説明

高速液体クロマトグラフ用移動相混合装置、及び該装置の制御方法

【課題】
移動相混合装置をHPLCに設置するにあたって送液ポンプの交換を要せず、また、移動相混合装置を用いてもリサイクル分析を行うことの出来る移動相混合装置を提供する。
【解決手段】
HPLC用移動相混合装置の移動相流出口をHPLCの送液ポンプの移動相流入口に連結してHPLCの送液ポンプを作動させることにより、前記複数の溶媒吸引管から吸引する溶媒をミキサーで混合して所定の組成の移動相を製造して送液ポンプに供給するHPLC用移動相混合装置であって、前記電磁弁開閉制御装置における電磁弁の開閉制御が、移動相の溶媒組成に応じて各電磁弁の開閉時間比を設定し、移動相を構成する溶媒毎に設置される全ての電磁弁が1回ずつ開閉するサイクルを複数回繰返すことにより、各溶媒の一定量をミキサーに繰返し供給するとともに、単位時間あたりのサイクル数が移動相の流速に比例するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速液体クロマトグラフ(以下、HPLCとも表記する。)に用いられる移動相混合装置、及び該装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HPLC分析で用いられる移動相は、通常、数種類の溶媒の混合物から成る。移動相は分析に先立って予め調製しておくのが一般的である。移動相の調製は、各溶媒を計量し、混合することにより行われる。全ての分析が終了するまでに必要となる移動相の量は、分析の条件や繰返し回数、再現性等により異なるため、分析前には確定されない。そのため、分析途中に移動相が足りなくなることもあれば、分析終了後に移動相が余ることもある。分析途中に移動相が足りなくなると、再度移動相を調製しなければならなくなり煩雑である。また、移動相の調製誤差により、分析結果が安定しないこともある。一方、分析に必要な移動相の量に十分に足る量の移動相を調製しておけばこのような問題は起らない。しかし、分析終了後に残存した移動相は廃棄されることも多く、移動相を構成する溶媒の無駄を生じている。
【0003】
上記問題を解決するために、以下に例示される移動相混合装置が用いられている。図8は、従来の移動相混合装置を有するHPLCの構成の一例を示す説明図である。
【0004】
先ず、従来のHPLC用移動相混合装置を有するHPLCの構成について説明する。
【0005】
図8中、800は従来のHPLC用移動相混合装置を有するHPLCであり、一点鎖線で囲まれるのが従来のHPLC用移動相混合装置である。
【0006】
801a〜cは溶媒貯槽であり、その内部には、それぞれに異なる溶媒803a〜cが貯蔵されている。溶媒貯槽801a〜cの内底部付近には、それぞれ溶媒吸引管805a〜cの一端が配設され、内部の溶媒803a〜cを吸引できるようになっている。溶媒吸引管805a〜cの他端は、それぞれ電磁弁807a〜cの入口に接続されている。電磁弁807a〜cは、配線809によって電磁弁開閉制御装置811に接続されており、電磁弁開閉制御装置811からの電気信号によってそれぞれ電磁弁の開閉が制御されている。電磁弁807a〜cの出口には、配管813a〜cの一端がそれぞれ接続されている。配管813a〜cの他端は、流路合流部815の各入口にそれぞれ接続される。流路合流部815は、配管813a〜cを合流させて配管817に継ぐ部材で、4方ジョイントなどが用いられる。流路合流部815の出口は、配管817の一端と接続される。配管817の他端は、HPLCを構成している送液ポンプ823の入口(吸引側)へと接続され、送液ポンプ823の出口(吐出側)は配管825の一端と接続される。送液ポンプ823は配線809によって電磁弁開閉制御装置811に接続されており、送液ポンプ823の作動状態が電磁弁開閉制御装置811に出力される。配管825の他端は、ミキサー827の入口と接続される。
【0007】
ミキサー827は、通常数mLの実容量を有しており、ここで各溶媒803a〜cは一旦滞留し、混合される。ミキサー827としては、溶媒入口と溶媒出口とが設けられたステンレス製耐圧容器の内部に、直径数mmのガラス製ビーズ(球形)が多数充填され、当該ガラス製ビーズ同士が形成する空隙により、ステンレス製耐圧容器内に複雑な流路が形成されて構成されるミキサーが例示される。このミキサーは、溶媒入口から流入した溶媒が、耐圧容器内に充填されたガラス製ビーズにより形成される複雑流路を、溶媒出口に向って移動する。ミキサーの実容量は配管の容量と比べて格段に大きくなっているため、ミキサー内に連続的に流入する各溶媒は、ミキサー内で混合される。このようなミキサーは、送液ポンプ823によって複雑流路内に各溶媒を圧送しながら混合させる必要があるため、図8に示す様にポンプの下流側(吐出口側)に介装されている。
【0008】
ミキサー827の出口と試料導入装置831の入口とは配管829を介して接続され、試料導入装置831の出口とカラム835の入口とは、配管833により接続される。カラム835の出口と検出器839の入口とは配管837により接続される。検出器839の出口には、配管841の一端が接続され、その他端は、回収槽847内に挿入されている。
【0009】
次に、従来のHPLC用移動相混合装置を有するHPLCを用いてHPLC分析をする場合について説明する。
【0010】
移動相を構成する各溶媒803a〜cは、送液ポンプ823により、それぞれ溶媒吸引管805a〜805cから吸引され、電磁弁807a〜cに送られる。電磁弁807a〜cは、配線809で電磁弁開閉制御装置811に接続され、弁の開閉が制御されている。電磁弁807aが開いている時、溶媒803aは、送液ポンプ823により、溶媒吸引管805aから吸引され、電磁弁807a、配管813aを経由して、流路合流部815に送られる。流路合流部815を出た溶媒803aは、配管817を経て送液ポンプ823に到達する。その後、溶媒803aは、配管825を経由してミキサー827に送られる。
【0011】
電磁弁807b又は807cが開いている場合も上記と同様に、溶媒803b、803cはミキサー827に送られる。
【0012】
ミキサー827により混合された各溶媒803a〜c(以下、単に移動相ともいう。)は、配管829を経て試料導入装置831に送られる。試料導入装置831から導入された試料(複数成分を含有)は、移動相と共に、配管833を経て、カラム835に送られる。
【0013】
試料中の各成分は、移動相とカラム835に充填されている充填材の固定相との分配係数の差に起因して、異なる速度でカラム835から溶出される。分配係数に応じて溶出される各成分が含まれる移動相は、カラム835を出た後、配管837を経て、検出器839に送られ、ここで各成分が検出される。検出器839によって検出される各成分を含む移動相は配管841を経て回収槽847に送られ、ここで回収液845が回収される。この回収液845は通常廃液とされる、または、不図示のフラクションコレクター等を用いることにより保持時間毎に溶出成分が収集される。
【0014】
電磁弁807a〜cは、1つの電磁弁が開いているとき、他の2つの電磁弁は閉じているように、電磁弁開閉制御装置811によって制御されている。電磁弁が開いている流路に属する溶媒のみが、送液ポンプ823により溶媒貯槽から吸引される。各電磁弁の開閉制御は、時間単位で行われる。例えば、溶媒803a/803b/803cの混合比(容積)が5/2/1の移動相を調製する場合、各電磁弁807a〜cは、電磁弁開閉制御装置811の設定により、電磁弁807aが5単位時間開き、次いで電磁弁807bが2単位時間開き、その後電磁弁807cが1単位時間開くサイクルを繰返す。
【0015】
ところが、HPLCに一般的に用いられるプランジャー式ポンプは、ポンプ入口側からの溶媒の吸引とポンプ出口側への溶媒の吐出とが交互に繰返して行われるため、いわゆる脈流が発生する。プランジャー数を増やせば、かかる脈流は解消される傾向はあるが、完全に解消することは難しい。送液ポンプが吸引動作を行っている際に電磁弁を開けば、溶媒は溶媒貯槽から吸引される。一方、送液ポンプが吐出動作を行っている際に電磁弁を開いても溶媒は吸引されない。送液ポンプの吸引―吐出のサイクルに、電磁弁開閉のタイミングを合致させなければ、各溶媒が溶媒貯槽から吸引される量が時間毎に異なる。従って、調製される移動相の溶媒組成が一定にならない(特許文献1)。そのため、従来の移動相混合装置は、送液ポンプと一体で設計されている。従って、上記目的に合わせて設計されているHPLC以外のHPLCに移動相混合装置を組込む場合、送液ポンプを交換する必要があり、価格を上昇させている。
【0016】
HPLCを用いるリサイクル分析は、単離困難な試料成分を精度良く単離することが出来るため、有機物の精製や分析化学の分野において広く用いられている。しかし、上記の移動相混合装置を用いる場合、以下に説明する理由により、リサイクル分析を行うことが出来ない。
【0017】
図9中、900は従来の移動相混合装置を有するリサイクルHPLCである。901a〜cは溶媒貯槽であり、その内部には、それぞれに異なる溶媒903a〜cが貯蔵されている。溶媒貯槽901a〜cの内底部付近には、それぞれ溶媒吸引管905a〜cの一端が配設され、内部の溶媒903a〜cを吸引できるようになっている。溶媒吸引管905a〜cの他端は、それぞれ電磁弁907a〜cの入口に接続されている。電磁弁907a〜cは、配線909によって電磁弁開閉制御装置911に接続されており、電磁弁開閉制御装置911から電気信号によってそれぞれの電磁弁の開閉が制御されている。電磁弁907a〜cの出口には、配管913a〜cの一端が接続されている。配管913a〜cの他端は、流路合流部915の各入口にそれぞれ接続される。流路合流部915の出口は、配管917の一端と接続される。配管917の他端は、リサイクル切換えバルブ919のポート919aと接続される。リサイクル切換えバルブ919のポート919bと送液ポンプ923の入口(吸引側)とは配管921により接続され、送液ポンプ923の出口(吐出側)とミキサー927の入口とは配管925により接続される。送液ポンプ923は配線909によって電磁弁開閉制御装置911に接続されており、送液ポンプ923の作動状態が電磁弁開閉制御装置911に出力される。ミキサー927は、前述のミキサー827と同様の構造である。ミキサー927の出口と試料導入装置931の入口とは配管929を介して接続され、試料導入装置931の出口とカラム935の入口とは配管933により接続される。カラム935の出口と検出器939の入口とは配管937により接続される。検出器939の出口には配管941の一端が接続され、配管941の他端はリサイクル切換えバルブ919のポート919cに接続される。リサイクル切換えバルブ919のポート919dには配管943の一端が接続され、その他端は回収槽947内に挿入されている。
【0018】
リサイクル切換えバルブ919は、ポート919a―919b流路間、ポート919b―919c流路間、ポート919a―919d流路間が流通可能になっているとき、ポート919c―919d流路間は流通不能になるように構成されている。また、ポート919a―919b流路間、ポート919a―919d流路間、ポート919c―919d流路間が流通可能になっているとき、ポート919b―919c流路間は流通不能になるように構成されている。
【0019】
次に、従来のHPLC用移動相混合装置を有するリサイクルHPLCを用いてHPLC分析を行う場合について説明する。このリサイクル分析は、以下の理由により、実際には行われない。
【0020】
移動相を構成する各溶媒903a〜903cは送液ポンプ923により、それぞれ溶媒吸引管905a〜905cから吸引され、電磁弁907a〜907cに送られる。電磁弁907a〜cは配線909で電磁弁開閉制御装置911に接続され、弁の開閉が制御されている。電磁弁907aが開いている時、溶媒903aは、送液ポンプ923により、溶媒吸引管905aから吸引され、電磁弁907a、配管913aを経由して、流路合流部915に送られる。流路合流部915を出た溶媒903aは、配管917を経てリサイクル切換えバルブ919、配管921を経由して送液ポンプ923に到達する。このとき、リサイクル切換えバルブ919は、ポート919aと919bとの流路間が流通可能になっている。その後、溶媒903aは、配管925を経由してミキサー927に送られる。電磁弁907b又は907cが開いている場合も上記と同様に、溶媒903b、903cはミキサー927に送られる。
【0021】
電磁弁開閉制御装置911による電磁弁開閉制御の方法は、前述の図8の場合と同様である。
【0022】
ミキサー927により混合された各溶媒903a〜c(以下、単に移動相ともいう。)は、配管929を経て試料導入装置931に送られる。試料導入装置931から導入された試料(複数成分を含有)は、移動相と共に、配管933を経て、カラム935に送られる。
【0023】
試料中の各成分は、移動相とカラム935に充填されている充填材の固定相との分配係数の差に起因して、異なる速度でカラム935から溶出される。分配係数に応じて溶出される各成分が含まれる移動相は、カラム935を出た後、配管937を経て、検出器939に送られ、ここで各成分が検出される。検出器939によって検出される各成分を含む移動相は配管941を経て回収、又はリサイクルされる。
【0024】
各成分を含む移動相を回収する場合は、リサイクル切換えバルブ919を切換えることにより、配管941と配管943との流路間の流通を可能とさせる。一方、配管941と配管921との流路間の流通を遮断させる。これにより、各成分を含む移動相は、配管941から配管943へと送られ、各成分を含む移動相は、回収槽947に送られ、ここで回収液945が回収される。この回収液945は通常廃液とされる、または、不図示のフラクションコレクター等を用いることにより保持時間毎に溶出成分が収集される。
【0025】
各成分を含む移動相が十分に分離されていない場合、各成分を含む移動相はリサイクルされる。
【0026】
各成分を含む移動相をリサイクルする場合は、リサイクル切換えバルブ919の切換えにより、配管941と配管921との流路間の流通を可能とさせる。一方、配管941と配管943との流路間の流通を遮断させる。これにより、リサイクル切換えバルブ919、配管921、送液ポンプ923、配管925、ミキサー927、配管929、試料導入装置931、配管933、カラム935、配管937、検出器939、配管941、から成るリサイクル流路が構成される。各成分を含む移動相は、このリサイクル流路を循環する。しかし、このリサイクル流路にはミキサー927が介装されている。そのため、このリサイクル流路に各成分を含む移動相を循環させると、一旦分離された各成分がミキサー927によって拡散されて混合される。したがって、従来の移動相混合装置を用いるとリサイクル分析を行うことが出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2005−156218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、移動相混合装置をHPLCに設置するにあたって送液ポンプの交換を要せず、また、移動相混合装置を用いてもリサイクル分析を行うことの出来る移動相混合装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、該移動相混合装置に用いられる電磁弁の開閉制御の方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明者は上記課題について鋭意検討した結果、送液ポンプの上流側に介装させても効率的に溶媒を混合することの出来るミキサーを用いることと、電磁弁の開閉サイクルを送液ポンプの流速に応じて変更することで上記課題を解決することが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0030】
上記課題を解決する本発明は以下に記載するものである。
【0031】
〔1〕
HPLCの送液ポンプに連結して、送液ポンプに所定の組成の移動相を供給するHPLC用移動相混合装置であって、
(A)HPLCの送液ポンプの移動相流入口と連結する移動相流出口を有するミキサーと、
(B)一端から溶媒を吸引して他端から前記ミキサーの流入口に溶媒を供給する複数の溶媒吸引管と、
(C)前記各溶媒吸引管のそれぞれに介装され、電気信号により開閉を行う電磁弁と、
(D)前記複数の電磁弁の開閉を制御する電磁弁開閉制御装置と、
からなり、
HPLC用移動相混合装置の移動相流出口をHPLCの送液ポンプの移動相流入口に連結してHPLCの送液ポンプを作動させることにより、前記複数の溶媒吸引管から吸引する溶媒をミキサーで混合して所定の組成の移動相を製造して送液ポンプに供給するHPLC用移動相混合装置であって、
前記電磁弁開閉制御装置における電磁弁の開閉制御が、
移動相の溶媒組成に応じて各電磁弁の開閉時間比を設定し、
移動相を構成する溶媒毎に設置される全ての電磁弁が1回ずつ開閉するサイクルを複数回繰返すことにより、各溶媒の一定量をミキサーに繰返し供給するとともに、
単位時間あたりのサイクル数が移動相の流速に比例するように制御する手段を備えた電磁弁制御装置を有することを特徴とするHPLC用移動相混合装置。
【0032】
上記発明は、以下の〔2〕の構成を付加したものも包含する。
【0033】
〔2〕
ミキサーが、
(a)両端が閉塞されるとともに、各溶媒が導入される入口部と導入された溶媒が混合された後に流出する出口部とを有する円筒主体と、
(b)前記円筒主体の軸方向に沿って軸方向に垂直に所定間隔を設けて形成された複数の隔壁とからなり、
前記複数の隔壁は隔壁の中心に1箇所又は、隔壁の周縁に複数箇所穿設されてなる貫通孔を有すると共に、これら隔壁が交互に円筒主体内に配列されているミキサーである〔1〕に記載のHPLC用移動相混合装置。
【0034】
〔3〕
複数の溶媒貯槽から送液ポンプにより溶媒を順次吸引してミキサーに送り混合することにより所定の組成の移動相を調製するHPLC用移動相混合装置の制御方法であって、
前記移動相の溶媒組成は、各溶媒貯槽から吸引される各溶媒の吸引時間により制御され、
移動相を構成する全ての溶媒が各1回吸引されるサイクルを複数回繰返すとともに、
単位時間あたりのサイクル数が前記送液ポンプの流速に比例することを特徴とするHPLC用移動相混合装置の制御方法。
【発明の効果】
【0035】
本発明のHPLC用移動相混合装置は、既設のHPLCの送液ポンプを交換せずにそのHPLCのポンプを利用してHPLCに取付けることが出来る。即ち、既存のHPLC装置に容易に取付けることが出来る。
【0036】
本発明のHPLC用移動相混合装置は、送液ポンプの流速に応じて電磁弁の開閉サイクルを変更するように制御される。その結果、送液ポンプの流速にかかわらず一定組成の移動相を製造できる。
【0037】
本発明のHPLC用移動相混合装置は、ミキサーが送液ポンプの上流側に介装されている。そのため、リサイクル分析を行う場合、試料がミキサーを通過しないので、一旦分離された試料がミキサーによって再混合されない。従って、リサイクル分析において高精度の分析が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のHPLC用移動相混合装置とそれが組込まれたリサイクルHPLCの流路構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明に用いられるミキサーの構成の一例を示す、2(a)は透視図、2(b)は分解図である。
【図3】図2のミキサーの流路を示す説明図である。
【図4】4a〜cは、それぞれスペーサー211a〜cの上面形状を示す上面図である。
【図5】5a〜cは、それぞれスペーサー211a〜cの形状を示す斜視図である。
【図6】6a〜cは、それぞれ図5a〜cにおけるa−a線、b−b線、c−c線における、スペーサー211a〜cの断面図である。
【図7】本発明の電磁弁の開閉制御方法により、各溶媒をミキサーに送っている際における配管内の溶媒の存在状態を概念的に表す説明図である。
【図8】従来のHPLC用移動相混合装置を組込んだHPLCの流路構成の一例を示す説明図である。
【図9】従来のHPLC用移動相混合装置を組込んだリサイクルHPLCの流路構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明のHPLC用移動相混合装置とそれが組込まれたリサイクルHPLCについて説明する。
【0040】
先ず、本発明のHPLC用移動相混合装置とそれが組込まれたリサイクルHPLCの構成について説明する。図1は、本発明のHPLC用移動相混合装置とそれが設置されたリサイクルHPLCの構成の一例を示す説明図である。
【0041】
図1中、100は本発明のHPLC用移動相混合装置が組込まれたHPLCであり、一点鎖線で囲まれるのが本発明のHPLC用移動相混合装置である。
【0042】
101a〜cは溶媒貯槽であり、その内部には、それぞれに異なる溶媒103a〜cが貯蔵されている。溶媒貯槽101a〜cの内底部付近には、それぞれ溶媒吸引管105a〜cの一端が配設され、内部の溶媒103a〜cを吸引できるようになっている。溶媒吸引管105a〜cの他端は、それぞれ電磁弁107a〜cの入口に接続されている。電磁弁107a〜cは、配線109によって電磁弁開閉制御装置111に接続されており、電磁弁開閉制御装置111からの電気信号によってそれぞれ弁の開閉が制御されている。電磁弁107a〜cの出口には、配管113a〜cの一端が接続されている。配管113a〜cの他端は、流路合流部115の各入口にそれぞれ接続される。流路合流部115は、配管113a〜cを合流させて配管117に継ぐ部材で、4方ジョイントなどが用いられる。流路合流部115の出口は、配管117の一端と接続される。配管117の他端はミキサー127の入口へと接続される。ミキサー127は、その内部で複数の溶媒を混合させて一定組成の移動相を出口から流出させる。ミキサーの構造は後述する。
【0043】
ミキサー127の出口とリサイクル切換えバルブ119のポート119aとは配管121を介して接続される。リサイクル切換えバルブ119のポート119bと送液ポンプ123の入口(吸引側)とは配管125により接続され、送液ポンプ123の出口(吐出側)と試料導入装置131の入口とは配管129により接続される。試料導入装置131の出口とカラム135の入口とは配管133により接続され、カラム135の出口と検出器139の入口とは配管137により接続される。検出器139の出口とリサイクル切換えバルブ119のポート119cとは配管141により接続される。リサイクル切換えバルブ119のポート119dには配管143の一端が接続され、その他端は回収槽147内に挿入されている。
【0044】
リサイクル切換えバルブ119は、ポート119a―119b間、ポート119b―119c間、ポート119a―119d間が流通可能になっているとき、ポート119c―119d間は流通不能になるように構成されている。また、ポート119a―119b間、ポート119a―119d間、ポート119c―119d間が流通可能になっているとき、ポート119b―119c間は流通不能になるように構成されている。
【0045】
次に、本発明のHPLC用移動相混合装置を有するリサイクルHPLCを用いてHPLC分析を行う場合について説明する。
【0046】
移動相を構成する各溶媒103a〜cは送液ポンプ123により、それぞれ溶媒吸引管105a〜cから吸引され、電磁弁107a〜cに送られる。電磁弁107a〜cは、1つの電磁弁が開いているとき、他の2つの電磁弁は閉じるように制御されている。電磁弁107aが開いている時、溶媒103aは、送液ポンプ123により、溶媒吸引管105aから吸引され、電磁弁107a、配管113aを経由して、流路合流部115に送られる。流路合流部115を出た溶媒103aは配管117を経てミキサー127に送られ、ここで他の溶媒と混合されて移動相となる。ミキサーの構造については後述する。ミキサー127を出た移動相はリサイクル切換えバルブ119、配管125を経由して送液ポンプ123に到達する。このとき、リサイクル切換えバルブ119は、ポート119aと119bとの間の流路が流通可能になっている。電磁弁107b又は107cが開いている場合も上記と同様に、溶媒103b、103cはミキサー127に送られて他の溶媒と混合され、送液ポンプ123に到達する。
【0047】
送液ポンプ123から吐出された移動相は、配管129を経て試料導入装置131に送られる。試料導入装置131から導入された試料(複数成分を含有)は移動相と共に、配管133を経て、カラム135に送られる。
【0048】
試料中の各成分は、移動相とカラム135に充填されている充填材の固定相との分配係数の差に起因して、異なる速度でカラム135から溶出される。分配係数に応じて溶出される各成分が含まれる移動相は、カラム135を出た後、配管137を経て、検出器139に送られ、ここで各成分が検出される。検出器139によって検出される各成分を含む移動相は配管141を経て回収、又はリサイクルされる。
【0049】
各成分を含む移動相を回収する場合は、リサイクル切換えバルブ119を切換えることにより、配管141と配管143との流路間の流通を可能とさせる。一方、配管141と配管125との流路間の流通を遮断させる。これにより、各成分を含む移動相は、配管141から配管143へと送られ、各成分を含む移動相は回収槽147に送られ、ここで回収液145が回収される。この回収液145は通常廃液とされる、または、不図示のフラクションコレクター等を用いることにより保持時間毎に溶出成分が収集される。
【0050】
各成分を含む移動相が十分に分離されていない場合、各成分を含む移動相はリサイクルされる。
【0051】
各成分を含む移動相をリサイクルする場合は、リサイクル切換えバルブ119の切換えにより、配管141と配管125との流路間の流通を可能とさせる。一方、配管141と配管143との間の流通を遮断させる。これにより、リサイクル切換えバルブ119、配管125、送液ポンプ123、配管129、試料導入装置131、配管133、カラム135、配管137、検出器139、配管141、から成るリサイクル流路が構成される。
【0052】
各成分を含む移動相はこのリサイクル流路を循環する。このリサイクル流路は、ミキサー127が介装されていないため、リサイクル分析を行ってもミキサーに起因する試料成分の拡散は起らない。
【0053】
本発明のHPLC用移動相混合装置に用いるミキサーは、HPLC移動相流路において送液ポンプの上流(吸引口側)に介装され、複数の溶媒を均一に混合できるものであれば、どのようなミキサーを用いても良い。
【0054】
本発明の移動相混合装置に用いられるミキサーの構成の一例について説明する。
【0055】
図2(a)は、本発明のHPLC用移動相混合装置に用いられるミキサーの構造の一例を示す透視図であり、図2(b)は、そのミキサーの分解図である。図3は、図2(a)のa−a線における断面図である。
【0056】
図2及び3において、127はミキサーであり、円筒主体201の両端にそれぞれ蓋203、207とが設けられて円筒主体201の両端開口を閉塞している。蓋203には、溶媒流入口205が設けられている。蓋207には、移動相流出口209が設けられている。円筒主体201の内部には、円柱形状のスペーサー211a〜iが納められている。スペーサー211a〜iの外径は、円筒主体201の内径よりも僅かに小さい。
【0057】
図4a、4b、4cはそれぞれスペーサー211a、211b、211cの形状を示す上面図である。図5a、5b、5cはそれぞれスペーサー211a、211b、211cの形状を示す斜視図である。図6a、6b、6cは、それぞれ図5a、5b、5cにおけるa−a線、b−b線、c−c線における、スペーサー211a、211b、211cの断面図である。
【0058】
円柱状のスペーサー211aの軸線方向両端面は、それらの周縁を残して円柱状に凹部212aが設けられており、その凹部212aの周縁に沿って略等間隔に貫通孔が形成され、これらにより流路213aが複数箇所(本図面においては8箇所)形成されている。
【0059】
円柱状のスペーサー211bの軸線方向片端面は、それらの周縁を残して円柱状に凹部212bが設けられており、その凹部212bの中心部に貫通孔が形成され、これらにより流路213bが1箇所形成されている。
【0060】
円柱状のスペーサー211cの軸線方向片端面は、それらの周縁を残して円柱状に凹部212cが設けられており、その凹部212cの周縁に沿って略等間隔に貫通孔が形成され、これらにより流路213cが複数箇所(本図面においては8箇所)形成されている。
【0061】
スペーサー211bは、スペーサー211d、211f、211hと同様の形状であり、スペーサー211cは、スペーサー211e、211g、211iと同様の形状である。これらスペーサー211a〜iは、円筒主体201の筒内における隔壁をそれぞれ形成する。
【0062】
ミキサー127内には、スペーサー211a〜iが溶媒流入口側から移動相流出口側に向って順次配されている。その結果、1箇所又は8箇所の流路が形成されたスペーサーが交互に積層された構造が構成されている。そのため、溶媒流入口から流入した溶媒は、スペーサーに設けられた凹部に滞留した後、8本の流路を通って次の凹部に滞留し、次いで1本の流路を通って次の凹部に滞留する。これが繰返されることによって、複数の溶媒が均一に混合し、移動相流出口から流出する。
【0063】
ミキサー127は通常数mLの実容量(スペーサーに設けられた凹部(溶媒滞留部)の容量と流路の容量とを合計した容量)を有している。なお、ミキサーの実容量はHPLCに用いる配管径を考慮して適宜調整すればよい。通常の分析用HPLCの場合のミキサーの実容量は6mL以下が好ましい。このミキサーは、混合性能に優れ、圧力負荷が少ないため、送液ポンプの上流側に介装することが出来る。なお、スペーサー211a、211cに設けられる流路の数は特に限定されないが、4〜10が好ましく、6〜8がより好ましい。円筒主体201に代えて、各スペーサー211a〜iの両端面又は外周を接着剤等で固定して円筒主体を省略しても良い。
【0064】
次に、本発明のHPLC用移動相混合装置で行う電磁弁の開閉制御の方法について説明する。
【0065】
本発明のHPLC用移動相混合装置は、電磁弁開閉制御装置111により各電磁弁107a〜cの開閉制御を行って、ミキサー127への溶媒の供給量と供給サイクルを制御する。送液ポンプ123の吸引により、各溶媒103a〜cは各溶媒貯槽101a〜cから吸引される。各電磁弁は、何れか1つの電磁弁が開いているとき、他の2つの電磁弁は閉じるように制御される。これにより、各溶媒103a〜cはその流路に属する電磁弁が開いている間、溶媒貯槽から吸上げられて、ミキサー127へと送られる。即ち、移動相の溶媒組成は、各電磁弁が開く単位時間数に比例するため、各電磁弁が開く単位時間を制御することにより、移動相の溶媒組成を制御できる。各溶媒の混合はミキサーで行われるため、各電磁弁が開く単位時間数は、ミキサーの容量と混合性能を考慮して設定される。即ち、これら3種の溶媒は、ミキサー127の出口から流出する際に均一に混合されていなければならない。そのため、電磁弁が1度の開閉操作で開く時間はある程度小さくなる。各電磁弁107a〜cが各々1回、所定の時間開くサイクル(以下、電磁弁の開閉サイクルともいう)を繰返して、ミキサー127での混合を完全に行う。1サイクルに要する時間は、例えば送液ポンプの流速が1(mL/min.)場合、10〜60秒に設定するのがよい。
【0066】
HPLCに一般的に用いられるプランジャー式ポンプはポンプ入口側からの溶媒の吸引とポンプ出口側への溶媒の吐出とが交互に繰返して行われる(以下、ポンプの吸引―吐出サイクルともいう)。そのため、電磁弁が開いていても、送液ポンプが吐出を行っている場合には、溶媒は溶媒貯槽から吸引されない。送液ポンプの流速が速くなると、ポンプの吸引―吐出サイクルは短くなる。
【0067】
本発明の移動相混合装置の制御方法は、電磁弁の開閉サイクルをポンプの吸引―吐出サイクルに比例させる。即ち、ポンプの吸引―吐出サイクルが短くなる(送液ポンプの流速が速くなる)と、これに比例(送液ポンプの流速に反比例)して電磁弁が1サイクル開閉するのに要する時間を短くなるように制御する。従って、送液ポンプの流速にかかわらず、1サイクルあたりの各溶媒の吸引量は一定となる。これにより、ポンプの吸引―吐出サイクルによって生じる各溶媒の吸上げ量の誤差は、流速にかかわらず一定となる(即ち、それぞれの電磁弁が開いている間に、送液ポンプによって生じる脈流の脈数は、流速を変えても一定である)。そのため、送液ポンプの流速にかかわらず、移動相の溶媒組成は一定となる。
【0068】
この点につき、更に説明する。各電磁弁の開閉サイクルにおいて、電磁弁107aが開いている間は、溶媒103aのみがミキサー127に連続的に送られる。次に電磁弁107aが閉じて電磁弁107bが開くと、溶媒103bのみがミキサー127に連続的に送られる。同様にして、次は溶媒103cがミキサー127に連続的に送られる。従って、ミキサー127は、これらの連続的且つ周期的に送られる3種の溶媒を均一に混合できる性能が要求される。ここで送液ポンプの流速を増加する場合、各電磁弁の開く時間を同じに保つと各溶媒が電磁弁が1回開いている間に送られる送液量も増加する。この場合は、ミキサーの混合能力を超え、均一に混合することが出来なくなる。しかし、送液ポンプの流速と比例して各電磁弁の開閉サイクル数を増加させると、1サイクルの送液量は同一となる。その結果、ミキサーにおける混合状態はポンプの送液量に関係がなく、良好に保たれる。
【0069】
以下、本発明の電磁弁の開閉制御方法について例を挙げて説明する。
【0070】
各溶媒の送液は所望の移動相の溶媒組成に応じて、移動相を構成する溶媒の容積比を設定する。移動相を構成する溶媒の容積比に比例して、各溶媒貯槽からの溶媒の吸引時間比を設定する。時間比は、溶媒の特性(粘度や体積膨張率)を勘案して適宜補正する。各電磁弁が1回ずつ開閉し、移動相を構成する全種類の溶媒が1回ずつ吸引されるサイクルを1サイクルとする。
【0071】
図7(A)〜(C)は、本発明の電磁弁の開閉制御方法により、各溶媒をミキサーに送っている際における配管117内の溶媒の存在状態を概念的に表す説明図である。図7中、矢印(m)方向にミキサーが介装されている。
【0072】
移動相の溶媒組成が、溶媒103a/溶媒103b/溶媒103c=7/2/1の場合で、送液ポンプの流速が2(mL/min.)の場合、先ず、電磁弁開閉制御装置111からの電気信号により、電磁弁107aを7単位時間開き、溶媒103aは7単位時間溶媒貯槽101aから吸引される。次に、電磁弁開閉制御装置111からの電気信号により、電磁弁107aを閉じ、略同時に電磁弁107bを2単位時間開く。これにより、溶媒103aの吸引は遮断される一方、溶媒103bは2単位時間溶媒貯槽101bから吸引される。次いで、電磁弁開閉制御装置111からの電気信号により、電磁弁107bを閉じ、略同時に電磁弁107cを1単位時間開く。これにより、溶媒103bの吸引は遮断される一方、溶媒103cは1単位時間溶媒貯槽101cから吸引される。以上で、各溶媒の吸引が1巡し、このサイクルが繰返される(図7(A))。単位時間は、送液量(mL/min.)/送液ポンプの1ストローク送液量(mL)で算出される。
【0073】
上記の場合において送液ポンプの流速を1(mL/min.)とする場合、溶媒103a、b、cの吸引時間はそれぞれ、14単位時間、4単位時間、2単位時間となるように制御される(図7(B))。同様に、送液ポンプの流速が4(mL/min.)となった場合、溶媒103a、b、cの吸引時間はそれぞれ、3.5単位時間、0.5単位時間、0.25単位時間となるように制御される(図7(C))。
【0074】
よって、各溶媒が1サイクルあたりに吸引される量は、送液ポンプの流速にかかわらず一定となる。即ち、1サイクルあたりの送液ポンプの吸引―吐出のサイクル数も一定である(図7の(A)〜(C))。
【0075】
ある電磁弁の開閉と他の電磁弁の開閉とは、同時に行われることが好ましいが、HPLCを破損しない程度であって、製造される移動相の溶媒組成に実質的な狂いを生じさせない程度であれば各電磁弁の開閉に遅れがあっても良い(略同時)。
【0076】
上記説明においては3種類の溶媒を混合して移動相を調整する場合について説明したが、これに限らず、任意の数の溶媒を同様の方法で混合して移動相を製造することができる。
【符号の説明】
【0077】
100・・・本発明のHPLC用移動相混合装置が組込まれたリサイクルHPLC
101a〜c・・・溶媒貯槽
103a〜c・・・溶媒
105a〜c・・・溶媒吸引管
107a〜c・・・電磁弁
109・・・電磁弁開閉制御装置配線
111・・・電磁弁開閉制御装置
115・・・流路合流部
119・・・リサイクル切換えバルブ
123・・・送液ポンプ
127・・・ミキサー
131・・・試料導入装置
135・・・カラム
139・・・検出器
145・・・回収液
147・・・回収槽
113a〜c、117、121、125、129、133、137、141、143・・・配管

201・・・円筒主体
203、207・・・蓋
205・・・溶媒流入口
209・・・移動相流出口
211a〜i・・・スペーサー
212a〜c・・・凹部
213a〜i・・・流路

800・・・従来のHPLC用移動相混合装置が組込まれたHPLC
801a〜c・・・溶媒貯槽
803a〜c・・・溶媒
805a〜c・・・溶媒吸引管
807a〜c・・・電磁弁
809・・・電磁弁開閉制御装置配線
811・・・電磁弁開閉制御装置
815・・・流路合流部
823・・・送液ポンプ
827・・・ミキサー
831・・・試料導入装置
835・・・カラム
839・・・検出器
845・・・回収液
847・・・回収槽
813a〜c、817、825、829、833、837、841・・・配管

900・・・本発明のHPLC用移動相混合装置が組込まれたリサイクルHPLC
901a〜c・・・溶媒貯槽
903a〜c・・・溶媒
905a〜c・・・溶媒吸引管
907a〜c・・・電磁弁
909・・・電磁弁開閉制御装置配線
911・・・電磁弁開閉制御装置
915・・・流路合流部
919・・・リサイクル切換えバルブ
923・・・送液ポンプ
927・・・ミキサー
931・・・試料導入装置
935・・・カラム
939・・・検出器
945・・・回収液
947・・・回収槽
913a〜c、917、921、925、929、933、937、941、943・・・配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HPLCの送液ポンプに連結して、送液ポンプに所定の組成の移動相を供給するHPLC用移動相混合装置であって、
(A)HPLCの送液ポンプの移動相流入口と連結する移動相流出口を有するミキサーと、
(B)一端から溶媒を吸引して他端から前記ミキサーの流入口に溶媒を供給する複数の溶媒吸引管と、
(C)前記各溶媒吸引管のそれぞれに介装され、電気信号により開閉を行う電磁弁と、
(D)前記複数の電磁弁の開閉を制御する電磁弁開閉制御装置と、
からなり、
HPLC用移動相混合装置の移動相流出口をHPLCの送液ポンプの移動相流入口に連結してHPLCの送液ポンプを作動させることにより、前記複数の溶媒吸引管から吸引する溶媒をミキサーで混合して所定の組成の移動相を製造して送液ポンプに供給するHPLC用移動相混合装置であって、
前記電磁弁開閉制御装置における電磁弁の開閉制御が、
移動相の溶媒組成に応じて各電磁弁の開閉時間比を設定し、
移動相を構成する溶媒毎に設置される全ての電磁弁が1回ずつ開閉するサイクルを複数回繰返すことにより、各溶媒の一定量をミキサーに繰返し供給するとともに、
単位時間あたりのサイクル数が移動相の流速に比例するように制御する手段を備えた電磁弁制御装置を有することを特徴とするHPLC用移動相混合装置。
【請求項2】
ミキサーが、
(a)両端が閉塞されるとともに、各溶媒が導入される入口部と導入された溶媒が混合された後に流出する出口部とを有する円筒主体と、
(b)前記円筒主体の軸方向に沿って軸方向に垂直に所定間隔を設けて形成された複数の隔壁とからなり、
前記複数の隔壁は隔壁の中心に1箇所又は、隔壁の周縁に複数箇所穿設されてなる貫通孔を有すると共に、これら隔壁が交互に円筒主体内に配列されているミキサーである請求項1に記載のHPLC用移動相混合装置。
【請求項3】
複数の溶媒貯槽から送液ポンプにより溶媒を順次吸引してミキサーに送り混合することにより所定の組成の移動相を調製するHPLC用移動相混合装置の制御方法であって、
前記移動相の溶媒組成は、各溶媒貯槽から吸引される各溶媒の吸引時間により制御され、
移動相を構成する全ての溶媒が各1回吸引されるサイクルを複数回繰返すとともに、
単位時間あたりのサイクル数が前記送液ポンプの流速に比例することを特徴とするHPLC用移動相混合装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−107004(P2011−107004A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263481(P2009−263481)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(307024705)株式会社 センシュー科学 (5)