説明

高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法

【課題】汚染物質からの溶出防止を図り放射線による広域汚染を予防して心配無用な安全、安心な環境作りを実現する。
【解決手段】素焼質胎土表面に釉薬液を塗布して乾燥し、乾燥後正長石等を含む釉薬処理にて複層した後乾燥する第三工程の素焼質胎土を再度窯業用焼成窯で所定高温で所定時間高温燃焼させ、原発内外の廃炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌、汚泥、シルト、ごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の汚染土壌等をガラス質中に封じ込んで放射性物質による汚染物質が溶出しないガラス質の汚染物質封じ込め焼成体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度放射性物質によって汚染した土壌、泥土、シルト等をゼオライトとシラスを主体としたシラスのガラス質、結晶質中に封じ込んで不溶出とし、且前記のように封じ込まれた汚染物質内に含有されている前記高濃度放射性物質の広域汚染を予防する放射能防去低減化技術及び汚染土壌、汚泥等の封じ込め処理法の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平成23年3月11日M9.0の東日本大震災が発生し、予想を遥かに越える大津波を被り大破した福島第1原子力発電所の1〜4号機からは、大地震後今日に至るまで日夜大気中に放射性物質が放出し、ブルームと気流に乗って広範囲に浮遊しつづけている。
【0003】
これらのブルームと気流に乗って大気中を浮遊する大量の高濃度放射性物質は、雨となって福島県を中心に宮城県、山形県、栃木県、群馬県にたなびくブルームによって野山の樹木、水田、校庭、屋根、川等に降って土壌、水、野菜、果物、植物の葉、樹木等に混入、付着し、一方では、河川、海域を通してほぼ全国の動物、魚介類を汚染しつづけ、究極的には人体への健康被害を急速に加速させ、食に対する安全安心が得られない最悪の環境下にある。
【0004】
さらに、前記高濃度放射性物質からは、高いレベルの放射線が流出して放出され、汚染区域が拡大される。その結果、人体、魚類等の生態系を通して健康不安が拡大し、原発の大破による放射性物質から放出されているα線、β線、γ線及び中性子線等の放射線によって汚染した土壌、泥土、シルト等を封じ込め安心、安全な除染と環境作りが急務とされている。
【0005】
その一環として、高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚染水から放射性物質を除染する除染処理装置が原発周辺に設置し稼動しつつあることは周知のとおりである。
【0006】
しかし、前記高濃度放射性物質によって汚染した原発地域周辺を始め、原発よりも遠距離にある地域の汚染土壌や泥土等の除染処理対策の一環として、前記地域の学校の校庭、グランドの汚染土壌の表土を削り取り袋等に詰め込み積み上げ、ビニールシート等で汚染土壌等を除染処理しているのが現状である。しかし、詰め込まれた土壌からは以前として放射性物質の溶出と、それから放射能が放出拡大しつづけている。
【0007】
さらに、前記原子炉周辺には、処理困難な10万ベクレル以上の高濃度の放射性物資によって汚染した大量の水によって汚染した大量の汚泥、シルト等が未処理状態となって放置されている。
【0008】
また、最近ごみ焼却場の焼却灰からも放射線が検出されているが、8000ベクレル以上の廃棄物とこれら焼却灰の処理対策が急務とされている。
【0009】
さらに、従来特許第4576550号として、有害物質含有の未利用スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたエコ資源スラグ有効利用方法(発明者及び権利者は本件出願の発明者及び出願人と同じである。)が開示されている。
【0010】
しかし、前記特許発明は、有害物質含有の未利用スラグに関するもので、高濃度放射性物質によって汚染した土壌、汚泥等を封じ込め不溶出とし、且放射線が放出しないようにしたことを創作の目的としたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4576550号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、平成23年3月11日M9.0の東日本大震災が発生し、予想を遥かに越える大津波により大破した福島第1原子力発電所の1〜3号から高濃度の放射性物質が大気中に放出され気流に乗って浮遊しながら地上や海に降下されているし、雨に付着し大量の雨水となって地球上に降下し川の水、田畑の土壌、校庭の土壌等を汚染し、果実、農作物をも汚染しつづけている。
【0013】
しかるに、環境省原子力安全庁(平成24年4月スタート)が、第1に、放射性物質を含む汚染土壌、汚泥、ごみ焼却灰、糞尿等を始め、広範囲な汚染物(ホットスポット関係、水道関係、農業・水産関係、環境処理施設、原発廃棄物、廃炉廃棄物等の収集・運搬の基準、がれき等仮置場、中間貯蔵施設、最終処分施設の運搬・保管について法制化の方向で検討がなされている。
【0014】
第2に、前記環境省は、前記第1に列挙した放射性物質を含む各種汚染物の中間処理の基準として、8000ベクレル以下と8000ベクレル以上では中間処理施設としてコンクリート固形化、封じ込め化、安全化を基準化中である。
【0015】
第3に、前記環境省は、最終処分の基準として、10万ベクレル以下、10万ベクレル以上の高濃度廃棄物の処理として、コンクリートによる遮断安全化、封じ込め、ガラス化を検討中である。
【0016】
以上を受けて、具体的に取り扱い開始のための除染の基本方針と基準を法制化するとのことである。
【0017】
本発明は、これら環境汚染を引き起こしている8000ベクレル以下、8000ベクレル以上、10万ベクレル以下、10万ベクレル以上の高濃度放射性物質を含む汚染土壌、汚泥、糞尿、及び広範囲の汚染物(ホットスポット関係、水道関係、農業・水産関係、環境処理施設、原発廃棄物、廃炉廃棄物等)を、窯業用磁器土及びゼオライト等と混練し、各種工程による処理を施し、ガラス質中に封じ込んで前記放射性物質による汚染物質が溶出しないガラス質の焼成体(ガラス化)に形成することによって、前記汚染物質からの溶出防止を図り放射線による広域汚染を予防して心配無用な安全、安心な環境作りを実現するという課題を解決するためのものである。
【0018】
さらに、本発明は、前記の高濃度放射性物質を含む汚染土壌、汚泥、糞尿及び広範囲の汚染物を、窯業用磁器土及びゼオライト等と混練し、各種工程による処理を施し、ガラス質中に封じ込んで前記汚染物質が溶出しないガラス質の焼成体(ガラス化)に形成したものを、土木建築用に使用する天然砂とを所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えて混練して適当な大きさと形状の型枠に打込んでコンクリートブロック材にして、水域沈設ブロックや波消しブロック、護岸工事用ブロックとして、さらに魚礁等としての有効利用ができるという課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、原発内外の廃炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥等の汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の高レベル汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等の封じ込め処理法において、
第一工程として、所定量の前記汚染土壌又は前記汚泥又は前記シルト又は前記ごみ焼却灰スラグ等と、所定量の窯業用磁器土もしくは窯業用鉱物粘土とを混練して適当大の胎土を形成し、
第二工程として、前記胎土を窯業用焼成窯で前記胎土内部及び表面に釉薬液が浸透できる所定温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土を形成し、
第三工程として、前記素焼質胎土表面に、釉薬液を塗布して乾燥し、乾燥後正長石等を含む釉薬処理にて複層した後乾燥し、
第四工程として、前記第三工程の素焼質胎土を再度窯業用焼成窯で所定高温で所定時間高温燃焼させ、前記原発内外の廃炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等をガラス質中に封じ込んで前記放射性物質による汚染物質が溶出しないガラス質の汚染物質封じ込め焼成体とすることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0020】
上記課題を解決するための手段として、請求項2に記載の発明は、原発内外の廃炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥等の汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の高レベル汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等の封じ込め処理法において、
第一工程として、所定量の前記汚染土壌又は前記汚泥又は前記シルト又は前記汚染ごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥等の汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の高レベル汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等と、所定量の窯業用磁器土もしくは窯業用鉱物粘土とを混練して適当大の胎土を形成し、
第二工程として、前記胎土を窯業用燃焼窯で胎土内部及び表面に釉薬液が浸透できる750℃付近の温度で10〜12時間燃焼させて素焼質胎土を形成し、
第三工程として、前記第二工程によって形成された前記素焼質胎土表面に、釉薬液を塗布して乾燥後、さらに正長石等を含む釉薬処理にて複層した後、乾燥し、
第四工程として、前記第三工程の釉薬液浸透固形物を再度窯業用焼成窯で750℃付近から序熱せしめて2時間後1100〜1200℃付近の高温で3〜6時間高温燃焼させ、前記原発内外の廃炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、ホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等をガラス質中に封じ込んで前記汚染物質が溶出しないガラス質の汚染物質封じ込め焼成体とすることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0021】
課題を解決するための手段として、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、一般ごみもしくは原子力発電所等爆発によって生じた災害廃棄物を焼却する工程において発生する高濃度放射性物質に汚染されたごみ焼却灰スラグであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0022】
課題を解決するための手段として、請求項4に記載の発明は、前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、下水処理プラント施設において、下水汚泥を成生する工程において発生する高濃度放射性物質に汚染された汚泥スラグ、へドロであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0023】
課題を解決するための手段として、請求項5に記載の発明は、前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、高濃度放射性物質に汚染された稲わら等を飼料として食べた牛が排泄する前記高濃度放射性物質に汚染された糞尿を乾燥、燃焼によって生成した糞尿スラグであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0024】
課題を解決するための手段として、請求項6に記載の発明は、前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、ホットスポットにおいて発生する高濃度放射性物質によって汚染した汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0025】
課題を解決するための手段として、請求項7に記載の発明は、前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、水道処理施設において発生する高濃度放射性物質によって汚染した汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0026】
課題を解決するための手段として、請求項8に記載の発明は、前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、農業・水産処理施設から発生する高濃度放射性物質によって汚染した汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0027】
課題を解決するための手段として、請求項9に記載の発明は、前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、環境処理施設から発生する高濃度放射性物質に汚染した汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0028】
課題を解決するための手段として、請求項10に記載の発明は、前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、原発廃棄物中、汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0029】
課題を解決するための手段として、請求項11に記載の発明は、前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、廃炉廃棄物中、汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0030】
課題を解決するための手段として、請求項12に記載の発明は、前記請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10に記載の発明の第一工程として、前記高濃度放射性物質に汚染された汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ等と、窯業用磁器土と、ゼオライト粉末又はシラス粉末の単体もしくは混合粉末とを所定の割合で混練して適当大の胎土を形成し、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0031】
課題を解決するための手段として、請求項13に記載の発明は、前記高濃度放射性物質の放射線量が、8000ベクレル以下であることを特徴とする請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10又は同11に記載の高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0032】
課題を解決するための手段として、請求項14に記載の発明は、前記高濃度放射性物質の放射線量が、8000ベクレル以上10万ベクレル以下であることを特徴とする請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10又は同11に記載の高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【0033】
課題を解決するための手段として、請求項15に記載の発明は、前記高濃度放射性物質の放射線量が、10万ベクレル以上であることを特徴とする請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10又は同11に記載の高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法である。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、前記請求項1〜15に記載されたとおりであるので、前記した8000ベクレル以下、8000ベクレル以上10万ベクレル以下、10万ベクレル以上の高濃度放射性物質を含む汚染土壌、汚泥、糞尿、及び広範囲の汚染物、例えばホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥等の汚染物、農業・水産の処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ各汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の高レベル汚染土壌又は汚泥又はシルト等を窯業用磁器土及びゼオライト等と混練し、各種工程による処理を施し、ガラス質中に封じ込んで前記放射性物質による汚染物質が溶出しないガラス質の焼成体(ガラス化)に形成することによって、長期にわたり前記汚染物質からの溶出を防止して、且放射線を低減化せしめて放射能汚染によるリスクが最少となるような安全、安心な環境作りを実現することができる利点がある。
【0035】
さらに、本発明は、前記した高濃度放射性物質を含む汚染土壌、汚泥等を前記各工程によって処理し、ガラス質の焼成体にしたので、一定の強度を有しており割れたりせず長期にわたり安全な保管が可能なすぐれた利点を有している。
【0036】
また、本発明は、前記した高濃度放射性物質により汚染された汚染土壌、汚泥等を前記各工程によって処理し、ガラス質の焼成体にしたので、これら焼成体を所定量の土木建築用に使用する天然砂と所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えて混練して適当な大きさと形状の型枠に打込んでコンクリートブロック材にして、コンクリート埋立用ケージ、保管箱外水域沈設ブロックや波消しブロック、護岸工事用ブロックとして、さらに魚礁等としての有効利用ができる利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び泥土等の封じ込め処理法における磁器土にシラスを混練し素焼及び釉薬を塗付して焼成せしめた焼成体の平面図である。
【0038】
【図2】同磁器土にゼオライトとを混練し素焼及び釉薬を塗布して焼成した焼成体の平面図である。
【0039】
【図3】同磁器土とゼオライトとシラスと塩化カリと塩化セシウムとを混練し素焼及び釉薬を塗布して焼成した焼成体の平面図である。
【0040】
【図4】同図3の焼成体の拡大平面図である。
【0041】
【図5】同粘土製素焼体の個体と、前記個体を粉砕せしめた状態を示す写真1と、同磁器土製素焼体の個体と、前記個体を粉砕せしめた状態を示す写真2と、同粘土製素焼体に上薬を塗布して燃焼せしめた焼成体の個体と、前記個体を粉砕せしめた状態を示す写真3と、同磁器土製素焼体に上薬を塗布して燃焼せしめた焼成体の個体と、前記個体を粉砕せしめた状態を示す写真4である。
【0042】
【図6】同図5の粉砕したものの溶出テスト機の写真5と、同図5の粉砕したものを24時間静置のテスト状態を示す写真6と、同図5の粉砕したものをろ過テストをしているテスト状態を示す写真7と、同図5の粉砕したものを原子吸光測定をしているテスト状態を示す写真8である。
【0043】
【図7】完成品(焼成体)磁器土の内側の波形分析を示す図である。
【0044】
【図8】完成品(焼成体)の磁器土の外側の波形分析を示す図である。
【0045】
【図9】完成品(焼成体)の粘土内側の含有成分中、Al,Si,K,Csの定性分析結果と定量分析結果を示す表である。
【0046】
【図10】図9をグラフ化したものである。
【0047】
【図11】完成品(焼成体)の粘土外側のAl,Si,K,Csの定性分析結果と定量分析結果を示す表である。
【0048】
【図12】図11をグラフ化したものである。
【0049】
【図13】完成品(焼成体)の磁器土内側のAl,Si,K,Csの定性分析結果及び定量分析結果を示す表である。
【0050】
【図14】図13をグラフ化したものである。
【0051】
【図15】完成品(焼成体)の磁器土外側のAl,Si,K,Csの定性分析結果及び定量分析結果を示す表である。
【0052】
【図16】図15をグラフ化したものである。 (註)図7〜図16の全成分分析と指定成分(Si、Al、K、Cs)の分析は、近畿大学産業理工学部 荒川剛教授によってなされたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
【実施例の1】
【0054】
請求項1〜15に記載の発明の実施の形態は、一括して以下のとおり説明する。
【0055】
本発明は、原発内外の廃棄炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設汚泥等の汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の高レベル汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等を、以下に説明する第一工程〜第四工程によって焼成体を形成し、この焼成体内に封じ込められた前記汚染土壌等に含有する前記高濃度汚染物質からの溶出防止を図り、もって放射線による広域汚染を予防して、心配無用な安全、安心な環境作りを実現するようにしたものである。
【0056】
本発明は、請求項1〜15の発明の第一工程において共通する点は、胎土を形成することである。
【0057】
本発明の第一工程について説明する。
【0058】
前記請求項1記載の発明に関する実施の第一工程は、所定量の前記汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ又はホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥等の汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の高レベル汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等と、所定量の窯業用磁器土を混練して適当大(球状もしくは丸棒状等)の胎土を形成する。
【0059】
さらに、本発明は、前記胎土が前記請求項1記載の発明の実施以外に、所定量の前記窯業用磁器土と混練する対象物として、一般ごみもしくは原子力発電所等の爆発によって生じた災害廃棄物を焼却した際に発生する高濃度放射性物質に汚染されたごみ焼却灰スラグの所定量であってもよい(請求項3)。
【0060】
また、本発明は、所定量の前記窯業用磁器土もしくは窯業用鉱物粘土と混練する対象物として、下水汚泥を成生する工程において発生する高濃度放射性物質に汚染された汚泥スラグ、へドロの所定量であってもよい(請求項4)。
【0061】
本発明は、所定量の前記窯業用磁器土もしくは窯業用鉱物粘土と混練する対象物として、高濃度放射性物質に汚染された稲わら等を飼料として食べた牛が排泄する糞尿を乾燥もしくは燃焼することによって生成した糞尿スラグの所定量であってもよい(請求項5)。
【0062】
また、本発明は、前記以外に請求項6、7、8、9、10、11に記載の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルトの所定量であってもよい。
【0063】
さらに、本発明は、所定量の前記窯業用磁器土もしくは窯業用鉱物粘土と混練する対象物として、ゼオライト粉末又はシラス粉末の単体もしくは混合粉末の所定量であってもよい。
【0064】
本発明は、第一工程において、窯業用に用いる磁器土を必要とする。
【0065】
つぎに本発明の第二工程について説明する。
【0066】
この第二工程は、前記第一工程によって形成された適当大の胎土を、窯業用焼成窯で、前記胎土内部及び表面に、下記に説明する釉薬液が浸透できる所定温度(750℃付近)で序熱せしめて2時間後に所定時間(10〜12時間)燃焼させて素焼質胎土を形成する。
【0067】
本発明の第三工程について説明する。
【0068】
第三工程は、前記第二工程によって形成された素焼質胎土の表面に前記した釉薬液を塗布して乾燥し、乾燥後長英石等を含む釉薬処理にて複層した後乾燥する。
【0069】
前記第三工程において使用する釉薬液は以下の成分からなっている。
【0070】
本発明の釉薬液の主成分は天然鉱石(例えば火山岩、玄武岩、花崗岩)である。この前記天然鉱石は多様な元素を豊富に含み、微細な連続多孔質構造と静電エネルギーを持ち、親水性があり、各種イオンの発生と酸化還元作用を有し、有害物質を無害な状態に変化させる作用がある。
【0071】
そして、珪素、アルミニウム、鉄などの分子がコロイド(小粒子状)化し、水の浄化、および活性化を促し、間接的に有害微生物の増殖を抑制する機能を持っている。
【0072】
さらに、本発明の釉薬液の製造に使用する天然鉱石の成分は、蛍光X線分析測定によると、Si、Al、Fe、Ca、K、Na、Ti、P、S、Mn、Cr、Sr、Cl、Rb、Zr、Ni、Y、Zn、Ga、As等の元素であることが検出された。
【0073】
前記の天然鉱石は、その生成過程から層状または結晶時において、水分を含有している。
【0074】
そして、静電エネルギーを効率よく外部に放射させるためには、高温窯で約800℃以上に焼成して一次処理を行い、含有水の結晶体を除去する必要がある。
【0075】
そのため、天然鉱石を粉砕して総合的再構築温度を基準にした焼成温度で焼成して、水分除去を行った後、さらにパウダー状に微粉砕する。
【0076】
これを窯業用釉薬(SrO、TiO、CoO、FeO、Fe等)(市販)を基に天然鉱石鉱物成分90〜95重量%と、釉薬成分5〜10重量%、又は鉱物成分80〜95重量%と釉薬成分5〜20重量%をそれぞれ配合し所定の水を加えて、混練後、熟成させると釉薬液が完成する。
【0077】
以上が本発明において使用する釉薬液である。
【0078】
前記釉薬液は、本発明の出願人が出願した特願平2010−011636(エコ資源スラグ有効利用方法)において使用のものと同じである。
【0079】
本発明の第四工程について説明する。
【0080】
この第四工程は、前記第三工程によって乾燥させ前記釉薬液が浸透して、約10倍程度に増量した素焼質胎土を、再度高温焼成窯に入れて、750℃付近から序熱せしめて2時間後所定温度例えば1100〜1200度付近の高温で所定時間例えば3〜6時間かけて高温焼成すると、前記高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、へドロ等をガラス質中に封じ込んで前記汚染物質が溶出しないガラス質の汚染物質封じ込め焼成体が形成される。
【0081】
さらに、本発明は、前記第1実施の形態とは別個に、高濃度放射性物質に汚染された一般ごみもしくは原子力発電所等の爆発によって生じた災害廃棄物を焼却する工程において発生する高濃度放射性物質に汚染されたごみ焼却灰もしくは下水汚泥を成生する工程において発生する高濃度放射性物質に汚染された汚泥スラグもしくは高濃度放射性物質に汚染された稲わら等を飼料として食べた牛が排泄する前記高濃度放射性物質に汚染された糞尿を乾燥、燃焼によって生成した糞尿スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥等の汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、災害廃棄物、原発廃棄物、廃炉廃棄物に汚染された高レベル汚染土壌又は汚泥又はへドロ、シルトの所定量と、所定量のゼオライト粉末及びシラス粉末の単体もしくは混合粉末とを所定の割合で混練して適当大の胎土を形成してもよい。
【0082】
前記第一工程において、ゼオライト粉末及びシラス粉末を使用する理由は、ゼオライトの吸着特性に着目した点である。
【0083】
すなわち、ゼオライト(Zeolite)は、粘土鉱物の一種として、1756年に初めてCronstedtにより発見され、規則的なチャンネル(管状細孔)とキャビティ(空洞)を有する剛直な陰イオン性の骨格からなるアルカリまたはアルカリ土類金属を含む含水アルミノケイ酸塩であること。また、我が国でも国内各地で天然の鉱物資源である天然ゼオライトが産出されていること。さらに、数多くのゼオライト及びその類似物質が人工的に合成されて、こうした合成ゼオライトの一部は工業的にも広く用いられている。
【0084】
さらに、ゼオライトの吸着特性について説明すると、ゼオライトは、その構造固有の細孔を有しており、通常0.2〜1.0nm(1nm=1×10-9m)で分子径に相当するマイクロ孔径を持った多孔体であること。ゼオライトの細孔は一般に、出入り口の細孔径によって大まかに分類され、分子ふるいの作用を生ずるものであること。一方、その細孔径が分子オーダーであるため、細孔内に入った分子がその細孔内に吸着し、留まる減少が生ずるものである。これがゼオライトの吸着の原理で、ゼオライト種によってその吸着特性は大きく変化している。ゼオライトの吸着特性に及ぼす様々な因子を以下に示すと、
(1)細孔構造(次元、員環数、形)
(2)イオン交換・化学反応による細孔径制御
(3)Si/Al比の相違による親疎水性制御
(4)吸着分子と吸着剤の極性
(5)吸着分子の径と形
(6)温度による拡散係数の変化
【0085】
このように、様々な因子に依存するゼオライトの吸着特性は大幅に制御することが可能である。
【0086】
本発明は、前記のような吸着特性を有するゼオライトの構造固有の細孔が、高濃度汚染物質によって汚染された土壌等に含まれている前記高濃度汚染物質を吸着捕縛する。
【0087】
さらに、本発明は、前記ゼオライトの代用品として、もしくは前記ゼオライトと混合してシラスを使用する。
【0088】
前記シラスは、ゼオライトに比べて安価に入手できるので利用価値が十分にある。
【0089】
さらに、本発明は、前記ゼオライト以外に、シラスを粉末状にして単体で使用することも可能である。
【0090】
そして、本発明は、前記ゼオライトの粉末の所定量と前記シラスの粉末の所定量とを混合して、前記窯業用粘土の所定量とを混練して前記と同様の工程処理によって胎土を形成しても良い。
【0091】
前記シラスの成分と性質について説明する。
【0092】
前記シラスの分布と地形について。
【0093】
シラスは、九州南部の平地を中心に分布しており、鹿児島湾北部を囲む地域において最も厚く、湾から遠ざかるに従って薄くなり熊本県人吉市や水俣市、宮崎県宮崎市にも分布している。鹿児島県内でおおむね数10m程度、最大約150mの厚みがある。鹿児島市北西部から日置市にかけて広がる丘陵地や、鹿屋市を中心として広がる笠野原台地は、ほぼ全体がシラスで形成されている。また、霧島市付近に広がるテーブル状の丘陵群は別の地層の上にシラス層が重なるようにして形成されている。上面は平坦になっておりシラス台地と呼ばれる台地を構成している。
【0094】
上記のとおり、シラスは身近なところに分布しており容易にして、且安価に入手できる。
【0095】
前記シラスの成分と性質について。
【0096】
シラスの主成分は、ケイ酸や酸化アルミニウムなどからなる火山ガラスであり、斜長石や石英なども含まれる。50〜58パーセントの空隙を含み、有機物はほとんど含まれていない。比重は1.3程度と軽く、粒子内部にも多数の微小な気泡が含まれており粒子比重も2.30〜2.50と軽い。引っ張り強度は小さく、複雑な粒子形状を呈しているためインターロッキング効果による特殊な剪断特性を示す。白色を呈するものが多いが、灰白色、黄褐色、灰黒色、淡紫色、淡紅色のものも見られる。
【0097】
自然の状態では20〜25パーセントの水分を含み、水分量が増えると著しく強度が低下する。比重が低いことと分散性が高いことから水に流されやすく、樹木などが剥がされて地層が露出すると急速に浸食される傾向があり、急傾斜の深い谷を形成するガリ浸食を受けやすい。地下水流に浸食されて地下空洞を形成することがあり、これが崩落するとシラスドリーネと呼ばれる穴や窪地が形成される。
【0098】
上記のとおり、前記シラスは、50〜58%の空隙を有し、比重は1.3程度軽く、粒子内部に多数の微小な気泡が含まれており、粒子比重も2.30〜2.50と軽い。
【0099】
そこで本発明は、シラスが有する性質を利用し、前記ゼオライトのような構造固有の細孔を有していないが、前記のように空隙(10〜58%)と、内部に多数の微小な気泡によって、前記ゼオライトのように高濃度汚染物資によって汚染されている土壌等に含まれている前記汚染物質を吸着捕縛する。
【試料(焼成体)の実施形態】
【0100】
本発明は、本発明における最良の実施形態を得るために試料(焼成体)を作成し、該試料を分析した。前記試料の作成は以下の工程によって行った。
【0101】
第1工程は、所定量として、10kgの磁器土を5kgずつ分けて、シラス・ゼオライトと別々に練り込み、サンプルを残し、さらに放射性同等物質の塩化カリウム(Kcl)2.5%(250g)及び放射性同等物質の塩化セシウム(Cs137)0.5%(50g)を加えて練り込んだ。そして、所定の大きさ(長さ5cm、径1.5cm)の胎土を複数個形成し乾燥させた。
【0102】
さらに、第2工程は、前記胎土を素焼き処理を行うため窯に入れ750℃付近で10〜12時間燃焼させ素焼きを完了させた。
【0103】
第三工程として、前記第二工程によって形成された前記素焼質胎土表面に、釉薬液を塗付して、乾燥後、さらに正長石等を含む釉薬処理にて複層した後、乾燥した。
【0104】
第四工程(本焼き)として、前記第三工程の釉薬液浸透胎土を再度窯業用焼成窯で950℃付近から序熱せしめ2時間後に1100〜1200℃付近の高温でさらに3〜6時間高温燃焼させ、ガラス質の焼成体を焼成せしめた。
〔前記試料(焼成体(磁器土セラミック、粘土セラミック))の分析試験結果(その1)〕
【0105】
本発明は、前記のようにして焼成せしめた試料(焼成体)の分析試験を財団法人九州環境管理協会(福岡市東区松香台1丁目10番1号)に依頼した。その溶出試験の結果(溶出)は粘土セラミックは表1のとおり定量下限値以下となり、溶出しなかった。又、磁器土セラミックは、表2のとおり定量下限値以下となりイオン交換水に溶出しないことを確認した。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
上記のとおり、放射性同等物質(セシウム・カリウム)等量混合泥土・粘土を焼成後、釉薬処理を施し、しかる後1200℃付近で燃焼し焼成せしめた磁器セラミック及び粘土セラミックの焼成体は、セシウム及びカリウムが封じ込められて蒸留水にも溶け出さないことが実証された。
〔前記試料(焼成体)の溶出試験結果(その2)〕
【0109】
本発明は、前記のようにして焼成せしめた試料(焼成体)の成分試験を九電産業株式会社環境部(福岡市東区名島2丁目18番20号)にも依頼した。その成分試験結果(成分)は表3に示したとおりである。
【0110】
【表3】

【0111】
本発明は、前記のように焼成せしめたガラス質の汚染物質封じ込め焼成体内に封じ込められているとされているセシウムが封じ込められているか否かに付き、蛍光X線(島津製作所製エネルギー分散型)による定量分析を測定した。その結果、全成分分析と指定成分(Si、Al、K、Cs)分析等は図7〜16のとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原発内外の廃炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥等の汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の高レベル汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等の封じ込め処理法において、
第一工程として、所定量の前記汚染土壌又は前記汚泥又は前記シルト又は前記ごみ焼却灰スラグ等と、所定量の窯業用磁器土もしくは窯業用鉱物粘土とを混練して適当大の胎土を形成し、
第二工程として、前記胎土を窯業用焼成窯で前記胎土内部及び表面に釉薬液が浸透できる所定温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土を形成し、
第三工程として、前記素焼質胎土表面に、釉薬液を塗布して乾燥し、乾燥後正長石等を含む釉薬処理にて複層した後乾燥し、
第四工程として、前記第三工程の素焼質胎土を再度窯業用焼成窯で所定高温で所定時間高温燃焼させ、前記原発内外の廃炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等をガラス質中に封じ込んで前記放射性物質による汚染物質が溶出しないガラス質の汚染物質封じ込め焼成体とすることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項2】
原発内外の廃炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥等の汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の高レベル汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等の封じ込め処理法において、
第一工程として、所定量の前記汚染土壌又は前記汚泥又は前記シルト又は前記汚染ごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚染物、農業・水産処理施設の各汚染物、環境処理施設の汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等と、所定量の窯業用磁器土もしくは窯業用鉱物粘土とを混練して適当大の胎土を形成し、
第二工程として、前記胎土を窯業用燃焼窯で胎土内部及び表面に釉薬液が浸透できる750℃付近の温度で10〜12時間燃焼させて素焼質胎土を形成し、
第三工程として、前記第二工程によって形成された前記素焼質胎土表面に、釉薬液を塗布して乾燥後、さらに正長石等を含む釉薬処理にて複層した後、乾燥し、
第四工程として、前記第三工程の釉薬液浸透固形物を再度窯業用焼成窯で750℃付近から序熱せしめて2時間後1100〜1200℃付近の高温で3〜6時間高温燃焼させ、前記原発内外の廃炉等から放出された10万ベクレル以上の放射線汚染廃棄物又は8000ベクレル以上10万ベクレル以下の高濃度放射性物質に汚染された土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、並びにホットスポットの汚染物、水道処理施設の汚泥等の汚染物、農業・水産処理施設のヘドロ各汚染物、環境処理施設のヘドロ汚染物、原発廃棄物、廃炉廃棄物中の汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却スラグ等をガラス質中に封じ込んで前記放射性物質による汚染物質が溶出しないガラス質の汚染物質封じ込め焼成体とすることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項3】
前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、一般ごみもしくは原子力発電所等爆発によって生じた災害廃棄物を焼却する工程において発生する高濃度放射性物質に汚染されたごみ焼却灰スラグであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項4】
前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、下水処理プラント施設において、下水汚泥を成生する工程において発生する高濃度放射性物質に汚染された汚泥スラグ、へドロであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項5】
前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、高濃度放射性物質に汚染された稲わら等を飼料として食べた牛が排泄する前記高濃度放射性物質に汚染された糞尿を乾燥、燃焼によって生成した糞尿スラグであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項6】
前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、ホットスポットにおいて発生する高濃度放射性物質によって汚染した汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項7】
前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、水道処理施設において発生する高濃度放射性物質によって汚染した汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項8】
前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、農業・水産の処理施設から発生する高濃度放射性物質によって汚染した汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項9】
前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、環境処理施設から発生する高濃度放射性物質に汚染した汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項10】
前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、原発廃棄物中の汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項11】
前記請求項1又は同2に記載の発明の第一工程が、廃炉廃棄物中の汚染土壌又は汚泥又はシルトであり、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項12】
前記請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10に記載の発明の第一工程として、前記高濃度放射性物質に汚染された汚染土壌又は汚泥又はシルト又はごみ焼却灰スラグ、へドロ等と、窯業用磁器土と、ゼオライト粉末又はシラス粉末の単体もしくは混合粉末とを所定の割合で混練して適当大の胎土を形成し、第二〜第四工程は前記請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10に記載の発明の第二〜第四工程と同じ工程であることを特徴とする高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項13】
前記高濃度放射性物質の放射線量が、8000ベクレル以下であることを特徴とする請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10又は同11に記載の高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項14】
前記高濃度放射性物質の放射線量が、8000ベクレル以上10万ベクレル以下であることを特徴とする請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10又は同11に記載の高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。
【請求項15】
前記高濃度放射性物質の放射線量が、10万ベクレル以上であることを特徴とする請求項1又は同2又は同3又は同4又は同5又は同6又は同7又は同8又は同9又は同10又は同11に記載の高濃度放射性物質によって汚染した土壌及び汚泥等の封じ込め処理法。

【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113762(P2013−113762A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261564(P2011−261564)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【特許番号】特許第5030042号(P5030042)
【特許公報発行日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 九州環境技術研究所宛提出「セラミック片の成分試験結果報告書」(平成23年7月1日)に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 九州環境技術研究所宛提出「分析結果試験結果報告書」(発行番号第11Q10221号)(平成23年7月8日)に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 九州環境技術研究所宛提出「分析結果試験結果報告書」(発行番号第11Q10222号)(平成23年7月8日)に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 九州環境技術研究所宛提出「分析結果試験結果報告書」(発行番号第11Q10258号)(平成23年7月15日)に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 九州環境技術研究所宛提出「分析結果試験結果報告書」(発行番号第11Q10330号)(平成23年7月15日)に発表
【出願人】(395015559)株式会社関東管財 (5)