説明

魚釣り用ルアー

【課題】キャスト時に空気抵抗を抑制して安定した飛行姿勢をとることができるように且つ着水後には所望の状態で安定して泳動できるように水流抵抗体を備える魚釣り用ルアーを提供する。
【解決手段】本発明の魚釣り用ルアー1は、餌を模した外観形状を成すルアー本体2と、ルアー本体2に回動可能に設けられ、ルアー本体2の泳動中に水から抵抗を受けるための水流抵抗体4とを有する。また、ルアー1は、水流抵抗体4をルアー本体2に対して回動可能な回動可能状態(図2a)とルアー本体2に対する回動が阻止される回動不能状態(図2b)とに切り換えるための切り換え手段20,22,30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りで用いられる魚釣り用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、魚釣りで用いられるルアーは、魚等の餌に似せた形状に形成されており、また、釣り人は、ルアーを操作して餌に似せて動かすことにより魚を誘っている。例えば小魚に似せた一般的なルアーは、水中で腹部が下方、背部が上方となるような姿勢を取るべく形成され、この姿勢のまま泳動するようにルアーの前端側下方(腹部の前方側)に水流抵抗体(通称:リップ)が設けられている。
【0003】
ところで、このようなルアーは、従来から、前記リップがルアー本体に対して固定されているタイプ(例えば、特許文献1参照)のものと、前記リップがルアー本体に対して回動できるタイプ(例えば、特許文献2参照)のものとがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−113628号公報
【特許文献2】実用新案登録第3165391号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リップがルアー本体に対して固定されているタイプのものでは、実釣時にルアーをキャストする(釣糸に結ばれたルアーを空中に投げる)と、ルアー本体から突出した状態のままのリップが空気抵抗を大きく受けて、飛行中のルアーの姿勢が不安定となる。そのため、キャストの方向性が定まらないばかりか、飛距離も伸びず、釣り人の狙ったポイントにルアーをうまく到達させることが難しくなる。
【0006】
一方、リップがルアー本体に対して回動できるタイプのものでは、ルアーをキャストすると、リップが空気抵抗を受けて回動し、その後は、リップが空気抵抗を受け難い(抑制する)状態のままルアーが飛行するため、飛行中のルアーの姿勢が比較的安定し、釣り人の狙ったポイントにルアーを比較的容易に到達させることができるようになる。しかしながら、ルアーが着水した後も、リップがある程度自由に回動できるため、ルアーを所望の状態で安定して泳動させることが難しい場合がある。
【0007】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、キャスト時に空気抵抗を抑制して安定した飛行姿勢をとることができるように且つ着水後には所望の状態で安定して泳動できるように水流抵抗体を備える魚釣り用ルアーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、餌を模した外観形状を成すルアー本体と、該ルアー本体に回動可能に設けられ、ルアー本体の泳動中に水から抵抗を受けるための水流抵抗体とを有する魚釣り用ルアーであって、前記水流抵抗体を前記ルアー本体に対して回動可能な回動可能状態と前記ルアー本体に対する回動が阻止される回動不能状態とに切り換えるための切り換え手段を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、水流抵抗体がルアー本体に対して回動できるため、ルアーをキャストすると、水流抵抗体が空気抵抗を受けて回動し、その後は、水流抵抗体が空気抵抗を受け難い(抑制する)状態のままルアーが飛行する。そのため、飛行中のルアーの姿勢が比較的安定し、釣り人の狙ったポイントにルアーを比較的容易に到達させることができるようになる。また、上記構成によれば、水流抵抗体をルアー本体に対して回動可能な回動可能状態とルアー本体に対する回動が阻止される回動不能状態とに切り換えるための切り換え手段が設けられているため、この切り換え手段によってルアーのキャスト時に水流抵抗体を回動可能状態にし且つ水中で水流抵抗体を回動不能状態にすることにより、ルアーキャスト時には前述したように空気抵抗を抑制して安定した飛行姿勢をとることができるとともに、着水後には水流抵抗体をルアー本体に対して回動不能に固定してルアーを所望の状態で安定して泳動させることができる。
【0010】
なお、上記構成によれば、切り換え手段は、ルアー本体内にその長手方向に沿って移動可能に設けられる移動体と、水流抵抗体に固定される固定体とを有し、前記移動体および前記固定体のうちの一方が永久磁石であり、他方が磁性体であり、前記移動体の移動に伴う固定体と移動体との間の磁気吸着により前記回動可能状態と前記回動不能状態とが切り換えられることが好ましい。また、この場合、ルアーは、水中で前記固定体へと向かう前記移動体の移動を促すための誘導手段を更に備えることが好ましい。また、移動体および固定体は、直接に磁気吸着されてもよいが、ルアー本体に設けられる吸着補助体を介して磁気吸着されてもよい。また、ルアーは、移動体を固定体と磁気吸着する位置に保持するための保持手段を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キャスト時に空気抵抗を抑制して安定した飛行姿勢をとることができるように且つ着水後には所望の状態で安定して泳動できるように水流抵抗体を備える魚釣り用ルアーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣り用ルアーの側面図であり、ルアーをキャストした際に水流抵抗体が回動可能状態に設定された状態を示す図である。
【図2】(a)は図1のルアーが着水した瞬間の概略図であり、水流抵抗体が依然として回動可能状態に設定されている状態を示す図、(b)は水中で図1のルアーに結合される釣糸を引っ張って水流抵抗体を回動不能状態に設定した状態を示す図である。
【図3】(a)は図2の(b)の拡大図、(b)は移動体を固定体と磁気吸着する位置に保持するための保持手段の構成例を示す断面図である。
【図4】(a)は水中で固定体へと向かう移動体の移動を促すための誘導手段の第1の構成例を示す側面図、(b)は誘導手段の第2の構成例を示す側面図である。
【図5】(a)は移動体と固定体とがルアー本体に設けられる吸着補助体を介して磁気吸着される第1の変形例を示す側面図、(b)は吸着補助体の拡大斜視図である。
【図6】(a)は移動体と固定体とがルアー本体に設けられる吸着補助体を介して磁気吸着される第2の変形例を示す側面図、(b)は(a)の要部拡大斜視図である。
【図7】移動体と固定体とがルアー本体に設けられる吸着補助体を介して磁気吸着される第3の変形例を示す側面図であり、水中でルアーに結合される釣糸を引っ張って水流抵抗体を回動不能状態に設定した状態を示す図である。
【図8】移動体と固定体とがルアー本体に設けられる吸着補助体を介して磁気吸着される第3の変形例を示す側面図であり、ルアーをキャストした際に水流抵抗体が回動可能状態に設定された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る魚釣り用ルアーの実施形態について説明する。
図1〜図3は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示されるように、本実施形態の魚釣り用ルアー1は、魚を模した外観形状を成すルアー本体2と、ルアー本体2に回動可能に設けられ、ルアー本体2の泳動中に水から抵抗を受けるための水流抵抗体(通称:リップ)4とを有する。ルアー本体2は、魚の頭部に対応する前部2aに釣糸50を結合させるためのラインアイ10を有し、また、魚の尾部に対応する後部2bに釣針11を着脱できる針係合部12を有する。また、水流抵抗体4は、魚の腹部に対応するルアー本体2の下部2cの前側に回動支軸15を中心に回動可能に取り付けられている。
【0014】
なお、ルアー本体2は、水に対し浮力を有するように木材や合成樹脂により形成されており、水中に入れられると前部2a(頭部側)が下側(水底側)を向き且つ後部2b(尾部側)が上側(水面側)を向いて水に浮くように形成されることが好ましい。
【0015】
また、本実施形態の魚釣り用ルアー1は、水流抵抗体4をルアー本体2に対して回動可能な回動可能状態とルアー本体2に対する回動が阻止される回動不能状態とに切り換えるための切り換え手段を備えている。この切り換え手段は、ルアー1のキャスト時に水流抵抗体4を前記回動可能状態とし、水中で水流抵抗体4を前記回動不能状態にするようになっており、具体的には、ルアー本体2内にその長手方向に沿って移動可能に設けられる永久磁石から成る球状の移動体20と、水流抵抗体4に固定される磁性体から成る板状の固定体22とを有し、移動体20の移動に伴う固定体22と移動体20との間の磁気吸着により前記回動可能状態と前記回動不能状態とを切り換えるようになっている。なお、本実施形態では、移動体20が永久磁石であり、固定体22が磁性体であるが、逆の構成であっても構わない。すなわち、移動体20が磁性体で、固定体22が永久磁石であってもよい。永久磁石としては、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジウム磁石などが挙げられる。また、磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケルなどが挙げられる。
【0016】
より具体的には、移動体20は、球状錘として形成されており、ルアー本体2内にその長手方向に沿って延在して設けられる移動空間部30内に移動可能に収容されている。移動空間部30はルアー本体2の後部2b近傍から前部2a近傍へと延びており、移動空間部30の前端は、ここに位置される移動体20が水流抵抗体4の固定体22と対向できるように水流抵抗体4の回動支軸15の近傍に位置されている。なお、水流抵抗体4は、回動支軸15を境に「く」の字に折れ曲がる板状体として形成されており、回動支軸15の前側部位が水流抵抗体本体4aを形成し、回動支軸15の後側部位が固定体22を保持する着脱固定部4bとして形成される。
【0017】
次に、上記構成の魚釣り用ルアー1の作用について説明する。
図1は、ルアーをキャストしている状態を示している。このキャスト時には、ルアー1がその後部2bを前方(図中の矢印の方向)にして空中で飛ばされ、前部2aのラインアイ10に結合される釣糸50が図示しないリールから繰り出される。また、このようにキャストすることにより、移動体20は、ルアー本体2の前部2a側から後部2b側へと移動空間部30に沿って移動する(矢印参照)。そのため、キャスト開始時に移動体20と固定体22とが磁気吸着して水流抵抗体4がルアー本体2に対して回動不能状態に設定されていた場合(図3の(a)の実線の状態)には、その回動不能状態が解除される。すなわち、移動体20がルアー本体2の前部2a側から後部2b側へと移動空間部30に沿って移動することにより、固定体22は移動体20との磁気吸着力を失い、水流抵抗体4が回動支軸15を中心に自由に回動できるようになる。したがって、ルアー1がその後部2bを前方にして空中で飛ばされる図1に示されるキャスト中においては、水流抵抗体4が空気抵抗を受けてルアー本体2の前部2a側へと回動してルアー本体2の下部(腹部)2cと略平行な状態となり、その後は、水流抵抗体4が空気抵抗を受け難い(抑制する)状態のままルアー1が飛行する。そのため、飛行中のルアー1の姿勢が比較的安定し(キャストの方向性が安定し)、釣り人の狙ったポイントにルアーを比較的容易に到達させることができるようになる。なお、キャスト中に移動体20がルアー本体2の前部2a側から後部2b側へと移動することもルアー1の飛行姿勢の安定化に寄与する。すなわち、キャストした際に移動体20がルアー本体2の前部2a側から後部2b側へと移動すると、ルアー1の重心が後部2b側に移動するため、より安定した飛行姿勢をとることができるようになる。
【0018】
図2の(a)は、キャスティングによってルアー1が所定のポイントで着水した状態を示している。この着水の瞬間においては、ルアー1の後部2bが水底を向いた状態にあり、水流抵抗体4が依然として回動可能状態に設定されたままの状態にある。その後、図2の(b)に示されるようにラインアイ1に結合される釣糸50をルアー1の前方(矢印aの方向)へ引っ張ると、水流抵抗体4(水流抵抗体本体4a)が水流(矢印b参照)を受けて回動し(矢印d参照)、それにより、ルアー本体2は、その前部2a(頭部側)が下側(水底側)を向き且つ後部2b(尾部側)が上側(水面80側)を向く姿勢をとるようになる(矢印c参照)。したがって、移動体20がルアー本体2の後部2b側から前部2a側へと移動空間部30に沿って移動し、移動体20が移動空間部30の前端に位置された時点で、水流を受けて既にルアー本体2の下部2cの外面に当接している水流抵抗体4の着脱固定部4bの固定体22がこれに対向する移動体20に磁気吸着される。その結果、着脱固定部4bがルアー本体2の下部2cに固定され、水流抵抗体4のルアー本体2に対する回動が阻止される(水流抵抗体4が回動不能状態に設定される)。その状態が図3の(a)に拡大して示されている(実線が回動不能状態、二点鎖線が回動可能状態)。なお、この場合、図3の(b)に示されるように移動空間部30の前端に段差(保持手段)30aを形成し、この段差30aによって移動体20を固定体22と磁気吸着する位置に保持するようにしてもよい。これにより、水流抵抗体4の回動不能状態を安定的に保持することが可能になる。このような保持手段は、段差30aに限らず、突起などであっても構わない。要は、移動体20を移動空間部30の前端位置に保持できればどのような形態であってもよい。
【0019】
以上説明したように、本実施形態の魚釣り用ルアー1は、水流抵抗体4がルアー本体2に対して回動できるため、ルアー1をキャストすると、水流抵抗体4が空気抵抗を受けて回動し、その後は、水流抵抗体4が空気抵抗を受け難い(抑制する)状態のままルアー1が飛行する。そのため、飛行中のルアー1の姿勢が比較的安定し、釣り人の狙ったポイントにルアー1を比較的容易に到達させることができるようになる。また、本実施形態によれば、水流抵抗体4をルアー本体2に対して回動可能な回動可能状態とルアー本体2に対する回動が阻止される回動不能状態とに切り換えるための切り換え手段20,22,30が設けられているため、この切り換え手段によってルアー1のキャスト時に水流抵抗体4を回動可能状態にし且つ水中で水流抵抗体4を回動不能状態にすることにより、ルアーキャスト時には前述したように空気抵抗を抑制して安定した飛行姿勢をとることができるとともに、着水後には水流抵抗体4をルアー本体2に対して回動不能に固定してルアー1を所望の状態で安定して泳動させることができる。
【0020】
ところで、前述した実施形態では、水中で釣糸50を引っ張ることにより、水流抵抗体4(水流抵抗体本体4a)が水流を受けて回動し、それにより、ルアー本体2の前部2aが下側を向き且つ後部2bが上側を向く姿勢をとるようになっているが、着水時点(図2の(a)の状態)で既にそのような姿勢をとることができるように、すなわち、着水時点で釣糸50を引かずとも自動的に水流抵抗体4が回動不能状態に切り換わるようにすることも考えられる。これは、水中で移動空間部30内を固定体22側へと向かう移動体20の移動を促すことにより達成できる。そのような誘導手段の第1の構成例が図4の(a)に示されている。この第1の構成例(図4の(a))では、ルアー本体2の前部2aに誘導手段としての錘60が設けられている。そのため、ルアー1が着水した時点で、ルアー本体2の前部2aが水中で下側を向き且つ後部2bが上側を向く姿勢をとるようになる。したがって、ルアー1が着水した時点で固定体22へと向かう移動体20の移動が促され、結果として、釣糸50を引かずとも自動的に水流抵抗体4が回動不能状態に切り換わるようになる。なお、錘60は、水流抵抗体4の回動支軸15よりも前方側に配設されるのが好ましい。
【0021】
水中で固定体22へと向かう移動体20の移動を促すための誘導手段の第2の構成例が図4の(b)に示されている。図示のように、この例では、ルアー本体2の前部2aに誘導手段としての錘60が設けられていることに加え、ルアー本体2の後部2bに誘導手段としての空隙部62が設けられている。このような構成では、空隙部62の存在により、水中でルアー本体2の後部2bが浮力により浮き上がるため、錘60の作用と相まって、ルアー本体2の前部2aが水中で下側を向き且つ後部2bが上側を向く姿勢を即座にとることが可能になる。このような構成は、特に下向きルアーのタイプにおいて有益である。
【0022】
また、前述した実施形態では、移動体20と固定体22とが直接に磁気吸着するようになっているが、移動体20および固定体22は互いに間接的に磁気吸着されても構わない。そのような変形例が図5に示されている。図示のように、この変形例では、移動体20と固定体22とがルアー本体2に設けられる吸着補助体70を介して磁気吸着されるようになっている。具体的には、吸着補助体70は、L字型の金属板(磁性体)から成り、移動空間部30の前端に位置して移動体20と当接可能な第1の吸着補助板部70aと、水流抵抗体4の固定体22と対向し得る位置に配置される第2の吸着補助板部70bとを有する。また、第1の吸着補助板部70aは、移動体20を固定体22と磁気吸着する位置(移動空間部30の前端位置)に保持する保持手段として、球状の移動体20が嵌合可能な円形の貫通穴70cを有することが好ましい。
【0023】
このような構成では、永久磁石である移動体20が移動空間部30の前端に位置して第1の吸着補助板部70aに当接することにより吸着補助体70が磁化され、それにより、第2の吸着補助板部70bと対向して位置する磁性体である固定体22が第2の吸着補助板部70bに磁気吸着される。また、固定体22と対向する第2の吸着補助板部70bの対向面積が固定体22の対向面積よりも大きく(移動体20よりも大きな面積をもって固定体22を磁気吸着でき)、かつ、固定体22と第2の吸着補助板部70bとが略平行状態で対向するようになっているため、固定体22の吸着状態を安定して保持することができ、有益である。
【0024】
図6には、図5の構成の変形例(第2の変形例)が示されている。この例では、吸着補助体70(貫通穴70cは設けられていない)を介して移動体20Aと固定体22とが磁気吸着されることに加えて、移動体20Aが、円柱状の錘として形成され、その中心貫通孔に挿通される軸体75に沿って移動空間部30内を移動できるようになっている。このような構成では、円柱状の移動体20Aが吸着補助体70と面接触するため、磁気吸着力が安定するとともに、移動体20Aの移動が軸体75によって案内されるため、移動体20Aの移動を円滑且つ確実に行なえる。
【0025】
図7および図8は、図5の構成の変形例(第3の変形例)が示されている。この変形例では、移動空間部が階段状に形成されている。すなわち、この階段状の移動空間部30Aは、ルアー本体2の後部2bの上側に位置される第1の空間部30Aaと、ルアー本体2の前部2aの下側に位置される第2の空間部30Abと、第1の空間部30Aaと第2の空間部30Abとを接続する傾斜空間部30Acとから成っている。このように、移動空間部30Aを階段状(あるいは、単なる直線的な傾斜状でもよい)にすると、ルアー本体2の後部2bから前部2aへの移動体20の移動を促すことができ、移動体20を速やかに前部2aへと移動させることができる。したがって、水流抵抗体4の回動可能状態から回動不能状態への切り換えを迅速に行なうことができる。なお、図7は、水中でルアー1に結合される釣糸50を引っ張って水流抵抗体4を回動不能状態に設定した状態を示す図であり、図8は、ルアー1をキャストした際に水流抵抗体4が回動可能状態に設定された状態を示す図である。
【0026】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、ルアー本体が魚を模した形状を成しているが、ルアー本体は、餌の形態であればどのような形状を成していても構わない。また、前述した実施形態では、水流抵抗体をルアー本体に対して回動可能な回動可能状態とルアー本体に対する回動が阻止される回動不能状態とに切り換えるための切り換え手段が磁性体同士の磁気吸着によって実現されているが、切り換え手段の切り換え形態は磁気的なものに限定されず、要は、ルアーのキャスト時に水流抵抗体を回動可能状態とし、水中で水流抵抗体を回動不能状態にすることができれば、どのような形態であっても構わない。また、前述した実施形態では、移動体が永久磁石で、固定体が磁性体であったが、その構成形態に応じて移動体を磁性体とし、固定体を永久磁石としても構わない。
【符号の説明】
【0027】
1 釣り用ルアー
2 ルアー本体
4 水流抵抗体
20 移動体(切り換え手段)
22 固定体(切り換え手段)
30 移動空間部(切り換え手段)
30a 段差(保持手段)
60 錘(誘導手段)
70 吸着補助体
70c 貫通孔(保持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
餌を模した外観形状を成すルアー本体と、該ルアー本体に回動可能に設けられ、ルアー本体の泳動中に水から抵抗を受けるための水流抵抗体とを有する魚釣り用ルアーであって、
前記水流抵抗体を前記ルアー本体に対して回動可能な回動可能状態と前記ルアー本体に対する回動が阻止される回動不能状態とに切り換えるための切り換え手段を備えることを特徴とする魚釣り用ルアー。
【請求項2】
前記切り換え手段は、ルアーのキャスト時に前記水流抵抗体を前記回動可能状態とし、水中で前記水流抵抗体を前記回動不能状態にすることを特徴とする請求項1に記載の魚釣り用ルアー。
【請求項3】
前記切り換え手段は、前記ルアー本体内にその長手方向に沿って移動可能に設けられる移動体と、前記水流抵抗体に固定される固定体とを有し、前記移動体および前記固定体のうちの一方が永久磁石であり、他方が磁性体であり、前記移動体の移動に伴う固定体と移動体との間の磁気吸着により前記回動可能状態と前記回動不能状態とが切り換えられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚釣り用ルアー。
【請求項4】
水中で前記固定体へと向かう前記移動体の移動を促すための誘導手段を更に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の魚釣り用ルアー。
【請求項5】
前記移動体と前記固定体とが前記ルアー本体に設けられる吸着補助体を介して磁気吸着されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の魚釣り用ルアー。
【請求項6】
前記移動体を前記固定体と磁気吸着する位置に保持するための保持手段を更に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の魚釣り用ルアー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−231699(P2012−231699A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100915(P2011−100915)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】