説明

高純度硫酸ニッケル溶液の製造方法

【課題】 高濃度の鉄と高濃度のヒ素を含む硫酸ニッケル溶液から鉄10mg/l以下、ヒ素1mg/l以下の高純度硫酸ニッケル溶液を得る方法の提供を課題とする。
【解決手段】 硫酸ニッケル溶液に空気を吹き込みつつ中和剤を加えて溶液中のヒ素を鉄で共沈させるに際して、pH変化を三段階で行うものであり、第一段階のpHを2.1〜2.5とし、第二段階のpHを4.5〜4.8し、第三段階のpHを5.0〜5.5としするものであり、第一段階終了後の終液中の鉄/ヒ素値を50以上とするものである。なお、中和剤としては生石灰、消石灰、炭酸カルシウムの内の少なくとも一つとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種ニッケル塩を製造するための高純度硫酸ニッケル溶液を得る方法に関し、具体的にはヒ素と鉄とを高濃度で含む硫酸ニッケル溶液に消石灰を用いた多段中和法により処理することにより鉄濃度10mg/l以下、ヒ素濃度1.0mg/l以下の高純度硫酸ニッケル溶液を得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル塩類は、メッキ原料、触媒や電池材料など各種の用途に使用されているが、近年の傾向としてより高純度なニッケル塩類が市場から求められるようになってきている。こうしたニッケル塩類は、硫酸ニッケル結晶を出発物質として製造されるのが通常であり、従ってより高純度の硫酸ニッケル結晶が求められている。
【0003】
ところで、硫酸ニッケル結晶は、通常、ニッケル精錬工程から得られる粗硫酸ニッケル溶液を精製して得た高純度硫酸ニッケル溶液より晶析法によりえている。粗硫酸ニッケル溶液中には鉄、アルミニウム、クロム、亜鉛、ヒ素、リン等の不純物が存在する。従って、各種の工程を組み合わせてこれらの不純物を除去して高純度硫酸ニッケル溶液を得ている(特許文献1 段落0003参照)が、近時のニッケル精錬原料の多様化から前記粗硫酸ニッケル中の不純物濃度に変化が起きており、取り分けヒ素濃度が100〜200mg/lと高くなってきている。
【0004】
液中のヒ素の除去方法としては、鉄共沈法や鉄粉法、フェライト法があるが、一般的なのは鉄共沈法である。鉄共沈法でニッケル溶液中のヒ素を除去する例としては、例えば、特許文献2に、塩化ニッケル溶液中の鉄/ヒ素を1.065以上とし、該ニッケル溶液の酸化還元電位を470〜500mV、pHを2.54〜2.88にして少なくとも10分間維持する第一工程と、該第一工程により生成したスラリーを濾過により固液分離する一次分離工程と、該一次分離工程より得た濾液の酸化還元電位を500mV以上、pHを3.5以上にして少なくとも10分間維持する第二工程と、濾過により、第二工程で発生した沈澱を分離してニッケル溶液を得る二次分離工程とからなる脱ヒ素方法が開示されている。
【0005】
この方法は、第一工程で所定のpHと酸化還元電位で保持することにより鉄イオンの一部とヒ素イオンの一部とを沈澱させることにより、第一工程の処理終液(濾液)中の鉄/ヒ素を6以上とし、該処理終液(濾液)を第二工程で処理することにより液中のヒ素イオンを確実に水酸化鉄に吸着、共沈させ、反応終液中のヒ素濃度を0.2mg/l未満(当時の分析限界以下)にするものである。そして、実施例により求められた反応終液(濾液)中のヒ素濃度と反応始液中の鉄/ヒ素との関係を示した同公報の図1によりこれを裏付けている。
【0006】
しかしながら、ヒ素濃度が100〜200mg/lの硫酸ニッケル溶液からのヒ素の除去にこの方法を適用した場合には必ずしも十分な結果が得られていない。加えて、また、ヒ素の除去効率を上昇させるために、最終段のpHを5.5以上にするが、このため鉄と共にニッケルも水酸化物として沈殿し始め、ニッケルロスの増大を招くことになる。加えて得られる澱物の濾過性が悪化し、固液分離が困難になるという問題を生ずる。
【特許文献1】特開2006−225217号公報
【特許文献2】特開平04−318133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、高濃度の鉄と高濃度のヒ素を含む硫酸ニッケル溶液から鉄10mg/l以下、ヒ素1mg/l以下の高純度硫酸ニッケル溶液を得る方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは種々の検討を行った結果、前記特許文献2開示の方法は、硫酸ニッケル溶液中のヒ素濃度が10mg/l程度までの場合には有効であるものの、ヒ素濃度が100〜200mg/lとなると全く適用できないことを見出し、種々の検討をおこなった。その結果、共沈反応を少なくとも三段階で行うことにより前記目的を簡単に達成できることを見出して本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明の脱鉄・脱ヒ素方法は、硫酸ニッケル溶液に空気を吹き込みつつ中和剤を加えて溶液中のヒ素を鉄で共沈させるに際して、pH変化を三段階で行うものであり、第一段階のpHを2.1〜2.5、第二段階のpHを4.5〜4.8、第三段階のpHを5.0〜5.5とし、第三段階が終了して得られたスラリーを固液分離して高純度硫酸ニッケル溶液を得るものである。
【0010】
そして、本発明の別の態様は、前記発明に加えて第一段階終了後のスラリー中の液中鉄/ヒ素値を50以上とするものである。
【0011】
そして、本発明の別の態様は、前記発明に加えて各段階の反応時間を100分以上とするものである。
【0012】
そして、本発明の別の態様は、前記発明の実施に際して、共沈反応に用いる反応槽を少なくとも三連の反応槽とし、各反応槽で反応溶液を攪拌しつつ反応溶液中に空気を吹き込み、中和剤を添加して第一反応槽のpHを2.1〜2.5、第二反応槽のpHを4.5〜4.8、第三反応槽のpHを5.0〜5.5の範囲の値に調整し、第三反応槽よりオーバーフローして得たスラリーを固液分離して高純度硫酸ニッケルを得るものである。
【0013】
そして、本発明の別の態様は、前記発明に加えて第一反応槽出口のスラリーの液中鉄/ヒ素値を50以上とするものである。
【0014】
そして、本発明の別の態様は、前記発明に加えて各反応槽でスラリーの滞留時間を100分以上とするものである。
【0015】
そして、本発明に用いる中和剤を生石灰、消石灰、炭酸カルシウムの内の少なくとも一つとするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に従えば、第一段階でpHを2.1〜2.5としてヒ素と鉄との一部を共沈させて第一段階終了後の液中鉄/ヒ素値を50以上とする。その結果、第二段階でpHを4.5〜4.8としてヒ素と鉄とを共沈させたときに効率よくヒ素を共沈除去でき、段三段階でpHを5.0〜5.5に調整することにより、段三段階終了後の液中ヒ素濃度を1.0mg/l以下、鉄濃度を10mg/l以下とすることができる。
【0017】
また、本発明の方法は一つの反応槽を用いてバッチ処理で行うこともできるが、少なくとも三連の反応槽を用いて反応スラリーをオーバーフローにより連続的に各反応槽に移行させれば、簡単且つ、大きな装置を必要とすることなく実施でき、高濃度の鉄と高濃度のヒ素とを含む硫酸ニッケル溶液より容易、且つ簡単に高純度の硫酸ニッケル水溶液を得ることができる。加えて、中和剤として生石灰、消石灰、炭酸カルシウムなどのカルシウム系中和剤を用いることにより、また、前記各段階で澱物を分離することなく最後にまとめて分離するため、得られる澱物の濾過性を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
従来の方法を用いて液中のヒ素を1.0mg/l以下にするには、ヒ素を鉄で共沈させる最終pHを5.5以上とすることが必要であるが、始液中の鉄/ヒ素値が50未満、又は鉄濃度が5g/l未満の高濃度鉄・ヒ素含有硫酸ニッケルを対象とする場合には、pHを一段で5.5以上としても反応終液中のヒ素濃度は1.0mg/l以下とならない。一段でpHを5.5以上とすると水酸化ニッケルの生成が進行し、ニッケルロスが多くなるばかりか、得られる沈殿の濾過性が極端に悪化し、固液分離が困難となる。
【0019】
本発明では、pHを3段階で上昇させることにより、始液中の鉄/ヒ素値が50未満の場合や、鉄濃度が5g/l未満の場合であっても、第一段階終了時の終液中の鉄/ヒ素値を50以上とすることにより、第二段階でヒ素を効率よく共沈除去させ、第三段階で確実に終液中の鉄を10mg/l以下とし、ヒ素を1.0mg/l以下まで共沈除去させる。また、発生した澱物を系外に除去することなく、最後まで系内に共存させることにより、最終的に濾別する澱物の濾過性を良好なものとする。
【0020】
従って、用いる反応槽を一つとし、pHを所定値に調整後、所定時間そのpHを維持するバッチ処理方式を取ることも可能であり、多段反応槽を用いて連続処理することも可能である。
【0021】
以下、多段の反応槽を用いて連続処理する場合を例として用いて本発明を説明する。
【0022】
まず、オーバーフロータイプで反応スラリーが下流に移動するようにされている三段の反応槽を用いて処理する場合を例に説明する。第一反応槽(第一段階)では空気を吹き込みつつ、かつ攪拌しつつ中和剤を添加し、pHを2.1〜2.5に維持する。これにより硫酸ニッケル溶液中に存在する鉄イオンの一部を水酸化第二鉄として沈殿させる。この際、ヒ素が効率よく水酸化第二鉄と共沈する。その結果、液中の鉄/ヒ素値は50以上となる。第一の反応槽のpHを2.1未満とすると、水酸化第二鉄は生成せず、液中の鉄/ヒ素値は変化しない。この場合、第二段階、第三段階でのヒ素除去効率が著しく悪化し、終液のヒ素濃度が1.5〜3.0mg/L程度となってしまう。一方pHを2.5を超える値とすると、この段階で鉄が沈殿しすぎ、第二段階でのヒ素の共沈除去が不十分となる。この第一段階での反応時間は100分以上とすることが好ましい。これより短いと水酸化鉄の生成が不十分となり、液中の鉄/ヒ素値を50以上とすることができないため、後段でのヒ素除去効率が著しく悪化するという支障が出るからである。
【0023】
第一反応槽より第二反応槽へ反応スラリーはオーバーフローにより移動する。従って、発生した澱物は系外に払い出されることはない。第二反応槽(第二段階)では、第一反応槽と同様に空気を吹き込みつつ、且つ攪拌しつつ中和剤を入れてpHを4.5〜4.8に維持する。これにより、溶液中の鉄イオンがほぼ全量水酸化物となる。その結果ヒ素イオン濃度もほぼ1.0mg/l前後まで低下する。この時、pH4.5を下回ると、鉄の沈殿生成が不十分となり、これに伴うヒ素の共沈も不十分となり、第三反応槽でヒ素の共沈除去が不完全となる。また、pHが5.0以上になってしまうと、中和剤の反応の遅れ等により第三反応槽のpHを5.5以下に維持することが困難となることが多く、ニッケルロスの増加や澱物の濾過性の悪化を防止できなくなる。この第二反応槽での反応時間は100分以上とすることが好ましい。これより短いと第二反応槽で効率良い鉄の除去が困難になるという支障が出るからである。
【0024】
第二反応槽より第三反応槽へ反応スラリーはオーバーフローにより移動する。従って、前記と同様に発生した澱物は系外に払い出されることはない。第三反応槽(第三段階)では、第一反応槽と同様に空気を吹き込みつつ、且つ攪拌しつつ中和剤を入れてpHを5.0〜5.5に維持する。これにより、溶液中のヒ素イオンを確実に沈殿させ、溶液中のヒ素イオン濃度を確実に1.0mg/l以下とする。第三段階でのpHが5.5を超えると、ニッケルロスの増加や澱物の濾過性の悪化を防止できなくなる。この第三段階での反応時間は100分以上とすることが好ましい。これより短いと第二反応槽で効率良い鉄の除去が困難になるという支障が出るからである。
【0025】
本発明に用いる中和剤としては、生石灰、消石灰、炭酸カルシウムの内の少なくとも一つとすることが好ましい。水酸化物以外に反応により石膏ができ、これが濾過助剤として機能し、濾過性が改善されるからである。
【0026】
(実施例1)
各段の反応槽が有効容積9mで、空気吹き込み管と攪拌機とが設けられ、ショートパス防止のための堰が設けられた反応槽からなる三段の反応槽を用い、第一反応槽に、表1に示した始液(硫酸ニッケル溶液)を90l/minの割合で供給し、第一反応槽から第二反応槽へ、第二反応槽から第三反応槽へはオーバーフローで移行するようにした。第三反応槽からのオーバーフローは、一端受け槽に受け、受け槽からカローコンに送液し、その後、真空濾過器を用いて固液分離した。なお、反応スラリーのショートパスはなく、各反応槽内での滞留時間は100分であった。
具体的には、各反応槽に、それぞれ0.8m/minの割合で空気を吹き込みつつ、且つ攪拌しつつ150g/lの消石灰スラリーを添加し、各反応槽のpHを表1に維持した。
真空濾過器による濾過の開始時点で系全体が安定したものと判断し、各反応槽出口でサンプルを取り、濾過して固液分離し、得られたろ液中の鉄濃度とヒ素濃度とを求めた。結果を表1に示した。
【0027】
【表1】

【0028】
表1の結果から、第一反応槽の液中鉄濃度は4600mg/l、ヒ素濃度は55mg/lとなっている。つまり水酸化第二鉄が形成され、これに共沈する形でヒ素が除去されていることがわかった。また、液中の鉄/ヒ素値は84となっており、始液中の39より大幅に大きくなっている。この結果、第二反応槽でヒ素が一層鉄と共沈しやすくなっている。その結果、第二段の反応槽での液中鉄濃度は100mg/l、ヒ素は0.2mg/lとなっている。そして、鉄/ヒ素の値は500となっており、第三反応槽で完全にヒ素を除去することが可能となっている。第三反応槽では液中の鉄濃度は5mg/l、ヒ素濃度は0.1mg/lと目標値の鉄10mg/l以下、ヒ素1mg/l以下を十分達成している。
【0029】
(実施例2)
実施例と同様な組成の表2に示した始液を用い、各反応槽のpHを表2に示した値になるように維持した以外は実施例と同様にして操業を行った。
真空濾過器による濾過の開始時点で系全体が安定したものと判断し、各反応槽出口でサンプルを取り、濾過して固液分離し、得られたろ液中の鉄濃度とヒ素濃度とを求めた。結果を表2に示した。
真空濾過器による濾過の開始時点で系全体が安定したものと判断し、核反応槽からサンプルを取り、濾過して固液分離し、得られたろ液中の鉄濃度とヒ素濃度とを求めた。結果を表2に示した。
【0030】
【表2】

【0031】
表2の結果から、第一反応槽の液中鉄濃度は3450mg/l、ヒ素濃度は65mg/lとなっている。つまり水酸化第二鉄が形成され、これに共沈する形でヒ素が除去されている。また、液中の鉄/ヒ素値が53となっており、始液中の29より大幅に大きくなっている。この結果、第二反応槽でヒ素が一層鉄と共沈しやすくなっている。そして、第二段の反応槽での液中鉄濃度は100mg/l、ヒ素は0.2mg/lとなっている。そして、鉄/ヒ素の値は500となっており、次工程で完全にヒ素を除去することが可能となっている。第三反応槽では液中の鉄濃度は5mg/l、ヒ素濃度は0.1mg/lと目標値の鉄10mg/l以下、ヒ素1mg/l以下を十分達成している。
【0032】
(比較例1)
実施例1と同様な組成の表3に示した始液を用い、各反応槽のpHを表3に示した値になるように維持した以外は実施例1と同様にして操業を行った。
真空濾過器による濾過の開始時点で系全体が安定したものと判断し、各反応槽出口でサンプルを取り、濾過して固液分離し、得られたろ液中の鉄濃度とヒ素濃度とを求めた。結果を表3に示した。
【0033】
【表3】

【0034】
表3より始液pHが1.28と比較的高く、第一反応槽のpHが2.04と低いことから、鉄濃度が6600mg/lから6300mg/lにしかならず、水酸化第二鉄がほとんど生成されていないことがわかる。そのため、ヒ素は除去されず、第一反応槽の鉄/ヒ素値を50以上とすることができていない。このため、第二反応槽でのヒ素の共沈除去は不十分となり、第三反応槽での鉄濃度は目標を達成できたものの、ヒ素濃度は1.0mg/l以下という目標は未達となっている。
【0035】
(比較例2)
実施例1と同様な組成の表4に示した始液を用い、各反応槽のpHを表4に示した値になるように維持した以外は実施例と同様にして操業を行った。
真空濾過器による濾過の開始時点で系全体が安定したものと判断し、各反応槽出口でサンプルを取り、濾過して固液分離し、得られたろ液中の鉄濃度とヒ素濃度とを求めた。結果を表4に示した。
【0036】
【表4】

【0037】
表4より第一反応槽のpHが3.00と高いことから、鉄濃度が6000mg/lから1500mg/lに大きく低下し、これに伴いヒ素も78mg/lに低下している。しかし、鉄/ヒ素値は50以上とすることができていない。このため、第二反応槽での共沈反応によるヒ素の除去が不十分となり、第三反応槽での鉄濃度は目標を達成できたものの、ヒ素濃度は1.0mg/l以下という目標は未達となっている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸ニッケル溶液に空気を吹き込みつつ中和剤を加えて溶液中のヒ素を鉄で共沈させるに際して、pH変化を三段階で行うものであり、第一段階のpHを2.1〜2.5、第二段階のpHを4.5〜4.8、第三段階のpHを5.0〜5.5とし、得られたスラリーを固液分離して高純度硫酸ニッケル溶液を得ることを特徴とする高純度硫酸ニッケル溶液の製造方法。
【請求項2】
第一段階終了後のスラリーの液中鉄/ヒ素値を50以上とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記各段階において反応時間を100分以上とする請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
硫酸ニッケル溶液に空気を吹き込みつつ中和剤を加えて溶液中のヒ素を鉄で共沈させるに際して、共沈反応に用いる反応槽を少なくとも三連の反応槽とし、各反応槽で反応溶液を攪拌しつつ反応溶液中に空気を吹き込み、中和剤を添加して第一反応槽のpHを2.1〜2.5、第二反応槽のpHを4.5〜4.8、第三反応槽のpHを5.0〜5.5の範囲の値に調整し、第三反応槽よりオーバーフローして得たスラリーを固液分離して高純度硫酸ニッケル溶液を得る高純度硫酸ニッケル溶液の製造方法。
【請求項5】
第一反応槽出口のスラリーの液中鉄/ヒ素値を50以上とする請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記各段階において反応時間を100分以上とする請求項4または5記載の製造方法。
【請求項7】
前記中和剤が生石灰、消石灰、炭酸カルシウムの内の少なくとも一つである請求項1〜6記載の何れかの製造方法。

【公開番号】特開2009−203082(P2009−203082A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43714(P2008−43714)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】