説明

高速中性子炉のための燃料組立体

本発明は、高速中性子炉または高速増殖炉(FBR)、特にナトリウムのような液体金属によって冷却されるFBRの燃料組立体10に関する。本発明における組立体10は、核分裂性物質及び/または燃料親物質を囲む針束を有する断面多角形の管部2と、6つの突出部7であって突出部7それぞれが管部2の外面の1つに位置する突出部7と、を備える。組立体10は、管部2の内側にかつ針束の上方に収容された支持部材6をさらに有し、突出部7は、支持部材6に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速中性子炉(高速増殖炉すなわちFBRとも称される)のための、特にナトリウムのような液体金属によって冷却されたFBRのための燃料組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
第4世代原子力システムの研究開発に関する国際フォーラム(Generation IV International Forum)について、現在は、FBRへの関心が明らかに再発している。
【0003】
全体的に液体ナトリウムによって冷却されたFBRは、まずプルトニウムからエネルギーを引き出す。FBRコアは、プルトニウム及び天然ウランから構成されており、2つの機能、すなわち、
− 発熱し(プルトニウムの核分裂)、そしてこの熱を電気に変換することと、
− (低核分裂性の)天然ウランを(核分裂性の)プルトニウムに変質させることと、
を有している。
FBRは、FBRが消費するよりもプルトニウムを多くFBRが形成する場合、「熱交換器」または「増殖炉」として説明される。
【0004】
この2つの機能に加えて、このタイプの反応炉を用いて長寿命の放射性廃棄物、超ウラン元素及びアクチニド元素を「燃焼させる」ため並びに廃棄物を短寿命の放射性元素に変換するために研究を行っている。
【0005】
既知の方法において、ナトリウム冷却型高速中性子炉の燃料組立体は、
− 正六角形断面を有する管部であって、核分裂性物質及び/または燃料親物質を囲む被覆ピン束を収容し、ピンの周囲に螺旋状に巻回されたスチールワイヤによってピンが全体的間隔をあけられている、管部と、
− 組立体を受取スペーサ内に位置付けするシリンダ状基部であって、受取スペーサが冷却ナトリウム供給マニホールドを構成する支持ダイアグリッドに設けられており、反応炉のコアが冷却ナトリウム供給マニホールド上に設置される、シリンダ状基部と、
を備えている。
【0006】
基部及びスペーサには、別の組立体におけるナトリウムの許容できる分配を確実にすることを可能とする調整された開口部が設けられている。
【0007】
液体ナトリウム冷却液は、コアにある組立体を通って流動し、冷却液は、そのために組立体の基部の周囲に設けられた開口部によって組立体それぞれに浸透し、ピンを冷却することによって基部から上方に向けて流動する。これら組立体は、明らかに別個に取り外し可能であり、反応炉の操作の必要性にしたがって、特に反応炉の燃料補給走査のために、取り外されまたは支持ダイアグリッド内の所定位置に配置される。
【0008】
FBRコアの反応性は、コア容量にしたがって変化する。運転中にかつ放射線を受けて六角形管部が形状変更することを可能とするため、組立体間には、空間が設けられている。しかしながら、(例えば地震の場合において)コア圧縮に続いて連鎖反応が暴走することを防止すため、燃料組立体には、燃料領域の上側端部とはほぼ反対側に配置された(明細書の残りの部分において「接触部」とも称される)プレートが設けられており、プレートは、六角形管部の側面それぞれのほぼ中央に設置されている。これらプレートは、組立体間の空間を維持する。接触部間には、わずかな間隔が必要であり、組立体を取扱温度(ほぼ180℃と250℃との間の温度における等温状態)において取り扱うことを可能とする。プレートをコアの上側レベル(または真上)に配置することによって、コアが運転中に作動されると、プレートの中立面は、支持ダイアグリッドよりも暖まり、そして、支持ダイアグリッド及びコアの曲げ効果は、温度が増大すると得られ、コアを制御しやすくする。実際には、プレートは、コアを通過する間に加熱されるナトリウムによって膨張される、すなわち、電力が増大すると、加熱が増大してコアを膨張させ、反応性を低下させる。したがって、コアの中間面のレベルにおいて直径が増大している状態で、「積み上げ(stacking)」効果が観測される。この現象は、反応器の安全性に関して有利である負の温度係数を得ることに寄与する。
【0009】
「ラプソディ(Rapsodie)」、「フェニックス(Phenix)」または「スーパーフェニックス(Superphenix)」のようなフランスのFBR反応炉において、上述した接触部は、組立体の六角形管部に押し付けられるプレートの形態で形成されている。
【0010】
しかしながら、このような接触タイプは、ある困難性を示す。
【0011】
このため、管部の厚さへ直接押し付けられたプレートは、十分な弾性変形に至ることがある低い剛性を示す。したがって、コアが中心に向かう圧縮力を受ける場合、コアの容積は、プレートの弾性変形の効果により減少しそうになり、反応性の増大を引き起こす。
【0012】
また、これら同一のプレートは、有限の機械的強度を示しており、その結果、閾値力を超えると、プレートは、可塑化する危険性がある。したがって、この可塑化は、連鎖反応暴走の危険性を有するコアの高い圧縮を可能とする。
【0013】
押し付けられたプレートの剛性の問題に対する既知の解決法は、異なるハンダ付け処理を用いてハンダ付けされたプレートを用いることからなる。この解決法は、「EFR」(欧州高速反応炉)プロジェクトにおいて予定されている。プレートをハンダ付けする行為は、プレートの剛性を強化し、プレートが可塑化することを防止してコア圧縮現象に関して組立体の良好な作用を保証し、かつ組立体における燃料棒曲がりを防止する。しかしながら、ハンダ付け処理は、めったに実行されず、したがってFBRコアに有効ではない。
【0014】
剛性の問題に対する別の既知の解決法は、
− 六角形管部に螺着されたリング(ドイツの「SNR300」反応炉で実行された解決法)か、
− 低温延伸によって六角形管部を変形させる処理(日本のもんじゅ反応炉で実行された解決法)か、
から形成された固体プレートを用いることからなる。
【0015】
また、この解決法は、良好なプレート剛性が得られる。
【0016】
しかしながら、上述したプレートの剛性を改善するための2つの解決法は、同様にいくつかの欠点を示す。
【0017】
これら欠点は、主に、組立体及びプレートについて使用された材料を変更することと関係がある。これら材料は、初期には、オーステナイトステンレス鋼であり、このタイプの鋼は、支持ダイアグリッドを形成するために使用されている。したがって、組立体及び支持ダイアグリッドの構造材料は、同様の膨張係数を有している。しかしながら、管部にオーステナイト鋼を用いることは、放射線量が所定値を越えると組立体の著しい膨張を引き起こす傾向があり、この管部の膨張の結果、断面六角形の管部における反対面の伸張差に起因して湾曲または凹む変形の危険性がある。湾曲変形は、湾曲変形があるピン冷却サブチャネルの断面を増大させまたは減少させかつホットスポットを形成する傾向があるので、深刻な結果である。また、湾曲変形は、互いの頂部において複数の組立体を押し込み、取り除く間に組立体の抜き取りを困難にする。その結果、これら湾曲の問題を回避するため、第四世代FBRの六角形管部組立体に対して現在許容可能な鋼のグレードは、EM10であり、これは、フェライト・マルテンサイトグレードの鋼である。このグレードのフェライト・マルテンサイト鋼を用いることにより、核分裂性部分における鋼の膨張に関係する問題(特に組立体の頭部が湾曲すること)を制限することが可能となる一方、異なる等温状態に基づいて、組立体プレート間の可変間隔を生じさせる。このため、プレート間の間隔は、180℃の等温状態と400℃の等温状態との間で著しく増大する。この可変間隔は、支持ダイアグリッドの鋼のグレード(オーステナイト鋼316L)と異なる膨張構造を有する六角形管部の鋼のグレードとの間の差によって説明され、オーステナイト鋼の膨張係数は、フェライト・マルテンサイト鋼の熱膨張係数よりも大きい。燃料組立体が180℃の等温状態で取り扱われるため、十分な間隔が組立体間に形成されなければならない。この結果、反応炉を起動するために400℃の温度まで上昇させる間、組立体間の間隔が増大し、例えば地震(または突然のコアの移動を引き起こす別の外部の機械的作用)の場合において、間隔が増大することによって、コアの圧縮が引き起こされる。
【0018】
また、反応炉コアの入力及び出力の間の温度差が増大することで、組立体間の間隔を減少させることが可能である。この減少させること(take up)が、管部がフェライト・マルテンサイト鋼である場合に、管部がオーステナイト鋼である場合よりもゆっくりと行われることに留意すべきである。その結果、コアにおける温度ズレが異常に高い値である場合(例えば第1ポンプによる冷却を喪失しているまたは通常の残余電力排出手段が消失している場合)、コアの「積み上げ」効果は、コアの反応性の制御をより困難としながら、非効率的になりそしてコアの反応性をより小さく減少させる。
【0019】
また、六角形管部を低温延伸する工程で構成される製造工程が実行することがかなり複雑なままであることに留意すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本明細書において、本発明は、高速中性子炉のための燃料組立体であって低いプレート剛性及び低強度と関係がある問題から組立体を解放することが可能でありかつコア圧縮の危険性を制限することが可能である燃料組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そのために、本発明は、高速中性子炉のための燃料組立体を提案しており、この反応炉は、
− 断面多角形の管部であって核分裂性物質及び/または燃料親物質を囲むピン束を有する、管部と、
− 複数の突出部であって当該突出部それぞれが上記管部の外面の1つに位置する、突出部と、
を備え、当該組立体は、当該組立体が、管部の内側かつピン束の上方に収容された支持部材を備えており、上記突出部が、支持部材と一体化されており、上記突出部それぞれが、支持面を備えかつ上記管部の外側に嵌合されることによって上記支持部材に固定されており、このために、上記管部には突出部それぞれに特有の支持面が通過することを可能とする開口部が設けられていることを特徴とする。
【0022】
この発明の結果、内側支持部材があることは、プレート間に連続的構造を形成し、従来の解決法よりも強い剛性を得る。また、この剛性は、管部への作用が2つの反対面にまたはすべての面に(六角形管部の場合に6面に)なされるように、高いまま維持される。
【0023】
さらに、突出部を構造体と一体化させる行為により、強度がとりわけ押圧される面に対して著しく増大し、可塑化する危険性が大幅に低減する。
【0024】
また、支持部材及び突出部に対して管部に使用される材料の膨張係数よりも高い膨張係数の材料を選択することにより、(コア入力及び出力の間で)コアを通過するときに温度増大の影響を受けて拡張する膨張を受け取る。支持部材及び突出部に対して使用される材料は、例えば支持ダイアグリッドの材料と同一の化学組成であり、等温状態におけるプレート間の間隔は、温度に問わず一定のままとされる(したがって、取扱状態において間隔が増大する)。
【0025】
また、本発明における燃料組立体は、以下の1以上の特徴、
− 本発明の組立体は、組立体の下端部において、支持ダイアグリッドの受取スペーサにある位置付基部を備えており、上記支持部材及び複数の上記突出部は、上記支持ダイアグリッドのクロム組成とほぼ同一のクロム組成からなる材料で形成されていること、
− 上記支持部材及び複数の上記突出部は、オーステナイト鋼で形成されていること、
− 上記オーステナイト鋼は、316Lまたは316Tiであること、
− 上記管部は、以下の材料、
・ フェライト鋼
・ マルテンサイト鋼
・ フェライト・マルテンサイト鋼
・ 酸化物、炭化物または窒化物分散強化された鋼
の1つで形成されていること、
− 上記管部の断面多角形は、断面六角形であること、
− 上記支持部材には、複数の腕部が設けられており、腕部それぞれは、腕部の端部において上記突出部の1つと一体化していること、
− 上記突出部それぞれは、表面処理を提供していること、
− 突出部それぞれは、斜面部を備えること、
− 本発明における組立体は、組立体の上側部分において、上側中性子防護手段を備えており、上記支持部材は、上側中性子防護手段の下方に配置されていること、
− 上記支持部材は、上記高速中性子炉のコア内で循環する熱変換流体のための経路を形成する開口部によって穿孔されたグリッドであること、
− 上記支持部材は、リングを備えており、上記突出部それぞれは、上記リングの周囲に系統的に分布されていること、
を提供しており、これら特徴は、別個にまたは技術的に可能性のある組み合わせすべてにしたがって考慮される。
【0026】
本発明の別の目的は、本発明における組立体を組み立てる方法であって、この方法は、以下の工程、すなわち、
− 上記支持部材を上記ピン束の上方において上記管部の内側に位置付ける工程と、
− 上記管部の外側の近傍に上記突出部それぞれを嵌合させることによって上記突出部を上記支持部材に固定する工程であって、上記管部にある開口部が、突出部それぞれの支持面の通過と上記突出部及び上記支持部材の間の接続とを可能とするように設けられている、工程と、
を備える。
【0027】
本発明の目的は、高速中性子炉であって、この高速中性子炉は、
− 本発明における燃料組立体であって伝熱流体によって冷却される燃料組立体からなるコアと、
− 支持グリッドと、
を備え、上記組立体それぞれは、当該組立体の下端部において、上記支持ダイアグリッドの受取スペーサにある位置付基部を備えており、組立体それぞれにおける上記支持部材及び複数の上記突出部は、クロム組成が上記支持ダイアグリッドのクロム組成とほぼ同等のクロム組成を有する材料で形成されている。
【0028】
本発明の他の特徴及び有利点は、表示的かつ決して限定しない目的で、添付の図面を参照しながら、以下の説明から明確に分かるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態における組立体を示す簡略化した斜視図である。
【図2】図1の部分等角図である。
【図3】図2に示す組立体の頂部断面図である。
【図4】図2に示す組立体を示す横断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態における組立体を示す頂部断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態における組立体を示す頂部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
すべての図において、共通する構成部材は、同一の参照符号を有している。図1は、図解的なかつ簡略化した方法で、本発明の第1実施形態における燃料組立体10を示している。
【0031】
組立体は、断面六角形をなす中空の外側管状外被部2であって基部3の近傍まで下方に延在する垂直軸を有する外側管状外被部2を備えている。基部3は、組立体10が図示しない支持ダイアグリッドに取り付けられることと、供給孔部及び真空形成デバイス(図示略)を介してこの支持ダイアグリッドを用いて液体金属が供給されることと、を可能としており、真空形成デバイスは、例えば反応炉のコアにある組立体によって占有される空間にしたがって圧力損失を制御するダイアフラムからなるシステムで構成されている。
【0032】
管部2よりも断面が小さいシリンダ状の端部係合部8があることは、管部2と基部3との間で指摘されており、この端部係合部8は、管部2の停止部における延長部に配置されたカムを形成する棒部9を支持しており、これら棒部9の役割は、組立体10がコアに配置されたときに組立体10を正確に方向付けることである。また、他の方向付け手段は、本発明の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。
【0033】
外側管状外被部2は、頂部から、
− 上側中性子防護部(参照符号4は、この上側中性子防護部に対応する寸法を概略的に示している)と、
− 中性子燃料を収容する被覆ピン束で形成された燃料領域(参照符号5は、核分裂性物質及び/または燃料親物質(fertile material)を囲むこのピン束に体操する寸法を概略的に示している)と、
を収容している。
【0034】
上側中性子防護部の役割は、中性子束を制限することと、(特にコアモニタ器具を支持するコアカバープラグにある)さまざまな主要な構成部材への損傷を低減することと、であり、上側中性子防護部は、管部の上端部に固定されており、管部の中央に穴が開けられており、液体ナトリウムまたは炭化ホウ素のピン束が通過することを可能とする。
【0035】
また、組立体10は、
− 管部2の内側に収容されかつ上側中性子防護部4と燃料ピン5の束との間に位置する支持部材6と、
− 支持部材6と一体化されかつ六角形管部2の面それぞれの中心にほぼ配置された6つの突出部7と、
を備えている。
【0036】
支持部材6及び突出部7は、支持部材6及び突出部7のレベルにおいて組立体10の拡大部に対応する部分を等角図法で示している図2と、それぞれが図2の拡大図における頂部断面図と横断面図とを示している図3及び図4と、を参照してより詳細に説明されている。位置付棒部9が図2から図4において示されていないことに留意すべきである。
【0037】
支持部材6は、六角形管部2の軸と同軸であるほぼ十二角形の外形を有する格子である。支持部材6は、
− 中央開口部12が開けられたほぼシリンダ形をなす中央部分11(中央開口部12の機能は、組立体の中心において高温部に接続された構造への熱負荷並びに反応炉が運転中に材料における電力損失を制限することである)と、
− 中央部分11と十二角形の1つおきの辺との間の接続を確実にする6つの腕部13と、
を備えている。
【0038】
6つの腕部13それぞれには、腕部の端部において中実のシリンダの形態をなす雄型支持面14が設けられている。
【0039】
また、支持グリッド6は、(2つの次に続く腕部13間に位置する)6つの横方向開口部15を提供しており、液体ナトリウムを通過させるための良好な断面を保証しかつ圧力損失を低減している。支持グリッド6及び支持グリッドの開口部は、有利には、液体ナトリウムがグリッドを通過するにしたがって液体ナトリウムの混合を改善するよう構成されている。
【0040】
わずかにドーム状の突出部7それぞれは、六角形管部2の面に至っており、場合によってはアルミニウム被覆のような表面処理を提示しており、この表面処理は、取り扱われるときまたは運転中に動作する間に、引っ掛かる危険性から突出部7を守る。
【0041】
また、突出部7それぞれは、
− 雌型支持面17であって雌型支持面17を腕部13それぞれの雄型支持面14に固定することを可能とする穿孔を提供する雌型支持面17と、
− 応力を取り扱うために設けられた斜面部16と、
を備えており、斜面部16は、組立体を導入する間、引き抜く間または方向付ける間に、2つの隣り合う燃料組立体に属する2つの隣り合う突出部間の改善された接触部が得られることを可能とする。
【0042】
雌型支持面17と雄型支持面14とは、ハンダ付け処理または機械的処理(例えば停止部との螺着)のような異なる既知の処理によって固定されている。また、圧接によって変形されるリベットタイプのピンを用いて固定を行ってもよい。
【0043】
雌型支持面17が管部2の外面に至る突出部7の部分の直径よりも承継をなしていることに留意すべきであり、また、本発明は、グリッド6の高さを低減しながら(雄型支持面14と雌型支持面17との間の接触面を低減しながら)突出部の良好な支持面を得ることを可能とする凹所18を有する。
【0044】
突出部7それぞれは、例えば以下の方法、
− 突出部の直径とほぼ対応する直径を有する加工していない中実のシリンダから突出部を手掛ける(突出部7の直径が傾斜部16の直径に加えられる)こと、
− 突出部の雌型支持面17を形成しながら穿孔を形成すること、
− 凹所18を機械加工すること、
− 傾斜部16を機械加工によって形成すること、
によって得られる。
【0045】
支持部材6と一体化された突出部7から形成される単一構造を有するという事実により、異なる突出部間で連続的である構造に起因して組立体の高剛性を保証する。この剛性は、管部2の2面に作用する場合並びに管部2の6面に作用する場合に重要である。特に、従来技術の押し付け型のプレートとは逆に、本発明における構造は、より高い剛性が得られ、突出部の可塑化の危険性を防止する。
【0046】
六角形管部2は、第1に中性子束の下で鋼の膨張作用(組立体の頭部が屈曲すること)を制限することと第2に組立体の耐用年数を増大させることとを可能とする鋼から形成されている。これは、クロム含有量が8%から20%であるフェライト、フェライト・マルテンサイトまたはマルテンサイト鋼であってもよく、非限定的な例として以下の鋼、すなわちEM10、T91、Y92、P92、P911、EM12、VM12を挙げる。
【0047】
また、
− 酸化物分散、すなわちODS(酸化物分散強化)
− 炭化物分散、すなわちCDS(炭化物分散強化)
− 窒化物分散、すなわちNDS(窒化物分散強化)
によって強化されたフェライト、フェライト・マルテンサイト鋼を挙げる。
【0048】
支持部材6及び突出部7は、例えば硬316Ti鋼または316L鋼のようなオーステナイト鋼タイプの材料で形成されている。支持部材6及び突出部7について選択された材料は、管部2について使用される材料の膨張係数よりも高い膨張係数を優先的に示しており、膨張は、(コアの入力と出力との間で)コアを通過したときに温度の増大の影響を受けて拡張する。
【0049】
支持部材6及びプレート7は、好ましくは、支持ダイアグリッドのクロム組成と同様のクロム組成を有する材料で形成されており、第1に等温状態において隣り合う組立体のプレート間の一定間隔並びに取扱状態において増大した間隔を維持することと、第2にナトリウムがコア内を通るときに温度増大の影響を受けて拡張する膨張(コアの入力と出力との間の温度差の増大に対応する出力ランピング(ramping))を受けることと、を可能とする。
【0050】
オーステナイト鋼から管部2を形成することは可能であり、この場合において支持部材6及び突出部7によって形成される構造体は、突出部の剛性及び強度を改善することに関して本質的に有利である。
【0051】
また、図1に示すように燃料ピン束と上側中性子防護部との間に支持部材6を位置付ける場合において、上側中性子防護部を支持部材6と係合させることが可能であることに留意すべきである。別の組立体構造は、支持部材6を係合構造構成部材として有利に使用することを可能とする。
【0052】
図5は、本発明の第2実施形態における組立体100の頂部断面図を示している。
【0053】
組立体100は、図1から図4の組立体10とほぼ同一であり、組立体100が腕部13を備えていない点で異なる。
【0054】
組立体100は、
− 燃料ピン束の上方に位置する六角形管部102の内側に収容された支持部材106と、
− 支持部材106と一体化されかつ六角形管部102の各面に配置された6つの突出部107と、
− 6つの方向付け棒部109と、
を備えている。
【0055】
支持部材106は、ほぼ十二角形でありかつ六角形管部102の軸と同軸であるリングである。支持部材6は、突出部107に固定されるように構成された中実のシリンダ状をなす6つの支持面114を備えている。
【0056】
突出部107それぞれは、六角形管部102の面に至り、同様に、
− 雌型支持面117であって、雌型支持面117をリング106の雄型支持面114に固定することを可能とする穿孔を提供する雌型支持面117と、
− 応力を取り扱うために設けられた斜面部116と、
を備えている。
【0057】
図6は、本発明の第3実施形態における組立体200の頂部断面図を示している。
【0058】
組立体200は、
− 燃料ピン束の上方に位置する六角形管部202の内側に収容された星形支持部材206と、
− 支持部材206と一体化されかつ六角形管部202の各面に配置された6つの突出部206と、
− 6つの方向付け棒部209と、
を備えている。
【0059】
支持部材206は、
− 中央開口部212によって穿孔されたほぼシリンダ状の中央部分211であって、その機能が組立体の中心において高温に接続される構造への熱負荷を制限することである、中央部分211と、
− 6つの腕部213と、
を備えている。
【0060】
6つの腕部213それぞれには、腕部の端部において、中実のシリンダ状をなす雄型支持面214が設けられている。
【0061】
突出部207それぞれは、六角形管部202の面に至る。
【0062】
また、突出部207それぞれは、
− 雌型支持面217であって雌型支持面217を腕部213それぞれの雄型支持面214に固定することを可能とする穿孔を提供する雌型支持面217と、
− 応力を取り扱うために設けられた斜面部216と、
を備えている。
【0063】
図5及び図6の組立体100及び200について使用された材料は、図1から図4の第1実施形態について説明された材料と同様である。
【0064】
さらに、第1実施形態を参照して述べられた組立体の別の有利点は、図5及び図6に同様に適用される。
【0065】
実施形態それぞれにおいて、突出部は、支持部材(星型グリッド6、リング106または星型206)を六角形管部の内側において所望の高さで位置付け、そして管部の外側によって突出部それぞれを嵌合することによって突出部を支持部材に固定することから手掛けることによって組み立てられる。このために、管部には、突出部それぞれが特徴である雌型支持面の通過を可能とする開口部が設けられている。このような組み立て処理は、支持部材及び突出部によって形成された組立体の良好な安定性を確実する。
【0066】
突出部の寸法は、突出部間の良好な接触を保証するように決定されている。
【0067】
もちろん、本発明は、説明された実施形態に限定されない。
【0068】
特に、我々は、説明目的で3つの実施形態を説明したが、本発明は、突出部間の連続性を確実にする任意のタイプの支持部に適用される。
【0069】
さらに、支持部材6及び106の十二角形形状は、限定でなく、支持部の他の形状(例えば円形)は、同様に考慮される。
【0070】
最後に、任意の手段は、等価な手段に置換されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
2,102,202 管部,外側管状外被部,六角形管部、3 基部(位置付基部)、4 上側中性子防護部(上側中性子防護手段)、6,106,206 支持部材,支持グリッド,星型グリッド(グリッド,リング)、7,107,207 突出部,プレート、10,100,200 燃料組立体,組立体、13,213 腕部、17,117,217 雌型支持面(支持面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速中性子炉のための燃料組立体(10、100、200)であって、
− 断面多角形の管部(2、102、202)であって核分裂性物質及び/または燃料親物質を囲むピン束を有する、管部と、
− 複数の突出部(7、107、207)であって当該突出部(7、107、207)それぞれが前記管部(2、102、202)の外面の1つに位置する、突出部と、
を備え、
当該燃料組立体は、
当該燃料組立体が、前記管部(2、102、202)の内側かつ前記ピン束の上方に収容された支持部材(6、106、206)を備えており、
前記突出部(7、107、207)が、前記支持部材(6、106、206)と一体化されており、
前記突出部(7、107、207)それぞれが、支持面(17、117、217)を備えかつ前記管部(2、102、202)の外側に嵌合されることによって前記支持部材(6、106、206)に固定されており、
このために、前記管部(2、102、202)には前記突出部(7、107、207)それぞれに特有の前記支持面(17、117、217)が通過することを可能とする開口部が設けられていることを特徴とする燃料組立体。
【請求項2】
当該燃料組立体は、当該燃料組立体の下端部において、支持ダイアグリッドの受取スペーサにある位置付基部(3)を備えており、
前記支持部材及び複数の前記突出部は、前記支持ダイアグリッドのクロム組成とほぼ同一のクロム組成からなる材料で形成されていることを口調とする請求項1に記載の燃料組立体。
【請求項3】
前記支持部材(6、106、206)及び複数の前記突出部(7、107、207)は、オーステナイト鋼で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料組立体。
【請求項4】
前記オーステナイト鋼は、316Lまたは316Tiであることを特徴とする請求項3に記載の燃料組立体。
【請求項5】
前記管部(2、102、202)は、以下の材料、
− フェライト鋼
− マルテンサイト鋼
− フェライト・マルテンサイト鋼
− 酸化物、炭化物または窒化物分散強化された鋼
の1つで形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料組立体。
【請求項6】
前記管部(2、102、202)の断面多角形は、断面六角形であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料組立体。
【請求項7】
前記支持部材(6、206)には、複数の腕部(13、213)が設けられており、
前記腕部(13、213)それぞれは、当該腕部の端部において前記突出部(7、207)の1つと一体化していることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の燃料組立体。
【請求項8】
前記突出部(7、107、207)それぞれは、表面処理を提供していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の燃料組立体。
【請求項9】
前記突出部(7、107、207)それぞれは、斜面部(16、116、216)を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の燃料組立体。
【請求項10】
当該燃料組立体は、当該燃料組立体の上側部分において、上側中性子防護手段(4)を備えており、
前記支持部材(6)は、前記上側中性子防護手段(4)の下方に配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の燃料組立体。
【請求項11】
前記支持部材は、前記高速中性子炉のコア内で循環する熱変換流体のための経路を形成する開口部(15)によって穿孔されたグリッド(6)であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の燃料組立体。
【請求項12】
前記支持部材は、リング(106)を備えており、
前記突出部(107)それぞれは、前記リング(106)の周囲に系統的に分布されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の燃料組立体。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の燃料組立体を組み立てる方法において、
当該方法は、以下の工程、
− 前記支持部材(6、106、206)を前記ピン束の上方において前記管部(2、102、202)の内側に位置付ける工程と、
− 前記管部の外側の近傍に前記突出部それぞれを嵌合させることによって前記突出部(7、107、207)を前記支持部材(6、106、206)に固定する工程であって、前記管部にある開口部が、前記突出部それぞれの支持面の通過と前記突出部及び前記支持部材(6、106、206)の間の接続とを可能とするように構成されている、工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
高速中性子炉であって、
− 請求項1から12のいずれか1項に記載の燃料組立体であって伝熱流体によって冷却される燃料組立体からなるコアと、
− 支持グリッドと、
を備え、
前記燃料組立体それぞれは、当該燃料組立体の下端部において、前記支持ダイアグリッドの受取スペーサにある位置付基部を備えており、
前記燃料組立体それぞれにおける前記支持部材及び複数の前記突出部は、クロム組成が前記支持ダイアグリッドのクロム組成とほぼ同等のクロム組成を有する材料で形成されていることを特徴とする高速中性子炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−539505(P2010−539505A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525395(P2010−525395)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051596
【国際公開番号】WO2009/044061
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(509337414)アレバ・エヌペ (18)