説明

高気密セパレート構造

【課題】建築物に電気配線のために壁面に設けられる開口部に施される気密構造であって、大きな開口部を設けて配線作業を容易にし、且つ、高い気密性を得ることのできる高気密セパレート構造を提供する。
【解決手段】上記した課題を解決するためになされた本発明の高気密セパレート構造は、建築物に電気配線のために壁面に設けられる開口部に施される気密構造であって、開口部を被覆すると共に略箱体からなるセパレータにおいて、このセパレータは箱体の周縁に固定手段を設けてなり、固定手段によってセパレータを壁面に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高気密セパレート構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に施される気密構造には特許文献1に記載されているような、壁面に形成した開口部から複数の電線を引き込んで分電盤に配線してなる分電盤の気密構造であって、開口部に挿通する電線を挟持可能に形成した気密材で挟持し、気密材が開口部を塞ぐように取り付けたものがある。
【特許文献1】特開2007−336686
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では気密性を高めるために壁面の開口部を可能な範囲で小さくする必要があり、気密部材の大きさと等しく小さな開口部しか設けることができないという欠点があった。又、小さな開口部であるため、壁から電線を引き出す作業が容易ではないという欠点があった。
【0004】
又、壁面に設ける開口部の開口寸法が部材のサイズによって制限されるため、小さな開口部しか設けることができないという欠点があった。
【0005】
このため、本発明によって解決しようとする課題は、建築物に電気配線のために壁面に設けられる開口部に施される気密構造であって、
大きな開口部を設けて配線作業を容易にし、且つ、高い気密性を得ることのできる気密構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するためになされた本発明の高気密セパレート構造は、建築物に電気配線のために壁面に設けられる開口部に施される気密構造であって、開口部を被覆すると共に略箱体からなるセパレータにおいて、セパレータは箱体の周縁に固定手段を設けてなり、固定手段によってセパレータを壁面に固定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の高気密セパレート構造によれば、電気配線等のための開口部を大きく設けることが可能である。又、開口部が大きくなるため配線作業等を容易に行うことが可能となる。
【0008】
又、開口部にセパレータを取り付けるために配線される電線の上下の振分けを事前に行うことが可能である。又、電線の上下の振分けを事前に行うことが可能となるため、気密部材の取付けも容易に行うことが可能となる。
【0009】
本発明では、建築物に電気配線のために壁面に設けられる開口部に対して、セパレータによって配線作業等を容易に行うことのできる気密構造を少ない部品数で可能にした。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
建築物に電気配線のために壁面11、21に設けられる開口部12、22に施される気密構造であって、開口部12、22を被覆すると共に略箱体からなるセパレータ3、13、23において、セパレータ3、13、23は略箱体の周縁に固定手段を設けてなり、固定手段によってセパレータ3、13、23を壁面11、21に固定する。セパレータ3、13、23に設けられる固定手段は略箱体の左右を延長してなる抜止部4、14、24と、必要に応じて部分的に設けられるツメ部5とからなり、抜止部4、14、24とツメ部5によって壁面11、21を挟み込むことでセパレータ3、13、23を固定する。セパレータ3、13、23を用いることにより、電線17、27を配線するために壁面11、21に設ける開口部12、22を大きくすることが可能となり、開口部12、22が大きくなるため電線17、27の配線作業等を容易に行うことが可能となる。又、セパレータ3、13、23によって電線17、27の上下振分けを事前に行うことが可能となるため、誤った配線をする可能性を低くすることが可能となり、後に気密部材28を加える場合であっても、配線作業等を容易に行うことが可能となる。
【0011】
又、既存の気密部材と併せて用いる際には略箱体の四隅に壁面11、21の奥行方向に伸びて形成されると共に開口部12、22に対して設置する際に略箱体を支持するための支持部29を設けることにより、セパレータ3、13、23と気密部材28のお互いの位置を安定させることが可能である。又、先にセパレータ3、13、23によって電線17、27を上下に振り分けているため、気密部材28の取り付けを容易に行うことが可能となる。
【0012】
なお、支持部の数及び設ける位置については本実施例における略箱体の四隅に限定されるものではなく、本発明の趣旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【実施例2】
【0013】
建築物に電気配線のために壁面31に設けられる開口部32に施される気密構造であって、開口部32を被覆すると共に略箱体からなるセパレータ33において、セパレータ33は略箱体の周縁に固定手段を設けてなり、固定手段によってセパレータ33を壁面31に固定する。セパレータ33に設けられる固定手段は略箱体の左右を延長してなる抜止部34と、抜止部34にネジ孔36を設け、壁面31に直接セパレータ33を固定する。セパレータ33を用いることにより、電線37を配線するために壁面31に設ける開口部32を大きくすることが可能となり、開口部32が大きくなるため電線37の配線作業等を容易に行うことが可能となる。又、セパレータ33によって電線37の上下振分けを事前に行うことが可能となるため、誤った配線をする可能性を低くすることが可能となり、後に気密部材38を加える場合であっても、配線作業等を容易に行うことが可能となる。
【0014】
又、既存の気密部材38と併せて用いる際には略箱体の四隅に壁面31の奥行方向に伸びて形成されると共に開口部32に対して設置する際に略箱体を支持するための支持部39を設けることにより、セパレータ33と気密部材38のお互いの位置を安定させることが可能である。又、先にセパレータ33によって電線37を上下に振り分けているため、気密部材38の取り付けを容易に行うことが可能となる。
【0015】
なお、支持部の数及び設ける位置については本実施例における略箱体の四隅に限定されるものではなく、本発明の趣旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0016】
以上のように、本発明の高気密セパレート構造は、建築物において電気配線等を施す際に壁面等に開けられる配線用の開口に対して、セパレータを用いることによって配線作業等を容易に行うことを可能にし、少ない部品数で構成される気密性の高いセパレータを用いた気密構造を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1における、セパレータの斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における、セパレータを壁面に設置した際の斜視図である。
【図3】本発明の実施例1における、既存の気密部材を併用して壁面に設置した際の斜視図である。
【図4】本発明の実施例2における、セパレータの斜視図である。
【図5】従来技術における、気密構造の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
11、21、31、41 壁面
12、22、32、42 開口部
3、13、23、33 セパレータ
4、14、24、34 抜止部
5 ツメ部
36 ネジ孔
17、27、37、47 電線
28、38、48 気密部材
29、39 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に電気配線のために壁面に設けられる開口部に施される気密構造であって、前記開口部を被覆すると共に略箱体からなるセパレータにおいて、該セパレータは前記箱体の周縁に固定手段を設けてなり、該固定手段によって前記セパレータを前記壁面に固定することを特徴とする高気密セパレート構造。
【請求項2】
前記高気密セパレート構造において、略箱体の周縁の必要箇所に壁面の奥行方向に伸びて形成されると共に開口部に対して設置する際に略箱体を支持するための支持部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の高気密セパレート構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−22172(P2010−22172A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182488(P2008−182488)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】