説明

高温材料用スクリーン

【課題】下方側から輻射熱を受けたときの結合部の歪みを抑制する。
【解決手段】一対の側板30と、背板60(連結板)とは、それぞれが備える板状の結合部35及び65を重ね合わせるとともにボルトを用いて連結される。結合部35及び65には、横方向に沿って長孔36及び66が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温材料をふるい分けるための高温材料用スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の高温材料用スクリーンは、高温材料をふるい分けるスクリーン本体と、スクリーン本体の下方側に取り付けられる一対の側板と、一対の側板を連結する連結板と、を備える。また、一対の側板の外面にそれぞれ取り付けられる振動モータにより、高温材料用スクリーンが振動する。
【0003】
この高温材料用スクリーンでは、スクリーン本体へ高温材料が供給される。所定の大きさより大きい高温材料はスクリーン本体に沿って搬送される。所定の大きさより小さい高温材料はスクリーン本体のふるい網を通過して下方側に放出される。そして高温材料用スクリーンは、下方側に放出された高温材料から輻射熱を受ける。例えば鉄鋼用のスラグ搬送に用いられるスクリーンでは、スクリーンの下方側に放出されたスラグから800℃〜1000℃の輻射熱を受ける。
【0004】
なお、例えば特許文献1には高温材料を振動により搬送する高温材料用フィーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−267624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の高温材料用スクリーンには次の問題があった。上述したように、高温材料用スクリーンは下方側から輻射熱を受ける。よって、高温材料用スクリーンを構成する各部材(スクリーン本体や、スクリーン本体に取り付けた板材など)は、上方側よりも下方側で大きく伸びる(熱膨張する)。したがって、各部材が歪む場合がある。
【0007】
また、各部材はボルトで結合されるが、上記の歪みによりボルトが伸びて緩む、ボルトが切れる、及び、ボルトが外れる場合がある。これにより、各部材の結合部に隙間ができる、及び、各部材が外れる場合がある。
【0008】
本発明の目的は、下方側から輻射熱を受けたときの各部材の歪みを抑制できる高温材料用スクリーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、高温材料をふるい分けるスクリーン本体と、前記スクリーン本体の下方側に取り付けられる一対の側板と、一対の前記側板を連結する連結板と、一対の前記側板の外面にそれぞれ取り付けられる振動モータと、2つの前記振動モータをつなぐように一対の前記側板を連結するモータ座と、を備える高温材料用スクリーンである。前記スクリーン本体と、一対の前記側板と、前記連結板とは、それぞれが備える板状の結合部を重ね合わせるとともにボルトを用いて連結される。前記連結板と前記側板とを連結させるための前記結合部には、水平方向に沿って長孔が設けられる。前記スクリーン本体と前記側板とを連結させるための前記結合部には、一対の前記側板が対向する方向に沿って長孔が設けられる。
【0010】
この高温材料用スクリーンでは、スクリーン本体の下方側に取り付けられる一対の側板と、一対の側板を連結する連結板とを備える(以下、スクリーン本体の長手方向を「前後方向」、一対の側板が対向する方向を「横方向」ともいう)。ここで、高温材料用スクリーンは、高温材料による輻射熱を下方側から受ける。よって、上記の側板および連結板は、上方側に対して下方側の温度が高くなり、上方側に対して下方側で大きく伸びる(熱膨張する)(以下、側板および連結板を「各板材」ともいう)。
また、一対の側板と連結板とは、それぞれが備える板状の結合部を重ね合わせるとともにボルトを用いて連結される。上記のように、上方側に対して下方側での各板材の伸びが大きいので、そのままでは、互いに水平方向(前後方向または横方向)にずれようとする力が各板材の結合部に生じ、各板材が歪む。
ここで、連結板と側板とを連結させるための結合部には、水平方向(前後方向または横方向)に沿って長孔が設けられる。この長孔にボルトを通して各板材の結合部を連結した場合、各板材の結合部が互いに水平方向にスライド可能である。よって、各板材の結合部が水平方向にずれようとする力を逃がすことができる。よって、各板材の伸びを逃がすことができる。したがって、各板材の歪みを抑制できる。その結果、各板材の結合部のボルトが伸びて緩むこと、ボルトが切れること、及び、ボルトが外れることを抑制できる。その結果、各板材の結合部に隙間ができること、及び、各板材が外れることを抑制できる。
【0011】
また、この高温材料用スクリーンでは、スクリーン本体の下方側に取り付けられる一対の側板と、一対の側板の外面にそれぞれ取り付けられる振動モータと、2つの振動モータをつなぐように一対の側板を連結するモータ座と、を備える。この構成では、スクリーン本体に対してモータ座は下方側(高温側)に配置される。よって、一対の側板が対向する方向(横方向)における外側向きへの伸びは、スクリーン本体よりモータ座の方が大きい。よって、スクリーン本体の横方向外側向きへの伸びに対して、モータ座が取り付けられた一対の側板の横方向外側への移動は大きい。
また、スクリーン本体と、一対の側板とは、それぞれが備える板状の結合部を重ね合わせるとともにボルトを用いて連結される。上記のように、スクリーン本体に対して一対の側板は横方向外側へ移動しようとするので、そのままでは、互いに横方向にずれようとする力が当該結合部に生じ、スクリーン本体および一対の側板が歪む。
ここで、スクリーン本体と側板とを連結させるための結合部には、一対の側板が対向する方向(横方向)に沿って長孔が設けられる。この長孔にボルトを通して当該結合部を連結した場合、当該結合部が互いに横方向にスライド可能である。よって、当該結合部が横方向にずれようとする力を逃がすことができる。したがって、スクリーン本体および一対の側板の歪みを抑制できる。その結果、上記同様、当該結合部のボルトが外れること等を抑制できる。その結果、スクリーン本体から側板が外れること等を抑制できる。
【0012】
また、この高温材料用スクリーンでは、連結板と側板とを連結させるための結合部には、水平方向に沿って長孔が設けられる。また、スクリーン本体と側板とを連結させるための結合部には、一対の側板が対向する方向(横方向)に沿って長孔が設けられる。よって、これらの長孔に通されるボルトの軸方向は、上記の結合部がずれようとする力の方向に直交する。したがって、ボルトが抜けることを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明に述べたように、本発明によれば以下の効果が得られる。特に、連結板と側板とを連結させるための結合部に、水平方向に沿って長孔が設けられる構成により、連結板と側板との結合部が水平方向にスライド可能である。また、特に、スクリーン本体と側板とを連結させるための結合部に、一対の側板が対向する方向(横方向)に沿って長孔が設けられる構成により、スクリーン本体と一対の側板との結合部が横方向スライド可能である。よって、輻射熱を受けた場合に結合部に生じる上記の力を逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】高温材料用スクリーンの全体図である。
【図2】側板と背板との結合部周辺を示した斜視図である。
【図3】スクリーン本体と側板との結合部周辺を示した図である。
【図4】変形例1に係る図2相当図である。
【図5】変形例2に係る図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る高温材料用スクリーンの実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、高温材料用スクリーン1の全体図である。図2は、図1に示す側板30と背板60との結合部周辺を模式的に示した斜視図である。図3(a)は、図1に示すスクリーン本体20と側板30との結合部周辺を示した図であり、F3a矢視断面図である。なお、図3(a)では高温材料用スクリーン1の横方向における片側半分のみを示している。図3(b)は、図3(a)に示す長孔28周辺を上から見た図であり、F3b矢視図である。以下、図1〜図3を参照して高温材料用スクリーン1の構成について詳細に説明する。
【0017】
高温材料用スクリーン1は、図1に示すように、スラグなど高温の材料をふるい分ける装置である。高温材料用スクリーン1は、ふるい網21(図3(a)参照)を備えるスクリーン本体20を備える。スクリーン本体20の下方側には、一対の側板30(図1では一方のみ図示している)と、前板50(連結板)と、背板60(連結板)とが取り付けられる。また、一対の側板30には、振動モータ41と、振動モータ41をつなぐように配置されるモータ座45(図3(a)参照)とが取り付けられる。なお、高温材料用スクリーン1は例えば吊り下げ式である。また、図1において二点鎖線で示す防振バネ11及び架台12を介して図示しない置き台等に設置しても良い。
【0018】
また、高温材料用スクリーン1は、次のように動作する。例えば高温材料用スクリーン1の上方側に配置した供給路16等からスクリーン本体20へスラグが供給される。ここで振動モータ41を振動させることで、高温材料用スクリーン1全体が振動する(図1に示す方向Aに振動する)。供給されたスラグのうち小さい粒のスラグは、スクリーン本体20のふるい網21(図3(a)参照)を通過して下方側へふるい落とされる。ふるい落とされたスラグは、例えば高温材料用スクリーン1の下方側に配置した排出路17へ排出される。一方で、スクリーン本体20に供給されたスラグのうち、ふるい網21(図3(a)参照)上に残ったスラグは振動により前方側(後述)に搬送される。
【0019】
また、高温材料用スクリーン1は、下方側にふるい落とされたスラグにより輻射熱を受ける。高温材料用スクリーン1を構成する部材は、熱源に近いほど(上方側に対して下方側ほど)大きく伸びる(熱膨張する)。次に、高温材料用スクリーン1の構成を詳細に説明する。
【0020】
スクリーン本体20は、高温材料をふるい分ける、及び、搬送する桶状部材である。以下、スクリーン本体20の長手方向を「前後方向」といい、幅方向を「横方向」(図3(a)参照)という。また、スクリーン本体20は水平方向に対して傾斜して配置され、前後方向両端のうち高さが低い側を「前」、同高い側を「後」とする。スクリーン本体20の外側には高温材料用スクリーン1を吊るための複数のフック20fが固定される。スクリーン本体20の上方側には図示しないカバーを取り付けても良い。また、スクリーン本体20は、図3(a)に示すように、ふるい網21と、ふるい網21を支持する支持部23とを備える。
【0021】
ふるい網21は、高温材料をふるい分ける網状部材である。具体的には、ふるい網21は、前後方向(図1参照)に長い棒状部材が並び、全体として網状に形成されたグリズリーバーである。なお、ふるい網21を、パンチメタル、くし歯等としても良い。
【0022】
支持部23は、ふるい網21に取り付けられ、ふるい網21を側板30に対して支持する部分である。支持部23は、ふるい網21の横方向両端に1つずつ固定される。また支持部23は、側板30とスクリーン本体20とを連結するための結合部27(詳細は後述)を下端部に備える。
【0023】
側板30は、スクリーン本体20の下方側に取り付けられる板状部材であり、振動モータ41が取り付けられる部材である。側板30は、スクリーン本体20の横方向両端に1枚ずつ、合計2枚取り付けられる。側板30には、複数のリブ(図示なし)が横方向に突出するように取り付けられる。また側板30は、図1に示すように、前端部に前板50を連結するための結合部33と、後端に背板60を連結するための結合部35と、上端にスクリーン本体20を連結するための結合部37とを備える(詳細は後述)。
【0024】
振動モータ41は、高温材料用スクリーン1を振動させる装置であり、図3(a)に示すように、一対の側板30の外面30o(横方向外側面)に1つずつ、合計2つ取り付けられる。振動モータ41は、水冷ジャケット42を介して外面30oに固定しても良い。振動モータ41は、様々な振動形式を用いることができる。例えば、図示しないアンバランスウェイトを回転させ、回転軸に直交する方向A(図1参照)に振動を発生させる。この場合、2つの振動モータ41の図示しないアンバランスウェイトを互いに逆回転させ、横方向の振動を打ち消し合うようにする。
【0025】
モータ座45は、2つの振動モータ41をつなぐように一対の側板30を連結する、パイプ状の補強部材である。モータ座45は、本体部分である補強パイプ46と、補強パイプ46の上方側に取り付けられる補強パイプ用ライナー47と、同下方側に取り付けられる補強パイプ用遮蔽板48とを備える。
【0026】
補強パイプ46は、モータ座45の本体部分のパイプ状部材であり、軸方向両端部(横方向両端部)が一対の側板30に取り付けられる。
【0027】
補強パイプ用ライナー47は、スクリーン本体20のふるい網21でふるい落とされたスラグが補強パイプ46に直接衝突するのを防ぐ半円筒状の板である。
【0028】
補強パイプ用遮蔽板48は、高温材料用スクリーン1の下方側にふるい落とされたスラグからの輻射熱が直接補強パイプ46に当たるのを防ぐ半円筒状の板である。
なお、補強パイプ用ライナー47と補強パイプ用遮蔽板48とは軸方向(横方向)中央部のみ溶接して連結する(輻射熱に耐えられないためボルトは用いない)。これにより、上方側に配置した補強パイプ用ライナー47に対して、下方側に配置した補強パイプ用遮蔽板48が横方向へ大きく伸びても(熱膨張しても)、この伸びを逃がすことができる。また、補強パイプ用ライナー47と補強パイプ用遮蔽板48とを、軸方向(横方向)に例えば3つに分割するなどして、さらに上記の伸びを逃がすようにしても良い。
【0029】
前板50(連結板)は、図1に示すように、一対の側板30の前端部を連結する板である。前板50は、横方向両端に一対の側板30を連結するための結合部53を備える(詳細は後述)。前板50にはリブ50rが取り付けられる。なお、高温材料用スクリーン1に前板50を設けない構成としても良い。
【0030】
背板60(連結板)は、一対の側板30の後端部を連結する板である。背板60は、横方向両端に一対の側板30を連結するための結合部65を備える(詳細は後述)。背板60にはリブ60rが取り付けられる。
【0031】
(結合部の詳細)
次に、スクリーン本体20と、一対の側板30と、前板50または背板60と、の結合部について説明する。これらの部材は、それぞれが備える板状の結合部27、33、35、37、53、及び65を重ね合わせるとともにボルトを用いて連結される。
【0032】
(側板と背板との結合部)
側板30の結合部35は、側板30の後端部に形成される板状の部分である。さらに詳しくは、図2に示すように、結合部35は、側板30の後端部が横方向外側に折れ曲がるように形成されたフランジ状の部分である。結合部35は、複数の長孔36を備える。なお長孔36は、後述する長孔66と同様の構成である。
【0033】
背板60の結合部65は、背板60の横方向端部の板状の部分である。結合部65は、結合部35と異なり、折れ曲がるようには形成されない。また、結合部65は、複数の長孔66を備える。そして、結合部65と結合部35とを重ね合わせ、長孔66と長孔36とに通されるボルト(図示なし)を用いて、結合部65と結合部35とが連結される。
【0034】
長孔66は、ボルト(図示なし)の通し孔である。長孔66は、一対の側板30が対向する方向(横方向)に設けられる(横方向が長手方向である)。この長孔66により結合部65と結合部35とが互いに横方向にスライド可能になる(後述)。
【0035】
また、上方側の長孔66よりも下方側の長孔66を長く形成する。例えば、長孔66a、66b、66c、66dの順で長くなるように、長孔66が形成される。下方側(高温側。背板60の横方向の伸びE1が大きい側)の長孔66により、結合部65と結合部35とが横方向にずれようとする力(後述)を逃がすことができる。上方側(低温側。背板60の横方向の伸びE2が小さい側)の長孔66は、背板60と側板30との連結(取り付け)の基準孔とすることができる。
【0036】
なお、側板30の結合部35、及び、背板60の結合部65のうち、少なくともいずれか一方に長孔(長孔36または長孔66)を設ければ良い。
【0037】
結合部35と結合部65とのボルト(図示なし)での連結は、結合部35と結合部65とが横方向にスライド可能となるような結合とする。具体的には例えば二重ナット等を用いてボルトに対してナットを固定する。
【0038】
なお、図1に示す側板30と前板50との結合部(結合部33及び結合部53)についても、図2に示す側板30と背板60との結合部(結合部35及び結合部65)と同様に構成されるので説明を省略する。
【0039】
(スクリーン本体と側板との結合部)
図3(a)に示すように、側板30の結合部37は、側板30の上端部に形成される板状の部分である。さらに詳しくは、結合部37は、側板30の上端部が横方向外側に折れ曲がるように形成されたフランジ状の部分である。結合部37は複数の長孔38を備える。なお長孔38は、後述する長孔28と同様の構成である。
【0040】
スクリーン本体20の結合部27は、支持部23の下端部に形成される板状の部分である。さらに詳しくは、結合部27は、支持部23が横方向外側に折れ曲がるように形成されたフランジ状の部分である。また、結合部27は、図3(b)に示す長孔28を複数備える。そして、図3(a)に示すように、結合部37と結合部27とを重ね合わせ、長孔28と長孔38とに通されるボルト78を用いて、結合部37と結合部27とが結合される。
【0041】
長孔28は、図3(b)に示すように、結合部27に設けられたボルト78の通し孔である。長孔28は、一対の側板30が対向する方向(横方向)に沿って設けられる(横方向が長手方向である)。この長孔28により結合部27と結合部37(図3(a)参照)とが互いに横方向にスライド可能になる(後述)。
【0042】
なお、上記の長孔は、スクリーン本体20の結合部27、及び、側板30の結合部37のうち、少なくともいずれか一方に設ければ良い。
【0043】
また、結合部27と結合部37とのボルト78での結合は、結合部27と結合部37とが横方向にスライド可能となるような結合とする。
【0044】
また、図1に示す、スクリーン本体20と前板50との結合部、スクリーン本体20と背板60との結合部、側板30と振動モータ41との結合部、側板30とモータ座45との結合部、防振バネ11及び架台12と側板30との結合部、その他高温材料用スクリーン1を構成する各部材同士を連結するための結合部に上記と同様の長孔を設けても良い。この場合、高温材料用スクリーン1の下方側からの輻射熱による熱膨張により結合部どうしがずれようとする方向を、長孔の長手方向とする。これにより各部材の伸びや歪みを逃がすことができる。
【0045】
(本実施形態の高温材料用スクリーンの特徴)
本実施形態の高温材料用スクリーン1には以下の特徴がある。
【0046】
(側板と背板との結合部に係る特徴)
この高温材料用スクリーン1では、図1に示すように、スクリーン本体20の下方側に取り付けられる一対の側板30と、一対の側板30を連結する背板60(連結板)とを備える。ここで、高温材料用スクリーン1は、スラグによる輻射熱を下方側から受ける。よって、図2に示すように、背板60は、上方側に対して下方側の温度が高くなり、上方側に対して下方側で横方向に大きく伸びる(伸びE2に対して伸びE1は大きい)。すなわち結合部65は、図2において二点鎖線で模式的に示すような位置及び形状となる。
【0047】
また、一対の側板30と背板60とは、それぞれが備える板状の結合部35、65を重ね合わせるとともにボルト(図示なし)を用いて連結される。上記のように、上方側に対して下方側での背板60の伸びが大きいので、そのままでは、互いに横方向にずれようとする力が結合部35と結合部65との間に生じ、側板30及び背板60が歪む。
【0048】
ここで、結合部35及び65には、横方向に沿って長孔35及び66が設けられる。この長孔35及び66にボルト(図示なし)を通して結合部35と結合部65とを連結した場合、結合部35と結合部65とが互いに横方向にスライド可能である。よって、結合部35と結合部65とが横方向にずれようとする力を逃がすことができる。よって、背板60の横方向の伸びを逃がすことができる。したがって、側板30及び背板60の歪みを抑制できる。その結果、結合部35及び65に差し込んだボルト(図示なし)が伸びて緩むこと、ボルトが切れること、及び、ボルトが外れることを抑制できる。その結果、結合部35と結合部65との間に隙間ができること、及び、側板30と背板60との連結が外れることを抑制できる。
【0049】
なお、高温材料用スクリーン1は、側板30と前板50との結合部33及び53においても上記と同様の特徴を備える。
【0050】
(スクリーン本体と側板との結合部に係る特徴)
また、この高温材料用スクリーン1では、図3(a)に示すように、スクリーン本体20の下方側に取り付けられる一対の側板30と、一対の側板30の外面30oにそれぞれ取り付けられる振動モータ41と、2つの振動モータ41をつなぐように一対の側板30を連結するモータ座45と、を備える。この構成では、スクリーン本体20に対してモータ座45は下方側(高温側)に配置される。よって、横方向外側向きへの伸びは、スクリーン本体20よりモータ座45の方が大きい(伸びE4に対して伸びE3は大きい)。よって、スクリーン本体20の横方向外側への伸びに対して、モータ座45が取り付けられた一対の側板30の横方向外側への移動は大きい。
【0051】
また、スクリーン本体20と、一対の側板30とは、それぞれが備える板状の結合部27及び37を重ね合わせるとともにボルト78を用いて連結される。上記のように、スクリーン本体20に対して一対の側板30は横方向外側へ移動しようとするので、そのままでは、互いに横方向にずれようとする力が結合部27及び37に生じ、スクリーン本体20及び一対の側板30が歪む(側板30は、図3(a)において二点鎖線で模式的に示すように横方向外側に変形しようとする)。
【0052】
ここで、結合部27及び37には、横方向に沿って(図3(b)参照)長孔28及び38が設けられる。この長孔28及び38にボルト78を通して結合部27と結合部37とを連結した場合、結合部27と結合部37とが互いに横方向にスライド可能である。よって、結合部27と結合部37とが横方向にずれようとする力を逃がすことができる。したがって、スクリーン本体20及び一対の側板30の歪みを抑制できる。その結果、上記同様、結合部27及び37に差し込んだボルト78が外れること等を抑制できる。その結果、スクリーン本体20から側板30が外れること等を抑制できる。
【0053】
(ボルト抜けの抑制について)
また、この高温材料用スクリーン1では、図2に示すように、側板30と背板60とを連結させるための結合部35及び65には、横方向に沿って長孔36及び66が設けられる。また、図3(a)に示すように、スクリーン本体20と側板30とを連結させるための結合部27及び37には、横方向に沿って(図3(b)参照)長孔28及び38が設けられる。よって、図2及び図3(a)に示すように、これら長孔28、36、38、及び66に通されるボルトの軸方向(上下方向)は、結合部がずれようとする力の方向(横方向)に直交する。したがって、ボルトが抜けることを抑制できる。
【0054】
(変形例1)
図4に変形例1に係る側板30及び背板60の結合部周辺の模式図を示す。図4は変形例1の図2相当図である。
【0055】
上記実施形態では、図2に示すように、側板30の結合部35、および、背板60の結合部65のうち、結合部35をフランジ状にした。一方で、図4に示すように、側板30の結合部135をフランジ状にせずに、背板60の結合部165をフランジ状にしても良い。この場合、結合部135の長孔136、及び、結合部165の長孔166は、前後方向に長く形成する。この長孔136及び166により、結合部135と結合部165とが互いに前後方向にスライド可能である。
【0056】
ここで側板30は、上方側に対して下方側で大きく伸びる(伸びE6に対して伸びE5は大きい)。すなわち結合部135は、図4において二点鎖線で模式的に示すような位置及び形状となる。よって、そのままでは、結合部135と結合部165とが互いに前後方向にずれようとする力が生じる。しかしながら、長孔136及び166により、この力を逃がすことができる。
【0057】
(変形例2)
図5(a)及び(b)に、変形例2に係るスクリーン本体20及び側板30の結合部周辺を示す。図5(a)は、変形例2の図3(a)相当図である。図5(b)は、図5(a)に示すF5b矢視図である。図3(a)に示すように、上記実施形態ではスクリーン本体20の支持部23の下端に結合部27を設けた。一方で、図5(a)に示すように、結合部127を支持部23の上端に設けても良い。
【0058】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 高温材料用スクリーン
20 スクリーン本体
27、33、35、37、53、65、135、165、227 結合部
28、36、38、66、136、166 長孔
30 側板
41 振動モータ
45 モータ座
50 前板(連結板)
60 背板(連結板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温材料をふるい分けるスクリーン本体と、
前記スクリーン本体の下方側に取り付けられる一対の側板と、
一対の前記側板を連結する連結板と、
一対の前記側板の外面にそれぞれ取り付けられる振動モータと、
2つの前記振動モータをつなぐように一対の前記側板を連結するモータ座と、を備える高温材料用スクリーンであって、
前記スクリーン本体と、一対の前記側板と、前記連結板とは、それぞれが備える板状の結合部を重ね合わせるとともにボルトを用いて連結され、
前記連結板と前記側板とを連結させるための前記結合部には、水平方向に沿って長孔が設けられ、
前記スクリーン本体と前記側板とを連結させるための前記結合部には、一対の前記側板が対向する方向に沿って長孔が設けられる、高温材料用スクリーン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−201648(P2011−201648A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70499(P2010−70499)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】