説明

魚釣用リール

【課題】省スペース化を図ることができ、材料選択の自由度が高い、組み込み性(作業性)が良好な磁性流体シール付き軸受を備える魚釣用リールを提供する。
【解決手段】本発明の魚釣用リールの軸受30の少なくとも1つは、内輪31と外輪36とを有する軸受本体32に磁性流体シール34が一体に保持されて成り、磁性流体シール34は、内輪31または外輪36との間で磁気回路を形成して軸受本体32の内部をシールする。磁性流体シール34は、内輪31または外輪36との間で磁気回路を形成する磁石39と、磁石39を保持する保持板37,38と、内輪31または外輪36と保持板37,38との間に保持される磁性流体40とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受に磁性流体シールが一体に設けられて成る魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、磁性流体を用いた磁気シール機構を軸受に適用する魚釣用リールが知られている。例えば特許文献1では、釣糸巻き取り用のハンドルの回転操作に伴って回転駆動される駆動軸(スプール軸)を回転可能に支持するボールベアリングに海水、砂、異物等が付着したり浸入したりしないように(すなわち、防水および防塵を図って、ボールベアリングの回転性能が低下しないように)、磁気回路を構成する磁気保持リングと前記駆動軸との間に磁性流体を保持して成る磁気シール機構をボールベアリングに近接して設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−319742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、軸受と別体の磁気シール機構を軸受に近接して設けているため、従来の弾性シール等と同様、軸受の設置スペースとは別にシールのためのスペースが必要となる。特に、魚釣用リールでは、軸受の数が多いため、これらの軸受のそれぞれに対応して磁気シール機構を設けると、リール全体の大型化を招く。また、軸受の組み込みとは別に磁気シール機構を組み付ける必要があるため、組み込み性が悪く、手間がかかり、生産性が良くない(つまり、組み立て作業時間が長くなり、製造コストも増大する)。更に、特許文献1では、磁性流体を駆動軸に直接に接触配置させるため、駆動軸を磁性体によって形成しなければならず、駆動軸の材料選択の自由度が制限される。つまり、駆動軸に必要な要求品質を満足させるための選択肢が制限される。
【0005】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、省スペース化を図ることができ、材料選択の自由度が高い、組み込み性(作業性)が良好な磁性流体シール付き軸受を備える魚釣用リールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、リール本体に内蔵された巻き取り駆動機構に連結されるハンドルの回転操作により、リール本体に支持されたスプールに釣糸が巻回され、前記ハンドルの操作により回転駆動される駆動軸が軸受によって回転可能に支持される魚釣用リールであって、前記軸受の少なくとも1つが、磁性体から成る内輪と、磁性体から成る外輪と、内輪と外輪との間に転動可能に介挿される転動体とから成る軸受本体と、前記軸受本体に一体に保持され、前記内輪または前記外輪との間で磁気回路を形成して前記軸受本体の内部をシールする磁性流体シールと、を備え、前記磁性流体シールは、前記内輪または前記外輪との間で磁気回路を形成する磁石と、該磁石を保持する保持板と、前記内輪または前記外輪と前記保持板との間に保持される磁性流体とから成ることを特徴とする。
【0007】
この請求項1に記載の発明によれば、軸受本体と該軸受本体内を外部に対してシールするための磁性流体シールとが一体化されて成るため、軸受の設置スペースとは別にシールのためのスペースを確保する必要がなくなる。そのため、小さいスペースでシールおよび軸受を設置でき、省スペース化を図ることができる。軸受の数が一般に多く且つシールの必要性が高い魚釣用リールにおいてこのような構成を採用することは、軸受と別個に磁気シール機構を設けずに済むため、リール全体の小型化を図ることができ有益である。また、軸受の組み込みとは別に磁気シール機構を組み付ける必要がないため、組み込み性(作業性)が良く、生産性を向上できる(つまり、組み立て作業時間を短くでき、製造コストも低減できる)。更に、本構成において、磁性流体シールは、軸受本体以外の他の部材との間で磁気回路を形成するのではなく、軸受本体の内輪または外輪との間で磁気回路を形成するため、前記他の部材の材料選択の自由度が制限されず(駆動軸等を磁性体で形成する必要がなく)、前記他の部材に必要な要求品質を満足させる自由な材料選択を確保できる(前記他の部材に最適な材料を選択できる)。なお、このような構成の磁性流体シール付き軸受をスプール軸に設けた場合には、防水が図られることから、スプールに孔を設けることが可能となり、孔による重量減によりスプールのスプール軸周りの慣性モーメントを小さくでき、磁性流体シールによる回転抵抗の減少との相乗効果でスプールフリー性能の向上が図れる。なお、上記構成において、「前記内輪または前記外輪と前記保持板との間に保持される磁性流体」とは、内輪または外輪と保持板との間に磁性流体以外の他の介在物が存在している場合も含む。すなわち、内輪または外輪と保持板との間に磁性流体以外のものが存在しても、例えば保持板に保持された磁石と内輪または外輪との間に磁性流体が存在していても、結果的に内輪または外輪と保持板との間の領域内に磁性流体が存在する限り、本発明の範囲内に含まれる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記磁性流体シールを前記軸受本体に保持させるための保持手段を更に備えることを特徴とする。
【0009】
この請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、軸受本体と磁性流体シールとの一体化を確実ならしめることができ、磁性流体シール付き軸受の取り扱い性が向上する。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記内輪または前記外輪の一方の軸方向長さが他方の軸方向長さよりも短く設定されることにより前記軸受本体内に形成されるシール収容空間内に、前記磁性流体シールが、その保持板を前記内輪または前記外輪の一方の端面に軸方向で当接させた状態で前記他方の内面と径方向で対向させるように組み込まれることを特徴とする。
【0011】
この請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、内輪または前記外輪の一方の軸方向長さが他方の軸方向長さよりも短く設定されることにより前記軸受本体内に形成されるシール収容空間内すなわち軸受本体内に磁性流体シールが組み込まれる形態を成すため、軸受本体のサイズを大きくすることなく、あるいは、軸受全体のサイズを増大させることなく、軸受本体と磁性流体シールとの一体化を実現できる。また、磁性流体シールは、その保持板を前記内輪または前記外輪の一方の端面に軸方向で当接させた状態で前記他方の内面と径方向で対向させるように組み込まれるため、内輪および外輪の端面や内面を保持板の保持および磁性流体の保持に利用でき、磁性流体シールの保持をシール収容空間内で一括して実現できる。つまり、効率的且つ効果的な空間利用により、軸受本体と磁性流体シールとの一体化と小型化とを簡単な形態で実現できる。更に、軸受本体の内側で磁性流体を保持する形態となるため、磁性流体が外部に漏れ出る虞もない。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記保持板は、前記磁石を両側から保持する一対の極板から成ることを特徴とする。
【0013】
この請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、磁石の確実且つ安定した保持を確保できる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記軸受本体の内側を外部に対して密閉するための密閉板を更に有し、該密閉板が前記極板の一方を兼ねることを特徴とする。
【0015】
この請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、前記密閉板が前記極板の一方を兼ねるため、部品点数を更に削減でき、小型化を更に促進できる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記保持板によって保持される前記磁石と前記内輪または前記外輪との間に磁性流体が保持されることを特徴とする。
【0017】
この請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られる。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記保持板には、リング状の前記磁石を止着するように、リング状の凹所が形成されていることを特徴とする。
【0019】
この請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、保持板のリング状の凹部に磁石が止着されるため、保持板は、リング状の磁石を保持した際、軸方向に対して厚肉化することなく、省スペース化が図れるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、省スペース化を図ることができ、材料選択の自由度が高い、組み込み性(作業性)が良好な磁性流体シール付き軸受を備える魚釣用リールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る磁性流体シール付き軸受を備える魚釣用リール(両軸受型リール)の断面図である。
【図2】図1の魚釣用リールの要部の拡大断面図である。
【図3】図2のA部の拡大断面図である。
【図4】図2のB部の拡大断面図である。
【図5】図3の第1の変形例を示す拡大断面図である。
【図6】図3の第2の変形例を示す拡大断面図である。
【図7】図3の第3の変形例を示す拡大断面図である。
【図8】図3の第4の変形例を示す拡大断面図である。
【図9】図3の第5の変形例を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る磁性流体シール付き軸受を備える魚釣用リール(スピニングリール)の断面図である。
【図11】図10のC−C線に沿う断面図である。
【図12】図11の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、軸受に磁性流体シールが一体に設けられて成る本発明に係る魚釣用リールについて具体的に説明する。
【0023】
図1〜図3は、軸受に磁性流体シールが一体に設けられて成る本発明の第1の実施形態に係る魚釣用リールを示している。図1は、本実施形態に係る魚釣用リールとしての両軸受型リールの断面図である。図示のように、両軸受型リールのリール本体1は、左右フレーム2a,2bと、これら左右フレーム2a,2bに所定の空間をもって装着される左右側板3a,3bとを備えている。左右フレーム2a,2b(左右側板3a,3b)間には、磁性流体シールが一体に設けられて成る軸受、すなわち、磁性流体シール付き軸受30,30Aを介して、駆動軸としてのスプール軸5が回転可能に支持されており(図2も参照)、このスプール軸5には、釣糸が巻回されるスプール6が取り付けられている。
【0024】
右側板3b側には、ハンドル8を装着したハンドル軸9が回転可能に支持されている。このハンドル軸9には、巻き取り駆動機構が連結されており、ハンドル8を回転操作することで、巻き取り駆動機構を介してスプール6が回転駆動されるようになっている。なお、ハンドル軸9は、右側板との間に介在された一方向クラッチ10によって、釣糸巻取方向にのみ回転可能となっている。
【0025】
前記巻取り駆動機構は、ハンドル軸9にドラグ機構を介して回転可能に支持された駆動歯車12とこの駆動歯車12に噛合するピニオン13とを備えている。ピニオン13は、軸受82を介して回転可能に支持されるとともに、公知のクラッチ機構を介してスプール軸5と継脱されるように構成されており、クラッチON状態では、ハンドル8の回転駆動力を駆動歯車12およびピニオン13を介してスプール6に伝達し、クラッチOFF状態では、駆動力伝達状態を解除してスプール6をフリー回転状態にするようになっている。なお、上記したクラッチ動作は、リール本体1から突出した操作レバー(図示せず)を操作することで行なわれる。
【0026】
左右側板3a,3b間には、スプール6の前方に、レベルワインド機構20が設けられている。レベルワインド機構20は、スプール6の前方で左右に往復動すると共に、釣糸が挿通される挿通孔を具備した釣糸案内体21と、左右側板3a,3b間に支持され、外周にエンドレスカム溝23aが形成されたウォームシャフト23とを有している。
【0027】
このウォームシャフト23は、左右フレーム間に軸受80を介して回転可能に支持され、軸方向に沿って貫通孔が形成されている円筒部材25内に回転可能に収容されており、この貫通孔を介して前記釣糸案内体21に保持された係合ピンがエンドレスカム溝23aと係合して、釣糸案内体21を左右に往復駆動するようになっている。また、前記釣糸案内体21は、往復駆動する際、ウォームシャフト23の回りでの回り止めが成されるように、左右フレーム間に支持された案内ピラー(図示せず)に支持されている。
【0028】
前記ウォームシャフト23の右側板側の端部には、前記駆動歯車12と一体回転可能に軸方向に連設された歯車12aと噛合する歯車90が嵌合するように設けられている。この歯車90には、ハンドル8の巻取り操作による回転駆動力がハンドル軸9、駆動歯車12及び歯車12aを介して入力され、その回転駆動力がウォームシャフト23に出力されるようになっている。
【0029】
また、本実施形態において、リール本体1の右側板3bには、ハンドル8の操作で連動回転する駆動部材としてのハンドル軸9を部分的に収容して軸受49により支持する収容凹部50が凹状に形成されている。なお、この収容凹部50は、前述した逆転防止機構の一方向クラッチ10を内部に位置決め状態で収容保持する(収容凹部50内に逆転防止機構が設けられる)。
【0030】
また、本構成において、ハンドル軸9の右端部には、公知のドラグ機構70を構成する操作体71が螺合されている。この操作体71を回動操作すると、ハンドル軸9に軸方向移動可能に且つ一体回転可能に嵌合されたカラー部材である第1の押圧体73が軸方向に移動し、皿バネ75を介して一方向クラッチ10の内輪を兼ねる第2の押圧体77を押圧し、摩擦部材78を所望の押圧力で押圧し、ハンドル軸9と歯車12aとの間で制動力を生じさせる。
【0031】
次に、図3および図4を参照して、スプール軸5を回転可能に支持する本実施形態に係る磁性流体シール付き軸受30,30Aについて詳しく説明する。ここで、図3は図2のA部の拡大断面図、図4は図2のB部の拡大断面図である。
【0032】
図3に示されるように、スプール軸5の左側端部を回転可能に支持する第1の磁性流体シール付き軸受30は、軸受本体32と、軸受本体32の内部をシールする磁性流体シール34とから成り、これらが一体のユニットとして構成される。軸受本体32は、スプール軸5の外周面に嵌合してこれを支持する磁性体から成る内輪31と、磁性体から成る外輪36と、内輪31の外側および外輪36の内側に配されて軸受本体32の内側を外部に対して密閉するための左右一対の密閉板33と、内輪31と外輪36との間に転動可能に介挿される転動体35とから成る。転動体35は、左右の密閉板33間に位置され、内輪31、外輪36、および、リテーナ(図示せず)によって保持される。一方、磁性流体シール34は、軸受本体32に一体に保持されており、内輪31との間で磁気回路を形成して軸受本体32の内部をシールする。具体的には、磁性流体シール34は、内輪31を所定の隙間を存して囲繞するように配されて内輪31との間で磁気回路を形成するリング状の磁石39と、磁石39を保持する保持板、本実施形態では磁石39を両側から保持する保持板としての一対のリング状の極板(磁気リング)37,38と、内輪31と各極板37,38との間に保持される磁性流体40とから成る。
【0033】
また、本実施形態において、磁性流体シール34は、軸受本体32内に効率的且つ効果的に形成されるシール収容空間S内に組み込まれる。具体的には、本実施形態では、外輪36の軸方向長さ(図3には、軸方向が矢印Pで示されている)が内輪31の軸方向長さよりも短く設定されており、このような寸法設定により軸受本体32内に段差状に形成されるシール収容空間S内に、磁性流体シール34は、その一方の極板37を外輪36の側端面36aに軸方向で当接させた状態で且つ両方の極板37,38を内輪31の外面31a(転動体35と対向する面)と径方向で対向させた状態でその全体(磁石39および両方の極板37,38を含めた全体)がシール収容空間S内に完全に収まるように組み込まれる。したがって、この配置形態では、内輪31と各極板37,38との間に保持される磁性流体40は、内輪31の外面31aと接触することになる。このように、磁性流体40を外輪36側でなく内輪31側で保持することは、内輪31の外径が外輪36のそれよりも小さいことを考えると、磁性流体40の使用量を減らすことができ好ましい。また、内輪31側が回転するので、磁性流体40の遠心力による影響を小さくでき、所定の位置に安定保持しやすくなる。
【0034】
ここで、極板37,38は、リング状の磁石39を挟持して保持しつつその内側に周方向に沿って凹所41が生じるように且つ内輪31の外面31aとの間に磁性流体40を保持するための僅かな隙間Gを確保するように配置される。この場合、磁石39と左側板3aとの間には防水用のOリング92が介挿される。また、図3に仮想線で示されるように、内輪31の内側に別個にOリング93が配置されてもよいが、通常は、スプール軸5と軸受との間は高精度に組み付けられるため、Oリング93を設ける必要がない場合が多い。また、磁性体としての内輪31は、鉄系の材料、例えば、鋼材、SUS430、SUS440C、SUS630等によって形成されており、これにより、磁石39によって、これを保持する極板37,38および内輪31との間に磁気回路が形成されるようになっている。なお、極板37,38と対向する内輪31の対向部位の軸方向長さについては、前記磁気回路が生じる程度の長さ(磁性流体40を安定して保持できる程度の長さ)を有していれば良く、極板37,38がカバーされるように極板37,38の軸方向長さよりも多少長く形成されることが好ましい。更に、磁性流体40は、例えばFeのような磁性微粒子を、界面活性剤およびベースオイルに分散させて構成されたものであり、粘性があって磁石を近づけると反応する特性を備えている。このため、磁性流体40は、図3に示されるように、磁石39、これを保持する極板37,38、および、内輪31によって形成される磁気回路によって、前記隙間G内に安定して保持され、軸受本体32内を外部に対して確実にシールする。
【0035】
なお、磁性流体シール34を軸受本体32に保持させるための保持手段としては、接着、溶着、他の保持部材を用いるなど、様々な手段が考えられる。例えば、極板37,38を外輪36および左側板3aに接着してもよく、あるいは、Oリング92による圧入支持や抜け止めリングを利用してもよい。
【0036】
図4に示されるように、スプール軸5の右側端部を回転可能に支持する第2の磁性流体シール付き軸受30Aは、第2の磁性流体シール付き軸受30の構成に加えて更に、外輪36の外周に被嵌される保持体97を有する。この保持体97は、磁性流体シール34側で外輪36よりも長く軸方向に延在しており、その延在部97aの内面の溝98には、軸受本体32からの磁性流体シール34の抜けを防止する(軸受本体32に対して磁性流体シール34を保持する)ための六角リング(保持手段)99が係着されている。このような保持手段99により、軸受本体32と磁性流体シール34との一体化を確実ならしめることができ、磁性流体シール付き軸受30Aの取り扱い性が向上する。なお、保持体97の外周面と右フレーム2bとの間には防水用のOリング96が介挿されている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の磁性流体シール付き軸受30,30Aによれば、軸受本体32と軸受本体32内を外部に対してシールするための磁性流体シール34とが一体にユニット化されて成るため、軸受の設置スペースとは別にシールのためのスペースを確保する必要がなくなる。そのため、小さいスペースでシールおよび軸受を設置でき、省スペース化を図ることができる。また、軸受の組み込みとは別に磁気シール機構を組み付ける必要がないため、組み込み性(作業性)が良く、生産性を向上できる(つまり、組み立て作業時間を短くでき、製造コストも低減できる)。更に、本実施形態において、磁性流体シール34は、軸受本体32以外の他の部材(スプール軸5など)との間で磁気回路を形成するのではなく、軸受本体32の内輪31との間で磁気回路を形成するため、前記他の部材の材料選択の自由度が制限されず、前記他の部材に必要な要求品質を満足させる自由な材料選択を確保できる(前記他の部材に最適な材料を選択できる)。
【0038】
また、本実施形態の磁性流体シール付き軸受30,30Aでは、外輪36の軸方向長さが内輪31の軸方向長さよりも短く設定されることにより軸受本体32内に形成されるシール収容空間S内すなわち軸受本体32内に磁性流体シール34が組み込まれる形態を成すため、軸受本体32のサイズを大きくすることなく、あるいは、軸受30,30A全体のサイズを増大させることなく、軸受本体32と磁性流体シール34との一体化を実現できる。また、磁性流体シール34は、その一方の極板37を外輪36の側端面36aに軸方向で当接させた状態で且つ両方の極板37,38を内輪31の外面31a(転動体35と対向する面)と径方向で対向させた状態でその全体(磁石39および両方の極板37,38を含めた全体)がシール収容空間S内に完全に収まるように組み込まれるため、内輪31および外輪36の端面や内面を極板37,38の保持および磁性流体40の保持に利用でき、磁性流体シール34の保持をシール収容空間S内で一括して実現できる。つまり、効率的且つ効果的な空間利用により、軸受本体32と磁性流体シール34との一体化と小型化とを簡単な形態で実現できる。更に、軸受本体32の内側で磁性流体40を保持する形態となるため、磁性流体40が外部に漏れ出る虞もない。
【0039】
更に、本実施形態では、磁性流体シール付き軸受30,30Aが魚釣用リールに適用されているため、軸受の数が一般に多く且つシールの必要性が高い魚釣用リールにおいても、軸受と別個に磁気シール機構を設けずに済み、リール全体の小型化を図ることができる。また、前述した理由により、リールの組み立て性を向上できるとともに、本実施形態のように、磁性流体シール付き軸受をスプール軸に設けた場合には、防水が図られることから、スプールに孔を設けることが可能となり、孔による重量減によりスプールのスプール軸周りの慣性モーメントを小さくでき、磁性流体シールによる回転抵抗の減少との相乗効果でスプールフリー性能の向上が図れる。
【0040】
なお、本実施形態では、スプール軸5を回転可能に支持する磁性流体シール付き軸受30,30Aについて説明してきたが、他の駆動軸としてのウォームシャフト23、ハンドル軸9、および、ピニオン13を回転可能に支持する軸受49,80,82も、磁性流体シール付き軸受30,30Aとして構成されてもよい。また、前述した説明では、内輪31が磁性体によって形成されて磁性流体シール34の磁気回路の一部を形成しているが、外輪36が磁性体によって形成されて磁性流体シール34の磁気回路の一部を形成しても良い。
【0041】
図5は磁性流体シール付き軸受30の第1の変形例を示している。図示のように、この変形例に係る磁性流体シール付き軸受30’では、部品点数を更に削減して小型化を更に促進できるように、密閉板33が一方の極板37を兼ねるとともに、内輪31の軸方向長さが図3の場合よりも短く(外輪36の軸方向長さと略一致するように)設定されている(一般的に、密閉板33の材料は非磁性体であるSUS304(JIS)が多いが、この場合においては、磁性体で密閉板33を構成する必要があり、例えば、SUS430(JIS)やSPCC(JIS)のメッキ仕上げ材を用いるのが好ましい)。また、それに伴って、一方の極板37を兼ねる密閉板33の部位と内輪31の外面31aとの間に磁性流体40が保持されるとともに、他方の極板38の径方向内側端部が軸方向に向けて屈曲されて内輪31の側面31bと対向し、この側面31bと極板38の屈曲端部38aの端面との間に磁性流体40が保持されている。このような構成では、第1の実施形態と同様の作用効果が得られるだけでなく、図3と同じ軸受寸法において磁石39の幅を大きく確保することが可能になり、あるいは、軸受30’全体の小型化(省スペース化)を図ることができる。また、シール側の密閉板33を取り除いた構成であってもよい。(その場合、後述する図9の第5の変形例に近い形態となる。)
【0042】
図6は磁性流体シール付き軸受30の第2の変形例を示している。この第2の変形例は第1の変形例の更なる変形である。すなわち、図示のように、この変形例に係る磁性流体シール付き軸受30”では、一方の極板37を兼ねる密閉板33の部位が図5の場合(または、密閉板33の他方側の部位)よりも更に厚く(軸方向寸法が大きく)形成され、それにより、この密閉板33の部位と内輪31の外面31aとの間に十分な量の磁性流体40を保持できるようになっている。なお、それ以外の構成は磁性流体シール付き軸受30’と同じである。したがって、第1の実施形態およびその第1の変形例と同様の作用効果が得られる。
【0043】
図7は磁性流体シール付き軸受30の第3の変形例を示している。前述した磁性流体シール付き軸受30は密閉板33の外側に設けられていたが、本変形例に係る磁性流体シール付き軸受301は密閉板33の内側に設けられている。また、前述した磁性流体シール付き軸受30は、その極板37,38が内輪31と左側板3aとの間に介挿されているが、本変形例に係る磁性流体シール付き軸受301は、軸方向長さがほぼ同じ内輪31と外輪36との間に介挿されている。なお、それ以外の構成は第1の実施形態と同じである。したがって、第1の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、図4の実施形態に対し、磁性流体シールの抜け止めを汎用部品で構成でき、且つ、省スペース化が可能となる。また、極板38を排除し、その位置に密閉板33を磁石39に沿うように配置して、図6の変形例と同様に、密閉板33と内輪31間に磁性流体40を保持してもよい。
【0044】
図8は磁性流体シール付き軸受30の第4の変形例を示している。本変形例に係る磁性流体シール付き軸受302は、内輪31と外輪36の長さ関係が第1の実施形態と逆になっている。すなわち、内輪31の軸方向長さが外輪36の軸方向長さよりも短く設定されており、このような寸法設定により軸受本体32内に段差状に形成されるシール収容空間S内に特徴的形態を成す磁性流体シール34Aが組み込まれる。具体的に、磁性流体シール34Aは、内輪31に対して軸方向に延出する外輪36の延出部36aの内面に固定され、磁石39を保持する保持板300を備えている。この場合、保持板300は、内輪31の側端面31bとの間で磁性領域を発生させるような構造であれば良く、本変形例では、真鍮、アルミ合金、樹脂、或いは金属補強された弾性材などの非磁性材料で、中央に開口領域300aを有するリング形状に形成されており、延出部36aの内面に固定されて軸方向に対して直交する方向に延在している。そして、径方向内側となる先端には、リング状に形成された磁石39が内輪31の側端面31bに対向するように止着されており、これにより、保持板300に上記磁性領域を形成している。
このような構造では、リング状の磁石39を保持板300と共に予めユニット化することが可能であり、磁性流体シール34Aの構造を簡略化することが可能となる。
【0045】
本変形例では、リング形状の保持板300は、その中間部分が軸方向外側に向かって膨出するように屈曲形成されており、その先端の軸方向内側に、リング状の凹所300bを形成している。このリング状の凹所300bは、内輪31の側端面31bと対向するように形成されており、この部分にリング状の磁石39が側端面31bと所定間隔Gを置いて対向するように取着されている。したがって、保持板300は、リング状の磁石39を保持した際、軸方向に対して厚肉化することなく、省スペース化が図れるようになっている(本変形例では、保持板300は、リング状の磁石39を凹所300bに取着すると、保持板300の内面側が略面一状になるように構成されている)。なお、リング状の磁石39は、軸方向外側がS極、軸方向内側がN極となっており、これにより、前記所定間隔Gを経由して内輪31との間で磁気回路を形成する(磁束方向の概略を矢印で示す)。
【0046】
リング状の磁石39は、予め保持板300の凹所300bに取着され、この状態で軸受本体32に圧入される。この圧入に際しては、保持板300の周端部が、軸受本体32の外輪36の内面に形成された段部36bに当て付いて位置決めされる。このように、外輪36に対して保持板300を圧入した後、スポイト等の注入部材を利用して、中央の開口領域300aを介して磁性流体40を前記所定間隔Gの部分に注入する。
【0047】
注入される磁性流体40は、例えばFeのような磁性微粒子を、界面活性剤およびベースオイルに分散させて構成されたものであり、粘性があって磁石を近づけると反応する特性を備えている。このため、磁性流体40は、上記したように、リング状の磁石39と、磁性材料で構成される内輪31の側端面31bとの間で形成される磁気回路によって、前記所定間隔Gに全周に亘って安定して保持され、軸受本体32の内部(転動体側)をシールする。この場合も、前述した実施形態および変形例と同様、磁性流体40は、内輪31と保持板300との間、より正確には保持板300に保持された磁石39と内輪31との間に保持されている。
【0048】
上記構成では、所定間隔Gは、保持板300に取着されるリング状の磁石39と、内輪31の内面31c(この内面31cは、スプール軸5が嵌入される部分となる)との間の隙間Dよりも小さくなるように設定されていることが好ましい。
これは、嵌入されるスプール軸5が磁性材料で形成されていると、間隔Dの部分に磁性流体が移動してしまうことが考えられるが、上記のように(G<D)となるように設定しておくことで、所定間隔Gに安定した量の磁性流体40を保持させておくことができ、シール効果を高める(安定させる)ことが可能となる。
【0049】
また、上記構成では、保持板300に対して、軸方向外方から、リング状の密閉板33を圧入固定することが好ましい。このような密閉板33は、耐食性、耐熱性に優れた材料、例えばステンレス材(SUS304)によって形成することが可能であり、周端部に圧入屈曲部33aを形成し、この部分を弾性変形させながら、外輪36の内面に形成された段部36cに嵌入することで、保持板300の圧入によるシールに加え、外輪36の内面に沿って水分や埃等が、内部に侵入することを確実に防止することが可能となる。なお、前記中間部分が屈曲した保持板300には、軸方向外方の周縁部にリング状の凹部300cが形成されており、この凹所300cを利用して密閉板33の圧入屈曲部33aを配置できるようにすることで、軸方向のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0050】
次に、上記した軸受302の作用効果について説明する。
上記したように、磁性流体シール34Aは、内輪31に対して外輪36を軸方向に突出させ、この外輪36の延出部36aの内面に固定された保持板300の磁性を有する領域(本実施形態ではリング状の磁石39を取着した領域)と内輪31の側端面31bとの間に磁性流体40を保持する構成のため、そのようなシール構造を有する軸受の軸方向寸法をコンパクト化できると共に、磁性流体40によって、内部に水分や埃などの異物が侵入することが防止され、回転軸の回転性能を低下させることなくシール性を高めることが可能となる。
【0051】
また、磁性流体40は、軸方向外方に向けて露出することなく、外輪36の延出部36aの内面に固定された保持板300によって遮蔽された状態になるため、布状物のような他物に触れて吸着され難くなり、取扱性の向上が図れると共に、内輪31が短く形成されていることから、磁性流体40の注入作業が行い易くなる。また、保持される磁性流体40は、水や埃が侵入した場合、上記したように、保持板300によって、軸方向外方側からの侵入圧を受けることがない(直接的な水圧等が作用しない)ため、耐水性、防塵性を高めることが可能となる。
【0052】
また、本変形例の構成では、密閉板33を含め、リング状の磁石39を保持板300に取着しておき、これを外輪36に圧入して、所定領域に磁性流体40を注入するだけの簡単な構造であり、かつ、外輪36の延出部36a及び保持板300の形状により、これらを効率良く配置したことで、軸受全体としてコンパクト化を図ることが容易になる。なお、本変形例では保持板300を外輪36の内側に圧入したが、外輪36を軸方向に長くせずに、保持板300を外輪36の軸方向端面に沿わして配置させ、前記同様に磁石39と内輪の端面間に磁性流体を保持した構成も可能である。
【0053】
図9は、磁性流体シール付き軸受30の第5の変形例を示している。第4の変形例では、外輪36の延出部36aに、非磁性材料で構成された保持板300を固定し、保持板300に磁性を有する領域(リング状の磁石39を取着した領域)を形成して内輪31の側端面31bとの間に磁性流体40を保持させていたが、本変形例に係る磁性流体シール付き軸受400では、非磁性材料の保持板に代えて、例えば、SUS440Cのような磁性材料で構成される保持板300Aを配設しても良い。この場合、保持板300Aは、リング状に形成され、その先端(径方向内側)が、内輪31の側端面31b側に屈曲されており、その屈曲部300Aaの端面300Abを内輪31の側端面31bと対向させ、両者の間に磁性流体40を保持させている。
【0054】
そして、保持板300Aの基端側の軸方向内側には、リング状の磁石39が取着されており、保持板300Aに対して矢印M1,M2で示すような磁束を発生させている。この場合、磁石39の止着位置については、適宜、変形することが可能である。
このような構成においても、上述した実施形態および変形例と同様な作用効果が得られると共に、構造を簡略化して軸方向の省スペース化を図ることが可能となる。
【0055】
図10〜図12は、磁性流体シール付き軸受を有する魚釣用リールの第2の実施形態を示している。本実施形態では、磁性流体シール付き軸受がスピニングリールに適用される。具体的には、図示のように、スピニングリールのリール本体101には、釣竿に装着されるリール脚102が一体形成されており、その前方には回転可能に支持されたロータ103と、ロータ103の回転運動と同期して前後動可能に支持されたスプール104が配設されている。
【0056】
ロータ103は、スプール104の周囲を回転する一対の腕部103aを備えており、各腕部103aの夫々の前端部には、ベール103bの基端部を取り付けたベール支持部材103cが釣糸巻取り位置と釣糸放出位置との間で回動自在に支持されている。なお、ベール103bの一方の基端部は、ベール支持部材103cに一体的に設けられた釣糸案内部103dに取り付けられている。
【0057】
リール本体101内には、ハンドル軸105が両側の一対の軸受140(図11参照)を介して回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドル106が取り付けられている。また、ハンドル軸105には、巻き取り駆動機構が係合しており、この巻き取り駆動機構は、ハンドル軸105に一体回転可能に装着された駆動ギヤ107と、この駆動ギヤ107に噛合すると共にハンドル軸105と直交する方向に延出し、内部に軸方向に延出する空洞部が形成されたピニオン108とを備えている。
【0058】
ピニオン108は、軸受109を介してリール本体101内に回転可能に支持されるとともに、スプール104側に向けて延出しており、その先端部において、ロータ103が取り付けられている。
【0059】
また、ピニオン108には、その中間部分にころがり式一方向クラッチ110が取り付けられており、リール本体101の外部に設けられた切換操作レバーを回動操作することで一方向クラッチ110を作動させ、ハンドル106(ロータ103)の釣糸繰出し方向の逆回転を防止する公知の逆転防止機構(ストッパ)を構成するようになっている。
【0060】
ピニオン108の内部に形成された空洞部には、ハンドル軸105と直交する方向に延出し、先端側にスプール104を装着したスプール軸112が軸方向に移動可能に挿通されている。また、ピニオン108には、スプール104(スプール軸112)を前後往復動させるための公知のスプール往復動装置113が係合している。
【0061】
このような構成を有する魚釣用スピニングリールにおいて、ハンドル106により巻き取り操作を行うと、ロータ103が巻き取り駆動機構を介して回転駆動される共に、スプール104がスプール往復動装置113を介して前後往復動されるので、釣糸は、釣糸案内部103dを介してスプール104の巻回胴部104aに均等に巻回されるようになっている。
【0062】
そして、本実施形態では、ハンドル軸105を回転可能に支持する軸受140が磁性流体シール付き軸受として構成されている。すなわち、図12に明確に示されるように、この軸受140は、前述した磁性流体シール付き軸受30と同じ構造を成している。なお、軸受140に限らず、軸受109を含む他の軸受が磁性流体シール付き軸受として構成されていても良い。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、磁性流体を保持する形態、および、磁石を保持する構成、その保持部材(極板)の形状等についても適宜変形することが可能である。また、磁性流体によってシールを確保できる限り、保持板、磁石、磁性流体の位置は任意であり、何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 リール本体
5 スプール軸(駆動軸)
6 スプール
8 ハンドル
30,30’,30”,30A,301,302,400 磁性流体シール付き軸受
31 内輪
32 軸受本体
33 密閉板
34,34A 磁性流体シール
35 転動体
36 外輪
37,38 極板(保持板)
39 磁石
99 六角リング(保持手段)
300,300A 保持板
300b 凹所
S シール収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体に内蔵された巻き取り駆動機構に連結されるハンドルの回転操作により、リール本体に支持されたスプールに釣糸が巻回され、前記ハンドルの操作により回転駆動される駆動軸が軸受によって回転可能に支持される魚釣用リールであって、
前記軸受の少なくとも1つが、
磁性体から成る内輪と、磁性体から成る外輪と、内輪と外輪との間に転動可能に介挿される転動体とから成る軸受本体と、
前記軸受本体に一体に保持され、前記内輪または前記外輪との間で磁気回路を形成して前記軸受本体の内部をシールする磁性流体シールと、
を備え、
前記磁性流体シールは、前記内輪または前記外輪との間で磁気回路を形成する磁石と、該磁石を保持する保持板と、前記内輪または前記外輪と前記保持板との間に保持される磁性流体とから成る、
ことを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記磁性流体シールを前記軸受本体に保持させるための保持手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記内輪または前記外輪の一方の軸方向長さが他方の軸方向長さよりも短く設定されることにより前記軸受本体内に形成されるシール収容空間内に、前記磁性流体シールが、その保持板を前記内輪または前記外輪の一方の端面に軸方向で当接させた状態で前記他方の内面と径方向で対向させるように組み込まれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記保持板は、前記磁石を両側から保持する一対の極板から成ることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
前記軸受本体の内側を外部に対して密閉するための密閉板を更に有し、該密閉板が前記極板の一方を兼ねることを特徴とする請求項4に記載の魚釣用リール。
【請求項6】
前記保持板によって保持される前記磁石と前記内輪または前記外輪との間に磁性流体が保持されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の魚釣用リール。
【請求項7】
前記保持板には、リング状の前記磁石を止着するように、リング状の凹所が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の魚釣用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−110(P2013−110A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138063(P2011−138063)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】