説明

鳥害防止装置

【課題】容易かつ確実に鳥害を防止すること。
【解決手段】磁性材料を含み、シート形状をなすマグネットシート101と、マグネットシート101に取り付けられ、マグネットシート101の他面側から突出する複数の鳥害防止用突起部材102、401と、を備え、鳥害防止用突起部材102、401が、それぞれ、隣接する鳥害防止用突起部材102、401に対して所定の間隔を空けた状態で配置された鳥害防止装置100を構成した。これにより、鉄塔を構成する鉄塔部材701にマグネットシート101を貼り付けるだけで、鉄塔部材701における任意の位置に鳥害防止装置100を設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鳥を原因とした鉄塔における被害を防止する鳥害防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧送電線鉄塔に飛来した鳥を原因とした短絡事故や、鳥が巣作りのために運んできた巣材を原因とした地絡事故などの各種の事故およびこのような事故に起因する被害(以下「鳥害」という)の発生を防止することを目的として、各種の技術が考案されていた。
【0003】
具体的には、従来、たとえば一方の操作棒の先端部の把握具に、鳥害防止ワイヤの一端部を取り付けた支柱を把持して、この支柱の下端部に装着された取付具をアングル材に装入し、また他方の操作棒の先端部に装着されたドライバーのアタッチメントを上記取付具に装着されたボルトに嵌合し、上記ドライバーを駆動して上記ボルトを螺入することにより、鳥害防止用ワイヤーを簡単に張設できるようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照)。
【0004】
また、具体的には、従来、たとえば、棒状体の一端部に、電線鉄塔のアングル材の上面から突出した組立用既設ボルトに螺合するねじ穴を設けるとともに、他端側に、既設ボルトに固定した状態でほぼ垂直に起立する係止部を設け、係止部には通し孔を設けて、鳥害防止線の端部を通し巻き留め、固定部をアングル材の端部の既設ボルトに取り付けることにより、係止部に鳥害防止線を留め、アングル材上に鳥害防止線を張ることができるようにした技術があった(たとえば、下記特許文献2を参照)。
【0005】
また、具体的には、従来、たとえば、鉄塔に飛来した鳥を感知する鳥感知センサと、鳥類,猛獣等の鳴声の合成音,カラスの警戒鳴声を複数種類記憶させた音声記憶回路と、該音声記憶回路に記憶された音声の中から種類をランダムに選択しアンプを通してスピーカに発声させる音声選択出力回路と、太陽電池により昼間時に充電されるようにした作動電源用二次電池とからなり、鳥感知センサが作動するに従い音声記憶回路からランダムに選択された威嚇音を周囲に発声させるようにした技術があった(たとえば、下記特許文献3を参照)。
【0006】
また、具体的には、従来、たとえば、支持部材の上部のケース内の軸部に線材を巻回し、線材を巻き取る方向に付勢するばね材を軸部に内蔵し、開口部から線材を導出して導電線鉄塔の部材に取着し、強風などにより線材が切断すると、一方の切れはしはばね材のばね力によりケース内の軸部に自動的に巻き取られるようにした技術があった(たとえば、下記特許文献4を参照)。
【0007】
また、具体的には、従来、たとえば、高出力マイクロ波発振器と放射電波の広がり角の狭いアンテナとアンテナを左・右に振らせる走査機構から構成され、飛来した鳥類にマイクロ波を当てることによって、鳥類が飛来して高圧送電鉄塔等に接近し、送電線事故や糞害を惹起するのを防止するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献5を参照)。
【0008】
また、具体的には、従来、たとえば、鉄塔のアーム、送電線、電柱の腕金、変圧器、開閉器、または配電線などに沿って取り付けられる電気絶縁体材料からなる線状体と、該線状体の表面に線状体の周方向に沿って突出された複数の電気絶縁材料からなる盤状体と、鉄塔のアーム、送電線、電柱の腕金、変圧器、開閉器、または配電線などの上部に取り付けられ、線状体を支持する取り付け具と、を備え、電気絶縁体の線状体によって鉄塔のアーム等に鳥が止まることを防止するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献6を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平05−130721号公報
【特許文献2】特開平07−274362号公報
【特許文献3】特開平09−107865号公報
【特許文献4】特開平11−122776号公報
【特許文献5】特開平11−332447号公報
【特許文献6】特開2001−045954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術では、ワイヤーの取り付けに別装置をつける必要があり、部品点数が多くなり、取り付け作業が煩雑になってしまうという問題があった。また、上述した特許文献2に記載された従来の技術では、鉄塔部材のボルトを利用して取り付けるものであるため、取り付けた後に鉄塔上で作業をおこなう際に歩行の邪魔になってしまうという問題があった。
【0011】
また、上述した特許文献3に記載された従来の技術では、鳥類が飛来したときにセンサーにより感知し音声を発するものであるため、本技術を市街地等の人家が密集している地域において使用する場合は苦情の対象になりかねず、利用環境が制限されてしまうという問題があった。また、上述した特許文献4に記載された従来の技術では、部材上に張られた線材を巻き取るための装置が、部材上を歩行するときに邪魔になってしまうという問題があった。
【0012】
また、上述した特許文献5に記載された従来の技術では、高圧電源を必要とするため、安定した電源を確保しなくてはならず、利用環境が制限されてしまうという問題があった。また、上述した特許文献6に記載された従来の技術では、鉄塔上で作業をおこなう際に、電気絶縁体の線状体が歩行の邪魔になってしまうという問題があった。
【0013】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、容易かつ確実に鳥害を防止することができる鳥害防止装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、取り付け対象箇所を限定することなく、鉄塔における任意の位置に取り付けることができる鳥害防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる鳥害防止装置は、磁性材料を含み、シート形状をなすマグネットシートと、前記マグネットシートに取り付けられ、前記マグネットシートの他面側から突出する複数の鳥害防止用突起部材と、を備え、前記鳥害防止用突起部材は、それぞれ、隣接する前記鳥害防止用突起部材に対して所定の間隔を空けた状態で配置されていることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる鳥害防止装置は、上記の発明において、前記マグネットシートが、当該マグネットシートを厚さ方向に貫通する複数の孔を備え、前記鳥害防止用突起部材が、前記複数の孔にそれぞれ挿入される突状体と、当該突状体を支持するとともに前記マグネットシートに固定される固定部材と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる鳥害防止装置は、上記の発明において、前記突状体が、加えられた外力に応じて変形する可撓性、および、前記外力から解放された場合に当該外力が加えられる前の所定の形状に復帰する弾性を有する材料を用いて形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる鳥害防止装置は、上記の発明において、前記鳥害防止用突起部材が、前記マグネットシートに対して取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる鳥害防止装置は、上記の発明において、前記マグネットシートが、破線状に配列され前記マグネットシートを厚さ方向に貫通する複数の孔を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明にかかる鳥害防止装置によれば、容易かつ確実に鳥害を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置を示す説明図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置の構成部品を示す説明図(その1)である。
【図3】この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置の構成部品を示す説明図(その2)である。
【図4】この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置の構成部品を示す説明図(その3)である。
【図5】この発明にかかる別の実施の形態の鳥害防止装置を示す説明図(その1)である。
【図6】この発明にかかる別の実施の形態の鳥害防止装置を示す説明図(その2)である。
【図7】この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置の設置例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる鳥害防止装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
(鳥害装置の構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置を示す説明図である。図2および図3は、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置の構成部品を示す説明図である。図1、図2および図3において、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100は、マグネットシート101と、鳥害防止用突起部材102と、を備えている。
【0024】
マグネットシート101は、磁性材料を含み、シート形状をなしている。具体的には、マグネットシート101は、たとえば、厚さが1mm程度、幅が30mm〜40mm程度の長尺形状とすることができる。磁性材料は、たとえば、フェライト磁石の素材であるフェライトパウダーを用いることができる。
【0025】
マグネットシート101は、たとえば、フェライトパウダーをゴム材料に分散させ、シート形状に成形することによって形成することができる。ゴム材料は、たとえば、シリコンゴムなど、耐候性を備えた特殊ゴムであることが好ましい。マグネットシート101は、フェライトパウダーの向きが等しく、どの面にも着磁を発揮する等方性マグネットシートによって実現することができる。また、マグネットシート101は、フェライトパウダーの向きが一方方向な材質を含み、磁力が強い異方性マグネットシートによって実現してもよい。
【0026】
また、マグネットシート101は、一面側(鳥害防止装置100を設置した場合の表面側)が着色されていてもよい。この場合、マグネットシート101は、たとえば、鳥害防止装置100の設置位置(たとえば鉄塔部材(図7を参照)など)と同系色に着色することができる。これによって、鳥害防止装置100が設置されていることをわかりにくくすることができる。鳥害防止装置100が設置されていることをわかりにくくすることにより、鳥害防止装置100の設置によって美観が損なわれることを抑制することができる。
【0027】
あるいは、マグネットシート101は、鳥害防止装置100の設置位置とは異なる色に着色されていてもよい。これによって、鳥害防止装置100を目立たせ、鳥害防止装置100が設置されていること、および、鳥害防止装置100の設置位置を明確に案内することができる。そして、鳥害防止装置100の設置位置を明確に案内することにより、たとえば、鳥害防止装置100およびその設置状態を鉄塔の下方から確認させやすくすることができる。これにより、劣化などによって不用意に脱落する前に鳥害防止装置100を取り外したり、新しい鳥害防止装置100に取り替えたりすることができ、劣化による鳥害防止装置100の落下を防止することができる。
【0028】
マグネットシート101は、当該マグネットシート101を厚さ方向に貫通する複数の孔101aを備えている。複数の孔101aは、それぞれ、隣接する孔101aに対して所定の間隔を空けて設けられている。具体的には、たとえば、複数の孔101aの直径をそれぞれ0.5mm程度とし、複数の孔101aどうしの間隔を5mm間隔とすることができる。
【0029】
また、具体的には、複数の孔101aは、たとえば、鳥害防止の対象とする鳥の大きさに応じた間隔で配置されている。すなわち、鳥害防止装置100の設置対象とする鉄塔の建設位置(場所、周辺環境など)や鉄塔における鳥害防止装置100の設置対象とする高さなどに応じて鳥害防止の対象とする鳥を想定し、想定された鳥の大きさが大きい場合は隣接する孔101aどうしの間隔を広くしたり、想定された鳥の大きさが小さい場合は隣接する孔101aどうしの間隔を狭くしたりする。
【0030】
マグネットシート101には、破線状に配列され、マグネットシート101を厚さ方向に貫通する複数の孔103aによってなされるミシン目103が設けられている。ミシン目103は、たとえば、複数の孔101aどうしの間など、複数の孔101aと重ならない位置に設けることができる。あるいは、ミシン目103は、たとえば、複数の孔101aと重なる位置に設けられていてもよい。
【0031】
ミシン目103を設けることにより、たとえば作業者によって当該ミシン目103を間にした両側にマグネットシート101を引っ張る力を作用させた場合、ミシン目103の位置からマグネットシート101を切断することができる。これによって、鉄塔上において、鳥害防止装置100の設置位置の広さなどの状況に応じて、マグネットシート101の大きさを適宜調整することができる。
【0032】
鳥害防止用突起部材102は、突状体102aと固定部材102bとによって構成されている。突状体102aは、たとえば、針状に成型された樹脂材料によって実現することができる。具体的には、突状体102aは、たとえば、マグネットシート101から先端までの長さが100mm程度となるように、針状に成形された樹脂材料によって実現することができる。
【0033】
突状体102aの先端は、細く尖っていてもよい。樹脂材料は、突状体102aに対して加えられた外力に応じて変形する可撓性を有している。また、樹脂材料は、突状体102aが当該突状体102aを変形させる外力から解放された場合に、当該外力が加えられる前の所定の形状に復帰する弾性を有している。具体的には、針形状をなす突状体102aは、たとえば、ポリエステル系樹脂を用いて形成することができる。突状体102aは、透明または白もしくは黒色であって、細く、柔軟性はあるが自立性のある針状のポリエステル系樹脂によって形成することが好ましい。
【0034】
固定部材102bは、突状体102aを支持するとともに、マグネットシート101に固定される。具体的には、固定部材102bは、たとえば、厚さが0.5mm程度、面積が10mm×10mm程度の大きさとすることが好ましい。
【0035】
固定部材102bは、たとえば、鉄などのように、マグネットシート101の磁力によってマグネットシート101に貼り付く性質を備えた材料によって形成することができる。あるいは、固定部材102bは、たとえば、磁性材料を含む材料によって形成された磁石やマグネットシート101とは別体のマグネットシートなどによって実現してもよい。
【0036】
これにより、固定部材102bとマグネットシート101との間に作用する磁力に起因する吸引力によって、固定部材102bをマグネットシート101に固定することができる。これによって、突状体102aを支持する固定部材102bを容易にマグネットシート101に固定する、すなわち、鳥害防止用突起部材102を容易にマグネットシート101に固定することができる。
【0037】
また、固定部材102bとマグネットシート101との間に作用する磁力に起因する吸引力によって、固定部材102bをマグネットシート101に固定することにより、鳥害防止用突起部材102をマグネットシート101に対して取り外し可能に取り付けることができる。鳥害防止用突起部材102をマグネットシート101に対して取り外し可能に取り付けることにより、鳥害防止装置100の設置位置の状況や鳥害防止の対象とする鳥の大きさなどに応じて、鳥害防止用突起部材102の取り付け数を適宜調整することができる。
【0038】
固定部材102bは、粘着テープや接着剤などを用いてマグネットシート101に固定されていてもよい。粘着テープや接着剤などを用いてマグネットシート101に固定部材102bを固定することにより、鳥害防止装置100の搬送中にマグネットシート101から鳥害防止用突起部材102が脱離することを防止することができる。
【0039】
鳥害防止用突起部材102は、複数の孔101aのそれぞれに、最大1つの突状体102aが挿入された状態で、固定部材102bをマグネットシート101に固定することによって、マグネットシート101に取り付けられている。複数の孔101aは、それぞれ、隣り合う孔101aに対して所定の間隔を空けて設けられているため、複数の孔101aのそれぞれに1つの突状体102aが挿入された状態で固定部材102bをマグネットシート101に固定することにより、容易かつ確実に、鳥害防止用突起部材102すなわち突状体102aどうしを所定の間隔を空けて配置することができる。
【0040】
突状体102aは、固定部材102bに対して1本ずつ設けられているものに限らず、たとえば先端が二股に分岐する略V字形状あるいは略Y字形状をなしていてもよい。そして、突状体102aの分岐方向が複数の孔101aの配列方向に交差するように鳥害防止用突起部材102を設けることにより、突状体102aの先端がマグネットシート101の幅方向および長さ方向にわたって広がるので、鳥が一層止まりにくい環境をつくることができる。
【0041】
図4は、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100の構成部品を示す説明図である。図4においては、図3に示した鳥害防止用突起部材102とは異なる形態によって実現される鳥害防止用突起部材を示している。図4において、鳥害防止用突起部材401が備える突状体401aは、リング形状をなしている。具体的には、突状体401aは、たとえば、マグネットシート101から先端までの長さが100mm程度となるように、リング状に成形された樹脂材料によって実現することができる。
【0042】
リング形状をなす突状体401aは、針状に成形された突状体102aと同様に、突状体401aに対して加えられた外力に応じて変形する可撓性を有する樹脂材料を用いて形成されている。また、リング形状をなす突状体401aを形成する樹脂材料は、突状体401aが当該突状体401aを変形させる外力から解放された場合に、当該外力が加えられる前の所定の形状に復帰する弾性を有している。具体的には、リング形状をなす突状体401aは、たとえば、ポリエステル系樹脂を用いて形成することができる。突状体401aは、透明または白もしくは黒色であって、細く、柔軟性はあるが自立性のあるだ円形状のポリエステル系樹脂とすることが好ましい。
【0043】
図5は、この発明にかかる別の実施の形態の鳥害防止装置100を示す説明図である。図5において、リング形状をなす突状体401aを備えた鳥害防止用突起部材401を備えた鳥害防止装置100においては、当該突状体401aに鳥が止まろうとした場合に、リング形状を弾性的に変形させ、鳥の足下を不安定にすることによって、鳥が止まることを効果的に抑制することができる。
【0044】
また、リング形状をなす突状体401aとすることにより、突状体401aの存在を確認しやすくなるので、鳥が寄りつくこと自体を防止することができる。さらに、リング形状をなす突状体401aとすることにより、突状体401aの存在を確認しやすくなるので、突状体401aが誤って作業者の目にささってしまうことを防止することができる。
【0045】
図6は、この発明にかかる別の実施の形態の鳥害防止装置100を示す説明図である。図6において、鳥害防止装置100は、針形状をなす突状体102aを備えた鳥害防止用突起部材102とリング形状をなす突状体401aを備えた鳥害防止用突起部材401とが、交互に配置されて構成されている。このように、複数種類の突状体102a、401aを備えた鳥害防止装置100によれば、針形状をなす突状体102aがなす鳥害防止効果、および、リング形状をなす突状体401aがなす鳥害防止効果を同時に奏することができる。これによって、鉄塔部材に鳥が止まることに起因する各種の鳥害を確実に防止することができる。
【0046】
このように、この発明にかかる各実施の形態の鳥害防止装置100は、従来にはない方法によって鉄塔に設置することができる。すなわち、この発明にかかる各実施の形態の鳥害防止装置100は、マグネットシート101を利用することにより、様々な取り付け方によって取り付けることができ、鉄塔部材の形状などに応じて柔軟に対応することができる。
【0047】
また、この発明にかかる各実施の形態の鳥害防止装置100は、作業者の任意の大きさにマグネットシート101をカッティングすることができるため、鳥害防止装置100の設置対象となる鉄塔部材の大きさ(太さ)、長さ、設置面(上面であるか、下面であるか、側面であるか、など)の向き(方向)などに制約を受けることがなく、適切な位置に設置することができる。すなわち、鉄塔部材上面や下面に向けて、あるいは側面に向けても自在に貼り付けることができる。
【0048】
この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100においては、マグネットシート101に、直接、鳥が止まりにくくする装置を設けてもよい。具体的には、たとえば、マグネットシート101の表面形状(鉄塔部材に対向する面とは反対側の面)を、先端の尖った凹凸形状とすることによって、鳥が止まりにくくなるようにしてもよい。
【0049】
この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100においては、マグネットシート101が、両面多極着磁をおこなうものであってもよい。両面多極着磁をおこなったマグネットシート101を採用することにより、磁場による鳥類の飛来抑止を期待することができる。これによって、鳥害防止用突起部材102、401(突状体102a、401a)による鳥類の飛来抑止に加えて、より一層、鳥が止まりにくい環境をつくり、鳥害を効果的に防止することができる。
【0050】
この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100においては、マグネットシート101に、透明または白もしくは黒色であって、細く、柔軟性はあるが自立性のある針状あるいはだ円形状のポリエステル系樹脂を設ける(植え付ける)ことにより、飛来した鳥に対して、「見えないものに触れる」という恐怖感を与えることができる。これによって、鳥害防止装置100が設置されている位置に鳥が止まりづらくする効果を期待することができる。
【0051】
図7は、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100の設置例を示す説明図である。図7において、針状の突状体102aを備えた鳥害防止装置100は、鉄塔部材701上面に取り付け、突状体102aの先端が上方に向いた状態で、鉄塔部材701に取り付けることが好ましい。また、リング状の突状体401aを備えた鳥害防止装置100は、鉄塔部材701下面に取り付け、突状体401aの先端が下方に向いた状態で、鉄塔部材701に取り付けることが好ましい。さらに、針状の突状体102aおよびリング状の突状体401aが混在する鳥害防止装置100は、鉄塔部材701の側面に取り付け、突状体102aの先端が側方に向いた状態で、鉄塔部材701に取り付けることが好ましい。
【0052】
この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100は、柔軟性のあるポリエステル系樹脂を用いて突状体102a、401aを形成したため、鉄塔上での作業に際して、鉄塔上で作業する作業者が突状体102a、401aを足で踏みつけても当該作業者が移動した場合には直ちに現状に回復する。
【0053】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100は、磁性材料を含み、シート形状をなすマグネットシート101と、マグネットシート101に取り付けられ、マグネットシート101の他面側から突出する複数の鳥害防止用突起部材102、401と、を備え、鳥害防止用突起部材102、401が、それぞれ、隣接する鳥害防止用突起部材102、401に対して所定の間隔を空けた状態で配置されていることを特徴としている。
【0054】
この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、鉄塔を構成する鉄塔部材701にマグネットシート101の一面側を対向させた状態で、当該マグネットシート101を鉄塔部材701に取り付ける(貼り付ける)だけで、鉄塔部材701における任意の位置に鳥害防止装置100を設置することができる。これによって、鉄塔部材701に対する鳥害防止装置100の設置の容易化を図ることができる。
【0055】
また、この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、鳥害防止装置100を鉄塔部材701に取り付けた状態では、複数の鳥害防止用突起部材102が鉄塔部材701から外側に向かって突出しているため、鉄塔部材701に鳥が止まったり営巣したりすることを抑制することができる。これによって、鳥害を抑制することができる。
【0056】
さらに、この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、鳥害防止用突起部材102、401は、それぞれ、隣接する鳥害防止用突起部材102、401に対して所定の間隔を空けた状態で配置されているため、対象とする鳥の大きさに応じた間隔で鳥害防止用突起部材102、401を配置することにより、鳥害防止用突起部材102、401どうしの間にも鳥が止まりにくい環境をつくることができる。これによって、より確実に鳥害を抑制することができる。
【0057】
また、この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、鳥害防止装置100におけるマグネットシート101の磁力は、鉄塔部材701に対して面で作用するため、鉄塔部材701に対して鳥害防止装置100を安定して設置することができる。これによって、鳥害防止装置100が鉄塔部材701から脱落することを防止し、確実に鳥害を抑制することができる。
【0058】
このように、この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、容易かつ確実に鳥害を防止することができる。
【0059】
また、この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、鳥害防止装置100はマグネットシート101の磁力によって鉄塔部材701に取り付けられているため、たとえば、鉄塔部材701上での作業に際して作業の支障になる場合は容易に取り外すことができるとともに、別の場所に取り付け(貼り付け)て待避させておくことができる。そして、作業が終了した後は、ふたたび、鳥害防止装置100を鉄塔部材701に容易に設置することができる。
【0060】
また、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100は、マグネットシート101が、当該マグネットシート101を厚さ方向に貫通する複数の孔101aを備え、鳥害防止用突起部材102、401が、複数の孔101aにそれぞれ挿入される突状体102a、401aと、当該突状体102a、401aを支持するとともにマグネットシート101に固定される固定部材102bと、を備えたことを特徴としている。
【0061】
この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、マグネットシート101に設けられた複数の孔のそれぞれに突状体102a、401aを挿入した状態で、当該突状体102a、401aを支持する固定部材102bをマグネットシート101に固定するだけで、突状体102a、401aをマグネットシート101に固定し、鳥害防止装置100を構成することができる。これによって、容易かつ確実に鳥害を防止することができる鳥害防止装置100を、簡易な構成によって実現することができる。
【0062】
そして、この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、鳥害防止装置100の構成の簡易化を図ることにより、鳥害防止装置100の重量を低く抑えることができる。これによって、鉄塔の昇降にかかる作業者の負担軽減を図ることができる。
【0063】
また、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100は、突状体102a、401aが、加えられた外力に応じて変形する可撓性、および、外力から解放された場合に当該外力が加えられる前の所定の形状に復帰する弾性を有する材料を用いて形成されていることを特徴としている。
【0064】
この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、鉄塔部材701上で作業をおこなう作業者に踏まれるなどした場合に突状体102a、401aを変形させ、作業者が通過した後は外力が加えられる前の所定の形状に復帰させることができる。これによって、鉄塔部材701に鳥害防止装置100を設置したことによって鉄塔部材701上での作業に支障をきたすことなく、鉄塔部材701に鳥が止まったり営巣したりすることを抑制することができる。
【0065】
また、この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、突状体102a、401aは、外力から解放された場合に当該外力が加えられる前の所定の形状に復帰するため、作業者に、突状体102a、401aの形状を所定の形状に復帰させるなどの作業をおこなわせることなく、作業の後にも確実に鉄塔部材701に鳥が止まったり営巣したりすることを抑制することができる。これによって、鉄塔部材701に鳥害防止装置100を設置したことによって鉄塔部材701上での作業を増やすことなく、迅速に作業に着手できるとともに、作業後は迅速かつ確実に現状復帰させることができる。
【0066】
また、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100は、鳥害防止用突起部材102、401が、マグネットシート101に対して取り外し可能に取り付けられていることを特徴としている。この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、突状部の形状を異ならせた複数種類の鳥害防止用突起部材102、401を設け、鳥害防止対策の対象とする鳥の種類や大きさなどに応じて適宜最適な種類の鳥害防止用突起部材102、401をマグネットシート101に取り付けることができる。これによって、設置対象場所に応じて最適な鳥害防止装置100を構成し、設置することができる。
【0067】
また、この発明にかかる実施の形態の鳥害防止装置100は、マグネットシート101が、破線状に配列されマグネットシート101を厚さ方向に貫通する複数の孔103a(ミシン目103)を備えたことを特徴としている。この実施の形態の鳥害防止装置100によれば、破線状に配列された複数の孔103aによってなされるミシン目103に沿って、マグネットシート101を切断し、マグネットシート101のサイズを変更することができる。これによって、鳥害防止装置100の実際の設置対象位置の状況に応じて、鉄塔部材701上でマグネットシート101のサイズを調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、この発明にかかる鳥害防止装置は、鳥を原因とした被害を防止する鳥害防止装置に有用であり、特に、鳥を原因とした鉄塔における被害を防止する鳥害防止装置に適している。
【符号の説明】
【0069】
100 鳥害防止装置
101 マグネットシート
102 鳥害防止用突起部材
102a 突状体
102b 固定部材
103a 孔
103 ミシン目
401 鳥害防止用突起部材
401a 突状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料を含み、シート形状をなすマグネットシートと、
前記マグネットシートに取り付けられ、前記マグネットシートの他面側から突出する複数の鳥害防止用突起部材と、
を備え、
前記鳥害防止用突起部材は、それぞれ、隣接する前記鳥害防止用突起部材に対して所定の間隔を空けた状態で配置されていることを特徴とする鳥害防止装置。
【請求項2】
前記マグネットシートは、当該マグネットシートを厚さ方向に貫通する複数の孔を備え、
前記鳥害防止用突起部材は、前記複数の孔にそれぞれ挿入される突状体と、当該突状体を支持するとともに前記マグネットシートに固定される固定部材と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の鳥害防止装置。
【請求項3】
前記突状体は、加えられた外力に応じて変形する可撓性、および、前記外力から解放された場合に当該外力が加えられる前の所定の形状に復帰する弾性を有する材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の鳥害防止装置。
【請求項4】
前記鳥害防止用突起部材は、前記マグネットシートに対して取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の鳥害防止装置。
【請求項5】
前記マグネットシートは、破線状に配列され前記マグネットシートを厚さ方向に貫通する複数の孔を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の鳥害防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−182735(P2011−182735A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53076(P2010−53076)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】