髪ケア装置
【課題】毛髪を適度なテンションで広範囲に捉えることのできる髪ケア装置を得る。
【解決手段】複数のブリスル5を突設したブリスル台21と、このブリスル台21を保持するブラシ外郭部22と、を備える髪ケア装置1において、ブリスル5は、所定長さの長ブリスル51と、この長ブリスル51よりも短く毛髪Hを効率良く捉える短ブリスル52と、を有し、短ブリスル52をブリスル台21の髪梳き方向に対して長ブリスル51よりも外側に配置した。
【解決手段】複数のブリスル5を突設したブリスル台21と、このブリスル台21を保持するブラシ外郭部22と、を備える髪ケア装置1において、ブリスル5は、所定長さの長ブリスル51と、この長ブリスル51よりも短く毛髪Hを効率良く捉える短ブリスル52と、を有し、短ブリスル52をブリスル台21の髪梳き方向に対して長ブリスル51よりも外側に配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアブラシなどの髪ケア装置として、複数のブリスルが突出するブリスル台をブラシ外郭部に装着させて形成したブラシ部を備え、複数のブリスルを、ヘアブラシの長手方向にそれぞれ列をなす長ブリスルと短ブリスルとで構成したものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、複数の短ブリスル同士を密集するように設けて短ブリスルの列で毛髪を主に捉えるようにし、毛髪にテンションをかけながらブリスル台の毛髪接触面を滑らせることで毛髪を梳かすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−350619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の髪ケア装置にあっては、長ブリスルの列を、ヘアブラシの短手方向(ブリスル台の髪梳き方向)に複数配置するとともに、短ブリスルの列を、髪梳き方向の最も外側に配置された長ブリスルの列よりも内側に配置しているため、毛髪を適度なテンションで捉えながら髪を梳かす際に、ブリスル台の表面積が有効に利用されておらず、毛髪を適度なテンションで広範囲に捉えることができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、毛髪を適度なテンションで広範囲に捉えることのできる髪ケア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にあっては、複数のブリスルを突設したブリスル台と、当該ブリスル台を保持するブラシ外郭部と、を有するブラシ部を備える髪ケア装置であって、前記ブリスルは、長ブリスルと、当該長ブリスルよりも短い短ブリスルと、を備え、前記短ブリスルを、前記長ブリスルよりも前記ブリスル台の髪梳き方向外側に配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の髪ケア装置において、前記ブリスル台の毛髪接触面における髪梳き方向の幅寸法を、前記ブラシ外郭部の同方向の幅寸法よりも大きくしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明にあっては、請求項1または請求項2に記載の髪ケア装置において、前記ブリスル台は、当該ブリスル台を撓ませた状態で、髪梳き方向の両側端部が前記ブラシ外郭部に保持されており、前記ブリスル台は、当該ブリスル台の展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従って前記ブラシ外郭部とは反対方向に反り返る形状をしていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明にあっては、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置において、前記ブラシ外郭部は、当該ブラシ外郭部に保持された前記ブリスル台の裏面に対向する支持湾曲面を有しており、前記ブリスル台の毛髪接触面の曲率を前記支持湾曲面の曲率よりも小さくしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明にあっては、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置において、前記ブリスル台の髪梳き方向の両側端部と前記ブラシ外郭部との間に、前記ブリスル台の前記ブラシ外郭部側への撓み変形を抑制する撓み防止部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明にあっては、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置において、前記ブラシ外郭部は、帯電を抑制する材料を含んで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、短ブリスルを、ブリスル台の髪梳き方向に対して長ブリスルよりも外側に配置したため、毛髪を梳く際に、毛髪を適度なテンションで捉える短ブリスル間の距離を長くとることができる。その結果、毛髪を適度なテンションで捉えながら髪を梳かす際に、ブリスル台の毛髪接触面の表面積をより有効に利用して毛髪を広範囲に捉えることができるようになる。
【0014】
請求項2の発明によれば、ブリスル台の毛髪接触面における髪梳き方向の幅寸法を、ブリスル台を保持したブラシ外郭部の同方向の幅寸法よりも大きくしたため、ブリスル台の毛髪接触面の表面積をさらに増大することができる。その結果、毛髪をより広範囲で捉えることができるようになり、整髪が行いやすくなる。
【0015】
請求項3の発明によれば、ブリスル台を、展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従って前記ブラシ外郭部とは反対方向に反り返る形状とすることで、ブリスル台の髪梳き方向の両側端部をブリスル台の撓み変形を伴いつつブラシ外郭部に保持したときに、反り返った両側端部がブラシ外郭部の髪梳き方向の両端からより大きく突出することになるため、ブリスル台の構造をより簡単にしつつ、ブリスル台の毛髪接触面の表面積を増大させることができるようになる。
【0016】
請求項4の発明によれば、ブラシ外郭部の支持湾曲面の曲率よりもブリスル台の毛髪接触面の曲率を小さくすることで、ブリスル台の毛髪接触面がブラシ外郭部の支持湾曲面よりも緩やかな湾曲面となるため、ブラシ部をブリスルで捉えた毛髪に対して平行に移動させ易くなり、毛髪をストレートに整え易くすることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、ブリスル台の髪梳き方向の両側端部とブラシ外郭部との間にブリスル台の撓み防止部を設けたため、毛髪を梳く際に、ブリスル台の両側端部がブラシ外郭部側へ撓み変形するのを抑制することができる。その結果、長ブリスルと短ブリスルとが沈下してしまうのが抑制され毛髪を効率良く整髪することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、ブラシ外郭部を帯電を抑制する材料を含んで形成したため、毛髪を梳く際に静電気が発生するのが抑制され、毛髪をより整え易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置の全体を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す髪ケア装置のブラシ部を拡大した正面図である。
【図3】図3は、図2中III−III線に沿った拡大断面図である。
【図4】図4は、図1に示す髪ケア装置の短ブリスル列を設けた短ブリスルブロックの正面図である。
【図5】図5は、図4中V−V線に沿った拡大断面図である。
【図6】図6は、図1に示す髪ケア装置のブリスル台の展開状態を示す説明する図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図7】図7は、図1に示す髪ケア装置の撓み防止部の取付状態を裏側から見た背面図である。
【図8】図8は、図1に示す髪ケア装置のブリスル台の幅方向片側を示す拡大平面図である。
【図9】図9は、図1に示す髪ケア装置の短ブリスルの1つを拡大して示す平面図である。
【図10】図10は、図1に示す髪ケア装置の短ブリスルを示す図であって、(a)は、ブラシ部を毛髪に押し付けた初期の状態を示す拡大平面図、(b)は、毛髪を梳いている状態を示す拡大平面図である。
【図11】図11は、図1に示す髪ケア装置のブラシ部で毛髪を梳く状態を示す図であって、(a)は、毛髪束にブラシ部を押し当てた初期状態を示す平面図、(b)は、毛髪束をブラシ部で梳いている状態を示す平面図である。
【図12】図12は、図11(a)中XII方向から見た短ブリスルブロックの拡大図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態にかかる髪ケア装置の全体を示す正面図である。
【図14】図14は、図13に示す髪ケア装置のブラシ部の要部を拡大した正面図である。
【図15】図15は、図13に示す髪ケア装置の拡大平面図である。
【図16】図16は、図13中XVI−XVI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。また、以下では、髪ケア装置としてヘアブラシを例示する。
【0021】
(第1実施形態)
本実施形態にかかるヘアブラシ1は、図1に示すように、長手方向(図1中上下方向)の一端側にブラシ部2を配置し、他端側にグリップ部3を配置して概ね構成されている。このブラシ部2は、グリップ部3の一端部に設けられたブラシ装着部31に着脱自在に装着されている。
【0022】
また、グリップ部3の内部には図示省略した送風装置およびヒータが収納されるとともに、長手方向に貫通する図示省略した空気通路が形成されており、グリップ部3の他端部には、空気通路に連通するメッシュ状の空気吸込口32が設けられている。なお、符号Cは電源コードである。
【0023】
そして、グリップ部3の側面に設けられた操作スイッチ4を操作することにより、上記送風装置が作動して空気吸込口32から空気を吸引し、吸引された空気は上記空気通路を経由してブラシ部2に送給されるようになっている。このとき、ヒータを作動させれば、空気通路を通過する空気が加熱されてブラシ部2に温風が送給されるようになる。
【0024】
ブラシ部2は、図2および図3に示すように、複数のブリスル5を突設したブリスル台21と、このブリスル台21を保持するブラシ外郭部22と、を備えている。また、ブリスル5は、所定長さの長ブリスル51と、この長ブリスル51よりも短く毛髪を効率良く捉える短ブリスル52と、で構成されている。なお、長ブリスル51および短ブリスル52は、ともにポリエステルエラストマーなどの合成樹脂で形成されている。
【0025】
ブリスル台21は、ブリスル5が突出する外側面が毛髪接触面21aとなっており、毛髪接触面21aは、ブリスル台21をブラシ外郭部22に保持した状態で、髪梳き方向(図2中左右方向:ヘアブラシの幅方向)が外方に突出する湾曲面を成している。
【0026】
ブラシ外郭部22は、図3に示すように、外方に膨出する円弧状断面を成す外郭本体部23と、外郭本体部23の内面側に取り付けられたブリスル台保持枠24と、によって構成されている。そして、外郭本体部23の内側の幅方向両端部に設けられた係合部23aに、ブリスル台21の幅方向両端部に形成したフック部21Hが着脱自在に係合されることにより、ブリスル台21がブラシ外郭部22に保持される。このとき、ブリスル台21は可撓性を有する合成樹脂などの材料で形成されており、ブリスル台21をブラシ外郭部22に保持する際には、ブリスル台21のフック部21Hが、ブリスル台21を撓み変形させた状態で弾発力をもって係合部23aに係合される。
【0027】
また、ブラシ外郭部22にブリスル台21が保持された状態では、それら両者間に中空部Sが形成されており、その中空部Sは、グリップ部3の空気通路に連通して送風装置から送給された空気が導入される空気導入空間25となっている。そして、空気導入空間25に導入された空気は、ブリスル台21の毛髪接触面21aに形成された複数の吹出口21bから送風となって吹き出される。このとき、ヒータを作動させた場合には温風となって吹き出される。
【0028】
ここで、本実施形態では、図3および図8に示すように、短ブリスル52を、ブリスル台21の髪梳き方向(幅方向)に対して長ブリスル51よりも外側に配置している。
【0029】
具体的には、長ブリスル51および短ブリスル52は、図2に示すように、ブラシ部2の長手方向に列を成して配置されており、長ブリスル列51Qを、髪梳き方向に複数(本実施形態では7列)配列するとともに、短ブリスル列52Qを、髪梳き方向の最も外側に配置した長ブリスル列51Qのさらに外側に配置している。つまり、短ブリスル列52Qが、ブリスル台21の毛髪接触面21aの幅方向両側部の最外側に一対配置された状態となっている。
【0030】
このとき、それぞれの長ブリスル列51Qは、図3および図7に示すように、長ブリスル51のそれぞれの基端が長手方向に連続する連結帯51Bによって連結されており、図3に示すように、それぞれの長ブリスル51がブリスル台21に形成された取付孔21cに裏側から挿入されてブリスル台21の毛髪接触面21aから突出される。そして、連結帯51Bがブリスル台21に係止されることにより、長ブリスル51の抜止めが行われる。
【0031】
一方、短ブリスル列52Qは、図3および図4に示すように、短ブリスルブロック52Bから3列の短ブリスル52が一体成形により突設されており、その短ブリスルブロック52Bがブリスル台21に形成された取付口21dに裏側から挿入されることにより、それぞれの短ブリスル52がブリスル台21の毛髪接触面21aから突出される。そして、短ブリスルブロック52Bの短ブリスル52を突設した側とは反対側端部に設けた抜止め板52Pを、ブリスル台21の裏面に係止することにより、端ブリスル52の抜止めが行われる。
【0032】
抜止め板52Pは、その幅方向中央側が、短ブリスル列52Qに隣接した長ブリスル列51Qの長ブリスル51に挿通されて連結帯51Bとブリスル台21との間に挟持される。また、抜止め板52Pの幅方向外側は、ブリスル台21の裏面から突設されるリブ52Kに挿通し、後述するブリスルサポート26で押さえ込むことで固定される。
【0033】
図3に示すように、長ブリスル列51Qは、長ブリスル51が長手方向に所定間隔をもって1本づつ配列されている。一方、短ブリスル列52Qは、図4に示すように、髪梳き方向に密集して3列並んだ短ブリスル52が長手方向に千鳥状に配列されている。このように短ブリスル52を千鳥状に配列することにより、図5に示すように、短ブリスル列52Qの列方向と直交する方向から見た側面視において、1つの列を成す短ブリスル52が、その列に隣接する他の列を成す短ブリスル52の間に位置するように配置される。
【0034】
また、短ブリスル52は、図4に示すように、1つの短ブリスルブロック52Bで長手方向に3つの群G1、G2、G3に分かれており、それぞれの群G1、G2、G3で短ブリスル52の列方向(長手方向)の間隔がほぼ等しくなるように設定されている。たとえば、本実施形態では、それぞれの短ブリスル52の列方向の間隔をP1とし、短ブリスル列52Qの列方向と直交する方向から見た側面視で短ブリスル52の見掛け上の間隔をP2とすると、P2=P1/2となるようにしている。このように、短ブリスル52の見掛け上の間隔P2を小さくすることにより、毛髪と直交する方向の短ブリスル52の密集度を大きくし、毛髪を梳かす際に、短ブリスル52で捉えた毛髪に効率良くテンションをかけることができるようにしている。なお、本実施形態では、幅方向両側の短ブリスル52の長手方向の間隔P2は、3群G1、G2、G3を通してほぼ等しくなるように設定されている。
【0035】
短ブリスルブロック52Bは、図2に示すように、3個を長手方向に沿って直列に配置することにより、1つの短ブリスル列52Qが形成される。このため、図6に示すように、ブリスル台21の髪梳き方向の両側部には、長手方向に3箇所の取付口21dが形成され、それぞれの取付口21dに短ブリスルブロック52Bが嵌め込まれる。
【0036】
短ブリスル52は、図5および図9に示すように、先端に向かって縮径される細長いテーパ状に形成されており、その先端には凸曲面52cが形成されている。また、短ブリスル52の長さ方向中間部には段差部52Sが設けられており、その段差部52Sよりも根元側を短ブリスル下部52a、先端側を短ブリスル上部52bとしている。すなわち、図9に示すように、段差部52Sにおける短ブリスル上部52bの径をα、短ブリスル下部52aの径をβとすると、α<βとなるようにしている。
【0037】
そして、短ブリスル下部52aと短ブリスル上部52bとの間に径差を設け、短ブリスル下部52aを短ブリスル上部52bよりも大径とすることにより、短ブリスル52の耐久性の向上を図っている。さらに、短ブリスル上部52bを小径とすることにより、図10(a)に示すように、短ブリスル上部52b間の隙間δが大きくなるため多くの毛髪Hを取り込み易くすることができる。さらに、取り込んだ毛髪が、図10(b)に示すように、短ブリスル下部52a間の狭い隙間δに誘導されることにより、毛髪Hに効果的にテンションをかけることができるようになる。
【0038】
また、本実施形態では、図3に示すように、ブリスル台21の毛髪接触面21aにおける髪梳き方向の幅寸法L1を、ブラシ外郭部22の同方向の幅寸法L2よりも大きく設定している。
【0039】
ところで、ブリスル台21は、図6に示すように、展開した状態で成形されており、その幅方向両端部を裏側に撓ませつつ、図3に示すように、フック部21Hをブラシ外郭部22の係合部23aに係合させることで、ブラシ外郭部22に保持されている。このとき、ブリスル台21は、長ブリスル51および短ブリスル52が突設される外周面が毛髪接触面21aとなり、この毛髪接触面21aの幅寸法L1を、ある程度の大きさに形成されるブラシ外郭部22の幅寸法L2よりも大きくしている。このように、本実施形態では、毛髪接触面21aの幅寸法L1を大きくすることで、毛髪接触面21aの毛髪接触面積を積極的に増大させている。この場合、毛髪接触面21aの幅寸法L1は、ブラシ外郭部22の幅寸法L2に対して30パーセント以上大きいことが好ましい。
【0040】
さらに、本実施形態では、ブリスル台21を、図6に示すように、展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従ってブラシ外郭部22とは反対方向、つまり、毛髪接触面21a側に反り返る形状としている。
【0041】
このブリスル台21は弾発力を持った合成樹脂などの可撓性材料で形成されており、図6(b)に示すように、そのブリスル台21の展開状態では、毛髪接触面21aの髪梳き方向の中央部が、図6(b)中下方となる裏側に緩やかに湾曲して凹設されることにより、その両側端部が反り返った形状をしている。そして、反り返った両側端の外側部は、円弧面21Rを介してフック部21Hへと連なっている。この場合、ブリスル台21の両側端部の反り返りは、その最大高さ部分がブリスル台21の髪梳き方向の中央部に対して40パーセント以上の高低差を有していることが好ましい。
【0042】
このブリスル台21をブラシ外郭部22に装着する際には、図3に示すように、反り返った両側端部をブラシ外郭部22方向に撓ませて、フック部21Hを係合部23aに係合させる。これにより、ブリスル台21の毛髪接触面21aは、展開状態とは反対方向に撓み変形して、ブラシ外郭部22とは反対方向に突出した湾曲面C1となる。
【0043】
一方、ブラシ外郭部22の外郭本体部23に取り付けられたブリスル台保持枠24は、ブラシ外郭部22に保持されたブリスル台21の裏面に対向した面が支持湾曲面C2となっている。このとき、ブリスル台21とブラシ外郭部22の支持湾曲面C2との間には、ブリスル台21の髪梳き方向中央部分の適度な撓み変形を許容する隙間が設けられる。この場合、ブラシ外郭部22は、ポリエステルエラストマーなどの合成樹脂で形成され、若干の弾性を有している。
【0044】
そして、本実施形態では、支持湾曲面C2の曲率よりもブリスル台21の毛髪接触面21aの曲率を小さく設定している。つまり、支持湾曲面C2は、一般的に幅方向にある程度の曲面をもって形成されるが、その支持湾曲面C2よりも毛髪接触面21aが緩やかな曲面となるように形成されている。このように、毛髪接触面21aの曲率を小さくすることにより、図3に示すように、短ブリスル52の先端部を、湾曲したブリスル台21の頂点部21Tに接する中央部接線Tよりも上方に突出させ易くなる。
【0045】
また、このようにブリスル台21とブラシ外郭部22の支持湾曲面C2との間に隙間を設けることで、ブリスル台21の適度な撓み変形が許容されるが、特に、本実施形態では、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部とブラシ外郭部22(詳細には支持湾曲面C2)との間に、ブリスル台21のブラシ外郭部22側への撓み変形を抑制する撓み防止部としてのブリスルサポート26を設けている。
【0046】
ブリスルサポート26は、図7に示すように、ヘアブラシ1の長手方向に細長い形状に形成されており、それぞれがブリスル台21の裏側の幅方向両側端部に配置される。そして、このブリスルサポート26には、長手方向の先端の幅方向両側部にL字状リブ26aと、末端の幅方向両側部にT字状リブ26bと、が突設されるとともに、長手方向中段の幅方向外側部に所定間隔をもって2箇所のスリット26cが形成されている。
【0047】
また、ブリスルサポート26の本体部分には、長手方向に複数箇所(本実施形態では6箇所)の固定用貫通穴26dが所定間隔をもって形成されるとともに、その固定用貫通穴26dの幅方向内側には、長手方向に4箇所の長・短貫通穴26eが形成されている。
【0048】
そして、図7に示すように、ブリスル台21の裏面には、上述したL字状リブ26aおよびT字状リブ26bにそれぞれ対応した位置に、L字状溝21eおよびT字状溝21fが形成されており、それらを互いに嵌合させることによりブリスルサポート26がブリスル台21に固定される。また、固定用貫通孔26dにブリスル台21の裏面に突設した上述のリブ52Kを挿入することで、短ブリスルブロック52Bの抜止め板52Pが、ブリスルサポート26とブリスル台21との間に挟み込み固定されるようになっている。
【0049】
また、図7に示すように、ブリスル台21の裏面には、上述したスリット26cに嵌合するリブ52Nが突設されており、これらスリット26cとリブ52Nによってもブリスルサポート26とブリスル台21とが固定される。
【0050】
また、本実施形態では、ブラシ外郭部22は、帯電を抑制する材料を含んで形成している。具体的には、本実施形態にかかるブラシ外郭部22は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)に低分子タイプの界面活性剤を配合した材料を用いて形成している。なお、帯電を抑制する材料として、高分子タイプの界面活性剤や低分子タイプの界面活性剤を用いることが可能であるが、本実施形態では、配合することによって強度が低下してしまうのを抑制することのできる低分子タイプの界面活性剤を用いるようにした。
【0051】
ここで、本実施形態にかかるヘアブラシ1を用いて毛髪Hのカール付けやセットなどの整髪を行うにあたっては、図11に示すように、長ブリスル列51Qおよび短ブリスル列52Qの列方向が毛髪Hの方向と直交するようにブラシ部2を配置し、毛髪Hの束を長ブリスル51および短ブリスル52の間に差し入れて梳くことにより行われる。
【0052】
毛髪Hの束は、まず、長ブリスル列51Qの長ブリスル51間に捉えられ、さらに側方に位置する短ブリスル52間に差し入れられる。このとき、短ブリスル51は、短ブリスル上部52bの径が短ブリスル下部52aよりも小径に形成されているので、隣接する短ブリスル51どうしの隙間δは先端側がより大きくなり、図10(a)に示すように、毛髪Hを短ブリスル列52Qに容易に差し入れることができる。そして、短ブリスル52どうしの間に差し入れられた毛髪Hは、図10(b)に示すように、短ブリスル52に沿って隙間δが狭くなる短ブリスル下部52a方向に誘導される。このとき、短ブリスル52がテーパ状に形成されていることにより、毛髪Hがスムーズに下部へと誘導される。
【0053】
また、短ブリスル52は密接して短ブリスルブロック52Bから突設されており、短ブリスル52間の隙間δは下部側で狭くなっているため、毛髪Hは短ブリスル下部52a側で短ブリスル52間に強く挟み込まれ、毛髪Hに適度なテンションをかけることができる。
【0054】
さらに、毛髪Hは、図11(a)に示すように、ブリスル台21の毛髪接触面21aの湾曲形状に沿って誘導され、髪梳き方向端部の円弧面21Rに確実に接するため、所望の形状に容易に整えることができる。
【0055】
また、毛髪Hは、長ブリスル51で捉えられて短ブリスル52によって毛先部分まで保持されるが、図11(b)に示すように、この状態でブラシ部2をブリスル台21の毛髪接触面21aの湾曲方向に回転させることで、毛先部分にさらにテンションをかけることができる。
【0056】
すなわち、図11(a)に示すように、ブリスル台21に設けた一方側、つまり、毛髪Hの根元側の短ブリスル列52Qを通過した毛髪Hは、ブリスル台21の湾曲した毛髪接触面21aの中央部接線21Tに沿って延ばされるが、図11(b)に示すように、その中央部接線21Tよりも突出させた他方の短ブリスル列52Qの先端部によって再び毛髪Hを捉えることができる。このように、毛髪Hは、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部に位置する両方の短ブリスル列52Qを通過することでより強固に、かつ、安定して保持され、毛髪Hをより所望の形状に整えることができる。
【0057】
この状態で、操作スイッチ4を操作して送風装置およびヒータを作動させると、熱せられた空気が温風として吹出口21bから所望の形状に保持された毛髪Hに噴出される。すると、温風によるブローにより、まず、長ブリスル51間に捉えられた毛髪Hの束が、図12に示すように、さらに短ブリスル52間の隙間δに導かれて細かい束に分散されるので、濡れた毛髪Hの乾燥効率が高められる。
【0058】
以上の本実施形態によれば、毛髪Hを効率良く捉える短ブリスル52を、ブリスル台21の髪梳き方向に対して長ブリスル51よりも外側に配置したため、毛髪Hを梳く際に、毛髪Hを適度なテンションで捉える短ブリスル52間の距離を長くとることができる。その結果、毛髪Hを適度なテンションで捉えながら毛髪Hを梳かす際に、ブリスル台21の毛髪接触面21aの表面積をより有効に利用して毛髪Hを広範囲に捉えることができるようになる。これにより、毛髪Hの整髪を効率良く行うことができるようになる。
【0059】
また、ブリスル台21の毛髪接触面21aにおける髪梳き方向の幅寸法L1を、ブリスル台21を保持したブラシ外郭部22の同方向の幅寸法L2よりも大きくしたので、ブリスル台21の毛髪接触面21aの表面積をさらに増大することができ、毛髪Hをより広範囲で捉えることができるようになり整髪が行いやすくなる。
【0060】
さらに、ブリスル台21を、展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従ってブラシ外郭部22とは反対方向に反り返る形状とすることで、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部を、ブリスル台21の撓み変形を伴いつつブラシ外郭部22に保持したときに、反り返った両側端部がブラシ外郭部22の同方向の両側からより大きく突出することになる。このため、これにより、ブリスル台21の構造をより簡単にしつつ、ブリスル台21の毛髪接触面21aの表面積を増大させることができるようになる。
【0061】
さらにまた、ブラシ外郭部22の支持湾曲面C2の曲率よりもブリスル台21の毛髪接触面21aの曲率を小さくすることで、ブリスル台21の毛髪接触面21aがブラシ外郭部22の支持湾曲面C2よりも緩やかな湾曲面C1となるため、ブラシ部2を、長ブリスル51や短ブリスル52で捉えた毛髪Hに対して平行に移動させ易くなり、毛髪Hをストレートに整え易くすることができる。
【0062】
また、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部とブラシ外郭部22との間にブリスルサポート(撓み防止部)26を設けたため、毛髪Hを梳く際に、ブリスル台21のブラシ外郭部22側へ撓み変形するのを抑制することができる。その結果、長ブリスル51と短ブリスル52とが沈下してしまうのが抑制され毛髪Hを効率良く整髪することができる。
【0063】
さらに、ブラシ外郭部22を帯電を抑制する材料を含んで形成したため、毛髪Hを梳く際に静電気が発生するのが抑制され、毛髪Hをより整え易くすることができる。
【0064】
(第2実施形態)
本実施形態にかかるヘアブラシ1Aは、図13に示すように、基本的に上記第1実施形態のヘアブラシ1とほぼ同様の構成をしており、ブラシ部2とグリップ部3とで構成されている。そして、ブラシ部2は、ブリスル台21とブラシ外郭部22とを備え、ブリスル台21には、長ブリスル列51Qを形成する長ブリスル51と、短ブリスル列52Qを形成する短ブリスル52と、が突設されている。さらに、短ブリスル列52Qが、ブリスル台21の髪梳き方向に対して長ブリスル列51Qよりも外側に配置されている。
【0065】
ここで、本実施形態にかかるヘアブラシ1Aが上記第1実施形態のヘアブラシ1と主に異なる点は、ブリスル台21の毛髪接触面21aのほぼ中央部に、例えばマイナスイオンなどのイオンを放出するイオン放出口6を設けたことにある。
【0066】
すなわち、図14に示すように、ブラシ部2の内部にはイオンを発生するイオン発生装置61が内蔵されており、グリップ部3の側面に設けた操作スイッチ4Aを操作することにより、イオン発生装置61で発生させたイオンがイオン放出口6から放出されて、図示省略した毛髪に放出できるようになっている。
【0067】
イオン発生装置61としては、たとえば、コロナ放電方式の装置を用いることができる。このコロナ放電方式のイオン発生装置61を用いると、イオン化針側に高電圧を印加することによりコロナ放電を起こして空気中に電子を放出させてイオンを発生させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態にかかるヘアブラシ1Aは、発光部70を備えている。発光部70は、ブラシ部2内に配置されたLED(発光ダイオード)等の光源70aと、ブラシ部2の外に露出している出射端部70bと、を有しており、光源70aの光は出射端部70bからブラシ部2の外に出射される。かかる構成では、ヘアブラシ1Aの使用時には、出射端部70bが使用者の毛髪に対向して配置されることになる。
【0069】
この発光部70は、ヘアブラシ1Aの動作モードの表示手段として利用することができる。例えば、ヒータを使用していて温風が吹き出されている状態では赤色、ヒータを使用せず冷風が吹き出されている状態では緑色、イオン発生装置61が稼動していてイオンが放出されている状態では黄色、など、動作状態に応じて色を変化させるようにすることができる。この場合、各色に対応する光源70aが複数実装され、制御回路がこれら複数の光源70aの発光を制御することになる。なお、制御回路によって光源70aを点滅させたり、その点滅間隔を制御したり、発光強度を変化させたりすることも可能であり、これら発光形態を、種々の動作モードに対応づけて設定することも可能である。
【0070】
また、発光部70を、イオン発生装置61を照らす照射手段として利用することができる。こうすれば、イオン発生装置61の状態を視認しやすくなるとともに、掃除等のメンテナンスを行う場合にも視認性が高まって作業効率が向上するという効果が得られる。
【0071】
なお、本実施形態では、毛髪全体に効率よくイオンを放出できるように、イオン放出口6を毛髪接触面21aの中央部に設けているが、必ずしも毛髪接触面21aの中央部に設ける必要はない。
【0072】
また、本実施形態にあっても、図15に示すように、ブリスル台21の毛髪接触面21aにおける髪梳き方向の幅寸法L1を、ブラシ外郭部22の同方向の幅寸法L2よりも大きく設定している。
【0073】
さらに、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、ブリスル台21の構成を、髪梳き方向の両側端部がブリスル台21の撓み変形を伴いつつブラシ外郭部22に保持される構成とし、展開状態で髪梳き方向の両側端部に行くに従ってブラシ外郭部22とは反対方向に反り返る形状とすることが好ましい。
【0074】
さらにまた、ブラシ外郭部22にブリスル台21の裏側に対向する支持湾曲面を設けた場合には、その支持湾曲面の曲率よりもブリスル台21の毛髪接触面21aの曲率を小さく設定することが好ましい。
【0075】
また、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部とブラシ外郭部22との間に、ブリスル台21のブラシ外郭部22側への撓み変形を抑制する撓み防止部を設けることが好ましい。
【0076】
さらに、ブラシ外郭部22に帯電を抑制する材料を含んで形成することが好ましい。
【0077】
なお、本実施形態にかかるヘアブラシ1Aでは、上記第1実施形態のヘアブラシ1に備えられた送風装置やヒータは設けられておらず、本実施形態にかかるブリスル台21には吹出口が存在していないが、上記第1実施形態のようにこれらを設けるようにしてもよい。
【0078】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0079】
さらに、本実施形態によれば、ブリスル台21の毛髪接触面21aにマイナスイオンなどのイオンを放出するイオン放出口6を設けたため、ヘアブラシ1Aで毛髪を梳く際にイオンを放出し続けることができ、髪のツヤやしっとり感およびクセの伸びなどを良くしたりすることができる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0081】
たとえば、上記実施形態では、髪ケア装置としてヘアブラシを例示したが、これに限ることなく、ブリスルが設けられた髪ケア装置を用いても、本発明を実施することができる。
【0082】
また、ブリスル台やブラシ外郭部、グリップ部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0083】
1、1A ヘアブラシ(髪ケア装置)
2 ブラシ部
21 ブリスル台
21a 毛髪接触面
22 ブラシ外郭部
26 ブリスルサポート(撓み防止部)
5 ブリスル
51 長ブリスル
52 短ブリスル
L1 ブリスル台の幅寸法
L2 ブラシ外郭部の幅寸法
C1 ブリスル台の湾曲面
C2 ブラシ外郭部の支持湾曲面
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアブラシなどの髪ケア装置として、複数のブリスルが突出するブリスル台をブラシ外郭部に装着させて形成したブラシ部を備え、複数のブリスルを、ヘアブラシの長手方向にそれぞれ列をなす長ブリスルと短ブリスルとで構成したものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、複数の短ブリスル同士を密集するように設けて短ブリスルの列で毛髪を主に捉えるようにし、毛髪にテンションをかけながらブリスル台の毛髪接触面を滑らせることで毛髪を梳かすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−350619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の髪ケア装置にあっては、長ブリスルの列を、ヘアブラシの短手方向(ブリスル台の髪梳き方向)に複数配置するとともに、短ブリスルの列を、髪梳き方向の最も外側に配置された長ブリスルの列よりも内側に配置しているため、毛髪を適度なテンションで捉えながら髪を梳かす際に、ブリスル台の表面積が有効に利用されておらず、毛髪を適度なテンションで広範囲に捉えることができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、毛髪を適度なテンションで広範囲に捉えることのできる髪ケア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にあっては、複数のブリスルを突設したブリスル台と、当該ブリスル台を保持するブラシ外郭部と、を有するブラシ部を備える髪ケア装置であって、前記ブリスルは、長ブリスルと、当該長ブリスルよりも短い短ブリスルと、を備え、前記短ブリスルを、前記長ブリスルよりも前記ブリスル台の髪梳き方向外側に配置したことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の髪ケア装置において、前記ブリスル台の毛髪接触面における髪梳き方向の幅寸法を、前記ブラシ外郭部の同方向の幅寸法よりも大きくしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明にあっては、請求項1または請求項2に記載の髪ケア装置において、前記ブリスル台は、当該ブリスル台を撓ませた状態で、髪梳き方向の両側端部が前記ブラシ外郭部に保持されており、前記ブリスル台は、当該ブリスル台の展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従って前記ブラシ外郭部とは反対方向に反り返る形状をしていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明にあっては、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置において、前記ブラシ外郭部は、当該ブラシ外郭部に保持された前記ブリスル台の裏面に対向する支持湾曲面を有しており、前記ブリスル台の毛髪接触面の曲率を前記支持湾曲面の曲率よりも小さくしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明にあっては、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置において、前記ブリスル台の髪梳き方向の両側端部と前記ブラシ外郭部との間に、前記ブリスル台の前記ブラシ外郭部側への撓み変形を抑制する撓み防止部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明にあっては、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置において、前記ブラシ外郭部は、帯電を抑制する材料を含んで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、短ブリスルを、ブリスル台の髪梳き方向に対して長ブリスルよりも外側に配置したため、毛髪を梳く際に、毛髪を適度なテンションで捉える短ブリスル間の距離を長くとることができる。その結果、毛髪を適度なテンションで捉えながら髪を梳かす際に、ブリスル台の毛髪接触面の表面積をより有効に利用して毛髪を広範囲に捉えることができるようになる。
【0014】
請求項2の発明によれば、ブリスル台の毛髪接触面における髪梳き方向の幅寸法を、ブリスル台を保持したブラシ外郭部の同方向の幅寸法よりも大きくしたため、ブリスル台の毛髪接触面の表面積をさらに増大することができる。その結果、毛髪をより広範囲で捉えることができるようになり、整髪が行いやすくなる。
【0015】
請求項3の発明によれば、ブリスル台を、展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従って前記ブラシ外郭部とは反対方向に反り返る形状とすることで、ブリスル台の髪梳き方向の両側端部をブリスル台の撓み変形を伴いつつブラシ外郭部に保持したときに、反り返った両側端部がブラシ外郭部の髪梳き方向の両端からより大きく突出することになるため、ブリスル台の構造をより簡単にしつつ、ブリスル台の毛髪接触面の表面積を増大させることができるようになる。
【0016】
請求項4の発明によれば、ブラシ外郭部の支持湾曲面の曲率よりもブリスル台の毛髪接触面の曲率を小さくすることで、ブリスル台の毛髪接触面がブラシ外郭部の支持湾曲面よりも緩やかな湾曲面となるため、ブラシ部をブリスルで捉えた毛髪に対して平行に移動させ易くなり、毛髪をストレートに整え易くすることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、ブリスル台の髪梳き方向の両側端部とブラシ外郭部との間にブリスル台の撓み防止部を設けたため、毛髪を梳く際に、ブリスル台の両側端部がブラシ外郭部側へ撓み変形するのを抑制することができる。その結果、長ブリスルと短ブリスルとが沈下してしまうのが抑制され毛髪を効率良く整髪することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、ブラシ外郭部を帯電を抑制する材料を含んで形成したため、毛髪を梳く際に静電気が発生するのが抑制され、毛髪をより整え易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置の全体を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す髪ケア装置のブラシ部を拡大した正面図である。
【図3】図3は、図2中III−III線に沿った拡大断面図である。
【図4】図4は、図1に示す髪ケア装置の短ブリスル列を設けた短ブリスルブロックの正面図である。
【図5】図5は、図4中V−V線に沿った拡大断面図である。
【図6】図6は、図1に示す髪ケア装置のブリスル台の展開状態を示す説明する図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図7】図7は、図1に示す髪ケア装置の撓み防止部の取付状態を裏側から見た背面図である。
【図8】図8は、図1に示す髪ケア装置のブリスル台の幅方向片側を示す拡大平面図である。
【図9】図9は、図1に示す髪ケア装置の短ブリスルの1つを拡大して示す平面図である。
【図10】図10は、図1に示す髪ケア装置の短ブリスルを示す図であって、(a)は、ブラシ部を毛髪に押し付けた初期の状態を示す拡大平面図、(b)は、毛髪を梳いている状態を示す拡大平面図である。
【図11】図11は、図1に示す髪ケア装置のブラシ部で毛髪を梳く状態を示す図であって、(a)は、毛髪束にブラシ部を押し当てた初期状態を示す平面図、(b)は、毛髪束をブラシ部で梳いている状態を示す平面図である。
【図12】図12は、図11(a)中XII方向から見た短ブリスルブロックの拡大図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態にかかる髪ケア装置の全体を示す正面図である。
【図14】図14は、図13に示す髪ケア装置のブラシ部の要部を拡大した正面図である。
【図15】図15は、図13に示す髪ケア装置の拡大平面図である。
【図16】図16は、図13中XVI−XVI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。また、以下では、髪ケア装置としてヘアブラシを例示する。
【0021】
(第1実施形態)
本実施形態にかかるヘアブラシ1は、図1に示すように、長手方向(図1中上下方向)の一端側にブラシ部2を配置し、他端側にグリップ部3を配置して概ね構成されている。このブラシ部2は、グリップ部3の一端部に設けられたブラシ装着部31に着脱自在に装着されている。
【0022】
また、グリップ部3の内部には図示省略した送風装置およびヒータが収納されるとともに、長手方向に貫通する図示省略した空気通路が形成されており、グリップ部3の他端部には、空気通路に連通するメッシュ状の空気吸込口32が設けられている。なお、符号Cは電源コードである。
【0023】
そして、グリップ部3の側面に設けられた操作スイッチ4を操作することにより、上記送風装置が作動して空気吸込口32から空気を吸引し、吸引された空気は上記空気通路を経由してブラシ部2に送給されるようになっている。このとき、ヒータを作動させれば、空気通路を通過する空気が加熱されてブラシ部2に温風が送給されるようになる。
【0024】
ブラシ部2は、図2および図3に示すように、複数のブリスル5を突設したブリスル台21と、このブリスル台21を保持するブラシ外郭部22と、を備えている。また、ブリスル5は、所定長さの長ブリスル51と、この長ブリスル51よりも短く毛髪を効率良く捉える短ブリスル52と、で構成されている。なお、長ブリスル51および短ブリスル52は、ともにポリエステルエラストマーなどの合成樹脂で形成されている。
【0025】
ブリスル台21は、ブリスル5が突出する外側面が毛髪接触面21aとなっており、毛髪接触面21aは、ブリスル台21をブラシ外郭部22に保持した状態で、髪梳き方向(図2中左右方向:ヘアブラシの幅方向)が外方に突出する湾曲面を成している。
【0026】
ブラシ外郭部22は、図3に示すように、外方に膨出する円弧状断面を成す外郭本体部23と、外郭本体部23の内面側に取り付けられたブリスル台保持枠24と、によって構成されている。そして、外郭本体部23の内側の幅方向両端部に設けられた係合部23aに、ブリスル台21の幅方向両端部に形成したフック部21Hが着脱自在に係合されることにより、ブリスル台21がブラシ外郭部22に保持される。このとき、ブリスル台21は可撓性を有する合成樹脂などの材料で形成されており、ブリスル台21をブラシ外郭部22に保持する際には、ブリスル台21のフック部21Hが、ブリスル台21を撓み変形させた状態で弾発力をもって係合部23aに係合される。
【0027】
また、ブラシ外郭部22にブリスル台21が保持された状態では、それら両者間に中空部Sが形成されており、その中空部Sは、グリップ部3の空気通路に連通して送風装置から送給された空気が導入される空気導入空間25となっている。そして、空気導入空間25に導入された空気は、ブリスル台21の毛髪接触面21aに形成された複数の吹出口21bから送風となって吹き出される。このとき、ヒータを作動させた場合には温風となって吹き出される。
【0028】
ここで、本実施形態では、図3および図8に示すように、短ブリスル52を、ブリスル台21の髪梳き方向(幅方向)に対して長ブリスル51よりも外側に配置している。
【0029】
具体的には、長ブリスル51および短ブリスル52は、図2に示すように、ブラシ部2の長手方向に列を成して配置されており、長ブリスル列51Qを、髪梳き方向に複数(本実施形態では7列)配列するとともに、短ブリスル列52Qを、髪梳き方向の最も外側に配置した長ブリスル列51Qのさらに外側に配置している。つまり、短ブリスル列52Qが、ブリスル台21の毛髪接触面21aの幅方向両側部の最外側に一対配置された状態となっている。
【0030】
このとき、それぞれの長ブリスル列51Qは、図3および図7に示すように、長ブリスル51のそれぞれの基端が長手方向に連続する連結帯51Bによって連結されており、図3に示すように、それぞれの長ブリスル51がブリスル台21に形成された取付孔21cに裏側から挿入されてブリスル台21の毛髪接触面21aから突出される。そして、連結帯51Bがブリスル台21に係止されることにより、長ブリスル51の抜止めが行われる。
【0031】
一方、短ブリスル列52Qは、図3および図4に示すように、短ブリスルブロック52Bから3列の短ブリスル52が一体成形により突設されており、その短ブリスルブロック52Bがブリスル台21に形成された取付口21dに裏側から挿入されることにより、それぞれの短ブリスル52がブリスル台21の毛髪接触面21aから突出される。そして、短ブリスルブロック52Bの短ブリスル52を突設した側とは反対側端部に設けた抜止め板52Pを、ブリスル台21の裏面に係止することにより、端ブリスル52の抜止めが行われる。
【0032】
抜止め板52Pは、その幅方向中央側が、短ブリスル列52Qに隣接した長ブリスル列51Qの長ブリスル51に挿通されて連結帯51Bとブリスル台21との間に挟持される。また、抜止め板52Pの幅方向外側は、ブリスル台21の裏面から突設されるリブ52Kに挿通し、後述するブリスルサポート26で押さえ込むことで固定される。
【0033】
図3に示すように、長ブリスル列51Qは、長ブリスル51が長手方向に所定間隔をもって1本づつ配列されている。一方、短ブリスル列52Qは、図4に示すように、髪梳き方向に密集して3列並んだ短ブリスル52が長手方向に千鳥状に配列されている。このように短ブリスル52を千鳥状に配列することにより、図5に示すように、短ブリスル列52Qの列方向と直交する方向から見た側面視において、1つの列を成す短ブリスル52が、その列に隣接する他の列を成す短ブリスル52の間に位置するように配置される。
【0034】
また、短ブリスル52は、図4に示すように、1つの短ブリスルブロック52Bで長手方向に3つの群G1、G2、G3に分かれており、それぞれの群G1、G2、G3で短ブリスル52の列方向(長手方向)の間隔がほぼ等しくなるように設定されている。たとえば、本実施形態では、それぞれの短ブリスル52の列方向の間隔をP1とし、短ブリスル列52Qの列方向と直交する方向から見た側面視で短ブリスル52の見掛け上の間隔をP2とすると、P2=P1/2となるようにしている。このように、短ブリスル52の見掛け上の間隔P2を小さくすることにより、毛髪と直交する方向の短ブリスル52の密集度を大きくし、毛髪を梳かす際に、短ブリスル52で捉えた毛髪に効率良くテンションをかけることができるようにしている。なお、本実施形態では、幅方向両側の短ブリスル52の長手方向の間隔P2は、3群G1、G2、G3を通してほぼ等しくなるように設定されている。
【0035】
短ブリスルブロック52Bは、図2に示すように、3個を長手方向に沿って直列に配置することにより、1つの短ブリスル列52Qが形成される。このため、図6に示すように、ブリスル台21の髪梳き方向の両側部には、長手方向に3箇所の取付口21dが形成され、それぞれの取付口21dに短ブリスルブロック52Bが嵌め込まれる。
【0036】
短ブリスル52は、図5および図9に示すように、先端に向かって縮径される細長いテーパ状に形成されており、その先端には凸曲面52cが形成されている。また、短ブリスル52の長さ方向中間部には段差部52Sが設けられており、その段差部52Sよりも根元側を短ブリスル下部52a、先端側を短ブリスル上部52bとしている。すなわち、図9に示すように、段差部52Sにおける短ブリスル上部52bの径をα、短ブリスル下部52aの径をβとすると、α<βとなるようにしている。
【0037】
そして、短ブリスル下部52aと短ブリスル上部52bとの間に径差を設け、短ブリスル下部52aを短ブリスル上部52bよりも大径とすることにより、短ブリスル52の耐久性の向上を図っている。さらに、短ブリスル上部52bを小径とすることにより、図10(a)に示すように、短ブリスル上部52b間の隙間δが大きくなるため多くの毛髪Hを取り込み易くすることができる。さらに、取り込んだ毛髪が、図10(b)に示すように、短ブリスル下部52a間の狭い隙間δに誘導されることにより、毛髪Hに効果的にテンションをかけることができるようになる。
【0038】
また、本実施形態では、図3に示すように、ブリスル台21の毛髪接触面21aにおける髪梳き方向の幅寸法L1を、ブラシ外郭部22の同方向の幅寸法L2よりも大きく設定している。
【0039】
ところで、ブリスル台21は、図6に示すように、展開した状態で成形されており、その幅方向両端部を裏側に撓ませつつ、図3に示すように、フック部21Hをブラシ外郭部22の係合部23aに係合させることで、ブラシ外郭部22に保持されている。このとき、ブリスル台21は、長ブリスル51および短ブリスル52が突設される外周面が毛髪接触面21aとなり、この毛髪接触面21aの幅寸法L1を、ある程度の大きさに形成されるブラシ外郭部22の幅寸法L2よりも大きくしている。このように、本実施形態では、毛髪接触面21aの幅寸法L1を大きくすることで、毛髪接触面21aの毛髪接触面積を積極的に増大させている。この場合、毛髪接触面21aの幅寸法L1は、ブラシ外郭部22の幅寸法L2に対して30パーセント以上大きいことが好ましい。
【0040】
さらに、本実施形態では、ブリスル台21を、図6に示すように、展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従ってブラシ外郭部22とは反対方向、つまり、毛髪接触面21a側に反り返る形状としている。
【0041】
このブリスル台21は弾発力を持った合成樹脂などの可撓性材料で形成されており、図6(b)に示すように、そのブリスル台21の展開状態では、毛髪接触面21aの髪梳き方向の中央部が、図6(b)中下方となる裏側に緩やかに湾曲して凹設されることにより、その両側端部が反り返った形状をしている。そして、反り返った両側端の外側部は、円弧面21Rを介してフック部21Hへと連なっている。この場合、ブリスル台21の両側端部の反り返りは、その最大高さ部分がブリスル台21の髪梳き方向の中央部に対して40パーセント以上の高低差を有していることが好ましい。
【0042】
このブリスル台21をブラシ外郭部22に装着する際には、図3に示すように、反り返った両側端部をブラシ外郭部22方向に撓ませて、フック部21Hを係合部23aに係合させる。これにより、ブリスル台21の毛髪接触面21aは、展開状態とは反対方向に撓み変形して、ブラシ外郭部22とは反対方向に突出した湾曲面C1となる。
【0043】
一方、ブラシ外郭部22の外郭本体部23に取り付けられたブリスル台保持枠24は、ブラシ外郭部22に保持されたブリスル台21の裏面に対向した面が支持湾曲面C2となっている。このとき、ブリスル台21とブラシ外郭部22の支持湾曲面C2との間には、ブリスル台21の髪梳き方向中央部分の適度な撓み変形を許容する隙間が設けられる。この場合、ブラシ外郭部22は、ポリエステルエラストマーなどの合成樹脂で形成され、若干の弾性を有している。
【0044】
そして、本実施形態では、支持湾曲面C2の曲率よりもブリスル台21の毛髪接触面21aの曲率を小さく設定している。つまり、支持湾曲面C2は、一般的に幅方向にある程度の曲面をもって形成されるが、その支持湾曲面C2よりも毛髪接触面21aが緩やかな曲面となるように形成されている。このように、毛髪接触面21aの曲率を小さくすることにより、図3に示すように、短ブリスル52の先端部を、湾曲したブリスル台21の頂点部21Tに接する中央部接線Tよりも上方に突出させ易くなる。
【0045】
また、このようにブリスル台21とブラシ外郭部22の支持湾曲面C2との間に隙間を設けることで、ブリスル台21の適度な撓み変形が許容されるが、特に、本実施形態では、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部とブラシ外郭部22(詳細には支持湾曲面C2)との間に、ブリスル台21のブラシ外郭部22側への撓み変形を抑制する撓み防止部としてのブリスルサポート26を設けている。
【0046】
ブリスルサポート26は、図7に示すように、ヘアブラシ1の長手方向に細長い形状に形成されており、それぞれがブリスル台21の裏側の幅方向両側端部に配置される。そして、このブリスルサポート26には、長手方向の先端の幅方向両側部にL字状リブ26aと、末端の幅方向両側部にT字状リブ26bと、が突設されるとともに、長手方向中段の幅方向外側部に所定間隔をもって2箇所のスリット26cが形成されている。
【0047】
また、ブリスルサポート26の本体部分には、長手方向に複数箇所(本実施形態では6箇所)の固定用貫通穴26dが所定間隔をもって形成されるとともに、その固定用貫通穴26dの幅方向内側には、長手方向に4箇所の長・短貫通穴26eが形成されている。
【0048】
そして、図7に示すように、ブリスル台21の裏面には、上述したL字状リブ26aおよびT字状リブ26bにそれぞれ対応した位置に、L字状溝21eおよびT字状溝21fが形成されており、それらを互いに嵌合させることによりブリスルサポート26がブリスル台21に固定される。また、固定用貫通孔26dにブリスル台21の裏面に突設した上述のリブ52Kを挿入することで、短ブリスルブロック52Bの抜止め板52Pが、ブリスルサポート26とブリスル台21との間に挟み込み固定されるようになっている。
【0049】
また、図7に示すように、ブリスル台21の裏面には、上述したスリット26cに嵌合するリブ52Nが突設されており、これらスリット26cとリブ52Nによってもブリスルサポート26とブリスル台21とが固定される。
【0050】
また、本実施形態では、ブラシ外郭部22は、帯電を抑制する材料を含んで形成している。具体的には、本実施形態にかかるブラシ外郭部22は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)に低分子タイプの界面活性剤を配合した材料を用いて形成している。なお、帯電を抑制する材料として、高分子タイプの界面活性剤や低分子タイプの界面活性剤を用いることが可能であるが、本実施形態では、配合することによって強度が低下してしまうのを抑制することのできる低分子タイプの界面活性剤を用いるようにした。
【0051】
ここで、本実施形態にかかるヘアブラシ1を用いて毛髪Hのカール付けやセットなどの整髪を行うにあたっては、図11に示すように、長ブリスル列51Qおよび短ブリスル列52Qの列方向が毛髪Hの方向と直交するようにブラシ部2を配置し、毛髪Hの束を長ブリスル51および短ブリスル52の間に差し入れて梳くことにより行われる。
【0052】
毛髪Hの束は、まず、長ブリスル列51Qの長ブリスル51間に捉えられ、さらに側方に位置する短ブリスル52間に差し入れられる。このとき、短ブリスル51は、短ブリスル上部52bの径が短ブリスル下部52aよりも小径に形成されているので、隣接する短ブリスル51どうしの隙間δは先端側がより大きくなり、図10(a)に示すように、毛髪Hを短ブリスル列52Qに容易に差し入れることができる。そして、短ブリスル52どうしの間に差し入れられた毛髪Hは、図10(b)に示すように、短ブリスル52に沿って隙間δが狭くなる短ブリスル下部52a方向に誘導される。このとき、短ブリスル52がテーパ状に形成されていることにより、毛髪Hがスムーズに下部へと誘導される。
【0053】
また、短ブリスル52は密接して短ブリスルブロック52Bから突設されており、短ブリスル52間の隙間δは下部側で狭くなっているため、毛髪Hは短ブリスル下部52a側で短ブリスル52間に強く挟み込まれ、毛髪Hに適度なテンションをかけることができる。
【0054】
さらに、毛髪Hは、図11(a)に示すように、ブリスル台21の毛髪接触面21aの湾曲形状に沿って誘導され、髪梳き方向端部の円弧面21Rに確実に接するため、所望の形状に容易に整えることができる。
【0055】
また、毛髪Hは、長ブリスル51で捉えられて短ブリスル52によって毛先部分まで保持されるが、図11(b)に示すように、この状態でブラシ部2をブリスル台21の毛髪接触面21aの湾曲方向に回転させることで、毛先部分にさらにテンションをかけることができる。
【0056】
すなわち、図11(a)に示すように、ブリスル台21に設けた一方側、つまり、毛髪Hの根元側の短ブリスル列52Qを通過した毛髪Hは、ブリスル台21の湾曲した毛髪接触面21aの中央部接線21Tに沿って延ばされるが、図11(b)に示すように、その中央部接線21Tよりも突出させた他方の短ブリスル列52Qの先端部によって再び毛髪Hを捉えることができる。このように、毛髪Hは、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部に位置する両方の短ブリスル列52Qを通過することでより強固に、かつ、安定して保持され、毛髪Hをより所望の形状に整えることができる。
【0057】
この状態で、操作スイッチ4を操作して送風装置およびヒータを作動させると、熱せられた空気が温風として吹出口21bから所望の形状に保持された毛髪Hに噴出される。すると、温風によるブローにより、まず、長ブリスル51間に捉えられた毛髪Hの束が、図12に示すように、さらに短ブリスル52間の隙間δに導かれて細かい束に分散されるので、濡れた毛髪Hの乾燥効率が高められる。
【0058】
以上の本実施形態によれば、毛髪Hを効率良く捉える短ブリスル52を、ブリスル台21の髪梳き方向に対して長ブリスル51よりも外側に配置したため、毛髪Hを梳く際に、毛髪Hを適度なテンションで捉える短ブリスル52間の距離を長くとることができる。その結果、毛髪Hを適度なテンションで捉えながら毛髪Hを梳かす際に、ブリスル台21の毛髪接触面21aの表面積をより有効に利用して毛髪Hを広範囲に捉えることができるようになる。これにより、毛髪Hの整髪を効率良く行うことができるようになる。
【0059】
また、ブリスル台21の毛髪接触面21aにおける髪梳き方向の幅寸法L1を、ブリスル台21を保持したブラシ外郭部22の同方向の幅寸法L2よりも大きくしたので、ブリスル台21の毛髪接触面21aの表面積をさらに増大することができ、毛髪Hをより広範囲で捉えることができるようになり整髪が行いやすくなる。
【0060】
さらに、ブリスル台21を、展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従ってブラシ外郭部22とは反対方向に反り返る形状とすることで、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部を、ブリスル台21の撓み変形を伴いつつブラシ外郭部22に保持したときに、反り返った両側端部がブラシ外郭部22の同方向の両側からより大きく突出することになる。このため、これにより、ブリスル台21の構造をより簡単にしつつ、ブリスル台21の毛髪接触面21aの表面積を増大させることができるようになる。
【0061】
さらにまた、ブラシ外郭部22の支持湾曲面C2の曲率よりもブリスル台21の毛髪接触面21aの曲率を小さくすることで、ブリスル台21の毛髪接触面21aがブラシ外郭部22の支持湾曲面C2よりも緩やかな湾曲面C1となるため、ブラシ部2を、長ブリスル51や短ブリスル52で捉えた毛髪Hに対して平行に移動させ易くなり、毛髪Hをストレートに整え易くすることができる。
【0062】
また、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部とブラシ外郭部22との間にブリスルサポート(撓み防止部)26を設けたため、毛髪Hを梳く際に、ブリスル台21のブラシ外郭部22側へ撓み変形するのを抑制することができる。その結果、長ブリスル51と短ブリスル52とが沈下してしまうのが抑制され毛髪Hを効率良く整髪することができる。
【0063】
さらに、ブラシ外郭部22を帯電を抑制する材料を含んで形成したため、毛髪Hを梳く際に静電気が発生するのが抑制され、毛髪Hをより整え易くすることができる。
【0064】
(第2実施形態)
本実施形態にかかるヘアブラシ1Aは、図13に示すように、基本的に上記第1実施形態のヘアブラシ1とほぼ同様の構成をしており、ブラシ部2とグリップ部3とで構成されている。そして、ブラシ部2は、ブリスル台21とブラシ外郭部22とを備え、ブリスル台21には、長ブリスル列51Qを形成する長ブリスル51と、短ブリスル列52Qを形成する短ブリスル52と、が突設されている。さらに、短ブリスル列52Qが、ブリスル台21の髪梳き方向に対して長ブリスル列51Qよりも外側に配置されている。
【0065】
ここで、本実施形態にかかるヘアブラシ1Aが上記第1実施形態のヘアブラシ1と主に異なる点は、ブリスル台21の毛髪接触面21aのほぼ中央部に、例えばマイナスイオンなどのイオンを放出するイオン放出口6を設けたことにある。
【0066】
すなわち、図14に示すように、ブラシ部2の内部にはイオンを発生するイオン発生装置61が内蔵されており、グリップ部3の側面に設けた操作スイッチ4Aを操作することにより、イオン発生装置61で発生させたイオンがイオン放出口6から放出されて、図示省略した毛髪に放出できるようになっている。
【0067】
イオン発生装置61としては、たとえば、コロナ放電方式の装置を用いることができる。このコロナ放電方式のイオン発生装置61を用いると、イオン化針側に高電圧を印加することによりコロナ放電を起こして空気中に電子を放出させてイオンを発生させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態にかかるヘアブラシ1Aは、発光部70を備えている。発光部70は、ブラシ部2内に配置されたLED(発光ダイオード)等の光源70aと、ブラシ部2の外に露出している出射端部70bと、を有しており、光源70aの光は出射端部70bからブラシ部2の外に出射される。かかる構成では、ヘアブラシ1Aの使用時には、出射端部70bが使用者の毛髪に対向して配置されることになる。
【0069】
この発光部70は、ヘアブラシ1Aの動作モードの表示手段として利用することができる。例えば、ヒータを使用していて温風が吹き出されている状態では赤色、ヒータを使用せず冷風が吹き出されている状態では緑色、イオン発生装置61が稼動していてイオンが放出されている状態では黄色、など、動作状態に応じて色を変化させるようにすることができる。この場合、各色に対応する光源70aが複数実装され、制御回路がこれら複数の光源70aの発光を制御することになる。なお、制御回路によって光源70aを点滅させたり、その点滅間隔を制御したり、発光強度を変化させたりすることも可能であり、これら発光形態を、種々の動作モードに対応づけて設定することも可能である。
【0070】
また、発光部70を、イオン発生装置61を照らす照射手段として利用することができる。こうすれば、イオン発生装置61の状態を視認しやすくなるとともに、掃除等のメンテナンスを行う場合にも視認性が高まって作業効率が向上するという効果が得られる。
【0071】
なお、本実施形態では、毛髪全体に効率よくイオンを放出できるように、イオン放出口6を毛髪接触面21aの中央部に設けているが、必ずしも毛髪接触面21aの中央部に設ける必要はない。
【0072】
また、本実施形態にあっても、図15に示すように、ブリスル台21の毛髪接触面21aにおける髪梳き方向の幅寸法L1を、ブラシ外郭部22の同方向の幅寸法L2よりも大きく設定している。
【0073】
さらに、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、ブリスル台21の構成を、髪梳き方向の両側端部がブリスル台21の撓み変形を伴いつつブラシ外郭部22に保持される構成とし、展開状態で髪梳き方向の両側端部に行くに従ってブラシ外郭部22とは反対方向に反り返る形状とすることが好ましい。
【0074】
さらにまた、ブラシ外郭部22にブリスル台21の裏側に対向する支持湾曲面を設けた場合には、その支持湾曲面の曲率よりもブリスル台21の毛髪接触面21aの曲率を小さく設定することが好ましい。
【0075】
また、ブリスル台21の髪梳き方向の両側端部とブラシ外郭部22との間に、ブリスル台21のブラシ外郭部22側への撓み変形を抑制する撓み防止部を設けることが好ましい。
【0076】
さらに、ブラシ外郭部22に帯電を抑制する材料を含んで形成することが好ましい。
【0077】
なお、本実施形態にかかるヘアブラシ1Aでは、上記第1実施形態のヘアブラシ1に備えられた送風装置やヒータは設けられておらず、本実施形態にかかるブリスル台21には吹出口が存在していないが、上記第1実施形態のようにこれらを設けるようにしてもよい。
【0078】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0079】
さらに、本実施形態によれば、ブリスル台21の毛髪接触面21aにマイナスイオンなどのイオンを放出するイオン放出口6を設けたため、ヘアブラシ1Aで毛髪を梳く際にイオンを放出し続けることができ、髪のツヤやしっとり感およびクセの伸びなどを良くしたりすることができる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0081】
たとえば、上記実施形態では、髪ケア装置としてヘアブラシを例示したが、これに限ることなく、ブリスルが設けられた髪ケア装置を用いても、本発明を実施することができる。
【0082】
また、ブリスル台やブラシ外郭部、グリップ部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0083】
1、1A ヘアブラシ(髪ケア装置)
2 ブラシ部
21 ブリスル台
21a 毛髪接触面
22 ブラシ外郭部
26 ブリスルサポート(撓み防止部)
5 ブリスル
51 長ブリスル
52 短ブリスル
L1 ブリスル台の幅寸法
L2 ブラシ外郭部の幅寸法
C1 ブリスル台の湾曲面
C2 ブラシ外郭部の支持湾曲面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブリスルを突設したブリスル台と、当該ブリスル台を保持するブラシ外郭部と、を有するブラシ部を備える髪ケア装置であって、
前記ブリスルは、長ブリスルと、当該長ブリスルよりも短い短ブリスルと、を備え、
前記短ブリスルを、前記長ブリスルよりも前記ブリスル台の髪梳き方向外側に配置したことを特徴とする髪ケア装置。
【請求項2】
前記ブリスル台の毛髪接触面における髪梳き方向の幅寸法を、前記ブラシ外郭部の同方向の幅寸法よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の髪ケア装置。
【請求項3】
前記ブリスル台は、当該ブリスル台を撓ませた状態で、髪梳き方向の両側端部が前記ブラシ外郭部に保持されており、
前記ブリスル台は、当該ブリスル台の展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従って前記ブラシ外郭部とは反対方向に反り返る形状をしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の髪ケア装置。
【請求項4】
前記ブラシ外郭部は、当該ブラシ外郭部に保持された前記ブリスル台の裏面に対向する支持湾曲面を有しており、前記ブリスル台の毛髪接触面の曲率を前記支持湾曲面の曲率よりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置。
【請求項5】
前記ブリスル台の髪梳き方向の両側端部と前記ブラシ外郭部との間に、前記ブリスル台の前記ブラシ外郭部側への撓み変形を抑制する撓み防止部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置。
【請求項6】
前記ブラシ外郭部は、帯電を抑制する材料を含んで形成されることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置。
【請求項1】
複数のブリスルを突設したブリスル台と、当該ブリスル台を保持するブラシ外郭部と、を有するブラシ部を備える髪ケア装置であって、
前記ブリスルは、長ブリスルと、当該長ブリスルよりも短い短ブリスルと、を備え、
前記短ブリスルを、前記長ブリスルよりも前記ブリスル台の髪梳き方向外側に配置したことを特徴とする髪ケア装置。
【請求項2】
前記ブリスル台の毛髪接触面における髪梳き方向の幅寸法を、前記ブラシ外郭部の同方向の幅寸法よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の髪ケア装置。
【請求項3】
前記ブリスル台は、当該ブリスル台を撓ませた状態で、髪梳き方向の両側端部が前記ブラシ外郭部に保持されており、
前記ブリスル台は、当該ブリスル台の展開状態で、髪梳き方向の両側端部に行くに従って前記ブラシ外郭部とは反対方向に反り返る形状をしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の髪ケア装置。
【請求項4】
前記ブラシ外郭部は、当該ブラシ外郭部に保持された前記ブリスル台の裏面に対向する支持湾曲面を有しており、前記ブリスル台の毛髪接触面の曲率を前記支持湾曲面の曲率よりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置。
【請求項5】
前記ブリスル台の髪梳き方向の両側端部と前記ブラシ外郭部との間に、前記ブリスル台の前記ブラシ外郭部側への撓み変形を抑制する撓み防止部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置。
【請求項6】
前記ブラシ外郭部は、帯電を抑制する材料を含んで形成されることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−5127(P2011−5127A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153356(P2009−153356)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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