説明

高速鉄道車両用スノープラウ

【課題】排雪抵抗を低く抑えるとともに上下力を低減させて高速鉄道車両の自力排雪走行を可能とするとともに、排除した雪が対向列車や地上設備に影響を与えることなく適切に処理することが可能な高速鉄道車両用スノープラウを提供する。
【解決手段】スノープラウ10において、軌道40幅方向に延在する前縁から後方へ向かう上向きのすくい面16を有するすくいプレート12と、該すくいプレート12上の前縁より後方の位置に設けられ、軌道40間の中心線からそれぞれ軌道40幅方向外側へ向かう一対の側板18を有するV字プラウ13と、該V字プラウ13上縁からそれぞれ軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上に凸の曲面14aを有する押さえ翼14とを備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冬季に降雪地帯を走行する高速鉄道車両の前部に取り付けられ、軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両の走行時に軌道上の積雪を排除する装置として、例えば特許文献1に示すような、先頭車両の前端下部に軌道と平行に配置されるV字型のスノープラウが知られている。
【0003】
このスノープラウは、一対の直線状側板の先端が鋭角状に突き合わされて一体化されることにより構成されており、各側板の高さ方向中間部から上端部にかけては上向きに凸の円弧状となるように湾曲した形状となっている。そして、このようなスノープラウを装着して高速鉄道車両が走行する際には、軌道上の積雪をV字に沿って軌道と平行に両側後方へ押し流すことによって、高速鉄道車両の自力排雪走行を可能とするとともに、直線状側板の湾曲によって雪が飛散するのを防止している。
【0004】
また、高速鉄道車両用のスノープラウとしては、図15に示すような200系新幹線電車に採用されているものが知られている。
この高速鉄道車両用スノープラウ1は、軌道間の中心線lからそれぞれ軌道幅方向外側へ向かう一対の側板2、2を有し、この側板2、2前縁の交差稜線が軌道に対して所定のすくい角θで傾斜したV字プラウ3と、該V字プラウ3上縁、即ち、一対の側板2、2の上縁からそれぞれ軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上方に凸の曲面状をなす押さえ翼4、4とを備えている。
そして、この高速鉄道車両用スノープラウ1においては、すくい角θが70°に設定されるとともに、一対の側板2、2の下縁同士がなす開き角φが82°に設定され、さらに、さらに側板2、2の下縁に対する押さえ翼4、4の頂部前端の高さhが490mmに設定されている。
【特許文献1】特開2006−327452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような従来のスノープラウは、ある程度の積雪量には対応して高速鉄道車両の自力排雪走行を可能とするものの、例えば北陸地方等の豪雪地帯においては積雪量の多さに加えて雪の密度が大きいため、当該スノープラウの対応可能な積雪条件を超えてしまい豪雪地帯を走行する高速鉄道車両には適用できないという問題があった。
また、特に上記200系新幹線電車のスノープラウにおいては、排雪抵抗を小さく抑えることができるものの、押さえ翼を上に持ち上げようとする力、即ち上下力が大きく働くため、車両自体を上下に揺さぶるピッチングモーションが生じてしまうという問題があった。
【0006】
さらに、このような積雪量の多い軌道上を高速鉄道車両が繰り返し通過すると軌道側方に雪壁が形成されていく。この雪壁が一定以上の高さになると、軌道上の積雪を軌道側方へ排雪しようとしてもそれが雪壁によって遮られてしまうため、従来のスノープラウでは雪壁が形成された際に軌道上の雪を有効に排除しながら高速走行を行うことができないという問題があった。
【0007】
一方、スノープラウによって排除される雪の運動エネルギーは走行速度と雪の密度とに応じて大きくなるため、豪雪地帯を走行する高速鉄道車両によって排除される雪の運動エネルギーは非常に大きなものとなる。従って、従来のように軌道上の積雪をスノープラウのV字に沿って軌道と平行に両側後方へ押し流すのみでは、運動エネルギーの大きな雪が対向列車や地上機器に高速で衝突し障害を及ぼすおそれがあった。
【0008】
この発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、豪雪地帯においても排雪抵抗を低く抑えるとともに上下力を低減させながら排雪能力の高い自力排雪走行を可能とし、さらに排除した雪を対向列車や地上設備に影響を与えることなく適切に処理することが可能な高速鉄道車両用スノープラウを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで、本発明者らがこのような高速鉄道車両用スノープラウについて誠意研究を重ねたところ、排雪抵抗を低く抑えるとともに上下力を低減させて排雪能力の高い自力排雪走行を可能とし、さらに、排除した雪を適切に処理することができる高速鉄道車両用スノープラウを実現する構成及び条件を見出すことができた。したがって、本発明はこの知見に基づいた技術であって、前記課題を解決するために以下の手段を提案している。
【0010】
即ち、本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウは、高速鉄道車両の下方に延在するスカート部の前方側に設けられ、前進に伴い軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウであって、軌道幅方向に延在する前縁から後方へ向かう上向きのすくい面を有するすくいプレートと、該すくいプレート上の前記前縁より後方の位置に設けられ、前記軌道間の中心線からそれぞれ前記軌道幅方向外側へ向かう一対の側板を有するV字プラウと、該V字プラウ上縁からそれぞれ前記軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上方に凸の曲面状をなす押さえ翼とを備えたことを特徴とする。
【0011】
このような特徴の高速鉄道車両用スノープラウによれば、高速鉄道車両の走行時に進行方向前端のすくいプレートが軌道幅方向全域の雪をすくい剥がすようにして軌道上から多量の積雪を排除することができる。また、すくい上げられた雪は、すくい面の傾斜及びV字プラウの側板に沿って両側の斜め上方に押し上げられる。そして、側板の上方において押さえ翼の曲面の湾曲に沿って返されるようにして、高速鉄道車両の両側下方に向かって排雪される。
このようにして、すくいプレートが積雪をすくい剥がすように作用することで排雪抵抗を低く抑えることができるとともに、すくい上げられた積雪がプレートを下向きに押し押さえ翼に働く上向きの力と相殺するため、上下力を低減させることが可能となる。
【0012】
ここで本発明のスノープラウにおいては、側板がすくいプレートの傾斜上に位置しているため、該側板の上縁に設けられた押さえ翼の高さはすくいプレートによって底上げされている。これによって、押さえ翼を雪壁よりも高い位置に配置することが可能となるため、当該押さえ翼の曲面によって返す雪を雪壁よりも高い位置から下方に向かって落とすように排雪することが可能となる。
したがって、軌道側方に雪壁が形成された場合であっても、雪壁に遮られることなく確実に軌道上から排雪することが可能となるとともに、排雪した雪が飛散して対向列車や地上設備に衝突することを回避することができる。
【0013】
また、上記高速鉄道車両用スノープラウにおいては、前記軌道に対する前記すくい面の傾斜角度が10°に設定されていることが好ましい。これによって軌道上の積雪を確実にすくい上げることができ、積雪時の高速での自力排雪走行をより円滑に行うことが可能となる。
【0014】
さらに、上記高速鉄道車両用スノープラウにおいては、前記押さえ翼の頂部が前記軌道と略平行とされていることが好ましい。
【0015】
押さえ翼の頂部が後退するに従い漸次下方に向けて傾斜している場合、即ち、押さえ翼に迎え角が付されている場合には、排雪される雪を前方側に向かって返すことになり抗力が大きくなるため、走行抵抗が増加してしまう。
一方、押さえ翼の頂部が後方に向かうに従い漸次上方に向けて傾斜している場合には、空気及び雪による抵抗は小さくすることができるものの、運動エネルギーの大きい雪を両側後方に向かって流すことになるため対向列車や地上機器に対して悪影響を与えるおそれがある。
本発明においては、これらを勘案して、押さえ翼の頂部が軌道と平行に形成されているため、走行抵抗を低く抑えながら、軌道上からすくい上げた雪を下方に向かって排雪することで対向列車や地上設備に影響を与えることなく適切に処理することが可能となる。
【0016】
一方、本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウは、高速鉄道車両の下方に延在するスカート部の前方側に設けられ、前進に伴い軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウであって、前記軌道間の中心線からそれぞれ前記軌道幅方向外側へ向かう一対の側板を有し、前記一対の側板前縁の交差稜線が前記軌道に対して所定のすくい角で傾斜したV字プラウと、該V字プラウ上縁からそれぞれ前記軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上方に凸の曲面状をなす押さえ翼とを備え、すくい角が70°より小さく設定されるとともに、前記一対の側板の下縁同士がなす開き角が82°より小さく設定され、さらに前記側板の下縁に対する前記押さえ翼の頂部前端の高さが490mmより大きく設定されていることを特徴とする。
【0017】
このような特徴の高速鉄道車両用スノープラウによれば、高速鉄道車両の走行時に所定のすくい角を有するV字プラウが軌道中心から雪をすくい剥がすようにして軌道上から多量の積雪を排除することができる。また、すくい上げられた雪は、V字プラウの両側の斜め上方に押し上げられ、押さえ翼の曲面の湾曲に沿って返されるようにして、高速鉄道車両の両側下方に向かって排雪される。
【0018】
ここで、この高速鉄道車両用スノープラウにおいては、すくい角が70°より小さく設定されるとともに開き角が82°より小さく設定されており、即ち、すくい角及び開き角が200系新幹線電車のスノープラウのすくい角及び開き角よりも小さく設定されている。これにより、従来と同様に積雪を排除する際における排雪抵抗を低く抑えることができるとともに、押さえ翼に及ぶ上下力を低減させることが可能となる。
さらに、側板の下縁を基準とした押さえ翼の頂部前端の高さが490mmより大きく、即ち、200系新幹線電車のスノープラウの当該高さよりも大きく設定されていることから、押さえ翼の曲面によって返す雪をより高い位置から下方に向かって落とすように排雪することができる。これによって軌道側方に雪壁が形成された場合であっても、雪壁に遮られることなく軌道上から排雪することが可能となり、さらに、排除した雪が飛散して対向列車や地上設備に衝突することを回避することができる。
【0019】
また、この高速鉄道車両用スノープラウにおいては、前記すくい角が45°に設定されるとともに、前記開き角が60°に設定され、さらに、前記側板の下縁に対する前記押さえ翼の頂部前端の高さが817mmに設定されていることが好ましい。
これによって、排雪抵抗を低く抑え上下力をより確実に低減することができるとともに、排除した雪を対向列車や地上設備に影響を与えることなく確実に処理することが可能となる。
【0020】
さらに、本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウは、高速鉄道車両の下方に延在するスカート部の前方側に設けられ、前進に伴い軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウであって、前記軌道間の中心線からそれぞれ前記軌道幅方向外側へ向かう一対の側板を有し、前記一対の側板前縁の交差稜線が前記軌道に対して所定のすくい角で傾斜したV字プラウと、該V字プラウ上縁からそれぞれ前記軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上方に凸の曲面状をなす押さえ翼と、前記V字プラウの両側にそれぞれ設けられ、前縁から後方へ向かう上向きのすくい面を有し、積雪を前記押さえ翼の後端側領域に案内する一対のすくいプレートとを備え、前記押さえ翼の後端側領域の頂部が前記軌道に対して所定の迎え角を有するように傾斜していることを特徴とする。
【0021】
このような特徴の高速鉄道車両用スノープラウによれば、高速鉄道車両の走行時に所定のすくい角を有するV字プラウが軌道中心から雪をすくい剥がすようにして軌道上から積雪を排除することができる。また、すくい上げられた雪は、V字プラウの側板に沿って両側の斜め上方に押し上げられる。そして、側板の上方において押さえ翼の曲面の湾曲に沿って返されるようにして、高速鉄道車両の両側下方に向かって排雪される。
さらに、V字プラウの両側に設けられた一対のすくいプレートによっても雪をすくい剥がすことができることからより多量の雪を軌道上から排除することが可能となる。またこのすくいプレートによってすくい剥がされた雪は、迎え角を有する押さえ翼の後端側領域に案内され、この該後端側領域の曲面の湾曲に沿って返されることで高速鉄道車両の両側下方に向かって排雪される。
このようにして、V字プラウと一対のすくいプレートの双方でもって積雪をすくい上げることによって、排雪を分散させることができ、スノープラウ全体として受ける排雪抵抗を低く抑えるとともに押さえ翼に生じる上下力を低減させることが可能となる。
【0022】
ここで本発明のスノープラウにおいては、V字プラウに加えて一対のすくいプレートが設けられているため、より円滑かつ速やかに排除した雪を押さえ翼の曲面に導入することができる。これによって、排除した雪が押さえ翼に達することなく車両外方に出て飛散してしまうことを防止することができる。
また、排雪された雪を押さえ翼の曲面によって返して下方に向けて落とすように除去することができるため、軌道側方に雪壁が形成された場合であっても、高い位置から下方に向かって雪を落とすことで雪壁に遮られることなく確実に軌道上から排雪することが可能となる。さらに、排雪した雪が対向列車や地上設備に衝突することを回避することができる。
【0023】
また、上記高速鉄道車両用スノープラウにおいては、前記迎え角が7.5°に設定されていることが好ましい。
これによって、すくいプレートにより押さえ翼の後端側領域に案内された積雪を確実に返すことができ、排雪した雪が対向列車や地上設備に衝突することを確実に回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る高速鉄道車両用スノープラウによれば、豪雪地帯においても排雪抵抗を低く抑えながら及び上下力を低減させて排雪能力の高い自力排雪走行をすることができ、さらに、排除した雪を対向列車や地上設備に影響を与えることなく適切に処理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の高速鉄道車両用スノープラウの第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、第1の実施形態のスノープラウを装着した高速鉄道車両の側面図、図2は第1の実施形態に係るスノープラウの斜視図、図3は第1の実施形態に係るスノープラウの側面図、図4は第1の実施形態に係るスノープラウの正面図、図5は第1の実施形態に係るスノープラウの平面図、図6は第1の実施形態のスノープラウを装着した高速鉄道車両及び軌道の正面図である。
【0026】
スノープラウ10は、図1に示すように、高速鉄道車両30のボディー31の下方に延びるスカート部32の進行方向最前面に車輪33を背にするように装着され、高速鉄道車両30の走行とともにレール41及び道床42からなる軌道40上の積雪を排除して、高速鉄道車両30の自力排雪走行を可能とするものである。
【0027】
本実施形態のスノープラウ10は、高速走行にも耐え得る強度を備えた例えばステンレス等の鋼材からなり、図2から図5に示すように、すくいプレート12と、V字プラウ13と、押さえ翼14とから概略構成されている。また、このスノープラウ10は、図2及び図5に示すように、平面視にて線分lを境に線対称に形成されている。
【0028】
すくいプレート12は、車両進行方向を臨む前縁が平面視矩形状をなし、後退するに従って漸次上方に向かって傾斜するすくい面16を有しており、このすくい面16の幅方向両端には、側面視直角三角形状にてその斜辺17aがすくい面16と直交して接する三角板17が立設されている。この三角板17は、図1に示すように、底辺17bが軌道40と平行となるように配置されている。なお、本実施形態においては、図3に示すように、該底辺17bと斜辺17aがなす角度は10°に設定されている。これにより、軌道40に対するすくい面16の傾斜角度も10°に設定されることになる。
【0029】
また、このすくいプレート12のすくい面16の後端側は、図5に示す平面視にて、前方に向けて鋭角にV字を描くように切り欠かれており、このすくい面16のV字の切り欠きの縁部に沿うようにして該すくいプレート12上にV字プラウ13が設けられている。
【0030】
V字プラウ13は、一対の側板18からなり、これら側板18がすくい面16後端側のV字の切り欠きに沿って立設されるとともにその両先端側が突き合わされて一体化されることによって構成されている。なお、側板18は、図3に示すように、側面視略三角形の平板形状をなしており、すくい面16上に立設された状態でその上部の一辺が底辺17bと平行となるように、即ち、軌道40と平行となるように構成されている。
【0031】
また、V字プラウ13の上部には、各側板18の上縁からそれぞれ軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられて上側に凸の曲面14aを有する押さえ翼14が備えられている。なお、この押さえ翼14は、その曲面14aの軌道幅方向外方の先端が斜め下方を向くように形成されており、押さえ翼14の頂部14bは、図3及び図4に示すように、底辺17bと平行となるように、即ち軌道40と平行となるように延在している。
【0032】
次に本実施形態に係るスノープラウ10を装着した高速鉄道車両30が走行する際の当該スノープラウ10の作用について説明する。
スノープラウ10は、例えば北陸等の豪雪地帯を走行する高速鉄道車両30に適用される。このような地方では、積雪量が多いことに加えて雪が湿り気を帯びて密度が大きいために高速鉄道車両30が自力排雪走行をするためにはスノープラウ10が軌道40上の積雪を効果的に排雪可能なことが望まれる。
【0033】
また、豪雪地帯においては、軌道40の側方には、図6に示すように、軌道40上から排雪した雪を収容するための貯雪溝43が設けられている。ところが、多量の降雪の中、積雪量が多い軌道40上を高速鉄道車両30が繰り返し通過することによって、排雪した雪が貯雪溝43に収まり切らなくなることがあり、この場合軌道40側方には該軌道40よりも高い雪壁50が形成される。
【0034】
このような豪雪地帯の積雪中を本実施形態のスノープラウ10を装着した高速鉄道車両30が走行する際には、スノープラウ10の進行方向前端のすくいプレート12が、軌道40幅方向全域の雪をすくい剥がすようにして軌道40上の積雪を取り除く。また、すくい上げられた雪は、すくいプレート12のすくい面16の傾斜及びV字プラウ13の側板18に沿って両側後方に向かって斜め上方に押し上げられるとともに、側板18の上方において押さえ翼14の曲面14aの湾曲に沿って返されるようにして高速鉄道車両30の両側下方に向って排雪される。
このようにして、すくいプレート12が積雪をすくい剥がすように作用することで排雪抵抗を低く抑えることができるとともに、すくい上げられた積雪がプレートを下向きに押す力と押さえ翼14に当たって上向きに押す力とが相殺されるため、該積雪が押さえ翼14に当たることによって生じる上下力を低減させることが可能となる。
【0035】
したがって、排雪抵抗を低く抑えながら上下力を低減させることができ、さらに、すくいプレート12が一度に大量の雪を軌道40上から除去することができるため、積雪量が多い場合でも効果的に排雪を行うことができる。これによって、豪雪地帯における高速鉄道車両30の自力排雪走行を実現することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態のスノープラウ10においては、側板18がすくい面16の傾斜上に位置しているため、該側板18の上縁に設けられた押さえ翼14の高さはすくいプレート12によって底上げされている。これによって、押さえ翼14を雪壁50よりも高い位置に配置することが可能となるため、当該押さえ翼14の曲面14aによって返す雪を雪壁50よりも高い位置から下方に向かって落とすように排雪することが可能となる。
したがって、軌道40側方に雪壁50が形成された場合であっても、雪壁50に遮られることなく確実に軌道40上から排雪することが可能となるとともに、排雪した雪が対向列車や地上設備に衝突することを回避することができる。
【0037】
また、上述のようにスノープラウ10においては、軌道40に対するすくいプレート12のすくい面16の傾斜角度が10°に設定されている。これにより、軌道40上の積雪を確実にすくい上げて排雪抵抗を低減させることができるとともに、空気抵抗を最低限に抑えることができるため、積雪時の高速での自力排雪走行をより円滑に行うことが可能となる。
【0038】
ここで、スノープラウ10において、例えば押さえ翼14の曲面14aの頂部が、後退するに従って漸次下方に向けて傾斜している場合には、排雪される雪を前方側に向かって返すことになり抗力が大きくなるため、走行抵抗が増加してしまう。
一方、押さえ翼14の曲面14aの頂部が後退するに従い漸次上方に向けて傾斜している場合には、空気及び雪による抵抗は小さくすることができるものの、運動エネルギーの大きい雪を両側後方に向かって流すことになるため対向列車や地上機器に対して悪影響を与えるおそれがある。
【0039】
本実施形態のスノープラウ10においてはこれらを勘案して、押さえ翼14の曲面14aの頂部が軌道40と平行に形成されているため、走行抵抗を低く抑えながら、軌道40上からすくい上げた雪を下方に向かって排雪することで対向列車や地上設備に影響を与えることなく適切に処理することが可能となる。
【0040】
以下、本発明の高速鉄道車両用スノープラウの第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図7は第2の実施形態に係るスノープラウの斜視図、図8は第2の実施形態に係るスノープラウの側面図、図9は第2の実施形態に係るスノープラウの正面図、図10は第2の実施形態に係るスノープラウの平面図である。
【0041】
図7から図10に示す第2実施形態のスノープラウ60は、第1の実施形態のスノープラウ10と同様、高速鉄道車両30に装着されて該高速鉄道車両30の自力排雪走行を可能とするものである。
【0042】
本実施形態のスノープラウ60は、高速走行にも耐え得る強度を備えた例えばステンレス等の鋼材からなり、V字プラウ63と、押さえ翼64とから概略構成されている。また、このスノープラウ60は、図7及び図10に示すように、平面視にて線分lを境に線対称に形成されている。
【0043】
V字プラウ63は、一対の側板68からなり、両先端側が突き合わされて一体化されることによって車両進行方向に凸状となるように構成されている。なお、側板68は、図8に示すように、側面視略四角形の平板形状をなしており、軌道40に平行に配置される底辺68aの前端から一定の傾斜角でもって上方かつ後方側に延びる傾斜前辺68bと、該傾斜前辺68bの上端から後方側かつ下方に緩やかに傾斜して延びる上辺68cと、該上辺68cと底辺68aを略鉛直方向に接続する後辺68dとを備えている。
そして、このような一対の側板68の傾斜前辺68b同士が突き合わされることによって、該側板68の傾斜前辺(前縁)68bの交差稜線が軌道40に対して所定のすくい角θで傾斜したV字プラウ63が構成されている。
【0044】
このような、V字プラウ63の上部には、各側板68の上辺68c(上縁)からそれぞれ軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられて上側に凸の曲面64aを有する押さえ翼64が備えられている。なお、この押さえ翼64は、その曲面64aの軌道幅方向外方の先端が斜め下方を向くように形成されている。また、押さえ翼64の頂部64bは、図8に示すように、前方から後方に向かうに従って漸次下方に向かうように傾斜して、所定の迎え角が付与されている。よって、スノープラウ60においては、押さえ翼64の頂部64b前端が最も高い箇所に位置することになる。
【0045】
そして、本実施形態のスノープラウ60は、上記すくい角θが70°より小さく設定されており、好ましくは45°に設定されている。
また、側板68の底辺(下縁)68a同士がなす開き角φは82°より小さく設定されており、好ましくは60°に設定されている。
さらに、側板18の底辺68a(下縁)を基準とした押さえ翼64の頂部64b前端の高さhが490mmより大きく設定されており、より好ましくは817mmに設定されている。
【0046】
次に本実施形態に係るスノープラウ60を装着した高速鉄道車両30が走行する際の当該スノープラウ60の作用について説明する。
【0047】
豪雪地帯の積雪中を本実施形態のスノープラウ60を装着した高速鉄道車両30が走行する際には、スノープラウ60の進行方向前端において所定のすくい角θを有するV字プラウ63が軌道40中心から雪をすくい剥がすようにしての積雪を取り除く。これにより排雪抵抗を低減することができる。
また、すくい上げられた雪は、V字プラウ63の両側の斜め上方に押し上げられ、押さえ翼64の曲面64aの湾曲に沿って返されるようにして、高速鉄道車両30の両側下方に向かって排雪される。
【0048】
ここで、本実施形態のスノープラウ60においては、すくい角θが70°より小さく設定されるとともに開き角φが82°より小さく設定されており、即ち、すくい角θ及び開き角φが200系新幹線電車のスノープラウ1のすくい角θ及び開き角φよりも小さく設定されている。これにより、従来と同様に積雪を排除する際における排雪抵抗を低く抑えることができるとともに、押さえ翼64に及ぶ上下力を低減させることが可能となる。これは、本実施形態のように、すくい角θを45°に設定し、開き角φを60°に設定することでより顕著な効果を奏する。
【0049】
さらに、側板68の底辺68a(下縁)を基準とした押さえ翼64の頂部64b前端の高さhが490mmより大きく、即ち、200系新幹線電車のスノープラウ1の当該高さよりも大きく設定されていることから、押さえ翼64の曲面64aによって返す雪をより高い位置から下方に向かって落とすように排雪することができる。これによって、第1の実施形態で説明した図6に示すように、軌道40側方に雪壁が形成された場合であっても、雪壁50に遮られることなく軌道40上から排雪することが可能となり、さらに、排除した雪が対向列車や地上設備に衝突することを回避することができる。これは、本実施形態のように、当該高さhが817mmに設定されていることによって、より確実な効果を得ることができる。
【0050】
以上から第2実施形態の高速鉄道車両用スノープラウ60によれば、排雪抵抗を低く抑えながら上下力を低減させることができることから、積雪量が多い場合でも効果的に排雪を行うことができる。これによって、豪雪地帯における高速鉄道車両30の自力排雪走行を実現することが可能となる。
【0051】
以下、本発明の高速鉄道車両用スノープラウの第3の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図11は第3の実施形態に係るスノープラウの斜視図、図12は第3の実施形態に係るスノープラウの側面図、図13は第3の実施形態に係るスノープラウの正面図、図14は第3の実施形態に係るスノープラウの平面図である。
【0052】
本実施形態のスノープラウ70は、高速走行にも耐え得る強度を備えた例えばステンレス等の鋼材からなり、V字プラウ73と、押さえ翼74と、一対のすくいプレート72とから概略構成されている。また、このスノープラウ70は、図11及び図14に示すように、平面視にて線分lを境に線対称に形成されている。
【0053】
V字プラウ73は、一対の側板78からなり、両先端側が突き合わされて一体化されることによって車両進行方向に凸状となるように構成されている。なお、側板78は、図8に示すように、平板形状をなしており、軌道40に平行に配置される底辺78aの前端から一定の傾斜角でもって上方かつ後方側に延びる傾斜前辺78bと、該傾斜前辺68bの上端から後方側に向かって底辺78aと平行に延びるとともにその後端側が後方かつ下方に緩やかに傾斜して延びる上辺78cと、該上辺78cと底辺78aを略鉛直方向に接続する後辺78dとを備えている。
そして、このような一対の側板78の傾斜前辺78b同士が突き合わされることによって、該側板68の傾斜前辺(前縁)78bの交差稜線が軌道40に対して所定のすくい角で傾斜したV字プラウ73が構成されている。
【0054】
このような、V字プラウ73の上部には、各側板78の上辺78c(上縁)からそれぞれ軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられて上側に凸の曲面74aを有する押さえ翼74が備えられている。なお、この押さえ翼74は、その曲面74aの軌道幅方向外方の先端が斜め下方を向くように形成されており、押さえ翼74の頂部75は、図12に示すように、前端から後方に向かって軌道40と平行に延在する平坦頂部75aと、該平坦頂部75aに接続されて後方かつ下方に向かって緩やかに傾斜する傾斜頂部75bとから構成されている。
このようにして、本実施形態においては、押さえ翼74の後端側領域の頂部75(傾斜頂部75b)が、図12に示すように、軌道40に対して所定の迎え角θを有して傾斜するように構成されている。なお、この迎え角θは、7.5°に設定されていることが好ましい。
【0055】
さらに、V字プラウ73の両脇には、該V字プラウ73の一対の側板78に一体化されるようにして、後退するに従って漸次上方に向かって傾斜するすくい面72aを有したすくいプレート72が一対設けられている。
このすくいプレート72は、軌道40上の積雪をすくい上げた際に、該積雪が上記押さえ翼74の後端側領域(傾斜頂部75bの箇所)に案内されるような傾斜角度を有している。即ち、該すくいプレート72のすくい面72aを上部後方に向かって延長させた場合に、押さえ翼74の後端側領域に達するように構成されている。
また、すくいプレート72のすくい面72a後方に連なる頂面72bは、図3に示すように、後方に向かって緩やかに下り勾配で傾斜するように構成されている。
【0056】
次に本実施形態に係るスノープラウ70を装着した高速鉄道車両30が走行する際の当該スノープラウ70の作用について説明する。
【0057】
豪雪地帯の積雪中を本実施形態のスノープラウ70を装着した高速鉄道車両30が走行する際には、スノープラウ70の進行方向前端においてV字プラウ73が軌道40中心から雪をすくい剥がすようにしての積雪を取り除く。また、すくい上げられた積雪は、V字プラウ73の側板78に沿って両側の斜め上方に押し上げられる。そして、側板78の上方において押さえ翼74の曲面74aの湾曲に沿って返されるようにして、高速鉄道車両30の両側下方に向かって排雪される。
【0058】
また、V字プラウ73の両側に設けられた一対のすくいプレート72によっても積雪をすくい剥がすことができることからより多量の雪を軌道40上から排除することが可能となる。さらに、このすくいプレート72によってすくい剥がされた積雪は、迎え角θを有する押さえ翼74の後端側領域に案内される。そして、この後端側領域の曲面74aの湾曲に沿って返されることで高速鉄道車両の両側下方に向かって排雪される。
【0059】
このようにして、V字プラウ73と一対のすくいプレート72の双方でもって積雪をすくい上げることにより、スノープラウ70上で排雪を分散させることでスノープラウ70全体として受ける排雪抵抗を低く抑えることができ、さらに、押さえ翼74に生じる上下力を低減させることが可能となる。
【0060】
ここで、本実施形態のスノープラウ70においては、V字プラウ73に加えて一対のすくいプレート72が設けられているため、より円滑かつ速やかに、排除した積雪を押さえ翼74の曲面74aに導入することができる。れによって、排除した雪が押さえ翼74に達することなく車両外方に出て飛散してしまうことを防止することができる。
また、排雪された雪を押さえ翼74の曲面によって返して下方に向けて落とすように除去することができるため、軌道40側方に雪壁50が形成された場合であっても、高い位置から下方に向かって雪を落とすことで雪壁50に遮られることなく確実に軌道40上から排雪することが可能となる。さらに、排雪した雪が対向列車や地上設備に衝突することを回避することができる。
【0061】
また、スノープラウ70において、押さえ翼74の後端側領域における迎え角が7.5°に設定されていることにより、すくいプレート72によって押さえ翼74後端側領域に案内された積雪を効果的に返すことができるため、排雪した雪が対向列車や地上設備に衝突することを確実に回避することが可能となる。
【0062】
このようにして、第3実施形態の高速鉄道車両用スノープラウ70によれば、排雪抵抗を低く抑えながら上下力を低減させることができることから、積雪量が多い場合でも効果的に排雪を行うことができる。これによって、豪雪地帯における高速鉄道車両30の自力排雪走行を実現することが可能となる。
【0063】
以上、本発明による高速鉄道車両用のスノープラウ10、60、70の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【実施例】
【0064】
本発明の一例によるスノープラウ(上述の第1及び第2実施形態に基づいたスノープラウ)の寸法5分の1モデルを実施例1、2とするとともに200系新幹線電車に採用されているスノープラウの寸法5分の1モデルを比較例として、上下力、排雪抵抗力、飛雪分布の測定試験を行った。
【0065】
(走行試験装置)
図16及び図17に走行試験装置を示す。この走行試験装置は、図16に示すように、水平方向に延びるトラス式ガイドレールを備えており、該トラス式ガイドレール上を走行台車が巻き取りドラムによって牽引されることで走行するものである。この巻き取りドラムは油圧ユニットにより駆動される。なお、該走行試験装置も実際の軌道の寸法の5分の1の大きさに再現されている。
走行台車の下部にはロードセルを介して前方側を臨むようにスノープラウ(寸法5分の1モデル)が取り付けられており、走行台車が走行する際にスノープラウがスノーベッド上の雪を排雪するように構成されている。
さらに、該走行試験装置の側方には、図17(b)に示すように、L字を描くようにして水平方向に4つ、鉛直方向に4つの計8個の受雪箱が設置されている。水平方向に並設された受雪箱は、軌道側方に雪壁が形成された場合を想定して該雪壁の頂部に対応する高さ(基準面より鉛直方向に257mm)に、90mmの間隔でスラブから順次離間するように設置されている。また、鉛直方向に並設された受雪箱は、軌道から最も離れた受雪箱の軌道外方の側面位置(軌道から水平方向に480mm)に、上下方向に120mm間隔で積み上げられている。
なお、図17(b)における受雪箱の位置は、実際の新幹線軌道設備を示す図17(a)の軌道側方及び上方の位置にそれぞれ対応している。
【0066】
(比較例1のスノープラウ)
比較例1のスノープラウとして、上記説明した図15に示す200新幹線電車に搭載されたスノープラウの寸法5分の1モデルのスノープラウを作製した。
この比較例1のスノープラウにおいては、V字プラウのすくい角θを70°、開き角φを82°、さらに押さえ翼の頂部前端の高さhを実際のスノープラウの寸法の5分の1となる98mm(実際のスノープラウでは490mm)に設定した
【0067】
(実施例1のスノープラウ)
実施例1のスノープラウとして、図1〜図6に記載した第1の実施形態に対応するスノープラウの寸法5分の1モデルのスノープラウを作製した。
【0068】
実施例2のスノープラウとして、図7〜図10に記載した第2の実施形態に対応するスノープラウの寸法5分の1モデルのスノープラウを作製した。
この実施例2のスノープラウにおいては、V字プラウのすくい角θを45°、開き角φを60°、さらに押さえ翼の頂部前端の高さhを163.4mm(実際のスノープラウでは817mm)に設定した。
【0069】
(上下力及び排雪抵抗力の測定及び結果)
比較例1、実施例1及び実施例2のスノープラウについて、走行台車を様々な速度で走行させた際のスノーベッド上の雪を排雪する際に生じる排雪抵抗(スノープラウの進行方向の逆側に生じる力)及び上下力(スノープラウを上方に持ち上げようとする力)をロードセルによって測定した。その結果を図18に示した。
図18(a)から比較例1に比べて実施例1、2の方が上下力が小さくなってことがわかり、18(b)からは実施例1、2における排雪抵抗力が比較例と同等な値を示していることがわかる。これは、実施例1のようにすくいプレートを設けたこと、又は、実施例2のように従来よりもすくい角、開き角を大きくしたことに基づくものと考えられる。
【0070】
(飛雪分布の測定及び結果)
比較例1、実施例1及び実施例2のスノープラウについて、走行台車を10m/s、
20m/s、30m/s、40m/sで走行させた際の飛雪分布を測定した。具体的には、走行台車を走行させた際に各位置の受雪箱が収容した飛雪量を測定し、該飛雪量からそれぞれの受雪箱の飛雪の補足率を算出し、その結果を図19に示した。図19(a)は比較例の飛雪分布についてのグラフ、図19(b)は実施例1の飛雪分布についてのグラフ、図19(c)は実施例2の飛雪分布についてのグラフであり、それぞれ左側のグラフが水平方向の飛雪分布、右側のグラフが鉛直方向の飛雪分布を示している。
図19(a)〜(c)を見ると、比較例においては各受雪箱に飛雪が分布して飛雪が散逸している一方、実施例1、2においては特に鉛直方向の低い位置に飛雪が集中しており飛雪の散逸が抑制されている。
これは、実施例1のようにすくいプレートを設けて押さえ翼の位置が底上げしたこと、又は実施例2のように従来より押さえ翼の前端の高さを意図的に高くしたことに基づくものと考えられる。
【0071】
以上の試験から、実施例1のようにすくいプレートを設けるとともに該すくいプレートにより押さえ翼の高さが底上げされることで、排雪抵抗力を低く抑えながらも上下力を低減させ、さらに飛雪の散逸を防止することができることが判明した。
さらに、比較例2のように、従来よりもすくい角及び開き角を小さくするとともに押さえ翼の前端の位置を高くすることにより、特に、すくい角を45°、開き角を60°、押さえ翼の前端の高さを817mm(寸法5分の1モデルにおいては163.4mm)とすることにより、実施例1と同じく排雪抵抗力を低く抑えながらも上下力を低減させ、さらに飛雪の散逸を防止することができることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の実施形態のスノープラウを装着した高速鉄道車両の側面図
【図2】第1の実施形態に係るスノープラウの斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係るスノープラウの側面図である。
【図4】第1の実施形態に係るスノープラウの正面図である。
【図5】第1の実施形態に係るスノープラウの平面図である。
【図6】第1の実施形態のスノープラウを装着した高速鉄道車両及び軌道の正面図である。
【図7】第2の実施形態に係るスノープラウの斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係るスノープラウの側面図である。
【図9】第2の実施形態に係るスノープラウの正面図である。
【図10】第2の実施形態に係るスノープラウの平面図である。
【図11】第3の実施形態に係るスノープラウの斜視図である。
【図12】第3の実施形態に係るスノープラウの側面図である。
【図13】第3の実施形態に係るスノープラウの正面図である。
【図14】第3の実施形態に係るスノープラウの平面図である。
【図15】200系新幹線電車のスノープラウの(a)側面図及び(b)平面図である。
【図16】走行試験装置を説明する図である。
【図17】走行試験装置における受雪箱の配置箇所を説明する図である。
【図18】(a)は上下力の試験結果を示すグラフ、(b)は排雪抵抗力の試験結果を示すグラフである。
【図19】飛雪分布の測定結果示すグラフである。
【符号の説明】
【0073】
10 スノープラウ
12 すくいプレート
13 V字プラウ
14 押さえ翼
14a 曲面
14b 頂部
16 すくい面
18 側板
30 高速鉄道車両
32 スカート部
40 軌道
60 スノープラウ
63 V字プラウ
64 押さえ翼
64a 曲面
64b 頂部
68 側板
70 スノープラウ
72 すくいプレート
72a すくい面
72b 頂面
73 V字プラウ
74 押さえ翼
74a 曲面
75 頂部
75a 平坦頂部
75b 傾斜頂部
78 側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速鉄道車両の下方に延在するスカート部の前方側に設けられ、前進に伴い軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウであって、
軌道幅方向に延在する前縁から後方へ向かう上向きのすくい面を有するすくいプレートと、
該すくいプレート上の前記前縁より後方の位置に設けられ、前記軌道間の中心線からそれぞれ前記軌道幅方向外側へ向かう一対の側板を有するV字プラウと、
該V字プラウ上縁からそれぞれ前記軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上方に凸の曲面状をなす押さえ翼とを備えたことを特徴とする高速鉄道車両用スノープラウ。
【請求項2】
前記軌道に対する前記すくい面の傾斜角度が10°に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。
【請求項3】
前記押さえ翼の頂部が前記軌道と略平行とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。
【請求項4】
高速鉄道車両の下方に延在するスカート部の前方側に設けられ、前進に伴い軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウであって、
前記軌道間の中心線からそれぞれ前記軌道幅方向外側へ向かう一対の側板を有し、前記一対の側板前縁の交差稜線が前記軌道に対して所定のすくい角で傾斜したV字プラウと、
該V字プラウ上縁からそれぞれ前記軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上方に凸の曲面状をなす押さえ翼とを備え、
前記すくい角が70°より小さく設定されるとともに、前記一対の側板の下縁同士がなす開き角が82°より小さく設定され、さらに前記側板の下縁を基準とした前記押さえ翼の頂部前端の高さが490mmより大きく設定されていることを特徴とする高速鉄道車両用スノープラウ。
【請求項5】
前記すくい角が45°に設定されるとともに、前記開き角が60°に設定され、さらに、前記側板の下縁に対する前記押さえ翼の頂部前端の高さが817mmに設定されていることを特徴とする請求項4に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。
【請求項6】
高速鉄道車両の下方に延在するスカート部の前方側に設けられ、前進に伴い軌道上の積雪を排除する高速鉄道車両用スノープラウであって、
前記軌道間の中心線からそれぞれ前記軌道幅方向外側へ向かう一対の側板を有し、前記一対の側板前縁の交差稜線が前記軌道に対して所定のすくい角で傾斜したV字プラウと、
該V字プラウ上縁からそれぞれ前記軌道幅方向外方へ向けて連続的に設けられ、上方に凸の曲面状をなす押さえ翼と、
前記V字プラウの両側にそれぞれ設けられ、前縁から後方へ向かう上向きのすくい面を有し、積雪を前記押さえ翼の後端側領域に案内する一対のすくいプレートとを備え、
前記押さえ翼の後端側領域の頂部が前記軌道に対して所定の迎え角を有するように傾斜していることを特徴とする高速鉄道車両用スノープラウ。
【請求項7】
前記迎え角が7.5°に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の高速鉄道車両用スノープラウ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−120555(P2010−120555A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297332(P2008−297332)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年9月5日 社団法人日本雪氷学会、日本雪工学会発行の「雪氷研究大会(2008・東京)講演要旨集(ISSN 1883−0870)」に発表
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)