロセスの分析は(肯定的な結果が存在していないという事実と共に)、その高エネルギー状態の形成プロセスにおけるプラズマの保存及び加熱の第1段階において磁場を部分的にしか使用できないことを示唆している。磁場の更なる存在は、限定された容積内にプラズマをもはや閉じ込めることにはならず、磁場内における帯電粒子の特定の動作特性に起因し、このプラズマを破壊してしまう。この問題の主要な解決策は、この期間における磁場によるプラズマの圧縮、加熱、及び保持が完了した後に、第2段階において、放射重力場内において既に加熱されているプラズマを閉じ込める方法である。前述の内容から導出されるように、あらゆる状況下において、プラズマは、磁場領域から注入しなければならないが、磁場内に見出されるプラズマ領域からのエネルギーの後続のポンピングを伴っていなければならない。例えば、本出願の明細書内に提示されているマグネトプラズマのオリジナルの回路図が、ちょうど、これらの条件に対応している。
【0108】
請求の範囲に記載する方法は、次のような方式で実現される(図面を参照されたい)。高速作動バルブ1を通じて、2成分ガス(水素+多電子ガス)を同軸円錐電極2、3の間のギャップに供給し、これに対して、放電回路5を通じて電圧を供給する。磁場を生成する放電が電極間を流れる。アンペア数の上昇による圧力下において、プラズマが、チャネルに沿って加速される。領域7内の出口において、このフローが、軸に収束し、ここに、高い密度と温度を有する圧縮の領域が生成される。圧縮領域7の形成は、送出プラズマジェット内を流れる流出電流によって助長される。陽極に供給される電圧(20−40)kVと、作動ガスの開始圧力(0.5−0.8)mmHgにより、形成放電内の電流が圧縮領域内において約1MAに到達した際に、プラズマの重力場の励起に必要なプラズマパラメータne、ni=(1023−1025)M-3及び温度Te、Ti=(107−108)Kの値に到達することになる。作動ガスの成分内の多電子原子のイオンの存在(これは、電子の基底エネルギーレベルからの重力放射のクエンチングに結びつく)と、独自の重力場内における電子定常状態のレベルに沿ったカスケード遷移は、高周波放射スペクトルから、プラズマ放射のロッキング及び増幅に対応した周波数を有する低周波のものへの変化に結びつくことになる。同時に、プラズマの密度と温度も、そのパルス注入に起因し、成長することになる。従って、その磁場領域からの注入後のプラズマの流体静力学的平衡状態への後続の圧縮(高密度高温プラズマの安定状態の形成)は、放射重力場によるプラズマの励起、ロッキング、及び圧縮に起因して発生し、プラズマパラメータne、ni=(1025−1026)m-3及びTe、Ti=108Kの実現を伴っている。
【0109】
この方式を重力放射の量子生成器(重力放射の量子生成器は、高密度プラズマの安定した高エネルギー状態の生成器である)として使用する際のこの方式と、プラズモダイナミック放電を得るために使用されている既知の方式(「Plasma Accelerators and Ion Guns」という書籍(Moscow、Nauka、19843年(ロシア語)内のKamrukov A. S.他による「Generators of laser and powerful thermal radiation, based on heavy−current plasmodynamic discharge」)との基本的な違いは次の通りである。即ち、(1)プラズモダイナミック放電に対応したボルト−アンペア特性を有する放電回路のパルス特性、(2)プラズマの必要な温度パラメータの実現という目的を含む水素成分と多電子ガス成分の明確な比率(それぞれ、約80%及び20%である)、及び(3)利用される多電子ガス内の電子エネルギーレベルと(自身の重力場内における)下位電子エネルギーレベルの緊密な一致、である。なおこの一致は、クリプトンやキセノンなどを多電子ガスとして使用することを必要としており、この場合には、電子の励起された下位エネルギー状態をクエンチングするための要件によって下方から、並びに、必要なプラズマ温度を実現するための要件によって上方から制限される両方の多電子原子の割合を調節する必要がある。
【0110】
当業者であれば、本発明の実施における様々な変更及び変形が可能であり、これらは、いずれも、本出願人の請求項の範囲内に包含されており、添付の請求項の組内に反映されていることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0111】
1 ガス
2、3 電極
5 放電回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度高温プラズマの安定状態を形成する方法において、
(a)パルス大電流放電を利用して水素及びそのアイソトープから高密度高温プラズマを生成する段階と、
(b)バンドエネルギースペクトルを有する電子の重力波放射の条件に対応したパラメータを有する磁場エリアから前記プラズマを注入する段階と、
(c)eVエネルギーの長波長領域内へのカスケード遷移によって実行される、前記プラズマ内における前記重力波放射のロッキング及び増幅状態への、前記スペクトルに沿ったエネルギー移動と、これと同時の流体静力学的平衡状態への圧縮と、の段階と、
を有し、
段階(c)に示されている前記状態の形成においては、適切な重力場内におけるkeVの領域の電子の基底エネルギーレベルからの自発重力波放射をクエンチングするために、作動ガスの成分内において多電子原子が使用されている方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、高密度高温プラズマの定常状態を得るために水素および多電子原子のみが使用され、前記水素および多電子原子は、核合成の炭素サイクルの反応条件を得るために、水素および炭素、および、水素と、合成反応の触媒と同様にkeVエネルギーの重力波スペクトルのクエンチングのために使用される、炭素サイクル反応の中間生成物(窒素および酸素)と、を含む、方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−16507(P2013−16507A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202531(P2012−202531)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【分割の表示】特願2007−542959(P2007−542959)の分割
【原出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(506257870)