説明

鳥害防止用ケーブル保護具

【課題】光ドロップケーブルの弛み部分が鳥によって食い千切られるのを確実に防止することができる鳥害防止用ケーブル保護具を提供する。
【解決手段】鳥害防止用ケーブル保護具10は、長手方向に沿って見たときに上部から左右に2分割可能な筒状の本体11と、本体11の内面に形成された、かつ、光ドロップケーブル1に鳥害防止用ケーブル保護具10を装着したときに光ドロップケーブル1の外被に食い込む突起12とを具備する。また、本体11の光ドロップケーブル1に鳥害防止用ケーブル保護具10を装着したときに光ドロップケーブル1の首部と接触する部分の内面には、凸部11aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害防止用ケーブル保護具に関し、特に、FTTH(Fiber To The Home)などで用いられている光ドロップケーブルの弛み部分に適用するのに好適な鳥害防止用ケーブル保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FTTHなどで用いられている光ドロップケーブル1は、図5(a)に示すように、心線1aおよび心線1aを挟んで配置された2本のテンションメンバ1bを外被で覆った本体部と、支持線1cを外被で覆った支持線部と、本体部と支持線部とを接続する首部とからなる。
このような光ドロップケーブル1は、テンションメンバ1bに繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)を用いており、軽量で細く柔軟性に優れているため、建物などに敷設し易い優れたものである。
【0003】
光ドロップケーブル1は、このように優れた特徴を有するものであるが、ドロップクロージャ3から建物内への引込みまでの間においては、支線系光ケーブル2と螺旋状ハンガー4などを用いて一束化されて敷設されている。
【0004】
このとき、光心線1aに張力が掛かるのを防いだり水切りを行ったりするために、図5(b)に示すようにドロップクロージャ3から引き出された光ドロップケーブル1に弛みを持たせている。
また、建物への分岐点では、光ドロップケーブル1は支線系光ケーブル2のメッセンジャワイヤ2aに取り付けられた金物に光ドロップケーブル1の支持線1cを固定して分岐されるが、この金物付近でも光ドロップケーブル1に弛みを持たせて、光心線1aに張力が掛かるのを防いだり水切りを行ったりしている。
さらに、建物内への引込み個所では、建物の壁などに取り付けられた金物に光ドロップケーブル1の支持線1cを固定しているが、この金物付近でも光ドロップケーブル1に弛みを持たせて、光心線1aに張力が掛かるのを防いだり水切りを行ったりしている。
【0005】
なお、本出願人は、下記の特許文献1において、鳥害の影響を受け易い部位を容易に保護して鳥害に起因する心線の断線を確実に防止するために、ケーブル接続用クロージャと螺旋状ハンガーとの離間部位に着脱可能なクランプカバーを取り付けて、引き込みの際の分岐点となるケーブル部位の表面を保護する保護部を設けた、ケーブル引込部の構造を提案している。
下記の特許文献2には、鳥虫獣害からケーブルを保護するために、ケーブルの外周に巻き付けられるケーブル防護カバーであって、ケーブル防護カバーの構成材料に辛味成分を含むケーブル防護カバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−008771号公報
【特許文献2】特開2005−039904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、都市部では、鳥の巣設営に伴い鳥が光ドロップケーブル1の弛み部分を食い千切り、光ドロップケーブル1を紛失することが認められており、回線障害に伴うサービス停止が生じるケースが発生している。
このような鳥害による回線障害に対しては効果的な防護策を施すことが要請されており、光ドロップケーブル1の弛み部分に螺旋状スリーブを巻くことも考えられるが、光ドロップケーブル1自体が大変細いため、螺旋状スリーブとして使用する適切材料がないといいう問題がある。
【0008】
なお、上記の特許文献1において本出願人が提案しているケーブル引込部の構造は、ケーブル接続用クロージャの後端部から螺旋状ハンガーが取り付けられている先端部までの離間部位に形成された水切り部分をクランプカバーでケーブル接続用クロージャなどを支持するための支持線と共に挟み込むように構成したものである(公報の段落0025参照)。
【0009】
また、上記の特許文献2に開示されているような保護カバーでは、鳥が光ドロップケーブルを食い千切らないようにすることはできるが、鳥が保護カバーを突くと保護カバーがずれてしまうことが全く考慮されておらず、鳥が保護カバーを突くと保護カバーがずれてしまい光ドロップケーブルが露出してしまうため、光ドロップケーブルの露出した部分が鳥によって食い千切られるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、光ドロップケーブルの弛み部分が鳥によって食い千切られるのを確実に防止することができる鳥害防止用ケーブル保護具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の鳥害防止用ケーブル保護具は、光ドロップケーブル(1)の弛み部分が鳥によって食い千切られるのを防ぐための鳥害防止用ケーブル保護具(10;20)であって、長手方向に沿って見たときに上部から左右に2分割可能な筒状の本体(11;21)と、該本体の内面に形成された、かつ、前記光ドロップケーブルに前記鳥害防止用ケーブル保護具を装着したときに先端が該光ドロップケーブルの外被に食い込む突起(12;22)とを具備し、前記本体の前記光ドロップケーブルに前記鳥害防止用ケーブル保護具を装着したときに該光ドロップケーブルの首部と接触する部分の内面に、凸部(11a;12a)が形成されていることを特徴とする。
ここで、前記本体(11)の上部に、切れ目が形成されていてもよい。
前記本体の上部を閉じた状態では該本体の上部両端部が重なり合って、前記鳥害防止用ケーブル保護具(20)を前記光ドロップケーブルに巻き付けて装着できるようにされていてもよい。
前記本体の底部に、水抜き穴が所定の間隔で設けられていてもよい。
本発明の第2の鳥害防止用ケーブル保護具は、複数本の光ドロップケーブル(1)の弛み部分が鳥によって食い千切られるのを防ぐための鳥害防止用ケーブル保護具(30)であって、本発明の第1の鳥害防止用ケーブル保護具(10;20)からなる、かつ、前記複数本の光ドロップケーブルのうちの1本の光ドロップケーブルを保護するための第1の保護具(31)と、上部中央部が該第1の保護具の底部中央部に固定された、かつ、長手方向に沿って見たときに底部から左右に2分割可能な筒状の、かつ、前記複数本の光ドロップケーブルのうちの残りの光ドロップケーブルを一括して保護するための第2の保護具(32)とを具備することを特徴とする。
ここで、前記第1の保護具の本体の底部、前記第2の保護具の上部の該第1の保護具の水抜き穴と重なる位置および前記第2の保護具の底部に、水抜き穴が所定の間隔で設けられていてもよい。
本発明の第3の鳥害防止用ケーブル保護具は、複数本の光ドロップケーブル(1)の弛み部分が鳥によって食い千切られるのを防ぐための鳥害防止用ケーブル保護具(40)であって、前記鳥害防止用ケーブル保護具の周方向に沿って等間隔に配設された、かつ、前記複数本の光ドロップケーブルをそれぞれ保護するための複数本の保護具(41〜45)と、該複数本の保護具の底部によって囲まれて形成される貫通孔に挿通されたテンションメンバ(46)とを具備し、前記複数本の保護具が、本発明の第1の鳥害防止用ケーブル保護具(10;20)からなることを特徴とする。
ここで、前記複数の保護具の本体の前記複数本の光ドロップケーブルへの装着後に下方を向く部分に、水抜き穴が所定の間隔で設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の鳥害防止用ケーブル保護具は、以下の効果を奏する。
(1)鳥が鳥害防止用ケーブル保護具を突いて鳥害防止用ケーブル保護具がずれることを突起および凸部によって防げるため、光ドロップケーブルの弛み部分が鳥によって食い千切られるのを確実に防止することができる。
(2)鳥害防止のほかに、光ドロップケーブルを機械的に保護することもできる。
(3)構造が簡単であるため、押出し構造による製造が可能であり、製造コストの低減が期待できる。
(4)本発明の第3の鳥害防止用ケーブル保護具は、屋内用配線の保護としても集約スペーサとしても機能させることができる。
(5)本発明の第3の鳥害防止用ケーブル保護具をLANケーブルなどの集約スペーサとして用いた場合、回線系統ごとに分けることができ、物理的に効率良く集約でき、かつ、視覚的に判断し易いためタグとしての機能も期待できる。このため、障害時のケーブル調査では、当該ケーブルを素早く特定することができるなどの効果が期待できる。また、ケーブルの不具合があった場合でも、着脱が極めて簡単で作業性がよい。
(6)本発明の第3の鳥害防止用ケーブル保護具では、テンションメンバを持たないケーブルを容易に支持することができるため、脱落防止リングを用いることで機械的に安定したケーブルの保持が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例による鳥害防止用ケーブル保護具10の構成を示す図であり、(a)は本体11の上部を閉じた状態を示す横断面図、(b)は本体11の上部を開いた状態を示す横断面図、(c)は本体11内に光ドロップケーブル1を収納した状態を示す横断面図、(d)は本体11で光ドロップケーブル1を覆った状態を示す横断面図、(e)はドロップクロージャ3から引き出された光ドロップケーブル1の弛み部を鳥害防止用ケーブル保護具10で覆った状態を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例による鳥害防止用ケーブル保護具20の構成を示す図であり、(a)は本体21の上部を閉じた状態を示す横断面図、(b)は本体21の上部を開いた状態を示す横断面図、(c)は本体21内に光ドロップケーブル1を収納した状態を示す横断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例による鳥害防止用ケーブル保護具30の構成を示す図であり、(a)は8本の光ドロップケーブル1に装着する前の状態を示す横断面図、(b)は8本の光ドロップケーブル1に装着した状態を示す横断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例による鳥害防止用ケーブル保護具40の構成を示す図であり、(a)は5本の光ドロップケーブル1に装着する前の状態を示す横断面図、(b)は5本の光ドロップケーブル1に装着した状態を示す横断面図である。
【図5】光ドロップケーブル1について説明するための図であり、(a)は光ドロップケーブル1の構成を示す横断面図、(b)はドロップクロージャ3から引き出された光ドロップケーブル1の弛み部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の目的を、長手方向に沿って見たときに上部から左右に2分割可能な筒状の本体の内面に突起を形成するとともに、本体の光ドロップケーブルの首部と接触する部分の内面に凸部を形成することにより実現した。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の鳥害防止用ケーブル保護具の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施例による鳥害防止用ケーブル保護具10(以下、「ケーブル保護具10」と称する。)は、左右二分割型のもの(長手方向に沿って見たときに上部から左右に2分割可能なもの)であり、図1(a)に横断面図(長手方向に対して垂直な方向に切ったときに長手方向に沿って見た断面図)で示すように、上部に切れ目が形成された筒状の本体11と、本体11の内面に形成された突起12とを具備する。
【0016】
ここで、本体11は、ゴムやプラスチックなどの可撓性および弾力性を有する部材から構成されており、また、本体11を左右に分割しない限り図1(a)に示すように上部は閉じて、図1(d)に示すように光ドロップケーブル1にケーブル保護具10を装着した状態では円錐形状の突起12の先端が光ドロップケーブル1の外被に食い込んで突起12によって光ドロップケーブル1を保持できる形状および寸法とされている。
また、本体11の光ドロップケーブル1にケーブル保護具10を装着したときに光ドロップケーブル1の首部と接触する部分の内面には、凸部11aが形成されている。
これにより、光ドロップケーブル1をケーブル保護具10によってしっかりと保持することができるため、図1(e)に示すように光ドロップケーブル1の弛み部にケーブル保護具10を装着した後に鳥に突かれてもケーブル保護具10がずれないようにすることができる。
【0017】
なお、突起12は、本体11の光ドロップケーブル1の支持線部(図5(a)参照)と接触する部分にのみ形成して、突起12によって光ドロップケーブル1の心線1aが万が一にも傷付くことがないようにしてもよい。
また、突起12の先端が光ドロップケーブル1の支持線1cに多少当たっても支障はないため、本体11の光ドロップケーブル1の支持線部と接触する部分に形成する突起12の高さ(底面から先端までの長さ)を大きくして、光ドロップケーブル1の保持力を大きくするようにしてもよい。
【0018】
冬季においては本体11と光ドロップケーブル1との間の雨水が凍る場合があり、凍結による膨張で心線1aに曲げ力がかかることがあるため、本体11の底部にたとえば10cm間隔で水抜き穴を設けるようにしてもよい。
【0019】
次に、ケーブル保護具10の使用方法について、図5(b)に示したドロップクロージャ3から引き出された光ドロップケーブル1の弛み部にケーブル保護具10を装着する場合を例として説明する。
作業員は、図1(b)に示すようにケーブル保護具10の本体11を左右に分割して本体11の上部を開き、図1(c)に示すように本体11の上部から光ドロップケーブル1の本体部を先にして本体11内に光ドロップケーブル1を収納したのち、図1(d)に示すように本体11の上部を閉じる作業を、光ドロップケーブル1のドロップクロージャ3からの引出し部分から螺旋状ハンガー4の端部手前部分まで繰り返すことにより、ドロップクロージャ3から引き出された光ドロップケーブル1の弛み部にケーブル保護具10を装着して行く。
【0020】
なお、建物への分岐点や建物内への引込み個所における光ドロップケーブル1の弛み部分についても、同様の作業によりケーブル保護具10を装着する。
【実施例2】
【0021】
次に、本発明の第2の実施例による鳥害防止用ケーブル保護具について、図2(a)〜(d)を参照して説明する。
本実施例による鳥害防止用ケーブル保護具20(以下、「ケーブル保護具20」と称する。)は、図2(a)〜(d)に示すように、本体21の上部を閉じた状態では本体21の上部両端部が重なり合う(すなわち、本体21の上部の一端側の外面と他端側の内面とが密着する)ようにすることにより、ケーブル保護具20を光ドロップケーブル1に巻き付けて装着することができるようにされている点で、上述した第1の実施例によるケーブル保護具10と異なる。
【0022】
そのため、光ドロップケーブル1を本体21内に収納したときに光ドロップケーブル1の支持線部と接触する本体21の上部の一端部(図2(a)図示右側部)の内面には突起22が形成されているが、本体21の上部の他端部(図2(a)図示左側部)の内面には突起22が形成されていない。
【0023】
次に、ケーブル保護具20の使用方法について、図5(b)に示したドロップクロージャ3から引き出された光ドロップケーブル1の弛み部にケーブル保護具20を装着する場合を例として説明する。
作業員は、図2(b)に示すようにケーブル保護具20の本体21を左右に分割して本体21の上部を開き、図2(c)に示すように本体21の上部から光ドロップケーブル1の本体部を先にして本体21内に光ドロップケーブル1を収納したのち、本体21の上部の一端側を光ドロップケーブル1の支持線部に被せた後で本体21の上部の他端側を本体21の上部の一端側に被せることにより図2(d)に示すように本体21の上部を閉じる作業を、光ドロップケーブル1のドロップクロージャ3からの引出し部分から螺旋状ハンガー4の端部手前部分まで繰り返すことにより、ドロップクロージャ3から引き出された光ドロップケーブル1の弛み部にケーブル保護具20を装着して行く。
【0024】
なお、建物への分岐点や建物内への引込み個所における光ドロップケーブル1の弛み部分についても、同様の作業によりケーブル保護具20を装着する。
【実施例3】
【0025】
次に、本発明の第3の実施例による鳥害防止用ケーブル保護具について、図3(a),(b)を参照して説明する。
本実施例による鳥害防止用ケーブル保護具30(以下、「ケーブル保護具30」と称する。)は、ドロップクロージャ3から複数本の光ドロップケーブル1が引き出されているような場合などに使用するものであり、図3(a)に示すように、複数本の光ドロップケーブル1のうちの1本の光ドロップケーブル1を保護するための第1の保護具31と、上部中央部が第1の保護具31の底部中央部に固定された、かつ、複数本の光ドロップケーブル1のうちの残りの光ドロップケーブル1を一括して保護するための第2の保護具32とを具備する。
【0026】
ここで、第1の保護具31は、上述した第1の実施例によるケーブル保護具10と同様の構成のものである。
【0027】
第2の保護具32は、第1の保護具31と同様に左右二分割型の筒状のものであるが、長手方向に沿って見たときに底部から左右に2分割可能なものである。
すなわち、第2の保護具32は、複数本の光ドロップケーブル1を底部側から収納するようにされているとともに、底部を閉じた状態では底部両端部が重なり合う(すなわち、底部の一端側の外面と他端側の内面とが密着する)ようにされている。
【0028】
次に、ケーブル保護具30の使用方法について、図5(b)に示したドロップクロージャ3から引き出された8本の光ドロップケーブル1の弛み部にケーブル保護具30を装着する場合を例として説明する。
作業員は、第1の実施例によるケーブル保護具10の使用方法の説明で図1(b)〜(d)に示した同様に、第1の保護具31の本体を左右に分割して本体の上部を開き、ドロップクロージャ3から引き出された8本の光ドロップケーブル1のうちの1本の光ドロップケーブル1を本体の上部からこの光ドロップケーブル1の本体部を先にして本体11内に収納したのち、本体の上部を閉じる作業を、この光ドロップケーブル1のドロップクロージャ3からの引出し部分から螺旋状ハンガー4の端部手前部分まで繰り返すことにより、この光ドロップケーブル1の弛み部に第1の保護具31を装着して行く。
【0029】
続いて、作業員は、第2の保護具32を左右に分割して第2の保護具32の底部を開き、ドロップクロージャ3から引き出された8本の光ドロップケーブル1のうちの残りの7本の光ドロップケーブル1を第2の保護具32の底部から第2の保護具32内に収納したのち、第2の保護具32の底部を閉じる作業を、これらの7本の光ドロップケーブル1のドロップクロージャ3からの引出し部分から螺旋状ハンガー4の端部手前部分まで繰り返すことにより、これら7本の光ドロップケーブル1の弛み部に第2の保護具32を装着して行く。
【0030】
これにより、図3(b)に示すように、ドロップクロージャ3から引き出された8本の光ドロップケーブル1のうちの1本の光ドロップケーブル1が鳥によって食い千切られることを第1の保護具31で保護することができるとともに、残りの7本の光ドロップケーブル1が鳥によって食い千切られることを第2の保護具32によって保護することができる。
また、1本の光ドロップケーブル1は第1の保護具31によってしっかりと保持することができるため、鳥に突かれてもケーブル保護具30がずれないようにすることができる。
【0031】
なお、第1の保護具31の本体の底部にたとえば10cm間隔で水抜き穴を設けるとともに、第2の保護具32の上部の第1の保護具31の水抜き穴と重なる位置および第2の保護具32の底部にたとえば10cm間隔で水抜き穴を設けて、冬季における雨水の凍結による膨張によって8本の光ドロップケーブル1の心線1aに曲げ力がかかることを防止するようにしてもよい。
【0032】
また、第1の保護具31は、第1の実施例によるケーブル保護具10と同様の構成のものとしたが、上述した第2の実施例によるケーブル保護具20と同様の構成のものとしてもよい。
【実施例4】
【0033】
次に、本発明の第4の実施例による鳥害防止用ケーブル保護具について、図4(a),(b)を参照して説明する。
本実施例による鳥害防止用ケーブル保護具40(以下、「ケーブル保護具40」と称する。)は、ドロップクロージャ3から5本の光ドロップケーブル1が引き出されているような場合などに使用するものであり、図4(a)に示すように、ケーブル保護具40の周方向に沿って等間隔に配設された(すなわち、ケーブル保護具40の長手方向に沿って見た時に第1乃至第5の保護具41〜45の上部が中心点から72度の間隔で位置するように放射状に配設された)第1乃至第5の保護具41〜45と、第1乃至第5の保護具41〜45の底部によって囲まれて形成される貫通孔に挿通されたテンションメンバ(張力体)46とを具備する。
【0034】
ここで、第1乃至第5の保護具41〜45は、上述した第1の実施例によるケーブル保護具10と同様の構成のものである。

テンションメンバ46は、5本の光ドロップケーブル1の機械的強度を向上させるためのものである。
【0035】
次に、ケーブル保護具40の使用方法について、図5(b)に示したドロップクロージャ3から引き出された5本の光ドロップケーブル1の弛み部にケーブル保護具40を装着する場合を例として説明する。
作業員は、第1の実施例によるケーブル保護具10の使用方法の説明で図1(b)〜(d)に示した同様に、第1の保護具41の本体を左右に分割して本体の上部を開き、ドロップクロージャ3から引き出された5本の光ドロップケーブル1のうちの1本の光ドロップケーブル1を本体の上部からこの光ドロップケーブル1の本体部を先にして本体内に収納したのち、本体の上部を閉じる作業を、この光ドロップケーブル1のドロップクロージャ3からの引出し部分から螺旋状ハンガー4の端部手前部分まで繰り返すことにより、この光ドロップケーブル1の弛み部に第1の保護具41を装着して行く。
【0036】
続いて、作業員は、同様の作業を残りの4本の光ドロップケーブル1に対して繰り返すことにより、4本の光ドロップケーブル1の弛み部に第2乃至第5の保護具42〜45をそれぞれ装着する。
【0037】
これにより、図4(b)に示すように、ドロップクロージャ3から引き出された5本の光ドロップケーブル1が鳥によって食い千切られることを第1乃至第5の保護具41〜45で保護することができる。
【0038】
なお、第1乃至第5の保護具41〜45の本体の5本の光ドロップケーブル1への装着後に下方を向く部分にたとえば10cm間隔で水抜き穴を設けて、冬季における雨水の凍結による膨張によって5本の光ドロップケーブル1の心線1aに曲げ力がかかることを防止するようにしてもよい。
【0039】
また、第1の保護具41によって1本の光ドロップケーブル1をしっかりと保持することができるため、鳥に突かれてもケーブル保護具40がずれないようにすることができるので、第2乃至第5の保護具42〜45には突起(図1(a)に示した突起12参照)を形成しなくてもよい。
【0040】
さらに、第1乃至第5の保護具41〜45は、第1の実施例によるケーブル保護具10と同様の構成のものとしたが、上述した第2の実施例によるケーブル保護具20と同様の構成のものとしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 光ドロップケーブル
1a 心線
1b テンションメンバ
1c 支持線
2 支線系光ケーブル
2a メッセンジャワイヤ
3 ドロップクロージャ
4 螺旋状ハンガー
10,20,30,40 ケーブル保護具
11,21 本体
11a,21a 凸部
12,22 突起
31 第1の保護具
32 第2の保護具
41〜45 第1乃至第5の保護具
46 テンションメンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ドロップケーブル(1)の弛み部分が鳥によって食い千切られるのを防ぐための鳥害防止用ケーブル保護具(10;20)であって、
長手方向に沿って見たときに上部から左右に2分割可能な筒状の本体(11;21)と、
該本体の内面に形成された、かつ、前記光ドロップケーブルに前記鳥害防止用ケーブル保護具を装着したときに先端が該光ドロップケーブルの外被に食い込む突起(12;22)とを具備し、
前記本体の前記光ドロップケーブルに前記鳥害防止用ケーブル保護具を装着したときに該光ドロップケーブルの首部と接触する部分の内面に、凸部(11a;12a)が形成されている、
ことを特徴とする、鳥害防止用ケーブル保護具。
【請求項2】
前記本体(11)の上部に、切れ目が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の鳥害防止用ケーブル保護具。
【請求項3】
前記本体の上部を閉じた状態では該本体の上部両端部が重なり合って、前記鳥害防止用ケーブル保護具(20)を前記光ドロップケーブルに巻き付けて装着できるようにされていることを特徴とする、請求項1記載の鳥害防止用ケーブル保護具。
【請求項4】
前記本体の底部に、水抜き穴が所定の間隔で設けられていることを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の鳥害防止用ケーブル保護具。
【請求項5】
複数本の光ドロップケーブル(1)の弛み部分が鳥によって食い千切られるのを防ぐための鳥害防止用ケーブル保護具(30)であって、
請求項1乃至4いずれかに記載の鳥害防止用ケーブル保護具(10;20)からなる、かつ、前記複数本の光ドロップケーブルのうちの1本の光ドロップケーブルを保護するための第1の保護具(31)と、
上部中央部が該第1の保護具の底部中央部に固定された、かつ、長手方向に沿って見たときに底部から左右に2分割可能な筒状の、かつ、前記複数本の光ドロップケーブルのうちの残りの光ドロップケーブルを一括して保護するための第2の保護具(32)と、
を具備することを特徴とする、鳥害防止用ケーブル保護具。
【請求項6】
前記第1の保護具の本体の底部、前記第2の保護具の上部の該第1の保護具の水抜き穴と重なる位置および前記第2の保護具の底部に、水抜き穴が所定の間隔で設けられていることを特徴とする、請求項5記載の鳥害防止用ケーブル保護具。
【請求項7】
複数本の光ドロップケーブル(1)の弛み部分が鳥によって食い千切られるのを防ぐための鳥害防止用ケーブル保護具(40)であって、
前記鳥害防止用ケーブル保護具の周方向に沿って等間隔に配設された、かつ、前記複数本の光ドロップケーブルをそれぞれ保護するための複数本の保護具(41〜45)と、
該複数本の保護具の底部によって囲まれて形成される貫通孔に挿通されたテンションメンバ(46)とを具備し、
前記複数本の保護具が、請求項1乃至4いずれかに記載の鳥害防止用ケーブル保護具(10;20)からなる、
ことを特徴とする、鳥害防止用ケーブル保護具
【請求項8】
前記複数の保護具の本体の前記複数本の光ドロップケーブルへの装着後に下方を向く部分に、水抜き穴が所定の間隔で設けられていることを特徴とする、請求項7記載の鳥害防止用ケーブル保護具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−139109(P2012−139109A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291856(P2010−291856)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】