説明

高層住宅の排水管の洗浄方法

【課題】簡便に行えて、メンテナンスも容易な高層住宅の排水管の洗浄方法を提供すること。
【解決手段】排水管の洗浄用の案内管21が、高層住宅Bの下層階から上層階まで延びるように配管される。案内管21は、加圧した洗浄水を供給可能なポンプ車6に接続されて洗浄水を吐出可能な洗浄ホース11を、挿通可能である。案内管21は、高層住宅Bの複数の階に、挿通させている洗浄ホースを取出可能な取出口22を備え、下端21b側の高層住宅の最下層GFに、洗浄ホース11を挿入可能な取入口25を備える。洗浄ホース11は、取入口25付近に配置され、洗浄作業時、洗浄ホースの元部端11aを、ポンプ車6に接続し、かつ、洗浄ホースの先端11b側を、取入口25から案内管21内に挿入させて、開口させた取出口22から取り出し、洗浄ホース11の先端に設けた洗浄ノズルから、ポンプ車6からの洗浄水を噴射させて、排水管1を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高層住宅の排水管の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高層住宅の排水管の洗浄方法では、排水管の洗浄用の立て管を、高層住宅の下層階から上層階まで延びるように配管させて、洗浄する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この洗浄用立て管には、下端側に、洗浄水を洗浄用立て管内に取入可能に、洗浄水を供給可能なポンプ車と接続可能な取入口が、配設されていた。また、洗浄用立て管における高層住宅の複数の階には、洗浄水を噴射可能な洗浄ノズルを先端に設けた洗浄ホースと接続可能として、開閉操作可能な取出口が、配設されていた。そして、洗浄作業時には、取入口にポンプ車を接続させて、ポンプ車から加圧状態の洗浄水を洗浄用立て管内に充填させるとともに、排水管を洗浄する洗浄階の取出口に、若しくは、その洗浄階近傍の階の取出口に、洗浄ホースを接続させて、洗浄ホースを接続させた取出口だけを開口させ、かつ、他の取出口を閉じて、開口された取出口と洗浄ホースとを経て洗浄ノズルから噴射される洗浄水により、排水管を洗浄していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−249918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の洗浄方法では、洗浄用立て管内に15〜30MPaの加圧状態として洗浄水を充填させる必要があり、立て管自体、特に、立て管相互を接続する継手部分に、耐圧性が要求され、耐久性を考慮すれば、使用する洗浄用立て管や継手の選定が難しく、さらに、メンテナンスを考慮すると、より簡便に実施する点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡便に行えて、メンテナンスも容易な高層住宅の排水管の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗浄方法は、高層住宅に配管されている排水管を洗浄する高層住宅の排水管の洗浄方法であって、
排水管の洗浄用の案内管が、高層住宅の下層階から上層階まで延びるように配管され、
案内管が、
洗浄水を加圧して供給可能な水供給源に接続されて、洗浄水を吐出可能な洗浄ホースを、挿通可能として、
高層住宅の複数の階に、開閉操作可能として、案内管内に挿通させている洗浄ホースを取出可能な取出口を設けるとともに、
高層住宅の最下層付近に、洗浄ホースを案内管内に挿入可能な取入口を設けて、構成され、
洗浄ホースを、取入口付近に、配置させておき、
洗浄作業時、洗浄ホースの元部端を、水供給源に接続し、かつ、洗浄ホースの先端側を、取入口から案内管内に挿入させて引き上げるとともに、開口させた取出口から取り出して、洗浄ホースの先端に設けた洗浄ノズルから、水供給源からの洗浄水を噴射させて、排水管を洗浄することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る洗浄方法では、洗浄作業時、排水管を洗浄しようとする洗浄階において、その洗浄階に案内管の取出口が配置されていればその取出口を開口させ、あるいは、その洗浄階に案内管の取出口がなければ、その洗浄階近傍の案内管の取出口を開口させておく。と同時に、取入口付近に配置させた洗浄ホースの元部端を、水供給源に接続させる。また、取入口付近に配置させた洗浄ホースの先端側を、開口させた取入口から案内管内に挿入させて引き上げる。ついで、開口させた取出口から洗浄ホースの先端側を取り出し、洗浄ホースの先端に設けた洗浄ノズルから、洗浄ホースを経て供給される水供給源からの洗浄水を、噴射させれば、排水管を洗浄することができる。
【0008】
そして、本発明に係る洗浄方法では、高層住宅の下層階から上層階まで延びるように配管した案内管自体に、加圧状態の洗浄水を充填せずに、単に、加圧状態の洗浄水を供給可能な洗浄ホースを、挿通させるだけであり、その案内管自体やその継手部分、あるいは、取入口や取出口に、耐圧性を考慮した構成を採用しなくともよく、養生等に厳密な注意を払うことなく、容易に、取入口や取出口を設けた案内管を配管することができる。
【0009】
勿論、洗浄ホース自体には、使用時、洗浄水の圧力が加わるものの、仮に、洗浄ホースに水漏れ部位が発生しても、洗浄ホース全体を取り換えたり、あるいは、部分的に修理や交換が可能であれば、その部分の修理や交換を行えばよい。そして、洗浄ホースは、非使用時、取入口近傍に巻く等して、案内管から取り出した状態で待機させておくことから、容易に、交換や修理を行うことができる。
【0010】
したがって、本発明に係る高層住宅の排水管の洗浄方法は、簡便に行えて、メンテナンスも容易となる。
【0011】
そして、本発明に係る高層住宅の排水管の洗浄方法では、案内管の上端付近に、開閉操作可能として、洗浄ホースの引き上げ時に使用する牽引装置のワイヤを案内管内に挿入可能な引上用開口を、配設させることが望ましい。このような構成では、案内管内において、取入口から所定の取出口まで洗浄ホースの先端側を引き上げる際、案内管の引上用開口から牽引装置のワイヤを垂らし、そのワイヤの下端に洗浄ホースの先端側を接続させて、牽引装置を作動させてワイヤを引き上げれば、洗浄ホースの先端側を、容易に、所定の取出口まで引き上げることができて、洗浄ホースの先端側の取り回しが容易となる。
【0012】
さらに、本発明に係る高層住宅の排水管の洗浄方法では、取出口と取入口とを設けた案内管を、高層住宅に複数並設させてもよい。このような構成では、高層住宅が、複数本の排水管(特に排水立て管)を配管させている場合、洗浄する排水立て管の近傍に配管された案内管の取入口から洗浄ホースを挿入させて、その案内管の近傍の排水立て管を洗浄することができて、その洗浄階での洗浄ホースの取り回しを簡便に行うことができる。また、水供給源がポンプ車からなる場合、そのポンプ車が、駐車車両等に邪魔される事態となっても、駐車できる側にポンプ車を待機させ、そのポンプ車に近い案内管を利用して、円滑に、洗浄作業を行うことができる。
【0013】
また、案内管には、内部に溜まった水を排出可能なドレン用開口を設けておけば、洗浄ホースから洗浄水が漏れて溜まったとしても、ドレン用開口から、溜まった貯留水を排水できて、乾燥させた状態で奇麗に案内管を利用することができる。
【0014】
さらに、取出口は、案内管における複数階毎(2階〜4階毎、4〜10階毎等)に、配設してもよいが、各階に設ければ、洗浄階自体に配置された取出口から洗浄ホースを取り出して、洗浄作業を行えることから、取出口から洗浄ノズルまでホース部分の長さを短くでき、そのホース部分の取り回しが容易となる。
【0015】
さらにまた、案内管は、高層住宅の屋外側に、配設してもよく、この場合には、高層住宅の外壁部位に、案内管の各取出口に対応させて、洗浄ホースの先端側を高層住宅内に取り込み可能な取込用開口を、設ければよい。
【0016】
なお、案内管や取入口付近に配置する洗浄ホースは、屋外のみならず、屋内の場合にも、既設の高層住宅に、後付けで配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の洗浄方法を説明する概略縦断面図である。
【図2】実施形態の洗浄方法を説明する所定階の概略平面図である。
【図3】実施形態の洗浄方法を説明する概略縦断面図である。
【図4】実施形態の洗浄時の洗浄ホースを取出口から取り出す状態を説明する図である。
【図5】実施形態の洗浄方法の具体的な状態を説明する図である。
【図6】実施形態の変形例を説明する概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1〜5に示すように、実施形態の洗浄方法を実施する高層住宅Bには、複数の排水管1の立て管2が最下階から屋上階まで延びるように、並設されて配管されている。さらに、案内管21が、センターコア形の建物の周囲における二箇所の位置に、排水管1の立て管2と同様に、高層住宅Bの最下階から屋上階まで延びるように、並設されて配管されている。
【0019】
各案内管21(21A)は、洗浄ホース11(外径20〜30mm程度)を挿通可能な呼び径(例えば50,80,100等)の鋼管や耐火性を有した合成樹脂製の管材から形成されている。そして、各案内管21には、高層住宅Bの複数の階に、開閉操作可能な蓋体23を開けて、案内管21内に挿通させる洗浄ホース11を取出可能な取出口22が設けられている。実施形態の場合、高層住宅Bの各階に対応して、取出口22が設けられている。また、各案内管21には、高層住宅Bの最下層付近、図例では1階GF付近に、開閉操作可能な蓋体26を開けて、案内管21内に洗浄ホース11を挿入可能な取入口25が設けられている。
【0020】
なお、実施形態の場合、蓋体23,26は、プラグタイプ(ねじ込み式)としているが、開閉可能であれば、ボルト止め等によって、取出口22や取入口25に組み付けてもよい。
【0021】
また、実施形態の場合、各案内管21の下端21b側には、開閉弁32を設けたドレン用開口31が配設され、開閉弁32の開弁時、案内管21に溜まった水をドレン用開口31から図示しない排水横主管等に排水可能としている。
【0022】
さらに、各案内管21には、屋上階TFに延びた上端21a側に、蓋体29を開けて開口させる引上用開口28が設けられている。なお、この蓋体29も、蓋体23,26と同様に、プラグタイプ(ねじ込み式)としているが、開閉可能であれば、ボルト止め等によって、引上用開口28に組み付けてもよい。
【0023】
そして、屋上階TFにおける引上用開口28付近には、牽引装置としてのウインチ34が、配設されている。このウインチ34は、ワイヤ35を、開口させた引上用開口28から案内管21内に挿入させて、ワイヤ35の下端の接続部35a(図4参照)に洗浄ホース11の先端11b側を接続させた後、作動させて、洗浄ホース11の先端11b側を引き上げるものである。
【0024】
また、取入口25付近の最下層GF付近には、ホースリール10に巻き取られた洗浄ホース11が配置されている。この洗浄ホース11は、可撓性を有するとともに、洗浄水を供給可能な水供給源としてのポンプ車6から供給される15〜30MPa(実施形態では25MPa)の圧力の洗浄水Wを、元部端11aから先端11bまで送給可能に、構成されている。洗浄ホース11には、元部端11aに、ポンプ車6の給水口7の接続口部8に接続可能な接続口部12が配設され、先端11bに、接続ホース16の元部側の接続口部17と接続可能な接続口部13が配設されている(図3,4参照)。
【0025】
なお、ホースリール10やウインチ34には、地上GLや屋上階TFでの移動が容易なように、回動自在な車輪10a,34aが下面側に配設されている。
【0026】
洗浄ホース11の先端11bに接続される接続ホース16には、接続口部13と接続可能な接続口部17が設けられ、先端に、洗浄ノズル19が取り付けられている。また、接続ホース16には、開閉弁18が設けられている(図4参照)。
【0027】
そして、接続される接続口部8,12相互と接続口部13,17相互とは、それぞれ、接続解除時の液漏れ防止用の弁機構を内蔵させたホースカップリングから構成されている。
【0028】
実施形態の洗浄方法について説明すると、図3に示すように、排水立て管2を洗浄しようとする洗浄階SFにおいて、その洗浄階SFに案内管21の取出口22が配置されていることから、蓋体23を外して、その取出口22を開口させる。と同時に、取入口25付近の最下層GFに配置させた洗浄ホース11の元部端11a側を、地上GLに待機しているポンプ車6の接続口部8に接続させる。また、最下層GFに配置させた洗浄ホース11の先端11b側を、蓋体26を外して開口させた取入口25から、案内管21内に挿入させる。
【0029】
この時、案内管21の上端21a側の引上用開口28を開口させて、ウインチ34のワイヤ35を、案内管21内に垂らして、接続部35aを洗浄ホース11の先端11b側の接続口部13付近に締結しておく。また、図4のAに示すように、取出口22には、ワイヤ35を挿通可能なスリット38を備えて接続口部13を下面37a側で受け止め可能な受け治具37を挿入させ、スリット38にワイヤ35を挿通させておく。そして、ワイヤ35を牽引するようにウインチ34を作動させて、ワイヤ35とともに接続口部13を引き上げ、図4のBに示すように、受け治具37の下面37aで接続口部13を受け、その接続口部13を、取出口22から取り出すようにすれば、簡便に、接続口部13を設けた洗浄ホース11の先端11b側を、取出口22から取り出すことができる。そして、図4のB,Cに示すように、接続口部13に接続口部17を結合させて、洗浄ホース11と接続ホース16とを接続させる。
【0030】
その後、ポンプ車6を作動させて、開閉弁18を開弁させれば、洗浄ホース11の先端11b側に連なった洗浄ノズル19から、洗浄ホース11と接続ホース16とを経て供給されるポンプ車6からの洗浄水Wを、噴射させることができ、開口させた掃除口4から排水立て管2内に洗浄ノズル19を挿入させておいて、洗浄ノズル19から洗浄水Wを噴射させれば、排水立て管2を洗浄することができる。
【0031】
この時、図5のAに示すように、使用する洗浄ノズル19は、予め、洗浄予定範囲まで降下させた後、引き上げつつ洗浄作業を行う前方噴射ノズル19Fを使用する前方噴射方式、あるいは、洗浄予定範囲まで上昇させつつ洗浄作業を行う後方噴射ノズル19Bを使用する後方噴射方式、を適宜採用すればよい。
【0032】
ちなみに、内径寸法の大きな洗浄ホース11を使用できて、排水立て管2の略全長を一度に洗浄できる場合には、洗浄ノズル19として前方噴射ノズル19Fを使用し、最上階の掃除口4から排水立て管2内に前方噴射ノズル19Fを挿入させ、最下層GFまで前方噴射ノズル19Fを降ろし、洗浄水Wを噴射しながら、前方噴射ノズル19Fと接続ホース16とを引き上げて、排水立て管2を洗浄してもよい。
【0033】
さらに、排水横枝管3を洗浄する場合でも、住戸専有部の場合、図5のBに示すように、住戸に立ち入り、器具から前方噴射ノズル19Fを押し込み、前方噴射ノズル19Fから洗浄水Wを噴射し、汚れを下流側に流しつつ、前方噴射ノズル19Fをさらに押し込んで、前方噴射方式で洗浄する。勿論、図5のCに示すように、排水ヘツダー1aが共用部に設置される等しているSI住宅であれば、住戸に立ち入らずに、共用部の廊下側(排水ヘツダー1aを含む)の掃除口1bから後方噴射ノズル19Bを挿入させ、後方噴射ノズル19Bの自己推進力を利用して、各種器具に連なる複数の排水横枝管3の洗浄が可能となる。
【0034】
その後、洗浄階SFを変える場合には、ポンプ車6の作動を停止させて、開閉弁18を閉弁し、接続口部17,13相互の接続を解除する。ついで、次に洗浄する洗浄階SFの取出口22を、蓋体23を外して、開口させておき、洗浄ホース11の先端11b側を、その開口した取出口22から取り出すように、ワイヤ35の接続部35aに接続させて、ワイヤ35を引き上げ、あるいは、降ろしつつ、ウインチ34を作動させる。そして、既に洗浄を終えた洗浄階SFの取出口22を、蓋体23を組み付けて、閉塞する。次いで、新たな洗浄階SFで、接続ホース16を洗浄ホース11に接続させ、ポンプ車6を作動させるとともに、開閉弁18を開弁して、洗浄ノズル19から噴射される洗浄水Wにより、所定の排水管1を洗浄すればよく、そして、上記の作業を繰り返せば、高層住宅Bの排水管1の洗浄作業を終了させることができる。
【0035】
なお、高層住宅Bにおける洗浄すべき全て箇所の排水管1の洗浄作業が終了したならば、ポンプ車6の作動を停止させて、開閉弁18を閉弁し、接続口部17,13相互と接続口部8,12相互とのそれぞれの接続を解除する。そして、ポンプ車6の周囲の排水溝や案内管21内に、洗浄ホース11や接続ホース16内に貯留された洗浄水Wを排水して、洗浄ホース11を、最下層GFに配置させていたホースリール10に巻き取らせ、蓋体26を組み付けて、取入口25を閉塞するとともに、接続ホース16を、所定の収納場所に収納させておく。そして、最後の洗浄階SFの取出口22を、蓋体23を組み付けて、閉塞し、また、開閉弁32を開弁させて、案内管21内に溜まった貯留水をドレン用開口31から排水し、排水後に、開閉弁32を閉弁しておけばよい。
【0036】
実施形態の洗浄方法では、高層住宅Bの下層階から上層階まで延びるように配管した案内管21自体に、加圧状態の洗浄水Wを充填せずに、単に、加圧状態の洗浄水Wを供給可能な洗浄ホース11を、挿通させるだけであり、その案内管21自体やその継手部分、あるいは、取入口25や取出口22に、耐圧性を考慮した構成を採用しなくともよく、養生等に厳密な注意を払うことなく、容易に、取入口25や取出口22を設けた案内管21を配管することができる。
【0037】
勿論、洗浄ホース11自体には、使用時、洗浄水Wの圧力が加わるものの、仮に、洗浄ホース11に水漏れ部位が発生しても、洗浄ホース11全体を取り換えたり、あるいは、部分的に修理や交換が可能であれば、その部分の修理や交換を行えばよい。そして、洗浄ホース11は、非使用時、取入口25近傍の最下層GFに設置したホースリール10に巻く等して、案内管21から取り出した状態で待機させておくことから、容易に、交換や修理を行うことができる。
【0038】
したがって、実施形態の高層住宅Bの排水管の洗浄方法は、簡便に行えて、メンテナンスも容易となる。
【0039】
なお、洗浄ホース11の先端11b側には、接続ホース16を介在させて、洗浄ノズル19を接続させる構成としたが、接続ホース16を使用することなく、先端11b側に、洗浄ノズル19を取り付けておいて、案内管21内を挿通させてもよい。
【0040】
そして、実施形態の高層住宅Bの排水管の洗浄方法では、案内管21の上端21a付近に、開閉操作可能として、洗浄ホース11の引き上げ時に使用する牽引装置としてのウインチ34から延びるワイヤ35を、案内管21内に挿入可能な引上用開口28が、配設されている。そのため、実施形態では、案内管21内において、取入口25から所定の取出口22まで洗浄ホース11の先端11b側を引き上げる際、案内管21の引上用開口28から牽引装置としてのウインチ34のワイヤ35を垂らし、そのワイヤ35の下端の接続部35aに洗浄ホースの先端11b側を接続させて、ウインチ34を作動させてワイヤ35を引き上げれば、洗浄ホース11の先端11b側を、容易に、所定の取出口22まで引き上げることができて、洗浄ホース11の先端11b側の取り回しが容易となる。
【0041】
また、実施形態では、取出口22と取入口25とを設けた案内管21を、高層住宅Bに複数(図例では2本)並設させている。このような構成では、高層住宅Bが、複数本の排水管1(特に排水立て管2)を配管させている場合、洗浄する排水立て管2の近傍に配管された案内管21の取入口25から洗浄ホース11を挿入させて、その案内管21の近傍の排水立て管2を洗浄することができて、その洗浄階SFでの洗浄ホース11の取り回しを簡便に行うことができる。また、加圧した洗浄水Wを供給する水供給源としてのポンプ車6が、駐車車両等に邪魔される事態となっても、駐車できる側にポンプ車6(図1の二点鎖線参照)を待機させ、そのポンプ車6に近い案内管21Aを利用して、円滑に、洗浄作業を行うことができる。
【0042】
また、実施形態では、案内管21に、内部に溜まった貯留水を排出可能なドレン用開口31が設けられている。そのため、洗浄ホース11から洗浄水Wが漏れたとしても、ドレン用開口31から、漏れた貯留水を排水できて、乾燥させた状態で奇麗に案内管21を利用することができる。
【0043】
さらに、取出口22は、案内管21における複数階毎(2階〜4階毎、4〜10階毎等)に、配設してもよいが、実施形態のように、各階に設ければ、洗浄階SF自体に配置された取出口22から洗浄ホース11を取り出して、洗浄作業を行えることから、取出口22から洗浄ノズル19までホース部分(接続ホース)16の長さを短くでき、そのホース部分(接続ホース)16の取り回しが容易となる。
【0044】
さらにまた、実施形態では、案内管21を高層住宅Bの屋内に配設させた場合を示したが、図6に示すように、案内管21Bは、高層住宅Bの屋外側に、配設してもよく、この場合には、高層住宅Bの外壁部位OPに、案内管21Bの各取出口22に対応させて、洗浄ホース11の先端11b側を高層住宅B内に取り込み可能な取込用開口40を、設ければよい。
【0045】
なお、案内管21(21A),21Bや取入口25付近に配置する洗浄ホース11は、屋外のみならず、屋内の場合にも、既設の高層住宅Bに、後付けで配設してもよい。
【0046】
また、図例の場合には、加圧状態の洗浄水Wを供給する水供給源として、ポンプ車6を例示したが、図6に示すように、高層住宅Bに設けたポンプ装置6Aを水供給源に利用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…排水管、
2…排水立て管、
3…排水横枝管、
6…(水供給源)ポンプ車、
6A…(水供給源)ポンプ装置、
11…洗浄ホース、
11a…元部端、
11b…先端、
19(19F,19B)…洗浄ノズル、
21,21A,21B…案内管、
21a…上端、
21b…下端、
22…取出口、
25…取入口、
28…引上用開口、
31…ドレン用開口、
34…(牽引装置)ウインチ、
35…ワイヤ、
W…洗浄水、
GF…最下層、
B…高層住宅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高層住宅に配管されている排水管を洗浄する高層住宅の排水管の洗浄方法であって、
前記排水管の洗浄用の案内管が、前記高層住宅の下層階から上層階まで延びるように配管され、
前記案内管が、
洗浄水を加圧して供給可能な水供給源に接続されて、前記洗浄水を吐出可能な洗浄ホースを、挿通可能として、
前記高層住宅の複数の階に、開閉操作可能として、前記案内管内に挿通させている前記洗浄ホースを取出可能な取出口を設けるとともに、
前記高層住宅の最下層付近に、前記洗浄ホースを前記案内管内に挿入可能な取入口を設けて、構成され、
前記洗浄ホースを、前記取入口付近に、配置させておき、
洗浄作業時、前記洗浄ホースの元部端を、前記水供給源に接続し、かつ、前記洗浄ホースの先端側を、前記取入口から前記案内管内に挿入させて引き上げるとともに、開口させた前記取出口から取り出して、前記洗浄ホースの先端に設けた洗浄ノズルから、前記水供給源からの洗浄水を噴射させて、前記排水管を洗浄することを特徴とする高層住宅の排水管の洗浄方法。
【請求項2】
前記案内管の上端付近に、開閉操作可能として、前記洗浄ホースの引き上げ時に使用する牽引装置のワイヤを前記案内管内に挿入可能な引上用開口が、配設されていることを特徴とする請求項1に記載の高層住宅の排水管の洗浄方法。
【請求項3】
前記案内管が、前記高層住宅に複数並設されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の高層住宅の排水管の洗浄方法。
【請求項4】
前記案内管が、内部に溜まった水を排出可能なドレン用開口を備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の高層住宅の排水管の洗浄方法。
【請求項5】
前記取出口が、前記高層住宅の各階に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の高層住宅の排水管の洗浄方法。
【請求項6】
前記案内管が、前記高層住宅の屋外側に、配設されるとともに、前記高層住宅の外壁部位に、前記各取出口に対応して前記洗浄ホースの先端側を前記高層住宅内に取り込み可能な取込用開口が、配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の排水管の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−42984(P2011−42984A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192081(P2009−192081)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(390013516)株式会社小島製作所 (19)
【Fターム(参考)】