説明

高純度又は超高純度の化学物質の取り扱い及び輸送のための大型樽

本発明は、空気感応性及び/又は感湿性の液状又は凝結可能な化合物を受容するための、接続ユニット(2)及び少なくとも300リットルの内部容積を有する空樽(1)、空樽の接続のためのアダプター、並びに空樽の使用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気感応性及び/又は感湿性の化学物質の受容のための空樽であって、接続ユニット及び少なくとも300リットルの内部容積を有している形式の、前記空樽の接続のためのアダプター、並びに前記空樽の使用方法に関する。
【0002】
例えば、マイクロエレクトロニックの分野に用いられるケイ素化合物は、極めて高い純度を有していなければならない。このようなケイ素化合物は特に、ケイ素から成る高純度の薄い層を、エピタキシーによって、若しくは窒化ケイ素(SiN)、若しくは酸化ケイ素(SiO)、若しくは酸窒化ケイ素(SiON)、若しくは酸炭化ケイ素(SiOC)、若しくは炭化ケイ素(SiC)によって形成するために必要とされる。この種の使用分野においては、原料としての化合物のppb-からppt-範囲における汚れでも、成形される層の特性を不都合に変化させてしまうものである。上記の化合物は、エレクトロニック、半導体製造、太陽電池や薬品製造でも高い純度で用いられる原材料である。
【0003】
これまでは、高純度又は超高純度の化学物質(又は化学製品)の取り扱い及び輸送にとって、19リットル〜約240リットルの大きさの樽しか用いられていない。高純度又は超高純度の化学物質は特に半導体工場で用いられており、ここでは超高純度若しくはエレクトロニック級のシリコン化合物若しくはゲルマニウム化合物がすでに百トン単位で消費されている。特にトリクロロシラン、四塩化ケイ素若しくはテトラエトキシシランは、シリコンウエハ上にエピタキシーのシリコン層を形成するために、若しくは電子式のチップ上に二酸化ケイ素・絶縁層を形成するために用いられる。
【0004】
これまで樽は、例えば消費する際に生じるおそれのある汚れのリスクを最小限にするために、小さい樽寸法で形成されている。樽寸法は、従来は後続の所定の工程に適合されており、したがって1つの樽は使い切りで完全に空にされるようになっている。これによって、1つの樽の開閉の繰り返しに基づき生じる加水分解物に起因するような汚染は、著しく避けられるようになっている。
【0005】
超高純度の化合物の需要の著しい増大により、多くの樽を用いるようになっている。つまり、これによって生じる種々の欠点として、使用される樽の数の著しい増大があり、各空樽は、調達コストの増大につながり、さらに樽詰め業者側並びに使用者側による樽の取り扱い若しくは処理は作業量の増大を招いている。処理作業は多くの数の空樽の徹底的な洗浄を含んでいて、ひいてはコストを伴っている。各製造工程において今日実現されている高い加工処理量に基づき、進行中の1つのプロセス内での樽の交換の際に発生してしまうような超高純度の化合物の製品汚染のリスクは、著しく増大している。
【0006】
本発明の課題は、前記欠点を避けることができかつ経済的に実施可能である空樽を開発することである。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、空気感応性及び/又は感湿性の液状又は凝結可能な化合物を受容するための空樽は、接続ユニットを備えていて、少なくとも300リットルの内部容積を有しており、接続ユニットは少なくとも1つの遮断機構を含んでいる。
【0008】
接続ユニットを有する本発明に基づく空樽は、液状の化学物質若しくは化学製品、殊に空気感応性及び/又は感湿性の液状又は凝結可能な化合物を受容するための容器(入れ物又はボンベ)若しくはコンテナを含んでおり、この場合に空樽は少なくとも300リットル(L)の内部容積を有しており、つまり大型樽又は大樽であり、接続ユニットに対応して少なくとも1つの遮断機構、特に2つ又は3つのダイヤフラム弁を配設してあり、つまり、接続ユニットは、少なくとも1つの遮断機構、特に2つ又は3つのダイヤフラム弁を含んでいて、該遮断機構若しくはダイヤフラム弁に通じるようになっている。A及び/又はBの記載は、A及びBの少なくともいずれか一方を意味するものである。
【0009】
空気感応性及び/又は感湿性の液状又は凝結可能で、さらに例えば腐食性及び/又は浸食性でもあるような高純度若しくは超高純度の化合物を受容するための適合性に関し、空樽の構成、例えば圧力強度、並びに使用される材料、及び空樽と接続ユニットとの間に密閉性に対する特別な要求がある。
【0010】
上記種類の高純度若しくは超高純度の化合物には、上記種類に限定されることなく、例えばケイ素化合物若しくはゲルマニウム化合物も含まれる。例として室温でガス状のモノシラン(SiH4)を挙げることができ、該モノシランは圧力下で凝結して空樽内に詰められるようになっている。このような化合物は、反応しやすく或いは酸化しやすく、空気中の酸素との接触により直ちに二酸化ケイ素と水に分解される。これに対して、四塩化ケイ素は、室温で液体として存在する化合物であり、該化合物は湿った空気に触れて加水分解してしまうものである。ほかの高純度若しくは超高純度の化合物として、トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、四塩化ゲルマニウム若しくはモノゲルマンを挙げることができ、これらのすべての物質は、湿気を排除した状態でかつ又は保護ガス雰囲気中で取り扱われ、若しくは処理されねばならない。
【0011】
高純度若しくは超高純度の化合物は、高純度の場合に汚れ又は不純物の度合がppb-範囲にある化合物を意味し、超高純度の場合に度合がppt-範囲及びそれ以下の範囲にある化合物を意味している。別の金属化合物を含むケイ素化合物若しくはゲルマニウム化合物の汚れ若しくは不純物は、ppb-範囲からppt-範囲にあり、有利にはppt-範囲にある。要求されるこのような純度は、ケイ素若しくはゲルマニウムの析出の後に抵抗測定若しくはGD-MSによって、若しくはGC、IR、NMR、若しくはICP-MSを用いて監視されるようになっていてよい。
【0012】
有利な実施態様では、空樽は、少なくとも300リットル(L)の内部容積を有し、有利には少なくとも350リットル若しくは400リットル、若しくは400〜850リットル、若しくは400〜1130リットル、若しくは400〜20000リットルの内部容積を有している。特に有利には、空樽の内部容積は約850リットル、約1130リットル、若しくは20000リットルである。空樽は、内容物の詰められていない、つまり空である容器又はコンテナを意味しており、これに対して樽は、化合物を満たされている空樽の全体を表している。
【0013】
空樽は実質的に、シリンダー状の1つの周壁と該周壁(套壁)の下方の端部に設けられた湾曲の底部及び該周壁の上方の端部に設けられた湾曲の閉鎖部(頂部又は天井部)とによって形成されており、この場合に接続ユニットは、上方の湾曲の閉鎖部に配置されている。このような構成は、圧力強度の高い空樽、つまり内部圧力と外部圧力との間の大きな圧力差に耐え得るような空樽の製造を可能にするものであり、このような空樽は例えば圧力下で凝結された化合物の受容のために用いられる。
【0014】
受容される化合物と樽及び/又は接続ユニットの材料との反応若しくは腐食を避けるために、樽及び/又は接続ユニットは、所期の圧力強度の得られる不活性の材料から形成されている。有利には、空樽、接続ユニット及び/又は注ぎ入れられる化合物と接触するすべての構成部分は、特殊鋼から成形され、特に有利には特殊鋼316Lから成形されており、この場合に特殊鋼又は特殊鋼316Lは電解研磨されていると特に有利である。
【0015】
接続ユニットは、樽の充填及び排出又は汲み出しのために、2つ若しくはそれより多くの遮断機構又は遮断装置を含む方向制御装置を有しており、特に、接続ユニットは三方向制御装置を有しており、三方向制御装置は2つ若しくは3つの遮断機構又は遮断装置を有している。遮断機構又は遮断装置として弁、若しくはコック、若しくは栓を用いることができ、この場合に弁の使用が有利である。弁としてダイヤフラム弁、球形弁若しくはベローズ形弁を用いると特に有利である。
【0016】
方向制御装置に対応して、特に少なくとも2つ若しくは3つの遮断機構を有する三方向制御装置に対応して、浸漬管を配置してあり、つまり方向制御装置、特に三方向制御装置は樽内の浸漬管に接続されている。浸漬管は、有利には同じく特殊鋼から製造され、特に有利には特殊鋼316Lから製造され、かつ有利には電解研磨されていて、湾曲された底部の近傍まで達している。この場合に、浸漬管を軸線に沿って配置するのが有利であり、これにより浸漬管は、湾曲された底部の最も深い部位の近傍まで鉛直に延びることになる。このような構成は、樽の最大の排出若しくは汲み出しを可能にしている。
【0017】
汚染のリスクをさらに低くするために、空樽の接続ユニットは製造設備、特に蒸留装置に接続されるようになっていてよい。接続は接続ユニットの方向制御装置を介して直接に行われ、若しくは適切なアダプターを用いて行われる。このような構成により、例えば蒸留液は直接に空樽内に入れられる。製造中制御によって蒸留液の純度を監視することができる。このような監視若しくは検出は、例えば蒸留装置と空樽との間の供給管路内における分光法により直接に行われる。これにより詰め替えは避けられ、汚染のリスクは最小限にされる。工程はオンライン分析装置を用いて連続的に監視される。
【0018】
樽又は空樽の例えば輸送又は搬送中の損傷に対する保護のために、接続ユニットは保護装置に配置されている。保護装置は、シリンダー状(筒状又は円筒状)の1つの周壁、フラップ式又は旋回式の1つのカバー又は蓋によって形成されていて、接続ユニットを取り囲むように、湾曲された終端閉鎖部又は上端部に配置され、つまり取り付けられている。接続ユニットは、保護装置によって有利には完全に包囲されている。
【0019】
空樽及び/又は樽は、充填時又は樽詰め時、貯蔵時、取り扱い時、若しくは輸送時の確実な設置又は載置のために、湾曲された底部に台部分(支持台)又は支持部を有しており、台部分又は支持は空樽及び/又は樽の全周にわたって配置された付加部又は延長部によって、或いはシリンダー状の周壁によって形成されていてよい。別の実施態様として、空樽は、有利には金属から適切に形成された台座又は脚部或いはフレームに支持又は支承されるようになっている。
【0020】
さらに空樽は、クレーンによる積み替えを可能にする切欠き部若しくは固定手段を有していてよい。このような構成は、空樽の大きさ又は容積が850リットル以上である場合に特に有利である。切欠き部若しくは固定手段は、有利には空樽のシリンダー状(筒状又は円筒状)の周壁に設けられている。
【0021】
本発明は、高純度若しくは超高純度の化合物を製造する装置と空樽とを接続するためのアダプター、特に蒸留装置と空樽とを接続するためのアダプターに関する。使用者側、つまりユーザー側に設けられるこのようなアダプターは、有利には、該アダプター、ひいてはこれに接続される構成部分を不活性ガスで洗浄するため、並びに該構成部分の排気するための方向制御装置を有している。
【0022】
本発明は、高純度若しくは超高純度のケイ素化合物若しくはゲルマニウム化合物、例えば四塩化ケイ素、トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、モノシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、四塩化ゲルマニウム又はゲルマニウム(IV)テトラクロリド、若しくはモノゲルマンを受容する容器に関する。高純度若しくは超高純度の化合物の品質は、取り扱い、充填又は取り出し、貯蔵、及び/又は輸送中に変化しないようになっている。高純度の化合物は、ppb-範囲の汚れ又は不純物しか有していない化合物を意味し、超高純度は、汚れ又は不純物がppt-範囲、及びそれ以下の範囲にあることを意味する。これは特に、最大でもppb-範囲にあり、有利にはppt-範囲にある別の金属化合物を含むケイ素化合物若しくはゲルマニウム化合物に当てはまる。
【0023】
さらに本発明は、高純度又は超高純度の化合物の取り出し及び/又は消費のための装置と樽との接続のためのアダプター、特に、高純度又は超高純度の化合物の転換のための製造設備と樽との接続のためのアダプターに関する。使用者側に設けられているこのようなアダプターは、有利には、該アダプター、ひいてはこれに接続される構成部分を不活性ガスで洗浄するため、並びに該構成部分の排気するための方向制御装置を有している。
【0024】
また、本発明は、高純度若しくは超高純度の化合物、特に化学物質又は化学製品の貯蔵、取り扱い及び/又は輸送のための本発明に基づく空樽の使用法にも関し、特に有利には高純度若しくは超高純度のケイ素化合物若しくはゲルマニウム化合物の貯蔵、取り扱い及び/又は輸送のための本発明に基づく空樽の使用法にも関する。
【0025】
本発明に基づく空樽又は樽は、空樽又は樽の使用個数を著しく減少させ、かつ樽詰め業者及び/又は使用者の工場若しくは設備における空樽又は樽の交換の頻度を著しく減少させるものである。このような交換は、特に高純度若しくは超高純度の化合物において、例えばシリコンウエハ上へのエピタキシーのシリコン層の形成のための四塩化ケイ素若しくはトリクロロシランの前駆体において危険である。同じことが、二酸化ケイ素又はシリカから絶縁層の析出のために用いられるテトラエトキシシランにも当てはまる。
【0026】
トリクロロシラン及びテトラクロロシラン又は四塩化ケイ素は、これまで200リットル入り又は240リットル入りの樽で取り扱われ、テトラエトキシシランは19リットル、38リットル又は200リットル入りの樽で取り扱われている。現在慣用の19リットル入りの樽(つまり小樽)から本発明に基づく1130L入りの樽(つまり大型樽又は大樽)に切り換えるだけで、工場における樽の交換の頻度は、ほぼ60回から1回に減少される。240L入りの樽(小樽)から1130L入りの樽に切り換えると、樽の交換の頻度は約5.5分の一に減少される。これにより、分解又は加水分解のリスクは、著しく避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に基づく空樽若しくは樽を示す図である。
【0028】
以下に、本発明を図1に示す実施形態の空樽又は樽に基づき詳細に説明するものの、本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。
【0029】
図1に示す空樽(1)は、空気感応性及び/又は感湿性で液状若しくは凝結可能な化合物を受容するようになっているものであり、1つの遮断機構(6)を含む1つの接続ユニット(2)を有しており、この場合に該接続ユニットは、例えばフランジ結合部を用いて前記空樽に結合されるようになっている。フランジ結合部に対応して、さらにシールリング及び閉鎖手段を設けてあってよく、これによって前記空樽若しくは樽の気密閉鎖を保証するようになっていてよい。前記接続ユニットは多ポート形の方向制御弁装置を有し、若しくは3つの遮断機構(6a,6b,6c)を含む複数の方向の制御可能な一般的な方向制御装置(5)を有しており、前記遮断機構(遮断装置)はそれぞれ1つのダイヤフラム弁に相当するものである。前記弁(6c)と前記空樽若しくは樽との接続部は、前記接続ユニットの近傍でちょうど前記空樽若しくは樽内に達しており、前記弁(6b)は、前記両方の弁(6a,6c)間に配置されている。さらに前記方向制御装置(5)に、それも前記遮断機構(6a)に対応して、浸漬管(7)を設けてある。前記空樽若しくは樽は、シリンダー状(筒状若しくは円筒状)の周壁(3)並びに、該シリンダー状の周壁の両端に、湾曲された底部(4a)及び湾曲された上方の終端閉鎖部(4b)を有している。これらのすべての構成部分は、高純度又は超高純度の化合物と接触するものであり、電解研磨された特殊鋼316Lによって形成されている。接続ユニット(2)は保護装置(8)内に配置されている。下側の台部分(支持台)又は支持部(9)は、平らな平面上への安定した設置若しくは載置を可能にするものである。
【0030】
接続ユニット(2)の洗浄のために、例えば弁(6c)が、ガス供給部、例えばヘリウム源に接続されていて、所定の位置を占めるようになっており、該位置ではガス供給部は弁(6b)と連通するようになっている。弁(6b)は、ガス受容装置に接続されていて、同じく所定の位置に移されるようになっており、該位置では、ガス受容装置と弁(6b)との間の連通が生じるようになっている。このような構成に基づき、弁(6c)を介したガスの供給により、接続ユニット(2)、特に方向制御装置(5)は洗浄ガス、有利には不活性ガスを用いて洗浄される。ガス受容装置の代わりに真空ポンプを弁(6a)に接続するようになっている場合には、接続ユニットの洗浄と排気とを交互に行うことができる。
【0031】
空樽又は樽を不活性ガスで洗浄して、高純度又は超高純度の化合物の分解若しくは加水分解を避けるために、弁(6a)は、ガス受容装置又はガスタンクと連通すると同時に空樽(1)の内部容積と連通する位置をしめるようになっている。弁(6b)は所定の位置を占めて、その結果、弁(6a)及び(6c)の接続部が閉鎖されている。弁(6c)は、空樽に対して開放されていて、かつガス供給部、例えばヘリウム源と開放接続されている。このような構成により、ガス、特にヘリウムは、空樽の内部容積、浸漬管及び接続ユニットを貫流するようになっている。弁(6c)の開放と閉鎖とを交互に行うことにより、空樽の洗浄と排出とを交互に行うことができ、このためにガス受容装置に真空ポンプを接続するようになっている。同様に、空樽内の液体状の化合物上のガス室も、弁(6c)をガス受容装置に接続し、かつ弁(a)をガス供給部に接続することによって洗浄されるようになっている。液体状の化合物の上側のガス室の洗浄のために、空樽若しくは樽は有利には別の1つの弁を有しており、該弁は、湾曲された終端閉鎖部(上端閉鎖部又は上端部)の開口部に接続されている。
【0032】
空樽を液状の化合物で満たすために、弁(6b)は、弁(6a,6c)の連通が阻止される位置を占めている。液状の化合物、つまり液体は、弁(6a)を介してポンプを用いて圧力をかけて、若しくは重力に基づく流れにより浸漬管(7)を経て空樽内に入れられる。押し出すべきガス又は不活性ガスは、ガス受容装置に接続された弁(6c)を介して逃がされる。
【0033】
樽を空にするため、若しくは樽内からの化合物の排出のために、弁(6b)は、前述の位置を占めたままになっており、ガスタンクに接続されている開かれた弁(6c)を介して、不活性ガスが樽内に送り込まれる。弁(6a)は、アダプターを介して、若しくは直接に消費器に接続されるようになっている。液状の化合物は、浸漬管(液中挿入管又は垂直輸送管)を経て、かつ開いた弁(6a)を通って樽から流出し、これによって樽は空にされる。
【符号の説明】
【0034】
1 空樽、 2 接続ユニット、 3 周壁、 4a 底部、 4b 終端閉鎖部、 5 方向制御装置、 6,6a,6b,6c 遮断機構、 7 浸漬管、 8 保護装置、 9 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気感応性及び/又は感湿性の液状又は凝結可能な化合物を受容するための空樽(1)であって、接続ユニット(2)を備えている形式のものにおいて、
前記空樽は少なくとも300リットルの内部容積を有しており、かつ前記接続ユニット(2)は少なくとも1つの遮断機構(6)を含んでいることを特徴とする、化合物の受容のための空樽。
【請求項2】
前記空樽は約850リットル、又は1130リットル、又は20000リットルの内部容積を有している請求項1に記載の空樽。
【請求項3】
前記空樽は、円筒状の周壁(3)及び該円筒状の周壁の両側に、湾曲された底部(4a)及び湾曲された上方の終端閉鎖部(4b)を有している請求項1又は2に記載の空樽。
【請求項4】
前記空樽及び/又は前記接続ユニットを形成する材料は、特殊鋼を含んでいる請求項1から3のいずれか1項に記載の空樽。
【請求項5】
前記材料は特殊鋼316Lである請求項1に記載の空樽。
【請求項6】
前記特殊鋼は電解研磨されている請求項4又は5に記載の空樽。
【請求項7】
前記接続ユニットは、2つの遮断機構(6)若しくは2つより多い遮断機構(6)を含む1つの方向制御装置(5)を有している請求項1から6のいずれか1項に記載の空樽。
【請求項8】
前記遮断機構は弁(6a,6b,6c)若しくはコックである請求項1から7のいずれか1項に記載の空樽。
【請求項9】
前記遮断機構はダイヤフラム弁である請求項1から8のいずれか1項に記載の空樽。
【請求項10】
前記方向制御装置に対応して浸漬管(7)を配置してある請求項1から9のいずれか1項に記載の空樽。
【請求項11】
前記接続ユニットは蒸留装置に接続されるようになっている請求項1から10のいずれか1項に記載の空樽。
【請求項12】
前記接続ユニットは保護装置(8)内に配置されている請求項1から11のいずれか1項に記載の空樽。
【請求項13】
前記空樽は支持部(9)を有している請求項1から12のいずれか1項に記載の空樽。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の空樽の接続のためのアダプターにおいて、高純度又は超高純度の化合物の製造のための装置を備えていることを特徴とするアダプター。
【請求項15】
前記空樽は、高純度又は超高純度の化合物を受容している請求項1から13のいずれか1項に記載の樽。
【請求項16】
前記樽は、高純度又は超高純度のケイ素化合物若しくはゲルマニウム化合物を受容している請求項15項に記載の樽。
【請求項17】
前記樽は、四塩化ケイ素、若しくはトリクロロシラン、若しくはジクロロシラン、若しくはモノクロロシラン、若しくは六塩化二ケイ素、若しくはモノシラン、若しくはヘキサメチルジシラザン、若しくはテトラエトキシシラン、若しくはメチルトリエトキシシラン、若しくはジメチルジメトキシシラン、若しくは四塩化ゲルマニウム、若しくはモノゲルマンを受容している請求項16項に記載の樽。
【請求項18】
請求項15から17のいずれか1項に記載の樽の接続のためのアダプターにおいて、高純度又は超高純度の化合物の消費のための装置を備えていることを特徴とするアダプター。
【請求項19】
請求項1から13のいずれか1項に記載の空樽の使用方法において、高純度又は超高純度の化合物を貯蔵及び/又は取り扱い及び/又は輸送のために用いることを特徴とする、空樽の使用方法。
【請求項20】
前記空樽を、高純度又は超高純度のケイ素化合物及び/又はゲルマニウム化合物を貯蔵及び/又は取り扱い及び/又は輸送のために用いる請求項19項に記載の使用方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−500470(P2011−500470A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530369(P2010−530369)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061017
【国際公開番号】WO2009/053134
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】