説明

高電圧トランス

【課題】従来の略円筒型形状の高電圧トランスの構成では、近年の薄型のカラーテレビジョンやコンピュータ端末に使用されるディスプレイ装置等は、薄型の装置等のプリント基板を縦型に配置するため、プリント基板面に高電圧トランスを配置するにはスペースが少なく、薄型の装置等に配置できないという課題を有していた。
【解決手段】本発明の高電圧トランスにおいて、一次側コイルボビンのコイルの巻き始めと巻き終わりを固定させる複数の端子台と中空の円筒部の周囲にある複数のフランジ部の一部より複数箇所のリブを設け、略角型形状の外装ケ−スの両角部間に設けた仮想線上までリブを延長し、リブが略角型形状ケースの開口部の内側面に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流高電圧を供給する高電圧トランスに関するものである
【背景技術】
【0002】
従来の高電圧トランス(特許文献1)の構造を、図面を参照しながら説明する。
【0003】
図13において、コア500の軸周りに一次側コイルボビン510を嵌装し、この一次側コイルボビンに一次巻線を巻回しすると共に、前記一次側コイルボビンの外周に二次側コイルボビン520を嵌装して、この二次側コイルボビンには二次巻線を複数に分割して巻回する一方、分割された各二次巻線部分はそれぞれ絶縁フィルムと交互に配置してなるコイル部505と、複数個のダイオード531を装着したダイオードホルダ530と、高圧コンデンサ571及び高圧抵抗を装着したホ−カスボリューム570とを具備し、高電圧トランスはコイル部505とダイオードホルダ530とホーカスボリューム570を組み合わせ、プラスチック樹脂で成形された略円筒形状の外装ケース540に収納され、絶縁樹脂が充填された構成となっている。
【0004】
高電圧トランスの外装ケース540の側面開口部541からは一次コイルボビンに低圧端子ピン550が配設されており、低圧端子ピン550はプリント基板560の孔に挿入され、電気的に接続される構造となっている。
【0005】
従来の高電圧トランスは従来陰極線管を用いたカラーテレビジョン受像器やコンピュータ端末に使用されるディスプレイ装置などに使用されるプリント基板上に縦に配置しており、プリント基板からトランスの頂点までの高さが高くなっている。
【0006】
さらに、一次コイルボビンと二次コイルボビンで構成されるコイル部505と、ダイオード531を装着したダイオードホルダ530を配備したトランス本体と、コア500は平面的にみると直角方向に配備され、高電圧トランスの本体の厚みが大きくなる構成となっている。
【0007】
抵抗体を印刷したセラミック基板532、高圧コンデンサ571及び抵抗等々配備したホーカスボリューム570は、ホーカスボリューム570の絶縁ケース540は形状が複雑であるとともに、内部には前記セラミック基板532が配備されている為に、強度が強くなっている。外装ケース540は、プラッスチック樹脂で成形されているために若干成形歪が発生するが、外装ケース540の側面開口部541には強度が強固であるホーカスボリューム570を装着する為に外装ケース540が大きく歪を発生させることなく、高電圧トランス内部の二次側巻線、ダイオード531等々の高電圧部と外装ケース540間の絶縁寸法は確保できる。
【0008】
従来のコンバータトランス(特許文献2)の構造を、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図14において、コア110の外周にトランスボビン120を配置し、このトランスボビン120に一次側と二次側の巻線130を巻装したものであり、一次側と二次側の巻線130が接触するように層間絶縁テープ132が巻装された絶縁構成になっておる。
【0010】
またトランスボビン120の下面からは、複数のピン140下方に突設されている。
【0011】
各ピン140は、一次側回路部品210、二次側回路部品220を搭載し、さらに電気配線されたプリント基板200のスルホール202に半田付けにて接合され、トランス本体をなしている。
【0012】
前記トランス本体は略角型の形状である絶縁ケース300に挿入され絶縁ケース300内には絶縁性充填剤400が充填されている。
【0013】
さらに絶縁ケース300に収納されたトランスの端子ピン140は絶縁ケース300の開口部の下方からマウント基板500のスルホール502に半田付けにて接合されておる。
【特許文献1】特開2001−176727号公報
【特許文献2】特開2000−060125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来例図13は高電圧トランス505をプリント基板560に装着したときの正面から見た概略構成をあらわしており、高電圧トランスの1次側コイルボビン510、トランスの外装ケース540、プリント基板560で構成されおり、従来例の構成では、トランスの1次側コイルボビン510の長手方向に高電圧トランスがプリント基板560の垂直に配置される構造となり、プリント基板26に高電圧トランスを装着した場合、プリント基板560の面から高電圧トランスの頂点までの高さ寸法が大きくなるという課題、さらに、高電圧トランス本体505はコア500が直角方向に配備されており、高電圧トランスの本体の厚みが厚くなるという課題もある。
【0015】
例えば高電圧トランスを使用した薄型表示デバイス装置の場合では、テレビの奥行き寸法が大きくなってしまう問題を生じる。
【0016】
ホーカスボリューム570の形状が強固になっており外装ケース540の側面開口部541に装着した場合、外装ケース540そのものであれば成形歪が発生しているが、ホーカスボリューム570を装着することにより、外装ケース540の歪がなくなり、高電圧トランス505の内部の二次巻線及びダイオード531等々の高電圧と外装ケース540間との絶縁距離を確保できるという利点もある。
【0017】
従来例図14のコンバータトランスは一次側回路部品210、二次側回路部品220を搭載し、さらに配線されたプリント基板200はトランスボビン120とマウント基板500の間に位置するよう絶縁ケース300内に配備されているために、マウント基板500から略角型の絶縁ケース300の天面までの高さが高くなるという課題がある。
【0018】
本願は上記問題点を解決するもので、従来の主要部品の形状や構成を大きく変えることなくトランスの厚みを薄くでき、さらに、高電圧トランスの高さ方向(プリント基板からトランスの頂点までの)寸法を低減できる高電圧トランスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
二次巻線を複数部分に分割してなる従来の課題を解決するために、本発明の高電圧トランスは、コア及び一次側コイルボビン、二次巻線を複数に分割して絶縁フィルムと交互に巻き回している二次コイルボビンからなるトランス部を略角型形状の外装ケースに収納し、前記一次側コイルボビンの端子台とフランジ部の一部より複数箇所のリブを設け、略角型形状の外装ケ−スの開口部の両角部間に設定された仮想線上まで前記一次コイルボビンのリブを延長し、前記リブが略角型形状ケースの開口部の内側面に接触させることである。
【0020】
本構成により、略角型外装ケースの成形歪を補正することが可能となり、トランス本体内部の高圧部と外装ケースの表面までの絶縁距離を安定して確保できるため、外装ケースの厚みを厚くすることなく、高電圧トランスの厚みを薄くさせる事を可能としたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の高電圧トランスによれば、一次側コイルボビンの端子台とフランジ部の一部より複数箇所のリブを設け、略角型形状のケースの開口部の内側に前記リブを接触させることにより、略角型形状のケースの成形歪を補正することが可能となり、トランス内部に装着されている高電圧部品と外装ケースとの絶縁距離を安定して確保でき、高電圧トランスの厚みを薄くすることが可能となり、高電圧トランスを装着したプリント基板から外装ケースまでの厚みを薄くでき、例えば高電圧トランスを使用した薄型表示デバイス装置の場合ではテレビの奥行き寸法を小さくすることが可能となる。
【0022】
さらに、トランス本体の内部に配備する電子部品をプリント基板に搭載し、コイル部にプリント基板を装着した高電圧トランスと、補強剤として含有したガラス繊維を含有したプラスチック樹脂を使用した外装ケースを使用した高電圧トランスと、外装ケースの短辺と長辺の比が1対1.5以上の高電圧トランスに使用した場合はより一層の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1における高電圧トランスの構成について説明する。
【0025】
図1は本発明の実施の形態1における高電圧トランスの斜視図である。図1において、高電圧トランス10は、コア15と、一次側コイルボビン20と、二次側コイルボビン40、略角形状の外装ケース80、プリント基板90から構成されている。
【0026】
略角型外装ケース80には高電圧トランス10を薄型装置のプリント基板に保持固定するビス止め固定用孔86が設けられている。また、プリント基板90には高電圧トランス10を薄型装置のプリント基板に電気的に接続する入出力端子75が設けられている。
【0027】
図2は本発明の実施の形態1における高電圧トランスを縦型プリント基板に配置した概要図である。表示デバイス部103を備えた薄型表示デバイス装置の縦型プリント基板101に高電圧トランス10を配置している。表示デバイス部103を備えた薄型テレビジョン受像機の縦型プリント基板101に高電圧トランス10を配置している。高電圧トランス10の入出力端子75は、薄型装置等に搭載している縦型プリント基板101に電気的に接続され、高電圧トランス10の略角形状の外装ケース80のR部は、縦型プリント基板101の切欠き部102に収納される。高電圧トランス10のビス止め固定用孔86と薄型装置等の縦型プリント基板101に設けられたビス止め用孔とをビスで通して固定し、高電圧トランス10を薄型装置の縦型プリント基板101に保持させる。このことにより、薄型装置の縦型プリント基板101に対しても、高電圧トランス10は安定的に保持されることが可能となる。
【0028】
図3乃至図6は本発明の実施の形態1における組み立て前の高電圧トランス10の主部品の斜視図である。図3は本発明の実施の形態1における一次側コイルボビン20の斜視図であり、図4は本発明の実施の形態1における二次側コイルボビン40の斜視図であり、図5は本発明の実施の形態1におけるプリント基板90の斜視図であり、図6は本発明の実施の形態1における略角型形状の外装ケース80の斜視図である。
【0029】
二次側コイルボビン40に一次側コイルボビン20を嵌装してコイル部をなし、コイル部に電気部品を搭載したプリント基板90を装着してトランス本体をなしている。
【0030】
図3において、プラスチック樹脂で成形された一次側コイルボビン20は中空の円筒部21の周囲に一次巻線30を分割巻するために複数個のフランジ部22を配設させている。
【0031】
フランジ部22は一次巻線を引き回すための一部切り欠き部23を有するとともに、円筒部21の端部24には、コイルの巻き始めと巻き終わりを固定させるための複数個の端子ピン35と端子ピン35を保持するための端子台25を配設され、一次巻線30を巻回されている。
【0032】
一方、一次側コイルボビン20は、円筒部21またはフランジ部22より、リブ27が配設されている。
【0033】
リブ27は、トランス本体部と高電圧トランス10の外部との絶縁を確保するために、外装ケース80の内径が図6の破線である外装ケースR面の仮想線82A(幅35mm)になるように、一次側コイルボビン20の中心から片側17.5mmの長さとなっている。但し、リブ27の長さは外装ケースの仮想線の内径寸法の半分17.5mmでない場合もある。
【0034】
さらにリブ27は、成型時に、容易に離形されるように、または外装ケース80に圧入するときに、リブ27が折れないように、例えば根元が5mmで先端が3mmという傾斜状の形状になっている。
【0035】
リブ27の先端部は、外装ケース80の内側のR面に接するように外装ケース80の内側の内径と同じ径で丸くなっており、更に、外装ケース80に入る方向が、C面カットまたはR面の面取り処理されており、外装ケース80の歪み部を押し上げながら、挿入されるようになっている。
【0036】
また、一次側コイルボビン20の端子台25より、リブ26が配設されている。
【0037】
リブ26は外装ケース80の開口部のR部から直線部に変わる位置から、外装ケースの電子部品等が配置される角部内側面までの距離の半分までの約20mmの長さまで伸びた端子台25から垂直に伸び、外装ケース80の両角部間の内側が図6の破線である外装ケース長辺の仮想線82B(幅30mm)になるように、リブ26の両側の先端までの寸法は外装ケース80の長辺部の仮想線の内径寸法と同一である30mmの高さとなっている。
【0038】
さらにリブ26は、成型時に、容易に離形されるように、または外装ケース80に圧入するときに、リブ26が折れないようにする為に、例えば根元が5mmで先端が3mmという傾斜状の形状になっている。
【0039】
リブ26の先端部は、外装ケース80に入る方向が、C面カットまたはR面の面取り処理されており、外装ケースの歪み部を押し上げながら、挿入される構成となっている。さらに端子台25と反対側は、コア(図示せず)が入るためのコの字部28を形成している。
【0040】
一次側コイルボビン20で、一次巻線30と端子ピン35とを除く構成は、補強材であるガラス繊維を含有したプラスチック材料で一体成型されている。
【0041】
図4においてプラスチック樹脂で成形された二次側コイルボビン40は、中空の円筒部41の周囲に二次巻線50を複数部分に分割して巻回する一方、分割された各二次巻線50部分はそれぞれ絶縁をするフィルム60と交互に配置し、端末にフィルム60が蛇行しないようにするための鍔47と、端子ピン55を保持する端子台42と、複数個のコイルの巻き始めと巻き終わりを固定できる端子ピン55を有してなる構成である。
【0042】
また、二次側コイルボビン40の中空の円筒部41にある内側面部43には、一次側コイルボビン20を嵌装時に一次側コイルボビン20が回転しないようにするためのレール部44と、一次側コイルボビン20が、奥に入りすぎないようにするための留め突起と、一度、一次側コイルボビン20が嵌装されたら、抜けなくなるようにするかえり防止突起が一体成型されている。
【0043】
図5において、プリント基板90は、組立て後のトランス本体部の短辺方向の厚みを厚くしないように、トランス本体部の長辺方向に複数個の電子部品70を配置させる構成としている。このとき図6の外装ケース長辺R部89Aをかいくぐるために、プリント基板90は切欠け部91を設けている。また薄型表示デバイス装置等のプリント基板に接続される入出力の端子ピン75は、プリント基板の端側部92に集結し、一直線上に配列させている。
【0044】
さらに、プリント基板90には一次側コイルボビン20のリブ26及びリブ27が通る貫通孔93を形成している。
【0045】
また、一次側コイルボビン20と二次側コイルボビン40の端子ピン35及び端子ピン55を接続する接続孔94が開いている。
【0046】
図6において、略角型形状の外装ケース80の開口部81は、長方形の両長辺の一部がトランス本体部を嵌装する為、丸く膨らんだ形状をしている。また、長方形の短辺が薄型表示デバイス装置等の少ない体積に収まるようにするため、電子部品70の収納部を長方形の長辺方向に配置するように、外装ケース80は長辺方向が長い形状としている。これにより、外装ケース80の短辺と長辺の比率が1対1.5以上となり、短辺方向のトランス本体部の厚みを薄くしている。
【0047】
本来では開口部81の両角部間は、トランス本体部と高電圧トランスの外部との絶縁を確保するために、トランス本体部と外装ケース外側との距離を例えば3mmにしているが、外装ケースR面の仮想線82A、外装ケース長辺の仮想線82B(破線)の位置でなければ、絶縁寸法を確保できず、外装ケース80の厚みを歪寸法の相当分大きくする必要がでてくる。
【0048】
ちなみに、外装ケースの短辺と長辺の比率が高い程、外装ケース80の歪が大きくなり、トランス本体の内部の部品及び高電圧部と外装ケース間の絶縁寸法を確保する為に、外装ケース80の短辺の高さをさらに高くする必要がある。
【0049】
さらに、略角型形状の外装ケース80は、補強材としてガラス繊維を含有したプラスチック材料を使用しており、両角部間83を基点とした開口部81の内側に向かって成形歪が発生し、開口部81の寸法は、外装ケース側面の長辺中央部89Bの位置まで小さくなっている。
【0050】
成形歪はプラスチック樹脂にガラス繊維を充填しない場合は、その歪が小さくなり、本願のリブ26、27を必要としない場合もあるが、成形された外装ケース80の強度が弱くなり、熱ストレスによるクラックあるいは薄型装置等に搭載している縦型プリント基板101と位置固定するビス止め固定用孔86のクラック等々の発生が懸念される。
【0051】
また高電圧トランス本体と高電圧トランス以外の他部品とを固定させる為、開口部81と逆側の閉口面84及び開口側面部85に隣接してビス止め固定用孔86が一体成型されている。
【0052】
また開口側面部85の内側には、プリント基板90を配置するために2本のレール状の突起87が配設されている。さらに略角型形状の外装ケース80の開口部81と逆側の閉口面84に一次側コイルボビン20の円筒部先端29が入る丸孔88が開き、一次側コイルボビン20のコの字部28と嵌合するためにコの字状の切欠け部が構成されている。
【0053】
次に、本発明の高圧トランスの組立方法について説明する。
【0054】
第一に、二次側コイルボビン40のレール部44に一次側コイルボビン20のフランジ部22の一部を滑らせながら、一次側コイルボビン20の端子台25の反対側であるフランジ部22を含む中空の円筒部21外周に、二次側コイルボビン40を嵌装する。
【0055】
但し、リブ27は二次側コイルボビン40の内部に嵌装されずに、二次側コイルボビン40より出張った状態となる。
【0056】
第二に、プリント基板90の切欠け部91に二次側コイルボビン40を設置しながら、二次側コイルボビン40の端子ピン55である高電圧の終端部、アース部または二次巻線層間部とプリント基板90上の孔94に挿入させ、電子部品70と電気的に接続させる。
【0057】
同時に一次側コイルボビン20の端子台25に埋設されている端子35もプリント基板90上の孔94に挿入し電子部品70が電気的に接続され、リブ26及びリブ27をプリント基板90の貫通孔93に通す。
【0058】
最後に略角型形状の外装ケース80の開口部81からレール状の突起87の間にプリント基板90の側面部95を滑らせながら挿入していく。同時に一次側コイルボビン20を略角型形状の外装ケース80の開口部81から挿入し、略角型形状の外装ケース80の両角部間83にある仮想線82の内側面まで伸びている一次側コイルボビン20のリブ26及びリブ27の先端が、成型歪みが起こっている図6で説明したケース側面の長辺中央部89B及び長辺R部89Aに圧入されることにより、ケース側面の長辺中央部89B及び長辺R部89Aをケース側面の長辺部仮想線82B及びR部仮想線仮想線82Aまで矯正させる。
【0059】
また一次巻線側コイルボビン20の円筒部先端29が略角型形状の外装ケース80の丸孔88に嵌合され、一次巻線側コイルボビン20のコの字部28が略角型形状の外装ケース80のコの字状の切欠け部に嵌合される。
【0060】
入出力端子75が配置されているプリント基板90のケース外側部92は、略角型形状の外装ケース80の開口部81からはずれている。(なおコアの図示及び組立の説明は、省略する。)
かかる構成によれば、略角型形状の外装ケース中のプリント基板の配置を略角型形状の外装ケースの長手方向とし、更に、一次側コイルボビン及び二次側コイルボビンの部分に切欠け部を設けることで、高電圧トランスの短辺側の厚みを薄くすることが可能となり、薄型表示デバイス装置の限られた空間内に高圧トランスを配置することができる。
【0061】
さらに、外装ケースのプラスチック材料にガラス繊維を含有した場合、トランス本体に使用する電気部品をプリント基板に搭載し、コイル部に装着した場合、外装ケースの短辺と長辺の比率が大きくなり、外装ケースの歪がさらに大きくなり、本願の構成にすればさらに効果を奏する。
【0062】
(実施の形態2)
図7及び図8は、実施の形態2及び実施の形態3の高電圧トランスの斜視図である。
【0063】
以下、図7及び図8については、図1乃至図6と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0064】
図7及び図8において、実施の形態1において、略角型形状の外装ケース80の両角部間83の成型歪みが少ない場合は、一次側コイルボビン20のリブ26を省く構成、またはリブ27を省く構成となる。図7は、一次側コイルボビン20のリブ26のみで略角型形状の外装ケース80の成型歪みを強制する場合、図8は、一次側コイルボビン20のリブ27のみで略角型形状の外装ケース80の成型歪みを強制する場合を示している。
【0065】
かかる構成によれば、一次側コイルボビン20のリブ26、或いは、リブ27の一方のみの構成で外装ケースの歪んだ形状を矯正し、高圧トランスの絶縁性を確保することができ、高電圧トランスの短辺側の厚みを薄くすることが可能となる。
【0066】
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3の高電圧トランスの底面図である。以下、図9については、図1乃至図6と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0067】
一次側コイルボビン20のリブ26代わりに別体の棒状の成型品800をプリント基板90の各孔に挿入し、位置固定する。さらにリブ27の代わりに中心がU字型形状の成型品810を一次側コイルボビン20の円筒部の端部の円弧に沿って位置固定する。
【0068】
棒状の成形品800及びU字型形状成形品810の両先端間の寸法は外装ケースのR部仮想線82A、長辺部仮想線82Bの寸法の相当にする。例えばU字成形品の両先端部寸法は、35mmに設定する。
【0069】
一次コイルボビン20、プリント基板90に位置固定された成形品800,810は、トランス本体が外装ケース80に収納されると、成形品800.810の両先端が外装ケースの内壁と接触し、外装ケースの内壁部を設定した位置(仮想線の位置)まで歪補正することができ、トランス本体部と外装ケース外側との絶縁距離3mmを確保できる。
【0070】
かかる構成によれば、棒状の成形品及びU字状の成形品を別に設けることにより、一次コイルボビンの形状を複雑にすることなく、高電圧トランスの短辺側の厚みを薄くすることが可能となる。
【0071】
(実施の形態4)
図10は、実施の形態4の高電圧トランスの斜視図である。以下、図10については、図1乃至図6と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0072】
図10において、一次側コイルボビン20のリブ26及び27の代わりに、外装ケース開口部81と同一略形状の別体成型品600を外装ケース80の開口部へ配置させる。
【0073】
成型品600は、外装ケース80の開口部に配置させた後でも、トランスを絶縁する充填剤を注入するための孔601を備え、入出力端子ピン75及びプリント基板90のケース外側部92を逃げるように切欠け部602を形成している。
【0074】
成型品600は、略角型形状の外装ケース80のケース側面の長辺中央部89B、長辺R部89Aを押し上げ、ケース側面を長辺中央部89B、長辺R部89Aを長辺仮想線82B、R部仮想線82Aまで矯正させ、トランス本体部と外装ケース外側との絶縁として必要な距離3mmを安定して確保できる。
【0075】
かかる構成によれば、外装ケース開口部81と同一略形状の別体成型品600を外装ケースの開口部へ配置させことにより、一次コイルボビンの形状を複雑にすることなく、高電圧トランスの短辺側の厚みを薄くすることが可能となる。
【0076】
さらに、トランス本体を組み立て後、別体成型品を配置するので、トランスの組み立て、生産性の向上につながる。
【0077】
(実施の形態5)
図11は、実施の形態5の高電圧トランスの底面図である。以下、図11については、図1乃至図6と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0078】
図11において、略角形状の外装ケース80の開口部81の形状が長方形の片側長辺の一部のみ丸く出ている900構成である。この時、一次側コイルボビン20のリブ27の先端は角型になっている。
【0079】
かかる構成によれば、外装ケースは長辺の片側が直線となり、外装ケースの長辺部中央部の成形歪がより大きくなり、本願のリブ26,27が効果を発揮し、高電圧トランスの短辺側の厚みを薄くすることが可能となる。
【0080】
(実施の形態6)
図12は、実施の形態6の高電圧トランスの底面図である。以下、図12については、図1乃至図6と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0081】
図12において、略角形状の外装ケース80の開口部81の形状が長方形である。
【0082】
かかる構成によれば、外装ケースは角型形状になっており、外装ケースの長辺部中央部の成形歪がより大きくなり、本願のリブ26,27が効果を発揮し、高電圧トランスの短辺側の厚みを薄くすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明はテレビジョン受像機及びディスプレイデバイス装置等に供給する高電圧トランスに関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1における高電圧トランスの斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における高電圧トランスを縦型プリント基板に配置した概要図
【図3】本発明の実施の形態1における一次側コイルボビンの斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における二次側コイルボビンの斜視図
【図5】本発明の実施の形態1におけるプリント基板の斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における略角型形状の外装ケースの斜視図
【図7】本発明の実施の形態2における高電圧トランスの斜視図
【図8】本発明の実施の形態3における高電圧トランスの斜視図
【図9】本発明の実施の形態4における高電圧トランスの底面図
【図10】本発明の実施の形態5における高電圧トランスの斜視図
【図11】本発明の実施の形態6における高電圧トランスの底面図
【図12】本発明の実施の形態7における高電圧トランスの底面図
【図13】従来の高電圧トランス(略円筒型)の概略図
【図14】従来のコンバータトランス(角型ケース)の概略図
【符号の説明】
【0085】
10 高電圧トランス
20 一次側コイルボビン
21 中空の円筒部
22 フランジ部
23 フランジ部の一部切り欠き部
24 中空円筒部の端部
25 端子台
26 リブ
27 リブ
28 コの字部
29 円筒部先端
30 一次巻線
35 端子ピン
40 二次側コイルボビン
41 中空の円筒部
42 端子台
43 内側面部
44 レール部
47 鍔
50 二次巻線
55 端子ピン
60 フィルム
70 電子部品
75 入出力端子
80 略角型形状の外装ケース
81 開口部
82A 外装ケースR面の仮想線
82B 外装ケース長辺部の仮想線
83 両角部間
84 閉口面
85 開口側面部
86 ビス止め固定用孔
87 レール状の突起
88 丸孔
89A 外装ケース長辺R部
89B 外装ケース長辺中央部
90 プリント基板
91 プリント基板の切欠け部
92 プリント基板側部
93 貫通孔
94 接続孔
95 側面部
101 縦型プリント基板
102 プリント基板の切欠き部
103 表示デバイス部
600 別体成型品
601 孔
602 切欠け部
800 棒状の成型品
801 棒状の先端部
810 U字型形状の成型品
811 U字部
812 U字部の先端部
900 外装ケース片側長辺部の丸く出張り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアの軸周りに一次側コイルボビンを嵌装し、この一次側コイルボビンに一次巻線を巻回すると共に、前記一次側コイルボビンの外周に二次側コイルボビンを嵌装して、この二次側コイルボビンに二次巻線を複数部分に分割して巻回する一方、分割された各二次巻線部分はそれぞれ絶縁フィルムと交互に配置してなるコイル部と、
前記コイル部に複数個の電子部品を装着したトランス本体を備え、
前記トランス本体はプラスチック樹脂によって成型された略角型形状の外装ケ−スに収納されており、
前記一次側コイルボビンは中空の円筒部の周囲に複数個のフランジ部により分割され、前記フランジ部は一部切り欠き部を有するとともに、
前記切り欠き部の一部より複数箇所の第一のリブを設け、略角型形状ケースの開口部の内側に接触することを特徴とする高電圧トランス。
【請求項2】
前記一次コイルボビンの円筒部の端部には、コイルの巻き始めと巻き終わりを固定させるための複数の端子を保持するための端子台が配設されており、
前記端子台の一部より複数箇所の第二のリブを設け、
略角型形状ケースの開口部の内側に接触することを特徴とする請求項1に記載の高電圧トランス。
【請求項3】
前記一次コイルボビンのフランジ部を切り欠き延長した複数箇所の前記第一のリブと
前記一次コイルボビンの端子台に設けた複数箇所の前記第二のリブを
略角型形状の外装ケ−スの開口部の両角部間から設定した仮想線上まで前記第一のリブ、前記第二のリブを延長し、前記前記第一のリブ、前記第二のリブが略角型形状ケースの開口部の内側に接触することを特徴とする請求項1及び2に記載の高電圧トランス。
【請求項4】
前記外装ケ−スの成型材料は、補強材としてガラス繊維を含有したプラスチック材料を使用した前記記載の請求項1乃至3に記載の高電圧トランス。
【請求項5】
前記複数個の電子部品をプリント基板に搭載し、前記トランス本体に装着した前記記載の請求項1乃至3に記載の高電圧トランス。
【請求項6】
短辺と長辺の長さの比が1対1.5以上である前記略角型形状のケースを使用した前記記載の請求項1乃至3に記載の高電圧トランス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−288086(P2007−288086A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116425(P2006−116425)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】