説明

鳥かご

【課題】 従来より長期にわたって形状を維持することができる鳥かごを提供する。
【解決手段】 鳥かご10は、L字状の脚部21と、脚部21によって支持されて鳥の飼育空間10aの底面を形成する全体が傾斜した床部22と、飼育空間10aの前後左右の面を形成する壁部のうち鳥かご10の背面側の壁部を形成する背面壁部23と、飼育空間10aの上面を形成する天井部24と、弾性を有するワイヤである弾性ワイヤ40とを備え、鳥の飼育空間10aの境界の少なくとも一部である左側面側の壁部11、正面側の壁部12及び右側面側の壁部が弾性ワイヤ40によって形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥を飼育するための鳥かごに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の鳥かごは、針金や鉄格子を溶接することによって製造されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−285757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の鳥かごにおいては、針金や鉄格子が衝撃で曲がると、鳥かご自体が変形したままになってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、従来より長期にわたって形状を維持することができる鳥かごを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の鳥かごは、弾性を有するワイヤである弾性ワイヤを備え、鳥の飼育空間の境界の少なくとも一部が前記弾性ワイヤによって形成されていることを特徴とする。
【0006】
この構成により、本発明の鳥かごは、弾性ワイヤによって形成された境界が衝撃で一時的に曲がったとしても、弾性ワイヤの弾性によって元の形状に戻るので、従来より長期にわたって形状を維持することができる。
【0007】
また、本発明の鳥かごの前記弾性ワイヤは、複数本のワイヤで編まれていることが好ましい。
【0008】
この構成により、本発明の鳥かごは、弾性ワイヤが複数本の細いワイヤで編まれているので、弾性ワイヤが1本の太いワイヤで構成されている場合と比較して、容易に曲げられることができる。しかも、本発明の鳥かごは、弾性ワイヤが複数本の細いワイヤで編まれているので、弾性ワイヤの任意の箇所において複数本のワイヤが別々の方向に向いており、弾性ワイヤが1本の太いワイヤで構成されている場合と比較して、曲げられた後に真っ直ぐに戻りやすい。
【0009】
また、本発明の鳥かごは、前記弾性ワイヤによって形成されている前記境界において、前記鳥かごが設置された状態での鉛直方向のみに前記弾性ワイヤが延在していることが好ましい。
【0010】
この構成により、本発明の鳥かごは、水平方向に弾性ワイヤが延在している場合と異なり、設置時に重力によって弾性ワイヤが弛むことを防止することができる。
【0011】
また、本発明の鳥かごは、前記弾性ワイヤを固定する固定部材を備え、前記固定部材は、折り返された前記弾性ワイヤを通す複数のワイヤ用孔が並んで形成されていることが好ましい。
【0012】
この構成により、本発明の鳥かごは、簡単な構成で弾性ワイヤによって境界が形成されることができる。
【0013】
また、本発明の鳥かごは、前記固定部材を複数備え、複数の前記固定部材は、一枚の金属の平板を折り曲げて形成されており、前記弾性ワイヤは、複数の前記固定部材の間で複数回折り返されて前記境界の少なくとも一部を形成していることが好ましい。
【0014】
この構成により、本発明の鳥かごは、複数の固定部材が別々の部品で形成されている場合と比較して、製造コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来より長期にわたって形状を維持することができる鳥かごを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
まず、本実施の形態に係る鳥かごの構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る鳥かご10の正面左側からの外観斜視図である。図2は、鳥かご10の底面図である。図3は、鳥かご10の側面断面図である。
【0019】
図1〜図3に示すように、鳥かご10は、L字状の脚部21と、脚部21によって支持されて鳥の飼育空間10aの境界である底面を形成する全体が傾斜した床部22と、飼育空間10aの境界である前後左右の面を形成する壁部のうち鳥かご10の背面側の壁部を形成する背面壁部23と、飼育空間10aの境界である上面を形成する天井部24と、鳥かご10の左側面の一部に配置された扉30と、鳥かご10の境界である左側面側の壁部11、正面側の壁部12及び右側面側の壁部13を形成する弾性を有するワイヤである弾性ワイヤ40と、飼育空間10aで発生して床部22の傾斜を伝わって落ちるゴミを受ける位置に配置されたゴミ受け部51と、脚部21、床部22及び天井部24の位置関係を保持するための円筒形の木製の支柱60と、脚部21の底面の四隅にのり付けされた滑り止め用の薄型の透明なゴムパッド70とを有している。
【0020】
なお、鳥かご10は、主に、文鳥や十姉妹などの三角嘴のフィンチ類を飼育するためのものである。また、飼育空間10aで発生するゴミとしては、例えば、鳥の糞や羽根、籾殻などがある。
【0021】
図4は、脚部21、床部22、背面壁部23及び天井部24の基になる金属の平板20の平面図である。図4に示すように、脚部21、床部22、背面壁部23及び天井部24は、アルミニウムなどの金属の平板20を折り曲げて形成されている。
【0022】
図1〜図3に示すように、脚部21は、ゴミ受け部51を固定するネジ81のネジ部を通すための2つのネジ用孔21a(図4参照。)と、支柱60を固定するネジ82のネジ部を通すためのネジ用孔21bとが形成されている。床部22は、弾性ワイヤ40を通すためのワイヤ用孔22aが左側面側、正面側及び右側面側の端の近傍に多数並んで形成されて弾性ワイヤ40を固定する固定部材を構成しているとともに、支柱60を通すための穴22bが形成されている。床部22の傾斜は、自然にゴミが落ちるように30°〜40°が好ましい。天井部24は、弾性ワイヤ40を通すためのワイヤ用孔24aが左側面側、正面側及び右側面側の端の近傍に多数並んで形成されて弾性ワイヤ40を固定する固定部材を構成しているとともに、使用者によって鳥かご10が持ち上げられるときに使用者の指が挿入されるための4つの持ち手穴24bと、支柱60を固定するネジ82のネジ部を通すためのネジ用孔24cとが形成されている。
【0023】
扉30は、枠31と、枠31の内部に上下に配置された複数の板32と、複数の板32を連結する紐33とを有している。上面側及び底面側の枠31には、弾性ワイヤ40を通すためのワイヤ用孔31aが多数並んで形成されている。
【0024】
図5は、弾性ワイヤ40の正面図であって、弾性ワイヤ40の一部を解いた図である。弾性ワイヤ40は、図5に示すように、鉢を吊るすためなどに使用される園芸用のステンレスのワイヤ40aの複数本で編まれていると良い。
【0025】
図6は、床部22及び弾性ワイヤ40の結合部分と、天井部24及び弾性ワイヤ40の結合部分との部分的に拡大した断面図である。弾性ワイヤ40は、図6に示すように、ワイヤ用孔を通された後、折り返されて、隣のワイヤ用孔を通されている。そして、弾性ワイヤ40は、図1に示すように、2本で扉30とともに壁部11、12及び13を形成している。即ち、2本のうち1本は、床部22のワイヤ用孔22aのうち扉30の底面側のワイヤ用孔31aに対向するワイヤ用孔以外のワイヤ用孔と、天井部24のワイヤ用孔24aと、扉30の上面側のワイヤ用孔31aとを通されて、床部22、天井部24及び扉30の間で複数回折り返されて、壁部11のうち扉30より底面側の部分と、扉30とを除いた部分と、壁部12及び壁部13とを形成している。2本のうち残り1本は、床部22のワイヤ用孔22aのうち扉30の底面側のワイヤ用孔31aに対向するワイヤ用孔と、扉30の底面側のワイヤ用孔31aとを通されて、床部22及び扉30の間で複数回折り返されて、壁部11のうち扉30より底面側の部分を形成している。なお、弾性ワイヤ40は、端部が金具41によって固定されている。弾性ワイヤ40は、壁部11、12及び13において鳥かご10が設置された状態での鉛直方向のみに延在している。
【0026】
図7は、ゴミ受け部51の基になる金属の平板50の平面図である。図7に示すように、ゴミ受け部51は、アルミニウムなどの金属の平板50を折り曲げて形成されている。
【0027】
図1〜図3に示すように、ゴミ受け部51は、のりしろ部分51aに形成されたネジ用孔51b(図7参照。)を通されたネジ81によって脚部21に固定されており、鳥かご10の正面側に配置されて上面が露出している。また、ゴミ受け部51は、のりしろ部分51aの板厚だけ、脚部21との間にスリット51cが設けられている。スリット51cは、ゴミ受け部51の下部に開けられた水抜き用の穴を構成している。
【0028】
支柱60は、床部22の穴22bに通されて、上下の端部でネジ82によって脚部21及び天井部24に固定されている。
【0029】
次に、鳥かご10の製造方法について説明する。
【0030】
まず、平板20及び平板50は、プレス機によって打ち抜かれ、外形や穴などが形成される。
【0031】
次いで、外形や穴などが形成された平板20は、板金工によって立体的に折り曲げられて、脚部21、床部22、背面壁部23及び天井部24として形成される。同様に、平板50は、ゴミ受け部51として形成される。
【0032】
次いで、脚部21、床部22、背面壁部23、天井部24、ゴミ受け部51及び支柱60は、互いに組みつけられてネジ81及びネジ82によって固定される。また、脚部21の底面の四隅には、ゴムパッド70がのり付けされる。
【0033】
最後に、床部22、天井部24及び扉30の間が、弾性ワイヤ40によって編みあげられる。
【0034】
次に、鳥かご10の使用方法について説明する。
【0035】
使用者は、吸水紙をゴミ受け部51に充填して、吸水紙によってスリット51cを塞いでおく。
【0036】
飼育空間10a内の鳥が糞をすると、糞は、床部22の傾斜を伝わって落ちて、ゴミ受け部51に溜まる。糞以外のゴミについても同様に、床部22の傾斜を伝わって落ちて、ゴミ受け部51に溜まる。
【0037】
使用者は、ゴミ受け部51を掃除機で掃除したり、ゴミ受け部51に充填した吸水紙を交換したりすることによって、ゴミ受け部51に溜まった糞などのゴミを簡単に清掃することができる。
【0038】
また、使用者は、ゴミ受け部51に充填した吸水紙を取り除いた状態で、バスルームのシャワーなどによって床部22に水を流すことによって、床部22及びゴミ受け部51を一度に丸ごと洗い流すことができる。床部22の傾斜を流れた水は、ゴミ受け部51に入り、ゴミ受け部51の水抜き用のスリット51cから排出される。
【0039】
以上に説明したように、鳥かご10は、弾性ワイヤ40によって形成された壁部11、12又は13が衝撃で一時的に曲がったとしても、弾性ワイヤ40の弾性によって元の形状に戻るので、従来より長期にわたって形状を維持することができる。
【0040】
また、鳥かご10は、2本の弾性ワイヤ40によって壁部11、12又は13が形成されているので、従来のように多数の針金や鉄格子によって形成されているものと比較して、部品点数を減らすことができる。
【0041】
また、鳥かご10は、2本の弾性ワイヤ40によって壁部11、12又は13が編まれているので、従来のように硬い針金や鉄格子を多数曲げて溶接しているものと比較して、容易に製造することができる。
【0042】
また、鳥かご10は、弾性ワイヤ40によって壁部11、12又は13が形成されているので、従来のように多数の針金や鉄格子によって形成されているものと比較して、新規な美観を提供することができる。
【0043】
また、鳥かご10は、弾性ワイヤ40が複数本の細いワイヤ40aで編まれているので、弾性ワイヤ40が1本の太いワイヤで構成されている場合と比較して、容易に曲げられることができる。しかも、鳥かご10は、弾性ワイヤ40が複数本の細いワイヤ40aで編まれているので、弾性ワイヤ40の任意の箇所において複数本のワイヤ40aが別々の方向に向いており、弾性ワイヤ40が1本の太いワイヤで構成されている場合と比較して、曲げられた後に真っ直ぐに戻りやすい。
【0044】
また、鳥かご10は、弾性ワイヤ40によって形成されている壁部11、12及び13において、鳥かご10が設置された状態での鉛直方向のみに弾性ワイヤ40が延在しているので、水平方向に弾性ワイヤ40が延在している場合と異なり、設置時に重力によって弾性ワイヤ40が弛むことを防止することができる。
【0045】
また、鳥かご10は、折り返された弾性ワイヤ40を通す複数のワイヤ用孔22a、24aがそれぞれ床部22、天井部24に並んで形成されているので、簡単な構成で弾性ワイヤ40によって壁部11、12及び13が形成されることができる。
【0046】
また、鳥かご10は、一枚の金属の平板20を折り曲げて形成された床部22及び天井部24の間で弾性ワイヤ40が複数回折り返されて壁部11、12及び13を形成しているので、床部22及び天井部24が別々の部品で形成されている場合と比較して、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態に係る鳥かごの正面左側からの外観斜視図である。
【図2】図1に示す鳥かごの底面図である。
【図3】図1に示す鳥かごの側面断面図である。
【図4】図1に示す鳥かごの脚部、床部、背面壁部及び天井部の基になる金属の平板の平面図である。
【図5】図1に示す鳥かごの弾性ワイヤの正面図であって、弾性ワイヤの一部を解いた図である。
【図6】図1に示す鳥かごの床部及び弾性ワイヤの結合部分と、天井部及び弾性ワイヤの結合部分との部分的に拡大した断面図である。
【図7】図1に示す鳥かごのゴミ受け部の基になる金属の平板の平面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 鳥かご
10a 飼育空間
11、12、13 壁部(境界)
20 平板
22 床部(固定部材)
22a ワイヤ用孔
24 天井部(固定部材)
24a ワイヤ用孔
40 弾性ワイヤ
40a ワイヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有するワイヤである弾性ワイヤを備え、
鳥の飼育空間の境界の少なくとも一部が前記弾性ワイヤによって形成されていることを特徴とする鳥かご。
【請求項2】
前記弾性ワイヤは、複数本のワイヤで編まれていることを特徴とする請求項1に記載の鳥かご。
【請求項3】
前記弾性ワイヤによって形成されている前記境界において、前記鳥かごが設置された状態での鉛直方向のみに前記弾性ワイヤが延在していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鳥かご。
【請求項4】
前記弾性ワイヤを固定する固定部材を備え、
前記固定部材は、折り返された前記弾性ワイヤを通す複数のワイヤ用孔が並んで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の鳥かご。
【請求項5】
前記固定部材を複数備え、
複数の前記固定部材は、一枚の金属の平板を折り曲げて形成されており、
前記弾性ワイヤは、複数の前記固定部材の間で複数回折り返されて前記境界の少なくとも一部を形成していることを特徴とする請求項4に記載の鳥かご。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−263900(P2008−263900A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113589(P2007−113589)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【特許番号】特許第4011611号(P4011611)
【特許公報発行日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(507134172)
【Fターム(参考)】