魚節の製造方法
【課題】魚節の製造に要する時間を短縮しつつ、得られた魚節の内部にスキや割れの生じ
ない魚節の製造方法を提供すること。
【解決手段】
[1]0℃以下の温度の魚類を水温40℃〜75℃および時間45分〜100分の範囲で
加温する第一段階の加温工程と、水温75℃〜120℃および時間30分〜4時間の範囲
で加温する第二段階の加温工程と、を有することを特徴とする魚節の製造方法。
[2]魚節に含まれるイノシン酸含量が、魚節100g当たり800mg以上であること
を特徴とする上記[1]に記載の製造方法により得られた魚節。
ない魚節の製造方法を提供すること。
【解決手段】
[1]0℃以下の温度の魚類を水温40℃〜75℃および時間45分〜100分の範囲で
加温する第一段階の加温工程と、水温75℃〜120℃および時間30分〜4時間の範囲
で加温する第二段階の加温工程と、を有することを特徴とする魚節の製造方法。
[2]魚節に含まれるイノシン酸含量が、魚節100g当たり800mg以上であること
を特徴とする上記[1]に記載の製造方法により得られた魚節。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚節の製造方法に関し、さらに詳細には生産効率に優れた魚節の製造方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
魚節の原料としては鰹等が使用される。これらの原料は海から水揚げされた後に冷凍処
理がなされ凍結状態のまま輸送され、市場に出荷される。
市場に出荷された前記原料を用いて魚節を製造するためには、凍結状態にある前記原料
を解凍する必要がある。
通常この解凍処理は、水の入った解凍槽に前記原料を入れて一昼夜流水に晒したり、一
昼夜バブリングしたりすることにより前記解凍槽内部の水を循環させながら実施される。
この様に前記解凍処理を実施するためには長時間を要することから、前記原料の鮮度が
低下する問題があった。
この問題に対応するため、温度10℃以下から前記原料の氷結点までの温度領域におい
て前記解凍処理を実施する方法が提案されている(特許文献1)。
しかしながらこの方法では、前記原料の鮮度低下を防止できる反面、魚節製造に要する
時間を短縮することが難しいとの問題があった。
一方、魚節製造に要する時間を短縮するために凍結状態のままの前記原料を煮熟工程に
よりいきなり加熱した場合には、得られた魚節の内部にスキや割れが生じる問題があった
(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−41015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、魚節の製造に要する時間を短縮しつつ、得られた魚節の内部にスキや
割れの生じない魚節の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは鋭意検討した結果、凍結状態にある魚節の原料を水温40℃〜75℃、時
間45分〜100分の範囲で加温装置により加温し、ついで水温75℃〜120℃、時間
30分〜4時間の範囲で加温する工程を有する魚節の製造方法が本発明の目的に適うこと
を見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、
[1]0℃以下の温度の魚類を水温40℃〜75℃および時間45分〜100分の範囲で
加温する第一段階の加温工程と、
水温75℃〜120℃および時間30分〜4時間の範囲で加温する第二段階の加温工程
と、
を有することを特徴とする魚節の製造方法を提供するものであり、
[2]前記第一段階の加温工程は、水温50℃〜70℃および時間60分〜90分の範囲
で実施されることを特徴とする上記[1]に記載の魚節の製造方法を提供するものであり
、
[3]前記魚類として、温度マイナス40℃〜マイナス10℃の範囲のものを使用するこ
とを特徴とする上記[1]または[2]に記載の魚節の製造方法を提供するものであり、
[4]前記魚類は、その加工前の重量が0.5kg〜8kgの範囲であることを特徴とす
る上記[1]〜[3]のいずれかに記載の魚節の製造方法を提供するものであり、
[5]前記魚類は、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類および鮭類からなる群より選ばれる少
なくとも一つであることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の魚節の製造
方法を提供するものであり、
[6]魚節に含まれるイノシン酸含量が、魚節100g当たり800mg以上であること
を特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法により得られた魚節を提供
するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、魚節の製造に要する時間を短縮しつつ、得られた魚節の内部にスキや
割れの生じない魚節の製造方法を提供することができる。
さらには本発明の製造方法により得られた魚節は、従来の製造方法により得られた魚節
と比較して旨み成分であるイノシン酸を多く含有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
まず本発明に使用する原料について説明する。
本発明に使用する魚節の原料としては、例えば、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類、鮭類
等の魚類等を挙げることができる。前記原料は一種もしくは二種以上を使用することがで
きる。
前記原料は鮮度が低下することを防止するため、凍結状態のものを使用することが好ま
しい。
通常は0℃以下の温度で保存されている前記原料を使用することができる。
前記温度は、マイナス40℃〜マイナス10℃の範囲であれば好ましい。
また前記原料の重量については通常魚節に使用されるものであれば特に限定はないが、
通常は0.3〜8kg、好ましくは0.5〜6kg、さらに好ましくは1〜3kgの範囲
である。
【0008】
次に前記原料を裁断する工程について説明する。
凍結状態の前記原料の頭部分等を裁断することにより除去する。なお、この裁断工程は
、次に説明する加温工程の後に実施しても良い。
【0009】
次に本発明の製造方法で実施される第一段階の加温工程について説明する。
前記原料は加温装置により加温される。前記加温装置としては、例えば、加温手段を備
えたタンク等の解凍槽等を挙げることができる。
【0010】
前記タンクに水を入れ、予め内部の水温を40〜75℃の範囲に設定しておく。
この加温装置に、例えば、前記凍結状態の原料を投入することにより前記第一段階の加
温工程を実施することができる。
【0011】
前記加温装置内部には、例えば、別途前記加温装置内部の水温を検出する手段が設けら
れていて、前記加温装置内部の水温が40℃未満となる前に前記水温検出手段と連動した
昇温手段が稼働して前記加温装置内部の水温が40℃未満となることを防止することがで
きる。
また前記加温装置内部の水温が75℃を超える前に、前記水温検出手段と連動した降温
手段が稼働して前記加温装置内部の水温が75℃を超えることを防止することができる。
前記水温検出手段としては、例えば、熱電対装置等を挙げることができる。
また前記熱電対装置により、前記加温装置内部の水温に対応する電気信号をコンピュー
タにより制御する手段等により、前記加温装置内部の水温が低下した場合には、前記加温
装置内部に蒸気等を導入する等の方法により前記加温装置内部の水温を上昇させることが
でき、また前記加温装置内部の水温が上昇した場合には、前記加温装置内部に冷水等を導
入する等の方法により前記加温装置内部の水温を下降させることができる。
【0012】
この様にして前記加温装置内部の水温を40℃〜75℃の範囲に保つことにより、前記
第一段階の加温工程を実施することができる。
前記水温が40℃未満の場合には、得られた魚節のイノシン酸含量が低下する。また、
前記水温が75℃を超える場合には、得られた魚節の内部にスキや割れが生じる。
前記第一段階の加温工程の水温は、50℃〜70℃の範囲であればさらに好ましい。
【0013】
前記第一段階の加温工程を実施する時間は、45分〜100分の範囲である。
前記時間が45分未満の場合や100分を超える場合には、得られた魚節のイノシン酸
含量が低下する。
前記時間は、60分〜90分の範囲であればさらに好ましい。
【0014】
また前記原料を加温する際には前記加温装置内は静置しておいてもよいし撹拌してもよ
い。
前記撹拌する方法としては、例えば、加温しながら流水を導入する方法、空気や水蒸気
等をバブリングさせる方法、撹拌翼により機械的に撹拌する方法等を挙げることができる
。
前記撹拌する方法は一種もしくは二種以上を採用することができる。
【0015】
また本発明に使用する水は、水道水、前記水道水から塩素を除去した工業用水、イオン
交換水、海水等の一種もしくは二種以上を挙げることができる。
前記水は、例えば、別途塩化ナトリウム等の無機イオン分を添加したものを使用するこ
とができる。
【0016】
この様にして、前記原料を第一段階の加温工程により加温することができる。
【0017】
次に本発明の製造方法で実施される第二段階の加温工程について説明する。
この第二段階の加温工程により前記第一段階で加温された前記原料を加温するものであ
る。
【0018】
前記第二段階の加温工程に使用する加温装置は、前記第一段階で使用した加温装置を引
き続き使用することもできるし、別途別の加温装置を準備しておき、この加温装置を用い
て前記第二段階の加温工程を実施することもできる。
前記第二段階に使用する加温装置については、先に説明した第一段階の加温工程により
使用する加温装置と同様の昇温、降温手段、水温検出手段等を備えたものを使用すること
ができる。
【0019】
続いて前記第一段階の加温工程により加温された原料をこの第二段階の加温工程により
加温する。
前記第二段階の加温工程は、前記加温装置内部の水温を75℃〜120℃の範囲に保つ
ことにより実施することができる。
前記加温装置内部を1気圧以上に加圧する手段を設けることにより、前記加温装置内部
の水温を100℃以上に設定することができる。
【0020】
前記水温が75℃未満の場合には煮熟の効果が十分ではなく、得られた魚節のイノシン
酸含量が低下する。
また前記水温が120℃を超える場合には得られた魚節の蛋白質変成が進行し過ぎて品
質が低下する。
前記水温は90℃〜100℃の範囲であれば、さらに好ましい。
【0021】
前記第二段階の加温工程を実施する時間は、時間30分〜4時間の範囲である。
前記時間が30分未満の場合や4時間を超える場合には、得られた魚節のイノシン酸含
量が低下したり、得られた魚節の品質が低下する。
前記時間は、45分〜2時間30分の範囲であればさらに好ましい。
【0022】
次に第二段階の加温工程により処理された前記原料の身卸し工程について説明する。
前記原料から腹肉、内臓、鱗等を除去し、骨を抜く操作を実施する。
前記身卸し工程は、前記原料の温度が降下してから実施することが好ましい。
【0023】
前記原料の温度を降下させる方法としては、例えば放冷による方法、急冷による方法等
を挙げることができる。
前記急冷による方法としては、例えば、水道水等の流水等に前記原料を漬ける等の方法
を挙げることができる。
【0024】
次に前記腹肉、内臓、鱗等を除去し、骨を抜く操作を実施した後に、魚肉を適宜分割し
て魚肉片を得ることができる。
【0025】
次に焙乾・あん蒸工程について説明する。
前記身卸し工程により得られた前記魚肉片を専用の燻製室に入れて、樫、楢、椚等の落
葉広葉樹を薪として前記魚肉片を燻製する操作を実施する。この燻製操作のことを焙乾と
いう。
前記焙乾は、前記燻製室の温度が通常50〜100℃の範囲となるようにして行う。
前記焙乾の実施後、前記魚肉片を一晩静置することにより、前記魚肉片の内部から水分
が前記魚肉片の表面に滲出する。この静置操作のことをあん蒸という。
前記あん蒸後、引き続き前記焙乾を実施する。
この焙乾、あん蒸を2週間程度の時間をかけて交互に実施する。
この焙乾・あん蒸工程により、荒節を得ることができる。
【0026】
前記荒節を冷暗所で保管し、表面を削ってタール分等を除去してから黴付け工程を行う
ことにより、前記魚節を得ることができる。
前記黴付け工程に特に限定はなく、通常魚節を製造する際に実施される方法を適宜選択
して実施することができる。
【0027】
上述した製造方法により、前記魚節を得ることができる。
【0028】
本発明の製造方法により得られた魚節は、魚節100g当たり800mg以上の範囲の
イノシン酸を含有することが好ましく、850mg〜1300mgの範囲のイノシン酸を
含有することがさらに好ましい。
【0029】
本発明の製造方法により得られた前記魚節は、その内部にスキや割れがないばかりか、
従来の製造方法により得られた魚節に比較して豊富なイノシン酸、すなわち旨み成分を含
有することから、高品質の魚節を効率良く製造することが可能となる。
【0030】
以下実施例により本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によ
り何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
−20℃に冷凍された1.8kgの鰹の頭部を切断して除去した。
続いて、この冷凍された鰹を、水温60℃の水を備えた加温装置に投入し、第一段階の
加温工程を実施した。前記加温装置の水温は60℃±1℃となるように調整し、前記加温
装置の内部に間歇的に水蒸気を導入して内部を撹拌した。
冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから51分経過後に、前記加温装置内部に水
蒸気を吹き込み、第二の加温工程を実施した。
前記加温装置内部の水温は、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから57分経過
後に81℃、67分経過後に88℃、76分経過後に95℃に達した。
以降、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから164分までの間、前記加温装置
の水温が95℃±2℃となる様に調整した。
この鰹内部の温度変化を表1および図1に示した。前記鰹の温度は前記鰹の内部に温度
計を差し込むことにより測定した。
【0032】
前記第二の加温工程終了後、前記鰹を放冷してから、腹肉、内臓、鱗等を除去し、骨を
抜いた。続いて前記鰹を適宜切り分けて、鰹の魚肉片を得た。
この魚肉片を用いて、焙乾およびあん蒸を繰り返す焙乾・あん蒸工程を実施し、さらに
黴付け工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり1142mgで
あった。
【実施例2】
【0033】
−20℃に冷凍された1.8kgの鰹を用いて実施例1の場合と全く同じ実験を実施し
、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してからの鰹内部の温度変化を表1および図1に
示した。
得られた鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり911mgであ
った。
【実施例3】
【0034】
−20℃に冷凍された1.0kgの鰹を用いて実施例1の場合と全く同じ実験を実施し
、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してからの鰹内部の温度変化を表1および図1に
示した。なお加温は、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから124分で中止した
。
得られた鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり977mgであ
った。
【実施例4】
【0035】
−20℃に冷凍された1.0kgの鰹を用いて実施例1の場合と全く同じ実験を実施し
、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してからの鰹内部の温度変化を表1および図1に
示した。なお加温は、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから149分で中止した
。
得られた鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり941mgであ
った。
【0036】
【表1】
【実施例5】
【0037】
実施例1の場合において、使用する鰹を2.5kgに変更したこと、第一段階の加温工
程を前記加温装置の水温が50℃±1℃となるように調整したこと、および冷凍された鰹
を最初に加温装置に投入してから60分経過後に第二の加温工程を実施した他は全く実施
例1の場合と同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり918mgであ
った。
【実施例6】
【0038】
実施例1の場合において、使用する鰹を2.5kgに変更したこと、第一段階の加温工
程を前記加温装置の水温が70℃±1℃となるように調整したこと、および冷凍された鰹
を最初に加温装置に投入してから60分経過後に第二の加温工程を実施した他は全く実施
例1の場合と同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり982mgであ
った。
【実施例7】
【0039】
実施例1の場合において、使用する鰹を2.5kgに変更したこと、第一段階の加温工
程を前記加温装置の水温が50℃±1℃となるように調整したこと、および冷凍された鰹
を最初に加温装置に投入してから90分経過後に第二の加温工程を実施した他は全く実施
例1の場合と同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり926mgであ
った。
【実施例8】
【0040】
実施例1の場合において、使用する鰹を2.5kgに変更したこと、第一段階の加温工
程を前記加温装置の水温が70℃±1℃となるように調整したこと、および冷凍された鰹
を最初に加温装置に投入してから90分経過後に第二の加温工程を実施した他は全く実施
例1の場合と同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり888mgであ
った。
【比較例】
【0041】
[比較例1]
−20℃に冷凍された1.8kgの鰹を流水に漬けて一昼夜解凍工程を行った。
次に裁断工程により前記鰹の頭部を裁断除去した。続いて腹肉、内臓、鱗等を除去する
身卸し工程を実施した。
次に身卸し工程後の鰹を水温80℃の水に投入し、徐々に水温を上昇させて95℃とし
た。
最初に水に投入してから2時間後に煮熟工程を終了した。
煮熟工程終了後、前記鰹を放冷してから、骨を抜いた。続いて前記鰹を適宜切り分けて
、鰹の魚肉片を得た。
この魚肉片を用いて、焙乾およびあん蒸を繰り返す焙乾・あん蒸工程を実施し、さらに
黴付け工程を経て鰹節を得た。
この従来法により得られた鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり712mgであ
った。
【0042】
[比較例2]
実施例1の場合において、第一段階の加温工程を省略し、−20℃に冷凍された1.8
kgの鰹を水温80℃の水に投入し、徐々に水温を上昇させて水温を95℃とした他は実
施例1の場合と全く同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキおよび割れが認められた。
【0043】
[比較例3〜15]
実施例1の場合で、第一段階の加温工程を表2に示す水温および時間で実施した他は、
実施例1の場合と全く同様の工程を経て鰹節を得た。
得られた鰹節のイノシン酸含量並びにスキおよび割れの有無の結果を表2にまとめた。
いずれの場合も得られた鰹節のイノシン酸含量が少ないか、あるいは、得られた鰹節に
スキや割れが認められた。
【0044】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】鰹内部の経時的な温度変化を示すグラフである(実施例1〜4)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚節の製造方法に関し、さらに詳細には生産効率に優れた魚節の製造方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
魚節の原料としては鰹等が使用される。これらの原料は海から水揚げされた後に冷凍処
理がなされ凍結状態のまま輸送され、市場に出荷される。
市場に出荷された前記原料を用いて魚節を製造するためには、凍結状態にある前記原料
を解凍する必要がある。
通常この解凍処理は、水の入った解凍槽に前記原料を入れて一昼夜流水に晒したり、一
昼夜バブリングしたりすることにより前記解凍槽内部の水を循環させながら実施される。
この様に前記解凍処理を実施するためには長時間を要することから、前記原料の鮮度が
低下する問題があった。
この問題に対応するため、温度10℃以下から前記原料の氷結点までの温度領域におい
て前記解凍処理を実施する方法が提案されている(特許文献1)。
しかしながらこの方法では、前記原料の鮮度低下を防止できる反面、魚節製造に要する
時間を短縮することが難しいとの問題があった。
一方、魚節製造に要する時間を短縮するために凍結状態のままの前記原料を煮熟工程に
よりいきなり加熱した場合には、得られた魚節の内部にスキや割れが生じる問題があった
(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−41015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、魚節の製造に要する時間を短縮しつつ、得られた魚節の内部にスキや
割れの生じない魚節の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは鋭意検討した結果、凍結状態にある魚節の原料を水温40℃〜75℃、時
間45分〜100分の範囲で加温装置により加温し、ついで水温75℃〜120℃、時間
30分〜4時間の範囲で加温する工程を有する魚節の製造方法が本発明の目的に適うこと
を見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、
[1]0℃以下の温度の魚類を水温40℃〜75℃および時間45分〜100分の範囲で
加温する第一段階の加温工程と、
水温75℃〜120℃および時間30分〜4時間の範囲で加温する第二段階の加温工程
と、
を有することを特徴とする魚節の製造方法を提供するものであり、
[2]前記第一段階の加温工程は、水温50℃〜70℃および時間60分〜90分の範囲
で実施されることを特徴とする上記[1]に記載の魚節の製造方法を提供するものであり
、
[3]前記魚類として、温度マイナス40℃〜マイナス10℃の範囲のものを使用するこ
とを特徴とする上記[1]または[2]に記載の魚節の製造方法を提供するものであり、
[4]前記魚類は、その加工前の重量が0.5kg〜8kgの範囲であることを特徴とす
る上記[1]〜[3]のいずれかに記載の魚節の製造方法を提供するものであり、
[5]前記魚類は、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類および鮭類からなる群より選ばれる少
なくとも一つであることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の魚節の製造
方法を提供するものであり、
[6]魚節に含まれるイノシン酸含量が、魚節100g当たり800mg以上であること
を特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法により得られた魚節を提供
するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、魚節の製造に要する時間を短縮しつつ、得られた魚節の内部にスキや
割れの生じない魚節の製造方法を提供することができる。
さらには本発明の製造方法により得られた魚節は、従来の製造方法により得られた魚節
と比較して旨み成分であるイノシン酸を多く含有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
まず本発明に使用する原料について説明する。
本発明に使用する魚節の原料としては、例えば、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類、鮭類
等の魚類等を挙げることができる。前記原料は一種もしくは二種以上を使用することがで
きる。
前記原料は鮮度が低下することを防止するため、凍結状態のものを使用することが好ま
しい。
通常は0℃以下の温度で保存されている前記原料を使用することができる。
前記温度は、マイナス40℃〜マイナス10℃の範囲であれば好ましい。
また前記原料の重量については通常魚節に使用されるものであれば特に限定はないが、
通常は0.3〜8kg、好ましくは0.5〜6kg、さらに好ましくは1〜3kgの範囲
である。
【0008】
次に前記原料を裁断する工程について説明する。
凍結状態の前記原料の頭部分等を裁断することにより除去する。なお、この裁断工程は
、次に説明する加温工程の後に実施しても良い。
【0009】
次に本発明の製造方法で実施される第一段階の加温工程について説明する。
前記原料は加温装置により加温される。前記加温装置としては、例えば、加温手段を備
えたタンク等の解凍槽等を挙げることができる。
【0010】
前記タンクに水を入れ、予め内部の水温を40〜75℃の範囲に設定しておく。
この加温装置に、例えば、前記凍結状態の原料を投入することにより前記第一段階の加
温工程を実施することができる。
【0011】
前記加温装置内部には、例えば、別途前記加温装置内部の水温を検出する手段が設けら
れていて、前記加温装置内部の水温が40℃未満となる前に前記水温検出手段と連動した
昇温手段が稼働して前記加温装置内部の水温が40℃未満となることを防止することがで
きる。
また前記加温装置内部の水温が75℃を超える前に、前記水温検出手段と連動した降温
手段が稼働して前記加温装置内部の水温が75℃を超えることを防止することができる。
前記水温検出手段としては、例えば、熱電対装置等を挙げることができる。
また前記熱電対装置により、前記加温装置内部の水温に対応する電気信号をコンピュー
タにより制御する手段等により、前記加温装置内部の水温が低下した場合には、前記加温
装置内部に蒸気等を導入する等の方法により前記加温装置内部の水温を上昇させることが
でき、また前記加温装置内部の水温が上昇した場合には、前記加温装置内部に冷水等を導
入する等の方法により前記加温装置内部の水温を下降させることができる。
【0012】
この様にして前記加温装置内部の水温を40℃〜75℃の範囲に保つことにより、前記
第一段階の加温工程を実施することができる。
前記水温が40℃未満の場合には、得られた魚節のイノシン酸含量が低下する。また、
前記水温が75℃を超える場合には、得られた魚節の内部にスキや割れが生じる。
前記第一段階の加温工程の水温は、50℃〜70℃の範囲であればさらに好ましい。
【0013】
前記第一段階の加温工程を実施する時間は、45分〜100分の範囲である。
前記時間が45分未満の場合や100分を超える場合には、得られた魚節のイノシン酸
含量が低下する。
前記時間は、60分〜90分の範囲であればさらに好ましい。
【0014】
また前記原料を加温する際には前記加温装置内は静置しておいてもよいし撹拌してもよ
い。
前記撹拌する方法としては、例えば、加温しながら流水を導入する方法、空気や水蒸気
等をバブリングさせる方法、撹拌翼により機械的に撹拌する方法等を挙げることができる
。
前記撹拌する方法は一種もしくは二種以上を採用することができる。
【0015】
また本発明に使用する水は、水道水、前記水道水から塩素を除去した工業用水、イオン
交換水、海水等の一種もしくは二種以上を挙げることができる。
前記水は、例えば、別途塩化ナトリウム等の無機イオン分を添加したものを使用するこ
とができる。
【0016】
この様にして、前記原料を第一段階の加温工程により加温することができる。
【0017】
次に本発明の製造方法で実施される第二段階の加温工程について説明する。
この第二段階の加温工程により前記第一段階で加温された前記原料を加温するものであ
る。
【0018】
前記第二段階の加温工程に使用する加温装置は、前記第一段階で使用した加温装置を引
き続き使用することもできるし、別途別の加温装置を準備しておき、この加温装置を用い
て前記第二段階の加温工程を実施することもできる。
前記第二段階に使用する加温装置については、先に説明した第一段階の加温工程により
使用する加温装置と同様の昇温、降温手段、水温検出手段等を備えたものを使用すること
ができる。
【0019】
続いて前記第一段階の加温工程により加温された原料をこの第二段階の加温工程により
加温する。
前記第二段階の加温工程は、前記加温装置内部の水温を75℃〜120℃の範囲に保つ
ことにより実施することができる。
前記加温装置内部を1気圧以上に加圧する手段を設けることにより、前記加温装置内部
の水温を100℃以上に設定することができる。
【0020】
前記水温が75℃未満の場合には煮熟の効果が十分ではなく、得られた魚節のイノシン
酸含量が低下する。
また前記水温が120℃を超える場合には得られた魚節の蛋白質変成が進行し過ぎて品
質が低下する。
前記水温は90℃〜100℃の範囲であれば、さらに好ましい。
【0021】
前記第二段階の加温工程を実施する時間は、時間30分〜4時間の範囲である。
前記時間が30分未満の場合や4時間を超える場合には、得られた魚節のイノシン酸含
量が低下したり、得られた魚節の品質が低下する。
前記時間は、45分〜2時間30分の範囲であればさらに好ましい。
【0022】
次に第二段階の加温工程により処理された前記原料の身卸し工程について説明する。
前記原料から腹肉、内臓、鱗等を除去し、骨を抜く操作を実施する。
前記身卸し工程は、前記原料の温度が降下してから実施することが好ましい。
【0023】
前記原料の温度を降下させる方法としては、例えば放冷による方法、急冷による方法等
を挙げることができる。
前記急冷による方法としては、例えば、水道水等の流水等に前記原料を漬ける等の方法
を挙げることができる。
【0024】
次に前記腹肉、内臓、鱗等を除去し、骨を抜く操作を実施した後に、魚肉を適宜分割し
て魚肉片を得ることができる。
【0025】
次に焙乾・あん蒸工程について説明する。
前記身卸し工程により得られた前記魚肉片を専用の燻製室に入れて、樫、楢、椚等の落
葉広葉樹を薪として前記魚肉片を燻製する操作を実施する。この燻製操作のことを焙乾と
いう。
前記焙乾は、前記燻製室の温度が通常50〜100℃の範囲となるようにして行う。
前記焙乾の実施後、前記魚肉片を一晩静置することにより、前記魚肉片の内部から水分
が前記魚肉片の表面に滲出する。この静置操作のことをあん蒸という。
前記あん蒸後、引き続き前記焙乾を実施する。
この焙乾、あん蒸を2週間程度の時間をかけて交互に実施する。
この焙乾・あん蒸工程により、荒節を得ることができる。
【0026】
前記荒節を冷暗所で保管し、表面を削ってタール分等を除去してから黴付け工程を行う
ことにより、前記魚節を得ることができる。
前記黴付け工程に特に限定はなく、通常魚節を製造する際に実施される方法を適宜選択
して実施することができる。
【0027】
上述した製造方法により、前記魚節を得ることができる。
【0028】
本発明の製造方法により得られた魚節は、魚節100g当たり800mg以上の範囲の
イノシン酸を含有することが好ましく、850mg〜1300mgの範囲のイノシン酸を
含有することがさらに好ましい。
【0029】
本発明の製造方法により得られた前記魚節は、その内部にスキや割れがないばかりか、
従来の製造方法により得られた魚節に比較して豊富なイノシン酸、すなわち旨み成分を含
有することから、高品質の魚節を効率良く製造することが可能となる。
【0030】
以下実施例により本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によ
り何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
−20℃に冷凍された1.8kgの鰹の頭部を切断して除去した。
続いて、この冷凍された鰹を、水温60℃の水を備えた加温装置に投入し、第一段階の
加温工程を実施した。前記加温装置の水温は60℃±1℃となるように調整し、前記加温
装置の内部に間歇的に水蒸気を導入して内部を撹拌した。
冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから51分経過後に、前記加温装置内部に水
蒸気を吹き込み、第二の加温工程を実施した。
前記加温装置内部の水温は、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから57分経過
後に81℃、67分経過後に88℃、76分経過後に95℃に達した。
以降、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから164分までの間、前記加温装置
の水温が95℃±2℃となる様に調整した。
この鰹内部の温度変化を表1および図1に示した。前記鰹の温度は前記鰹の内部に温度
計を差し込むことにより測定した。
【0032】
前記第二の加温工程終了後、前記鰹を放冷してから、腹肉、内臓、鱗等を除去し、骨を
抜いた。続いて前記鰹を適宜切り分けて、鰹の魚肉片を得た。
この魚肉片を用いて、焙乾およびあん蒸を繰り返す焙乾・あん蒸工程を実施し、さらに
黴付け工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり1142mgで
あった。
【実施例2】
【0033】
−20℃に冷凍された1.8kgの鰹を用いて実施例1の場合と全く同じ実験を実施し
、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してからの鰹内部の温度変化を表1および図1に
示した。
得られた鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり911mgであ
った。
【実施例3】
【0034】
−20℃に冷凍された1.0kgの鰹を用いて実施例1の場合と全く同じ実験を実施し
、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してからの鰹内部の温度変化を表1および図1に
示した。なお加温は、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから124分で中止した
。
得られた鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり977mgであ
った。
【実施例4】
【0035】
−20℃に冷凍された1.0kgの鰹を用いて実施例1の場合と全く同じ実験を実施し
、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してからの鰹内部の温度変化を表1および図1に
示した。なお加温は、冷凍された鰹を最初に加温装置に投入してから149分で中止した
。
得られた鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり941mgであ
った。
【0036】
【表1】
【実施例5】
【0037】
実施例1の場合において、使用する鰹を2.5kgに変更したこと、第一段階の加温工
程を前記加温装置の水温が50℃±1℃となるように調整したこと、および冷凍された鰹
を最初に加温装置に投入してから60分経過後に第二の加温工程を実施した他は全く実施
例1の場合と同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり918mgであ
った。
【実施例6】
【0038】
実施例1の場合において、使用する鰹を2.5kgに変更したこと、第一段階の加温工
程を前記加温装置の水温が70℃±1℃となるように調整したこと、および冷凍された鰹
を最初に加温装置に投入してから60分経過後に第二の加温工程を実施した他は全く実施
例1の場合と同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり982mgであ
った。
【実施例7】
【0039】
実施例1の場合において、使用する鰹を2.5kgに変更したこと、第一段階の加温工
程を前記加温装置の水温が50℃±1℃となるように調整したこと、および冷凍された鰹
を最初に加温装置に投入してから90分経過後に第二の加温工程を実施した他は全く実施
例1の場合と同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり926mgであ
った。
【実施例8】
【0040】
実施例1の場合において、使用する鰹を2.5kgに変更したこと、第一段階の加温工
程を前記加温装置の水温が70℃±1℃となるように調整したこと、および冷凍された鰹
を最初に加温装置に投入してから90分経過後に第二の加温工程を実施した他は全く実施
例1の場合と同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり888mgであ
った。
【比較例】
【0041】
[比較例1]
−20℃に冷凍された1.8kgの鰹を流水に漬けて一昼夜解凍工程を行った。
次に裁断工程により前記鰹の頭部を裁断除去した。続いて腹肉、内臓、鱗等を除去する
身卸し工程を実施した。
次に身卸し工程後の鰹を水温80℃の水に投入し、徐々に水温を上昇させて95℃とし
た。
最初に水に投入してから2時間後に煮熟工程を終了した。
煮熟工程終了後、前記鰹を放冷してから、骨を抜いた。続いて前記鰹を適宜切り分けて
、鰹の魚肉片を得た。
この魚肉片を用いて、焙乾およびあん蒸を繰り返す焙乾・あん蒸工程を実施し、さらに
黴付け工程を経て鰹節を得た。
この従来法により得られた鰹節内部にスキや割れは認められなかった。
また、得られた鰹節に含まれるイノシン酸含量は、鰹節100g当たり712mgであ
った。
【0042】
[比較例2]
実施例1の場合において、第一段階の加温工程を省略し、−20℃に冷凍された1.8
kgの鰹を水温80℃の水に投入し、徐々に水温を上昇させて水温を95℃とした他は実
施例1の場合と全く同様の工程を経て鰹節を得た。
この鰹節内部にスキおよび割れが認められた。
【0043】
[比較例3〜15]
実施例1の場合で、第一段階の加温工程を表2に示す水温および時間で実施した他は、
実施例1の場合と全く同様の工程を経て鰹節を得た。
得られた鰹節のイノシン酸含量並びにスキおよび割れの有無の結果を表2にまとめた。
いずれの場合も得られた鰹節のイノシン酸含量が少ないか、あるいは、得られた鰹節に
スキや割れが認められた。
【0044】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】鰹内部の経時的な温度変化を示すグラフである(実施例1〜4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0℃以下の温度の魚類を水温40℃〜75℃および時間45分〜100分の範囲で加温
する第一段階の加温工程と、
水温75℃〜120℃および時間30分〜4時間の範囲で加温する第二段階の加温工程
と、
を有することを特徴とする魚節の製造方法。
【請求項2】
前記第一段階の加温工程は、水温50℃〜70℃および時間60分〜90分の範囲で実
施されることを特徴とする請求項1に記載の魚節の製造方法。
【請求項3】
前記魚類として、温度マイナス40℃〜マイナス10℃の範囲のものを使用することを
特徴とする請求項1または2に記載の魚節の製造方法。
【請求項4】
前記魚類は、その加工前の重量が0.5kg〜8kgの範囲であることを特徴とする請
求項1〜3のいずれかに記載の魚節の製造方法。
【請求項5】
前記魚類は、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類および鮭類からなる群より選ばれる少なく
とも一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の魚節の製造方法。
【請求項6】
魚節に含まれるイノシン酸含量が、魚節100g当たり800mg以上であることを特
徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた魚節。
【請求項1】
0℃以下の温度の魚類を水温40℃〜75℃および時間45分〜100分の範囲で加温
する第一段階の加温工程と、
水温75℃〜120℃および時間30分〜4時間の範囲で加温する第二段階の加温工程
と、
を有することを特徴とする魚節の製造方法。
【請求項2】
前記第一段階の加温工程は、水温50℃〜70℃および時間60分〜90分の範囲で実
施されることを特徴とする請求項1に記載の魚節の製造方法。
【請求項3】
前記魚類として、温度マイナス40℃〜マイナス10℃の範囲のものを使用することを
特徴とする請求項1または2に記載の魚節の製造方法。
【請求項4】
前記魚類は、その加工前の重量が0.5kg〜8kgの範囲であることを特徴とする請
求項1〜3のいずれかに記載の魚節の製造方法。
【請求項5】
前記魚類は、鰹類、鰯類、鯖類、鰺類、鮪類および鮭類からなる群より選ばれる少なく
とも一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の魚節の製造方法。
【請求項6】
魚節に含まれるイノシン酸含量が、魚節100g当たり800mg以上であることを特
徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた魚節。
【図1】
【公開番号】特開2008−5761(P2008−5761A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179457(P2006−179457)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(590006398)マルトモ株式会社 (23)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(590006398)マルトモ株式会社 (23)
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