説明

高純度クリストバライト粒子及びその製造方法

【課題】ウラン及びトリウムの含有量が少なく、かつアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が少ない高純度のクリストバライト粒子、及びこのクリストバライト粒子を短時間で効率よく、しかも経済的に製造する方法を提供する。
【解決手段】表面の一部又は全面にアルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属及び/又はその酸化物が、金属換算で200〜2,000ppm存在する高純度クリストバライト粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリーなどの半導体素子用封止材の充填剤に適した、表面に微量の金属あるいは金属酸化物を有する高純度のクリストバライト粒子、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非晶質合成シリカをクリストバライトに転化する方法として、例えば、特開昭61−58822号、特開昭61−58823号、特開昭63−233008号公報(特許文献1〜3)などが提案されている。これらの方法は、非晶質シリカに対し多量のアルカリ金属成分を添加しており、生成したクリストバライトには多くのアルカリ金属が残存し、高純度クリストバライトとしては適さないものである。
【0003】
また、特開平3−8708号公報(特許文献4)では、アルカリ金属成分の含有量が低い高純度クリストバライトの製造方法が記載されている。この方法は、アルカリ金属成分の含有量が低い非晶質二酸化珪素に、アルカリ金属成分を添加せずに高温で処理するものであるが、非晶質二酸化珪素の微粒子を凝集粒子に造粒したものをクリストバライト結晶粒子と混合した後に焼結すること、及びクリストバライト化に長時間要することから生産性が非常に悪い。
【0004】
一方、特開平5−193926号公報(特許文献5)では、アルカリ金属やアルカリ土類金属のそれぞれの含有量が1ppm以下で、その内部にクリストバライト粒子を包含する非晶質シリカ粒子を温度1,200〜1,700℃で加熱処理することで非晶質シリカのクリストバライト化を促進する製造方法が記載されている。しかし、この製造方法では、あらかじめ非晶質シリカに添加する種結晶となる高純度のクリストバライトを製造しなければならないといった問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−58822号公報
【特許文献2】特開昭61−58823号公報
【特許文献3】特開昭63−233008号公報
【特許文献4】特開平3−8708号公報
【特許文献5】特開平5−193926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ウラン及びトリウムの含有量が少なく、かつアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が少ない高純度のクリストバライト粒子、及びこのクリストバライト粒子を短時間で効率よく、しかも経済的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ウラン、トリウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属の含有量が極めて少ない高純度非晶質シリカのみを用い、直接高温でクリストバライト化することにより、アルカリ金属やアルカリ土類金属の含有量が少ない高純度のクリストバライト粒子を短時間で効率よく、しかも経済的に製造し得ることを見出した。
通常、高純度シリカは、前記した公知の特許文献にも記載されているようにクリストバライト化しづらく、生産性が非常に悪いため、実用に供することができないものであるが、本発明者らは、このような高純度非晶質シリカの表面をアルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属を含有する有機金属化合物、該有機金属化合物のゾル又はスラリーで表面処理した後、1,000〜1,600℃の温度で加熱処理することで、容易にクリストバライト化できることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は、下記高純度クリストバライト粒子及びその製造方法を提供する。
〔請求項1〕
表面の一部又は全面にアルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属及び/又はその酸化物が、金属換算で200〜2,000ppm存在する高純度クリストバライト粒子。
〔請求項2〕
ウラン及びトリウムのそれぞれの含有量が1ppb以下、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のそれぞれの含有量が10ppm以下、最大粒径が200μm以下である請求項1記載の高純度クリストバライト粒子。
〔請求項3〕
クリストバライト粒子が球状である請求項1又は2記載の高純度クリストバライト粒子。
〔請求項4〕
ウラン及びトリウムのそれぞれの含有量が1ppb以下、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のそれぞれの含有量が10ppm以下、最大粒径が200μm以下の高純度非晶質シリカを、アルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属を含有する有機金属化合物又は該有機金属化合物のゾルもしくはスラリーで表面処理した後、1,000〜1,600℃で加熱処理することを特徴とする高純度クリストバライト粒子の製造方法。
〔請求項5〕
前記有機金属化合物が、金属アルコキシド、金属酸化物又は金属水酸化物である請求項4記載の製造方法。
〔請求項6〕
高純度非晶質シリカ表面を処理する有機金属化合物又は有機金属化合物のゾルもしくはスラリーの表面処理量が、高純度非晶質シリカに対し金属元素換算で100ppm以上である請求項4又は5記載の製造方法。
【0009】
なお、本発明において、アルカリ金属とは、周期表において第1族に属する元素のうち水素を除いたリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムをいう。また、アルカリ土類金属とは、周期表において第2族に属する元素のうちベリリウムとマグネシウムを除いたカルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムをいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法では、アルカリ金属などの不純物となる核形成剤やクリストバライト粒子を包含させることなく、高純度の非晶質シリカを容易にクリストバライト化することができる。
本発明の方法で得られたクリストバライト粒子は、粒子表面に微量のアルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属やアルミナなどのこれらの金属酸化物を有することから高活性表面を有しており、触媒としての利用も考えられる。また、表面処理せずに又は表面をカップリング剤などで被覆することで半導体素子封止用樹脂組成物の充填剤として用いられる他、高品質セラミックスや透明石英ガラス原料として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のクリストバライト粒子は、表面の一部あるいは全面にアルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属あるいはこれらの金属酸化物層が存在する高純度のクリストバライト粒子であり、該クリストバライト粒子は、ウラン及びトリウムのそれぞれの含有量が1ppb以下、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のそれぞれの含有量が10ppm以下、最大粒径が200μm以下の高純度非晶質シリカを、アルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属を含有する有機金属化合物又は該化合物のゾルもしくはスラリーで表面処理した後、1,000〜1,600℃で加熱処理することにより製造することができる。
【0012】
本発明で使用する原料となる高純度非晶質シリカは、合成又は天然に存在する高純度水晶や結晶シリカを粉砕し所定の粒度に調整したものや、この粒度調整した粉砕粒子を火炎中に通し溶融球状化させることで得られる球状非晶質シリカである。必要とする粒度に調整するために異なる粒度の球状シリカをブレンドしても良い。
【0013】
特に、半導体素子封止用樹脂組成物の充填剤として使用する場合は、最大粒径が200μm以下、望ましくは100μm以下であって、平均粒径が0.3〜30μm、特に5〜20μm程度のものが望ましい。最大粒径が大きすぎると半導体デバイスを封止する際、金型のゲート部を閉塞したり、半導体デバイスとリード端子を接続する金線を変形するなどの問題がある。また平均粒径が小さすぎると組成物の粘度が増加し、未充填などの成形不良が発生しやすくなる。
なお、本発明において、最大粒径及び平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、SALD−3100:島津製作所製など)により測定することができ、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(即ち、累積質量が50%となるときの粒子径又はメジアン径)として求めることができる(以下同様)。
【0014】
また、本発明で使用する高純度非晶質シリカは、ウラン及びトリウムのそれぞれの含有量(金属元素質量換算、以下同じ)が1ppb以下、好ましくは0.5ppb以下、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のそれぞれの含有量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下のものを使用する。ウラン、トリウムの含有量が多いシリカを半導体封止用樹脂組成物の充填剤に使用した場合、ウランやトリウムから発生するα線によりDRAMなどのメモリー素子が誤動作する問題がある。また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が多いと半導体封止用樹脂組成物の充填剤に使用した場合、半導体素子の電極が腐食する問題がある。メモリーなどの半導体素子封止に使用するためには、ウラン及びトリウムの含有量がそれぞれ1ppb以下でなければならず、かつα線発生量が0.005CPH/cm2であることが好ましい。
【0015】
本発明においては、高純度非晶質シリカを効率よくクリストバライト化するために、金属元素として、アルミニウム、マグネシウム、チタンを用いた特定の有機金属化合物、該化合物のゾルあるいはスラリーで表面処理する。有機金属化合物としては種々のものが使用可能であるが、望ましくは金属アルコキシド、金属酸化物、金属水酸化物を使用することができる。
この場合、金属酸化物、金属水酸化物としては、平均粒径が0.1μm以下であるナノ金属酸化物、ナノ金属水酸化物であることが好ましい。
【0016】
また、アルミニウム、マグネシウム、チタンのアルコキシドを水で加水分解することで得られるゾルで高純度非晶質シリカ表面を処理しても良い。更に、アルミニウム、マグネシウム、チタンのナノ金属酸化物又は水酸化物を、水やアルコールなどの溶剤に懸濁させた溶液(スラリー)で高純度非晶質シリカ表面を処理しても良い。なお、スラリー中の有機金属化合物濃度は、金属元素質量換算で100ppm以上であることが好ましい。
【0017】
表面処理方法としては、有機金属化合物を使用する場合は所定量をアルコールやケトン系などの溶剤に溶解し、また液体の場合はそのままの状態で高速混合装置を用いてシリカ表面に直接スプレー塗布することで容易に処理することができる。また、この溶液中にシリカを添加した後、溶剤を揮発させて除去しても良い。
スラリーやゾルを用いる場合は、シリカ粉体を高速混合装置に入れ、高速で混合しながら金属酸化物などの有機金属化合物水溶液(スラリーあるいはゾル)をスプレーで塗布し、シリカの表面処理を行うことでシリカ表面に金属酸化物などの有機金属化合物水溶液を付着させる。この表面処理したシリカを乾燥させることでシリカ表面に微細な金属酸化物などの有機金属化合物が付着した凝集粒子を得、これを1次粒子に解砕することにより処理することができる。
【0018】
シリカの表面処理時間は、通常5分〜30分で十分である。それ以上撹拌混合しても十分な効果が得られない。また、処理したシリカ表面を乾燥させるための処理温度は80〜130℃程度の温度で2時間〜8時間である。
処理量としては、高純度非晶質シリカに対し、上記有機金属化合物又は該化合物のゾルもしくはスラリーが金属元素質量換算で100ppm以上であれば何ら問題がない。望ましくは300〜3,000ppmである。100ppm未満ではクリストバライト化の進行が遅く、生産性が悪化する。また、3,000ppmより多い量ではクリストバライト化は短時間で進行するが、この粒子の用途によっては粒子表面に多量の金属あるいは金属酸化物層が形成されることから問題となる場合がある。
【0019】
上記表面処理した高純度非晶質シリカを、1,000〜1,600℃、好ましくは1,200〜1,500℃で加熱処理することで、クリストバライト粒子が得られる。加熱温度が低すぎるとクリストバライト化率が低く、高すぎると粒子同士が融着してしまう。
【0020】
表面処理した高純度非晶質シリカを高温で処理してクリストバライト化するに際し、使用する容器は不純物の少ない高純度の容器でなければならない。通常使用するアルミナなどの容器では、容器中にウランやトリウムが多量に存在し、高温で処理している最中にウランなどが揮散し、シリカ表面に付着する不具合が発生する。このため、容器としてはウランやトリウムの含有量が少ない石英製のものが望ましい。
【0021】
加熱処理は、表面を処理した原料シリカを石英製の容器に入れ、所定の温度に設定された管状炉、箱形炉、トンネル炉などを使用し、空気中、窒素などの不活性ガス中などで行うことができる。また、加熱方法は1,000〜1,600℃に設定できるものであれば電気、燃焼ガスなどいずれでも良い。加熱処理時間は1時間以上であることが好ましく、より好ましくは2時間〜30時間である。
加熱処理後は、処理温度から200℃まで5℃/分以下で冷却することが好ましい。これより早く冷却するとクリストバライト化率が低下するおそれがある。より望ましくは3℃/分以下である。200℃まで冷却させたら、その後室温まで自然放冷することが好ましい。
【0022】
このようにして得られたクリストバライト粒子は、表面の一部あるいは全面にアルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属あるいはこれらの金属酸化物が存在する高純度のものである。この表面金属あるいはその酸化物は、上記表面処理に用いた有機金属化合物の金属に由来するもので、その存在量は、クリストバライト粒子表面中に金属元素質量換算で200〜2,000ppm、特に500〜1,500ppm存在することが好ましい。多すぎるとクリストバライトの表面活性が異なり組成物の硬化性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0023】
更に、該クリストバライト粒子は、ウラン及びトリウムのそれぞれの含有量が1ppb以下、特に0.5ppb以下であることが好ましく、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のそれぞれの含有量が10ppm以下、特に5ppm以下であることが好ましい。ウラン、トリウムの含有量が多いシリカを半導体封止用樹脂組成物の充填剤に使用した場合、ウランやトリウムから発生するα線によりDRAMなどのメモリー素子が誤動作する問題がある。また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が多いと半導体素子の電極が腐食する問題がある。
【0024】
また、該クリストバライト粒子は、最大粒径が200μm以下、特に100μm以下の球状であることが好ましい。最大粒径が大きすぎると半導体デバイスを封止する際、金型のゲート部を閉塞したり、半導体デバイスとリード端子を接続する金線を変形するなどの問題がある。
特に、半導体素子封止用樹脂組成物の充填剤として使用する場合は形状が球状のものが高充填化や素子表面に対する局所応力の低減から望ましい。
【0025】
本発明の方法により得られたクリストバライト粒子は、粒子表面に微量のアルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属やアルミナなどのこれらの金属酸化物を有することから高活性表面を有しており、触媒としての利用が考えられる。また、表面処理せずに又は表面をカップリング剤などで被覆することで半導体素子封止用樹脂組成物の充填剤として用いられる他、高品質セラミックスや透明石英ガラス原料として好適に用いることができる。
ここで、得られた表面の一部あるいは全面にアルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属あるいはこれらの金属酸化物層を有する高純度クリストバライト粒子を半導体素子封止用樹脂組成物の充填剤として使用する場合は、単独で、あるいは従来から公知の非晶質シリカや結晶シリカとブレンドして使用することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、下記の例において、不純物及び金属含有量は、ICP−AES、ICP−MS等の装置により予め濃度既知の試料を用いて作成しておいた検量線から求めたものである。測定方法としては、原料(シリカ又はクリストバライト)0.50gをポリテトラフルオロエチレン容器に精秤し、1mLの硫酸と5mLのフッ化水素酸を加えて200℃で加熱し、シリカ又はクリストバライトを揮散除去した。乾固の後、0.5mLの硝酸と数滴の過酸化水素を加えた。過酸化水素の発泡が穏やかになった後、15mLのポリプロピレン容器に移して純水を加えて5mLの定容とした。そのままもしくはその0.15mLを希硝酸溶液で3.0mLに希釈してICP−AESに供して金属不純物元素を測定した。ウランとトリウムは5mLの処理溶液を10ppbのレニウムを含む希硝酸溶液とともにICP−MSに供して定量した。
また、平均粒径及び最大粒径はレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した値を示し、比表面積はBET法により測定した値を示す。
【0027】
表1に本発明の実施例、比較例で使用した原料である高純度シリカ(シリカA〜C)、及び通常のシリカ(シリカD)中の不純物含有量、並びに粒度について示した。
【0028】
【表1】

【0029】
表2に本発明の実施例、比較例で表面処理に使用した有機金属化合物、該化合物のゾル又はスラリー中の金属元素の含有量を示した。なお、下記表中、%は質量%である。
【0030】
【表2】

【0031】
[実施例1〜7、比較例1]
1kgの表1で示されるシリカを高速混合装置に入れ、高速で混合しながら表2で示されるアルミニウム、チタン又はマグネシウム化合物溶液をスプレーで塗布し、シリカの表面処理を10分間行った。表面処理量を下記表3に示す。表面処理したシリカを100℃で5時間乾燥させた後、1次粒子に解砕した。
解砕した1次粒子を常温から1,400℃まで6時間かけて昇温し、1,400℃で6時間維持、その後1,400℃から600℃まで6時間、600℃から200℃まで4時間かけて下げた。200℃から室温までは自然放冷した。
得られたクリストバライト粒子について、金属含有量、最大粒径及びクリストバライト化率を測定した。なお、クリストバライト化率の算出方法は、下記に示す。これらの結果を表3に示す。
【0032】
【表3】

【0033】
表3の結果から明らかなように、実施例1〜5で得られたクリストバライト表面には、XMA(X線マイクロアナライザー)による分析で、いずれもアルミニウム元素が観測された。また、実施例6のクリストバライト表面にはチタン元素が確認された。実施例7のクリストバライト表面にはマグネシウム元素が確認された。
【0034】
[比較例2,3]
表1に示す原料シリカA及びBを用い、アルミニウムやチタン化合物で表面処理することなく、実施例と同じ条件で焼成した後、クリストバライト化率を測定した。
シリカAのクリストバライト化率は12%、シリカBは10%とほとんどクリストバライト化はできなかった。
【0035】
クリストバライト化率の算出
標準サンプルとして、真比重:2.33のクリストバライトのX線回折試験を行い、2θ:21.98°に出現するピーク強度を測定し、クリストバライト化率を100%とした。これに既知量の非晶質シリカを加え、クリストバライトの比率が異なる各種試料を調製した。各試料のX線回折試験を行い、2θ:21.98°に出現するピーク強度を測定し、得られた強度と試料中のクリストバライトの質量%との関係を示す検量線を作成した。実施例及び比較例で作製した各試料について、X線回折試験を行い、検量線を用いてクリストバライト化率を求めた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の一部又は全面にアルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属及び/又はその酸化物が、金属換算で200〜2,000ppm存在する高純度クリストバライト粒子。
【請求項2】
ウラン及びトリウムのそれぞれの含有量が1ppb以下、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のそれぞれの含有量が10ppm以下、最大粒径が200μm以下である請求項1記載の高純度クリストバライト粒子。
【請求項3】
クリストバライト粒子が球状である請求項1又は2記載の高純度クリストバライト粒子。
【請求項4】
ウラン及びトリウムのそれぞれの含有量が1ppb以下、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のそれぞれの含有量が10ppm以下、最大粒径が200μm以下の高純度非晶質シリカを、アルミニウム、マグネシウム及びチタンから選ばれる金属を含有する有機金属化合物又は該有機金属化合物のゾルもしくはスラリーで表面処理した後、1,000〜1,600℃で加熱処理することを特徴とする高純度クリストバライト粒子の製造方法。
【請求項5】
前記有機金属化合物が、金属アルコキシド、金属酸化物又は金属水酸化物である請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
高純度非晶質シリカ表面を処理する有機金属化合物又は有機金属化合物のゾルもしくはスラリーの表面処理量が、高純度非晶質シリカに対し金属元素換算で100ppm以上である請求項4又は5記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−162849(P2008−162849A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354582(P2006−354582)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【出願人】(507003340)福島窯業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】