説明

高病原性トリインフルエンザウイルスに対するモノクローナル抗体

【課 題】本発明の目的は、モノクローナル抗体の新規製造方法を提供する点にある。また本発明の他の目的は、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスを迅速かつ簡便な検出することができるモノクローナル抗体、該抗体を用いた高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出方法、検出試薬および検出キットを提供する点にある。
【解決手段】抗原を当該抗原の高次構造を保持したまま不活化し、得られた不活化抗原を非ヒト哺乳動物に免疫し、免疫された動物の脾臓から脾臓細胞を単離し、得られた脾臓細胞とミエローマ細胞とを細胞融合させてハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマの産生する抗体と前記抗原との反応性の有無を指標として前記抗原に対するモノクローナル抗体を選択することを特徴とするモノクローナル抗体の製造方法、並びに高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスおよび低病原性トリインフルエンザH5N2ウイルスを特異的に反応するモノクローナル抗体、および該抗体を用いた検出方法、検出試薬および検出キット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモノクローナル抗体の新規製造方法、並びに高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスおよび低病原性トリインフルエンザH5N2ウイルスに対するモノクローナル抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
トリインフルエンザは高病原性株を含み、その感染症は家禽ペスト(高病原性トリインフルエンザ)として、家畜伝染病予防法の法定伝染病に指定されている。近年、先進国を含む幾多の国で高病原性トリインフルエンザが発生しており、また渡り鳥や輸入愛玩鳥がトリインフルエンザウイルスを保有して日本に入ってきている事実が確認されている。
日本で2004年に分離された高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスは、同年4月に京都で分離されたH5N1ウイルスであり、トリインフルエンザウイルスA/crow/Kyoto/53/2004と命名されている。
このような高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスが鳥類に感染し、その感染症が蔓延すると甚大な損害を及ぼすと共に、ヒトへの感染も危惧される。
したがって、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの鳥類への侵入・蔓延を早期に防止するため、該ウイルスの検出法や該ウイルス感染症の診断法の確立が強く要請されている。
【0003】
しかしながら、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスは抗原変異(遺伝子変異)が高率に起こり、その結果として従来のH5型ウイルスに対する抗体では新たに発生するウイルスを検出できない可能性がある。またインフルエンザウイルス全般(H1型からH16型)に反応する抗体では高病原性ウイルスを特定することが難しい。このため、日本で最後に分離された高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスに対しては、迅速・簡便な検出法がないのが実情である。
【0004】
なお、インフルエンザウイルスのNS1蛋白質に対するモノクローナル抗体(特許文献1)、インフルエンザウイルスのM2蛋白質に対するモノクローナル抗体(特許文献2)および1997年および2003年に分離されたインフルエンザウイルスのH5N1蛋白質に対するモノクローナル抗体(非特許文献1)などが報告されているが、2004年以降に分離された高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスおよび低病原性トリインフルエンザH5N2ウイルスに対するモノクローナル抗体については知られていない。
【0005】
【特許文献1】特開2006−67979号公報
【特許文献1】特開2005−519619号公報
【非特許文献1】J.Vet.Med.Sci.66(3):303−305,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、トリインフルエンザウイルスのみならず他のウイルス(例えば、HIVウイルスなど)あるいは癌マーカーなどの抗原に対するモノクローナル抗体を簡便にかつ効率よく製造する方法を提供する点にある。
本発明の他の目的は、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスを迅速かつ簡便に検出することができるモノクローナル抗体、該抗体を用いた高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出方法、検出試薬および検出キットを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、新規なモノクローナル抗体の製造方法を見出すと共に、該製造方法を2004年4月に京都で分離された高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスに適用することにより、該ウイルスに対するモノクローナル抗体の作製に成功し、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は
[1] 抗原を当該抗原の高次構造を保持したまま不活化し、得られた不活化抗原を非ヒト哺乳動物に免疫し、免疫された動物の脾臓から脾臓細胞を単離し、得られた脾臓細胞とミエローマ細胞とを細胞融合させてハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマの産生する抗体と前記抗原との反応性の有無を指標として前記抗原に対するモノクローナル抗体を選択することを特徴とするモノクローナル抗体の製造方法、
[2] 不活化を、抗原をパラホルムアルデヒドで処理することにより行うことを特徴とする前記[1]記載の製造方法、
[3] 不活化抗原を免疫したのち、さらに不活化していない抗原で追加免疫することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の製造方法、
[4] ハイブリドーマの産生する抗体と抗原との反応性の有無を蛍光抗体法(IFA)で検出することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法、
[5] 抗原がウイルスまたは癌マーカーである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法、
[6] 抗原が高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法、
[7] 高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスが2004年4月に京都府で分離されたトリインフルエンザウイルスA/crow/Kyoto/53/2004である前記[6]に記載のモノクローナル抗体の製造方法、および
[8] 前記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法により製造されたモノクローナル抗体、
に関する。
また、本発明は
[9] 高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスおよび低病原性トリインフルエンザH5N2ウイルスに対し特異的に反応するモノクローナル抗体、
[10] 蛍光抗体法(IFA)による反応が陽性である前記[9]に記載のモノクローナル抗体、
[11] さらに、H5N1ウイルスに対して赤血球凝結法による反応が陽性である前記[10]に記載のモノクローナル抗体、
[12] H5N1ウイルスに対して蛍光抗体法(IFA)による反応が陽性であり、かつH5N2ウイルスに対して赤血球凝集法による反応が陽性である前記[9]に記載のモノクローナル抗体、
[13] さらに中和活性を示す前記[9]に記載のモノクローナル抗体、
[14] さらに中和活性を示す前記[10]に記載のモノクローナル抗体、
[15] さらに中和活性を示す前記[11]に記載のモノクローナル抗体、
[16] さらに中和活性を示す前記[12]に記載のモノクローナル抗体、
[17] 病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスが2004年4月に京都府で分離されたトリインフルエンザウイルスA/crow/Kyoto/53/2004である前記[9]〜[16]のいずれかに記載のモノクローナル抗体、
[18] モノクローナル抗体が、マウス−マウス ハイブリドーマ3H12(FERM AP−21030)、マウス−マウス ハイブリドーマ3C11(FERM AP−21027)、マウス−マウス ハイブリドーマ4C12(FERM AP−21028)又はマウス−マウス ハイブリドーマ3H4(FERM AP−21029)で示されるハイブリドーマにより産生される抗体である前記[9]に記載のモノクローナル抗体、
[19] 前記[9]〜[18]のいずれかに記載のモノクローナル抗体を用いる免疫測定法からなる高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出法、
[20] 前記[9]〜[18]のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含有してなる高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出試薬、および
[21] 前記[9]〜[18]のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含有してなる高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出用キット、
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のモノクローナル抗体の製造方法によれば、トリインフルエンザウイルスのみならず各種のウイルスあるいは癌マーカーを始めとする各種疾病マーカーに対して特異的に反応するモノクローナル抗体を好適に製造することができる。
【0010】
また、この新規製造方法において抗原として高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスを用いることにより新規モノクローナル抗体を製造することができる。かくして得られる本発明の新規モノクローナル抗体は、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスおよび低病原性トリインフルエンザH5N2ウイルスと特異的にかつ高感度で反応する。このため、本発明の新規モノクローナル抗体を用いることにより高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスを迅速にかつ容易に検出することができ、また当該ウイルスに感染しているか否か診断することができる。
【0011】
また、本発明の新規モノクローナル抗体は、医薬として、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルス感染症に対する抗体療法に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のモノクローナル抗体の製造方法は、抗原を該抗原の高次構造を保持したまま不活化し、得られた不活化抗原を非ヒト哺乳動物に免疫し、免疫された動物の脾臓から脾臓細胞を単離し、得られた脾臓細胞とミエローマ細胞とを細胞融合させてハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマの産生する抗体と前記抗原との反応性の有無を指標として前記抗原に対するモノクローナル抗体を選択することを特徴とする。
【0013】
本発明方法に適用される抗原としては、ゲノムRNA又はDNAを包む構造タンパク質と、それを取り囲む膜タンパク質又は脂質膜から構成される構造を有するウイルス粒子を形成する粒子である。ゲノムとしてRNAを有する上記ウイルスの例としては、例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)およびHCV類縁ウイルスが挙げられる。HCV類縁ウイルスとしては、例えば、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、フラビウイルス(黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス)、トガウイルス(アルファウイルス、ルビウイルス、アルテリウイルス、ルベラウイルス)、ペスチウイルス(ブタコレラウイルス、ウシ下痢ウイルス)、パラミクソウイルス(パラインフルエンザウイルス1,2,3,4、イヌジステムパ−ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、RSウイルス、リンダペストウイルス、サルパラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス)、オルソクソウイルス(ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、ウマインフルエンザウイルス、ブタインフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(狂犬病ウイルス、水泡性口内炎ウイルス)、ピコルナウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ウシエンテロウイルス、ブタエンテロウイルス、サルエンテロウイルス、マウス脳脊髄炎ウイルス、ヒトライノウイルス、ウシライノウイルス、ウマライノウイルス、口蹄疫ウイルス、A型肝炎ウイルス)、コロナウイルス(ヒトコロナウイルス、ニワトリ伝染性気管支炎ウイルス、マウス肝炎ウイルス、豚伝染性胃腸炎ウイルス)、アレナウイルス(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ラサウイルス、韓国型出血熱ウイルス)、レトロウイルス(HTLV:ヒト成人白血病ウイルス、HIV:エイズウイルス、ネコ白血病肉腫ウイルス、牛白血病ウイルス、ラウス肉腫ウイルス)、レオウイルス(ロタウイルス)、カリシウイルス(ノーウオークウイルス)、ブンヤウイルス(腎症候性出血熱ウイルス)、フィロウイルス(エボラウイルス、マールブルグウイルス)などが挙げられる。
【0014】
また、ゲノムとしてDNAを有する上記ウイルスの例としては、B型肝炎ウイルス(HBV)およびHBV類縁ウイルスが挙げられる。HBV類縁ウイルスとしては、例えば、ポックスウイルス(ワクシニアウイルス、アラストリウムウイルス、牛痘ウイルス、天然痘ウイルス)、パルボウイルス(ヒトパルボウイルス、豚パルボウイルス、牛パルボウイルス、犬パルボウイルス、ネコ白血球減少症ウイルス、ミンクアリューシャン病ウイルス)、パポーバウイルス(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス)、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、EBウイルス、馬ヘルペスウイルス、ネコヘルペスウイルス、マレック病ウイルス)、アフリカ豚コレラウイルスなどが挙げられる。
【0015】
さらに、本発明方法に適用される抗原としては、癌マーカー(腫瘍マーカー)であってもよい。かかる癌マーカーとしては、例えば、CEA、BFP、TPA、IAP、AFP、PIVKA−II、CA19−9、CA50、DUPAN−2、Span―1、NCC−ST−439、エラスターゼ1、SLX、CA125、CA130、CA602、STN、CA72−4、CA54/61、SCC抗原、NSE、CA15−3、BCA225、PAP、PSA、Y―Smなどが挙げられる。
【0016】
本発明においては、まず、当該抗原の高次構造を保持したまま不活化する。この不活化に用いる試薬としては、例えばホルマリン(パラホルムアルデヒド水溶液)、ホルムアルデヒド 、β−プロピオラクトン、エチレンイミン、バイナリーエチレンイミン(BEI)、アセトン、メタノールなどが挙げられる。これらのうちで特に好ましい試薬としては、ホルマリン(パラホルムアルデヒド水溶液)が好適に挙げられる。パラホルムアルデヒド水溶液を用いる場合、Triton−X100を併用するのが好ましい。この不活化処理により、抗原(例えば、病原性ウイルス)の高次構造が保持されたまま不活性化(弱毒化)される。なお、不活化処理したのち、不活化抗原に付着している過剰の試薬を除去するのが好ましい。この試薬除去処理は、適当な緩衝液、例えばリン酸緩衝液(PBS)にて透析することにより容易に実施できる。
【0017】
ついで、高次構造を保持したまま不活化された抗原を用いて、非ヒト哺乳動物に免疫する。ここで用いる非ヒト哺乳動物としては、マウスが好適に用いられるが、必ずしもマウスに限られず、ラット、ウサギなどであってもよい。免疫処理は常法に従って行うことができ、例えば、第1回目の免疫は前工程で得られた不活化抗原をフロインドアジュバンドと共に、第2回目の免疫は不化抗原のみを非ヒト動物(例えば、マウス)に腹腔注射することにより免疫する。さらに必要により、追加的に、不活化していない抗原(抗原がウイルスの場合、感染性ウイルス)を腹腔注射して最終免疫することもできる。最終免疫として不活化していない抗原で免疫しても、あらかじめ不活化抗原で免疫しているため、当該動物が死亡することはない。
【0018】
最終免疫後、動物から脾臓を摘出したのち、単細胞を分離し、得られた脾臓細胞とミエローマ細胞とを融合させてハイブリドーマを得る。融合にはポリエチレングリコールが好適に使用される。
ついで、該ハイブリドーマの産生する抗体と抗原との反応性の有無を指標として抗原に対するモノクローナル抗体を選択する。反応性の有無は蛍光抗体法(IFA)で行うのが好ましい。この場合、第二次抗体として、蛍光ラベルした抗マウスIgG抗体が好適に使用することができる。このようなスクリーニング操作を繰り返し(2次スクリーニング)て所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択することができる。
【0019】
上記方法において、抗原として高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスを用いることにより、本発明の新規モノクローナル抗体を作成することができる。
すなわち、本発明の新規モノクローナル抗体は、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスおよび低病原性トリインフルエンザH5N2ウイルスに対して特異的に反応性を示す。かかるモノクローナル抗体は、次のようにして作製することができる。
抗原となる高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスとして、2004年4月に京都府で分離されたトリインフルエンザウイルスA/crow/Kyoto/53/2004を用いた。このウイルスを例えばパラホルムアルデヒド水溶液で処理して該ウイルスの高次構造を保持したまま不活化する。この不活化により感染性ウイルスは不活性化して感染性がなくなる。得られた不活化ウイルス(すなわち、不活性化ウイルス)を用いてマウスを免疫し、続いて感染性を保持したウイルスを用いてマウスを追加免疫する。感染性ウイルスをナイーブなマウス(すなわち、不活化ウイルスで免疫していないマウス)に感染させるとマウスは死亡すると想定されるが、あらかじめ不活化したウイルスで免疫してあるマウスでは、その後感染性ウイルスで免疫しても死亡することがない。
【0020】
最終免疫から適当な期間(通常5〜10日)経過後、マウスから脾臓を摘出し、公知の方法で単細胞に分離した後、ミエローマ細胞と細胞融合してハイブリドーマを作製する。
ハイブリドーマのうち、H5N1ウイルスに対して反応性を示すモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングは、蛍光抗体法(IFA)で行うことができる。すなわち、イヌ腎臓由来細胞(MDCK)にH5N1ウイルスを感染させたのち、感染した細胞を常法により、例えば4%パラホルムアルデヒド液−1%Triton−X100液により固定・不活性化する。この不活性化された感染細胞に前記で作製されたハイブリドーマの培養上清を加え、ついで蛍光ラベルした抗マウスIgG抗体(例えば、Alexa Fluor 488 Goat anti-Mouse IgG; Invitrogen Ltd. USA)と反応させ、倒立蛍光顕微鏡を用いてH5N1蛋白質に対して特異的に反応するハイブリドーマを選択する。この操作を繰り返してH5Hウイルスに対しするモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
【0021】
また、H5N2ウイルスに対して反応性を示すモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングは、上記と同様蛍光抗体法か赤血球凝集阻害(HI)試験のいずれかの方法により行うことができる。すなわち、蛍光抗体法で行う場合は、感染細胞として、H5N2ウイルスに感受性の高いニワトリ胎児由来繊維芽細胞を用い、ウイルスとして、H5N2(A/Duck/Hong Kong/342/78)ウイルスを用い、前記と同様にして、H5N2ウイルスに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択することができる。また、赤血球凝集阻害(HI)試験による場合は、ハイブリドーマの培養上清(抗体)、H5N2ウイルスおよび赤血球の系で反応させ、赤血球表面に存在するウイルスレセプターとウイルスとを結合による赤血球凝集を引き起こし、赤血球凝集阻害活性を示す抗体を、H5N2ウイルスに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマとして選択する。
【0022】
上記スクリーニングにより、モノクローナル抗体産生クローンが得られる。すなわち、MDCK感染細胞を用いた蛍光抗体法(IFA)により、H5N1ウイルスを特異的に認識するモノクローナル抗体のクローンとして、例えば3H12,3B2,3H4,3C11,4C12,5G1,3D3,2D7,4G8,3D11,4D1のクローンが挙げられる。この中で8クローン(3H12,3B2,3C11,4C12,5G1,3D3,3D11,4D1)はH5N2ウイルスも認識する。また、3H4および3C11は、H5N2ウイルスあるいはH5N1ウイルスに対するHI活性を有することが判明した。さらに4クローン(3H12,3H4,3C11,4C12)は、H5N1ウイルスのMDCKおよびCEF細胞に対する感染を阻害する中和活性を有することが判明した。
【0023】
なお、上記で得られた11クローンのサブタイプを、Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Test Kit(Serotec Ltd,UK)を用いて同定したところ、細胞全体(HAタンパク質を含む)を認識する抗体は全てIgG1であり、核を認識する抗体は全てIgMであった。すなわち、5クローン(3H12,3B2,3H4,3C11,4C12)のサブタイプはIgG1型であり、残りの6クローン(5G1,3D3,2D7,4G8,3D11,4D1)はIgM型であった。
【0024】
上記で得られるクローンのうち、マウス−マウス ハイブリドーマ3H12はFERM AP−21030として、マウス−マウス ハイブリドーマ3C11はFERM AP−21027として、マウス−マウス ハイブリドーマ4C12はFERM AP−21028として、マウス−マウス ハイブリドーマ3H4はFERM AP−21029として、それぞれ独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター中央第6)に寄託されている。
【0025】
本発明に係るモノクローナル抗体(H5N1ウイルスとH5N2ウイルスとを認識するモノクローナル抗体)は、単独でまたは複数の抗体を組み合わせることにより、あるいは更に他のモノクローナル抗体(H5N1ウイルスのみを認識する抗体)と組み合わせることにより、正確にかつ迅速に高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスを検出・同定することができ、また高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルス感染の有無を診断することができる。
【0026】
高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出・同定、あるいは同ウイルスの感染有無の診断は、常法に従って行なうことが出来る。例えば、感染した可能性のある動物(例えば、ヒト、ニワトリ)から分離・採取した被験試料(例えば、全血、血清、血漿、尿、唾液など)に、本発明のモノクローナル抗体を作用させ、蛍光抗体法により抗原・抗体反応の有無を観察するか、或いは被験試料として血液を選択し、これに本発明のモノクローナル抗体を作用させ、血液凝集作用の有無を観察するなどして、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出・同定や同ウイルス感染有無の診断を行なうことができる。ここで採用される蛍光抗体法としては、具体的にはELISA法、イムノクロマト法などが挙げられる。
【0027】
また、本発明の新規モノクローナル抗体は、標識抗体溶液、被験試料(例えば血清)の希釈用液、発色基質、反応停止液などと適宜組み合わせることにより、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスを検出・同定するためのキットとすることもできる。
【0028】
また、新規モノクローナル抗体を高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出・同定、あるいは同ウイルスの感染有無の診断に用いる場合、該モノクローナル抗体は、固体支持体に固相化して用いることもできる。使用できる固体支持体としてはポリスチレンやポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリビニール性のマイクロタイタープレート、試験管、キャピラリー、ビーズ(ラテックス粒子や金属化合物)、膜(リポソームなど)フィルターなどが挙げられる。これらのうち、特にビーズが好ましい。
【0029】
さらに、本発明の新規モノクローナル抗体は、中和抗体として医薬に使用することができる。医薬として使用する場合、マウス型モノクローナル抗体であってもよいが、抗原性を少なくするために、当該抗体をポリエチレングリコール(PEG)修飾したり、或いは当該抗体の相補性決定領域(CDR)とヒト抗体由来の軽鎖の可変領域及び重鎖の可変領域のフレームワーク(FR)の各々とを含むヒト化モノクローナル抗体に改変して使用することができる。
【0030】
なお、抗原として癌マーカーを使用して得られる癌マーカー抗体は、癌マーカーの検出に使用することができる。すなわち、被験試料(例えば癌が疑われる組織細胞)と癌マーカー抗体とを接触させ、蛍光抗体法(IFA)等により癌マーカーと抗体との反応の有無を検出することにより癌マーカーの有無を検出することができる。
【実施例】
【0031】
(1)モノクローナル抗体の作製
1)マウスの免疫
BALB/Cマウス(4週齢、雌、4匹)に高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルス(A/crow/Kyoto/53/2004)を免疫した。ウイルスは発育鶏卵の小尿液より回収し、SW28ローターにて25,000rpm、1時間の超遠心を行い、濃縮精製した。その結果、1010/mlのウイルス粒子を得た。ウイルスは(最終免疫以外は)4%パラホルムアルデヒド液および1%Triton−X100を加えて不活性化し、その後リン酸緩衝液(PBS)にて透析した。マウスへの免疫は合計3回行った。一回目の免疫はウイルス液0.5mlに等量のフロインドアジュバンドを加えて乳化させ、各0.25mlを腹腔注射した。初回の免疫2週間後に二回目の(追加)免疫を行った。この場合はアジュバンドを添加せずに0.25ml不活化ウイルスのみを腹部免疫した。最終免疫は追加免疫の2週間後に行った。感染性ウイルスを含むウイルス液0.25mlを腹腔に接種した。H5N1ウイルスはマウスに対して致死的に感染するため、感染性を有するウイルスをナイーブなマウスに感染させるとマウスが死亡することが想定されるが、本試験ではその前に不活化ウイルスを免疫しているため、致死性のウイルス感染に対しても明確な感染症状を示すことなく、マウスがウイルスに免疫されたと考えられる。
【0032】
2)細胞融合(ハイブリドーマの作製)
最終免疫から3日後にマウスより脾臓を摘出し、無血清培地で2回すすいで夾雑物を除去し、メッシュ濾過にて単細胞に分離した後、ミエローマ細胞(PAI細胞)と細胞融合を行った。融合にはポリエチレングリコール(PEG)を用い、37℃に保温していたPEG溶液0.5mlを30秒毎に1滴を滴下し、5対1の割合で調整した脾細胞とミエローマ細胞をピペットの先で細胞の塊をほぐすように撹拌して融合させた。その後、融合細胞にHAT培地を加えて96ウェルプレートに播種し、37℃で培養した。
【0033】
3)ハイブリドーマのスクリーニング
培養後10日から12日間で細胞のコロニーが十分成育したことを確認した。そこでイヌ腎臓由来細胞(MDCK)に感染したH5N1ウイルスを抗原として抗体スクリーニング(1次)を行い、H5N1ウイルスを特異的に認識する抗体を産生するハイブリドーマを選抜した。MDCKにH5N1ウイルスが1対1になるように感染させ、感染翌日に細胞を4%パラホルムアルデヒド液−1%Triton−X100液を加えて固定・不活化した。感染細胞にハイブリドーマ(抗体産生細胞)の培養上清を加え1時間静置した後、PBSで洗浄し、蛍光ラベルした抗マウスIgG抗体(Alexa Fluor 488 ビツジ・抗マウスIgG;Invitrogen Ltd.USA)を反応させ、倒立蛍光顕微鏡を用いてH5N1ウイルス特異的抗体を産生するハイブリドーマを選抜した。こうして選抜したハイブリドーマをさらに1〜10細胞/ウェルになるように希釈して再度96ウェルプレートに播種し、同様のスクリーニング操作を繰り返し(2次スクリーニング)抗体産生細胞が単細胞から派生していることを確認した。
【0034】
4)抗体の反応性試験
蛍光抗体法(IFA)試験:上記した方法に準じる。なお、H5N2(A/Duck/Hong Kong/342/78)ウイルスおよびH1N1(A/PR8/34)ウイルスをH5N1ウイルス以外に用いたため、H5N2に感受性の高いニワトリ胎児由来繊維芽細胞(CEF)を感染細胞として用いた。
すなわち、H5N1ウイルスで感染させたイヌ腎臓由来細胞(MDCK/H5N1)、H5N2で感染させたニワトリ胎児由来繊維芽細胞(CEF/H5N2)およびH1N1で感染させたニワトリ胎児由来繊維芽細胞(CEF/H1N1)を調製し、これにハイブリドーマの培養上清を作用させたのち、蛍光ラベルした抗マウスIgG抗体を反応させ、倒立蛍光顕微鏡を用いて抗原・抗体反応の有無を調べた。
【0035】
赤血球凝集阻害(HI)試験:インフルエンザウイルスは粒子表面タンパクであるヘマグルチニン(HA)タンパク質が各種動物の赤血球表面にあるウイルスレセプター分子(シアル酸)と結合することにより赤血球凝集(HA反応)を引き起こす。HA抗原を認識する抗体にはこのHA反応を阻害する抗体(HI抗体)があり、臨床分離ウイルスの同定試験に用いられる。そのため本試験で得られたモノクローナル抗体の中からH5型ウイルス(H5N1およびH5N2)反応性のHI抗体を選抜するためHI試験を行った。抗体(培養上清)を96ウェルラウンド(丸型)プレートを用いて2倍の階段希釈を行い、その抗体液にH5N1およびH5N2ウイルス(ウイルス量:4HAU))を等量(25il)加えて、室温で1時間反応させた。その後、プレートを氷上に静置し、50ilの0.5%ニワトリ赤血球液を加えて約30分後にHA反応を阻害しているHI抗体の判定を行った。
【0036】
中和抗体:得られた抗体の中でウイルス感染を阻止する中和抗体を選抜するため、感染阻害試験を行った。H5N1ウイルス(ウイルス量:10/ml)10μlを抗体と室温で1時間反応させた。その後、ウイルス/抗体液を10個のMDCKあるいはCEF細胞と混合し、さらに室温で1時間静置し、感染させた。感染細胞は24ウェルプレートに播種して37℃のCO2インキュベーターで培養し、24時間毎に倒立顕微鏡で観察し、ウイルス感染による細胞傷害活性の有無を判定した。
【0037】
サブタイプの同定:得られたクローンのサブタイプを決定するため、Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Test Kit(Serotec Ltd,UK)を用いた。
【0038】
5)結果
MDCK感染細胞を用いたIFA試験によるスクリーニングにおいて、H5N1ウイルスを特異的に認識するモノクローナル抗体11クローン(3H12,3B2,3H4,3C11,4C12,5G1,3D3,2D7,4G8,3D11,4D1)を得た。この中で8クローン(3H12,3B2,3C11,4C12,5G1,3D3,3D11,4D1)はH5N2ウイルスも認識することが判明した。また、3H4および3C11は、H5N2ウイルスあるいはH5N1ウイルスに対するHI活性を有することが明らかとなった。さらに4クローン(3H12,3H4,3C11,4C12)は、H5N1ウイルスのMDCKおよびCEF細胞に対する感染を阻害する中和活性を有することが判明した。5クローン(3H12,3B2,3H4,3C11,4C12)のサブタイプはIgG1型であり、残りの6クローン(5G1,3D3,2D7,4G8,3D11,4D1)はIgM型であった。
上記結果をまとめると、下記表1の通りである。
【0039】
【表1】

【0040】
6)ヒトから分離されたトリインフルエンザウイルスとの反応性試験
高病原性トリインフルエンザウイルスH5N1に感染した患者から分離された臨床分離株A/Tailand/Kan353/2004株のヘマグルチニン(HA)遺伝子(登録番号EF541411)の塩基配列に基づきcDNAを合成し、これをベクターpCAGGSに組み込みリポフェクション法によりヒト咽頭癌由来のHEp2細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞をMEM培地中、37℃で12時間培養してヘマグルチニン(HA)蛋白質を発現させ、これにマウス−マウス ハイブリドーマ3H12(FERM AP−21030)、マウス−マウス ハイブリドーマ3C11(FERM AP−21027)、マウス−マウス ハイブリドーマ4C12(FERM AP−21028)又はマウス−マウス ハイブリドーマ3H4(FERM AP−21029)で示されるハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体(ハイブリドーマの培養上清)を加え、37℃で30分間静置した。ついで、PBSで洗浄し、蛍光ラベルした抗マウスIgG抗体(Alexa Fluor 488 ビツジ・抗マウスIgG;Invitrogen Ltd.USA)を反応させ、倒立蛍光顕微鏡を用いて抗原・抗体反応の有無を調べた。
その結果、いずれのモノクローナル抗体も抗原・抗体反応が陽性であった。このことから、本発明の新規モノクローナル抗体はヒトに感染した高病原性トリインフルエンザウイルスの検出にも有用であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のモノクローナル抗体の製造方法は、抗原のエピトープ部分のみ認識する抗体ではなく、抗原の高次構造を認識する抗体を製造することができるので、変異し易いウイルスに対するモノクローナル抗体を簡便に製造するのに適した方法である。また、この方法に抗原として高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスを適用して製造される本発明の新規モノクローナル抗体は、高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスを迅速かつ容易に検出・同定することができ、また該ウイルスの感染有無を診断するのに有用である。さらに、本発明のモノクローナル抗体は中和抗体としてトリインフルエンザフィルスに感染した患者の治療に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原を当該抗原の高次構造を保持したまま不活化し、得られた不活化抗原を非ヒト哺乳動物に免疫し、免疫された動物の脾臓から脾臓細胞を単離し、得られた脾臓細胞とミエローマ細胞とを細胞融合させてハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマの産生する抗体と前記抗原との反応性の有無を指標として前記抗原に対するモノクローナル抗体を選択することを特徴とするモノクローナル抗体の製造方法。
【請求項2】
不活化を、抗原をパラホルムアルデヒドで処理することにより行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
不活化抗原を免疫したのち、さらに不活化していない抗原で追加免疫することを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
ハイブリドーマの産生する抗体と抗原との反応性の有無を蛍光抗体法(IFA)で検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
抗原がウイルスまたは癌マーカーである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
抗原が高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスが2004年4月に京都府で分離されたトリインフルエンザウイルスA/crow/Kyoto/53/2004である請求項6に記載のモノクローナル抗体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法により製造されたモノクローナル抗体。
【請求項9】
高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスおよび低病原性トリインフルエンザH5N2ウイルスに対し特異的に反応するモノクローナル抗体。
【請求項10】
蛍光抗体法(IFA)による反応が陽性である請求項9に記載のモノクローナル抗体。
【請求項11】
さらに、H5N1ウイルスに対して赤血球凝結法による反応が陽性である請求項10に記載のモノクローナル抗体。
【請求項12】
H5N1ウイルスに対して蛍光抗体法(IFA)による反応が陽性であり、かつH5N2ウイルスに対して赤血球凝集法による反応が陽性である請求項9に記載のモノクローナル抗体。
【請求項13】
さらに中和活性を示す請求項9に記載のモノクローナル抗体。
【請求項14】
さらに中和活性を示す請求項10に記載のモノクローナル抗体。
【請求項15】
さらに中和活性を示す請求項11に記載のモノクローナル抗体。
【請求項16】
さらに中和活性を示す請求項12に記載のモノクローナル抗体。
【請求項17】
病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスが2004年4月に京都府で分離されたトリインフルエンザウイルスA/crow/Kyoto/53/2004である請求項9〜16のいずれかに記載のモノクローナル抗体。
【請求項18】
モノクローナル抗体が、マウス−マウス ハイブリドーマ3H12(FERM AP−21030)、マウス−マウス ハイブリドーマ3C11(FERM AP−21027)、マウス−マウス ハイブリドーマ4C12(FERM AP−21028)又はマウス−マウス ハイブリドーマ3H4(FERM AP−21029)で示されるハイブリドーマにより産生される抗体である請求項9に記載のモノクローナル抗体。
【請求項19】
請求項9〜18のいずれかに記載のモノクローナル抗体を用いる免疫測定法からなる高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出法。
【請求項20】
請求項9〜18のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含有してなる高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出試薬。
【請求項21】
請求項9〜18のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含有してなる高病原性トリインフルエンザH5N1ウイルスの検出用キット。

【公開番号】特開2008−104450(P2008−104450A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174587(P2007−174587)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】